JP6147982B2 - ウエーハの加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に格子状に形成された分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割するウエーハの加工方法に関する。
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々のデバイスを製造している。また、サファイア基板や炭化珪素基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハも分割予定ラインに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
上述したウエーハを分割予定ラインに沿って分割する方法として、ウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザー光線を照射するレーザー加工方法が試みられている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、ウエーハの一方の面側から内部に集光点を合わせてウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を内部に集光点を位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って外力を加えることにより、ウエーハを個々のデバイスに分割するものである。(例えば、特許文献1参照。)
また、ウエーハの表面に保護部材を貼着し、ウエーハの裏面側からウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を内部に集光点を位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成した後、ウエーハの保護部材側を研削装置の保持手段によって保持し、研削砥石を回転しつつウエーハの裏面を押圧して研削し、ウエーハを所定の厚みに形成するとともに改質層が形成され強度が低下せしめられた分割予定ラインに沿って分割する方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
特許第3408805号公報 特許第3762409号公報
而して、上記特許文献2に記載されたウエーハの分割方法においては、研削中にウエーハが個々のデバイスに分割されるため、隣接するデバイスの角が擦れ合いデバイスが損傷するという問題がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、ウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を内部に集光点を位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成した後、ウエーハの裏面を研削してウエーハを仕上がり厚みに形成するとともに個々のデバイスに分割する際に、隣接するデバイスの角が擦れ合ってデバイスを損傷させることがないウエーハの加工方法を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、所定の方向に延びる複数の第1の分割予定ラインと該複数の第1の分割予定ラインと交差して形成された複数の第2の分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを、第1の分割予定ラインおよび第2の分割予定ラインに沿って分割するウエーハの加工方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第1の分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部の全ての第1の分割予定ラインに沿って破断起点となる第1の改質層を形成する第1の改質層形成工程と、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第2の分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部の全ての第2の分割予定ラインに沿って破断起点となる第2の改質層を形成する第2の改質層形成工程と、
該第1の改質層形成工程および該第2の改質層形成工程が実施されたウエーハの裏面を研削してウエーハを所定の厚みに形成するとともに該第1の改質層および該第2の改質層が形成された第1の分割予定ラインおよび第2の分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割する裏面研削工程と、を含み、
該第1の改質層形成工程において形成される該第1の改質層は、該第2の改質層形成工程において形成される該第2の改質層より破断が早く起こるように形成される、
ことを特徴とするウエーハの分割方法が提供される。
上記第1の改質層形成工程において照射されるパルスレーザー光線の出力は、第2の改質層形成工程において照射されるパルスレーザー光線の出力より高く設定されている。
また、上記第1の改質層形成工程において形成される第1の改質層の本数は、第2の改質層形成工程において形成される第2の改質層の本数より多く設定されている。
本発明によるウエーハの分割方法においては、ウエーハに形成された全ての第1の分割予定ラインに沿って実施される第1の改質層形成工程において形成される第1の改質層は、ウエーハに形成された全ての第2の分割予定ラインに沿って実施される第2の改質層形成工程において形成される第2の改質層より破断が早く起こるように形成されるので、裏面研削工程が遂行される際に、ウエーハは最初に第1の改質層が形成された全ての第1の分割予定ラインに沿って短冊状に破断される。そして、裏面研削工程の遂行に伴って各短冊間に僅かな隙間が形成され、更に裏面研削工程の遂行により各短冊が第2の改質層が形成された全ての第2の分割予定ラインに沿って破断され、ウエーハは個々のデバイスに分割されるとともに所定の厚みに形成される。このように、裏面研削工程においてウエーハは、最初に第1の改質層が形成された全ての第1の分割予定ラインに沿って短冊状に破断され、その後、裏面研削工程の遂行に伴って各短冊間に僅かな隙間が形成され、更に裏面研削工程の遂行により各短冊が第2の改質層が形成された全ての第2の分割予定ラインに沿って破断されて個々のデバイスに分割されるので、デバイスの角同士が擦れ合うことがなく、従ってデバイスの角同士が擦れ合うことによるデバイスが損傷するという問題が解消する。
本発明によるウエーハの加工方法によって分割されるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図。 本発明によるウエーハの加工方法における保護部材貼着工程を示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程を実施するためのレーザー加工装置の要部斜視図。 本発明によるウエーハの加工方法における第1の改質層形成行程の第1の実施形態を示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における第2の改質層形成行程の第1の実施形態を示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における第1の改質層形成行程の第2の実施形態および第2の改質層形成行程の第2の実施形態が実施されたウエーハの要部を拡大して示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における第1の改質層形成行程の第3の実施形態および第2の改質層形成行程の第3の実施形態が実施されたウエーハの要部を拡大して示す説明図。 本発明によるウエーハの加工方法における裏面研削工程を実施するための研削装置の要部斜視図および要部側面図。 本発明によるウエーハの加工方法における裏面研削工程の説明図。
以下、本発明によるウエーハの加工方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明に従って加工されるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図1に示す半導体ウエーハ2は、直径が100mmで厚みが例えば600μmのシリコンウエーハからなっており、表面2aに所定の方向に延びる複数の第1の分割予定ライン21と該複数の第1の分割予定ライン21と交差して形成された複数の第2の分割予定ライン22によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス23が形成されている。なお、第1の分割予定ライン21の間隔および第2の分割予定ライン22の間隔は、5mmに設定されている。以下、この半導体ウエーハ2を第1の分割予定ライン21および第2の分割予定ライン22に沿って個々のデバイス23に分割するウエーハの加工方法について説明する。
先ず、半導体ウエーハ2の表面2aに形成されたデバイス23を保護するために、半導体ウエーハ2の表面2aに保護部材を貼着する保護部材貼着工程を実施する。即ち、図2に示すように半導体ウエーハ2の表面2aに保護部材としての保護テープ3を貼着する。なお、保護テープ3は、図示の実施形態においては厚さが100μmのポリ塩化ビニル(PVC)からなるシート状基材の表面にアクリル樹脂系の糊が厚さ5μm程度塗布されている。
次に、半導体ウエーハ2に対して透過性を有する波長のレーザー光線を第1の分割予定ライン21に沿って照射し、半導体ウエーハ2の内部に第1の分割予定ライン21に沿って破断起点となる第1の改質層を形成する第1の改質層形成工程と、半導体ウエーハ2に対して透過性を有する波長のレーザー光線を第2の分割予定ライン22に沿って照射し、半導体ウエーハ2の内部に第2の分割予定ライン22に沿って破断起点となる第2の改質層を形成する第2の改質層形成工程を実施する。この第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程は、図3に示すレーザー加工装置4を用いて実施する。図3に示すレーザー加工装置4は、被加工物を保持するチャックテーブル41と、該チャックテーブル41上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段42と、チャックテーブル41上に保持された被加工物を撮像する撮像手段43を具備している。チャックテーブル41は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない移動機構によって図3において矢印Xで示す加工送り方向および矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
上記レーザー光線照射手段42は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング421を含んでいる。ケーシング421内には図示しないYAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング421の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光するための集光器422が装着されている。
上記レーザー光線照射手段42を構成するケーシング421の先端部に装着された撮像手段43は、図示の実施形態においては可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
上述したレーザー加工装置4を用いて実施する第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程の第1の実施形態について説明する。
この第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程を実施するには、先ず上述した図3に示すレーザー加工装置4のチャックテーブル41上に半導体ウエーハ2の保護テープ3側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、チャックテーブル41上に保護テープ3を介して半導体ウエーハ2を吸引保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル41上に保持された半導体ウエーハ2は、裏面2bが上側となる。このようにして、半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル41は、図示しない加工送り手段によって撮像手段43の直下に位置付けられる。
チャックテーブル41が撮像手段43の直下に位置付けられると、撮像手段43および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段43および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されている第1の分割予定ライン21と、第1の分割予定ライン21に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段42の集光器422との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ2に形成されている上記第1の分割予定ライン21に対して交差する方向に延びる第2の分割予定ライン22に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。このとき、半導体ウエーハ2の第1の分割予定ライン21および第2の分割予定ライン22が形成されている表面2aは下側に位置しているが、撮像手段43が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、裏面2bから透かして第1の分割予定ライン21および第2の分割予定ライン22を撮像することができる。
以上のようにしてチャックテーブル41上に保持されている半導体ウエーハ2に形成されている第1の分割予定ライン21および第2の分割予定ライン22を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図4の(a)で示すようにチャックテーブル41をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段42の集光器422が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の第1の分割予定ライン21の一端(図4の(a)において左端)をレーザー光線照射手段42の集光器422の直下に位置付ける。次に、集光器422から照射されるパルスレーザー光線の集光点Pを例えば半導体ウエーハ2の表面2aから100μm裏面2b側の位置に合わせる。そして、集光器422からシリコンウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル41を図4の(a)において矢印X1で示す方向に所定の送り速度で移動せしめる。そして、図4の(b)で示すようにレーザー光線照射手段42の集光器422の照射位置が第1の分割予定ライン21の他端の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル41の移動を停止する。この結果、半導体ウエーハ2の内部には、第1の分割予定ライン21に沿って破断起点となる第1の改質層210が形成される(第1の改質層形成工程)。
上記第1の改質層形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
波長 ;1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 ;90kHz
平均出力 ;2W
集光スポット径 ;φ1μm
加工送り速度 ;700mm/秒
上述したように所定の第1の分割予定ライン21に沿って上記第1の改質層形成工程を実施したら、チャックテーブル41を矢印Yで示す方向に半導体ウエーハ2に形成された第1の分割予定ライン21の間隔だけ割り出し移動し(割り出し工程)、上記第1の改質層形成工程を遂行する。このようにして所定方向に形成された全ての第1の分割予定ライン21に沿って上記第1の改質層形成工程を実施したならば、チャックテーブル41を90度回動せしめる。そして、第2の分割予定ライン22に沿って第2の改質層形成工程を実施する。
第2の改質層形成工程は、上記第1の改質層形成工程と同様の手順で実施する。即ち、図5の(a)で示すようにチャックテーブル41をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段42の集光器422が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の第2の分割予定ライン22の一端(図5の(a)において左端)をレーザー光線照射手段42の集光器422の直下に位置付ける。次に、集光器422から照射されるパルスレーザー光線の集光点Pを例えば半導体ウエーハ2の表面2aから100μm裏面2b側の位置に合わせる。そして、集光器422からシリコンウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル41を図5の(a)において矢印X1で示す方向に所定の送り速度で移動せしめる。そして、図5の(b)で示すようにレーザー光線照射手段42の集光器422の照射位置が第2の分割予定ライン22の他端の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル41の移動を停止する。この結果、半導体ウエーハ2の内部には、第2の分割予定ライン22に沿って破断起点となる第2の改質層220が形成される(第2の改質層形成工程)。
上記第2の改質層形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
波長 ;1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 ;90kHz
平均出力 ;1.7W
集光スポット径 ;φ1μm
加工送り速度 ;700mm/秒
上述したように所定の第2の分割予定ライン22に沿って上記第2の改質層形成工程を実施したら、チャックテーブル41を矢印Yで示す方向に半導体ウエーハ2に形成された第2の分割予定ライン22の間隔だけ割り出し移動し(割り出し工程)、上記第2の改質層形成工程を遂行する。このようにして全ての第2の分割予定ライン22に沿って上記第2の改質層形成工程を実施する。
上述した第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程の第1の実施形態においては、第1の改質層形成工程におけるパルスレーザー光線の平均出力(2W)が第2の改質層形成工程におけるパルスレーザー光線の平均出力(1.7W)より高い値に設定されている。従って、第1の改質層形成工程によって半導体ウエーハ2の内部に第1の分割予定ライン21に沿って形成される改質層210は、第2の改質層形成工程によって半導体ウエーハ2の内部に第2の分割予定ライン22に沿って形成される改質層220より改質層の厚みが厚くなる。このため、第1の分割予定ライン21に沿って形成される第1の改質層210は、第2の分割予定ライン22に沿って形成される第2の改質層220より破断が早く起こることになる。
次に、第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態における第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程の加工条件は、次のとおり設定される。
第1の改質層形成工程における加工条件:
波長 ;1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 ;90kHz
平均出力 ;2W
集光スポット径 ;φ1μm
加工送り速度 ;700mm/秒
第1の改質層210の本数;3本
第2の改質層形成工程における加工条件:
波長 ;1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 ;90kHz
平均出力 ;2W
集光スポット径 ;φ1μm
加工送り速度 ;700mm/秒
第2の改質層220の本数;2本
上述した第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程の第2の実施形態においては、第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程ともにパルスレーザー光線の平均出力は同一であるが、図6の(a)に示すように第1の分割予定ライン21に沿って破断起点となる改質層210の半導体ウエーハ2の厚み方向に積層して形成される本数(3本)が、図6の(b)に示すように第2の分割予定ライン22に沿って破断起点となる改質層220の半導体ウエーハ2の厚み方向に積層して形成される本数(2本)より多く設定されている。このため、第1の分割予定ライン21に沿って形成される第1の改質層210は、第2の分割予定ライン22に沿って形成される第2の改質層220より破断が早く起こることになる。
次に、第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態における第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程の加工条件は、次のとおり設定される。
第1の改質層形成工程における加工条件:
波長 ;1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 ;90kHz
平均出力 ;2W
集光スポット径 ;φ1μm
加工送り速度 ;700mm/秒
第1の改質層210の位置;半導体ウエーハ2の表面2aから50〜150μm
第2の改質層形成工程における加工条件:
波長 ;1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 ;90kHz
平均出力 ;2W
集光スポット径 ;φ1μm
加工送り速度 ;700mm/秒
第2の改質層220の位置;半導体ウエーハ2の表面2aから30〜100μm
上述した第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程の第3の実施形態においては、第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程ともにパルスレーザー光線の平均出力は同一であるが、図7の(a)に示すように第1の分割予定ライン21に沿って破断起点となる改質層210の位置(半導体ウエーハ2の表面2aから50〜150μm)が、図7の(b)に示すように第2の分割予定ライン22に沿って破断起点となる改質層220の(半導体ウエーハ2の表面2aから30〜100μm)より半導体ウエーハ2の裏面2b側に設定されている。このため、後述する裏面研削工程において第1の分割予定ライン21に沿って形成される第1の改質層210は、第2の分割予定ライン22に沿って形成される第2の改質層220より破断が早く起こることになる。
上述した第1の改質層形成工程および第2の改質層形成工程を実施したならば、(半導体ウエーハ2の裏面2bを研削して半導体ウエーハ2を所定の厚み(例えば100μm)に形成するとともに第1の改質層210が形成された第1の分割予定ライン21および第2の改質層220が形成された第2の分割予定ライン22に沿って個々のデバイスに分割する裏面研削工程を実施する。この裏面研削工程は、図8の(a)に示す研削装置5を用いて実施する。図8の(a)に示す研削装置5は、被加工物を保持する保持手段としてのチャックテーブル51と、該チャックテーブル51に保持された被加工物を研削する研削手段52を具備している。チャックテーブル51は、上面に被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない回転駆動機構によって図8の(a)において矢印51aで示す方向に回転せしめられる。研削手段52は、スピンドルハウジング521と、該スピンドルハウジング521に回転自在に支持され図示しない回転駆動機構によって回転せしめられる回転スピンドル522と、該回転スピンドル522の下端に装着されたマウンター523と、該マウンター523の下面に取り付けられた研削ホイール524とを具備している。この研削ホイール524は、円環状の基台525と、該基台525の下面に環状に装着された研削砥石526とからなっており、基台525がマウンター523の下面に締結ボルト527によって取り付けられている。
上述した研削装置5を用いて上記裏面研削工程を実施するには、図8の(a)および(b)に示すようにチャックテーブル51の上面(保持面)に半導体ウエーハ2の表面に貼着されている保護テープ3側を載置する。そして、図示しない吸引手段によってチャックテーブル51上に半導体ウエーハ2を保護テープ3を介して吸着保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル51上に保持された半導体ウエーハ2は、裏面2bが上側となる。このようにチャックテーブル51上に半導体ウエーハ2を保護テープ3を介して吸引保持したならば、チャックテーブル51を図8の(a)および(b)において矢印51aで示す方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削手段52の研削ホイール524を図8の(a)および(b)において矢印524aで示す方向に例えば6000rpmで回転せしめて、図8の(b)に示すように研削砥石526を被加工面である半導体ウエーハ2の裏面2bに接触せしめ、研削ホイール524を矢印524bで示すように例えば1μm/秒の研削送り速度で下方(チャックテーブル51の保持面に対し垂直な方向)に所定量研削送りする。
上述した裏面研削工程が遂行される際に、第1の改質層210および第2の改質層220が形成され強度が低下せしめられている第1の分割予定ライン21および第2の分割予定ライン22に沿って個々のデバイス23に分割されるが、上述したように第1の分割予定ライン21に沿って形成される第1の改質層210は第2の分割予定ライン22に沿って形成される第2の改質層220より破断が早く起こるように形成されているので、半導体ウエーハ2は図9の(a)に示すように最初に第1の改質層210が形成された第1の分割予定ライン21に沿って短冊状に破断される。そして、裏面研削工程の遂行に伴って各短冊間に僅かな隙間が形成され、更に裏面研削工程の遂行により図9の(b)に示すように各短冊が第2の改質層22が形成された第2の分割予定ライン22に沿って破断され、半導体ウエーハ2は個々のデバイス23に分割されるとともに所定の厚み(例えば100μm)に形成される。このように、裏面研削工程において半導体ウエーハ2は、最初に第1の改質層210が形成された第1の分割予定ライン21に沿って短冊状に破断され、その後、裏面研削工程の遂行に伴って各短冊間に僅かな隙間が形成され、更に裏面研削工程の遂行により各短冊が第2の改質層22が形成された第2の分割予定ライン22に沿って破断されて個々のデバイス23に分割されるので、デバイス23の角同士が擦れ合うことがなく、従ってデバイス23の角同士が擦れ合うことによるデバイスが損傷するという問題が解消する。
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は図示の実施形態のみに限定されるものではなく本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、第1の改質層210および第2の改質層220をデバイス23の仕上がり厚みである所定の厚みよりウエーハの裏面側に形成することにより、第1の改質層210および第2の改質層220が形成された第1の分割予定ライン21および第2の分割予定ライン22に沿って分割されるとともに所定の仕上がり厚みに形成された個々のデバイスの外周に改質層が残存することがないので、デバイスの抗折強度を向上させることができる。また、上述した実施形態においては、裏面研削工程を研削ホイール524を備えた研削手段52を装備した研削装置5によって実施した例を示したが、粗研削ホイールおよび仕上げ研削ホイールを備えた粗研削手段および仕上げ研削ホイールを備えた仕上げ研削手段を装備した研削装置によって裏面研削工程を実施する場合には、粗研削ホイールを備えた粗研削手段によってウエーハを粗研削する際に上記第1の改質層210が形成された第1の分割予定ライン21に沿って短冊状に破断し、仕上げ研削ホイールを備えた仕上げ研削手段によってウエーハを仕上げ研削する際に上記第2の改質層220が形成された第2の分割予定ライン22に沿って破断するように、第1の改質層210および第2の改質層220を形成することもできる。
2:半導体ウエーハ
21:第1の分割予定ライン
22:第2の分割予定ライン
23:デバイス
3:保護テープ
4:レーザー加工装置
41:レーザー加工装置のチャックテーブル
42:レーザー光線照射手段
422:集光器
5:研削装置
51:研削装置のチャックテーブル
52:研削手段
524:研削ホイール

Claims (3)

  1. 所定の方向に延びる複数の第1の分割予定ラインと該複数の第1の分割予定ラインと交差して形成された複数の第2の分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを、第1の分割予定ラインおよび第2の分割予定ラインに沿って分割するウエーハの加工方法であって、
    ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第1の分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部の全ての第1の分割予定ラインに沿って破断起点となる第1の改質層を形成する第1の改質層形成工程と、
    ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第2の分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部の全ての第2の分割予定ラインに沿って破断起点となる第2の改質層を形成する第2の改質層形成工程と、
    該第1の改質層形成工程および該第2の改質層形成工程が実施されたウエーハの裏面を研削してウエーハを所定の厚みに形成するとともに該第1の改質層および該第2の改質層が形成された第1の分割予定ラインおよび第2の分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割する裏面研削工程と、を含み、
    該第1の改質層形成工程において形成される該第1の改質層は、該第2の改質層形成工程において形成される該第2の改質層より破断が早く起こるように形成される、
    ことを特徴とするウエーハの分割方法。
  2. 該第1の改質層形成工程において照射されるパルスレーザー光線の出力は、該第2の改質層形成工程において照射されるパルスレーザー光線の出力より高く設定されている、請求項1記載のウエーハの分割方法。
  3. 該第1の改質層形成工程において形成される該第1の改質層の本数は、該第2の改質層形成工程において形成される該第2の改質層の本数より多く設定されている、請求項1記載のウエーハの分割方法。
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