JP2004283056A - ペースト状香辛料の製造方法 - Google Patents

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良三 中原
Katsumi Nakanishi
克美 中西
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Abstract

【課題】製造工程中及び保存中に風味が散逸せず、香辛料が本来保有する香り、味などを効率よく発現可能で、しかも菌数が少なく、微生物的な衛生面でも良好な香辛料を提供する。
【解決手段】香辛料を食用油脂とともに磨砕してペースト状とした後、調理臭がつかない加熱条件で加熱殺菌するペースト状香辛料の製造方法で、香辛料を磨砕した後、エタノールを添加混合して加熱殺菌するのが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、香辛料が本来有する香り、味が有効に発現し、かつ長持ちし、更に菌数の低いペースト状香辛料の製造方法、並びにこの方法により製造される香辛料に関する。
【0002】
【従来の技術】
香辛料は、植物の果実、花、つぼみ、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎などそのもの、あるいはそれらの乾燥品または抽出物であって、特有の香り、辛味、色調を有し、飲食物に加えることによって香り付け、消臭、調味、着色、保存などの効果をもたらす。我が国では、日本の伝統的な香辛料もあるが、海外から輸入される香辛料が多く使用されている。市販されている香辛料の形態としては、業務用、一般家庭用ともに、乾燥したものを粉砕した粉末状のものが最も一般的である。この粉末状香辛料は、原料香辛料を粉砕する前後に加熱殺菌することが通常行われる。この粉末状香辛料の品質上の要件としては、原料香辛料の保有していた香り、味、色調の質、力価を保持し、かつそれらが使用時に食品中で発現すること、菌数が低いこと、経時的に品質の変化やケーキングを起こさないことなどが挙げられる。前記粉末状香辛料の各品質要件に影響を及ぼす要因としては、粉砕工程では、粉砕方法、粒度、粒度分布、また加熱殺菌工程では、加熱殺菌の方法、温度、時間、さらに製造後の保存段階では、包装形態、保存条件などが挙げられ、それぞれ各種の方法が提案され実施されている。しかし、従来の粉末状香辛料の場合、前記粉砕、加熱殺菌および製造後の保存段階のいずれにおいても香り、味、色調の質、力価の低下を起こしやすいという問題がある。
【0003】
なお、香辛料を使用時まで原形のまま保存し、使用時に粉砕することにより新鮮な香り、味を得ることも行われることがあるが、香辛料の工業的な使用には生産性、品質の安定性の面で問題を有する。
【0004】
また、オリーブオイルなどの食用油にガーリックやハーブを浸漬したもの、香辛料を食用油とともに加熱調理した後に固液分離したシーズニングオイル類、さらには前記加熱調理した後に固液分離することなく磨砕したペースト状の組成物(例えば、特許文献1〜3参照。)も提案されている。しかしながら、これらの食用油と香辛料とを組み合わせた従来の香辛料製品は、油脂に移行させた香辛料の風味を用いることを目的として油脂中で香辛料や野菜類などを加熱調理するものであり、天然の香辛料そのものの香りや味を有効に利用しうる香辛料本来の機能は期待できず、香辛料として汎用性のあるものではなかった。
【0005】
さらに、低菌化香辛料としては、香辛料を食用油の中で加熱殺菌した殺菌香辛料も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この殺菌香辛料は菌数的には良好になっているものの、油中で殺菌後、油切りし、粉末化しているため、仮に凍結粉砕によって粉末化しても粉砕中及び保存中の風味の散逸は避けられない。また、紅茶、ほうじ茶、ハーブティーの粉末を液状油脂に混合したペーストも提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、この場合も、液状油脂との混合前に粉末化していることから、原料である茶類の粉末化の過程での風味の散逸は避けられない。
【0006】
以上のように、従来においては、天然香辛料の粉末製品が有する問題点を克服し、天然の香辛料が本来保有する香り、味などの風味を有効に発現させ、かつ経時的に風味が散逸することのない香辛料、さらには菌数が少なく衛生的で良好な香辛料は得られていなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭60−172267号公報(実施例3)
【特許文献2】
特開2000−224969号公報
【特許文献3】
特開2001−8620号公報
【特許文献4】
特開平1−104139号公報
【特許文献5】
特開平11−164654号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の香辛料における問題点に鑑み、製造工程中及び保存中に風味が散逸せず、香辛料が本来保有する香り、味などを効率よく発現可能で、しかも菌数が少なく、微生物的な衛生面でも良好な香辛料を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、天然の香辛料を食用油脂とともに磨砕してペースト状の香辛料を得、それを所定の条件で加熱殺菌することで、上記の目的を達成しうることを見いだし、本発明を完成させるにいたった。
【0010】
即ち、本発明に係るペースト状香辛料の製造方法は、香辛料を食用油脂とともに磨砕した後、前記食用油脂とともに加熱殺菌することを特徴とする。前記加熱殺菌は、香辛料中に含まれる微生物を殺菌することを目的とするもので、従来のシーズニングオイルなどのように香辛料の精油成分を油脂中に抽出したり、また油脂中で香辛料を加熱調理することで調理臭を付与した油脂組成物を得ることを目的として行われる加熱処理とは異なる。この方法によれば、香辛料を食用油脂中で磨砕することから、従来の粉末状香辛料のように粉砕過程で香辛料の風味が散逸することがない。また、磨砕後も香辛料は食用油脂中に分散していることで、保存中の香辛料の風味の散逸も抑制される。更に、香辛料を食用油脂とともに磨砕することでペースト化した後に加熱処理することから、加熱殺菌時には熱媒体である食用油脂が均一に香辛料と混合されており、加熱殺菌効率がよく、高温短時間処理での加熱殺菌が可能となり、加熱による香辛料の風味の変化や散逸が抑制され、かつ加熱による調理臭が着くこともなく、天然の香辛料の有する香り、味などを効率よく発現することができ、汎用性のある香辛料を得ることができる。
【0011】
前記香辛料を磨砕した後の加熱殺菌に際しては、エタノールを添加混合してから加熱殺菌することが好ましい。このようにエタノールを添加して加熱殺菌することで、殺菌効率を更に向上させることができる。この場合のエタノールの添加量は加熱殺菌前の香辛料と食用油脂とからなるペースト状混合物に対して1〜10重量%の範囲とすることが好ましい。
【0012】
更に、前記加熱殺菌時の加熱条件は、調理臭がつかない加熱条件とする。これにより、天然の香辛料が保有する香り、味をそのまま発現可能で汎用性のある香辛料とすることができる。前記加熱条件としては、加熱温度が60〜140℃の範囲、加熱時間が30分〜30秒の範囲であることが好ましい。
【0013】
また、香辛料の乾燥重量と食用油脂の重量との比率は、100:50〜100:500の範囲内とすることが好ましい。
【0014】
本発明のペースト状香辛料の原料としては、例えば、黒コショウ、白コショウ、クミン、メッチ、ナツメグ、メース、オールスパイス、コリアンダー、セロリシード、フェンネル、アニスシード、スターシード、カルダモン、キャラウェイ、ディル、サンショウ、マスタードなど、油脂成分の多い種子系の香辛料、赤唐辛子、パプリカ、レッドピーマンなどの果実系香辛料、ローレル、セージ、タイム、マジョラム、バジル、オレガノ、パセリ、ローズマリー、シソなどの香草類、更には、クローブ、シナモンなどを好適に使用することができる。
【0015】
そして、上記のような製造方法によって、本発明に係るペースト状香辛料は製造される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
【0017】
本発明において香辛料とは、植物の果実、花、つぼみ、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎などであって、特有の香り、辛み、色調を有し、飲食物に加えることにより香り着け、消臭、調味、着色、保存などの効果をもたらすものであり、食品の風味付けなどを目的として通常使用されるあらゆる香辛料類、ハーブ類を含む。本発明方法に使用する原料香辛料としては、これら香辛料の1種を単独で、または2種以上組み合わせて使用することもできる。本発明で使用される原料香辛料を例示すれば、黒コショウ、白コショウ、クミン、メッチ、ナツメグ、メース、オールスパイス、コリアンダー、セロリシード、フェンネル、アニスシード、スターシード、カルダモン、キャラウェイ、ディル、サンショウ、マスタードなど、油脂成分の多い種子系の香辛料、ニンニク、たまねぎ、ねぎ、リークなどの鱗茎の香辛料、赤唐辛子、パプリカ、レッドピーマンなどの果実系香辛料、ローレル、セージ、タイム、マジョラム、バジル、オレガノ、パセリ、ローズマリー、シソなどの香草類、ジンジャー、ターメリック、ホースラディッシュ、ワサビなどの根系香辛料、更には、クローブ、シナモンなども使用することができる。これらの香辛料の中でも、脂溶性成分の多い香辛料は食用油脂中に当該成分が溶出且つ保持され、揮発性成分の多い香辛料は当該成分が食用油脂中に保持されることにより、本発明による効果がより期待される。前記脂溶性成分の多い香辛料としては、黒コショウ、白コショウ、クミン、メッチ、ナツメグなどの種子系香辛料、クローブ、シナモンなどが挙げられる。同じく脂溶性成分であるカプサイシン、カロチノイドなどが多い、赤唐辛子、パプリカなどの果実系香辛料が挙げられる。また、揮発性成分の多い香辛料としては、ローレル、セージ、タイムなどの香草類が挙げられる。なお、上記の香辛料のうちでは、例えばニンニク、たまねぎ、ジンジャー、ワサビなどのように、通常水分が70%以上の生といわれる状態のものがあるが、これらを本発明で原料香辛料として使用する場合には、乾燥して水分15%以下にしたものを使用することが望ましい。
【0018】
本発明で使用する食用油脂としては、食用に使用されるものであれば特に限定されるものではない。この食用油脂としては、例えば、パーム油、菜種油、コーン油、米油、大豆油、オリーブ油、ごま油などの精製植物性油脂及びそれらの硬化油脂、ラード、牛脂、チキンオイルなどの精製動物性油脂及びそれらの硬化油脂などが例示できる。これらの食用油脂のなかでも、精製した中性植物油脂は、天然の香辛料が本来保有する風味を阻害するおそれが少なく、本発明の目的達成のためにより好ましい。また、製造されるペースト状香辛料中における油脂の酸化安定性を得るためには、酸化安定性油脂を使用することが更に好ましい。この酸化安定性油脂としては、例えば鐘淵化学工業株式会社製の「ベルコートN」(登録商標)などが挙げられる。
【0019】
原料としての香辛料と食用油脂との比率は、主に以下の3つの要因により決定することができる。まず第1の要因は、香辛料の風味の濃度を高め、食用油脂を含有することによる使用上の制約を小さくするためには、食用油脂の比率が低い方が好ましい。この点からは、原料香辛料の固形分(原料香辛料の乾燥重量、以下同じ)100%に対し、食用油脂の比率を重量比で500%以下、更には300%以下に抑えることが望ましい。また第2の要因は、原料香辛料を食用油脂中で該食用油脂とともに磨砕するに当たって、磨砕機に容易にフィードされ、均一なペースト状の香辛料を得るためには、一定以上の食用油脂の比率が必要である。特に、ローレル、セージ、ロースマリー、バジル、唐辛子などの流動性が悪い香辛料の場合は、原料香辛料の固形分100%に対して重量比で150%以上の食用油脂を使用することが望まれる。一方、黒コショウ、白コショウ、コリアンダーのように流動性のよい種子系の香辛料の場合は、少ない食用油脂でよいが、原料香辛料の固形分重量に対して50%以上、より好ましくは100%以上であることが、均一な粉砕及びペーストを得るうえで望ましい。更に第3の要因は、好ましい実施態様として、香辛料中の揮発性成分の揮散を防ぐために、磨砕機への原料投入量と排出量とをほぼ等量にコントロールするとともに、原料香辛料の固形分重量に対する食用油脂の比率を100%以上として磨砕機内で香辛料が空気に接触することなく磨砕することが好ましい。以上の3つの要因から、原料香辛料の固形分(乾燥重量)と食用油脂との比率は、重量比で100:50〜100:500の範囲、より好ましくは100:100〜100:300の範囲である。
【0020】
本発明では、上記のような香辛料と食用油脂とを混ぜ合わせて、香辛料を食用油脂とともに磨砕する。本発明に使用する磨砕機としては特に限定されるものではなく、例えば増幸産業(株)製「マスコロイダー」(登録商標)、(株)奈良機械製作所製「マイクロス」(登録商標)など、湿式粉砕の可能な機械を用いればよい。
【0021】
また、本発明における磨砕後の香辛料の粒度は特に限定されるものではなく、食用油脂との比率に対応してペースト状の物性が得られればよい。
【0022】
次ぎに、本発明では、上記のように食用油脂とともに磨砕した香辛料を、食用油脂とともに加熱殺菌する。このように、本発明においては、香辛料を食用油脂とともに磨砕することでペースト化した後に加熱処理することから、熱媒体である食用油脂が均一に香辛料と混合されており、加熱による殺菌作用が効果的に発揮され、高温短時間処理が可能である。このため、本発明方法によれば、磨砕前に加熱殺菌する方法に較べて、香辛料の風味の変化が起こりにくく生産性の高い方法である。加熱条件としては、製品に加熱による調理臭が着かない範囲に抑えることが必要で、この範囲を超えた加熱条件で処理した場合には、天然香辛料としての本来の使用目的を達成できなくなる。そのため、加熱温度は好ましくは60〜140℃の範囲内、加熱時間は好ましくは30分〜30秒の範囲内とし、より好ましくは加熱温度は70〜135℃で加熱時間は15分〜30秒の範囲、更に好ましくは加熱温度は110〜130℃で加熱時間は2分〜30秒の範囲とする。この場合、加熱温度が低いときは加熱時間を長くし、加熱温度が高いほど加熱時間は短くして調理臭が着かないようにすることが好ましい。前記範囲を超えて加熱した場合、得られるペースト状香辛料に加熱により調理臭が付くので好ましくない。具体的な処理温度及び時間は、個々の原料香辛料及び処理前後の菌数に適した条件を上記範囲から適宜選択すればよい。加熱方法としては、例えば、掻き取り式熱交換器が好適に使用することができる。掻き取り式熱交換器としては、例えば(株)桜製作所の「オンレーター」(登録商標)などを使用することができる。その他、レトルト加熱、電磁波加熱などの方法を使用することもできる。また、加熱処理後は、不必要な加熱による香辛料の風味の劣化を防ぐために、掻き取り式の熱交換器などで品温を速やかに下げることが望ましい。また、更に好ましい実施態様としては、エタノールを加熱前のペーストに添加混合し、これを加熱処理することで、殺菌効果が向上する。この場合のエタノールの添加量は、香辛料と食用油脂とのペーストに対して重量比で1%〜10%が好適である。エタノールの混合量が1%未満では殺菌効果の向上が期待できず、10%を越えるとエタノールの風味が香辛料の風味を阻害し、香辛料としての力価低下をもたらすことから好ましくない。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0024】
(実施例1、2、3)
原料香辛料として、未殺菌の黒コショウ、赤唐辛子及びローズマリーを用い、食用油脂として菜種油(鐘淵化学工業株式会社製、酸化安定油「ベルコートN」)を用いて以下のようにしてペースト状香辛料を作成した。
原料香辛料と食用油脂とを混合したものを、磨砕機(増幸産業(株)製「マスコロイダー」)で磨砕してペースト状にした。磨砕機の砥石間のクリアランスは60μm、回転速度1500rpmとした。磨砕したペーストを掻き取り式熱交換器((株)桜製作所製「オンレーター」)を使用し、130℃で滞留時間1分の加熱処理後、冷水を通した同じ機器で冷却し、ペースト状香辛料を得た。
香辛料と食用油脂との配合比率及び得られたペースト状香辛料の量を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 2004283056
【0026】
(比較例1、2、3)
実施例1〜3で用いた3種の未殺菌の香辛料をそれぞれ60メッシュに粉砕した粉末香辛料を、実施例1〜3と同じ食用油脂と同じ比率で混合したものを、実施例1〜3と同様に掻き取り式熱交換器((株)桜製作所製「オンレーター」)を使用し、130℃で滞留時間1分の加熱後、冷水を通した同じ機器で冷却し、比較例1〜3のペースト状香辛料を得た。
【0027】
(官能評価)
上記のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1〜3のペースト状香辛料について、7名のパネラーにより、以下のようにして官能評価を行った。
香り及び味の強さについては、各試料を19倍量の食用油脂に希釈し、強いを5点、弱いを1点とし、7名のパネラーの点数の平均値を四捨五入した。また、香りの相対力価については、実施例1〜3の各試料0.5gを300gの熱湯に湯溶きしたものを標準とし、対応する比較例1〜3の各試料を、300gの熱湯に1回につき0.5gずつ、対応する実施例と同等の香りの強さを示すまで湯溶きしてゆき、実施例の試料の湯溶き量(0.5g)に対する対応する比較例の試料の湯溶き量の倍率を、比較例の香辛料に対する実施例の香辛料の相対力価とし、7名のパネラーの平均値を出した。
以上の官能評価の結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 2004283056
【0029】
表2の結果から、本発明の実施例1〜3のペースト状香辛料は、予め粉末化した香辛料を食用油脂とともに加熱処理した比較例1〜3のペースト状香辛料に較べて香り、味ともに強く発現していることが分かる。
【0030】
(香り成分の分析)
実施例1の黒コショウのペースト状香辛料と、実施例1で使用した未殺菌の黒コショウを粉末化(60メッシュ)した粉末香辛料(対照)につき、主要香り成分であるα−ピネンの量を、各香辛料の作成直後及び40℃恒温槽で10日間保存(1000mlビーカーに200gを蓋無しで充填)後に分析した。香り成分の保持力を評価するために、10日間保存前後のα−ピネンの量の比率(残存率)を比較した。その結果を表3に示す。また、実施例3と比較例3のペースト状香辛料について、原料香辛料のローズマリーの主要香り成分である1,8−シネオールの量を分析した結果を表4に示す、なお、香り成分の分析は、ガスクロマトグラフ質量分析法により行った。
【0031】
【表3】
Figure 2004283056
【0032】
【表4】
Figure 2004283056
【0033】
表3及び表4から、成分分析の結果でも、実施例1及び実施例3のペースト状香辛料が香りが強いことが確認された。また、表3の結果から、ペースト状態であることにより、香り成分の絶対値が高いのみならず、香り成分の残存率も高いことが確認された。
【0034】
(参考例:黒コショウのピペリンとα−ピネン比率)
菌数が少なく、力価の高い香辛料製品である溶剤抽出のエキス・オレオレジンの例として、黒コショウオレオレジン(「オレオレジンブラックペパーボンベイ」、Kancor Flavours & Extracts Limited製)を参考例とし、黒コショウの辛味の主成分であるピペリンの含量と香り成分であるα−ピネンの含量を測定し、それらの比率を実施例1と比較した。ピペリン含量は分光光度計(343nmでの吸光度)により測定し、またα−ピネン含量はガスクロマトグラフ質量分析法により測定した。その結果を表5に示す。
【0035】
【表5】
Figure 2004283056
【0036】
表5の結果から、参考例(オレオレジン)は辛味成分であるピペリンの含量は多いが、それに対するα−ピネンの比率が実施例1のペースト状香辛料に較べて相対的に低く、実施例1が辛味とともに香り成分もバランスよく保持していることが分かる。
【0037】
(実施例4)
黒コショウ6kgと食用油脂(鐘淵化学工業株式会社製、「ベルコートN」)6kgを混合し、実施例1と同様にして磨砕機(増幸産業(株)製、「マスコロイダー」)で磨砕してペーストを得た。得られたペーストを、掻き取り式熱交換器((株)桜製作所製「オンレーター」)を使用し、130℃で滞留時間1分の加熱後、冷水を通した同じ機器で冷却し、ペースト状香辛料を得た。得られたペースト状香辛料は10.5kgであった。
【0038】
(実施例5)
実施例4において、ペーストに対して1.5重量%のエタノール(99.5%)を混合してから加熱した以外は同様に処理してペースト状香辛料10.7kgを得た。
【0039】
(実施例6)
ペーストの加熱条件を145℃1分間にした以外は、実施例4と同様に処理してペースト状香辛料10.5kgを得た。
【0040】
(比較例4)
未殺菌の黒コショウ(原形)6kgと食用油脂(鐘淵化学工業株式会社製、「ベルコートN」)6kgとを混合し、ジャケット付き調理釜((株)カジワラ製)で攪拌しながら昇温し、130℃達温後、直ちにジャケットに冷水を通して常温まで冷却後、磨砕機(増幸産業(株)製、「マスコロイダー」)で磨砕してペースト状香辛料10.8kgを得た。
【0041】
以上の実施例4〜6及び比較例4で得られた香辛料、並びに比較例1の香辛料について、香り、味、一般生菌数を評価分析した結果を表6に示す。なお、香り、味の強さは実施例1〜3の場合と同様に評価した。また、調理風味については、比較例1を0点(なし)、油脂で炒めた時の香り(1点)、ロースト臭(3点)焦げ臭(5点)として、7名のパネラーの点数の平均値を四捨五入した。さらに、一般生菌数については標準寒天培地法により測定した。
【0042】
【表6】
Figure 2004283056
【0043】
表6に示す結果から、実施例4、5では、良好な風味に加えて、一般生菌数が少ない微生物的な衛生面でも良好な黒コショウのペースト状香辛料が得られた。また、実施例4と実施例5との比較から、エタノールを添加混合して加熱処理することで、菌数低減の効果があることが確認された。更に、実施例6の結果から、ペーストの加熱温度が140℃を越えると調理風味が付き、天然香辛料としての使用に制限がでることが分かる。また、比較例4の結果から、黒コショウを食用油脂に混合し加熱処理した後で磨砕してペースト化した場合には、予め粉末化した黒コショウを食用油脂に混合して加熱した比較例1に較べて香り、味が強いものの、食用油脂とともに磨砕してペースト化した後に加熱処理する本発明の実施例の方が加熱処理後に磨砕した比較例4より菌数が少なく、殺菌効果が高いことが確認された。
【0044】
(実施例7、8、比較例5)
未殺菌シナモン30kgを粗砕し、食用油脂(鐘淵化学工業株式会社製、「ベルコートN」)40kgに分散した後、磨砕機(増幸産業(株)製「マスコロイダー」)にて磨砕し(クリアランス60μm、回転速度1500rpm)、ペースト62.2kgを得た。得られたペースト25kgを、掻き取り式熱交換器((株)桜製作所製、「オンレーター」)で、130℃で1分間の滞留時間で熱処理し、同じタイプの熱交換器で冷却した(実施例7)。また、前記磨砕後のペースト25kgに対し、エタノール0.5kgを混合し、同様に加熱処理、冷却処理をした(実施例8)。比較例5として、未殺菌のシナモン粉末(60メッシュ)を実施例7及び8と同様の比率で同じ食用油脂に混合したペースト(加熱なし)を作成した。
【0045】
以上の実施例7、8及び比較例5のペーストについて、前記と同様の7名のパネラーによる風味(香り、味の強さ)の評価結果、並びに一般生菌数及び原料香辛料のシナモンの主要な精油成分であるシナミックアルデヒドの含有量を測定した結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
Figure 2004283056
【0047】
表7の結果から明らかなように、シナモンを食用油脂とともに磨砕したペーストを加熱処理した実施例7、8においては、シナモン粉末を食用油脂に混合した比較例5に較べて風味、衛生面のいずれにおいても優れたシナモンペーストが得られた。更に、シナミックアルデヒドの含有量測定結果からも、シナモンを食用油脂とともに磨砕したペーストを加熱処理した実施例8は、シナモン粉末を食用油脂に混合した比較例5よりも香りが強いことが確認された。また、実施例7と8との比較から、ペーストにエタノールを混合して加熱殺菌することによる殺菌効果の向上が確認された。
【0048】
【発明の効果】
本発明に係るペースト状香辛料の製造方法によれば、香辛料を食用油脂とともに磨砕してペースト状としたうえで加熱殺菌することで、粉末タイプの天然香辛料に較べて、香り、味及び微生物的な衛生面で優れ、また、従来のシーズニングオイルのような加熱による調理臭もない香辛料を得ることができる。従って、本発明のペースト状香辛料によれば、香辛料の使用量の削減、及び用途の拡大が可能となる。また、前記ペーストの加熱殺菌時にエタノールを混合しておくことで、菌数のより少ないペースト状香辛料を得ることができる。

Claims (11)

  1. 香辛料を食用油脂とともに磨砕した後、前記食用油脂とともに加熱殺菌することを特徴とするペースト状香辛料の製造方法。
  2. 香辛料を磨砕した後、エタノールを添加混合してから加熱殺菌することを特徴とする請求項1記載のペースト状香辛料の製造方法。
  3. エタノールの添加量が1〜10重量%であることを特徴とする請求項2記載のペースト状香辛料の製造方法。
  4. 調理臭がつかない加熱条件で加熱殺菌する請求項1〜3のいずれかに記載のペースト状香辛料の製造方法。
  5. 加熱温度が60〜140℃、加熱時間が30分〜30秒で加熱殺菌する請求項1〜4のいずれかに記載のペースト状香辛料の製造方法。
  6. 香辛料の乾燥重量と食用油脂の重量との比率を100:50〜100:500の範囲内としてなる請求項1〜5のいずれかに記載のペースト状香辛料の製造方法。
  7. 香辛料が、黒コショウ、白コショウ、クミン、メッチ、ナツメグ、メース、オールスパイス、コリアンダー、セロリシード、フェンネル、アニスシード、スターシード、カルダモン、キャラウェイ、ディル、サンショウ、マスタードなどの種子系の香辛料である請求項1〜6のいずれかに記載のペースト状香辛料の製造方法。
  8. 香辛料が、赤唐辛子、パプリカ、レッドピーマンなどの果実系香辛料である請求項1〜6のいずれかに記載のペースト状香辛料の製造方法。
  9. 香辛料が、ローレル、セージ、タイム、マジョラム、バジル、オレガノ、パセリ、ローズマリー、シソなどの香草類である請求項1〜6のいずれかに記載のペースト状香辛料の製造方法。
  10. 香辛料が、クローブ及びシナモンの少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載のペースト状香辛料の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の方法により製造されたペースト状香辛料。
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