以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る筆記具について図1〜図6を参照して説明する。
図1は筆記具の非ノック時の説明図、図2はノック時の説明図、図3が該筆記具の先軸の説明図、図4が該筆記具の捩じり継手の説明図、図5が該筆記具のノック時の非筆記状態における先軸周辺の説明図、図6が該筆記具の筆記状態における先軸周辺の作動説明図である。
第1実施形態に係る筆記具は、図1に示すように、筆記部10とインク収容部12とを一体に設けたリフィル14を軸筒16内に収容した筆記具に係るものである。
リフィル14の前方側は、未筆記時においては軸筒16内面と離間し、一方、筆記時は筆記荷重により軸筒16内面と当接するものである。
詳しくは、中空の軸筒16は、中央部から先の先軸20と、中央部から後ろの後軸22とが互いに螺合して着脱自在に連結されたものであり、一体の軸筒16を構成している。
先軸20の先端部内面に段部20bが形成され、この段部20bにスプリング24が係止して先軸20内に装着されている。このスプリング24でリフィル14が後方に向け付勢されている。
リフィル14は、先端の筆記部10の外径よりも本体部のインク収容部12の外径が大きく形成されている。リフィル14の先端の筆記部10はボールペンチップであり、リフィル14の後端にノック棒26が設けられた、ノック式ボールペンの筆記具となっている。
リフィル14のインク収容部12の周囲には、捩じり継手28と、その後部に対向して設けた前面が平坦な捩じり継手受け体30が外装される。
後軸22の後端部内に内筒32が嵌着・固定され、この内筒32内に、捩じり継手受け体30の後端に当接するノック用の回転子34が装着される。
内筒32の先端に軸方向に長・短の切り欠き32aが周方向に配列され形成されている。また、ノック用の回転子34の先端外周に突起34aが外径方向に突出形成される。
捩じり継手受け体30と後軸22との間でそれらに形成されたフランジ突起間にノック用のスプリング36が介装されており、スプリング36によって、回転子34とノック棒26が軸筒16(後軸22)に対して後方に付勢されている。
筆記時に、使用者のノック操作において、ノック棒26への押圧によって回転子34を介してリフィル14が先方に移動すると、押圧解除で回転子34先端外周の突起34aが内筒32の先端切り欠き32aの短いものに嵌って、リフィル14の筆記部10突出状態(筆記時状態)を維持する。
一方、筆記終了時、再度の使用者のノック操作において、ノック棒26への押圧によって、回転子34先端外周の突起34aが、内筒32の先端切り欠き32aの短いものから外れて、回転し、押圧解除で長い先端切り欠きに32aに嵌って、リフィル14の筆記部10が没入出状態(非筆記時状態)を維持する。
各部を詳細に説明する。
(リフィル14)
リフィル14においては、先端の筆記部10は、継手38を介してインク収容部12先端に連結されている。第1実施形態の場合、筆記部10が本体の先端にボール10aを設けたボールペンチップであり、内部のインク流路にボール10aを押す内装スプリング10bが設けられている。
そして、筆記部10の本体が概略筒状であり、後端が開口して内装スプリングが後方に突出している。
継手38は概略中空筒状であって、内径が軸方向中央部で細径になり、その細径の部分に内装スプリング10b後端が当接・支持される。また、継手38の後端部が段状に拡径して、内筒と外筒からなる二重筒構造となり、後端部の二重筒構造が樹脂管のインク収容部12の先端部に内外に包むように装着されている。
この後端部以外の筆記部10の外径は、筆記部10よりも大径で、かつ、インク収容部12の外径よりも小径に形成されて、段状に拡径している。スプリング24が継手38に外装されて、スプリング24の先端が上記した先軸20の段部20bに、後端が継手38の段状に拡径した部分に当たり、スプリング24によってリフィル14を後方に付勢している。
(先軸20)
先軸20は、図3に示すように、内部本体20aが硬質樹脂材であり、外周面のゴム弾性材料が覆う把持部18になっている。先軸20の後端部の外周に雄ネジが形成され、後端縁から先方に雄ネジの開始部及び1周分を横切って切り欠き20cが切り込み形成されている。切り欠き20cで後軸22の割れを防止できる。
また、先軸20においては、図3に詳細に示すように、内部本体20aの先端部が側面に複数の窓が開いている。また、図3、図5に詳細に示すように、把持部18のゴム弾性材が内部本体20a先端部よりも先に形成され、上記窓から内側に突出している(図5参照)。
ゴム弾性材の把持部18が内部本体20aの先端部よりも先に形成されているので、この把持部18が先軸20先端を形成し、また、内側に突出しており、図5(b)に示すように、筆記時に、筆記部10外周と先軸20先端内周との隙間が小さく、図5(c)に示すように、未筆記時におけるリフィル14外面と軸筒16内面との間隙が大きく、筆記時に筆記荷重により軸筒16内面に最初に当たる位置よりも後方側を大きくしたものになっている。
また、リフィル14と当接する先軸20内面はゴム弾性材料で形成されている。ゴム弾性材料は、先軸20外面の把持部18に形成されており、先軸20内面にも突出形成されている。
このように、軸筒16における先軸20先端部と途中部にゴム弾性材料が内面向きに形成され、筆記時に筆記荷重によりリフィル14が軸筒16の先端部と途中部でゴム弾性材料に当接するようにしたものである。
このように、この先軸20は、ゴム弾性材料の把持部18と硬質材料からなる内部本体20aとの二色成形で形成されている。二色成形が好適であるが、他に、別成形のものを接着、嵌合等により一体化する製法でも良い。
把持部18のゴム弾性材は材質が熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴム等の各種材料を好適に使用できる。また、内部本体20aの硬質材料はABS、PC、PBT、PP、PET、PMMA(アクリル樹脂)、COC(環状オレフィン樹脂)等の樹脂材が好適に使用できる。
当接する筆記条件は、荷重3N以下、筆記面に対する筆記部の角度が60度に設定することができる。
(捩じり継手28)
捩じり継手28は、図1、図2に示すように、軸筒16内でリフィル14に外装された中空軸状部材であり、捩じり継手28の先端面がリフィル14の継手38(外筒状部)の後端面に当接する位置に配置されている。捩じり継手28は、図4に示すように、硬質樹脂材製の中空筒状の本体の先端が平坦に形成され、該本体の後端にゴム弾性材からなる回転駆動部40が設けられている。回転駆動部40は、櫛状に複数の柱部分が後方向きに突出形成されていて、各柱部分が周方向に斜めにカットされている。この回転駆動部40は、別成形して、後に、捩じり継手28の本体に一体化したものである。しかしながら、回転駆動部40の弾性が確保できれば、捩じり継手28の本体と回転駆動部40とを同材質で一体成形しても良い。
第1実施形態の筆記具によれば、非筆記時には、図1に示すようにリフィル14が軸筒16内に収まっている。筆記部10が先端から外部に突出していない状態である。リフィル14の前方側(筆記部10)は、未筆記時において軸筒16内面と離間している。
そして、筆記をしようとするときには、ノック棒26へノック操作によって、図2に示すようにリフィル14が軸筒16内で先方に移動して、筆記部10が先端から外部に突出した状態になる。
リフィル14の前方側の筆記部10は、筆記しないときには図5に示すように、リフィル14が押圧されないので曲がらず、筆記部10と継手38とは軸筒16内面と離間している。
そして、筆記時は、筆圧を加わりその筆記荷重によりリフィル14が軸筒16内面と先端が当接し後端が可動でき、しなるものである。具体的には、筆記部10は軸筒16先端の開口との間隙が軸筒16内部と継手38との間隙よりも狭いので、筆記部10が先に軸筒16先端に当たり継手38が把持部18の内側ゴム弾性材に当たるまでしなる。したがって、実施形態の筆記具では、筆記時にリフィル14がしなり好適な筆記感を与えることができる。
また、筆記部10に筆圧を加えたときにリフィル14が後方に押圧されると、捩じり継手28が後退し捩じり継手受け体30先端に当たって、捩じり継手28の回転駆動によってリフィル14が回転し筆記部10先端が滑らかな筆記感を得ることができる。
このリフィルの回転による作用効果については後に詳細に説明する。
次に、第2実施形態に係る筆記具について、図7〜図11を参照して説明する。
図7は第2実施形態に係る筆記具の非ノック時の説明図、図8は該筆記具のノック時の説明図、図9は該筆記具の先軸の説明図、図10は該筆記具のノック時の非筆記状態における先軸周辺の説明図、図11は、該筆記具のノック時における筆記時の作動説明図で、図10(a)のP−P線に沿う横断面図である。
図7〜図11に示す第2実施形態の筆記具では、第1実施形態と同様部分に同様符号を付している。
この第2実施形態に係る筆記具では、図7、図8に示すように、軸筒16は主要部が一体であり、軸筒16先端にゴム弾性材料と硬質材料による二色成形で形成されて口金(先端口部材)42を設けたものである。ゴム弾性材料からなる把持部18は、外面に滑り止めの凹凸がデザインされて、軸筒16の先方部の外周に形成されている。
また、軸筒16内に、第1実施形態の筆記具が備えた捩じり継手28、捩じり継手受け体30が設けられてはいない。したがって、筆記時に筆圧を掛けた際にリフィル14がしなるが回転はしないものである。
なお、リフィル14はボールペンチップの筆記部10が継手38でインク収容部12の先端に設けられている。
また、軸筒16後端に嵌着された内筒32には、衣服ポケット等に筆記具を固定するためのクリップ44が内筒32の側部に形成されている。
(口金42)
口金42について図9によって詳しく説明する。
口金42は、全体が中空略円錐形状を呈し、硬質樹脂材の本体42aの先端を覆うようにゴム弾性材からなる先端部42bが設けられる。
口金42は、本体42aの後部内に雌ネジが形成されていて、この雌ネジが軸筒16先端の雄ネジに螺合する構造になっている。本体42aは、後部の雌ネジの形成部から先方に向けて弁状に延びた部分を複数有している。その弁状の部分内周には、リフィル14の継手38先端が当接して係止するために複数のリブ42cが内向きに突出形成されている。なお、リブ42cは3箇所以上の等間隔に配設していることが好ましい。
口金42において、図9、図10に示すように、先端部42bは、前記本体42aの雌ネジ形成部外周から、弁状に延びた部分の間から先端に位置してゴム弾性材を配設して形成している。弾性材料の先端部42bと硬質材料による本体42aとの二色成形で形成されている。
第2実施形態の筆記具によれば、非筆記時には、図7に示すようにリフィル14が軸筒16内に収まっている。筆記部10が先端から外部に突出していない状態である。リフィル14の前方側(筆記部10)は、未筆記時において軸筒16内面と離間している。
そして、筆記をしようとするときには、ノック棒26へノック操作によって、図8に示すようにリフィル14が軸筒16内で先方に移動して、筆記部10が口金42先端から外部に突出した状態になる。
リフィル14の前方側の筆記部10は、筆記しないときには図10に示すように、リフィル14が押圧されないので曲がらず、筆記部10は口金42の先端部42bと内接するが、継手38と口金42内面のリブ42cとは離間している。
そして、筆記時は、筆圧が加わりその筆記荷重によりリフィル14の筆記部10が口金42の先端部42bが当接した状態で、後端側の継手38が可動でき、しなるものである。具体的には、筆記部10は口金42先端部42bの開口との間隙が内部のリブ42cと継手38との間隙よりも狭いので、筆記部10が先に軸筒16先端に当たり、図11に示すように、継手38がリブ42cに当たるまでしなる。
したがって、第2実施形態の筆記具では、筆記時にリフィル14がしなり好適な筆記感を与えることができる。
その他の作用効果は第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る筆記具について、図12〜図13を参照して説明する。
図12は本発明の第3実施形態に係る筆記具の説明図、図13は図12の筆記具における口金の説明図である。
図12〜図13の第3実施形態の筆記具では、第2実施形態と同様部分に同様符号を付している。
第3実施形態では、口金46が第2実施形態の口金42と外観形状がほぼ同じであるが、硬質樹脂材料からなる本体46aが先後にわたり形成され、本体46a内部に先端よりの箇所のゴム弾性材料からなるO(オー)リング等の環状弾性材46bを配置したものである。リブ46cが中央部に、後方に雌ネジが形成されている点は第2実施形態の口金と同じである。
この第3実施形態の筆記具によれば、非筆記時には、図12(a)、(b)に示すようにリフィル14が軸筒16内に収まっている。リフィル14の前方側(筆記部10)は、未筆記時において軸筒16内面と離間している。
そして、筆記をしようとするときには、ノック棒26へノック操作によって、図12(c)、(d)に示すようにリフィル14が軸筒16内で先方に移動して、筆記部10が口金46先端から外部に突出した状態になる。
突出状態の筆記部10は、口金46先端開口との間に間隙がある。
筆記時は、筆圧が加わりその筆記荷重によりリフィル14の継手38外周が口金46内の環状弾性材46bに当接した状態で、後端側の継手38がリブ46cとの間に間隙を有するので、リフィル14がしなるものである。具体的には、口金46内で環状弾性材46bと継手38との間隙が内部のリブ46cと継手38との間隙よりも狭いので、継手38が先に軸筒16先端の口金46に当たり、継手38がリブ46cに当たるまでしなる。
したがって、第3実施形態の筆記具では、筆記時にリフィル14がしなり好適な筆記感を与えることができる。
また、口金46の本体46aが一体的に形成して、内部に環状弾性材46bを装着すれば良いため、成形か簡単で標準品も使い易くコストダウンが図れる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る筆記具について、図14〜図19を参照して説明する。
図14は第4実施形態に係る筆記具の非ノック時の説明図、図15は該筆記具のノック時の説明図、図16は該筆記具の内筒の説明図、図17は該筆記具のノック棒の説明図、図18は該筆記具の回転子の説明図、図19は該筆記具の捩じり継手52の説明図である。
図14〜図19の第4実施形態の筆記具では、第1実施形態と同様部分に同様符号を付している。
第4実施形態に係る筆記具は、図14に示すように、筆記部10とインク収容部12とを一体に設けたリフィル14を軸筒16内に収容した筆記具に係るものである。リフィル14は第1実施形態のものと同様である。
リフィル14の前方側は、未筆記時においては軸筒16内面と離間し、一方、筆記時は筆記荷重により軸筒16内面と当接するものである。
そして、第4実施形態では、中空の軸筒16内に、中央部から先に先軸48が嵌入し、軸筒16の先端部に内側に螺合した筒状の先軸受け48aによって先軸48が軸筒16内に固定される。先軸受け48a内周に口金50が挿入されて、口金50後端が先軸48内周に螺合している。先軸48の後端は平坦に形成され、その後端に当接して捩じり継手52に装着されている。
口金50の先端部内面に段部が形成され、この段部にスプリング(図示省略)が軸筒16内に装着されている。このスプリングでリフィル14が後方に向け付勢されている。
リフィル14の先端の筆記部10はボールペンチップであり、リフィル14の後端に後記のノック棒58が設けられた、ノック式ボールペンの筆記具となっているが、リフィル14を進退動させるノック機構が第1実施形態と異なり、カーンノック式のものとなっている。
このノック機構は、軸筒16内周の先軸48内でインク収容部12の外周に接した筒状の回転子54と、回転子54の後端部に外装・配設された内筒56がカム接合する。
この内筒56後端面に接して、前記の捩じり継手52が配設される。
また、回転子54の後端に当接するノック棒58がインク収容部12の外周に接して配置される。
軸筒16内には、捩じり継手52の後端に対向して捩じり継手受け60が、軸筒後端に螺合によって固定して配設される。
軸筒16の後端には、ノックボタン62が突出しており、ノックボタン62を後端に設け、先端に前記ノック棒58が接続された接続部材64が、前記捩じり継手受け60内で進退動可能に設けられている。捩じり継手受け60の内周には、接続部材64の周囲に位置してノック棒58の回転を止める回転止めリング66が配置されている。
ここで、前記内筒56は、図16に示すように、内周面に先端向きに長・短に溝が切り込まれたカム溝56aが形成された概略筒状体である。
前記ノック棒58は、図17に示すように、先端部に外周に複数のカム突起58aが形成され、先端面にカム斜面58bの凹凸が形成された概略筒状体である。
前記回転子54は、図18に示すように、後端面にカム斜面54aの凹凸が形成された概略者筒状体である。
なお、ノック機構においては、カーンノック式である。ノック操作においては、前記内筒56内に、回転子54後端部と、ノック棒58前端部が嵌り込んで、各カムがかみ合っており、ノックボタン62の操作によって、接続部材64でノック棒58が前進すると、ノック棒58のカム突起58aが内筒56のカム溝56aの長・短の溝に嵌り込む位置が変化することにより、ノック棒58前端が回転子54を押圧位置が変化して、リフィル14の筆記部10が先軸48先端から非突出状態・突出状態に切り替わる。
前記捩じり継手52は、図19に示すように、ゴム弾性材料からなり、概略環状で後端部に斜面が形成された方向に曲がった柱状部が複数、後方向きに延設されているものである。
第4実施形態では、口金50が第3実施形態の口金46と外観形状より長く形成されているが、硬質樹脂材料からなる本体50aが先後にわたり形成され、本体50a内部に先端よりの箇所のゴム弾性材料からなるO(オー)リング等の環状弾性材50bを配置したものである。
この第4実施形態の筆記具によれば、非筆記時には、図14に示すようにリフィル14が軸筒16内に収まっている。リフィル14の前方側(筆記部10)は、未筆記時において軸筒16内面と離間している。
そして、筆記をしようとするときには、ノックボタン62へのノック操作によって、図15に示すようにリフィル14が軸筒16内で先方に移動して、筆記部10が口金50先端から外部に突出した状態になる。
突出状態の筆記部10は、口金50先端開口との間に間隙がある。
筆記時は、筆圧が加わりその筆記荷重によりリフィル14の継手38外周が口金50内の環状弾性材50bに当接した状態で、後端側の継手38が口金50内壁面との間に間隙を有するので、リフィル14がしなるものである。具体的には、口金50内で環状弾性材50bと継手38との間隙が口金50内面と継手38との間隙よりも狭いので、継手38が先に軸筒16先端の環状弾性材50bに当たり、継手38が口金50内面に当たるまでしなる。
したがって、第4実施形態の筆記具では、筆記時にリフィル14がしなり好適な筆記感を与えることができる。
また、前記捩じり継手52は、図19に示すように、ゴム弾性材料からなり、概略環状で後端部に斜面が形成された方向の柱状部が複数形成されているものであるので、筆記時に筆圧によってリフィル14が後退する力で捩じり継手52後端が捩じり継手受け60に当接する力が加わり、捩じり継手52の後端部の柱状部が倒れたり復帰したりすることにより、リフィル14が回転する力が発生して、筆記中に筆記部10が回転し、滑らかな書き味が実現できる。
また、口金50の本体50aが一体的に形成して、内部に環状弾性材50bを装着すれば良いため、成形か簡単で標準品も使い易くコストダウンが図れる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る筆記具について図20〜図21を参照して説明する。
図20は筆記具からキャップを外した状態の説明図、図2は該筆記具の捩じり継手の説明図である。
第5実施形態に係る筆記具は、図20に示すように、筆記部10とインク収容部12とを一体に設けたリフィル14を軸筒16内に収容し、非ノック式でキャップの着・脱で筆記部先端を覆う・露出する形式の筆記具に係るものである。キャップは周知のものであり、図20では、図視していない。その他、第1実施形態等と同様箇所に同様符号を付している。
第5実施形態に係る筆記具は、リフィル14の前方側は、未筆記時においては軸筒16先端の内面と離間し、一方、筆記時は筆記荷重により軸筒16先端内面と当接するものである。
詳しくは、先軸20の先端の口金68内に弾性体70が装着され、リフィル14の先端部に継手38によって筆記部10が中空の軸筒16先端内周に当接するようにし、継手38が先軸20内周に支持され、筆記時の筆記荷重によってリフィル14先端の当接する弾性体70が変形してリフィル14が前記継手38を中心に曲がるようにしたものである。
詳しくは、図20に示すように、先軸20が先部及び後部が外周に雄ネジが形成され、軸筒16先端内周の雌ネジに先軸20後部の雄ネジが螺合してネジ結合する。また、先軸20先部を覆って先細の口金68が後部の雌ネジが先軸20の先部に螺合する。
リフィル14の筆記部10は、ボールペンチップである。第5実施形態において、筆記部とインク収容部12とを繋ぐ継手38は、図21に示すように、中央部が球状に形成された(球状部38a)中空の軸状部材であり、筒状の先方部に内に筆記部10の後端が挿入され、筒状の後方部がリフィルのインク収容部12先端に挿入されてリフィル14に一体化する。
筆記具の組み付け状態では、図20に示すように、口金68で覆う先軸20先端に前記継手38の球状部38aが固定され、筆記部10が口金68先端の開口から突出し、かつ、口金68内に装着されたゴム弾性材料からなるO(オー)リングからなる弾性体70が継手38の先方部の周囲に位置している。先軸20の先端に球状側面に凹所が形成され、当該凹所に前記継手38の球状部38aの後面側が嵌り込み、前面側が筒状の継手押さえ72を介して口金68内面で押さえ付けられている。リフィル14の継手38は、先軸20内で継手38中央部を中心に回動可能に設けられている。
筆記時に、筆記荷重によってリフィル14の継手38の先方部が当接する弾性体70が変形してリフィル14が前記継手38の中央部を中心に曲がるようにしたものである。
曲がる際に弾性体70やインク収容部12の弾性力で、筆記時にリフィル14がしなり好適な筆記感を与えることができる。
リフィル14は、先端の筆記部10の外径よりも本体部のインク収容部12の外径が大きく形成されている。リフィル14の先端の筆記部10はボールペンチップであり、リフィル14の後端にノック棒26が設けられた、ノック式ボールペンの筆記具となっている。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る筆記具について、図22〜図24を参照して説明する。
図22は第6実施形態に係る筆記具のノック時の説明図、図23は該筆記具の先軸の説明図、図24は該筆記具の捩じり継手74の説明図である。
この第6実施形態に係る筆記具は、先軸20と捩じり継手74の構造が異なる以外は、第1実施形態の筆記具とほぼ同様であり、同様部分に同様符号を付している。
この筆記具の先軸20は、図22、図23に示すように、内部本体20aの先端部に周方向に沿う溝が複数形成されて、把持部18のゴム弾性体が周方向の帯状部18aが形成され、かつ、把持部18の後部に内部本体20aが露出するのぞき窓18bが穿設されたものである。帯状の部分で先端握りの際の把持力が確実化する。また、のぞき窓18bで内部本体20aを透明にすることにより、リフィル14のインク収容部12内のインク残量が容易に視認できる。
捩じり継手74は、ねじれる部分が2箇所形成されている。つまり、捩じり継手74の後部では複数の腕部74aがややスパイラル状に形成される。腕部74aには、横断面に場所によって大小の部分があり横断面が小さい部分の強度が低いので曲がり易く、横断面の大小の設定で曲がり部分を調整でき、また曲がり形状でも曲がり具合を調整できる。捩じり継手74の先方本体側にこの腕部74aに隣接して山形壁74dが形成され、山形壁74dが腕部74aの作動範囲を規制するストッパーの機能を有する構成になっている。
前記腕部74aの後端に筒状部74bが繋がりその筒状部74b後端部に複数の柱状部74cが後方に延びて、柱状部74cの後端が斜めにカットされている。
筆記時に、筆記部10に筆圧を加えたときにリフィル14が後方に押圧されると、捩じり継手74が後退し捩じり継手受け体30先端に当たって、捩じり継手74の回転駆動によってリフィル14が回転し筆記部10先端が滑らかな筆記感を得ることができる。
特に、捩じり継手74が腕部74aと筒状部74bを介して柱状部74cが回転方向に弾性変形するので、腕部や柱状部の一方のみの捩じり継手に比較してリフィル14の回転方向ねじれが大きく、少しの筆圧で大きな回転量を得て、滑らかな書き味を得ることができる。
その他の作用は第1実施形態と同様である。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態に係る筆記具について図25を参照して説明する。
図25は本発明の第7実施形態に係る筆記具の捩じり継手76の説明図である。
第7実施形態に係る筆記具は、前記捩じり継手76が、図25に示すように、長い円筒状のゴム弾性材料からなり、筒状の本体の後端部に斜面が形成されて方向に曲がった柱状部76aが複数後方向きに延設されているものである。
材質としては熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴム、等を用いることができる。
その他の筆記具の構成や作用は第1実施形態や第6実施形態と同様である。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態に係る筆記具について図26を参照して説明する。
図26は本発明の第8実施形態に係る筆記具の捩じり継手の説明図である。
第8実施形態に係る筆記具は、前記捩じり継手78が、図26に示すように、長い円筒状のゴム弾性材料からなり、筒状の本体78bの後端部に斜面が形成されて捩じり方向に曲がった柱状部78aが複数後方向きに延設されている。そして、本体78bの外周面に軸方向に沿う溝78cが複数条形成されているものである。
この捩じり継手78は本体78bの表面に溝78cがあるので、本体78bも捩じれ易く、後端の柱状部78aの捩じれと共に本体78bも捩じれて、一層、書き味が向上する。
その他の筆記具の構成や作用は第1実施形態や第6実施形態、第7実施形態と同様である。
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態に係る筆記具について図27を参照して説明する。
図27は本発明の第9実施形態に係る筆記具の捩じり継手80の説明図である。
捩じり継手80は、先後の筒状部間に捩じれる部分が形成されている。
つまり、捩じり継手80の後部では複数の腕部80aがややスパイラル状に形成され、この腕部80aによって後端の筒状部80bが繋がったものである。腕部80aには、横断面に場所によって大小の部分があり横断面が小さい部分の強度が低いので曲がり易く、横断面の大小の設定で曲がり部分を調整でき、また曲がり形状でも曲がり具合を調整できる。腕部80aに隣接して山形壁80cが形成され、この山形壁80cが腕部80aの作動範囲を規制するストッパーの機能を有する構成になっている。筒状部80bの後端面は、図24に示した第6実施形態の捩じり継手と異なり、平坦に形成されている。
その他の筆記具の構成や作用は第1実施形態や第6実施形態と同様である。
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態に係る筆記具について図28を参照して説明する。
図28は本発明の第10実施形態に係る筆記具の捩じり継手の説明図である。
捩じり継手82は、先後の筒状部間に捩じれる部分が形成されている。
捩じり継手82の後部では複数の腕部82aがややスパイラル状に形成され、この腕部82aによって後端の筒状部82bが繋がったものである。腕部82aには、横断面に場所によって大小の部分があり横断面が小さい部分の強度が低いので曲がり易く、横断面の大小の設定で曲がり部分を調整でき、また曲がり形状でも曲がり具合を調整できる。捩じり継手82の筒状部82bには、先方側向けてかつ腕部82aに隣接して棒状突起82cが形成され、棒状突起82cが腕部82aの作動範囲を規制するストッパーの機能を有する構成になっている。筒状部82bの後端面は、図27に示した第9実施形態に捩じり継手80と同様に、平坦に形成されている。
その他の筆記具の構成や作用は第1実施形態や第6実施形態と同様である。
(第11実施形態)
次に、本発明の第11実施形態に係る筆記具について図29を参照して説明する。
図29は本発明の第11実施形態に係る筆記具の捩じり継手84の説明図である。
捩じり継手84は、先後の筒状部間に捩じれる部分が形成されている。
すなわち、捩じり継手84の後部では間隔を置いて複数(この実施形態では、4箇所)の比較的細い腕部84aがややスパイラル状に形成され、この腕部84aによって後端の筒状部84bが繋がったものである。腕部84aには、横断面に場所によって大小の部分があり横断面が小さい部分の強度が低いので曲がり易く、横断面の大小の設定で曲がり部分を調整でき、また曲がり形状でも曲がり具合を調整できる。
捩じり継手84の本体と筒状部84bとの間に、図28に示した第10実施形態の先方側向けの棒状突起が形成されていない。
筒状部82bの後端面は、図27に示した第9実施形態に捩じり継手80と同様に、平坦に形成されている。
その他の筆記具の構成や作用は第1実施形態や第6実施形態と同様である。
次に、第12実施形態に係る筆記具について、図30〜図32を参照して説明する。
図30は第12実施形態に係る筆記具の全体説明図であって、(a)、(b)がノック時(c)、(d)が非ノック時の説明図である。図31は該筆記具の捩じり継手の説明図、図32が捩じり継手に装着する回転駆動部の説明図である。
図30〜図32に示す第12実施形態に係る筆記具では、第1実施形態と同様部分に同様符号を付している。
この第12実施形態に係る筆記具では、図30〜図32に示すように捩じり継手86に別部材の回転駆動部88を設けたものである。
つまり、捩じり継手86は、図31に示すように、硬質樹脂材製の中空筒状の本体の先端が平坦に形成され、該本体の後端にゴム弾性材からなる回転駆動部88が設けられている。回転駆動部88は、図32に示すように、全体が外径よりも長さの短い概略管状であり、後端から櫛状に複数の柱部分が後方向きに突出形成されていて、各柱部分が径方向に対して斜めに傾いて形成された概略インペラー状の形状を呈している。この回転駆動部40は、別成形であって、成型した捩じり継手28の本体に嵌着や接着等で一体化したものである。
第12実施形態の筆記具によれば、非筆記時には、図30(c)、(d)に示すようにリフィル14が軸筒16内に収まっている。筆記部10が先端から外部に突出していない状態である。
そして、筆記をしようとするときには、ノック棒26へノック操作によって、図30(a)、(b)に示すように、リフィル14が軸筒16内で先方に移動して、筆記部10が先端から外部に突出した状態になる。
図30(a)、(b)に示すように、突出した筆記部10に筆圧を加えたときにリフィル14が後方に押圧されると、捩じり継手86が後退し回転駆動部88の後端が平坦な捩じり継手受け体30先端に当たり、該後端の柱状部分が周方向に倒れるように曲がることによって回転駆動部88に回転駆動力が発生する。その回転駆動部88に回転駆動力によって捩じり継手86を介してリフィル14が回転し筆記部10先端が滑らかな筆記感を得ることができる。
その他は第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
ここで、本発明の原理を説明する。
図33〜図35は、リフィル14がしなったり、回転したりすることによってスティックスリップが低減できる点を説明する図である。
スティックスリップに関して、「摩擦のおはなし」(1985年田中久一郎著、財団法人日本規格協会発行)において「第2章 9. スティックスリップ現象(図2.21参照)」に記載があるように、スプリングで支持した物体の滑り摩擦に関し、静摩擦が動摩擦より低い場合、スティックスリップが発生したときは、スティックスリップしないときに比較して摩擦が低減することが考えられる。
筆記具で考えると、図33の(a)に示すように、ボールペンチップからなる筆記部10先端では、リフィルがしなってペン先が軸の角度が自由に動くことにより、ボール10aと受け座10cとの間で荷重の掛かる点(荷重ポイントP)が移動し、ボール10aが止まらなくなる。インク膜が切れない、また、切れてもインクが荷重の荷重ポイントPに入り込み易くなり、結局、滑らかの筆記感が得られるものである。
スティックスリップ発生時の摩擦力を考える。図33の(b)に示すように、筆記荷重F、筆記荷重Fの垂直成分Fs、ボール受け座10cの受け座摩擦力Ft、紙面の掛かる紙面摩擦力Fpと間で、静止摩擦で、ボール受け座10cのインク潤滑が切れたときに、その受け座摩擦力Ftが上昇する。また、紙面に皮脂が付着したときには紙面摩擦力Fpが減少する。
受け座摩擦力Ft>紙面摩擦力Fpの条件でスティックスリップが発生する。
リフィルの軸方向のみに弾性体で進退動する単純なクッションペンについて考える。
図34に示すように、軸方向へのクッションでボール10aと受け座10cとの位置関係は変わらない。したがって、荷重の集中する点は変化しないため、回転が止まると静止荷重のみがかかりボール10aは動かなくなる。よって、スティックスリップによるスリップ低減効果は生じないと考えられる。
これに対して、発明者は、ボール10aと受け座10cとの間で荷重の係る点とを荷重の方向を変化させるのに、図33に示す様に、筆記部10を傾けるためにリフィル14をしならせて曲げる以外の手法で、同様にスティックスリップの効果を得られるようにできないかを考察した。
そこで、筆記中に摩擦を変化させるために、リフィルを回転させることを創案したものである。図35に示すように、リフィルの回転によって、荷重ポイントPが回転方向に変化し、スティックスリップ効果を得られると考えたものである。そして、回転運動させるのに、筆記荷重を捩じり運動に変換する構成を、筆圧のオンオフで回転させるのではなく、荷重の変化量と比例するようにリフィルを回転させる機構を創案したものである。
具体的には、上記の図4に示した第1実施形態の捩じり継手28、図19に示した第4実施形態の捩じり継手52、図24〜図32に示した第6実施形態〜第12実施形態に示した各捩じり継手を構成したものである。
これらの捩じり継手によって図35に示した周方向の荷重ポイントPの移動が軸周りに移動して、スティックスリップ効果が得られたものである。
図36にスティックスリップに低減効果の評価を示す。
詳しくは、図36は、従来品及び実施形態に係る各リフィルを用いた各ボールペンの筆記具によって、人口皮脂を塗布(塗布部分を符号Rの破線で示す)した紙面上で筆記した各軌跡の図とその拡大図を示すものである。図36の(a)は筆記部が動かない従来品A、(b)は第1〜第6実施形態品のリフィルが曲がり前記図33(a)のような動作をするもの、(c)は前記図34のようにリフィルが進退動する従来品B、(d)が第6、第9〜図12実施形態品、(e)が第1、第4、第6〜第8実施形態品の各筆記軌跡の説明図である。
従来品A、従来品Bでは、図36(a)、(c)に示すように、筆記軌跡が途切れているが、図36(b)、(d)、(e)に示す本発明の実施形態に係るものでは、筆記軌跡が途切れていない。したがって、本発明の構成によって、リフィルの筆記部にスティックスリップが発生せず途切れの無い美しい筆跡が得られることが明確に理解される。