しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池は、箱状の断熱本体に燃料電池モジュールを嵌め込む構造であるため、燃料電池モジュールと断熱本体との間に隙間が生じ、所望の断熱効果を得られないことがある。
本発明は上述の課題に鑑み、所望の断熱効果を享受することができる燃料電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る燃料電池は、例えば図1に示すように、水素を含有する燃料ガスと酸素を含有する酸化剤ガスとを導入して発電するセルスタック11と;少なくともセルスタック11を収容する収容容器20であって、底面28と、底面28に対向する天面29と、底面28と天面29との間で外周を構成する側面21とを有する収容容器20と;側面21の全体を覆うように設けられた側面断熱材31と;側面断熱材31の厚さが所定の厚さを維持する態様で側面断熱材31を側面21に対して押さえる側面板状部材41と;側面板状部材41に対して外周の方向の互いに引き合う力を与える側面締付機構51とを備える。
このように構成すると、側面締付機構によって側面板状部材に外周の方向の互いに引き合う力が付与されるため、側面断熱材が側面板状部材に締め付けられて収容容器に密着し、所望の断熱効果を享受することができる。
また、本発明の第2の態様に係る燃料電池は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る燃料電池1において、底面28の全体を覆うように設けられた底面断熱材38と;天面29の全体を覆うように設けられた天面断熱材39と;底面断熱材38の厚さが所定の厚さを維持する態様で底面断熱材38を底面28との間に挟む底面板状部材48と;天面断熱材39の厚さが所定の厚さを維持する態様で天面断熱材39を天面29に対して押さえる天面板状部材49と;底面板状部材48と天面板状部材49とを接近させる底天締付機構59とを備える。
このように構成すると、底天締付機構によって、底面断熱材が底面側に、天面断熱材が天面側に、それぞれ押し付けられるので、底面断熱材及び天面断熱材が収容容器に密着し、所望の断熱効果を享受することができる。
また、本発明の第3の態様に係る燃料電池は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る燃料電池1において、収容容器20が直方体に形成され;側面板状部材41が、天面29及び底面28に直交する収容容器20の4つの辺に対応する側面断熱材31の4つの辺を覆うように構成されている。
このように構成すると、直方体の収容容器の側面全体を覆っている側面断熱材の隣り合う面の境界となる4つの辺を側面板状部材で覆うことができ、当該4つの辺を保護することができる。
また、本発明の第4の態様に係る燃料電池は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池1において、側面板状部材41が、底面28側から天面29側にわたって連続した隙間41gが形成されることで、外周の方向における側面板状部材41の合計距離が、外周の方向における側面断熱材31の長さよりも短く形成され;隙間41gの両側の側面板状部材42、44の端辺のそれぞれに、側面締付機構51と係合する連結部42p、44pが形成されている。
このように構成すると、連結部同士を引き寄せることで側面板状部材が側面断熱材に押し付けられることとなり、側面断熱材を収容容器に密着させることができる。
また、本発明の第5の態様に係る燃料電池は、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第4の態様に係る燃料電池1において、連結部42p、44pが、側面断熱材31とは反対側に突き出た突起で形成され;側面締付機構51が、隙間の両側の突起42p、44p同士を接近させる結束部材で構成されている。
このように構成すると、簡便に連結部同士を引き寄せることができる。
また、本発明の第6の態様に係る燃料電池は、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第5の態様に係る燃料電池において、結束部材51が結束バンドで構成されている。
このように構成すると、結束バンドの締め付け具合を調節することで、連結部同士を引き寄せる力の調整を簡便に行うことができる。
また、本発明の第7の態様に係る燃料電池は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る燃料電池1において、側面板状部材41に、側面断熱材31の一部を露出させる孔部42h、44hが形成されている。
このように構成すると、側面板状部材の内側に溜まり得る結露水又は結露し得る水分を外部に放散することができる。また、側面板状部材が鉄等の輻射率が大きい材料で形成されている場合は、輻射面積を小さくすることができ、放熱量を抑制することができる。
上記目的を達成するために、本発明の第8の態様に係る燃料電池は、例えば図1に示すように、水素を含有する燃料ガスと酸素を含有する酸化剤ガスとを導入して発電するセルスタック11と;少なくともセルスタック11を収容する収容容器20であって、底面28と、底面28に対向する天面29と、底面28と天面29との間で外周を構成する側面21とを有する収容容器20と;底面28の全体を覆うように設けられた底面断熱材38と;天面29の全体を覆うように設けられた天面断熱材39と;底面断熱材38の厚さが所定の厚さを維持する態様で底面断熱材38を底面28との間に挟む底面板状部材48と;天面断熱材39の厚さが所定の厚さを維持する態様で天面断熱材39を天面29に対して押さえる天面板状部材49と;底面板状部材48と天面板状部材49とを接近させる底天締付機構59とを備える。
このように構成すると、底天締付機構によって、底面断熱材が底面側に、天面断熱材が天面側に、それぞれ押し付けられるので、底面断熱材及び天面断熱材が収容容器に密着し、所望の断熱効果を享受することができる。
本発明によれば、断熱材が板状部材に締め付けられて収容容器に密着し、所望の断熱効果を享受することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池1を説明する。図1は、燃料電池1を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は完成斜視図である。燃料電池1は、燃料電池セルが積層されたセルスタック11と、炭化水素系の原料を改質して燃料ガスを生成する改質器12と、セルスタック11及び改質器12等を収容する収容容器としてのケース20と、ケース20の周囲を覆う断熱材30と、断熱材30をケース20の周囲で保持する保持板40と、保持板40を締め付ける側面結束バンド51、底面結束バンド58、天面結束バンド59とを備えている。
セルスタック11は、水素を含む燃料ガス及び酸素を含む酸化剤ガスを導入し、燃料ガス中の水素等と酸化剤ガス中の酸素との電気化学的反応により直流の電力を発生するように構成されている。酸化剤ガスは、典型的には空気である。セルスタック11としては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)あるいは固体高分子形燃料電池(PEFC)等、主として水素と酸素との電気化学的反応により発電する種々のものを用いることができる。セルスタック11は、いずれの種類でも、適切な作動温度を維持することで、発電効率の低下を抑制することができる。
改質器12は、原料を水素に富む燃料ガスに改質する装置である。原料は、改質することでセルスタック11における発電に利用可能となる程度に水素に富むガス(水素リッチガス)にできるものであり、典型的には炭化水素系燃料が用いられる。具体例として、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料が挙げられ、これらの炭化水素系燃料は、石油・石炭等の化石燃料由来のもの、合成ガス等の合成系燃料由来のもの、バイオマス由来のもの等を適宜用いることができる。炭化水素類としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG、都市ガス、タウンガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油が挙げられる。アルコール類として、メタノール、エタノールが挙げられる。エーテル類として、ジメチルエーテルが挙げられる。バイオ燃料として、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェットが挙げられる。改質器12は、原料の改質を促進させる改質触媒を内部に有している。改質触媒は、例えば、部分酸化改質触媒、水蒸気改質触媒、自己熱改質触媒等を、これらのうちの一種、又は複数種を組み合わせて用いることができる。改質器12は、生成される燃料ガスの組成を適切にするため、適切な作動温度を維持することが好ましい。
ケース20は、セルスタック11及び改質器12を収容できる大きさで、直方体に形成されている。ケース20は、収容されるセルスタック11や改質器12の設置態様に照らして、燃料電池1を設置したときに、最下部となる底面28と、底面28に対向して最上部となる天面29と、底面28と天面29との間で外周を形成する側面21とを有している。側面21は、正面22と、右側面23と、背面24と、左側面25で構成されている。ケース20を構成する各面22〜25、28、29は、平坦に形成されている。ケース20は、セルスタック11及び改質器12の運転温度に耐え得る材料で形成されている。ケース20は、セルスタック11及び改質器12の出し入れが容易なように、いずれかの面が開閉可能に構成されている。
断熱材30は、ケース20の開閉可能な面を開けて内部に接近することができるように、側面断熱材31と、底面断熱材38と、天面断熱材39とに分割されており、側面断熱材31、底面断熱材38、及び天面断熱材39でケース20の六面全体を覆うように構成されている。側面断熱材31は、本実施の形態では、さらに、正面断熱材32、右側断熱材33、背面断熱材34、左側断熱材35に分割されている。なお、図1(A)において、括弧書きの付記を有する符号は、当該部材が、括弧内の符号に示す部材の構成要素ともなっていることを示している。例えば、正面断熱材32は、側面断熱材31を構成する部材でもあり、かつ、断熱材30を構成する部材でもあることを、符号32に括弧書きの符号31、30を付記することで示している。各断熱材31、38、39は、保持板40によってケース20との間に隙間が生じないようにする力で押さえられたときに、所望の断熱効果を奏することができる厚さ以上の厚みのある板状に形成されている。各断熱材32〜35、38、39は、正面断熱材32が正面22を覆い、背面断熱材34が背面24を覆い、右側断熱材33が右側面23を覆い、左側断熱材35が左側面25を覆い、底面断熱材38が底面28を覆い、天面断熱材39が天面29を覆っている。本実施の形態では、底面断熱材38及び天面断熱材39が、それぞれ、正面断熱材32及び背面断熱材34の厚み部分も覆っている。また、右側断熱材33及び左側断熱材35が、それぞれ、正面断熱材32、背面断熱材34、底面断熱材38、及び天面断熱材39の厚み部分も覆っている。ケース20の六面全体を覆った断熱材30は、ケース20よりも一回り(断熱材30の厚さ分)大きい直方体形状を呈している。以下、ケース20を覆った直方体の断熱材30の、正面22に対応する面を断熱材正面30fといい、右側面23、背面24、左側面25、底面28、天面29に対応する面を、それぞれ、断熱材右面30r、断熱材背面30b、断熱材左面30e、断熱材底面30s、断熱材天面30tということもある(図1(B)参照)。断熱材30は、保持板40によってケース20の方に押されたときに、ケース20に全体が密着するように変形しつつ、所定の厚さよりも薄くなるようには凹まない程度の弾性を有している。
保持板40は、本実施の形態では、側面板状部材としての側面保持板41と、底面板状部材としての底面保持板48と、天面板状部材としての天面保持板49とから構成されている。側面保持板41は、さらに、正面保持板42と、背面保持板44とから構成されている。保持板40は、断熱材30の表面が達する温度以上の耐熱性を有するものが用いられ、典型的には金属板を所定の形状に加工することで形成されている。
正面保持板42は、断熱材正面30fを概ね覆う正部42fと、断熱材右面30rの正面22側の半分を概ね覆う右部42rと、断熱材左面30eの正面22側の半分を概ね覆う左部42eとを有している。右部42r及び左部42eは、同形で、それぞれ正部42fに対して直交して連接している。右部42rと左部42eとは対向している。正面保持板42は、典型的には長方形の金属板が折り曲げられて形成されている。正面保持板42は、正部42fの幅が断熱材正面30fの幅に等しく、右部42rの幅が、断熱材右面30rの幅の半分の長さよりも短く形成されている。正面保持板42は、高さが、断熱材正面30fの高さよりも低く形成されている。正面保持板42は、断熱材正面30f並びに断熱材右面30rの一部及び断熱材左面30eの一部の、それぞれの上部及び下部を空けて配設されている。
また、正面保持板42は、正部42fに、孔部42hが形成されている。孔部42hは、正部42fを切り抜いて形成されており、正面保持板42の外側から断熱材30の一部が見えるように形成されている。孔部42hの大きさ、数、及び配置は、正面保持板42で断熱材30を押さえたときに断熱材30が凹んだとしても、断熱材30が所定の厚さを維持することができるようにする観点から決定するとよい。つまり、孔部42hが大きすぎて正部42fの実質的な面積(孔部42hの面積を除いた面積)が小さくなり過ぎると、正面保持板42に接する断熱材30の部分に作用する力が大きくなって断熱材30の凹みが大きくなるところ、仮に断熱材30が凹んだとしても凹んだ後の断熱材30の厚さが所定の厚さを維持するように、孔部42hの大きさ等を決定するとよい。なお、所定の厚さは、所望の断熱効果を得ることができる厚さである。孔部42hは、本実施の形態では、概ね断熱材正面30fの面積の1/4の面積をもつ縦長の長方形が2つ、幅方向に並ぶ配列で形成されている。
また、正面保持板42は、右部42rに、切り欠き42cが形成されている。切り欠き42cは、右部42rの4辺のうち、正部42fに連接する辺に対向する辺に、当該辺が凹むように形成されている。切り欠き42cの大きさ、数、及び配置は、孔部42hを形成する要領と同様に、断熱材30を押さえたときに、断熱材30が所定の厚さを維持することができるようにする観点から決定するとよい。切り欠き42cは、本実施の形態では、右部42rと比較して、概ね、幅が1/2、高さが1/3の大きさで、右部42rの高さの中央に形成されている。正面保持板42の左部42eにも、右部42rと同様に切り欠き42cが形成されている。なお、右部42r及び/又は左部42eには、切り欠き42cに代えて孔部が形成されることとしてもよく、正部42fには、孔部42hに代えて切り欠きが形成されることとしてもよい。
背面保持板44は、断熱材背面30bを概ね覆う背部44bと、断熱材右面30rの背面24側の半分を概ね覆う右部44rと、断熱材左面30eの背面24側の半分を概ね覆う左部44eとを有している。背面保持板44は、正面保持板42と同じ要領で形成されている。背面保持板44の背部44b、右部44r、左部44eは、それぞれ、正面保持板42の正部42f、右部42r、左部42eに相当する。また、背面保持板44の背部44bには、正面保持板42の正部42fに形成された孔部42hに対応するように、孔部44hが形成されている。また、背面保持板44の右部44r及び左部44eには、それぞれ、正面保持板42の右部42r及び左部42eに形成された切り欠き42cに対応するように、切り欠き44cが形成されている。背面保持板44は、断熱材背面30b並びに断熱材右面30rの一部及び断熱材左面30eの一部の、それぞれの上部及び下部を空けて配設されている。
正面保持板42の右部42r及び背面保持板44の右部44rは、共に、断熱材右面30rの幅の半分の長さよりも短く形成されているため、相互に接触することなく、両者の間には、上下に(断熱材底面30s側から断熱材天面30t側にかけて)連続した隙間41gが形成されている。正面保持板42の左部42e及び背面保持板44の左部44eの間にも、上下に連続した隙間41gが形成されている。このような構成により、側面保持板41の外周方向の合計距離が、側面断熱材31の外周方向の合計距離よりも、2つの上下に連続した隙間41gの幅の分だけ短く形成されている。隙間41gは、典型的には直線状に形成されるが、波形等の曲線状や、ジグザグに形成されることとしてもよい。また、正面保持板42の右部42rの切り欠き42cと背面保持板44の右部44rの切り欠き44cとが協働して、正面保持板42の孔部42hと同様の形状を構成している。正面保持板42の左部42e及び背面保持板44の左部44eについても同様である。
正面保持板42の右部42rには、背面保持板44の右部44rに対向する辺の近傍に、背面保持板44と連結するための連結部としての突起42pが形成されている。突起42pは、側面結束バンド51を掛けることができるように、ループ状で外側(断熱材右面30rとは反対側)に突き出ている。突起42pは、正面保持板42の面に対して部分的に接続されており、断熱材30からの熱が伝わりにくいように構成されている。突起42pは、切り欠き42cの上下にそれぞれ1つずつ形成されている。背面保持板44の右部44rには、正面保持板42の右部42rに対向する辺の近傍に、正面保持板42と連結するための連結部としての突起44pが形成されている。背面保持板44の突起44pは、正面保持板42の突起42pと同様に形成されている。正面保持板42の左部42e及び背面保持板44の左部42eにも、右部42r、44r側と同様に、それぞれ突起42p、44pが形成されている。正面保持板42と背面保持板44とは、右部42r、44r側及び左部42e、44e側のそれぞれで、突起42pと突起44pとが、側面結束バンド51を介して連結している。このとき、側面結束バンド51は、正面保持板42及び背面保持板44の端部同士を近づけるように引き合う力を付与している。すなわち、側面結束バンド51は、側面締付機構としての機能を発揮している。
底面保持板48は、断熱材底面30sを専ら覆うと共に、側面保持板41に覆われていない側面断熱材31の下部を概ね覆うように、外嵌蓋状に形成されている。つまり、底面保持板48は、断熱材底面30sに対向して配置された長方形状の底面主部48sの各辺に対して、底面正部48f、底面右部48r、底面背部48b、底面左部48eが、それぞれ直交して連接されている。底面正部48fは断熱材正面30fの下部に対向し、底面右部48rは断熱材右面30rの下部に対向し、底面背部48bは断熱材背面30bの下部に対向し、底面左部48eは断熱材左面30eの下部に対向している。底面保持板48は、側面保持板41に接触しないように形成されており、底面保持板48と側面保持板41との間には、水平方向に連続した下部隙間48g(図1(B)参照)が、全周にわたって形成されている。また、底面保持板48は、底面孔部48hが、底面主部48sに形成されている。底面孔部48hは、本実施の形態では、正面保持板42の孔部42hと同様に形成されている。また、底面保持板48には、側面保持板41と連結するための突起48pが形成されている。突起48pは、正面保持板42の突起42pと同様、底面結束バンド58を掛けることができるように、ループ状で外側に突き出ている。突起48pは、本実施の形態では、底面保持板48を側面保持板41に安定的に連結することができるように、底面正部48f、底面右部48r、底面背部48b、底面左部48eのそれぞれの両端付近に、2つずつ形成されている。
天面保持板49は、断熱材天面30tを専ら覆うと共に、側面保持板41に覆われていない側面断熱材31の上部を概ね覆うように、外嵌蓋状に形成されている。つまり、天面保持板49は、断熱材天面30tに対向して配置された長方形状の天面主部49sの各辺に対して、天面正部49f、天面右部49r、天面背部49b、天面左部49eが、それぞれ直交して連接されている。天面正部49fは断熱材正面30fの上部に対向し、天面右部49rは断熱材右面30rの上部に対向し、天面背部49bは断熱材背面30bの上部に対向し、天面左部49eは断熱材左面30eの上部に対向している。天面保持板49は、側面保持板41に接触しないように形成されており、天面保持板49と側面保持板41との間には、水平方向に連続した上部隙間49g(図1(B)参照)が、全周にわたって形成されている。また、天面保持板49は、天面孔部49hが、天面主部49sに形成されている。天面孔部49hは、本実施の形態では、正面保持板42の孔部42hと同様に形成されている。また、天面保持板49には、側面保持板41と連結するための突起49pが形成されている。突起49pは、正面保持板42の突起42pと同様、天面結束バンド59を掛けることができるように、ループ状で外側に突き出ている。突起49pは、本実施の形態では、天面保持板49を側面保持板41に安定的に連結することができるように、天面正部49f、天面右部49r、天面背部49b、天面左部49eのそれぞれの両端付近に、2つずつ形成されている。
正面保持板42の突起42p及び背面保持板44の突起44pは、それぞれ、底面保持板48の突起48pに対して底面結束バンド58を介して連結することができるように、正面保持板42の下辺及び背面保持板44の下辺にも形成されていると共に、天面保持板49の突起49pに対して天面結束バンド59を介して連結することができるように、正面保持板42の上辺及び背面保持板44の上辺にも形成されている。これらの正面保持板42の突起42p及び背面保持板44の突起44pは、底面保持板48の突起48pに対応する位置、あるいは、天面保持板49の突起49pに対応する位置に設けられている。本実施の形態では、正面保持板42と背面保持板44とを接近させる結束部材として側面結束バンド51が、側面保持板41(正面保持板42及び背面保持板44)と底面保持板48とを接近させる結束部材として底面結束バンド58が、側面保持板41と天面保持板49とを接近させる結束部材として天面結束バンド59が、それぞれ用いられている。本実施の形態では、側面結束バンド51が側面締付機構に相当し、底面結束バンド58及び天面結束バンド59が底天締付機構に相当する。
上述のような構成部材を有する燃料電池1を組み立てるに際し、セルスタック11及び改質器12が収容されたケース20の周囲全面を、断熱材30で覆う。このとき、断熱材30の寸法誤差等により、ケース20の外表面と断熱材30との間に空間が形成されていると、断熱効果が低下して、所望の断熱効果を得られない場合が生じ得る。燃料電池1では、ケース20の全面を覆っている断熱材30の側面を側面保持板41で押さえ、正面保持板42及び背面保持板44が側面結束バンド51で連結されているので、側面結束バンド51の締め付ける力によって、正面保持板42及び背面保持板44に互いに引き合う力が生じる。この、互いに引き合う力によって、正面保持板42と背面保持板44とが相互に接近し、側面の断熱材30がケース20の側面21に密着するため、燃料電池1は、側面に関して所望の断熱効果を享受することとなる。また、燃料電池1では、断熱材30の底面を底面保持板48で押さえると共に、断熱材30の天面を天面保持板49で押さえ、底面保持板48及び天面保持板49がそれぞれ側面保持板41と底面結束バンド58及び天面結束バンド59で連結されているので、底面保持板48と天面保持板49とが相互に接近し、底面断熱材38がケース20の底面28に密着し、天面断熱材39がケース20の天面29に密着するため、燃料電池1は、底面及び天面に関しても所望の断熱効果を享受することとなる。
また、燃料電池1は、正面保持板42の正部42fが両脇で右部42r及び左部42eとそれぞれ連接すると共に、背面保持板44の背部44bが両脇で右部44r及び左部44eとそれぞれ連接しているので、ケース20の全周を覆っている断熱材30の、断熱材底面30s及び断熱材天面30tに直交する4つの辺(天面29及び底面28に直交するケース20の4つの辺に対応する側面断熱材31の4つの辺)を、正面保持板42及び背面保持板44によって覆うことができ、損傷しやすい断熱材30の角部を保護することができる。また、底面保持板48及び天面保持板49が、それぞれ外嵌蓋状に形成されているので、断熱材底面30sの外周を構成する4つの辺を底面保持板48で、断熱材天面30tの外周を構成する4つの辺を天面保持板49で、それぞれ覆うことができ、損傷しやすい断熱材30の角部を保護することができる。また、側面保持板41に孔部42h、44hが、底面保持板48に孔部48hが、天面保持板49に孔部49hがそれぞれ形成されているので、側面保持板41からの輻射熱を抑制して燃料電池1の温度低下を抑制することができる。また、孔部42h、44hにより、保持板40の内部に溜まり得る結露水あるいは結露し得る水分を外部に蒸散することができる。
次に図2を参照して、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る燃料電池1Aを説明する。図2は、燃料電池1Aの分解斜視図である。図2では、正面保持板42A、背面保持板44A、底面保持板48、天面保持板49Aを分解して示しており、断熱材30より内部は分解せずに示している。燃料電池1Aの、燃料電池1(図1参照)と異なる点は、正面保持板42A、背面保持板44A、天面保持板49Aが、それぞれ、長手方向で2分割されている点である。燃料電池1Aの正面保持板42A、背面保持板44A、天面保持板49Aは、それぞれ、燃料電池1(図1参照)の正面保持板42、背面保持板44、天面保持板49に相当する。正面保持板42Aは、断熱材正面30fに対向する位置の水平方向中央で分割されており、右部42rを有する右正面保持板42Rと、左部42eを有する左正面保持板42Eとで構成されている。分割されている正面保持板42Aは、右正面保持板42Rと左正面保持板42Eとの間に、上下に連続して延びる隙間42gが形成されている。正面保持板42Aは、分割されることにより、正面保持板42(図1参照)で2つ形成されていた孔部42hに相当する部分が、右正面保持板42R及び左正面保持板42Eにそれぞれ1つずつ形成された切り欠きになっている。また、正面保持板42Aは、右正面保持板42R及び左正面保持板42Eの対向する辺(隙間42gに隣接する辺)の近傍にも、突起42pが設けられている。この追加の突起42pは、右正面保持板42Rと左正面保持板42Eとを安定して連結することができるように、各保持板42R、42Eにつき、切り欠きの上下に1つずつ設けられている。右正面保持板42Rと左正面保持板42Eとは、側面結束バンド51(図1参照)を介して連結されている。
背面保持板44Aは、正面保持板42と同様に構成されており、右部44rを有する右背面保持板44Rと、左部44eを有する左背面保持板44Eとで構成されている。右背面保持板44Rと左背面保持板44Eとの間には、上下に連続して延びる隙間44gが形成されている。右背面保持板44R及び左背面保持板44Eの、隙間44gに沿う各辺の近傍にも、突起44pが設けられている。右背面保持板44Rと左背面保持板44Eとは、側面結束バンド51を介して連結されている。天面保持板49Aは、天面保持板49(図1参照)における2つの天面孔部49hの間で分割されている。天面保持板49Aは、右正面保持板42R及び右背面保持板44Rに連結する右天面保持板49Rと、左正面保持板42E及び左背面保持板44Eに連結する左天面保持板49Eとで構成されている。燃料電池1Aの上記以外の構成は、燃料電池1(図1参照)と同様である。
上述のように構成された燃料電池1Aでは、燃料電池1(図1参照)と同様に正面保持板42A及び背面保持板44Aに外周方向の互いに引き合う力が作用するため所望の断熱効果を奏することができるのみならず、各隙間42g、44gを狭めるように側面結束バンド51で連結されているため、寸法誤差等の許容範囲が広くなる。加えて、断熱材30の角部は、右正面保持板42R、左正面保持板42E、右背面保持板44R、左背面保持板44Eによって覆われて保護されている。また、燃料電池1(図1参照)における孔部42h、44hに相当する構成も形成されているため、燃料電池1Aの温度低下を抑制しつつ、内部に溜まり得る水分を蒸散することができる。なお、孔部42h、44hに相当する構成は、協働して孔部になっており、分割された単位では、切り欠き42cと同様である。
次に図3を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池2を説明する。図3は、燃料電池2の水平断面図である。燃料電池2は、側面板状部材としての側面保持板241が、断熱材30の側面を一連に覆うように構成されている。側面保持板241は、断熱材正面30f上で、外周方向の一端と他端とが重なるように構成されている。つまり、側面保持板241は、外周方向の長さが、外周方向における断熱材30の側面の長さよりも大きく形成されている。側面保持板241は、重なった面のそれぞれに、連結部としてのバックル252が設けられている。両面にまたがった各バックル252は、側面締結機構としてのストラップ253で連結されている。ストラップ253は、表面に、長手方向に配列された細かい山が多数形成されている。バックル252は、ストラップ253に形成されたいずれかの山と係合するラチェット機構を有しており、ストラップ253の締め付け具合を調整することができるように構成されている。側面保持板241の両端を連結するバックル252及びストラップ253の組み合わせは、上下方向に複数の箇所で連結できるように、複数設けられている。燃料電池2は、側面保持板241が上述のように構成されている点を除き、燃料電池1(図1参照)と同様の構成となっている。
上述のように構成された燃料電池2は、ストラップ253を締めて行くと、側面保持板241に外周方向の互いに引き合う力が作用して、側面保持板241の両端が重なった距離が大きくなって行く。すると、側面保持板241が、断熱材30をケース20に対して押し付けるように作用して、断熱材30がケース20の表面に密着する。そのため、燃料電池2は、側面に関して所望の断熱効果を享受することとなる。また、図3では図示を省略しているが、燃料電池2も、燃料電池1(図1参照)における底面保持板48及び天面保持板49を有しており、底面及び天面に関しても所望の断熱効果を享受することとなる。なお、燃料電池2においても、燃料電池1(図1参照)における孔部42h、44hに相当する構成を適宜形成することができる。
以上の説明では、燃料電池1、1A、2が改質器12を備えていることとしたが、燃料電池1、1A、2に純水素が供給される場合等、燃料電池1、1A、2において原料の改質を行わない場合は、改質器12を備えなくてもよい。改質器12を備えない場合でも、少なくともセルスタック11はケース20に収容される。
以上の説明では、ケース20が直方体に形成されているとしたが、底面と天面とを有していれば、円筒状等、直方体以外に形成されていてもよい。なお、底面と天面とは、相互に平行でなくてもよく、各々が平面でなくてもよい。
以上の説明では、保持板40が金属板で形成されているとしたが、耐熱樹脂板等、金属板以外の材料で形成されていてもよい。
以上の説明では、側面保持板41に形成された孔部42h、44h、底面保持板48に形成された孔部48h、天面保持板49に形成された孔部49hが、比較的大きめで2つ形成されることとしたが、パンチングメタル等、小さな孔が多数形成された構成であってもよい。各孔部42h、44h、48h、49hは、すべて形成されていなくてもよく、必要に応じて任意の箇所に形成することとしてもよい。また、複数箇所に形成される場合、すべて同じ形状である必要はなく、適宜大きさや形状を変更してもよい。また、側面保持板41からの輻射による温度低下の影響が小さい場合、あるいは蒸散を考慮する必要がない場合は、孔部42h、44h、48h、49hを設けなくてもよい。燃料電池1Aにおける正面保持板42Aや背面保持板44A等、及び燃料電池2における側面保持板241等についても同様である。
以上の説明では、燃料電池1、1Aにおける側面締結機構が側面結束バンド51であるとしたが、耐熱性を有する輪ゴムであってもよく、ワイヤーやストラップであってもよい。また、燃料電池1、1Aにおける側面保持板41に形成された連結部が、側面結束バンド51を引っ掛ることができる形状の突起であるとしたが、側面締結機構の構成に応じて、バックル等に適宜変更してもよい。底天締結機構についても同様である。
以上の説明では、断熱材30が、ケース20の各面に対応するように分割された板状のものが組み合わされて構成されていることとしたが、一部又は全部が一体に形成されて、L字状や箱状に形成されていてもよい。また、燃料電池1が、側面保持板41、底面保持板48、天面保持板49を備えることとしたが、断熱材30の構成態様によって一部の保持板40を省略することができる場合は、例えば、底面保持板48及び天面保持板49を省略してもよく、側面保持板41を省略してもよい。燃料電池1A及び燃料電池2においても同様である。
以上の説明では、底面保持板48を側面保持板41に連結するのに底面結束バンド58を用いることとしたが、セルスタック11を収容するケース20の自重が底面断熱材38に作用して、底面結束バンド58を用いなくてもケース20の底面28が断熱材30に密着する場合は、底面結束バンド58を省略してもよい。この場合、底面保持板48の突起48p、及び突起48pに対応する側面保持板41の突起42p、44pも省略することができる。他方、ケース20が架台等に支持されていてケース20の自重が底面断熱材38に作用しない場合は、底面結束バンド58を用いて底面保持板48を天面保持板49の側に接近させて、断熱材30が底面28に密着するようにするとよい。燃料電池1A及び燃料電池2においても同様である。