JP6148827B2 - 油脂包接組成物及び該組成物を含有する粉末調味料 - Google Patents

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本発明は、シクロデキストリンを基材として、油脂を包接した組成物、及び該組成物を含有する粉末調味料に関する。
油脂は、様々な食品に対して風味を付与する目的で使用されている。しかし、油脂は温度によって固体、液体いずれの状態ともなり、水性成分との混合が困難である。一般的には、乳化剤等の界面活性効果を有する成分と混合し、乳化状態とすることによって食品への利用が行われている。
しかし、乳化剤によって油脂を乳化状態として食品に添加しても、例えば飲料の場合は保存条件等によって乳化状態が壊れ、油脂成分の浮遊や沈殿を生じるといった問題が起こりうることが知られている。また、油脂成分を含有する粉末状の調味料を製造する場合には、油脂成分の浸み出しや粉末同士の結着等が生じ、調味料の風味の保持や安定性に欠ける事が問題となっている。
上記問題点を解決する方法として、多数の検討がなされている。デキストリンやシクロデキストリンを使用することも、その解決方法の一つとして例示できる。
具体的には、香味料をシクロデキストリンで封入し、封入された香味料を回収し、さらに前記封入された香味料を、加工の間に食品に添加する工程を含んでなる方法(特許文献1)、多孔質化した吸油性のあるデキストリンと40℃で固体状の油脂類とを特定の配合割合で混合して成型固化してあることを特徴とする油脂を主成分とする成型調味料(特許文献2)、0.001ミクロン乃至12ミクロンの粒径を有する有効量の活性体/シクロデキストリン包接錯体を含有する食品等の粒状消費性製品組成物(特許文献3)、シクロデキストリン、乳化剤及び増粘剤を乾式混合して、乾式混合物を形成することと;溶媒及びゲストを前記乾式混合物と混合して、シクロデキストリン包接複合体を含む混合物を形成することを含む方法(特許文献4)、食用油脂100重量部に対して、ヘミセルロース及び高度分岐環状デキストリンを含有する粉末油脂組成物(特許文献5)、β−カロチンのサイクロデキストリン包接物にその補色色素を添加してなることを特徴とする、水系での分散性が良好なβ−カロチンの無彩色物(特許文献6)などが開示されている。
これらの技術では、シクロデキストリンに包接できる油脂の含量は、特許文献3によれば、「錯体中の風味料含有量は代表的には約5%〜約15%、多くの場合には約7%〜約10%」と記載されている。他の特許文献では、デキストリン等と乳化剤との組み合わせや、成型調味料とすることによるものであり、シクロデキストリン単独での効果を推し量るには、比較対象とは言いがたい技術である。
油脂の包接含量が高くなると、少量の使用であっても従来品と同等の風味を発現することが可能となる。例えば、中華スープ等の粉末製品、ラーメンスープの粉末調味料を調製した場合でも、該粉末の総量を減じパッケージの少量化を図ることができる。また、ラー油などの液状調味料が別添されているものであれば、当該ラー油を粉末状の調味料として一剤化が可能となる。さらに粉末状のコーヒーや紅茶を調製した場合も、少量の粉末を用いることでコーヒー等を調製することが可能となるため、容器の小型化、省資源化が可能となるなど、産業上の有用性は高いといえる。
従って、シクロデキストリン単独の効果によって、油脂の包接含量を高めること、具体的には包接含量が20%、更にはそれ以上の油脂を包接し安定化できる包接組成物の検討が必要とされている。
特表2004−516022号公報 特許第3586651号公報 特開平3−259986号公報 特表2008−546386号公報 特開2006−14629号公報 特開平6−25156号公報
本発明は、上記課題を解決し、油脂を包接する粉末調味料等の調製に寄与する技術、即ちシクロデキストリンを用いて包接する油脂の含量を従来技術よりも飛躍的に向上させ、シクロデキストリン単独で従来品では包接できなかった量の油脂を含有する組成物、さらには該包接組成物を用いた粉末調味料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために試験を行ったところ、油脂を含む溶液とシクロデキストリンを含む溶液とを混合し、40〜80℃、好ましくは50〜70℃、さらに好ましくは60℃に調節してホモジナイザー等による乳化処理を行うことで包接組成物とすることにより、組成物中の油脂包接量を従来技術では得られなかった20%以上、更には70%まで引き上げることができるとの知見を得た。
得られた包接組成物は、適宜乾燥等して粉末状態とし保存しても、油脂の浸み出し等による保存状態の悪化を生じず、安定性にも優れていることが判明した。さらに当粉末状の組成物を温湯に加えた場合、包接された油脂を放出するとともに、温湯には透明に溶解することも明らかとなった。
即ち、本願発明は上記知見をもとに完成した、シクロデキストリンによる安定性に富む油脂の高含量包接組成物、即ち以下の発明を提供するものである;
項1
油脂含量が20〜70質量%であって、シクロデキストリンを基材としてなることを特徴とする油脂包接組成物。
項2
シクロデキストリンと油脂の配合割合が、7:2〜2:7の範囲にある項1記載の油脂包接組成物。
項3
40〜80℃の加温状況下でシクロデキストリンと油脂を混合し、次いで乳化処理を行い包接させたものである項1又は2に記載の油脂包接組成物。
項4
60℃より高い温度の温湯に添加した際に、溶解して油脂を放出する項1乃至3に記載の油脂包接組成物。
項5
シクロデキストリンが、α−シクロデキストリンである項1乃至4に記載の油脂包接組成物。
項6
項1乃至5に記載の油脂包接組成物を含有することを特徴とする粉末調味料。
項7
油脂が香味油、油性香料のいずれか又は組み合わせである項6に記載の粉末調味料。
項8
油脂含量が20〜70質量%であって、シクロデキストリンを基材として乳化処理を行って得ることを特徴とする油脂包接組成物の調製方法。
項9
40〜80℃の加温条件下で、シクロデキストリンと油脂を7:2〜2:7の配合割合で混合し乳化処理を行う項8に記載の油脂包接組成物の調製方法。
項10
油脂が香味油、油性香料のいずれか又は組み合わせである項8又は9に記載の油脂包接組成物の調製方法。
本発明は、上述の通りシクロデキストリンによって油脂を包接した組成物に関するものである。
本発明で使用できるシクロデキストリンは、一般に入手可能なものであれば制限なく利用できる。シクロデキストリンは、澱粉の酵素転換によって生成された環状構造を有するデキストリンであることが知られており、環状デキストリンとも呼ばれている。構成するグルコースの単位により、α、βまたはγタイプが存在することが知られているが、本発明で使用されるシクロデキストリンは、これらのいずれか或いは組み合わせたものであってもよい。厳密に区別することは困難であるが、好ましいのはαタイプが主であるシクロデキストリンである。
本発明でシクロデキストリンに包接される油脂成分としては、加工食品の製造に一般的に利用される油溶性の成分であれば制限なく利用することができ、例えば香味油や油性香料が挙げられる。詳細には、油溶性の天然芳香物質、合成芳香物質、天然精油、合成精油などの香料類;野菜や魚介類を原料としたシーズニングオイルが例示でき、具体的には、ラー油、ネギ油、ニンニク油、ゴマ油、マー油、ガーリックや醤油等の香味オイル、カレー等のオレオレジン、バターオイル、チョコレートオイル、ミルククリームオイル、バニラクリームオイルがあげられる。
これらの油脂成分を、従来食用として使用されている牛脂、豚脂、魚油、ラードなどの動物性油脂;大豆油、菜種油、サフラワー油、ヤシ油、オリーブ油、コーン油などの植物性油脂;これら天然から得られる油脂の硬化油、分別油、エステル交換油などと混合して利用することができ、上記のものを一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて利用することもできる。
更にはカロテノイド等の色素;DHA、コエンザイムQ10等の機能性素材;シクロスポリン等の薬剤;トコフェロール等の抗酸化剤などの油性成分を組み合わせて包接することも可能である。具体的には、シーズニングオイルとトコフェロールを組み合わせて包接することにより、シーズニングオイルの酸化による劣化を効率よく抑制することが可能となる。好ましい油脂はラー油、ネギ油、ニンニク油等の香味油である。
シクロデキストリンに安定に包接させることができる上記油脂成分は、従来技術では15質量%程度であったことが特許文献3に記載されている。一方、本願発明では従来の包接量をはるかに超える70質量%の包接が可能となった。
本発明に係る包接組成物中のシクロデキストリンの割合は、包接する油脂成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、組成物中20〜70質量%とするものである。
シクロデキストリンと油脂の配合割合は、包接組成物中7:2〜2:7、好ましくは5:4〜2:7の範囲であればよい。この範囲外の割合では、油脂量が少ないと十分な香気を得ることができず、油脂量が多すぎると十分に包接できないため、油脂のロスが多くなるため好ましくない。当該範囲は、使用する油脂、用途に応じて適宜変更することもできる。
本発明にかかるシクロデキストリンによる包接組成物の調製方法は、シクロデキストリン溶液と油脂を含有する溶液をホモジナイザー等で乳化処理する際に、液温が40〜80℃、好ましくは50〜70℃、さらに好ましくは60℃の状態であればよい。よって、シクロデキストリン溶液を予め50〜70℃程度に加温し、そこへ油脂溶液を添加混合し乳化処理する方法;油脂溶液を加温し、そこへシクロデキストリン溶液を添加混合し乳化処理する方法;シクロデキストリン溶液と油脂溶液を混合した後に加温し、或いは加温した状態で混合し、乳化処理する方法のいずれであってもよい。かかる温度範囲以外では、包接が効率よく進まず、また包接が不十分となることがあり好ましくない。
シクロデキストリン溶液は、水にシクロデキストリンを添加し溶解させて得たものである。かかる溶解させる方法は、公知の方法に従えばよく、特別な条件等の設定は必要とされない。
シクロデキストリンに包接させる油脂成分は、予め油脂と適宜油性成分を混合したものを、必要に応じて加熱し溶解したものであることが好ましい。かかる油脂成分をシクロデキストリン溶液と混合する際の液温は、上述の通り、予め液温を40〜80℃、好ましくは50〜70℃、さらに好ましくは60℃として混合しても良いし、混合後に加温して当該液温としてもよい。かかる液温の状態でホモジナイザー等の既存の乳化機器を用いて、任意の乳化条件(例 回転数:500〜3500rpm、時間:1〜90分)で処理することにより、本発明にかかる包接組成物を得ることができる。
ホモジナイザー等による攪拌処理にかかる回転速度・処理時間の条件は、包接する油脂成分の量や質によって適宜調節し実施することができる。シクロデキストリンへの包接が困難な成分であれば、攪拌速度を速く処理時間を長めにし、包接が容易に進む油脂成分であれば、攪拌速度を遅くし処理時間を短くすればよい。
本発明にかかる油脂包接組成物の調製は、40〜80℃、好ましくは50〜70℃、さらに好ましくは60℃に調節した状態でシクロデキストリン溶液とラー油等の油脂を混合し、乳化処理することによって行う。攪拌速度と時間は、油脂の種類や添加量によって適宜調節することができる。具体的には、油脂がラー油である場合であれば、回転数3000rpmで数分間の攪拌で調製することができる。
ホモジナイザー等による乳化処理の後、さらに必要に応じてスプレードライ等によって粉末化し、或いはさらに該粉末化した組成物を公知の技術によって凝集・固着させ、取扱いが容易な顆粒・固形物とすることもできる。
かくして得られた本発明にかかるシクロデキストリンによる包接組成物は、従来技術で得られるものよりも高含量の油脂からなるものであるので、食品へ利用する場合は従来品よりも少量の使用で足り、製造上の利点がある。また、得られた包接組成物を60℃より高い温度の温湯に添加すると、包接した油脂が溶け出して溶液となる。この際、濁りの発生は抑えられており、吸光度の測定値であれば0.6以下となる。従って、調味油を包接した組成物をお湯に入れ軽く攪拌するだけで、濁りの抑えられたスープを手軽に得ることができる。同様の効果はスープの他、コーヒー、紅茶などでも得ることができる。
上記用途への応用をする際に、さらに本発明の効果を妨げない範囲において、他の成分を添加・併用することもできる。具体的には、香料、着色料、調味料、抗酸化剤、保存料、ゲル化剤、増粘剤などが例示できる。さらに、糖類や多糖類を用いて本発明にかかる包接組成物を被覆し、溶出時間のコントロール等の製剤としての利点向上を図ることができる。
本発明で使用される香料としては、食用に用いられる香料であればどのようなものでも使用することができる。例えば、テルペン系炭化水素、アルコール香料、フェノール香料、アルデヒド香料、ケトン香料、エーテル香料、エステル香料、有機酸香料、有機窒素香料、有機ハロゲン香料、有機硫黄化合物香料などの合成香料や各種植物由来および動物由来の天然香料やそれらを組み合わせた調合香料などがある。香料の形態としては、水溶性香料、油溶性香料、乳化香料、粉末香料、乳化粉末香料など、どの形態の香料でも使用できるが、シクロデキストリンへの包接に適した油溶性香料であることが望ましい。
また、着色料としては、パプリカ色素、マリーゴールド色素、β−カロテンなどの油溶性の着色料のほか、アントシアニン色素等の水溶性色素を使用することもできる。
使用できる調味料も、食用として使用されているものであれば特に制限は無く、好ましくはラー油、ネギ油、ニンニク油等の油溶性の調味料であれば、シクロデキストリンへの包接が効果的に行われる。このほかにも、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、甘草抽出物、ステビア加工甘味料、羅漢果抽出物、ソーマチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ズルチン、サイクラミン酸、ネオテームなどの甘味料、酢酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、リン酸などの酸味料、カフェイン、香辛料抽出物、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物、ボラペット、メチルチオアデノシン、レイシ抽出物などの苦味料、食塩、塩化カリウムなどの塩味料、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸やそれらのナトリウムもしくはカリウム塩などの旨味料などを添加・混合してもよい。
本発明は従来品にはない高含量の油脂を含むシクロデキストリン包接組成物に関するものである。以下に実施例をあげて本発明につき更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。処方中の「*」は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の製品であることを示す。
実験例1 練り込みタイプの調味料の調製
表1の処方に基づき、デキストリンとラー油を混合した練り込みタイプの調味料を調製した。
Figure 0006148827
<調製方法>
環状構造を有さないデキストリンをキッチンエイド(Whirlpool Corporation社製)で5分間攪拌しつつ、液状のラー油及び粉末状のビタミンCを添加して調製した。
また、表1の比較例3の処方中のデキストリンを、シクロデキストリン(α−シクロデキストリン ワッカー社製)に変更して同様の手法で調製したものを比較例5とした。
<結果>
デキストリンを用いて調製した調味料(比較例1〜4)は、粉末同士が付着した状態となっており、粉末状とは言いがたい状態であった。
一方、デキストリンをシクロデキストリンに変更して同様の処理を行った比較例5では、ラー油はシクロデキストリンに包接されず、混合物はペースト状となっていた。
実験例2 乳化タイプの調味料の調製
次に、乳化タイプの調味料を、表2の処方に基づきシクロデキストリンを用いた本発明に係る実施例品(1〜6)を、表3の処方に基づき環状構造を有さないデキストリンを用いて比較例品(6〜7)を調製した。
Figure 0006148827
Figure 0006148827
<調製方法>
イオン交換水にシクロデキストリン又はデキストリンを攪拌しながら添加して得た溶液を60℃で攪拌しながら、ラー油を添加した。粘度が上昇するまで攪拌し、次いでトレハロースとビタミンC溶液を添加して、次いでホモジナイザー(APV社製 15MP−8TA)にて、一次圧(5MPa)、二次圧(10MPa)にて乳化処理を一回行った後に、スプレードライヤーにて粉末化した。
尚、本実験でトレハロースは粉末の安定性を図るため、ビタミンCは酸化防止のために添加したものである。
<結果>
環状構造を有しないデキストリンを用いた比較例6及び7で得られた調味料は、外観上ラー油が包接されきれずに付着した状態であった。特にラー油含量30%の組成物(比較例7)は、ラー油を包接できずに油が浮いた状態となっており、粉末調味料としての利用に適したものに調製することができなかった。一方のシクロデキストリンを用いた本願発明にかかる実施例1〜6の調味料では、ラー油含量20%、30%のいずれにおいても、油の染み出しは生じず、さらさらとした状態であり粉末としての使用が可能な調味料となっていた。
実験例3 乳化処理の有無による調味料の評価
次いで、表4に記載の処方A〜Eの処方に基づき、実験例2と同様の手順により粉末状の調味料を調製した。調製時に乳化処理を行った処方A〜Eで得られた調味料をそれぞれ実施例7〜11、乳化処理を行わずに調製したものを比較例8〜12とした。
Figure 0006148827
<調製方法>
・比較例品(乳化処理なし)
イオン交換水にシクロデキストリンを攪拌しながら添加して得たシクロデキストリン溶液を60℃で攪拌しながら、ラー油を添加した。粘度が上昇するまで攪拌し、次いでトレハロースとビタミンC溶液を添加して、スプレードライヤーにて粉末化した。
・実施例品(乳化処理あり)
実験例2と同様の手順によって粉末調味料を調製した。
<評価方法>
得られた粉末調味料(実施例7〜11、比較例8〜12)について、次の点で評価した。
・調製直後の包接状態と油しみの様子(表5参照)
チャック付きポリ袋(株式会社生産日本社製 A−8)に2gの粉末を入れ、上に200gの重りを置いて三日間放置した。三日後ポリ袋内の粉末を取り除き、ポリ袋内を水で洗い流した。このときのポリ袋内の油の付着を肉眼で評価した。
・粉末を20℃、40℃、60℃、80℃及び100℃のイオン交換水に溶解させたときの油浮きと溶液の濁度を測定。粉末状の調味料を溶解させた時の香りの立ち上り(上立ち)の有無(調製直後の評価を表6に、40℃1ヶ月保存後の評価を表7に示す)。
<評価結果>
調製直後の包接状態と油しみの外観上の評価結果を、表5に示す。
Figure 0006148827
表5より、乳化処理の有無によって、油しみの発生や油の付着の発生が明確な差となって現れた。特に、乳化処理を行ったものでは、ラー油の含量が70質量部という高含量であっても、油の付着を生じない、即ち油脂を安定に包接している組成物となっていた。この結果より、本発明にかかる油脂包接組成物の調製には、乳化処理が必須であることが明らかとなった。
次いで、得られた油脂包接組成物(実施例7〜11)の吸光度、溶液の外観及び上立ちを評価し、その結果を表6に示す。
評価の基準は、「溶液外観」については、○…透明な油浮きを生じる、△…粉末組成物の分散と油浮きを生じる、×…粉末組成物の分散を生じる、とした。また、「上立ち」については、○…上立ちあり(香りの立ち上がりがある)、×…上立ち弱い(香りの立ち上がりが弱い)、とした。
Figure 0006148827
Figure 0006148827
上記結果より、α−シクロデキストリンを用いて調製したラー油の包接組成物では、60℃より高い温度で包接組成物を溶解すると、吸光度が低く、粉末組成物の分散を生じない、上立ちの良いラー油の溶液を得ることができた。特にラー油含量が50〜70質量部である実施例9〜11において、よりその効果が顕著に現れていた。
実施例7及び8で得られた調味料を60℃の湯に溶解した際に、また、実施例9〜10で得られた調味料では40℃以下の湯に溶解した際に、粉末組成物の分散を生じたり、香りの上立ちが弱いとの評価が得られた。これは、60℃以下、または40℃以下の湯中では、本発明にかかる調味料は溶解しないことを示すものである。即ち、60℃以下、または40℃以下の湯温では、粉末状の包接組成物は溶解せず分散するだけであるので、包接されている油脂は溶解せず、そのまま保持されたままとなる。そして、湯温を60℃より高い温度、好ましくは80℃以上にすると、包接された油脂が組成物から放出され香りの上立ちとして感知されることとなる。
この本発明にかかる包接組成物の特性を食品に利用することができる。具体的な例として、40℃以下で各材料を混合等して食品を形成するが、このときには包接組成物は維持されるため香気成分等の油脂のロスが生じず、食する際に加熱工程を経ることで、本発明にかかる包接組成物の香りが放出されることとなる。
実施例7〜11の包接組成物を40℃1ヶ月保存した後に行った評価においても、組成物そのものは調製直後と比べても油しみや付着を生じず、遜色ない良好な粉末状を維持していた。即ち、本発明にかかる組成物は、保存安定性にも優れていることが明らかとなった。
実験例4 油脂の種類による効果の確認
次の表8の処方に基づき、本発明の効果の確認を行った。
Figure 0006148827
<調製方法>
イオン交換水にシクロデキストリンを攪拌しながら添加して得た溶液を、60℃で攪拌しながら、表8に記載の油脂を添加した。溶液の粘度が上昇するまで攪拌し、次いでデキストリン溶液とビタミンC溶液を添加して、次いでホモジナイザー(APV社製 15MP−8TA)にて、一次圧(5MPa)、二次圧(10MPa)にて乳化処理を一回行った後に、スプレードライヤーにて粉末化した。
尚、本実験でデキストリンは賦形剤として、ビタミンCは酸化防止のために添加したものである。
<評価>
上記で得られた粉末状の包接組成物は、100℃の湯に溶解した際に、粉末状の包接組成物の分散を生じず油浮きが見られ、香りの上立ちも良好であった。また、20℃の水に溶解した際には、組成物は溶解せずに分散するだけで、油浮きが見られなかった。包摂する油脂の種類が異なっても、α−シクロデキストリンを添加し乳化処理を行うことにより、油浮きや香りの上立ちに優れた包接組成物を得ることができた。

Claims (4)

  1. 油脂含量が20〜70質量%である油脂包接組成物の調製方法であり、
    シクロデキストリンと油脂を7:2〜2:7の配合割合で混合してシクロデキストリン溶液と油脂の混合物を調製し、40〜80℃の加温条件下で、当該混合物を乳化処理する、油脂包接組成物の調製方法。
  2. 前記油脂包接組成物が、60℃より高い温度の温湯に添加した際に、溶解して油脂を放出する、請求項1に記載の油脂包接組成物の調製方法。
  3. 前記シクロデキストリンがα−シクロデキストリンである、請求項1又は2に記載の油脂包接組成物の調製方法。
  4. 前記油脂が香味油、油性香料のいずれか又は組み合わせである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の油脂包接組成物の調製方法。
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