JP7321083B2 - タマネギ含有調味料、タマネギ含有調味料の製造方法、タマネギ含有調味料を配合した食品、タマネギ含有調味料を配合した食品の製造方法 - Google Patents

タマネギ含有調味料、タマネギ含有調味料の製造方法、タマネギ含有調味料を配合した食品、タマネギ含有調味料を配合した食品の製造方法 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 2019年9月12日 フジフーズ株式会社本社において顧客向け商談会(フジフーズ株式会社様向け)での公開
特許法第30条第2項適用 2019年10月11日 カゴメ株式会社水天宮ビルにおいて顧客向け商談会(株式会社セブンイレブンジャパン様向け)での公開
特許法第30条第2項適用 2019年12月6日 わらべや日洋ホールディングス株式会社本社において顧客向け商談会(わらべや日洋ホールディングス株式会社様向け)での公開
本発明が関係するのは、タマネギ含有調味料、タマネギ含有調味料の製造方法、タマネギ含有調味料を配合した食品、タマネギ含有調味料を配合した食品の製造方法である。
タマネギの用途は、幅広く、例示すると、炒めもの、煮物、スープ、生野菜(サラダ)、ソース、やドレッシング等である。
タマネギが食品で幅広く使用される理由の一つは、タマネギが有する風味である。タマネギは、加熱されると香ばしい風味や、「コク」が増加し、食品に美味しさを付与する。
特許文献1が開示するのは、オニオンソテーの製造方法であって、その構成は、オニオンを原料の重量に基いて1/5以下となるように濃縮して水分活性値を0.95以下とし、次いでエチルアルコールを2~6%の濃度となるように添加することである。当該製法が奏する効果は、焦げ付きの防止、保存性の向上である。
特許文献2が開示するのは、炒めもどき調理食品のもとであって、炒め工程を省略しても、炒めたものとそん色ない食品とするため、食用油に乾燥食品を入れ、加熱する風味油である。
特開昭63-157952号公報 特開H07-39337号号公報
本発明が解決しようとする課題は、炒め感が付与された調味料、又はこれを使用したソースを提供することである。
料理や食品において、焼き、又は炒める等の加熱によって生じる香ばしさが、美味しさに寄与することが知られている。例えば、パスタソース等のソースにおいては、食材やパスタ等と混ぜ合わせた後、最後に焼き、又は炒めることで炒め感が付与され、美味しさが増す。特にナポリタンでは、タマネギを焼き、又は炒めることによって付与される香ばしさが炒め感に寄与しており、美味しさの重要な因子となっている。
しかし、このようにソースと混ぜ合わせた後に、焼き、又は炒めることは、手間を要すること、大量に調理することができないこと、加熱の程度や品質にばらつきが生じること、具材やパスタの性状や見た目が変化すること、等の問題があった。
そこで、本発明者が着目したのは、炒め感が付与された調味料の製造である。さらには、ソース自体に炒め感を付与しておくことである。これにより、具材やパスタと混合した後に加熱を行わなくても、炒め感が付与されたものを製造することができる。
本願発明者らが着目したのは、如何にして加熱によってタマネギの温度を上げるか、これによってタマネギの香ばしさを引き出すか、である。タマネギ、及び食用油を一定の比率により混合し、特定の温度条件で加熱することである。さらには、加熱後のタマネギを除くことなく、焦げたタマネギと食用油の混合物をタマネギ含有調味料として用いることである。あわせて、当該タマネギ含有調味料をソース等の原料として用いることで、炒め感の付与された食品を製造することができた。具体的には、以下のとおりである。
本発明に係るタマネギ含有調味料の製造方法を構成するのは、少なくとも、混合、及び加熱である。ここで混合されるのは、少なくとも、タマネギ、及び食用油である。これによって得られる混合物に対する当該食用油の重量比は、1/2~6/7であることが好ましい。前記混合物に対する前記タマネギの重量比は1/7~1/2であることが好ましい。前記加熱されるのは、少なくとも、前記混合物である。当該加熱によって達する、前記混合物の温度は、120℃~190℃であることが好ましい。また、タマネギは、砕かれたものであり、当該砕かれたタマネギの大きさは、0.5mm~10mmであることが好ましい。当該タマネギ含有調味料は、容器詰めである。
本発明に係るタマネギ含有調味料が含有するのは、少なくとも、焦げたタマネギ、及び食用油である。当該調味料における、焦げたタマネギの含有量は、5~20重量%であることが好ましい。当該調味料の用途は、ソースである。
本発明に係るソースの製造方法を構成するのは、少なくとも、調合である。ここで調合されるのは、少なくとも、前記製造方法により製造されたタマネギ含有調味料である。当該調合において、さらにトマト加工品を調合するのが好ましい。当該ソースにおける前記タマネギ調味料の含有割合は、0.1~20質量%であることが好ましい。
本発明に係るソースが含有するのは、少なくとも、焦げたタマネギ、及び食用油である。当該ソースがさらに含有するのは、トマト加工品である。また、当該ソースは、容器詰めである。
本発明に係るソースにおける炒め感の付与方法を構成するのは、少なくとも、混合、加熱、及び調合である。ここで混合されるのは、少なくとも、タマネギ、及び食用油であり、これによって得られる混合物に対する当該食用油の重量比は、1/2~6/7である。当該混合物に対する当該タマネギの重量比は、1/7~1/2である。また、加熱されるのは、少なくとも、前記混合物であり、調合されるのは、少なくとも、前記混合、及び加熱により製造されたタマネギ含有調味料である。
本発明が可能にするのは、炒め感が付与された調味料の製造である。さらには、炒め感が付与された食品の製造である。
本発明のメカニズムは、以下と推察される。タマネギを加熱することによって生じる、ジメチルトリスルフィド(Dimethyl trisulfide)が、炒め感に寄与する香ばしさを有する成分である。本発明において、タマネギを食用油中で130℃以上の温度により加熱することで、当該成分量が増大する。また、生っぽいタマネギの香りは、炒め感を抑制する。当該生っぽいタマネギの香りは、少なくとも、タマネギ中のメチルプロピルジスルフィド(Methyl propyl disulfide)、ジアリルスルフィド(Dialyll sulfide)に由来する。本発明において、食用油中で130℃以上の温度により加熱することで、これらの成分量が減少し、炒め感を得やすくなる。
本実施の形態に係る本タマネギ含有調味料の製造方法の流れ図 本実施の形態に係る本タマネギ含有調味料を含有する食品の製造方法の流れ図
<炒め感>
本実施の形態に係る「炒め感」とは、香味であって、食品を炒めることによって生じる香ばしさである。炒め感を構成する香気成分として、ジメチルトリスルフィド(Dimethyl trisulfide)が挙げられる。
<本実施の形態に係るタマネギ含有調味料>
本実施の形態に係るタマネギ含有調味料(以下、「本タマネギ含有調味料」という。)の用途は、食品である。本タマネギ含有調味料の原材料は、少なくとも、タマネギ、及び食用油である。当該タマネギは、タマネギを砕いたものである。タマネギを砕く方法は、様々であるが、例示すると、破砕、切断、摩砕等であり、これらが組み合されても良い。
本タマネギ含有調味料が排除しないのは、各種調味料や食品添加物等の使用である。本タマネギ含有調味料の流通形態は、容器詰めである。流通時における本タマネギ含有調味料の性状は、非乾燥であり、より好ましくは、固液混合状である。当該タマネギ含有調味料は、当該調味料中に後述する加熱されたタマネギを含有することにより、香ばしさを強く感じることができる。
<タマネギ>
本タマネギ含有調味料の原材料として用いるタマネギは、非乾燥のものであることが好ましい。好ましくは、生タマネギである。タマネギの乾燥物を用いると、タマネギの風味が弱くなり、本タマネギ含有調味料を製造した際の炒め感が弱くなってしまう。
<食用油>
本実施の形態に係る食用油とは、一般に食用に用いられている油であれば特に限定されない。例示すると、オリーブオイル、大豆油、亜麻仁油、ゴマ油、エゴマ油、グレープシードオイル、コーン油、米油、ナタネ油、パーム油、ヒマワリ油、べに花油、綿実油、等である。
<焦げたタマネギ>
本実施の形態に係るタマネギ含有調味料は、後述のとおり、食用油中でタマネギを高温加熱するため、焦げた状態のタマネギ(焦げたタマネギ)を含有する。当該焦げたタマネギは、香ばしさに寄与している。当該焦げたタマネギの、タマネギ含有調味料中の含有割合は、香ばしさの観点から、5~20重量%であることが好ましい。より好ましくは、5~15重量%である。
タマネギ含有調味料中の、焦げたタマネギの含有割合の測定方法は、以下である。目開き0.85mmのメッシュサイズの篩の上に、タマネギ含有調味料を100グラムを均等に広げて、20分間放置後の各篩上に残った焦げたタマネギの重量を重量パーセントで表した値を、タマネギ含有調味料中の、焦げたタマネギの含有割合と定義する。
<本実施の形態に係る食品>
本実施の形態に係る食品(以下、「本食品」という。)を例示すると、調味料やソースであって当該タマネギ含有調味料が使用されたもの等である。当該食品は、好ましくは、ソースであり、当該ソースは、例示すると、ケチャップ、トマト含有ソース、パスタソース、ブラウンソース、などが挙げられる。炒め感の付与という観点から、トマト含有ソースや、パスタソースが好ましい。特にナポリタン用ソースとして用いることが好ましい。
<ナポリタン>
本発明に係る、ナポリタンとは、食品であって、当該食品が含有するのは、少なくとも、パスタ、タマネギ、ピーマン、ハムやウィンナーなどの肉類、並びに、トマトソース又はケチャップのうち少なくとも一方であり、炒め感が付与されたものである。ナポリタンは、日本で創作された日本風パスタ料理である。
一般にナポリタンは、ゆでたパスタにケチャップ等を絡め、最後に焼き、又は炒めることによって、炒め感を付与する。本発明者は、この炒め感は、タマネギを加熱することによって生じる、香ばしさを有する香成分による寄与が最も大きいことを見出した。他のピーマンや肉類、トマトソースやケチャップ、パスタ等は、加熱によって生じる香りによる炒め感への付与はタマネギに比べて大きくなかった。
<本食品の原材料>
本食品の主な原料及び材料(以下、「原材料」という。)は、野菜、果実及びこれらの加工物に加え、油脂、酢等の各種調味料、及び香辛料である。当該原材料が排除しないのは、食品添加物、その他の食品材料である。これらの原材料の形態は、不問であり、固体でも、液体(例えば、濃縮液)でも良い。
<トマト含有ソース>
トマト含有ソースとは、トマト加工品を原材料として含有するソースである。トマト加工品とは、加工されたトマトであり、例示すると、ダイストマト、トマト搾汁、トマトパルプ等である。
トマト搾汁とは、トマトを破砕して搾汁し或いは裏ごしし、皮や種子等を除去して得られるトマト搾汁、及び、これらを濃縮したもの(濃縮トマト)を意味し(これらを希釈還元したものも含まれる)、JAS規格で指定されたトマトジュース、トマトピューレ、トマトペースト及び濃縮トマト等を含む。これらは、さらに他の成分(例えば、少量の食塩や香辛料、食品添加物等)を含有していてもよい。
また、本明細書において、トマト搾汁とは、除パルプトマト汁を含む概念であり、除パルプトマト汁とは、トマト搾汁に含まれる水不溶性固形分(トマトパルプ)の一部又は全部を除去したもの、及びこれを濃縮したもの、並びに、濃縮トマトに含まれる水不溶性固形分(トマトパルプ)の一部又は全部を除去したもの、及びこれらを濃縮又は希釈還元したものである。
本トマト含有ソースの中には、トマト加工品品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)において定められる、トマトソース、チリソース、が含まれる。また、トマト加工品の表示に関する公正競争規約(平成30年9月14日公正取引委員会・消費者庁告示第14号)において定められるトマトミックスソースも、含まれる。
<ケチャップ、トマトケチャップ>
本明細書において、ケチャップとは、トマトを主原料として、これに糖類、食酢、及び食塩を加えて必要により加水して調整した物であって、必要に応じて、香辛料、その他調味料、タマネギ、ニンニク等を加えてもよい。ケチャップにおけるトマトの含有割合は、50%以上であることが好ましい。また他の野菜又は果物の加工品、食品添加物などを加えてもよい。本ケチャップの中には、トマト加工品品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)において定められる、トマトケチャップが含まれる。好ましくは、本ケチャップはトマト加工品品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)において定められるトマトケチャップである。
<その他調味料及び食品添加物>
調味料を例示すると、砂糖、塩、酢、香辛料等である。食品添加物を例示すると、香料、着色料、増粘剤、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤、栄養強化剤等である。もっとも、これらの食品添加物は、極力添加しないのが好ましい。
<本タマネギ含有調味料の製造方法の概要>
図1が示すのは、本タマネギ含有調味料の製造方法(以下、「本製法」という。)の流れである。本製法を構成するのは、剥皮(S10)、砕き(S20)、混合(S30)、加熱(S40)、冷却(S50)並びに殺菌及び充填(S60)である。
<剥皮(S10)>
生タマネギを剥皮する目的は、本タマネギ含有調味料及び本食品中における苦味の除去及び変色の抑制である。タマネギの皮に局在するのは、主にケルセチンである。当該物質が呈するのは、苦味である。また、当該物質が呈するのは、黄色である。剥皮の方法は、手動であるか自動であるかを問わず、公知の方法でよい。多くの場合、剥皮工程においてタマネギの根は、切除される。
<砕き(S20)>
生タマネギを砕く目的は、タマネギの表面積を大きくすることで、タマネギ由来の成分を溶出しやすくすることである。砕きの形態は、特に限定されず、例示すると、スライス上、ダイス状、微塵切り状、ペースト状、等が挙げられる。砕きの方法は、公知の方法であれば特に限定されず、例示すると、破砕、切断、摩砕やこれらの組合せ等である。
砕きで得られるのは、砕かれたタマネギであり、例示すると、破砕物、切断物や摩砕物等である。破砕物とは、砕かれたタマネギであって、その大きさが不均一なものをいう。
破砕物の大きさは、0.5mm乃至10cmである。好ましくは、0.5mm~10mm、より好ましくは、0.5mm~5mmである。破砕物が奏する効果は、具材感又は手作り感の付与である。破砕手段を例示すると、ハンマーミル等である。
切断物とは、砕かれたタマネギであって、その大きさが均一なものをいい、例示すると、ダイスカットタマネギ、スライスタマネギ等である。切断物の大きさは、0.5mm乃至10cmである。好ましくは、0.5mm~10mm、より好ましくは、0.5mm~5mmである。切断物が奏する効果は、本タマネギ含有調味料及び本食品における品質の安定化である。切断手段を例示すると、ミクログレーダー、ダイスカッター、コミトロール、フードプロセッサー等である。
摩砕物とは、砕かれたタマネギであって、その性状がピューレ又はペースト状のものをいう。摩砕物の大きさは、0.5mm程度である。摩砕手段は、パルパー搾汁機、コロイドミル、コミトロール、フードプロセッサー等である。
砕きは、一段階で行っても良いし、二段階以上の複数の段階に分けて行っても良い。砕きがなされた後のタマネギの大きさは、特に限定されないが、好ましくは、0.5mm~10mmである。より好ましくは、0.5mm~5mmである。これにより、本発明に係るタマネギ含有調味料において、タマネギ由来の成分を食用油中に溶出しやすくなることで、炒め感、すなわち香ばしさが増強するからである。また、油中におけるタマネギが小さくなることで、本発明に係る調味料を他の食品に使用した場合においても、当該食品の外観、食感への影響が少なくなり、汎用性が高まるからである。
<混合(S30)>
砕かれたタマネギは、食用油と混合される。砕かれたタマネギを食用油と混合する目的は、その後の加熱による、タマネギの加温、食用油へのタマネギ由来成分の溶出、炒め感の付与を行うことである。混合に際して、混合物に対するタマネギの重量比は、1/7~1/2であることが好ましい。より好ましくは、1/5~1/2である。さらに好ましくは、1/4~1/2である。また、混合物に対する食用油の重量比は、1/2~6/7であることが好ましい。より好ましくは、1/2~4/5である。さらに好ましくは、1/2~3/4である。タマネギの割合が多いと、その後の加熱において、タマネギの温度が十分に上がらず、炒め感の付与が十分でなくなる。これは、タマネギに含有される水分が蒸発する際に、エネルギーを奪うからである。逆にタマネギの割合が少ないと、タマネギ由来の成分が少なくなるため、炒め感が少なくなってしまう。
<加熱(S40)>
砕きがなされたタマネギと食用油の混合物を加熱する目的は、炒め感の付与である。砕きがなされたタマネギを一定以上の温度で加熱することによって、炒め感が付与される。炒め感を構成する成分の一つは、ジメチルトリスルフィドである。タマネギを一定以上の温度で加熱することによって、当該成分の含有量が増加する。加熱が不十分であると、ジメチルトリスルフィドが十分に生成しない。加熱が過剰となると、コゲ臭が強くなる。強いコゲ臭は、忌避される。そのような観点から、タマネギを加熱する温度は、120℃~190℃であり、好ましくは、130℃~160℃である。
また、生タマネギを前記のとおり加熱すると、タマネギ中の水分が蒸発して、タマネギ自体の重量は低下する。前記のとおり加熱を行うことにより、当該タマネギの重量が、加熱前と比較して5~20%となる。より好ましくは、当該タマネギの重量が、加熱前と比較して5~10%となるまで加熱することである。これらの方法は、公知の方法で良く、例示すると、ニーダーや焙焼釜、フライヤー等である。熱源は火に限らず、IH等でもよい。
<冷却(S50)>
本製法において、タマネギ含有調味料は、必要に応じて冷却される。タマネギ含有調味料を冷却する目的は、前工程の加熱により、高温となった当該タマネギ含有調味料の温度を下げ、充填しやすくするためである。冷却の方法は、既知の方法であれば特に限定されない。さらに食用油を混合することや、他の原料を混合することで、温度を下げることもできる。
<殺菌及び充填(S60)>
本製法において、本タマネギ含有調味料は、殺菌及び充填される。これらの方法は、公知の方法で良く、例えば、ホットパック(特公平7-85708公報)、レトルト殺菌等がある。殺菌条件が従うのは、各種規格(社内規格や業界規格等)である。本タマネギ含有調味料は、殺菌後、容器詰めされる。ここで、容器は、密封される。容器を例示すると、プラスチックカップ、金属缶、紙容器、ペットボトル、ビン等である。紙容器が含むのは、紙容器であって、その内部を保護する手段が金属箔やプラスチックフィルム等であるものであるが、これに限らない。
本実施の形態において、冷却、殺菌、及び充填の順序は、上記順序に限らず、製品特性に合わせて、変更することができる。また、必要に応じて、冷却や殺菌工程を省略することができる。
<本タマネギ含有調味料を含有する食品の製造方法の概要>
図2が示すのは、本タマネギ含有調味料を含有する食品(以下、「本食品」という)の製造方法の流れである。本食品の製造方法を構成するのは、調合(S70)、並びに殺菌及び充填(S61)である。
<調合(S70)>
調合は、複数の原材料を配合することで、食品の基となる混合物質を製造する工程である。本食品の製造における調合では、少なくとも、本タマネギ含有調味料が配合される。本タマネギ含有調味料を配合する目的は、食品における炒め感の付与である。上記に加え、必要に応じて配合される原材料は、野菜加工品、香辛料、その他調味料等である。当該食品は、好ましくは、ソースである。当該ソースは、好ましくは、パスタソースである。また、好ましくは、トマト含有ソースである。トマト含有ソースが含有するのは、トマト加工品である。
<殺菌及び充填(S61)>
本食品の製造において、本タマネギ含有調味料を含有するソースは、殺菌及び充填される。当該殺菌及び充填は、前記殺菌及び充填(S60)と同様である。
本食品の製造は、前記本調味料の製造と連続した流れの中で行うことができる。つまり、前記調合(S70)を、前記本調味料の製造における加熱(S40)の後に組み込むことで、本調味料の製造から本食品の製造までを、一連の流れの中で製造することができる。
[試験1]
食用油量とタマネギ量の比率の違いによる香味への影響
<比較例1>
IHニーダーに食用油50gを入れ、温度が130~140℃になるまで加熱した。その後、スライスしたタマネギ1kgをIHニーダーに投入した。この際のニーダーの鍋温度は、80~90℃、タマネギの温度は60~70℃であった。その後15分程度加熱しても、タマネギの温度は100℃を超えなかった。加熱温度を高めようとすると、鍋に焦げ付きが発生した。
<実施例1>
IHニーダーに食用油200gを入れ、温度が140℃になるまで加熱した。その後、スライスしたタマネギ100gをIHニーダーに投入した。この際の食用油の温度は、110℃、タマネギの温度は80~90℃であった。その後10分程度加熱すると、タマネギの温度は100℃を超え、130℃前後を超えるあたりから、見た目がキツネ色に変化し、香りもつんとした辛いものから、甘い香ばしいものへ変化した。150℃に達した時点で加熱をやめた。
<実施例2>
IHニーダーに食用油200gを入れ、温度が140℃になるまで加熱した。その後、5mm角のダイス状にしたタマネギ100gをIHニーダーに投入した。この際の食用油の温度は、110℃、タマネギの温度は80~90℃であった。その後10分程度加熱すると、タマネギの温度は100℃を超え、130℃前後を超えるあたりから、見た目がキツネ色に変化し、香りもつんとした辛いものから、甘い香ばしいものへ変化した。150℃に達した時点で加熱をやめた。
<実施例3>
IHニーダーに食用油200gを入れ、温度が140℃になるまで加熱した。その後、フードプロセッサーを用いてピューレ状にしたタマネギ100gをIHニーダーに投入した。この際の食用油の温度は、110℃、タマネギの温度は80~90℃であった。その後10分程度加熱すると、タマネギの温度は100℃を超え、130℃前後を超えるあたりから、見た目がキツネ色に変化し、香りもつんとした辛いものから、甘い香ばしいものへ変化した。150℃に達した時点で加熱をやめた。
<実施例4>
IHニーダーに大豆油400g、フードプロセッサーを用いてピューレ状にしたタマネギ400g、ミンチにしたニンニク60gをIHニーダーに投入した。その後、温度が140℃になるまで加熱した。140℃に達した時点で大豆油200gを加え、冷却した。
<実施例5>
IHニーダーに大豆油400g、及びフードプロセッサーを用いてピューレ状にしたタマネギ400gをIHニーダーに投入した。その後、温度が140℃になるまで加熱した。混合物の温度が140℃に達した時点で大豆油200gを加え、冷却した。
<実施例6>
IHニーダーに大豆油200g、及びフードプロセッサーを用いてピューレ状にしたタマネギ100gをIHニーダーに投入した。その後、混合物の温度が130℃になるまで加熱した。加熱終了後、さらに大豆油100gを混合し、冷却した。
<実施例7>
IHニーダーに焙炒油136.3kg、ダイス処理したタマネギ26.6kg投入して昇温した。温度が120℃に達した後、焙炒油20kgを添加し、冷却した。
Figure 0007321083000001
表1が示すのは、比較例1、並びに実施例1乃至7におけるサンプル製造条件と、炒め感との関係である。炒め感は3名のパネルにより評価を行った。炒め感「×」が意味するのは、炒め感が不十分であることである。炒め感「〇」が意味するのは、炒め感を十分に有することである。炒め感「△」が意味するのは、やや炒め感を有することである。
[試験2]
焦がしタマネギの有無による香味への影響
<実施例8>
食用油、コミトロールで1mm程度に破砕したタマネギを混合し、その後、タマネギの温度が130℃になるまで加熱した。食用油とタマネギの重量比は、3:2であった。
<比較例2>
食用油、コミトロールで1mm程度に破砕したタマネギを混合し、その後、タマネギの温度が130℃になるまで加熱した。食用油とタマネギの重量比は、3:2であった。温度が常温程度まで冷えた後、食用油中の焦げたダイス状のタマネギを取り除いた。
<官能評価>
比較例2の試料と、実施例8の試料に関して、2点比較法により、炒め感に関する官能評価を行った。訓練された8人のパネルにより評価を行った結果、いずれも炒め感を有するものであったが、実施例8の試料の方が、比較例2の試料と比較して、炒め感が有意に強い結果となった(危険率5%)。
[試験3]
タマネギの裁断サイズによる、炒め感への影響
<比較例3>
IHニーダーに食用油90gを入れ、スライス状にしたタマネギ60gをIHニーダーに投入した。その後、タマネギの温度が130℃になるまで加熱した。
<実施例9>
IHニーダーに食用油90gを入れ、その後、フードプロセッサーでピューレ状にしたタマネギ60gをIHニーダーに投入した。その後、タマネギの温度が130℃になるまで加熱した。
<官能評価>
比較例3の試料と、実施例9の試料に関して、2点比較法により、炒め感に関する官能評価を行った。訓練された8人のパネルにより評価を行った結果、いずれも炒め感を有するものであったが、実施例9の試料の方が、比較例3の試料と比較して、有意に炒め感が強い結果となった(危険率5%)。
本発明が利用可能な分野は、タマネギ含有調味料の製造、及び販売、並びに、タマネギ含有調味料を配合した食品の製造、及び販売である。

Claims (3)

  1. ソース(但し、コンニャクグルコマンナンを含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である。:
    混合:ここで混合されるのは、少なくとも、タマネギ(ただし、乾燥されたものを除く。)、及び食用油であり、これによって得られる混合物に対する当該食用油の重量比は、1/2~6/7であり、当該混合物に対する前記タマネギの重量比は、1/5~1/2であり、かつ、
    加熱:ここで加熱されるのは、少なくとも、前記混合物であり、当該加熱によって達する前記混合物の温度は、120℃~190℃であり、
    これによって得られるのは、タマネギ含有調味料(ただし、乾燥されたものを除く。)であり、
    調合:ここで調合されるのは、少なくとも、前記タマネギ含有調味料、及びトマト加工品である。
  2. 請求項の製造方法であって、
    前記ソースにおける前記タマネギ調味料の含有割合は、0.1~20質量%である。
  3. ソース(但し、コンニャクグルコマンナンを含有するものを除く。)における炒め感の付与方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である。:
    混合:ここで混合されるのは、少なくとも、タマネギ(ただし、乾燥されたものを除く。)、及び食用油であり、これによって得られる混合物に対する、当該食用油の重量比は、1/2~6/7であり、当該混合物に対する、前記タマネギの重量比は、1/5~1/2であり、
    加熱:ここで加熱されるのは、少なくとも、前記混合物であり、当該加熱によって達する前記混合物の温度は、120℃~190℃であり、
    調合:ここで調合されるのは、少なくとも、前記混合、及び加熱により製造されたタマネギ含有調味料(ただし、乾燥されたものを除く。)、及びトマト加工品である。
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