JP4451627B2 - 血糖値上昇抑制剤およびage生成阻害剤 - Google Patents

血糖値上昇抑制剤およびage生成阻害剤 Download PDF

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Description

本発明は、アセロラ由来で血糖値上昇抑制活性および/またはAGE生成阻害活性を示す物質を有効成分として含む、血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤に関する。
近年の食生活やライフスタイルの変化に伴い、糖尿病患者は増加傾向にある。現在のわが国の糖尿病患者は700万人にのぼり、糖尿病の予備軍を含めると、1500万人に達するといわれている。
糖尿病とは、インスリンというホルモンの作用不足によって高血糖状態が長く続くという代謝疾患群である。高血糖状態が続くと、神経障害、白内障、腎障害、網膜症、関節硬化症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性壊疽等の種々の合併症を発症することがある。合併症は主に、患者の血液中のタンパク質が糖と結合する非酵素的糖化が原因とされる血管障害と、糖が代謝されるときに生じるソルビトールの蓄積によって細胞が破壊されることが原因とされる神経障害とに分かれる。タンパク質が糖と結合して形成された糖化蛋白質は、さらに反応が進むと蛋白糖化反応最終産物(Advanced Glycation Endproducts;AGE)と呼ばれる化合物を形成する。AGEは血管内皮細胞にある特異的な受容体(RAGE)に結合して糖尿病血管障害の発症に寄与すると考えられている。
このため、血糖値の上昇を抑制すること、およびAGEの生成を阻害することが、それぞれ糖尿病および糖尿病合併症を治療・予防する方法の一つと考えられる。
これに関して、従来より、糖尿病および糖尿病合併症の治療・予防のための多くの薬剤が開発されている。
例えば、食後に血糖値が上昇して異常値を示す糖尿病患者に投与するための血糖値上昇抑制剤や、血糖値が上昇しないように抑制するために炭水化物の消化吸収阻害をするα-グルコシダーゼ阻害薬である。代表的なα-グルコシダーゼ阻害剤として、ボグリボースやアカルボースが知られている。また、AGE生成阻害剤として、例えば、カルボニル試薬であるアミノグアニジンが知られており、抗糖尿病薬や抗糖尿病合併症薬として注目され様々な臨床実験が行われている。
しかし、これらの薬剤は、効果が強力である一方、服用したときの腹部膨満感、他の血糖降下薬との併用による低血糖状態の誘引、吐き気や頭痛等、患者に対する様々な副作用が問題となる。
これに対して、効果は穏やかであるが、副作用の問題はないとされる天然の成分由来の薬剤も開発されている。天然成分由来の血糖値上昇抑制剤として、例えばα-グルコシダーゼ阻害作用を示すポリフェノールがあり、グァバ葉に含有されているポリフェノールを利用したグァバ葉エキスからなる健康飲料についての特許出願もされている(特許文献1)。また、天然成分由来のAGE生成阻害剤として、例えばワイルドライス等の米類からの抽出物を用いた抗糖尿病活性物質及び抗糖尿病合併症活性物質とその製造方法(特許文献2)等が知られているが、まだ数は少ない。
ポリフェノールは、抗酸化作用を有し、動脈硬化や糖尿病、ガン等といったいわゆる生活習慣病に対し予防効果がある天然成分として近年注目を浴びている。例えば、特許文献3は、果実ポリフェノールが血糖値上昇抑制作用を示すことを記載している。
一方、アセロラはキントラノオ科ヒイラギトラノオ属の熱帯果実で、カリブ海諸島を原産としている。アセロラ果実は、果実100g当り約1,500mg、あるいはそれ以上の豊富なビタミンCを含む植物として知られ、現在では世界各国で飲料や健康食品として用いられている。しかし、ビタミンC以外の成分、特にポリフェノール成分に関しては、現在までほとんど検討されていない。アセロラは鮮やかな赤色を呈していることから、多種多様なポリフェノール成分が含まれることが期待され、またその利用の途が望まれる。
特公昭60−36746号公報 特許第3334016号公報 特開2003−81853号公報
本発明の目的は、アセロラ由来の血糖値上昇抑制作用および/またはAGE生成阻害作用を示す血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤を提供することである。
本発明の目的はまた、アセロラ由来の糖尿病または糖尿病合併症予防・治療剤を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アセロラ由来の物質が血糖値上昇抑制活性およびAGE生成阻害活性を示すことを発見した。
上記課題を解決する本発明は、以下の発明を包含する。
(1)アセロラ由来で血糖値上昇抑制活性を示す物質を有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤。
(2)アセロラ由来でAGE生成阻害活性を示す物質を有効成分として含有するAGE生成阻害剤。
(3)アセロラの抽出物またはその処理物を有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤またはAGE生成阻害剤。
(4)アセロラ由来のポリフェノールを有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤またはAGE生成阻害剤。
(5)ポリフェノールが、アントシアニン系色素およびケルセチン配糖体を含有する上記(4)に記載の血糖値上昇抑制剤またはAGE生成阻害剤。
(6)糖尿病および/または糖尿病合併症の治療に用いる、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載の血糖値上昇抑制剤またはAGE生成阻害剤。
(7)アセロラ由来で血糖値上昇抑制活性および/またはAGE生成阻害活性を示す物質を有効成分として含有する糖尿病または糖尿病合併症予防・治療剤。
(8)アセロラ果実を粉砕する工程、該粉砕したアセロラ果実を抽出する工程、および必要に応じて精製処理を行う工程を含む、血糖値上昇抑制剤またはAGE生成阻害剤の製造方法。
本発明の血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤は、血糖値上昇を抑制し、またAGE生成を阻害するため、糖尿病または糖尿病合併症、特に糖尿病合併症を予防・治療するのに有効である。
本発明で提供される血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤は、天然成分由来のため、副作用の問題がない。
本発明は、天然成分のアセロラ由来の血糖値上昇抑制活性および/またはAGE生成阻害活性を示す物質を有効成分として含有する血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤に関する。本発明で用いるアセロラの生産地や品種は特に制限されないが、生産地としては、例えば沖縄、ブラジルが挙げられる。
本発明の血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤は、アセロラ由来で血糖値上昇抑制活性および/またはAGE生成阻害活性を示す物質を含有すればよい。アセロラは、果実を破砕、粉砕等により粉末化処理したものを用いてもよいが、抽出物又はその処理物として用いることが好ましい。
抽出に用いる有機溶媒は、親水性有機溶媒が好ましい。親水性有機溶媒として、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸等の公知の有機溶媒が挙げられる。特にメチルアルコールを用いて抽出することが好ましい。上記の親水性有機溶媒、特にメチルアルコールおよびエチルアルコールは、水との混合物として用いることが好ましい。
抽出条件は特に限定されないが、好ましい温度範囲は5〜90℃、特に20〜40℃である。ここで、高温で抽出を行った場合に、特に配糖体を形成しているポリフェノール等において加水分解を起こすことがある。このため低温抽出により得られるポリフェノールと高温抽出により得られるポリフェノールとが異なる可能性があるが、ポリフェノールの機能性の活性強度には何ら影響しない。抽出時間は1時間〜10時間程度、特に1〜2時間程度が好ましく、また抽出に使用する溶媒量は原料に対して質量比で1倍量〜20倍量が好ましい。
抽出後、ろ過あるいは遠心分離により抽出残渣を除き抽出液を得る。この抽出液は必要により濃縮処理を行うこともできる。
得られた抽出液には糖分や有機酸が非常に多く含まれるため、それらを除く精製工程を行うことも好ましい。精製処理の方法として、順相又は逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。これらの方法を組み合わせて用いることもできる。
また、抽出液を単離精製したところ、アセロラのポリフェノール成分に、シアニジン-3-ラムノシドとペラルゴニジン-3-ラムノシド等のアントシアニン系色素と、クエルシトリン(ケルセチン-3-ラムノシド)等のケルセチン配糖体とが含まれることが明らかになった。アントシアニン系色素は抗酸化活性を有することが知られており、また、ケルセチン配糖体はアルドース還元酵素を阻害してソルビトールの生産や蓄積を低下させる活性があることが知られている。ケルセチン配糖体はさらに、インスリン抵抗性の改善に関与しているとされるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体依存的遺伝子転写活性化効果があることも知られている。
本発明者らは、これらの効果に加えて、アセロラ由来のアントシアニン系色素およびケルセチン配糖体が、血糖値上昇抑制活性および/またはAGE生成阻害活性を有することを見出した。
なお、抽出液の単離精製の方法としては、HPLC、合成吸着剤クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等があるが、特に合成吸着剤クロマトグラフィーが好ましい。この場合、抽出条件としては、例えば10〜50%エタノール溶液を用いて溶出することが好ましい。またさらに、アントシアニン色素は酸性条件下で安定化するため、この溶出液に塩酸又は酢酸などを加え酸性にすることが特に好ましい。
本発明の血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤は、常法に従って食品、飴、トローチ、ジャム、チューインガム、飲料等に添加することが好ましい。また、アセロラの抽出物乾燥粉末としてそのまま使用することもできる。さらに、食品等に添加して、いわゆる特定保健用食品(例えば、糖尿病・糖尿病合併症予防食品)等とすることもできる。
本発明の血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤はまた、アセロラの抽出物や精製物を公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化することができる。投与形態としては、特に制限はなく、必要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤等の経口剤、又は注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤、軟膏剤等の非経口剤として使用される。本発明の血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤の添加量は、添加対象物の種類、使用形態等の諸条件によって異なるが、通常、添加対象物全体に対し0.01〜10質量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明の血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤の投与量は、患者の年令、体重、疾患の程度、投与経路により異なるが、経口投与では、アセロラの抽出物乾燥粉末として、通常1日10〜3000mgであり、投与回数は、通常、経口投与では1日1回〜3回である。
経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等の賦形剤を用いて常法に従って製造される。
この種の製剤には、適宜前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。
結合剤の具体例としては、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが挙げられる。
崩壊剤の具体例としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
界面活性剤の具体例としては、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが挙げられる。
滑沢剤の具体例としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられる。
流動性促進剤の具体例としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが挙げられる。
また、本発明の血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤は、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤として投与する場合には、矯味矯臭剤、着色剤を含有してもよい。
本発明の血糖値上昇抑制剤およびAGE生成阻害剤の製造原料であるアセロラは現在までに食品、化粧品等に供されており、安全性は確立されている。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 アセロラに含まれるポリフェノール成分の分離精製と構造解析
アセロラに含まれる主なポリフェノール成分を明らかにするために、ポリフェノール成分の分離精製と構造解析を行った。
アセロラ果実から種子を取り除き、残りの可食部をホモジナイズし3倍量のメタノールを添加し1時間抽出した。この操作を2回行い、遠心・ろ過後、凍結乾燥し、再度蒸留水に溶解した。この抽出液をC18カートリッジカラム(Waters Sep-Pak Vac 35cc C18カートリッジカラム)に供し、10%メタノールで充分洗浄した後、0.1% TFA/20%メタノール溶液で溶出される画分および0.1% TFA/30%メタノール溶液で溶出される画分を採取した。この20%メタノール溶出画分、および30%メタノール溶出画分についてHPLCで分析を行った。
その結果、20%メタノール溶出画分には、ポリフェノール成分と考えられる500nm付近に吸収を持つ赤色系の色素成分の2成分が確認された(pigment1、pigment2)。この2成分について、HPLCにより精製を2回行った。2回のHPLC条件を以下に示す。
(1次精製)
カラム:Develosil RPAQUEOUS-AR-5カラム(C30:10.0×250mm)
カラム温度:40℃
流速:2.3ml/min
移動相:20%アセトニトリル+0.1% TFA
検出:フォトダイオードアレー
(2次精製)
カラム:phenomenex LUNA 5μ C18(2)カラム(10.0×250mm)
カラム温度:40℃
流速:2ml/min
移動相:43%メタノール+0.1%TFA
検出:フォトダイオードアレー
この精製条件により得られた精製物に対し、NMR測定を行った。その結果、pigment1はシアニジン-3-ラムノシド、pigment2はペラルゴニジン-3-ラムノシドであると同定した。
一方、30%メタノール溶出画分には、ポリフェノール成分と考えられる350nm付近に吸収を持つ成分が1成分確認された。この成分について、上と同様の条件で精製を行い、得られた精製物に対し、NMR測定を行った。その結果、この成分は、クエルシトリン(ケルセチン-3-ラムノシド)であると同定した。
実施例2 アセロラ抽出物およびそのポリフェノール含量
アセロラ果実から種子を取り除き、残りの可食部をホモジナイズし3倍量のメタノールを添加し1時間抽出した。この操作を2回行い、遠心・ろ過後、凍結乾燥し、再度蒸留水に溶解した。この抽出液をC18カートリッジカラム(Waters Sep-Pak Vac 35cc C18カートリッジカラム)に供し、蒸留水で洗浄後、0.2% TFA/メタノール溶液で溶出し、濃縮乾固して抽出物を得た。
次に、得られた抽出物のポリフェノール含量をFolin-Denis法により測定した。即ち、抽出物を濃度0.5mg/mlとなるように蒸留水に溶解し、得られた抽出液0.1mlを蒸留水2.9mlとFolin-Ciocalteu試薬(MERCK製)0.5mlを加えた。3分間放置後、20%炭酸ナトリウム溶液を加え、さらに60分間放置後、650nmの吸光度を測定した。なお、検量線はカテコールを標準物質として作成した。
この結果、ここで得られた抽出物のポリフェノール含量は22.7%であった。
実施例3 アセロラ抽出物およびそのポリフェノール含量
アセロラ果実から種子を取り除き、残りの可食部をホモジナイズし3倍量の80%エタノールを添加し1時間抽出した。この操作を2回行い、遠心・ろ過後、凍結乾燥し、再度蒸留水に溶解した。この抽出液をC18カートリッジカラム(Waters Sep-Pak Vac 35cc C18カートリッジカラム)に供し、蒸留水で洗浄後、10%酢酸/エタノール溶液で溶出し、濃縮乾固して抽出物を得た。
この結果、ここで得られた抽出物のポリフェノール含量は20%であった。
実施例4 α-グルコシダーゼ阻害作用の測定
実施例2および実施例3で調製したアセロラ抽出物ならびに実施例1で精製したpigment1、pigment2およびクエルシトリンの3種類のポリフェノールについて、以下の方法によりα-グルコシダーゼ阻害作用(マルターゼ阻害およびスクラーゼ阻害)を測定した。
市販ラット腸管アセトン粉末に9倍量の56mMマレイン酸緩衝液(pH6.0)を添加し、ガラスホモジナイザーで均質化した後、遠心分離を行い、上清を回収し、これを粗酵素液とした。マルターゼ反応は粗酵素液を20倍希釈、スクラーゼ反応には2倍希釈して使用した。
まず、2%マルトースまたは2%スクロース溶液0.6mlに、2mg/mlの濃度の試料溶液0.6mlを添加し、37℃で5分間保温後、粗酵素液を0.6ml添加し、37℃で120分間反応させた。沸騰水中で10分間加熱し酵素を失活させた後、遠心分離を行い、上清のグルコース量をHPLCにより測定した。
HPLC条件は以下の通りである。
カラム:Shim-pack CLC-NH2カラム(6.0×150mm)
カラム温度:室温
流速:2ml/min
移動相:75%アセトニトリル
検出:RI
上記の方法で測定した結果を図1に示す。図1より、実施例2および実施例3で調製したアセロラ抽出物ならびに実施例1で精製したpigment1、pigment2およびクエルシトリンの3種類のポリフェノールは、いずれもマルターゼ阻害作用およびスクラーゼ阻害作用を示したが、特にマルターゼに対する阻害活性が強いことが示された。また、精製した3種類のポリフェノールの中では、クエルシトリンの阻害活性が非常に強いことが示された。
実施例5 AGE生成阻害作用の測定
実施例2および実施例3で調製したアセロラ抽出物ならびに実施例1で精製したpigment1、pigment2およびクエルシトリンの3種類のポリフェノールについて、以下の方法によりAGE生成阻害作用を測定した。
16mg/mlの牛血清アルブミン1ml、4Mグルコース1ml、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)1ml、0.3mg/mlの試料溶液1mlを混合し、60℃で貯蔵した。7日後に、蛋白質とグルコースによって生成されたAGEを蛍光分光計により分析した。蛍光の条件は、AGE初期産物の分析では励起波長325nm・蛍光波長405nm、AGE後期産物の分析では励起波長370nm・蛍光波長440nmとした。また、比較対照として、アミノグアニジンを用いた。
上記の方法で測定した結果を図2に示す。図2より、実施例2および実施例3で調製したアセロラ抽出物ならびに実施例1で精製したpigment1、pigment2およびクエルシトリンの3種類のポリフェノールは、いずれも高いAGE生成阻害作用を示しており、AGE生成阻害活性が非常に強いことが示された。
実施例2および実施例3で調製したアセロラ抽出物ならびに実施例1で精製したpigment1、pigment2およびクエルシトリンの3種類のポリフェノールについて、マルターゼ阻害作用およびスクラーゼ阻害作用を測定した結果を示したグラフである。 実施例2および実施例3で調製したアセロラ抽出物ならびに実施例1で精製したpigment1、pigment2およびクエルシトリンの3種類のポリフェノールについて、AGE生成阻害作用を測定した結果を示したグラフである。

Claims (6)

  1. アセロラの抽出物またはその処理物を有効成分として含有する糖化反応最終産物(Advanced Glycation Endproducts;AGE生成阻害剤。
  2. アセロラ由来のポリフェノールを有効成分として含有する糖化反応最終産物生成阻害剤。
  3. ポリフェノールが、アントシアニン系色素およびケルセチン配糖体を含有する請求項2に記載の糖化反応最終産物生成阻害剤。
  4. 糖尿病および/または糖尿病合併症の治療に用いる、請求項1〜3のいずれか1に記載の糖化反応最終産物生成阻害剤。
  5. 請求項1〜3のいずれか1に記載の糖化反応最終産物生成阻害剤を有効成分として含有する糖尿病または糖尿病合併症予防・治療剤。
  6. アセロラ果実を粉砕する工程、該粉砕したアセロラ果実を抽出する工程、および必要に応じて精製処理を行う工程を含む、糖化反応最終産物生成阻害剤の製造方法。
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