JP6151003B2 - カンカニクジュヨウから得られる抗糖尿病剤、ヒト又は動物用医薬および機能性食品 - Google Patents

カンカニクジュヨウから得られる抗糖尿病剤、ヒト又は動物用医薬および機能性食品 Download PDF

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Description

本発明は、ハマウツボ科寄生植物であるカンカニクジュヨウの肉質茎、該肉質茎の水もしくは低級脂肪族アルコール等による抽出液もしくは該抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、又は該抽出エキス等より単離される化合物を含む抗糖尿病剤、ヒト又は動物用医薬および機能性食品に関するものである。
ハマウツボ科(Orobanchaceae)植物であるカンカニクジュヨウ(学名:Cistanche tubulosa (Shrenk) R. Wight)は、アフリカ北部、アラビア地域及び西アジアからパキスタンやインドにかけての地域に自生し、Salvadora又はCalotropis属植物の根部に寄生している寄生植物である。例えば、非特許文献1や非特許文献2に記載されているように、その全草はパキスタンにおいて下痢や腫れ物の治療に用いられており、又、中国においてはその肉質茎が不妊症やアルツハイマー病の治療に供されている。
本発明者も、カンカニクジュヨウの科学的解明研究の一環として、カンカニクジュヨウの含有成分の探索を行い、その抽出エキスや含有成分の血管拡張作用及び肝保護作用、および皮膚外用剤としての有効性について明らかにし、その結果を、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献3及び非特許文献4で開示している。
特開2007−191416号公報 特開2009−196905号公報 特開2009−209063号公報
Kobayashi H.,et.al.、Chem.Pharm. Bull.、Vol35、pp3309−3314(1987) 新彊中薬民族薬研究所編、新彊常用中草学栽培技術、新彊科学技術出版社、pp84−88(2004) Xie H.,et al.、Chem.Pharm.Bull.、Vol54、pp669−675(2006) Yoshikawa M.,et al.、Bioorg.Med.Chem.、Vol14、pp7468−7475(2006) Chem.Pharm.Bull.,Vol58,p575(2010) Chem.Pharm.Bull.,Vol58,p1403(2010) Bioorganic & Medicinal Chemistry,Vol18,p1883(2010)
本発明は、上記のような症状の治療等に用いられ、かつ日本において薬用のみならず食用としても使用が可能なCistanche tubulosaを起原植物とするカンカニクジュヨウの肉質茎、該肉質茎より抽出された抽出液もしくは該抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、又は該抽出エキス等より単離される化合物を有効成分として含むことを特徴とする抗糖尿病剤、ヒト又は動物用医薬、及び機能性食品を提供することを課題とする。
本発明者は、カンカニクジュヨウの肉質茎、その抽出液もしくは抽出エキスや、それらの含有成分について、種々の生物活性の検討を鋭意行ったところ、カンカニクジュヨウの肉質茎、その抽出液、抽出エキスや、これらから単離される化合物の中のあるものは、
1.糖尿病患者において食後過血糖に関与する二糖類加水分解酵素(スクラーゼ、マルターゼ)及び/又は
2.糖尿病患者の合併症増悪に関与するアルドース還元酵素
を阻害することを見出した。即ち、カンカニクジュヨウの肉質茎、その抽出液もしくは抽出エキス、又はこれらから単離される化合物の中のあるものを含有させることにより、糖尿病の増悪、合併症の発症を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、その第1の態様として、カンカニクジュヨウの肉質茎、前記肉質茎を水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により抽出して得られる抽出液、又は前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキスを有効成分として含むことを特徴とする抗糖尿病剤(請求項1)を提供する。
この抗糖尿病剤は、二糖類の加水分解酵素を阻害する化合物を含むので、二糖類の加水分解酵素の阻害を機序とする抗糖尿病剤(請求項2)である。又この抗糖尿病剤は、アルドース還元酵素を阻害する化合物を含むので、アルドース還元酵素の阻害を機序とする抗糖尿病剤(請求項3)である。
又本発明は、その第2の態様として、
下記の構造式Aで表される化合物:
Figure 0006151003
、下記の構造式Bで表される化合物:
Figure 0006151003
、下記の構造式Cで表される化合物:
Figure 0006151003
、下記の構造式Dで表される化合物:
Figure 0006151003
、下記の構造式Eで表される化合物:
Figure 0006151003
、下記の構造式Fで表される化合物:
Figure 0006151003
、下記の構造式Gで表される化合物:
Figure 0006151003
、及び下記の構造式Hで表される化合物:
Figure 0006151003
からなる群の中から選ばれる1又は2以上の化合物を有効成分として含み、二糖類の加水分解酵素の阻害を機序とすることを特徴とする抗糖尿病剤(請求項4)を提供する。
本発明者らは、前記構造式A、B、C、D、E、F、G又はHで表される化合物に、二糖類の加水分解酵素(スクラーゼ、マルターゼ)阻害活性を見いだし、これらの化合物中の少なくとも1種類を含ませることにより、二糖類の加水分解酵素の阻害を機序とする抗糖尿病作用を有する抗糖尿病剤が得られることを見出し、第2の態様の発明を完成した。
さらに本発明は、その第3の態様として、
前記構造式Aで表される化合物、前記構造式Eで表される化合物、前記構造式Fで表される化合物、前記構造式Gで表される化合物、前記構造式Hで表される化合物、
下記の構造式Iで表される化合物:
Figure 0006151003
、及び下記の構造式Jで表される化合物:
Figure 0006151003

からなる群の中から選ばれる1又は2以上の化合物を有効成分として含み、アルドース還元酵素の阻害を機序とすることを特徴とする抗糖尿病剤(請求項5)を提供する。
本発明者らは、前記構造式A、E、F、G、H、I又はJで表される化合物に、アルドース還元酵素阻害活性を見いだし、これらの化合物を少なくとも1種類含ませることにより、アルドース還元酵素の阻害を機序とする抗糖尿病作用を有する抗糖尿病剤が得られることを見出し、第3の態様の発明を完成した。
前記の構造式A〜Jで表されるそれぞれの化合物には、以下に示す化合物名が命名されている。
構造式Aの化合物:ツブロシドA(Tubuloside A)
構造式Bの化合物:カンカノシドKおよびK(Kankanoside KおよびK、ただし、カンカノシドKおよびKは、*で示した炭素の立体異性体)
構造式Cの化合物:カンカノシドL(Kankanoside L)
構造式Dの化合物:ウィデマンニノシドC(Wiedemanninoside C)
構造式Eの化合物:2’−アセチルアクテオシド(2’−Acetylacteoside)
構造式Fの化合物:アクテオシド(Acteoside)
構造式Gの化合物:イソアクテオシド(Isoacteoside)
構造式Hの化合物:エキナコシド(Echinacoside)
構造式Iの化合物:カンプネオシドI(Campneoside I)
構造式Jの化合物:シリンガリド A 3’O−α−L−ラムノピラノシド(Syringalide A 3’ −O−α−L−rhamnopyranoside)
本発明の第1および第2の態様の抗糖尿病剤は、ラット小腸またはヒト小腸の二糖類加水分解酵素の働きを阻害することから、食後過血糖の改善剤としての優れた生物活性を有する。又、本発明の第1および第3の態様の抗糖尿病剤は、ラットレンズに由来するアルドース還元酵素の働きを阻害することから、糖尿病の合併症(網膜症、神経障害)の発症を予防または遅延させることができ、優れた生物活性を有する。従って、第1、第2又は第3のいずれかの態様の抗糖尿病剤を含有させることにより、(すなわち、カンカニクジュヨウの肉質茎、その抽出液もしくは抽出エキス、又は前記構造式A〜Jで表されるいずれかの化合物を含有させることにより)優れた抗糖尿病効果を示すヒト又は動物用医薬や機能性食品を得ることができる。
そこで、本発明は第4の態様として、第1、第2又は第3のいずれかの態様の抗糖尿病剤を含有することを特徴とするヒト又は動物用の医薬(請求項6)を提供する。
又、本発明は第5の態様として、第1、第2又は第3のいずれかの態様の抗糖尿病剤を含有することを特徴とする機能性食品(請求項7)を提供する。
本発明の第1および第2の態様の抗糖尿病剤は、二糖類加水分解酵素の働きを阻害することから、食後過血糖の改善剤としての優れた生物活性を有する。又本発明の第1および第3の態様の抗糖尿病剤は、アルドース還元酵素の働きを阻害することから、糖尿病の合併症(網膜症、神経障害)の発症を予防または遅延させることができ、優れた生物活性を有する。
本発明の第4の態様のヒト又は動物用の医薬や第5の態様の機能性食品は、本発明の抗糖尿病剤を含有するので、優れた抗糖尿病効果を示す。
次に、本発明を実施するための形態につき説明するが、本発明の範囲はこの実施の形態のみに限定されるものではない。
本発明の第1の態様及び第2の様態において、カンカニクジュヨウの肉質茎を用いる場合は、カンカニクジュヨウの肉質茎をそのまま用いることができるし、粉砕、破砕、切断、すりつぶしなどによる形状変化を行ったもの、又は、乾燥などの調製を施したものを用いることもできる。
本発明の第1の態様及び第2の様態としては、カンカニクジュヨウの肉質茎を、水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により抽出して得られる抽出液を用いることもできる。さらにその抽出液を濃縮した抽出エキスを用いることができる。
この抽出液は、カンカニクジュヨウの肉質茎をそのまま、水、低級脂肪族アルコール及び低級脂肪族アルコールの含水物より選ばれる抽出溶媒により、抽出して得ることもできる。しかし、肉質茎を、粉砕、破砕、切断、すりつぶしなどによる形状変化を行ったものを用いて抽出する方法が、抽出効率の面で好ましい。
抽出溶媒として用いられるアルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコール類が挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール又はこれらの混液が挙げられる。抽出溶媒としては、好ましくはこれらのアルコール、又はこれらのアルコールに30容量%までの水を含有する含水アルコールが用いられる。前記のアルコールの中でもメタノール又はエタノールが好ましい。これらの抽出溶媒は、抽出材料に対して、1〜50倍(重量)程度、好ましくは10〜30倍程度用いられる。
抽出温度は、室温〜溶媒の沸点の間で任意に設定できるが、例えば50℃〜抽出溶媒の沸点の温度で、振盪下もしくは非振盪下又は還流下に、前記の抽出材料、即ち、カンカニクジュヨウの肉質茎、又はそれを粉砕、破砕、切断、すりつぶしなどによる形状変化を行ったもの等を、前記の抽出溶媒に浸漬することによって行うのが適当である。
好ましい抽出時間は、抽出温度や抽出の際の振盪の有無等により変動し、特に限定されない。例えば、抽出材料を振盪下に浸漬する場合には、30分間〜10時間程度行うのが適当であり、非振盪下に浸漬する場合には、1時間〜20日間程度行うのが適当である。又、抽出溶媒の還流下に抽出するときは、30分間〜数時間加熱還流するのが好ましい。なお、50℃より低い温度で浸漬して抽出することも可能であるが、その場合には、前記の時間よりも長時間浸漬するのが好ましい。抽出操作は、同一材料について1回だけ行ってもよいが、複数回、例えば2〜5回程度繰り返すのが好ましい。
前記の抽出工程により得られた抽出液にはカンカニクジュヨウの肉質茎の含有成分が溶出されている。本発明の抗糖尿病剤には、このようにして得られた抽出液をそのまま加えてもよいが、前記抽出液を濃縮して抽出エキスにして抗糖尿病剤としてもよい。濃縮は、低温で減圧下に行うのが好ましい。なお、濃縮する前にろ過してろ液を濃縮してもよい。抽出エキスは、濃縮したままの状態で抗糖尿病剤として用いることができるが、又、濃縮は乾固するまで行ってもよく、粉末状又は凍結乾燥品等として用いてもよい。濃縮する方法、粉末状及び凍結乾燥品とする方法は、当該分野での公知の方法を用いることができる。
このようにして得られる抽出液又は抽出エキスを、精製処理に付し、含有される各成分に分離することができる。精製処理に付し各成分に分離することにより、前記構造式A〜Jのいずれかで表される化合物が得られるが、前記のように、これらは、抗糖尿病作用を有する化合物であり、これらも抗糖尿病剤として用いることができる(本発明の第2の態様又は第3の様態)。
精製処理は、例えば、クロマトグラフ法、イオン交換樹脂を使用する溶離法、溶媒による分配抽出等を単独又は組合わせて採用することができる。クロマトグラフ法としては、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、遠心液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を挙げることができ、これらのいずれか又はそれらを組み合わせで行う方法が挙げられる。この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宣選択することができる。
前記のように、カンカニクジュヨウの肉質茎、カンカニクジュヨウの肉質茎を水、低級脂肪族アルコールもしくは低級脂肪族アルコールの含水物により抽出して得られる抽出液、前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、及び構造式A、B、C、D、E、F、G又はHで表される化合物からなる群の中から選ばれる化合物は、二糖類加水分解酵素(スクラーゼ、マルターゼ)を阻害する。又、構造式A、E、F、G、H、I又はJで表される化合物からなる群の中から選ばれる化合物は、アルドース還元酵素を阻害する。従って、ともに糖尿病の病態の制御に寄与すると判断される。
さらに、この本発明の抗糖尿病剤は、医薬や食品に適用することができ、この抗糖尿病剤を含有させることにより優れた抗糖尿病効果を有する医薬や食品を製造することができる。
前記肉質茎、抽出液、抽出エキス、又は、構造式A、B、C、D、E、F、G、H、I又はJで表される化合物からなる群の中から選ばれる化合物を含有させてヒト又は動物用医薬品を製造する場合は、そのままの状態で又は適当な媒体で希釈して、医薬品等の製造分野における公知の方法により製造することができ、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又は液剤等の種々の形態にして使用することができる。
適当な媒体としては、医薬的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント又はポリビニルピロリドン)、充填剤(例えば乳糖、砂糖、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン)、錠剤用滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール又はシリカ)、崩壊剤(例えば馬鈴薯澱粉)又は湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)等が挙げられる。
錠剤とする場合は、通常の製薬における周知の方法でコートしてもよい。液体製剤とする場合は、例えば水性又は油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ又はエリキシルの形態であってもよい。又、使用前に水や他の適切な賦形剤と混合する乾燥製品として提供してもよい。
こうした液体製剤は、通常の添加剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン水添加食用脂等の懸濁化剤、レシチン、ソルビタンモノオレエート、アラビアゴム等の乳化剤(食用脂を含んでもよい)、アーモンド油、分画ココヤシ油又はグリセリン、プロピレングリコールやエチレングリコールのような油性エステル等の非水性賦形剤、p−ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピル又はソルビン酸等の保存剤を含んでもよく、さらに所望により着色剤又は香料等を含んでもよい。
又、前記肉質茎、抽出液、抽出エキス、又は、前記構造式A、B、C、D、E、F、G、H、I又はJで表される化合物からなる群の中から選ばれる化合物を含有させた食品(機能性食品も含む)を製造する場合は、それぞれを単独で又は2種以上の混合物として、食品又は機能性食品に含有させ、食品又は機能性食品に抗糖尿病作用を与えることができる。
ここで、機能性食品とは、通常の食品よりも積極的な意味で、保健、健康維持・健康増進等を目的とした食品を意味する。食品又は機能性食品の形態としては、例えば、液体又は半固形、固形の製品、具体的には散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又は液剤等のほか、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、お茶類、栄養飲料、スープ等の形態が挙げられる。これらの食品の製造工程において、あるいは最終製品に、前記の抽出物、抽出エキス、及び/又は前記化合物を混合又は塗布、噴霧などにより添加して、機能性食品とすることができる。
本発明の医薬又は食品における、前記肉質茎、抽出液、抽出エキス、又は、前記構造式A、B、C、D、E、F、G、H、I又はJで表される化合物からなる群の中から選ばれる化合物の使用量は、濃縮、精製の程度、活性の強さ等、使用目的、対象疾患や自覚症状の程度、使用者の体重、年齢等によって適宣調整される。例えば、医薬として成人について使用する場合は、1回の投与毎に、抽出液又は抽出エキスでは、1mg〜20g程度の範囲で使用し、この範囲内で精製度や水分含量等に応じて調整することが適当な場合が多い。又、前記化合物を使用する場合は、1mg〜1g程度が適当な場合が多い。
又、機能性食品として使用する場合は、食品の味や外観に悪影響を及ぼさない量、例えば、対象となる食品1kgに対して、前記肉質茎、抽出液、抽出エキス、又は、構造式A、B、C、D、E、F、G、H、I又はJで表される化合物からなる群の中から選ばれる化合物を、1mg〜20g程度の範囲で添加することが適当な場合が多い。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
(1)カンカニクジュヨウメタノール抽出エキスの調製
乾燥したカンカニクジュヨウ(C.tubulosa)の肉質茎部を粉砕し、これに約10倍量のメタノールを加え、加熱還流下3時間抽出した。抽出後、ひだ折りろ紙でろ過した後、抽出残渣に再度、前記とほぼ同量のメタノールを加え、3時間加熱還流し、同様にろ過作業を行った。合計3回の抽出を行い、その抽出液をあわせ、ロータリーエバポレーターを用いて、減圧下に溶媒を留去して、カンカニクジュヨウのメタノール抽出エキスを得た。
(2)メタノール抽出エキスの含有成分の単離
構造式Aの化合物(ツブロシドA)、構造式Eの化合物(2’−アセチルアクテオシド)、構造式Fの化合物(アクテオシド)、構造式Gの化合物(イソアクテオシド)及び構造式Hの化合物(エキナコシド)は、特許文献1の実施例2の「メタノール抽出エキスの分離及び精製」に記載の方法、条件により単離した。又、構造式Bの化合物(カンカノシドKおよびK)は、非特許文献5に記載の方法、条件により単離した。構造式Cの化合物(カンカノシドL)は、非特許文献6に記載の方法、条件により単離した。構造式Dの化合物(ウィデマンニノシドC)、構造式Iの化合物(カンプネオシドI)及び構造式Jの化合物(シリンガリド A 3’−O−α−L−ラムノピラノシド)は、非特許文献7に記載の方法、条件により単離した。
実施例2 二糖類加水分解酵素(スクラーゼ、マルターゼ)阻害活性試験
実施例1で得られたカンカニクジュヨウのメタノール抽出エキス及び構造式A〜Hのいずれかで表される化合物について、次に示す方法により二糖類加水分解酵素(スクラーゼ、マルターゼ)阻害活性試験を行い、酵素活性の阻害率を算出した。マルターゼ阻害活性についての結果を表1に、スクラーゼ阻害活性についての結果を表2に示す。
[試験方法]
基質としてスクロース(74mM)またはマルトース(74mM)溶液50μLに被験サンプル溶液25μLを加え、37℃で5分間予備加温した。酵素液25μLを加えて30分間反応させ、水400μLを加え、沸騰水浴中で5分間加熱し、酵素を失活させた。別に、各被験サンプルにつき酵素液を加えた後、直ちに水を加えて沸騰水浴中で5分間加熱し、酵素を失活させたものをブランクとした。生成したD−グルコースの量をグルコースオキシダーゼ法(グルコースCIIテストワコー)により測定した。基質は0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に溶解し、被験物質はDMSOに溶解した液をマレイン酸緩衝液に添加(DMSOの終濃度2.5%)して用いた。対照群と比較して生成されたD−グルコース濃度から、酵素活性の阻害率を算出した。
酵素液の調製
Wistar系雄性ラット(体重約150〜350g)の空腸から得られた刷子縁膜を粗酵素として用いた。刷子縁膜は、0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に懸濁し、上記の反応条件で、スクラーゼ阻害試験においては約5mg/dL,マルターゼ阻害試験においては約10mg/dLのD−グルコースが生成する濃度に希釈して用いた。
Figure 0006151003
Figure 0006151003
上記表1及び表2に示すように、カンカニクジュヨウ肉質茎から得られた、メタノール抽出エキスおよび構造式A〜Hで表される化合物に、食後の血糖値の上昇に関わる二糖類加水分解酵素(スクラーゼ、マルターゼ)に対する阻害活性が見出された。
実施例3 アルドース還元酵素阻害活性試験
実施例1で得られたカンカニクジュヨウのメタノール抽出エキス及び構造式A又はE〜Jのいずれかで表される化合物について、次に示す方法によりアルドース還元酵素阻害活性試験を行った。その結果を表3及び表4に示す。
[試験方法]
Dufranらの方法[Biochem. Med. 32, 99(1984) ]を一部改変した実験を行った。酵素液としては、ウィスター系雄性ラット(体重約150〜300g)の20匹分のレンズを10mMの2−メルカプトエタノールを含むリン酸緩衝液(135mM、pH7.0)50mL中でホモジネートした後、100000×gで30分間遠心分離し、上清液を用いた。この酵素液は、−20℃以下で凍結保存し、用時解凍し、リン酸緩衝液にて5〜20倍に希釈して用いた。
反応液は、リン酸緩衝液(135mM、pH7.0)0.5mL中に、硫酸リチウム(100mM)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)(0.03mM)、基質としてDL−グリセルアルデヒド(1mM)、酵素液(0.1mL)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した被験物を含む液(0.025mL)を含むように調整した。
反応は、NADPHを上記濃度になるように反応液に加えることで開始した。反応液を30℃に保った状態でNADPHを反応液に加えて、反応を開始させた。30分後に0.5Nの塩酸0.15mLを加えて、反応を停止させた。次に、10mMのイミダゾールを含む6Nの水酸化ナトリウム溶液0.5mLを加え、60℃で10分間加熱して、DL−グリセルアルデヒドの還元化物であるグリセロールとともに生成したNADPを蛍光物質に変え、蛍光強度を測定した(励起波長360nm、測定波長460nm)。
Figure 0006151003
Figure 0006151003
上記表3および表4に示すように、カンカニクジュヨウ肉質茎から得られた、メタノール抽出エキスおよび構造式AおよびE〜Jで表される化合物に、糖尿病の合併症発症の律速酵素であるアルドース還元酵素に対する阻害活性が見出された。

Claims (4)

  1. 下記の構造式Aで表される化合物:
    Figure 0006151003
    、下記の構造式Iで表される化合物:
    Figure 0006151003
    及び、下記の構造式Jで表される化合物:
    Figure 0006151003
    からなる群の中から選ばれる1又は2以上の化合物を有効成分として含むことを特徴とするアルドース還元酵素阻害剤。
  2. 下記の構造式Bで表される化合物:
    Figure 0006151003
    、下記の構造式Cで表される化合物:
    Figure 0006151003
    、下記の構造式Dで表される化合物:
    Figure 0006151003
    及び、下記の構造式Iで表される化合物:
    Figure 0006151003
    からなる群の中から選ばれる1又は2以上の化合物を有効成分として含むことを特徴とする抗糖尿病剤。
  3. 下記の構造式Bで表される化合物:
    Figure 0006151003
    、下記の構造式Cで表される化合物:
    Figure 0006151003
    及び、下記の構造式Dで表される化合物:
    Figure 0006151003
    からなる群の中から選ばれる1又は2以上の化合物を有効成分として含むことを特徴とする医薬。
  4. 請求項2に記載の抗糖尿病剤を含有することを特徴とする抗糖尿病用機能性食品。
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