JP6150152B1 - 荷役用パレット - Google Patents

Abstract

【課題】 積載効率と作業効率の双方を向上する荷役用パレットの提供。【解決手段】 矩形板状を呈し、貨物を載置する載置面部と、該載置面部と平行しパレット支持面に接する接地面部とを備え、上記載置面部の四つの縁部の少なくとも一つを全長又は部分長に亘り庇状縁部として形成し、該庇状縁部の下方に、上記パレット支持面を露出させると共にフォークの先端部が挿し入れられる凹部を画成する構造を有し、上記庇状縁部は該庇状縁部の下面にフォークの先端部上面と摺接する摺接部を有し、上記凹部の奥行を上記フォークの先端部上面が初めに上記摺接部に接するときのフォーク挿入長さよりも長く設定し、上記摺接部と上記フォークの先端部上面との摺接により上記庇状縁部が持ち上げられて、上記接地面部と該接地面部に接していたパレット支持面間にフォーク挿入間隙を現出させることを特徴とする。【選択図】 図４Ａ

Description

本発明は、貨物の積み込みや荷下ろし、搬送等の荷役作業の際に、貨物を載せる台となる荷役用パレットに関するものである。

この種の荷役用パレットは、フォークリフトトラックのフォーク(爪)を挿し入れられて掬い上げられ、貨物と共に上げ下げされたり、搬送されたりした後、フオークが抜かれることが前提となっている。よって如何にスムーズにフォークを挿抜できるかが荷役用パレットの重要な要素である。

従来、コンベンショナルパレット（わが国では「平パレット」）と称される矩形厚板状の荷役用パレットが主流であり、このパレットは、貨物を載置する載置面部と、地面等のパレット支持面と接する接地面部とを備え、該載置面部と接地面部間にフォークを遊間をもって挿抜できるフォークポケット（フォーク挿し込み空間）を形成する構造となっている（例えば、下記特許文献１の第１図参照）。

当該コンベンショナルパレットは、フォークポケットの存在によりフォークをスムーズに挿抜できるメリットがあるが、反面、十分な大きさのフォークポケットの形成と強度の両立を図ると、パレット厚がフォーク厚（一般的なフォークの厚さは約４５ｍｍ）の数倍の１２０ｍｍ〜２００ｍｍともなる。したがって、従来のコンベンショナルパレットでは、パレット厚の分だけ体積が大きくなりコンテナ内や倉庫内の容積を侵食することとなって、貨物の積載効率の低下を招いていた。

そこで、下記特許文献１に開示されているように、フォークポケットを廃して可及的に薄く形成された荷役用パレットが開発されている。該特許文献１の荷役用パレットは、表面側を載置面部とし裏面側を接地面部とする厚さ２．５ｍｍ〜５．５ｍｍの合板から成るパレットであり、上記載置面部の四つの縁部の少なくとも一つから斜めに立ち上がって延出された傾斜片部を形成する構造となっている。

実開昭６０−１３３３３号公報

上記特許文献１の荷役用パレットは、パレット厚が薄いことから、パレット自体の体積を減らすことはできるものの、傾斜片部が載置面部よりも延出されており、当該傾斜片部の上方には貨物を載置することができない無駄なスペースが生じてしまう問題点を有している。そのため、依然として積載効率を大幅に向上するには至っていない。

また、上記特許文献１の荷役用パレットにおいては、フォークを接地面部と床面や地面等のパレット支持面との間に挿し入れる際には、傾斜片部をプッシュプル装置で把持して引き寄せながら行う必要がある（８頁第２段落，第８図）。すなわち、プッシュプル装置とフォークとを同時に操作する煩雑な作業が生じ、フォークのみで行う作業に比して作業効率が著しく悪いという問題点を有している。

なお、上記特許文献１の荷役用パレットが床面上や地面上、つまり傾斜片部の手前側にも広がるパレット支持面上に存する場合には、ローラーコンベアを内蔵したフォーク（ローラ付フォーク）に代表される、先端部上面が先端に向かって下り傾斜するフォークを正確に操作すれば、プッシュプル装置を用いなくとも接地面部とパレット支持面間にフォークを挿し入れることは可能である。

しかしながら、上記特許文献１の荷役用パレットを使用して貨物を複数段に積み上げた場合に、二段目以上のパレットに対して作業しようとすると、そのパレットの接地面部とパレット支持面（下段貨物の天面）とが略同面積でありながら一致して重なっているため当該パレット支持面を視認できず、フォークの先端部をどれくらいのレベルまで移動させるかが把握し難い。したがって当然に、二段目以上のパレットの接地面部とパレット支持面間にフォークを挿し入れることは困難であると共に、下段の貨物を傷付けてしまうおそれもある。

既述のとおり、上記特許文献１の荷役用パレットにあっては、パレット厚を薄くして体積を減らすことはできても貨物を載置できない無駄な空間が生ずるため、積載効率の大幅向上は期待できない。加えて原則的にプッシュプル装置とフォークを同時に操作して荷役作業を行わねばならず作業効率が悪いと共に、ローラー付フォーク等の先端部上面が下り傾斜する特殊なフォークを用いても、複数段積みした二段目以上の貨物の荷役作業は困難である。

本発明は、従来の荷役用パレットが抱える問題点を抜本的に解決し、積載効率と作業効率の双方を向上する比類なき荷役用パレットを提供する。

要述すると、本発明に係る荷役用パレットは、先端部上面が先端に向かって下り傾斜するフォークを備えるフォークリフトトラックで行う荷役作業に使用することを前提とする荷役用パレットであって、次の構成を有する。

すなわち、矩形板状を呈し、貨物を載置する載置面部と、該載置面部と平行しパレット支持面に接する接地面部とを備え、上記載置面部の四つの縁部の少なくとも一つを全長又は部分長に亘り庇状縁部として形成し、該庇状縁部の下方に、上記パレット支持面を露出させると共に上記フォークの先端部が挿し入れられる凹部を画成する一方、内部にフォーク挿入空間を備えない構造を有し、上記庇状縁部は該庇状縁部の下面に上記フォークの先端部上面と摺接する摺接部を有し、該摺接部と上記フォークの先端部上面との摺接により上記庇状縁部が持ち上げられて、上記接地面部と該接地面部に接していたパレット支持面間にフォーク挿入間隙を現出させることができる。

好ましくは、上記庇状縁部下面をパレット内側に向かって下り傾斜している構成とし、フォーク先端部上面とのスムーズな摺接を図ると共に上記庇状縁部の基端（内端）側の補強を図る。

更に好ましくは、上記庇状縁部下面を傾斜した凸弧状面又は複数の段差又は屈曲面から成る構成とし、確実にフォーク先端部上面と摺接する上記摺接部を設ける。また、上記庇状縁部下面を傾斜した平面から成る構成とし、簡易構造ながら上記凹部を通じたパレット支持面の視認性を向上する。

また、上記傾斜した庇状縁部下面の下端が上記接地面部と連なる構成とし、上記庇状縁部の強度を向上しつつ上記凹部を形成する。

又は、上記傾斜した庇状縁部下面の下端を上記接地面部よりも上位に設定し、該庇状縁部下面の下端と上記接地面部とを繋ぐ嵩上げ壁部を形成した構成とし、上記凹部の奥行を可及的に長くすることができる。

又は、上記傾斜した庇状縁部下面の下端を上記接地面部よりも上位に設定し、該庇状縁部下面の下端に連続して上記凹部の奥行を延長する溝部を上記接地面部に形成した構成とし、上記溝部にて更に上記凹部の奥行を延長すると共に挿し入れたフォークの横ズレを防止する。

好ましくは、上記載置面部及び上記接地面部に複数の貫通状又は有底状の肉抜き部を設け、重量を軽減する。加えて不使用時のネスティングにも対応する。

本発明に係る荷役用パレットによれば、パレット内部に従来のフォークポケットの如きフォーク全体を挿抜できる空間を設ける必要がなく、載置面部の縁部下方にフォークの先端部を挿し入れる凹部のみを形成すればよいため、パレット厚を可及的に薄くできる。

また、載置面部の周りに貨物を載置できない無用なスペースを生ずることなく当該載置面部を有効に利用することができる。

また、載置面部の庇状縁部と該庇状縁部の下方に画成した凹部とが協働してスムーズにフォークを接地面部とパレット支持面間に挿し入れることができ、フォークのみを使用して荷役作業を行うことができる。

さらに、凹部にてパレット支持面を視認しながら荷役作業を行うことができ、特に複数段積みした二段目以上の貨物に対する荷役作業を効率的に行うことができる。

したがって、本発明に係る荷役用パレットによれば、コンテナや倉庫への貨物の積載効率の向上と、荷役作業の作業効率の向上とを高次元で達成することができる。

実施例１に係る荷役用パレットを載置面部側から示す斜視図。 実施例１に係る荷役用パレットを接地面部側から示す斜視図。 フォークの斜視図。 フォーク先端部の拡大説明図。 庇状縁部下面の摺接部とフォーク先端部上面とが接した状態を示す拡大説明図。 庇状縁部下面の摺接部とフォーク先端部上面とが摺接し庇状縁部が持ち上げられた状態を示す拡大説明図。 傾斜した凸孤面から成る下面を有する庇状縁部を示す拡大説明図。 傾斜した屈曲面から成る下面を有する庇状縁部を示す拡大説明図。 複数の段差から成る下面を有する庇状縁部を示す拡大説明図。 傾斜しない下面を有する庇状縁部を示す拡大説明図。 庇状縁部下面の下端を接地面より上位に設定した例を示す拡大説明図。 図７Ａの例示の他例を示す拡大説明図。 貨物を複数段積みした状態を示す斜視図。 実施例２に係る荷役用パレットを載置面部側から示す斜視図。 実施例２に係る荷役用パレットを接地面部側から示す斜視図。 実施例３に係る荷役用パレットを載置面部側から示す斜視図。 実施例３に係る荷役用パレットを接地面部側から示す斜視図。 実施例４に係る荷役用パレットを載置面部側から示す斜視図。 実施例４に係る荷役用パレットを接地面部側から示す斜視図。 庇状縁部下面の下端を接地面より上位に設定し接地面部に溝を形成した例を示す拡大説明図。 図１２Ａの例示に係る荷役用パレットを接地面部側から示す斜視図。 実施例５に係る荷役用パレットを載置面部側から示す斜視図。 実施例５に係る荷役用パレットを接地面部側から示す斜視図。 実施例６に係る荷役用パレットを載置面部側から示す斜視図。 実施例６に係る荷役用パレットを接地面部側から示す斜視図。 実施例６に係る荷役用パレットの断面図。

以下、本発明に係る荷役用パレットの最適な実施例について図１乃至図１５に基づき説明する。

＜基本構成＞
本発明に係る荷役用パレットは、図１Ａ・Ｂ、図９Ａ・Ｂ、図１０Ａ・Ｂ、図１１Ａ・Ｂ、図１３Ａ・Ｂ、図１４Ａ・Ｂに示すように、矩形板状を呈し、貨物を載置する載置面部１と、該載置面部１と平行し、地面や床面や下段貨物の天面等のパレット支持面に接する接地面部２とを備え、上記載置面部１の四つの縁部（辺部）３の少なくとも一つを全長又は部分長に亘り庇状縁部３′として形成すると共に該庇状縁部３′の下方に凹部４を画成する構造を有する。

すなわち、庇状縁部３′の下方の凹部４は、側面部５と接地面部２の出隅角を省略して画成される。よって凹部４は、側方と下方に開ロする空間であり、パレット支持面を露出させると共に後記するフォーク１１の先端部１２が挿し入れられるものである。

また、載置面部１における庇状縁部３′として形成されない縁部３は側面部５を介して接地面部２と繋がれている。

本発明に係る荷役用パレットは、木、金属、合成樹脂、紙等の既知の荷役用パレットで用いる材料で形成することができる。また、載置面部１の縁部３′の下方にフォーク先端部を挿し入れる凹部４のみを形成すればよいため、パレット厚を可及的に薄くできる。例えば、材質にもよるが、パレット厚を５ｍｍ〜７０ｍｍ程度にすることができる。好ましくは、強度との関係からパレット厚を３０ｍｍとする。

また、本発明に係る荷役用パレットは、載置面部１の周りに貨物を載置できない無用なスペースを生ずることなく当該載置面部１を有効に利用することができる。

したがって、コンテナや倉庫への貨物の積載効率を大幅に向上することができる。

なお、後記する各実施例においては、載置面部１の四つの縁部３の全てを全長又は部分長に亘り庇状縁部３′として形成した例について説明するが、既述の如く、本発明は載置面部１の少なくとも一つの縁部３の全長又は部分長に亘り庇状縁部３′を形成し、その下方に凹部４を画成する構成を全て包含する。

＜前提構成＞
ここで、本発明に係る荷役用パレットの前提構成を説明する。本発明に係る荷役用パレットは、図２、図３に示すようなフォーク１１を備えたフォークリフトトラックを用いて行う荷役作業に使用することを前提とするものである。すなわち、先端部１２の上面１２ａが先端１２ｂに向かって下り傾斜するフォーク１１を挿抜することを前提としている。

既述した構造のフォーク１１として、好ましくは、図２、図３に例示する如く、ローラーコンベア１３を内蔵するローラー付フォーク１１を対象とする。このローラー付フォーク１１が内蔵するローラーコンベア１３は、複数の上段ローラー１３Ａと複数の下段ローラー１３Ｂとから成り、両ローラー１３Ａ・１３Ｂは連動して互いに逆方向に回転し、パレット支持面Ｇ上でのフォーク１１の移動とフォーク１１上へのパレットや貨物等の乗降を補完する。

例えば、図３において、下段ローラー１３Ｂがパレット支持面Ｇに接した状態でフォーク１１を左方向へ移動（フォーク１１を前進）させると、それに応じて下段ローラー１３Ｂが左回転し、上段ローラー１３Ａが右回転する。したがって、下段ローラー１３Ｂの回転によりフォーク１１が滑らかにパレット支持面Ｇ上を前進できると共に、上段ローラー１３Ａの回転によりパレットや貨物等をフォーク１１上に導くことができる。

逆に下段ローラー１３Ｂがパレット支持面Ｇに接した状態でフォーク１１を右方向へ移動（フォーク１１を後退）させると、それに応じて下段ローラー１３Ｂが右回転し、上段ローラー１３Ａが左回転する。したがって、下段ローラー１３Ｂの回転によりフォーク１１が滑らかにパレット支持面Ｇ上を後退できると共に、上段ローラー１３Ａの回転によりパレットや貨物等をフォーク１１上からパレット支持面Ｇ上へと導くことができる。

＜実施例１＞
図１Ａ・Ｂは本発明に係る実施例１の荷役用パレットを示している。本実施例においては、既述の基本構成を備え、特に載置面部１の四つの縁部３を全長に亘って庇状縁部３′として形成する構成を特徴とする。

≪庇状縁部及び凹部の構成≫
ここで、載置面部１の庇状縁部３′及び該庇状縁部３′の下方に画成される凹部４の構成について詳述する。

図１Ａ・Ｂ，図４Ａに示すように、庇状縁部３′はパレット内側（パレットの中心部側）に向かって下り傾斜した平面から成る下面３′ａを有し、該下面３′ａにフォーク１１の先端部上面１２ａと摺接する摺接部３′ｃを有する。また、該下面３′ａの下端３′ｂは接地面部２に連なっている。なお、本発明において、摺接部３′ｃはフォーク先端部上面１２ａと摺接する庇状縁部下面３′ａの領域又は部分を指している。

上記のように庇状縁部下面３′ａを傾斜する構成とすることにより、フォーク先端部上面１２ａとのスムーズな摺接を図ると共に庇状縁部３′の基端（内端）側の補強を図り、更に庇状縁部下面３′ａの下端３′ｂを接地面部２に連ねることにより当該庇状縁部３′の強度を向上する。

また、庇状縁部下面３′ａを上記のように傾斜した平面で構成する場合には、該庇状縁部下面３′ａとフォーク先端部上面１２ａとが互いに同一方向に傾斜する平面となる。よって確実にフォーク先端部上面１２ａと摺接する摺接部３′ｃを庇状縁部下面３′ａに形成するために、フォーク先端部上面１２ａの傾斜角度αと庇状縁部下面３′ａの傾斜角度βをα＞βの関係に設定する。

また、凹部４は庇状縁部下面３′ａを天井面とする凹部空間であり庇状縁部３′の下方に画成される。そして、凹部４の奥行Ｌ１はフォーク先端部上面１２ａが初めに庇状縁部下面３′ａの摺接部３′ｃに接するときのフォーク挿入長さＬ２よりも長く、つまりＬ１＞Ｌ２に設定する。換言すれば、摺接部３′ｃの最下端の高さにより上記フォーク挿入長さＬ２が定まり、このＬ２よりも凹部４の奥行Ｌ１を長く設定する。

而して本発明に係る荷役用パレットにあっては、上記構成の庇状縁部３′及び凹部４の協働により、次に説明するようにフォーク１１の先端部１２が容易に接地面部２とパレット支持面Ｇ間に挿し入れられ、最終的にフォーク１１全体が挿し入れられる。

すなわち、図４Ａに示すように、まずフォーク１１を先端部上面１２ａが庇状縁部下面３′ａの摺接部３′ｃに当接するまで前進させるが、この際には凹部４にてパレット支持面Ｇを視認しながら行うことができ、例えば図８に示すように、パレット支持面Ｇが下段貨物Ｃの天面である場合にも有効に視認しながら行うことができる。

また、庇状縁部３′の下面３′ａがパレット内側に傾斜しているため、その下方に存する凹部４内にフォーク１１の先端部１２をスムーズに挿し入れることができると共に該凹部４の奥行Ｌ１がフォーク挿入長さＬ２よりも長いため、フォーク先端１２ｂが無用にパレットに衝突することはない。

次いで、図４Ｂに示すように、さらにフォーク１１を前進させると、庇状縁部３′の摺接部３′ｃとフォーク先端部上面１２ａとが摺接し、当該庇状縁部３′が持ち上げられて、接地面部２と該接地面部２と接していた、つまり該接地面部２に覆われていたパレット支持面Ｇ間にフォーク挿入間隙１４を現出させることができる。よってフォーク先端１２ｂが何ら衝突することなくさらに突き進むことができ、容易に接地面部２とパレット支持面Ｇ間にフォーク１１の先端部１２が挿し入れられ、最終的にフォーク１１全体が挿し入れられる。

また、フォーク１１を既述のローラー付フォークとすれば、接地面部２が上段ローラー１３Ａに接するまでフォーク１１を前進させれば、当該上段ローラー１３Ａの回転によりパレット全体をフォーク１１上へとスムーズに導くことができる。

なお、接地面部２とパレット支持面Ｇ間からフォーク１１を抜く際には、庇状縁部３′は上記挿し入れとは逆の軌跡をたどることは勿論である。また、フォーク１１がローラー付フォークであれば、フォーク１１を後退させるときの上段ローラー１３Ａの回転により有効にパレットをフォーク１１上からパレット支持面Ｇ上へと導くことができ、容易にフォーク１１を抜くことができる。

したがって、庇状縁部３′と凹部４との協働により、プッシュプル装置等の操作が煩雑な装置を用いることなくフォーク１１のみで荷役作業を行うことができ、作業効率が大幅に向上する。

≪庇状縁部及び凹部の他例≫
これまでに、図１Ａ・Ｂ，図４Ａ・Ｂを基に、庇状縁部３′の下面３′ａがパレット内側に向かって下り傾斜した平面から成る例について説明したが、本発明にあっては、庇状縁部下面３′ａを傾斜平面以外でも構成できる。

例えば図５Ａに示すように、庇状縁部下面３′ａをパレット内側に向かって下り傾斜した凸弧状面から成る構成とすることができる。又は図５Ｂに示すように、庇状縁部下面３′ａをパレット内側に向かって下り傾斜した屈曲面から成る構成とすることができる。これらの例示による庇状縁部下面３′ａによれば、凹部４の内方に突出した部分を摺接部３′ｃとすることができ、確実にフォーク先端部上面１２ａと摺接する摺接部３′ｃとすることができる。

また、図６Ａに示すように、庇状縁部下面３′ａをパレット内側に向かって下り傾斜した複数の段差から成る構成とすることができる。この例示による庇状縁部下面３′ａの場合も、凹部４の内方に突出した部分を摺接部３′ｃとすることができ、確実にフォーク先端部上面１２ａと摺接する摺接部３′ｃとすることができる。また、具体的には図示しないが、図６Ａの例示のように庇状縁部３′の先端（外端）を一旦断落ちしてから、既述の如く傾斜した平面又は凸弧状面又は屈曲面を形成し、これらの面を庇状縁部下面３′ａとすることも実施に応じ任意である。

また、図６Ｂに示すように、庇状縁部下面３′ａを傾斜せずに載置面部１や接地面部２と平行な平面とすることもできる。この場合には庇状縁部下面３′ａの先端（外端）部が摺接部３′ｃとなる。

また、図７Ａ・Ｂに示すように、既述の如く傾斜した庇状縁部下面３′ａの下端３′ｂを接地面部２よりも上位に設定し、該庇状縁部下面３′ａの下端３′ｂと接地面部２とを繋ぐ嵩上げ壁部６を形成した構成とし、凹部４の奥行Ｌ１を可及的に長くすることができる。図示の例では庇状縁部下面３′ａを凸弧状面として示しているが、平面又は屈曲面とすることもできる。また、嵩上げ壁部６は図７Ａに示す如く、垂直に延びるように形成するか、図７Ｂに示す如く、パレット内側に向かって下り傾斜して延びるように形成しても良い。

＜実施例２＞
図９Ａ・Ｂは本発明に係る実施例２の荷役用パレットを示している。本実施例においては、既述の基本構成を備え、特に載置面部１の四つの縁部３を部分長に亘って庇状縁部３′として形成する構成を特徴とする。

すなわち、本実施例にあっては、図示の如く、載置面部１の縁部３の両端部以外の部分長に亘り庇状縁部３′として形成する。よって縁部３の両端部は側面部５を介して接地面部２と繋がる構成を有しており、接地面部２の四隅を省略することなく安定してパレット支持面上に配することができる。

また、本実施例における庇状縁部３′や凹部４の形状、フォーク１１の挿抜に係るメカニズムについては、既述した実施例１と同様であり、実施例１の「庇状縁部及び凹部の構成」及び「庇状縁部及び凹部の他例」における説明を援用する。

＜実施例３＞
図１０Ａ・Ｂは本発明に係る実施例３の荷役用パレットを示している。本実施例においては、既述の基本構成を備え、特に載置面部１の四つの縁部３を複数の部分長に亘って庇状縁部３′として形成する構成を特徴とする。

すなわち、本実施例にあっては、図示の如く、載置面部１の縁部３の中央部以外の複数の部分長に亘り庇状縁部３′として形成する。換言すると、二つの庇状縁部３′が間隔を置いて形成されている。

したがって、本実施例においては、縁部３の中央部は側面部５を介して接地面部２と繋がる構成を有しており、接地面部２の縁部中央を省略することなく安定してパレット支持面上に配することができる。

また、本実施例においても、庇状縁部３′や凹部４の形状、フォーク１１の挿抜に係るメカニズムについては、既述した実施例１と同様であり、実施例１の「庇状縁部及び凹部の構成」及び「庇状縁部及び凹部の他例」における説明を援用する。

＜実施例４＞
図１１Ａ・Ｂは本発明に係る実施例４の荷役用パレットを示している。本実施例においては、既述の基本構成を備え、実施例３と同様に載置面部１の四つの縁部３を複数の部分長に亘って庇状縁部３′として形成する構成を特徴とする。

本実施例が実施例３と異なる点は、載置面部１の縁部３の両端部及び中央部以外の複数の部分長に亘り庇状縁部３′として形成する点にある。

したがって、本実施例においては、縁部３の両端部及び中央部は側面部５を介して接地面部２と繋がる構成を有しており、接地面部２の四隅及び縁部中央を省略することなく安定してパレット支持面上に配することができる。

また、本実施例においても、庇状縁部３′や凹部４の形状、フォーク１１の挿抜に係るメカニズムについては、実施例１の「庇状縁部及び凹部の構成」及び「庇状縁部及び凹部の他例」における説明を援用するが、本実施例においてはさらに次に説明するような庇状縁部３′及び凹部４を構成することができる。

すなわち、図１２Ａ・Ｂに示すように、傾斜した庇状縁部下面３′ａの下端３′ｂを接地面部２よりも上位に設定し、該庇状縁部下面３′ａの下端３′ｂに連続して凹部４の奥行Ｌ１を延長する溝部７を接地面部２に形成した構成とし、該溝部７にて更に凹部４の奥行Ｌ１を延長すると共に挿し入れたフォーク１１の横ズレを防止することができる。

＜実施例５＞
図１３Ａ・Ｂは本発明の実施例５に係る荷役用パレットを示している。本実施例においては、既述の基本構成を備え、実施例４と同様の庇状縁部３′の配置構成を有している。また、本実施例においても、庇状縁部３′や凹部４の形状、フォーク１１の挿抜に係るメカニズムについては、実施例１の「庇状縁部及び凹部の構成」及び「庇状縁部及び凹部の他例」における説明を援用する。なお、本発明においては、本実施例の庇状縁部３′の配置構成を実施例１乃至実施例３と同様とすることを妨げない。

本実施例の特徴となる構成は、載置面部１及び接地面部２に複数の貫通状の肉抜き部８を設ける構成である。この構成により荷役用パレット全体の重量を軽減することができる。なお、図示の例では角孔状の肉抜き部８として説明しているが、本発明において肉抜き部８の形状は特に問わない。

本実施例のように複数の貫通状の肉抜き部８を有する構成の荷役用パレットを製造するにあたっては、既知の射出成形法を用い合成樹脂を材料として製造する。

＜実施例６＞
図１４Ａ・Ｂ，図１５は本発明の実施例６に係る荷役用パレットを示している。本実施例においては、既述の基本構成を備え、実施例１と同様の庇状縁部３′の配置構成を有している。また、本実施例においても、庇状縁部３′や凹部４の形状、フォーク１１の挿抜に係るメカニズムについては、実施例１の「庇状縁部及び凹部の構成」及び「庇状縁部及び凹部の他例」における説明を援用する。なお、本発明においては、本実施例の庇状縁部３′の配置構成を実施例２乃至実施例４と同様とすることを妨げない。

本実施例の特徴となる構成は、載置面部１及び接地面部２に複数の有底状の肉抜き部９を設ける構成であり、これにより荷役用パレット全体の重量を軽減することができると共に不使用時のネスティングにも対応することができる。

肉抜き部９について詳述すると、載置面部１に対しては、図１４Ａに示すように、中央領域に菱形状に陥没する載置面部中央肉抜き部９ａを多数形成し、等間隔を置いて縦横に整列して配置する。好ましくは、図１５にも示すように、載置面部中央肉抜き部９ａの一部を段部付載置面部中央肉抜き部９′ａとし、ハーフネスティングに対応可能とする。他方、接地面部２に対しては、図１４Ｂに示すように、中央領域に上記載置面部中央肉抜き部９ａの隣接間隔に対応して格子状に陥没する接地面部中央肉抜き部９ｃを形成する。

また、庇状縁部下面３′ａの領域には載置面部１側を頂点とする長方錐状に陥没する庇状縁部肉抜き部９ｄを等間隔を置いて複数形成する。よって庇状縁部下面３′ａは不連続な面となり、フォーク先端部上面１２ａと摺接する際の摩擦力を軽減することができる。他方、庇状縁部３′の上面には上記庇状縁部下面３′ａに対応する形状に陥没する庇状縁部肉抜き部９ｂを複数形成する。

なお、本発明において、有底状の肉抜き部９の形状は図示の例に限らないことは当然である。重量軽減とネスティングを両立することができれば、肉抜き部９の形状は特に問わない。

また、本実施例のように複数の有底状の肉抜き部９を有する構成の荷役用パレットを製造するにあたっては、既知の真空成形法や圧空成形法を用い合成樹脂を材料として製造する。

以上のとおり、本発明に係る荷役用パレットによれば、コンテナや倉庫への貨物の積載効率の向上と、荷役作業の作業効率の向上とを高次元で達成することができる。

なお、本発明において、載置面部１、接地面部２及び庇状縁部下面３′ａは各々の機能を担保することができれば、孔や溝等の凹部によって不連続面となることを排除しない。

１…載置面部、２…接地面部、３…載置面部の縁部、３′…庇状縁部、３′ａ…庇状縁部下面、３′ｂ…庇状縁部下面の下端、３′ｃ…摺接部、４…凹部、５…側面部、６…嵩上げ壁部、７…溝部、８…貫通状肉抜き部、９…有底状肉抜き部、９ａ…載置面部中央肉抜き部、９′ａ…段部付載置面部中央肉抜き部、９ｂ…庇状縁部肉抜き部、９ｃ…接地面部中央肉抜き部、９ｄ…庇状縁部肉抜き部、１１…フォーク、１２…フォーク先端部、１２ａ…先端部上面、１２ｂ…先端、１３…ローラーコンベア、１３Ａ…上段ローラー、１３Ｂ…下段ローラー、１４…フォーク挿入間隙、α…フォーク先端部の傾斜角度、β…庇状縁部下面の傾斜角度、Ｇ…パレット支持面、Ｌ１…凹部の奥行、Ｌ２…フォーク先端部の挿入長さ、Ｃ…貨物。

Claims (8)

1. 先端部上面が先端に向かって下り傾斜するフォークを備えるフォークリフトトラックで行う荷役作業に使用する荷役用パレットであって、矩形板状を呈し、貨物を載置する載置面部と、該載置面部と平行しパレット支持面に接する接地面部とを備え、上記載置面部の四つの縁部の少なくとも一つを全長又は部分長に亘り庇状縁部として形成し、該庇状縁部の下方に、上記パレット支持面を露出させると共に上記フォークの先端部が挿し入れられる凹部を画成する一方、内部にフォーク挿入空間を備えない構造を有し、上記庇状縁部は該庇状縁部の下面に上記フォークの先端部上面と摺接する摺接部を有し、該摺接部と上記フォークの先端部上面との摺接により上記庇状縁部が持ち上げられて、上記接地面部と該接地面部に接していたパレット支持面間にフォーク挿入間隙を現出させることを特徴とする荷役用パレット。
2. 上記庇状縁部下面がパレット内側に向かって下り傾斜していることを特徴とする請求項１記載の荷役用パレット。
3. 上記庇状縁部下面が傾斜した平面から成ることを特徴とする請求項２記載の荷役用パレット。
4. 上記庇状縁部下面が傾斜した凸弧状面又は複数の段差又は屈曲面から成ることを特徴とする請求項２記載の荷役用パレット。
5. 上記傾斜した庇状縁部下面の下端が上記接地面部と連なることを特徴とする請求項２乃至請求項４の何れかに記載の荷役用パレット。
6. 上記傾斜した庇状縁部下面の下端を上記接地面部よりも上位に設定し、該庇状縁部下面の下端と上記接地面部とを繋ぐ嵩上げ壁部を形成したことを特徴とする請求項２乃至請求項４の何れかに記載の荷役用パレット。
7. 上記傾斜した庇状縁部下面の下端を上記接地面部よりも上位に設定し、該庇状縁部下面の下端に連続して上記凹部の奥行を延長する溝部を上記接地面部に形成したことを特徴とする請求項２乃至請求項４の何れかに記載の荷役用パレット。
8. 上記載置面部及び上記接地面部に複数の貫通状又は有底状の肉抜き部を設けたことを特徴とする請求項１乃至請求項７の何れかに記載の荷役用パレット。

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