JP6136615B2 - 車体前部構造 - Google Patents
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上記の吸気ダクトは、一般にラジエータファンシュラウドの上方に設けられ、車両の前方から後方に流れる空気は、ラジエータファンシュラウドの上方に流れた後、ボンネット下面とラジエータファンシュラウド上方との間の画定された通路を通って、上述の吸気ダクトの開口部に導かれるものである。
また、上述の吸気ダクトには、車両走行時に雨水や雪が吸込まれないようにするため、これら雨水や雪(特に、雪)を吸気通路の途中で分離すべく、ラジエータファンシュラウドと一体または別体のラビリンス構造が形成されている(特許文献1参照)。
ラビリンス構造がない場合には、雨天時や降雪時の走行において、水や雪を充分に分離することができない。また、ボンネット下面とラジエータファンシュラウドとの間の空間が狭いことに起因して、当該空間に雪が堆積すると、この堆積した雪が塊となって上述の吸気ダクト内に吸入されるという課題が発生する。
上述の傾斜は、直線状の傾斜または円弧状の傾斜の何れであってもよい。
よって、降雪時にエンジンに雪が吸込まれるのを、より一層確実に防止することができる。
上述の脆弱部は、スリット、薄肉部、V字状のノッチや凹溝部などで構成してもよい。
図面は車体前部構造を示し、図1は当該車体前部構造を示す全体斜視図、図2は図1からボンネットを取外した状態の要部斜視図、図3は図2の正面図、図4は図3のA−A線矢視断面図である。
図1〜図4において、ダッシュパネルの前方に設けられたエンジンルーム1(図4参照)にはエンジン(図示せず)を配設する一方、該エンジンルーム1の上方を開閉可能に覆うボンネット2を設けている。このボンネット2は上側に位置するボンネットアウタパネル3と下側に位置するボンネットインナパネル4とをヘミング加工により接合一体化したもので、ボンネットインナパネル4の前部下面には、図2,図4に示すように、シール部材としての前部ウエザストリップ5および後部ウエザストリップ6を、これら両者5,6の間隔を隔てて一体的に接着固定している。
これら前後の各ウエザストリップ5,6は、図2に示すように、その車幅方向中間部はボンネット2の前部形状に対応して車幅方向に延びており、車幅方向の端部からボンネット2前部の側面形状に対応して斜め後方に延びるように形成されており、これらの各ウエザストリップ5,6は後述する空間部30(図4参照)を画定する。
また、バンパフェース7の前面開口部8の直下部には、車幅方向に延びる下部開口部9(いわゆる走行風取入れ口)を形成し、この下部開口部9からもフレッシュエアを取込むように形成している。
さらに、バンパフェース7の車幅方向左右両側上部には、ヘッドランプ(図示せず)を配置するために下方へ湾曲形成された凹部10,10が設けられている。
図4,図5に示すように、エンジンルーム1内のエンジン前方にはラジエータ11(詳しくは、ウオータチューブ、フィン、アッパタンク、ロアタンクを有するラジエータ本体と、クーリングファンから成るラジエータユニット)を立設配置している。このラジエータ11はエンジン冷却水(クーラントを含む)の放熱器であって、該ラジエータ11は、図7に示すように、ラジエータシュラウド12で保持されている。また、上述のラジエータ11は後述するシュラウドアッパパネル13の下方に搭載されたものである。
そして、エンジンへの吸気が上述のパネル開口部15a,14aおよび後述するプレート開口部26a(図5,図6参照)を通過するように構成されている。
これら左右一対のシールプレート17,17は、上下方向に延びる縦壁17aと、車幅方向に延びる下壁17bとを車両正面視でL字状または逆L字状に組合せたもので、走行風をラジエータ11側へ案内すべく構成したものである。
この整流部材25は、走行風を当該整流部材25の上方と下方とに案内するもので、該整流部材25は、図1,図2,図3にも示すように、ラジエータ11の車幅方向の略全幅と等しい車幅方向長さを有し、その左右の取付け部25a,25aはラジエータシュラウド12のシュラウドサイド12S,12Sに取付けられている。
このカバープレート26は複数のクリップ26d(図12参照)を有し、これら複数のクリップ26dにより該カバープレート26がシュラウドアッパパネル13に対して上方から取付けられている。
上述のパネル開口部14a,15aおよびプレート開口部26aは上下方向に対応する位置に設けられており、これらパネル開口部14a,15aおよびプレート開口部26aに対して車幅方向にオフセットした位置には、図5,図6に示すように、エンジンへ空気を導く吸気ダクト27のダクト開口部27aが設けられている。また、上述の各開口部14a,15a,26aからの空気は、ダクト開口部27aが形成されたダクト側と、これとは反対側の反ダクト側とに流れるように形成されている。
なお、上述の後部ウエザストリップ6は、ダクト開口部27aの直上部において、吸気ダクト27の前部ダクト28上面を通るように配設されている。
上述のダクト開口部27aへの空気は、パネル開口部14a,15a、プレート開口部26aおよび空間部30を通過するように構成されている。ここで、上述のパネル開口部14a,15aおよびプレート開口部26aは、ボンネットインナパネル4の下部に設けられ車体側のラッチに対してアンロック可能に係合されるボンネット側のストライカ(図示せず)の貫通孔を兼ねるものである。
すなわち、ラジエータ11内、エンジンルーム1内には走行風を入れない方が空力性能がよくなることが知られており、このセットプレート31はそのためにラジエータ11での冷却に比較的寄与しない箇所を塞いで、ラジエータ11に流入する走行風を遮蔽し、以て、空力性能を向上させるためのプレートである。
図9,図10,図11に示すように、該セットプレート31は、プレート本体31aと、このプレート本体31aの車幅方向両端部から後方に平面視で略L字状に延びる支持脚31b,31bと、プレート本体31aの車幅方向中央から前方に向けてボックス状に突出する突出部31cと、プレート本体31aの上端部から上方に延びる上辺部31dと、を合成樹脂にて一体形成したものである。ここで、上述のプレート本体31aおよび上辺部31dは、図4に示すように、パネル開口部14a,15aおよびプレート開口部26aの前部口縁の下方に位置する。
上述のフィン33をパネル開口部14a,15aおよびプレート開口部26aの下方、すなわち、上流側に設けることで、このフィン33でダクト開口部27aが無い側に吸入空気を導き、これにより、降雪時においてダクト開口部27a、吸気ダクト27、エアクリーナ、吸気マニホルドを介してエンジンに雪が吸込まれるのを防止すべく構成したものである。
上述のフィン33の反ダクト側およびダクト側の各端部33a,33bの位置を、上述の如く設定すると共に、当該フィン33を内高外低状にスラントする傾斜構造と成して、より一層多くの気流を、確実に反ダクト側に導き、以て、降雪時にエンジンに雪が吸込まれるのを、より一層確実に防止すべく構成したものである。
ここで、上述のフィン33は図示の直線状のものに代えて、曲率中心を斜め下方に有し、斜め上方へ突出するように湾曲する円弧状のフィンであってもよい。
そして、車両と歩行者との衝突時に、車両前方からの衝突荷重により脆弱部としてのスリット34にて上記フィン33の根元部分またはその近傍からの倒れを促進し、これにより、歩行者に対する安全性を高めるように構成したものである。
なお、上述のスリット34に代えて、フィン33に薄肉部、V字状のノッチまたは凹溝部を形成する脆弱部と成してもよい。
上述のシュラウドアッパパネル13におけるパネル開口部14a,15aの前縁近傍の下方、つまり、上流側に上記メッシュ35を設け、このメッシュ35によりそれよりも下流側(特に、ダクト開口部27a側)へ雪が通過するのを防止し、よって、降雪時にエンジンに雪が吸込まれるのを防止すべく構成したものである。
また、上述のメッシュ35をラジエータ11前方側に位置する既存のセットプレート31に形成された複数の孔部とその孔縁部に設定し、空力性能向上のためのセットプレート31を有効利用して雪害対策を行ない、かつ、部品点数の増加を招かないように構成したものである。
ここで、図9,図10に示す角孔の縦横配列構造のメッシュ35に代えて、複数の丸孔や三角形状または多角形状の孔によるメッシュ構造を採用してもよい。
なお、上述の突出部31cに代えて、セットプレート31のプレート本体31aに前方へ突出する車載機器としての前方監視用のレーダを取付け、この前方監視用のレーダを乱流発生手段として用いる構造を採用してもよい。
車両走行時に前面開口部8から導入された空気のうち、セットプレート31よりも車幅方向外側を流れる空気は、直接ラジエータ11を冷却するが、セットプレート11に対向する空気は、図4に矢印aで示すように、セットプレート31のメッシュ35を通ってその下流側へ流れた後に、同図に矢印bで示すように、シュラウドアッパパネル13の下側部材15のパネル開口部15aから上方へ流れる。ここで、降雪時には上記メッシュ35により雪がそれよりも下流側へ通過するのを防止する。
この結果、吸気ダクト27のダクト開口部27aが存在する側と、吸気ダクト27のダクト開口部27aが無い側とを対比すると、ダクト開口部27aが無い側に相対的に多くの吸入空気が導かれ、降雪時にダクト開口部27a、吸気ダクト27、エアクリーナ、吸気マニホルドを介してエンジンに雪が吸込まれるのを防止するものである。
上述の壁部36は、スリット26cの後縁部に沿って車幅方向に延びる後壁部36aと、スリット26cの車幅方向内端部に沿って車両前後方向に延びる側壁部36bと、スリット26cの車幅方向外端部に沿って車両前後方向に延びる側壁部36cと、を平面視で略コの字状に連設したものである。
上述の壁部36により、ラジエータ11に向かう空気がスリット26cを通過するように上方に偏向し、空気を確実に上記スリット26cを通過させるように構成したものである。
そして、車幅方向中央部に位置する前側縦壁部15bと、該前側縦壁部15bに対して車幅方向の外側に位置するダクト側および反ダクト側の各後側縦壁部15c,15dを、なだらかに連設形成している。
上述の反ダクト側の後側縦壁部15dは、空気通過部を形成するスリット26cの後方に位置するように形成されており、当該後側縦壁部15dにより、ラジエータ11に向かう空気がスリット26cを通過するように上方に偏向させ、カバープレート26の壁部36の作用と相俟って、空気をより一層確実に上記スリット26cを通過させ、これにより、車幅方向外側で反ダクト側に流れる気流をさらに増強し、以て、降雪時にエンジンに雪が吸込まれるのを防止すべく構成している。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
よって、降雪時にエンジンに雪が吸込まれるのを、より一層確実に防止することができる。
この発明の偏向手段は、実施例のフィン33に対応し、
以下同様に、
脆弱部は、スリット34に対応し、
請求項2のパネル開口部は、開口部26aに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上述の脆弱部としては、スリット34に代えて、薄肉部、V字状のノッチまたは凹溝部を採用してもよい。
11…ラジエータ
13…シュラウドアッパパネル
14a,15a…パネル開口部
26a…開口部
27…吸気ダクト
27a…ダクト開口部
33…フィン(偏向手段)
33a…反ダクト側端部
33b…ダクト側端部
34…スリット(脆弱部)
35…メッシュ(防雪手段)
Claims (3)
- 車両前面に形成された前面開口部と、
該前面開口部後方に略水平方向に延びるシュラウドアッパパネルと、
該シュラウドアッパパネル下方に搭載されたラジエータと、
上記シュラウドアッパパネルに設けられたパネル開口部とを備え、
該パネル開口部に対し車幅方向にオフセットした位置にエンジンへ空気を導く吸気ダクトのダクト開口部が設けられ、
該ダクト開口部への空気が上記パネル開口部を通過するよう構成された車体前部構造であって、
上記パネル開口部の前縁近傍の下方に、空気を通過させかつ雪の通過を防げる防雪手段を設け、
上記防雪手段は、上記ラジエータの前面に位置するセットプレートに形成されたメッシュ構造部であり、
該セットプレートの該メッシュ構造部に、該パネル開口部を通過する空気を車幅方向で吸気ダクトのダクト開口部が無い側に偏向させる偏向手段を設けた
車体前部構造。 - 上記偏向手段はフィンであり、
該フィンの反ダクト側端部は、上記パネル開口部のダクト側端部よりも該パネル開口部内側に位置し、
上記フィンのダクト側端部は、上記パネル開口部のダクト側端部よりもダクト側に位置しており、
上記フィンはその反ダクト側端部がダクト側端部より高い位置になるよう傾斜している
請求項1記載の車体前部構造。 - 上記フィンの根元部分またはその近傍には、車両前方からの荷重により当該フィンの倒れを促進する脆弱部が形成された
請求項2記載の車体前部構造。
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