JP6157204B2 - 芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、芳香族ヒドロキシカルボン酸を繰り返し単位とする芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法に関する。
近年、樹脂材料の高性能化が要求され、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に様々な充填材を配合した機能性材料が提案されている。これらの充填材の中でも、優れた耐熱性、電気特性を有する有機フィラーが注目されており、芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶が有機フィラーとして非常に有用であることが知られている。
これまで種々の芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法が提案されている。例えば、特許文献1には、芳香族ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシ基を酸エステルに変換したものを出発原料として重合して得られる高分子ウィスカーの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、出発原料として芳香族ヒドロキシカルボン酸と酸無水物を用い、芳香族ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシ基を高反応基に変換したうえで直接重合する芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法が開示されている。
これらの特許文献に記載の製造方法において、安定した形状のフィブリル状結晶を得るためには、出発原料である芳香族ヒドロキシカルボン酸の濃度や反応条件などを非常に狭い範囲で設定する必要があった。特に高速攪拌下では安定したフィブリル状結晶が得られないため、攪拌を停止するか、あるいは攪拌速度を20ppm以下として重合させる必要があり、製造効率が低下するとともに、安定したフィブリル状結晶を得ることが困難であった。
簡易な方法で安定した芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶が得られる製造方法が求められていた。
特開昭61-136516号公報 特開2007−254645号公報
本発明の目的は、簡易で反応条件の自由度が広く、安定した形状の芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶が得られる製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、個々の結晶が分離した形状であり、有機フィラーとしての物性に優れた芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶を提供することにある。
芳香族ヒドロキシカルボン酸を繰り返し単位とする芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法について鋭意検討した結果、芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させる際に種結晶を存在させることによって、安定した形状の芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶が得られことを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、酸無水物および種結晶の存在下、溶媒中で芳香族ヒドロキシカルボン酸を昇温しながら重合させる工程を含む芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法を提供する。
本発明はまた、アシル化された芳香族ヒドロキシカルボン酸を種結晶の存在下、昇温しながら溶媒中で重合させる工程を含む芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法を提供する。この態様はさらに芳香族ヒドロキシカルボン酸と酸無水物とを反応させて芳香族ヒドロキシカルボン酸の水酸基をアシル化する工程を含んでいてもよい。
本発明はさらに、上記の製造方法によって得られる結晶の長さ(L)と結晶の直径(D)との比(L/D)が10以上である芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶を提供する。
本発明の製造方法によれば、芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶を、安定かつ生産性よく製造できるため工業的に有利である。
また、本発明の製造方法によって得られた芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶は、高耐熱性および電気特性など優れた性質を有しており、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のフィラーとして好適に使用することができる。
実施例1で得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。 実施例2で得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。 実施例3で得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。 比較例1で得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。 比較例2で得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
本発明の第一の態様は、酸無水物および種結晶の存在下、溶媒中で芳香族ヒドロキシカルボン酸を昇温しながら重合させることによって、芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶を製造する方法を提供する。本態様においては、出発原料である芳香族ヒドロキシカルボン酸の水酸基を予めアシル化することなく、酸無水物および種結晶の存在下で直接重合して、芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶を製造する。
本発明の第二の態様は、芳香族ヒドロキシカルボン酸の水酸基がアシル化された化合物を出発物質として、該化合物を種結晶の存在下で重合させることによって芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶を製造する方法である。本態様の出発物質であるアシル化芳香族ヒドロキシカルボン酸は芳香族ヒドロキシカルボン酸と酸無水物とを反応させて芳香族ヒドロキシカルボン酸の水酸基をアシル化することによって得ることができる。芳香族ヒドロキシカルボン酸の水酸基をアシル化した後、重合することによって、より形状が安定したフィブリル状結晶を収率よく製造することができる。
本願明細書並びに特許請求の範囲において、「フィブリル状結晶」とは、単結晶に近い繊維状の結晶であって、その長さ(L)が1〜200μm、直径(D)が0.1〜5μm、L/Dが10以上のものを意味する。フィブリル状結晶は、それぞれ独立していても良く、微小な繊維が凝集したものであってもよい。
本発明の製造方法において用いられる芳香族ヒドロキシカルボン酸は、分子内に芳香環と、該芳香環に直接結合するフェノール性ヒドロキシ基とカルボキシ基とを併せ持つものである。具体的には、4−ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸が例示される。
これらの中でも、重合性が良好であり、かつ得られるフィブリル状結晶の物性に優れることから、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸が好ましく、特に4−ヒドロキシカルボン酸が好ましい。
本発明において、原料である芳香族ヒドロキシカルボン酸は単一のものを使用し、得られる芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶はホモポリマーであるのが好ましい。フィブリル状結晶の生成や物性に影響を与えない範囲において、他の芳香族ヒドロキシカルボン酸を併用して用いてもよい。また、芳香族ヒドロキシカルボン酸と共重合し得る芳香族ジオールや芳香族ジカルボン酸を共重合させても良い。
本発明の芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶へ共重合させてよい芳香族ジオールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニルエ−テルが挙げられる。
本発明の芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶へ共重合させてよい芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニルが挙げられる。
他の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオールおよび/または芳香族ジカルボン酸を共重合させる場合、共重合させるモノマーは主として含まれる芳香族ヒドロキシカルボン酸の10モル%以下であるのが好ましく、より好ましくは5モル%以下である。
本発明の第一の態様においては、芳香族ヒドロキシカルボン酸を酸無水物と種結晶の存在下に溶媒中で重合させる。本発明において使用される酸無水物としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水ヘキサン酸、安息香酸無水物、フタル酸無水物が挙げられる。入手が容易で取り扱い性に優れることから、無水酢酸が好ましい。
酸無水物の配合量は、芳香族ヒドロキシカルボン酸1モルに対して、1.0〜1.5モルであるのが好ましく1.05〜1.1モルであるのがより好ましい。主たる芳香族ヒドロキシカルボン酸に加えて他の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオールおよび/または芳香族ジカルボン酸を共重合させる場合、全モノマーに含まれるヒドロキシ基1モルに対して1.0〜1.5モル、より好ましくは1.05〜1.1モルの酸無水物を配合すればよい。
本発明の第二の態様においては、モノマーとして芳香族ヒドロキシカルボン酸の水酸基がアシル化された化合物を用い、かかる化合物を種結晶の存在下、溶媒中で重合させる。アシル化芳香族ヒドロキシカルボン酸を出発物質としても、あるいは芳香族ヒドロキシカルボン酸と酸無水物を反応させて芳香族ヒドロキシカルボン酸の水酸基をアシル化させ、次いでこれを重合に供してもよい。後者の場合、酸無水物としては、本発明の第一の態様において用いられる酸無水物を用いればよい。
本発明の第一および第二の方法において使用される溶媒は、重合の進行によって生成する芳香族ポリエステルが不溶ないし難溶であれば特に限定されない。後述する反応温度である、温度260〜330℃における芳香族ポリエステルの溶解度が0.1重量%以下であるのが好ましい。溶媒に対する芳香族ポリエステルの溶解度が0.1重量%を上回ると、得られる芳香族ポリエステルの結晶性が低下する傾向がある。
また、溶媒は反応温度において液状で流動性を有する必要があることから、常圧下での沸点が200℃以上であるのが好ましい。沸点が反応温度より低い場合は、加圧下で重合させることによって液状を保持してもよい。
このような溶媒の具体的としては、ジイソプロピルナフタレン、ジエチルナフタレン、エチル−イソプロピルナフタレン、シクロヘキシルビフェニル、ジエチルビフェニル、トリエチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、水素化トリフェニル、ジフェニルスルホン、ベンゾフェノン、ジフェニルエーテルなどの芳香族化合物、常圧下における沸点が200℃以上のパラフィン系炭化水素などの脂肪族化合物が例示できる。
これらの中でも、ジイソプロピルビフェニル、トリエチルビフェニル、水素化トリフェニルが好ましい。
溶媒は、芳香族ヒドロキシカルボン酸1重量部に対して15〜1000重量部、好ましくは15〜200重量部、より好ましくは18〜70重量部となるように使用するのがよい。主たる芳香族ヒドロキシカルボン酸に加えて他の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオールおよび/または芳香族ジカルボン酸を共重合させる場合は、全モノマー1重量部に対して上記の比率となる量の溶媒を使用すればよい。溶媒の量が15重量部未満であると、結晶が凝集し安定した形状のフィブリル状結晶が得られなくなり、1000重量部を上回ると、得られるフィブリル状結晶の収量が低下する傾向がある。
本発明において、重合時に反応系に存在させる種結晶としては、本発明の製造方法の目的生成物である芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶を用いるのが好ましい。種結晶として用いる芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶は、本発明の製造方法によって得られたものであっても、特許文献1や特許文献2に記載の従来から知られている方法によって製造されたものであっても良い。種結晶のサイズは特に制限はないが、例えば長さが1μm〜200μmのものが使用できる。
得られる芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の用途によっては、目的生成物である芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶とは異なる有機系または無機系の材料を種結晶として用いても良い。有機系の材料としては、上述した芳香族ヒドロキシカルボン酸のうち、目的生成物以外の芳香族ヒドロキシカルボン酸のフィブリル状結晶を使用することができる。
無機系の材料としては、シリカ、炭酸カルシウム、合成ケイ酸塩、亜鉛華、ハロサイトクレー、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、石英粉、ケイ藻土、ドロマイト扮、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、カーボンブラックなどを使用することができる。好適な種結晶としては針状または板状の粒子で長さが0.1μm〜200μmのものが例示される。
種結晶は、芳香族ヒドロキシカルボン酸100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7.5重量部となるように配合するのがよい。主たる芳香族ヒドロキシカルボン酸の他に他の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオールおよび/または芳香族ジカルボン酸を共重合させる場合には、全モノマーの100重量部に対して上記の比率となる量の種結晶を配合すればよい。
種結晶の配合量が0.1重量部未満であると、高速攪拌を行うことができず、製造効率が低下する。また、10重量部を上回ると、結晶が凝集しやすくなり均一な形状のフィブリル状結晶が得られなくなる傾向がある。
芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合する際の温度は、200〜400℃、好ましくは225〜375℃、より好ましくは250〜350℃である。
重合時の温度が200℃未満の場合、芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶が得られ難くなり重合度も不十分となる。重合時の温度が400℃を上回ると、反応が頭打ちとなってエネルギーの損失になるとともに、反応容器が腐食するなどの問題も生じる。
本発明の製造方法においては、重合工程を20〜200rpm、好ましくは22〜150rpm、より好ましくは25〜100rpmの速度で攪拌しながら行うのがよい。
従来、重合温度への昇温過程において芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の生成のためには、攪拌しない、あるいは20rpmまでの低速で攪拌することが必要とされていた。一方、反応系の温度および濃度を均一に保持するためには、より高速で攪拌することが好ましい。
本発明においては、種結晶の存在下で重合工程を行うことによって、高速で攪拌してもフィブリル状結晶を安定して生成することができるようになった。本発明はこのため、生産性に優れた芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法を提供し得る。
重合時間は、得られる芳香族ポリエステルの重合度が十分となる範囲において任意に設定できる。単位時間あたりの生産性に有利であることから、1〜20時間であるのが好ましく、2〜10時間であるのがより好ましい。
このようにして得られた芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶は、繊維状の結晶が個々に分離した形状であり、結晶の長さ(L)と結晶の直径(D)との比(L/D)が10以上、好ましくは10〜50である。また本発明の芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶は、比表面積が0.05〜0.30m/cm、好ましくは0.08〜0.25m/cm、より好ましくは0.10〜0.20m/cmであるのがよい。比表面積が0.05m/cm未満であると結晶の凝集が顕著であることを示し、0.30m/cmを上回ると粉体の操作性が悪くなり、好ましくない。
本発明の製造方法によって得られた芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶は、耐熱性、電気特性および補強効果に優れ、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の有機フィラーとして好適に使用できる。
本発明の製造方法によって得られた芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶がフィラーとして添加される好ましい樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、およびその変性物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に示すが、これらの例によって本発明が限定されるものではない。尚、各物性は以下のようにして測定した。
比表面積の測定
日機装株式会社製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(MT3000)を用いて、循環分散媒をメタノールとした湿式法で測定した。
結晶の長さ(L)及び直径(D)の測定
電界放射形走査電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−4300)を用いて倍率1000倍で撮影した写真により測定した。
5%減量開始温度の測定
熱分析示差熱熱重量同時測定装置(株式会社島津製作所製 DTG−60)を用いて、窒素気流下、昇温速度5℃/分の条件で、TG(Thermogravimetry:熱重量分析)測定を行い、5%質量減少が起こった温度(サンプルの質量が5質量%減少した温度)を測定した。
吸熱ピークの測定
示差走査熱量計として株式会社島津製作所製 DTG−60を用い、室温から5℃/分の昇温条件で測定した。
参考例1(種結晶の製造)
窒素ガス導入管、温度計、攪拌機及び留出管を備えた2Lセパラブルフラスコに、ジイソプロピルビフェニル(B−DB、沸点330℃、松村石油(株))1500g及び4−アセトキシ安息香酸37.5gを仕込み、窒素雰囲気下、攪拌速度20rpmで攪拌しながら、5℃/分の昇温速度で室温から内温305℃まで昇温した。その後、攪拌を停止しさらに320℃まで昇温し、同温度で6時間保持した後、60℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾別した後、アセトンで洗浄し、乾燥して芳香族ポリエステル結晶を得た。
実施例1
窒素ガス導入管、温度計、攪拌機及び留出管を備えた2Lセパラブルフラスコに、ジイソプロピルビフェニル1500g、4−ヒドロキシ安息香酸57.5g、無水酢酸44.6g及び参考例1で製造した芳香族ポリエステル結晶(種結晶)0.2gを仕込み、窒素雰囲気下、攪拌速度100rpmで攪拌しながら、5℃/分の昇温速度で昇温し、内温305℃に達した時点で攪拌速度を40rpmとした。
その後、さらに320℃まで昇温し、攪拌速度を60rpmに変更して、同温度で6時間保持した後、60℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾別した後、アセトンで洗浄し、乾燥して芳香族ポリエステル結晶を得た。得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真を図1に示す。電子顕微鏡写真より、長さ約10〜20μm、直径径約1μmの繊維状の結晶が緩やかに凝集したフィブリル状結晶であることが確認された。
この芳香族ポリエステル結晶の比表面積は0.16m/cmであった。また、5%減量開始温度は501℃であり、330℃に吸熱ピークが観察された。
実施例2
窒素ガス導入管、温度計、攪拌機及び還流管を備えた2Lセパラブルフラスコに、4−ヒドロキシ安息香酸500g、酢酸394g、及び無水酢酸389gを仕込み、窒素雰囲気下、攪拌速度150rpmで攪拌しながら、5℃/分の昇温速度で室温から内温140℃まで昇温し、同温度で1時間保持した後、15℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾別し、水で洗浄した後、乾燥して4−アセトキシ安息香酸を得た。
同様の2Lセパラブルフラスコに、得られた4−アセトキシ安息香酸75.0g、参考例1で製造した液晶ポリエステル結晶(種結晶)0.2g、及びジイソプロピルビフェニル1500gを仕込み、窒素雰囲気下、攪拌速度100rpmで攪拌しながら、5℃/分の昇温速度で昇温し、内温305℃に達した時点で攪拌速度を40rpmとした。
その後、さらに320℃まで昇温し、同温度で6時間保持した後、60℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾別した後、アセトンで洗浄し、乾燥して芳香族ポリエステル結晶を得た。得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真を図2に示す。電子顕微鏡写真より、長さ約10〜20μm、直径約1μmの繊維状の結晶が個々に分離したフィブリル状結晶であることが確認された。
この芳香族ポリエステルの比表面積は0.18m/cmであった。また、5%減量開始温度は502℃であり、332℃に吸熱ピークが観察された。
実施例3
内温305℃に達した時点での攪拌速度を20rpmとし、320℃に昇温した際の攪拌速度を100rpmに変更した以外は実施例2と同様にして、芳香族ポリエステル結晶を得た。得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真を図3に示す。電子顕微鏡写真より、長さ約10〜20μm、直径約1μmの繊維状の結晶が緩やかに凝集したフィブリル状結晶であることが確認された。
この芳香族ポリエステルの比表面積は0.16m/cmであった。また、5%減量開始温度は504℃であり、333℃に吸熱ピークが観察された。
比較例1
参考例1で製造した芳香族ポリエステル結晶(種結晶)を加えない以外は、実施例2と同様にして芳香族ポリエステル結晶を得た。得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真を図4に示す。電子顕微鏡写真より、長さ約5μm、直径約2μmの結晶の凝集体であることが確認された。
この芳香族ポリエステル結晶の比表面積は0.35m/cmであった。また、5%減量開始温度は504℃であり、333℃に吸熱ピークが観察された。
比較例2
参考例1で製造した芳香族ポリエステル結晶(種結晶)を加えない以外は、実施例3と同様にして芳香族ポリエステル結晶を得た。得られた芳香族ポリエステル結晶の電子顕微鏡写真を図5に示す。電子顕微鏡写真より、結晶が融着した凝集体であることが確認された。
この芳香族ポリエステル結晶の比表面積は0.04m/cmであった。また、5%減量開始温度は501℃であり、334℃に吸熱ピークが観察された。

本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕 酸無水物および種結晶の存在下、溶媒中で芳香族ヒドロキシカルボン酸を昇温しながら重合させる工程を含む芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法。
〔2〕 水酸基がアシル化された芳香族ヒドロキシカルボン酸を種結晶の存在下、昇温しながら溶媒中で重合させる工程を含む芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法。
〔3〕 (1)芳香族ヒドロキシカルボン酸と酸無水物とを反応させて芳香族ヒドロキシカルボン酸の水酸基をアシル化する工程、および
(2)水酸基がアシル化された芳香族ヒドロキシカルボン酸を種結晶の存在下、昇温しながら溶媒中で重合させる工程を含む、〔2〕記載の方法。
〔4〕 重合工程を、20〜200rpmの速度で攪拌しながら行う〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕 種結晶が芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕 酸無水物が無水酢酸である〔1〕、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕 溶媒が、ジイソプロピルビフェニル、トリエチルビフェニルおよび水素化トリフェニルからなる群から選択される少なくとも1種である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕 芳香族ヒドロキシカルボン酸が4−ヒドロキシ安息香酸である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
〔9〕 〔1〕〜〔8〕のいずれかの製造方法によって得られた芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶であって、結晶の長さ(L)と結晶の直径(D)との比(L/D)が10以上である芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶。
〔10〕比表面積が0.05〜0.30m /cm である請求項9記載の芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶。

Claims (8)

  1. 酸無水物および種結晶の存在下、溶媒中で芳香族ヒドロキシカルボン酸を昇温しながら重合させる工程を含む芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法であって、該フィブリル状結晶は結晶の長さ(L)が10〜20μmであって結晶の長さ(L)と結晶の直径(D)との比(L/D)が10以上であり、種結晶は芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶であり、該重合工程を20〜200rpmの速度で攪拌しながら行う、方法
  2. 水酸基がアシル化された芳香族ヒドロキシカルボン酸を種結晶の存在下、昇温しながら溶媒中で重合させる工程を含む芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶の製造方法であって、該フィブリル状結晶は結晶の長さ(L)が10〜20μmであって結晶の長さ(L)と結晶の直径(D)との比(L/D)が10以上であり、種結晶は芳香族ポリエステルのフィブリル状結晶であり、該重合工程を20〜200rpmの速度で攪拌しながら行う、方法
  3. (1)芳香族ヒドロキシカルボン酸と酸無水物とを反応させて芳香族ヒドロキシカルボン酸の水酸基をアシル化する工程、および
    (2)水酸基がアシル化された芳香族ヒドロキシカルボン酸を種結晶の存在下、昇温しながら溶媒中で重合させる工程を含む、請求項2記載の方法。
  4. 酸無水物が無水酢酸である請求項1または3に記載の方法。
  5. 溶媒が、ジイソプロピルビフェニル、トリエチルビフェニルおよび水素化トリフェニルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  6. 溶媒が、ジイソプロピルビフェニルである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  7. 芳香族ヒドロキシカルボン酸が4−ヒドロキシ安息香酸である請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  8. フィブリル状結晶は比表面積が0.05〜0.30m/cmである請求項1〜7のいずれかに記載の方法
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