JP6149691B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、飛行機、船、電車等の乗物に搭載されるシートに関する。
車両用リヤシートにおいて、シートバックをシートクッションに対して前倒し可能とされたものでは、シートバックの回転ヒンジ部がシート外観上に露出して見栄えが悪くなる問題がある。そこで、下記特許文献1の発明では、ヒンジ部に袋を被せて回転ヒンジ部がシート外観上に露出しないようにする提案がされている。
特開2010−269688号公報
しかし、シート外観を考慮してヒンジ部に袋を被せる場合、袋の見栄えや質感を周りのシートの外観に合わせる必要があり、単なる袋ではなく、袋の形状を維持するための心材を入れたり、袋に乗員が触れた際の質感を維持するためにクッション材を入れたりする必要があり、部品点数が多く、コストも高くなっていた。
このような問題に鑑み本発明の課題は、シートバック若しくはシートクッションにおけるヒンジ部に隣接する部位をヒンジ部を被うように拡大することにより、部品点数を増加させることなくヒンジ部を被い、シートの見栄えを良くすることにある。
本発明の第1発明は、シートクッション後部とシートバック下部との間に設けられたヒンジ部を中心として、シートバックがシートクッションに対して前後方向に回転移動可能とされた乗物用シートにおいて、シートクッション及びシートバックは、強度部材から成る骨格部材の上に弾性体から成るパッドを被せ、更にパッドの上から表皮材としてのカバーを被せて骨格部材とパッドとが一体に結合されて成り、前記ヒンジ部は、シートクッションとシートバックとの間に露出して配置され、前記ヒンジ部に隣接するシートクッション又はシートバックには、そのパッド及びカバーを前記ヒンジ部を被うように拡大して形成された拡大部を備えることを特徴とする。
第1発明によれば、シートバックをシートクッションに対して回転移動可能とするヒンジ部がシートバック又はシートクッションに一体に形成された拡大部によって被われる。従って、ヒンジ部がシート外観上に露出せず、シートの見栄えを良くすることができる。このとき、拡大部は、シートクッション又はシートバックのパッド及びカバーを拡大して形成され、シートクッション又はシートバックの大きさが少し大きくなるのみで部品点数を増加させないでシートの見栄えを良くすることができる。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、シートバックは、幅方向に分割して構成され、前記ヒンジ部は前記分割部位に設けられ、前記拡大部は、シートバックに設けられ、前記ヒンジ部は、ヒンジ中心をシートクッション上面から上方に離間した位置に配置するヒンジブラケットを備え、該ヒンジブラケットは、シートバックが回転移動されたとき、シートバックと共に移動する前記拡大部との干渉を避けるようにシートバックの背面側に湾曲されていることを特徴とする。
ヒンジ部はシートバックの全幅方向の両端間で、且つ、シートクッション上面から上方に離間した位置にあり、拡大部に被われないで露出していると、シートの中央部にヒンジ部が見えてシートの見栄えを悪くする。第2発明によれば、係るヒンジ部が拡大部で被われるため、見栄えの悪化を抑制することができる。しかも、拡大部がシートバックの回転移動と共にヒンジ部のヒンジブラケット方向に移動しても、ヒンジブラケットは拡大部と干渉しないように湾曲されているため、シートバックの回転移動に影響させないようにすることができる。
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、シートバックはアームレストを備え、該アームレストは、シートバックの前後幅内に格納され、下端部を中心としてシートクッション側に向けて前方に回転することによりシートクッション上で乗員用肘掛として機能するようにされ、該アームレストの下部にはスペーサが設けられ、該スペーサはアームレストの下端部とシートクッションの上面との間の隙間を埋めるように構成され、前記ヒンジ部は前記スペーサの側部に設けられ、前記拡大部は、前記スペーサの側部に一体に設けられていることを特徴とする。
第3発明によれば、アームレスト下部のスペーサの形状を変更するのみでヒンジ部を被う拡大部を形成することができる。従って、スペーサの形状変更のみで簡単にシートの見栄えの悪化を抑制することができる。
本発明の一実施形態である車両用リヤシートの斜視図である。 上記実施形態においてシートバックを前倒しした状態の斜視図である。 上記実施形態におけるシートバックの一部の拡大正面図である。 図3と同様のシートバックの分解斜視図である。 図3のV−V線拡大断面図である。 図3のVI−VI線拡大断面図である。 図3と同様のシートバックの骨格部材の拡大側面図である。 上記実施形態におけるスペーサの拡大斜視図である。
図1〜8は、本発明の一実施形態を示す。この実施形態は、車両用リヤシート(以下、単にシートという)に本発明を適用した例を示す。各図中、矢印によりシートの各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
シートは、シートクッション2の後部とシートバック1の下部との間に設けられたヒンジ部13を中心として、シートバック1がシートクッション2に対して前後方向に回転移動可能に構成されている。シートバック1は、左右方向に6:4の比率で分割されており、左右に分割された各シートバック1は、それぞれ独立して前後方向に回転移動可能に構成されている。シートクッション2及び左右の各シートバック1は、それぞれ強度部材から成る骨格部材の上に弾性体から成るパッドを被せ、更にパッドの上から表皮材としてのカバーを被せて骨格部材とパッドとが一体に結合されて成る。図3、4では、左右に分割されたシートバック1のうち、比率が6側のシートバック1が示されており、骨格部材であるバックフレーム10にバックパッド20が被せられている。バックフレーム10は、公知のように一対のサイドフレーム18にパイプフレーム15が組み合わされて成る。なお、図3、4では、表皮材としてのカバーは図示を省略されている。
ヒンジ部13は、車両フロア上に固定された左右一対のベースブラケット11A、11Bの上端にバックフレーム10を回転自在に結合する公知のリクライナー13A、13Bによって構成されている。左右一対のベースブラケット11A、11Bは、左右方向に延びるベースパイプ12によって一体に結合されており、ベースパイプ12はベースブラケット11Aを貫通して更に延長され、その延長端にヒンジブラケット14の下端部が結合されている。ヒンジブラケット14は、シートバック1の背面側に凸形状に湾曲して形成され、ヒンジブラケット14の上端部は、リクライナー13A、13Bの回転中心と上下方向、前後方向に関して一致する位置で、バックフレーム10の下端部を回転自在に支持している。従って、ヒンジブラケット14の上端部にもヒンジ部13が形成されている。ヒンジブラケット14の外表面上にはヒンジブラケットカバー14Aが被せられており、ヒンジブラケット14が直接外部に露出しないようにしている。
図3、4に示されるように、比率が6側のシートバック1において、比率が4側のシートバック1と隣接する右側には、アームレスト22が設けられている。アームレスト22は、シートバック1の前後幅内に格納され、下端部を中心としてシートクッション2側に向けて前方に回転することによりシートクッション2上で乗員用肘掛として機能するように構成されている。従って、アームレスト22は、バックフレーム10上のリクライナー13Aの上部とヒンジブラケット14の上部に固定されたアームレストブラケット16A、16Bによって回転自在に支持されている。なお、バックフレーム10の前面上で、アームレスト22の後面側にはバックカバー23が固定されている。バックカバー23は、アームレスト22が前側に回転移動されたとき、バックフレーム10が外部に露出しないようにしている。
アームレスト22の下部には、アームレスト22とシートクッション2との間にできる隙間を埋めるようにスペーサ24が設けられている。スペーサ24は、バックフレーム10に固定されたスペーサ支持ブラケット17にねじ留め固定されている。スペーサ24は、ねじ留めのための基板(不図示)の上にパッド(不図示)を被せ、その上にカバー(不図示)を被せて、それらを一体のものとしている。スペーサ24の右側(比率が4側のシートバック1側)で、ヒンジブラケット14の上端部のヒンジ部13前方に対応する部分には、当該ヒンジ部13を前方から被うように拡大部24Aが形成されている。拡大部24Aは、図8に示すように、スペーサ24を構成するパッドとカバーを拡大して形成されている。図8において、(A)はスペーサ24を正面方向から見た斜視図であり、(B)はスペーサ24を背面方向から見た斜視図である。
以上の実施形態によれば、シートバック1をシートクッション2に対して回転移動可能とするヒンジ部13がシートバック1のスペーサ24に一体に形成された拡大部24Aによって被われる。従って、ヒンジ部13がシート外観上に露出せず、シートの見栄えの悪化を抑制することができる。このとき、拡大部24Aは、シートクッション1のスペーサ24のパッド及びカバーを拡大して形成され、シートクッション1のスペーサ24の大きさが少し大きくなるのみで部品点数を増加させないでシートの見栄えの悪化を抑制することができる。
また、アームレスト22下部のスペーサ24の形状を変更するのみでヒンジ部13を被う拡大部24Aを形成することができる。従って、スペーサ24の形状変更のみで簡単にシートの見栄えの悪化を抑制することができる。
スペーサ24は、上述のようにバックフレーム10と一体に構成されているため、シートクッション2に対してシートバック1を前倒しすると、シートバック1と共にヒンジ部13を中心として回転される。この回転の様子は、図6において仮想線にて回転前の状態が示され、実線にて回転後の状態が示されている。図6に示されるように、シートバック1の回転移動に伴ってスペーサ24の拡大部24Aは、ヒンジブラケット14側に移動するが、ヒンジブラケット14は、上述のように湾曲されているため、拡大部24Aがヒンジブラケット14に干渉することはなく、スペーサ24に拡大部24Aを設けたことがシートバック1の回転移動に影響しないようにすることができる。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.上記実施形態では、シートバック1の一部であるスペーサ24を拡大してヒンジ部13を被う拡大部24Aを形成したが、シートバック1そのもの及びシートクッション2に拡大部を形成しても良い。
2.上記実施形態では、シートバック1を左右方向に6:4の比率で分割するタイプのシートに本発明を適用したが、左右方向に5:5の比率で分割するタイプのシートに本発明を適用しても良い。
3.上記実施形態では、本発明を車両用シートに適用したが、飛行機、船、電車等に搭載のシートに適用しても良い。
1 シートバック
2 シートクッション
10 バックフレーム
11A、11B ベースブラケット
12 ベースパイプ
13 ヒンジ部
13A、13B リクライナー
14 ヒンジブラケット
14A ヒンジブラケットカバー
15 パイプフレーム
16A、16B アームレストブラケット
17 スペーサ支持ブラケット
18 サイドフレーム
20 バックパッド
22 アームレスト
23 バックカバー
24 スペーサ
24A 拡大部

Claims (3)

  1. シートクッション後部とシートバック下部との間に設けられたヒンジ部を中心として、シートバックがシートクッションに対して前後方向に回転移動可能とされた乗物用シートにおいて、
    シートクッション及びシートバックは、強度部材から成る骨格部材の上に弾性体から成るパッドを被せ、更にパッドの上から表皮材としてのカバーを被せて骨格部材とパッドとが一体に結合されて成り、
    前記ヒンジ部は、シートクッションとシートバックとの間に露出して配置され、
    前記ヒンジ部に隣接するシートバックには、そのパッド及びカバーを前記ヒンジ部を被うように拡大して形成された拡大部を備え
    前記拡大部は、シートバックが回転移動されない起立状態でヒンジ部をシート前面側から被っており、
    前記ヒンジ部は、ヒンジ中心をシートクッション上面から上方に離間した位置に配置するヒンジブラケットを備え、
    該ヒンジブラケットは、シートバックが前方向に回転移動されたとき、シートバックと共に移動する前記拡大部との干渉を避けるようにシートバックの背面側に湾曲されていることを特徴とする乗物用シート。
  2. 請求項1において、
    前記ヒンジブラケットは、シートバックの背面側に凸形状に湾曲しており、
    前記拡大部は、シートバックの前倒し状態で、前記ヒンジブラケットの凸形状で形成される空間に収容されることを特徴とする乗物用シート。
  3. 請求項1又は2において、
    シートバックはアームレストを備え、該アームレストは、シートバックの前後幅内に格納され、下端部を中心としてシートクッション側に向けて前方に回転することによりシートクッション上で乗員用肘掛として機能するようにされ、
    該アームレストの下部にはスペーサが設けられ、該スペーサはアームレストの下端部とシートクッションの上面との間の隙間を埋めるように構成され、
    前記ヒンジ部は前記スペーサの側部に設けられ、
    前記拡大部は、前記スペーサの側部に一体に設けられていることを特徴とする乗物用シート。
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