JP2016113511A - 液晶ポリマーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶ポリマーの製造時に芳香族ジオールの昇華が抑制された、原料損失の少ない液晶ポリマーの製造方法を提供すること。【解決手段】芳香族ジオールを芳香族ヒドロキシカルボン酸とエステル化することにより得られる式(1)で示される化合物およびその反応性誘導体からなる群から選択される重合性単量体(A)を、他の重合性単量体(B)と共重合させる。【選択図】なし

Description

本発明は原料損失の少ない液晶ポリマーの製造方法に関する。
サーモトロピック液晶ポリマー(以下液晶ポリマーまたはLCPと略称する)は、耐熱性、剛性等の機械物性、耐薬品性、寸法精度等に優れているため、成形品用途のみならず、繊維やフィルムといった各種用途にその使用が拡大しつつある。
液晶ポリマーは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸などから選択される単量体を、目的とする液晶ポリマーの物性に合わせて適宜組み合わせて用い、これらを重縮合して得られるものである。
液晶ポリマーの製造方法としては、熱交換流体を存在させずに反応させる溶融アシドリシス法が知られており、この溶融アシドリシス法では、単量体を加熱して反応物質の溶融液を形成し、続いて重合反応を行うことによって溶融ポリマーが得られる。
この際、単量体の混合物を無水酢酸で予めアシル化した後、重合反応に供する方法が一般的に行われている。アシル化された単量体の混合物は溶融状態で、酢酸を留去しながら重合反応を行うが、原料に用いられる芳香族ジオールのアシル化物である芳香族ジオールのジアセテートが非常に昇華しやすいため、反応槽から酢酸と共に留去されやすい。
このため、従来は原料中の芳香族ジオールを必要量よりも多くすることにより、液晶ポリマー中の官能基のバランスを整えていた。しかしこの方法では原料の量が増加するうえ、昇華物が反応槽に付着するといった問題が生じていた。
また、特許文献1には、酢酸を留去する工程において、酢酸留出率90%以上で減圧を開始することによりハイドロキノンの昇華を抑制する方法が開示されているが、酢酸を留出する工程において時間を要してしまい生産性を低下させるという問題があった。
そのため、芳香族ジオールの損失が低減された液晶ポリマーの製造方法が望まれている。
特開2012−149241号公報
本発明の目的は、原料損失の少ない液晶ポリマーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、液晶ポリマーの重合時において、芳香族ジオールの昇華を抑制する方法について鋭意検討した結果、芳香族ジオールを、あらかじめ芳香族ヒドロキシカルボン酸とエステル化することで、液晶ポリマーの重合時における昇華が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の液晶ポリマーの製造方法は、耐昇華性に優れたモノマーを用いるため、昇華による原料のロスを低減することが可能となり、昇華物の付着により反応槽が汚れることがないため、生産の安定性を高めることができる。
本発明の方法により製造される液晶ポリマーは、異方性溶融相を形成するポリエステルまたはポリエステルアミドであり、当該技術分野においてサーモトロピック液晶ポリエステルまたはサーモトロピック液晶ポリエステルアミドと呼ばれるものであれば特に限定されない。
異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施することができる。本発明の液晶ポリマーは光学的に異方性を示すもの、即ち、直交偏光子の間で検査したときに光を透過させるものである。試料が光学的に異方性であると、たとえ静止状態であっても偏光は透過する。
本発明の方法において用いる重合性単量体(A)は、式(1):
Figure 2016113511
で表される化合物およびその反応性誘導体からなる群から選択される。上記式(1)で表される化合物としては、具体的には4−ヒドロキシ安息香酸4−ヒドロキシフェニルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸6−ヒドロキシナフチル−2−イルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸4’−ヒドロキシビフェニル−4−イルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸4−ヒドロキシフェニルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸6−ヒドロキシナフチル−2−イルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸4’−ヒドロキシビフェニル−4−イルエステルが挙げられ、液晶ポリマーの耐熱性および機械強度ならびに融点を調節し易いという点や重合時の反応性に優れる点から4−ヒドロキシ安息香酸4−ヒドロキシフェニルエステルおよび6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸4−ヒドロキシフェニルエステルが好ましい。
式(1)で表される化合物は、芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを当業者に知られた方法を用いてエステル化することにより製造したものであればよく、その製造方法としては、例えば特開2012−201603号公報に記載される方法が挙げられる。具体的には、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジオールとを、溶媒中、硫酸およびりん酸の存在下での加熱還流により反応させ、その後、炭酸水素ナトリウムを加え、析出した固体を精製することにより式(1)で表される化合物を得ることができる。
本明細書において、重合性単量体の「反応性誘導体」とは、目的とする構成単位を導入できる反応性を有する単量体の誘導体を言うものとする。本発明において用い得る好適な式(1)で表される化合物の反応性誘導体としては、式(1)で表される化合物のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、アシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体ならびにこれら置換体のアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が例示される。置換基としてのアルキル基または、アルコキシ基としては、炭素数6までのものが好適に用いられる。式(1)で表される化合物およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)として、1種のみの化合物を用いてもよく、2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、「芳香族」とは縮合環数が4までの芳香族基を含む化合物を意味するものとする。また、「脂肪族」とは、炭素原子数2〜12の、分岐を有していても良い飽和または不飽和炭素鎖を含む化合物を示すものとする。
本発明の方法において用いる、式(1)で表される化合物およびその反応性誘導体からなる群から選択される重合性単量体(A)の合計量は、目的とする液晶ポリマーの特性に応じて適宜調整できるが、他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して、50モル部以下であることが好ましく、45モル部以下がより好ましく、10〜40モル部がさらに好ましい。重合性単量体(A)の合計量が他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して50モル部を超えると、液晶ポリマーの重合性が低下する傾向がある。
本発明では、用いる芳香族ジオールは全て、予め芳香族ヒドロキシカルボン酸とエステル化することにより式(1)で表される化合物として用いることができる。また、用いる芳香族ジオールの一部を予め芳香族ヒドロキシカルボン酸とエステル化することにより式(1)で表される化合物とし、および残りの芳香族ジオールはそのまま、他の重合性単量体(B)として用いることもできる。本発明では、用いる芳香族ジオールの50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは全てを予め芳香族ヒドロキシカルボン酸とエステル化することにより式(1)で表される化合物として用いることが好ましい。
本発明の方法において用いる他の重合性単量体(B)としては、従来の液晶ポリマーに用いられる単量体、例えば芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−5−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−7−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、4−ヒドロキシ安息香酸または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を単独で、あるいは両者を組み合わせて用いることが得られる液晶ポリマーの耐熱性および機械強度ならびに融点を調節し易いという点でより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、3,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’’−ジカルボキシターフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−カルボキシフェノキシ)ブタン、ビス(4−カルボンキシフェニル)エタン、ビス(3−カルボキシフェニル)エーテルおよびビス(3−カルボキシフェニル)エタン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が好適に用いられ、特に得られる液晶ポリマーの耐熱性を効果的に高められる点で、テレフタル酸が好ましい。
芳香族ジオールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェノールエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび2,2’−ジヒドロキシビナフチル、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレンが好適に用いられ、特に重合時の反応性に優れる点において、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニルまたは2,6−ジヒドロキシナフタレンが好ましい。なお、本発明における芳香族ジオールには、上記式(1)で示される化合物は包含されないものとする。
芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミンの具体例としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルエーテル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルメタン、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルスルフィドおよび2,2’−ジアミノビナフチル、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、4−アミノフェノールが得られる液晶ポリマーの耐熱性および機械強度のバランスをとりやすいことから好ましく用いられる。
芳香族ジアミンの具体例としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物などのアミド形成性誘導体が挙げられる。
脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ならびにそれらのアシル化物が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの脂肪族ジオールを含有するポリマーを、前記の芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などと反応させてもよい。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が重合時の反応性に優れることから好ましく用いられる。
本発明の方法により製造される液晶ポリマーは、本発明の目的を損なわない範囲で、チオエステル結合を含むものであってもよい。このような結合を与える単量体としては、メルカプト芳香族カルボン酸、および芳香族ジチオールおよびヒドロキシ芳香族チオールなどが挙げられる。これらの単量体の使用量は、他の重合性単量体(B)の合計量に対して10モル部以下であるのが好ましい。
他の重合性単量体(B)として、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される2種以上の化合物を併用することは、本発明の好ましい態様の一つである。これら重合性単量体のうち、芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む組合せがより好適に用いられ、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを含む組合せがさらに好適に用いられる。
本発明の液晶ポリマーの製造方法は、式(1)で表される化合物およびその反応性誘導体からなる群より選択される重合性単量体(A)ならびに他の重合性単量体(B)を、エステル結合またはアミド結合を形成させる公知の縮重合方法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などに供する。
溶融アシドリシス法は、本発明の液晶ポリマーを製造するのに好ましい方法である。この方法は、最初に重合性単量体を加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、次いで縮重合反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリマーを製造する際に使用される重合性単量体(A)ならびに他の重合性単量体(B)は、いずれも、常温において、ヒドロキシル基および/またはアミノ基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。
低級アシル基は炭素原子数2〜5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記重合性単量体のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
重合性単量体の低級アシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリマーの製造時に重合性単量体に無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれの場合においても、重合反応は、温度150〜400℃、好ましくは250〜370℃で、常圧および/または減圧下で行うのがよく、必要に応じて触媒を用いてもよい。
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタン、三酸化アンチモン、アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);ルイス酸(たとえば三フッ化硼素)、ハロゲン化水素(たとえば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
触媒を使用する場合、該触媒の量は他の重合性単量体(B)全量に対し、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは2〜100ppmである。
また、本発明の液晶ポリマーの溶融粘度は、キャピラリーレオメーターを用いて温度320℃、せん断速度1000s−1の条件で測定した場合、好ましくは1〜1000Pa・s、より好ましくは5〜300Pa・sである。
このようにして重縮合反応されて得られた本発明の液晶ポリマーは、通常、溶融状態で重合反応槽より抜き出された後に、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工される。
ペレット状、フレーク状、または粉末状の液晶ポリマーは、分子量を高め耐熱性を向上させる目的などで、減圧下、真空下、または窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下において、実質的に固相状態で熱処理を行ってもよい。
固相状態において行う熱処理の温度は、液晶ポリマーが溶融しない限り特に限定されないが、260〜350℃、好ましくは280〜320℃で行うのがよい。
上記のようにして得られた、本発明の液晶ポリマーには、無機または有機充填材、以下に説明する他の添加剤、および他の樹脂成分から選択される一種以上を配合して、液晶ポリマー組成物としてもよい。
本発明の方法により製造される液晶ポリマーに配合してもよい無機または有機充填材は、繊維状、板状または粒状のものであってよく、たとえばガラス繊維、ミルドガラス、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウイスカ、ホウ酸アルミニウムウイスカ、ウォラストナイト、タルク、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、および酸化チタンが挙げられる。これらの中では、ガラス繊維が物性とコストのバランスが優れている点で好ましい。これら充填材は、2種以上を併用してもよい。
液晶ポリマー組成物における、無機または有機充填材の合計量は、液晶ポリマー100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部である。前記の無機充填材の合計量が液晶ポリマー100重量部に対して200重量部を超える場合には、液晶ポリマー組成物の成形加工性が低下する傾向や、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。
本発明の方法により製造される液晶ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤、例えば高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩(ここで高級脂肪酸とは、炭素原子数10〜25のものをいう)、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などを配合してもよい。これらの添加剤は1種のみを配合してもよく、または2種以上を組み合わせて配合してもよい。
液晶ポリマー組成物における他の添加剤の合計量は、液晶ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。他の添加剤の合計量が液晶ポリマー100重量部に対して10重量部を超える場合には、液晶ポリマー組成物の成形加工性が低下する傾向や、熱安定性が悪くなる傾向がある。
また、本発明の方法により製造される液晶ポリマーもしくは液晶ポリマー組成物を成形するに際し、上記他の添加剤のうち高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有する添加剤を、予め、液晶ポリマーのペレット表面に付着せしめてもよい。
本発明の方法により製造される液晶ポリマーには、その他の樹脂成分を添加してもよい。その他の樹脂成分としては、たとえばポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、およびその変性物、ならびにポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。他の樹脂成分は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。他の樹脂成分の配合量は特に限定的ではなく、液晶ポリマーの用途や目的に応じて適宜定めればよい。一つの典型的な例において、他の樹脂成分の合計量は、液晶ポリマー100重量部に対して0.1〜100重量部、特に0.1〜80重量部である。
液晶ポリマー組成物は、無機または有機充填剤、他の充填材および他の樹脂成分等を液晶ポリマー中に添加し、これをバンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリマーの結晶融解温度近傍から結晶融解温度プラス100℃までの温度範囲で溶融混練して得ることができる。
本発明の方法により製造される液晶ポリマーまたは液晶ポリマー組成物は、通常、射出成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形など公知の溶融加工方法によって成形品、フィルム、繊維などに加工される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例における特性値は以下の方法によって測定した。
〈溶融粘度〉
溶融粘度測定装置(東洋精機(株)製キャピログラフ1D)により、0.7mmφ×10mmのキャピラリーを用いて、溶融粘度を測定した。
〈結晶融解温度〉
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製Exstar6000)を用いて、試料を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)を測定した後、Tm1より20〜50℃高い温度で10分間保持した。次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、さらに再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を結晶融解温度(Tm)とした。
実施例1
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下に40℃〜170℃の間を1時間かけて昇温し、170℃で30分保った後、350℃まで7時間かけて昇温し、さらに350℃で10分反応させた後、350℃で減圧を行った。次いで1.5時間かけて10torrまで減圧し、所定の撹拌トルクに達成した時点で重縮合を完結させた。反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により樹脂のペレットを得た。重合時の留出酢酸量はほぼ理論どおりであった。また反応容器上部に付着した昇華物を回収し重量を測定し、昇華率を算出した。結果を得られた樹脂の溶融粘度および融点とともに表1に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:27モル部
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:20モル部
4−ヒドロキシ安息香酸4−ヒドロキシフェニルエステル(ハイドロキノンと4−ヒドロキシ安息香酸とのエステル化により得られたもの):27モル部
テレフタル酸:27モル部
無水酢酸:103モル部
実施例2
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例1と同様の手順で重縮合を行い、昇華物を回収し重量を測定し、昇華率を算出した。結果を得られた樹脂の溶融粘度および融点とともに表1に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:47モル部
4−ヒドロキシ安息香酸4−ヒドロキシフェニルエステル(ハイドロキノンと4−ヒドロキシ安息香酸とのエステル化により得られたもの):6モル部
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸4−ヒドロキシフェニルエステル(ハイドロキノンと6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸とのエステル化により得られたもの):20モル部
テレフタル酸:27モル部
無水酢酸:103モル部
比較例1
下記化合物を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、実施例1と同様の手順で重縮合を行い、昇華物を回収し重量を測定し、昇華率を算出した。結果を得られた樹脂の溶融粘度および融点とともに表1に示した。
4−ヒドロキシ安息香酸:42モル部
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:16モル部
ハイドロキノン:21モル部
テレフタル酸:21モル部
無水酢酸:103モル部
Figure 2016113511
表1に示される通り、芳香族ジオールであるハイドロキノンをエステル化して用いた実施例1及び2では、ハイドロキノンをエステル化せずに用いた比較例1と比べ、昇華物の生成を低減させながら液晶ポリマーを製造することができた。したがって、本発明による製造方法は、液晶ポリマーの製造に用いる原料の損失が低減されたものであることが理解される。

Claims (6)

  1. 式(1)で表される化合物およびその反応性誘導体からなる群から選択される重合性単量体(A)を、他の重合性単量体(B)と共重合させる工程を含む、液晶ポリマーの製造方法。
    Figure 2016113511
    [式中、ArとArは同一であっても異なっていてもよく、Arはベンゼン環またはナフタレン環であり、Arはベンゼン環、ナフタレン環およびビフェニル環からなる群から選択される]
  2. 式(1)で表される化合物が、4−ヒドロキシ安息香酸4−ヒドロキシフェニルエステルおよび/または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸4−ヒドロキシフェニルエステルである、請求項1に記載の液晶ポリマーの製造方法。
  3. 重合性単量体(A)が他の重合性単量体(B)の合計量100モル部に対して50モル部以下である、請求項1または2に記載の液晶ポリマーの製造方法。
  4. 他の重合性単量体(B)が、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族カルボン酸からなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマーの製造方法。
  5. 他の重合性単量体(B)が芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリマーの製造方法。
  6. 芳香族ヒドロキシカルボン酸が、4−ヒドロキシ安息香酸および/または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸である、請求項4または5に記載の液晶ポリマーの製造方法。
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