JP6151611B2 - 透明触感フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の触感フィルムは、透明基材フィルムの少なくとも一方の面(例えば、ディスプレイの最表面に位置する側の片面)に線状凸部が網目構造を形成している。この網目構造は、触感フィルム表面において、規則的に配列された複数の閉じた区画を有するため、ペンが確実に区画を規定する線状凸部を横断し、ペン入力の書き始め及び途中で(ペン入力の間)、動作距離に対する摩擦係数のプロファイルを略一定に調整できるため、ペン入力デバイスのディスプレイに利用すると、紙に対する鉛筆のような書き味で入力できる。
透明基材フィルムは、透明材料で形成されていればよく、用途に応じて選択でき、ガラスなどの無機材料であってもよいが、強度や成形性などの点から、有機材料が汎用される。有機材料としては、例えば、セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などの高分子が挙げられる。これらのうち、セルロースエステル、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などが汎用される。
線状凸部は、触感フィルム表面において、規則的に配列された複数の区画を有する網目構造を形成する。すなわち、本発明の触感フィルムでは、線状凸部が閉じた区画を形成するため、ペン入力デバイスにおいて、ペンが確実に区画を規定する線状凸部を横断するため、ペンの書き味を向上できる。
本発明の触感フィルムは、多孔質層を介して線状凸部が形成されていてもよい。多孔質層を介在させることにより、線幅の細い線状凸部を容易に形成できるとともに、金属材料で形成された線状凸部に対する密着性も向上できる。一方、高い透明性が要求される用途では、多孔質を介在させることなく、透明基材に線状凸部を直接形成してもよい。
本発明の触感フィルムの表面には、前記線状凸部で網目構造が形成されており、網目構造が形成された表面において、有効測定距離を20mmとしたとき、平均摩擦係数は0.05以上であってもよく、例えば、0.08〜0.5、好ましくは0.1〜0.4、さらに好ましくは0.12〜0.3(特に0.15〜0.25)程度である。摩擦係数が低すぎると、滑りすぎる傾向があり、高すぎると、引っ掛かりすぎる。
本発明の触感フィルムは、JIS K7136に準拠した全光線透過率が70%以上であるが、多孔質層を介在させることなく、透明基材フィルムの表面に線状凸部で網目構造を直接形成した場合には、高度な透明性を実現でき、全光線透過率が85%以上であってもよく、例えば、85〜99.9%、好ましくは86〜99.5%、さらに好ましくは88〜99%(特に、90〜95%)程度である。
本発明の触感フィルムは、ディスプレイの最表面に配設するために用いてもよく、ペン入力の書き始め及び途中で書き味を略一定に調整でき、紙に対する鉛筆のような書き味で入力できるため、ペン入力型タッチパネルのディスプレイやペンタブレットなどのペン入力デバイスに利用でき、ディスプレイの最表面に位置するように配設される。特に、本発明の触感フィルムは、透明性及び書き味に優れるため、各種のペン入力型タッチパネル(特にITOグリッド方式を採用する投影型静電容量方式タッチパネル)のディスプレイ、特に、4Kテレビのディスプレイにタッチパネルを搭載した高解像度のテレビや、建築分野や医療分野で利用される高解像度のペン入力デバイスのディスプレイの操作に適している。
本発明の触感フィルムは、鋳型を用いる方法、切削加工、エッチングなどにより、線状凸部と透明基材フィルムとが一体化したフィルムとして製造してもよいが、簡便性や生産性などの点から、透明基材フィルムの少なくとも一方の面(多孔質層が形成されている場合、多孔質層の上)に線状凸部前駆体を印刷する印刷工程を含む製造方法により製造するのが好ましい。
CCDカメラ[ライカマイクロシステムズ(株)製「ライカDVM5000」]を用いてサンプルを撮影し、観察画像より、線幅及び区画径を測定した。
非接触表面形状測定装置[(株)菱化システム製「VertScan2.0」]を用いて、サンプルの表面形状を測定した。さらに、観察画像より、高さ1μm以上(閾値1μm)の粒子解析を行い、凸部の占有面積を算出した。
ヘイズメーター(日本電色(株)製、商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7136に準拠して、ヘイズ(HZ)、全光線透過率(TT)を測定した。
NintendoDS(登録商標)用タッチペンで書き味を評価し、以下の基準で評価した。
×:滑り性が大きく、紙に対する鉛筆の書き味とは異なっている。
JIS B0610に準拠し、表面粗さ形状測定機((株)東京精密製「サーフコム570A」)を用いて、以下の条件で転がり円最大高さうねり(WEM)を測定した。
測定子の仕様:800μmR、ルビー
駆動速度:3mm/s
λf低減カットオフ値:8mm
測定長さ:15mm。
静動摩擦測定機((株)トリニティーラボ製「ハンディートライボマスターTL201Ts」)を用いて、測定条件(荷重50g重、速度50mm/秒)で摩擦力を測定した。接触子としては、ポリオキシメチレン製ペン(ペン先径0.8mmφ)を使用し、フィルムに対して45°の角度で摺動させた。なお、参考例として、紙((株)カウネット製「コピーペーパー スタンダードタイプ」)に対して鉛筆(三菱鉛筆(株)製「ユニ6B」)及び前記ポリオキシメチレン製ペンを摺動させた。
透明PET基材フィルム:東洋紡(株)製「A4300」、厚み100μm
多孔性透明PI(ポリイミド)基材フィルム:下記方法で調製したフィルム
ポリアミドイミド系樹脂溶液(東洋紡(株)製「バイロマックスHR11NN」、固形分濃度15重量%、溶剤N-メチル-2-ピロリドン、溶液粘度20dPa・s/25℃)100重量部に、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(分子量5万)30重量部を添加して製膜用原液を調製した。この原液を25℃とし、基材であるPETフィルム(帝人デュポン(株)製「HS74AS」、厚み100μm)のAS面(静電気防止処理面)上に、フィルムアプリケーターを使用して、フィルムアプリケーターと基材とのギャップ13μmの条件でキャストした。キャスト後速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸漬して凝固させ、次いで基材から剥離させることなく室温下で自然乾燥することによって基材上に多孔質層が積層された積層体を得た。
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂((株)ダイセル製「サイクロマーP(ACA)320M」)4重量部、セルロースアセテートプロピオネート(イーストマン社製「CAP−482−20」)2重量部、多官能アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」)16重量部、アクリル系UV硬化性化合物(JSR(株)製「デソライトZ7501」)20重量部、光開始剤(BASF社製「イルガキュア907」)0.5重量部をメチルエチルケトン40重量部と1−ブタノール6重量部、1−メトキシ−2−プロパノール6部、シクロヘキサノン6部の混合溶剤に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#24を用いて透明PET基材フィルム(A4300)上に流延した後、95℃のオーブン内で2分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を紫外線照射量200mJ/cm2で照射し、UV硬化処理した。
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(サイクロマーP(ACA)320M)6重量部、セルロースアセテートプロピオネート(CAP−482−20)2重量部、多官能アクリル系UV硬化性化合物(DPHA)6重量部、シリコーン含有アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・サイテック(株)製「EB1360」)1重量部、光開始剤(イルガキュア907)0.5重量部をメチルエチルケトン25重量部と1−ブタノール12.15重量部の混合溶剤に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#24を用いて透明PET基材フィルム(A4300)上に流延した後、90℃のオーブン内で2分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約10秒間照射し、UV硬化処理した。
硬化性樹脂B:ポリウレタンエラストマー(大日精化工業(株)製「ダイアロマーEX002」)と、6官能アクリルUV硬化モノマー(ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」)とを質量比1:1で混合した液に、単分散アクリル粒子(積水化成品(株)製「テクポリマーSSX115」、平均粒径15μm)を5質量%の割合で添加した液状組成物。
スクリーン印刷機(東海精機(株)製「SSA−PC250IP」、スクリーン版のサイズ:線径50μm、250メッシュ、)を用いて、印刷速度30mm/秒、印刷圧力0.2MPaの条件で、硬化性樹脂Aを透明PET基材フィルムの片面にスクリーン印刷して格子状パターンを形成し、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、メタルハライドランプ)を用いて、照射量250mJ/cm2で紫外線を照射して、硬化処理を行い、格子状パターンを硬化させ、触感フィルムを得た。
スクリーン版のサイズを線径50μm、500メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
スクリーン版のサイズを線径50μm、1000メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
スクリーン版のサイズを線径50μm、1500メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
スクリーン版のサイズを線径50μm、2000メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
スクリーン印刷機(ニューロング精密工業(株)製「LS−150TVA」、スクリーン版のサイズ:線径20μm、ピッチ300μm)を用いて、印刷速度10mm/秒、印刷圧力0.2MPaの条件で、導電インクを多孔性透明PI基材フィルムの片面にスクリーン印刷して格子状パターンを形成した。印刷後、150℃で30分間保持し、導電インクを硬化させて配線を形成した。使用したインクは、酸化銀が加熱により還元されて銀になるタイプのインクであり、印刷直後は黒色であったが、加熱後には金属銀の光沢を示した。電子顕微鏡で観察したところ、線幅20μmでピッチ(繰り返し間隔)300μmの格子パターンが形成されていた。得られた格子パターン印刷品を用いて、以下の方法で溶剤処理を施して多孔質層の空孔構造を消失させた格子パターン印刷品を製造した。
線径50μm、1000メッシュのスクリーン版を用いて、硬化性樹脂AをHZ5%の透明基材フィルムの片面にスクリーン印刷する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
線径50μm、1000メッシュのスクリーン版を用いて、硬化性樹脂AをHZ13%の透明基材フィルムの片面にスクリーン印刷する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
スクリーン版のサイズを線径50μm、150メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
硬化性樹脂Bを用いて、透明PET基材フィルム上にワイヤーバー#14を用いて流延した後、60℃のオーブン内で1分間放置後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm2)に通して、紫外線硬化処理を行い、塗工膜を硬化させて、触感フィルムを得た。
Claims (7)
- 透明基材フィルムと、この透明基材フィルムの少なくとも一方の面で網目構造を形成する線状凸部とを含む触感フィルムであって、
前記網目構造が、規則的に配列された複数の区画を有し、
前記網目構造が形成された表面において、JIS B0610に準拠した転がり円最大高さうねり(W EM )が5〜50μmであり、かつ
前記線状凸部が、触感フィルム表面全体に対して5〜80%の面積を占める触感フィルム。 - JIS K7136に準拠した全光線透過率及びヘイズが、それぞれ85%以上及び30%以下である請求項1記載の触感フィルム。
- 網目構造が形成された表面において、有効測定距離を20mmとしたとき、前半10mmの摩擦係数の標準偏差と後半10mmの摩擦係数の標準偏差との比(前者/後者)が0.25〜4である請求項1又は2記載の触感フィルム。
- 線状凸部の平均幅及び平均高さが、それぞれ10〜300μm及び1〜20μmであり、かつ各区画の平均径が100〜5000μmである請求項1〜3のいずれかに記載の触感フィルム。
- 網目構造が格子状又はハニカム状である請求項1〜4のいずれかに記載の触感フィルム。
- 透明基材フィルム及び線状凸部が、透明樹脂で形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の触感フィルム。
- 透明基材フィルムの少なくとも一方の面に線状凸部前駆体を印刷する印刷工程を含む請求項1〜6のいずれかに記載の触感フィルムの製造方法。
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