JP7321083B2 - タマネギ含有調味料、タマネギ含有調味料の製造方法、タマネギ含有調味料を配合した食品、タマネギ含有調味料を配合した食品の製造方法 - Google Patents
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本実施の形態に係る「炒め感」とは、香味であって、食品を炒めることによって生じる香ばしさである。炒め感を構成する香気成分として、ジメチルトリスルフィド(Dimethyl trisulfide)が挙げられる。
本実施の形態に係るタマネギ含有調味料(以下、「本タマネギ含有調味料」という。)の用途は、食品である。本タマネギ含有調味料の原材料は、少なくとも、タマネギ、及び食用油である。当該タマネギは、タマネギを砕いたものである。タマネギを砕く方法は、様々であるが、例示すると、破砕、切断、摩砕等であり、これらが組み合されても良い。
本タマネギ含有調味料の原材料として用いるタマネギは、非乾燥のものであることが好ましい。好ましくは、生タマネギである。タマネギの乾燥物を用いると、タマネギの風味が弱くなり、本タマネギ含有調味料を製造した際の炒め感が弱くなってしまう。
本実施の形態に係る食用油とは、一般に食用に用いられている油であれば特に限定されない。例示すると、オリーブオイル、大豆油、亜麻仁油、ゴマ油、エゴマ油、グレープシードオイル、コーン油、米油、ナタネ油、パーム油、ヒマワリ油、べに花油、綿実油、等である。
本実施の形態に係るタマネギ含有調味料は、後述のとおり、食用油中でタマネギを高温加熱するため、焦げた状態のタマネギ(焦げたタマネギ)を含有する。当該焦げたタマネギは、香ばしさに寄与している。当該焦げたタマネギの、タマネギ含有調味料中の含有割合は、香ばしさの観点から、5~20重量%であることが好ましい。より好ましくは、5~15重量%である。
本実施の形態に係る食品(以下、「本食品」という。)を例示すると、調味料やソースであって当該タマネギ含有調味料が使用されたもの等である。当該食品は、好ましくは、ソースであり、当該ソースは、例示すると、ケチャップ、トマト含有ソース、パスタソース、ブラウンソース、などが挙げられる。炒め感の付与という観点から、トマト含有ソースや、パスタソースが好ましい。特にナポリタン用ソースとして用いることが好ましい。
本発明に係る、ナポリタンとは、食品であって、当該食品が含有するのは、少なくとも、パスタ、タマネギ、ピーマン、ハムやウィンナーなどの肉類、並びに、トマトソース又はケチャップのうち少なくとも一方であり、炒め感が付与されたものである。ナポリタンは、日本で創作された日本風パスタ料理である。
本食品の主な原料及び材料(以下、「原材料」という。)は、野菜、果実及びこれらの加工物に加え、油脂、酢等の各種調味料、及び香辛料である。当該原材料が排除しないのは、食品添加物、その他の食品材料である。これらの原材料の形態は、不問であり、固体でも、液体(例えば、濃縮液)でも良い。
トマト含有ソースとは、トマト加工品を原材料として含有するソースである。トマト加工品とは、加工されたトマトであり、例示すると、ダイストマト、トマト搾汁、トマトパルプ等である。
本明細書において、ケチャップとは、トマトを主原料として、これに糖類、食酢、及び食塩を加えて必要により加水して調整した物であって、必要に応じて、香辛料、その他調味料、タマネギ、ニンニク等を加えてもよい。ケチャップにおけるトマトの含有割合は、50%以上であることが好ましい。また他の野菜又は果物の加工品、食品添加物などを加えてもよい。本ケチャップの中には、トマト加工品品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)において定められる、トマトケチャップが含まれる。好ましくは、本ケチャップはトマト加工品品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)において定められるトマトケチャップである。
調味料を例示すると、砂糖、塩、酢、香辛料等である。食品添加物を例示すると、香料、着色料、増粘剤、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤、栄養強化剤等である。もっとも、これらの食品添加物は、極力添加しないのが好ましい。
図1が示すのは、本タマネギ含有調味料の製造方法(以下、「本製法」という。)の流れである。本製法を構成するのは、剥皮(S10)、砕き(S20)、混合(S30)、加熱(S40)、冷却(S50)並びに殺菌及び充填(S60)である。
生タマネギを剥皮する目的は、本タマネギ含有調味料及び本食品中における苦味の除去及び変色の抑制である。タマネギの皮に局在するのは、主にケルセチンである。当該物質が呈するのは、苦味である。また、当該物質が呈するのは、黄色である。剥皮の方法は、手動であるか自動であるかを問わず、公知の方法でよい。多くの場合、剥皮工程においてタマネギの根は、切除される。
生タマネギを砕く目的は、タマネギの表面積を大きくすることで、タマネギ由来の成分を溶出しやすくすることである。砕きの形態は、特に限定されず、例示すると、スライス上、ダイス状、微塵切り状、ペースト状、等が挙げられる。砕きの方法は、公知の方法であれば特に限定されず、例示すると、破砕、切断、摩砕やこれらの組合せ等である。
砕かれたタマネギは、食用油と混合される。砕かれたタマネギを食用油と混合する目的は、その後の加熱による、タマネギの加温、食用油へのタマネギ由来成分の溶出、炒め感の付与を行うことである。混合に際して、混合物に対するタマネギの重量比は、1/7~1/2であることが好ましい。より好ましくは、1/5~1/2である。さらに好ましくは、1/4~1/2である。また、混合物に対する食用油の重量比は、1/2~6/7であることが好ましい。より好ましくは、1/2~4/5である。さらに好ましくは、1/2~3/4である。タマネギの割合が多いと、その後の加熱において、タマネギの温度が十分に上がらず、炒め感の付与が十分でなくなる。これは、タマネギに含有される水分が蒸発する際に、エネルギーを奪うからである。逆にタマネギの割合が少ないと、タマネギ由来の成分が少なくなるため、炒め感が少なくなってしまう。
砕きがなされたタマネギと食用油の混合物を加熱する目的は、炒め感の付与である。砕きがなされたタマネギを一定以上の温度で加熱することによって、炒め感が付与される。炒め感を構成する成分の一つは、ジメチルトリスルフィドである。タマネギを一定以上の温度で加熱することによって、当該成分の含有量が増加する。加熱が不十分であると、ジメチルトリスルフィドが十分に生成しない。加熱が過剰となると、コゲ臭が強くなる。強いコゲ臭は、忌避される。そのような観点から、タマネギを加熱する温度は、120℃~190℃であり、好ましくは、130℃~160℃である。
本製法において、タマネギ含有調味料は、必要に応じて冷却される。タマネギ含有調味料を冷却する目的は、前工程の加熱により、高温となった当該タマネギ含有調味料の温度を下げ、充填しやすくするためである。冷却の方法は、既知の方法であれば特に限定されない。さらに食用油を混合することや、他の原料を混合することで、温度を下げることもできる。
本製法において、本タマネギ含有調味料は、殺菌及び充填される。これらの方法は、公知の方法で良く、例えば、ホットパック(特公平7-85708公報)、レトルト殺菌等がある。殺菌条件が従うのは、各種規格(社内規格や業界規格等)である。本タマネギ含有調味料は、殺菌後、容器詰めされる。ここで、容器は、密封される。容器を例示すると、プラスチックカップ、金属缶、紙容器、ペットボトル、ビン等である。紙容器が含むのは、紙容器であって、その内部を保護する手段が金属箔やプラスチックフィルム等であるものであるが、これに限らない。
図2が示すのは、本タマネギ含有調味料を含有する食品(以下、「本食品」という)の製造方法の流れである。本食品の製造方法を構成するのは、調合(S70)、並びに殺菌及び充填(S61)である。
調合は、複数の原材料を配合することで、食品の基となる混合物質を製造する工程である。本食品の製造における調合では、少なくとも、本タマネギ含有調味料が配合される。本タマネギ含有調味料を配合する目的は、食品における炒め感の付与である。上記に加え、必要に応じて配合される原材料は、野菜加工品、香辛料、その他調味料等である。当該食品は、好ましくは、ソースである。当該ソースは、好ましくは、パスタソースである。また、好ましくは、トマト含有ソースである。トマト含有ソースが含有するのは、トマト加工品である。
本食品の製造において、本タマネギ含有調味料を含有するソースは、殺菌及び充填される。当該殺菌及び充填は、前記殺菌及び充填(S60)と同様である。
食用油量とタマネギ量の比率の違いによる香味への影響
<比較例1>
IHニーダーに食用油50gを入れ、温度が130~140℃になるまで加熱した。その後、スライスしたタマネギ1kgをIHニーダーに投入した。この際のニーダーの鍋温度は、80~90℃、タマネギの温度は60~70℃であった。その後15分程度加熱しても、タマネギの温度は100℃を超えなかった。加熱温度を高めようとすると、鍋に焦げ付きが発生した。
IHニーダーに食用油200gを入れ、温度が140℃になるまで加熱した。その後、スライスしたタマネギ100gをIHニーダーに投入した。この際の食用油の温度は、110℃、タマネギの温度は80~90℃であった。その後10分程度加熱すると、タマネギの温度は100℃を超え、130℃前後を超えるあたりから、見た目がキツネ色に変化し、香りもつんとした辛いものから、甘い香ばしいものへ変化した。150℃に達した時点で加熱をやめた。
IHニーダーに食用油200gを入れ、温度が140℃になるまで加熱した。その後、5mm角のダイス状にしたタマネギ100gをIHニーダーに投入した。この際の食用油の温度は、110℃、タマネギの温度は80~90℃であった。その後10分程度加熱すると、タマネギの温度は100℃を超え、130℃前後を超えるあたりから、見た目がキツネ色に変化し、香りもつんとした辛いものから、甘い香ばしいものへ変化した。150℃に達した時点で加熱をやめた。
IHニーダーに食用油200gを入れ、温度が140℃になるまで加熱した。その後、フードプロセッサーを用いてピューレ状にしたタマネギ100gをIHニーダーに投入した。この際の食用油の温度は、110℃、タマネギの温度は80~90℃であった。その後10分程度加熱すると、タマネギの温度は100℃を超え、130℃前後を超えるあたりから、見た目がキツネ色に変化し、香りもつんとした辛いものから、甘い香ばしいものへ変化した。150℃に達した時点で加熱をやめた。
IHニーダーに大豆油400g、フードプロセッサーを用いてピューレ状にしたタマネギ400g、ミンチにしたニンニク60gをIHニーダーに投入した。その後、温度が140℃になるまで加熱した。140℃に達した時点で大豆油200gを加え、冷却した。
IHニーダーに大豆油400g、及びフードプロセッサーを用いてピューレ状にしたタマネギ400gをIHニーダーに投入した。その後、温度が140℃になるまで加熱した。混合物の温度が140℃に達した時点で大豆油200gを加え、冷却した。
IHニーダーに大豆油200g、及びフードプロセッサーを用いてピューレ状にしたタマネギ100gをIHニーダーに投入した。その後、混合物の温度が130℃になるまで加熱した。加熱終了後、さらに大豆油100gを混合し、冷却した。
IHニーダーに焙炒油136.3kg、ダイス処理したタマネギ26.6kg投入して昇温した。温度が120℃に達した後、焙炒油20kgを添加し、冷却した。
焦がしタマネギの有無による香味への影響
<実施例8>
食用油、コミトロールで1mm程度に破砕したタマネギを混合し、その後、タマネギの温度が130℃になるまで加熱した。食用油とタマネギの重量比は、3:2であった。
食用油、コミトロールで1mm程度に破砕したタマネギを混合し、その後、タマネギの温度が130℃になるまで加熱した。食用油とタマネギの重量比は、3:2であった。温度が常温程度まで冷えた後、食用油中の焦げたダイス状のタマネギを取り除いた。
比較例2の試料と、実施例8の試料に関して、2点比較法により、炒め感に関する官能評価を行った。訓練された8人のパネルにより評価を行った結果、いずれも炒め感を有するものであったが、実施例8の試料の方が、比較例2の試料と比較して、炒め感が有意に強い結果となった(危険率5%)。
タマネギの裁断サイズによる、炒め感への影響
<比較例3>
IHニーダーに食用油90gを入れ、スライス状にしたタマネギ60gをIHニーダーに投入した。その後、タマネギの温度が130℃になるまで加熱した。
IHニーダーに食用油90gを入れ、その後、フードプロセッサーでピューレ状にしたタマネギ60gをIHニーダーに投入した。その後、タマネギの温度が130℃になるまで加熱した。
比較例3の試料と、実施例9の試料に関して、2点比較法により、炒め感に関する官能評価を行った。訓練された8人のパネルにより評価を行った結果、いずれも炒め感を有するものであったが、実施例9の試料の方が、比較例3の試料と比較して、有意に炒め感が強い結果となった(危険率5%)。
Claims (3)
- ソース(但し、コンニャクグルコマンナンを含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である。:
混合:ここで混合されるのは、少なくとも、タマネギ(ただし、乾燥されたものを除く。)、及び食用油であり、これによって得られる混合物に対する当該食用油の重量比は、1/2~6/7であり、当該混合物に対する前記タマネギの重量比は、1/5~1/2であり、かつ、
加熱:ここで加熱されるのは、少なくとも、前記混合物であり、当該加熱によって達する前記混合物の温度は、120℃~190℃であり、
これによって得られるのは、タマネギ含有調味料(ただし、乾燥されたものを除く。)であり、
調合:ここで調合されるのは、少なくとも、前記タマネギ含有調味料、及びトマト加工品である。 - 請求項1の製造方法であって、
前記ソースにおける前記タマネギ調味料の含有割合は、0.1~20質量%である。 - ソース(但し、コンニャクグルコマンナンを含有するものを除く。)における炒め感の付与方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である。:
混合:ここで混合されるのは、少なくとも、タマネギ(ただし、乾燥されたものを除く。)、及び食用油であり、これによって得られる混合物に対する、当該食用油の重量比は、1/2~6/7であり、当該混合物に対する、前記タマネギの重量比は、1/5~1/2であり、
加熱:ここで加熱されるのは、少なくとも、前記混合物であり、当該加熱によって達する前記混合物の温度は、120℃~190℃であり、
調合:ここで調合されるのは、少なくとも、前記混合、及び加熱により製造されたタマネギ含有調味料(ただし、乾燥されたものを除く。)、及びトマト加工品である。
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