JP5991905B2 - ペースト状香辛料の製造方法、及びそれにより得られるペースト状香辛料 - Google Patents
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(1)ペースト状香辛料の製造方法であって、
該ペースト状香辛料が、配合原料として少なくとも、食用油脂、香辛料、乳化剤、および糖アルコールを含有し、
該ペースト状香辛料の食用油脂含有量が12〜65%、水分含有量が5〜25%であり、
配合原料である粉体の一部と食用油脂とを混合することにより粉体の油中分散物を調製する工程1、
および該油中分散物に他の原料を混合する工程2を有する、
ペースト状香辛料の製造方法、
(2)工程1で食用油脂と混合する粉体の合計量が、ペースト状香辛料全体に対して5〜50%である、(1)記載のペースト状香辛料の製造方法、
(3)香辛料を5〜40%含む、(1)または(2)記載のペースト状香辛料の製造方法、
(4)食用油脂12〜65%、水分5〜25%、香辛料、乳化剤、および糖アルコールを含有するペースト状香辛料であって、
ペースト状香辛料100gに対し水300gを添加し、ハンドホイッパーを用いて、25℃、120rpmで3分間撹拌混合し、その後5分間静置した際に、油相又は水相の分離が視認できない特性を有する、ペースト状香辛料、
(5)積分球式光電光度法を用いて濁度測定することにより得られる前記ペースト状香辛料の全光線透過率T1(対照:清水、波長390nm、光路長5mm)が、前記ペースト状香辛料を水で3倍に希釈することにより油脂が微細粒子化して乳化状態となった場合の全光線透過率T2よりも高い、(4)記載のペースト状香辛料、
である。
本発明は、ペースト状香辛料の製造方法であって、
該ペースト状香辛料が、配合原料として少なくとも、食用油脂、香辛料、乳化剤、および糖アルコールを含有し、
該ペースト状香辛料の食用油脂含有量が12〜65%、水分含有量が5〜25%であり、
配合原料である粉体の一部と食用油脂とを混合することにより粉体の油中分散物を調製する工程1、
および該油中分散物に他の原料を混合する工程2を有する、
ペースト状香辛料の製造方法である。
本発明のペースト状香辛料は、後述する香辛料を含有したペースト状の食品であれば特に限定するものではない。
本発明の香辛料とは、一般に食することができる香辛料であれば、特に限定されるものではなく、具体的には、アジョワン、アニス、オニオン、オールスパイス、オレガノ、カルダモン、カレーリーフ、ガーリック、キャラウェー、クミン、グリーンペッパー、クローブ、ケーパー、ペッパー、コリアンダー、サフラン、山椒、紫蘇、シナモン、ジンジャー、八角、セージ、タイム、ターメリック、タラゴン、ディル、レッドペッパー、ナツメグ、ガーリック、パセリ、バジル、バニラ、パプリカ、フェヌグリーク、フェンネル、ブラックペッパー、ペパーミント、ポピー・シード、ホワイトペッパー、マジョラム、和がらし、洋がらし、マスタード、ミョウガ、ローズマリー、ローリエ、ワサビ、五香粉、ガラムマサラ、カレー粉、七味唐辛子及びチリパウダー等が挙げられ、これらを単独で又は併用してもよい。また、本発明のペースト状香辛料は、他の液状調味料と併用した際に分散することにより、均一に香味を付与する特徴を有することから、本効果を奏しやすい和がらし、洋がらし、マスタード、ワサビ、カレー粉が好ましく、特に醤油などの液状調味料と混合して用いる和がらし、ワサビが特に好ましい。
食用油脂とは、トリアシルグリセロール又はジアシルグリセロールを主成分とする脂質のことであり、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、乳脂、牛脂、豚脂、卵黄油等の動植物油及びこれらの精製油、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、酵素処理卵黄油等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等が挙げられる。このような食用油脂は、1種で使用してもよく、2種以上を組合せて使用してもよい。
食用油脂の含有量は、ペースト状香辛料に対して12〜65%であり、好ましくは15〜55%、より好ましくは20〜45%である。食用油脂の含有量が多すぎたり少なすぎたりすると、上述の相転移が生じにくくなり、結果として他の液状調味料に均一に分散できなくなるため好ましくない。
本発明のペースト状香辛料の水分含有量は、ペースト状香辛料に対して5〜25%であり、好ましくは7〜22%、より好ましくは10〜18%である。水分が過度に多いと、上述の相転移が生じにくくなり、結果として他の液状調味料に容易に分散できなくなるため好ましくない。逆に水分含有量が過度に少ないと油相分離が生じ易くなり、香辛料特有の香味を長期間安定的に保持できなくなるため好ましくない。
本発明に用いる糖アルコールとは、糖のアルデヒド基及びケトン基を還元してアルコール基とした多価アルコールであり、例えばソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、および還元澱粉糖化物等が挙げられる。ここで、還元澱粉糖化物とは、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、タピオカ澱粉等の澱粉類を分解して得られるデキストリン、マルトデキストリン、水飴等と称される澱粉糖化物に水素を添加して得られる還元物であり、様々な重合度のグルコースを骨格とする糖アルコールの混合糖質である。本発明で用いる糖アルコールの形態としては、市販されているものであれば、特に限定するものではないが、液体状、粉末状のもの等を用いることができる。
本発明に用いる乳化剤としては特に制限はなく、例えばリン脂質、リゾリン脂質、カゼインナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられ、乳化力を持つ食品素材である卵黄、乳タンパク質、大豆タンパク質を用いてもよい。また、これらの1種または2種以上を併用して用いることができる。
本発明のペースト状香辛料は、上述の各成分の他に食塩、グルタミン酸ソーダ、醤油、味噌、核酸系旨味調味料等の各種調味料、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、マルトトリオース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖等のオリゴ糖、デキストリン、グルカン、ぶどう糖果糖液糖、及び果糖ぶどう糖液糖などの糖質、食酢、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、柑橘類果汁等の酸材、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、クチナシ色素等の着色料等、種々の食材や添加材を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、配合することができる。
下記の工程1及び2を順次行うことにより、水分と食用油脂の分離を生じさせることなく、本発明のペースト状香辛料を製造できることができる。
配合原料である粉体の一部と食用油脂とを混合することにより粉体の油中分散物を調製する。より具体的には、上述した香辛料、乳化剤、および糖アルコール、ならびにその他の配合原料であって粉体のものを順次食用油脂に混合するか、あるいは、予めこれらの粉体を混合して食用油脂と混合することにより、粉体の少なくとも一部が食用油脂に非溶解で分散した混合物を調製する。混合操作は、ニーダーやホバートミキサー等の攪拌機を用いて行うことができる。また、本発明において、粉体は水分含有量が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
本発明のペースト状香辛料を構成する配合原料のうち、工程1で用いたものの残部を工程1で得た粉体の油中分散物に混合することにより、ペースト状香辛料を得る。
本発明のペースト状香辛料は、ペースト状香辛料100gに対し水300gを添加し、ハンドホイッパーを用いて、25℃、120rpmで3分間撹拌混合し、その後5分間静置した際に、油相又は水相の分離が視認できない特性を有する。
表1の配合割合でペースト状香辛料(ペースト状からし)を製造した。具体的には、ニーダーに大豆油を投入し、次に全粉乳、食塩、辛子粉、ショ糖脂肪酸エステルを投入し、撹拌混合後、糖アルコール、清水を投入してさらに撹拌混合後脱気した。続いて品温が90℃に達温するように加熱し、放冷後30gずつ容器に充填してペースト状香辛料を製造した。なお、糖アルコールとしてはエスイー100(日研化成株式会社製、70%水溶液、糖組成の64%以上が5糖以上の糖アルコール、原料デキストリンのDE値15)を用いた。また、容器としては、小袋パウチを使用した。
表1の配合割合でペースト状香辛料を製造した。具体的には、ニーダーに全粉乳、食塩、辛子粉、糖アルコール、清水を投入し、撹拌混合後、大豆油を投入しさらに撹拌混合した以外は、実施例1と同様にペースト状香辛料を製造した。得られたペースト状香辛料は油相分離をしていた。
実施例1〜3、および比較例3のペースト状香辛料各100gに水300gを加え、ハンドホイッパーを用いて、25℃で120rpm、3分間撹拌を行い、5分間静置した後、油分または水分の分離を目視で確認した。
<評価基準>
○:油分または水分の分離がほとんど見られず、好ましい状態であった。
×:油分または水分の分離が見られ、好ましくない状態であった。
実施例1〜3、および比較例1〜7のペースト状香辛料を醤油に溶き、下記の評価基準で官能評価を行った(表1)。
<評価基準>
A:ペースト状香辛料が相転移することで醤油に容易に分散、溶解し、香辛料の香味が均一に付与されていた
B:ペースト状香辛料が相転移することで醤油に徐々に分散、溶解し、香辛料の香味が問題ない程度に均一に付与されていた
C:ペースト状香辛料が油分離してしまい、香辛料の香味が均一に付与されていなかった
表2の配合割合に変更し、辛子粉を工程2の後に混合、撹拌した以外は実施例1と同様の方法でペースト状香辛料(ペースト状からし)を製造した。得られたペースト状香辛料を試験例1と同様の方法で水添加後の分離試験を行い、試験例2と同様の方法で官能試験を行った(表2)。
下記の方法でペースト状香辛料(ペースト状ワサビ)を製造した。具体的には、ニーダーに大豆油30%を投入し、次に全粉乳10%、食塩1%、粉末ワサビ27%を投入し、撹拌混合後、糖アルコール(エスイー100)25%、清水7%を投入してさらに撹拌混合後脱気した。続いて品温が90℃に達温するように加熱し、放冷後30gずつ容器に充填してペースト状香辛料を製造した。得られたペースト状香辛料の水分含有量を減圧加熱乾燥法により測定したところ14.5%であった。
下記の方法でペースト状香辛料(ペースト状カレー香辛料)を製造した。具体的には、ニーダーに大豆油30%を投入し、次に全粉乳8%、カレー粉14%、食塩5%、グルタミン酸ナトリウム1%、チキンブイヨンパウダー1%、砂糖1%を投入し、撹拌混合後、糖アルコール30%、生卵黄10%を投入してさらに撹拌混合後脱気した。続いて品温が90℃に達温するように加熱し、放冷後30gずつ容器に充填してペースト状香辛料を製造した。なお、糖アルコールとしてはエスイー30(日研化成株式会社製、70%水溶液、糖組成の43%以上が5糖以上の糖アルコール、原料デキストリンのDE値30)を用いた。得られたペースト状香辛料の水分含有量を減圧加熱乾燥法により測定したところ14%であった。
下記の方法でペースト状香辛料(ペースト状バジル)を製造した。具体的には、ニーダーにオリーブオイル25%を投入し、次にバジルペースト(オリーブオイル50%、バジル含有量50%)25%、全粉乳8%、食塩1%、パルメザンチーズパウダー16%を投入し、撹拌混合後、糖アルコール(エスイー100)20%、清水5%を投入してさらに撹拌混合後脱気した。続いて品温が90℃に達温するように加熱し、放冷後30gずつ容器に充填してペースト状香辛料を製造した。得られたペースト状香辛料の水分含有量を減圧加熱乾燥法により測定したところ11%であった。
Claims (4)
- ペースト状香辛料の製造方法であって、
該ペースト状香辛料が、配合原料として少なくとも、食用油脂、香辛料、乳化剤、および糖アルコールを含有し、
該ペースト状香辛料の食用油脂含有量が12〜65%、水分含有量が5〜25%であり、
配合原料である粉体の一部と食用油脂とを混合することにより粉体の油中分散物を調製する工程1、
および該油中分散物に他の原料を混合する工程2を有し、
工程1で食用油脂と混合する粉体の合計量が、ペースト状香辛料全体に対して5〜50%である、
ペースト状香辛料の製造方法。 - 請求項1に記載のペースト状香辛料の製造方法であって、
香辛料(固形分換算)を5〜40%含む、
ペースト状香辛料の製造方法。 - 請求項1又は2に記載のペースト状香辛料の製造方法により得られるペースト状香辛料であって、
食用油脂12〜65%、水分5〜25%、香辛料、乳化剤、および糖アルコールを含有し、
ペースト状香辛料100gに対し水300gを添加し、ハンドホイッパーを用いて、25℃、120rpmで3分間撹拌混合し、その後5分間静置した際に、油相又は水相の分離が視認できない特性を有する、
ペースト状香辛料。 - 請求項3記載のペースト状香辛料であって、
積分球式光電光度法を用いて濁度測定することにより得られる前記ペースト状香辛料の全光線透過率T1(対照:清水、波長390nm、光路長5mm)が、前記ペースト状香辛料を水で3倍に希釈することにより油脂が微細粒子化して乳化状態となった場合の全光線透過率T2よりも高い、
ペースト状香辛料。
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