JP6134057B2 - 変速制御装置 - Google Patents

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    • F16D2041/0665Freewheels or freewheel clutches with intermediate wedging coupling members between an inner and an outer surface the intermediate members wedging by rolling and having a circular cross-section, e.g. balls all members having the same size and only one of the two surfaces being cylindrical characterised by there being no cage other than the inner and outer race for distributing the intermediate members

Description

本発明は、無段変速機の変速制御装置に関する。
例えば、特許文献1には、エンジンに接続された入力軸の回転をコネクティングロッドの往復運動に変換し、コネクティングロッドの往復運動をワンウェイクラッチによって出力軸の回転運動に変換する無段変速機が記載されている。
特開2012−1048号公報
図17Aは無段変速機の変速原理を例示する図である。無段変速機はクランク軸と同期している偏心ディスクとピ二オンシャフトの位相差を、回転半径(偏心量R1)=0から変化させて、ギヤニュートラル(GN)における変速比∞からオーバードライブ(OD:最小変速比)までのレシオで変速可能である。
図17Bは従来の偏心量R1を求めるための構成例を示す図であり、変速アクチュエータ(モータ)に接続するポジションセンサの値を用いて偏心量R1の値を推定していた。
しかしながら、偏心機構を構成する変速アクチュエータ(減速機)のバックラッシュ、ピ二オンシャフトの捩じれ、クランクシャフトの捩じれ、ピ二オンシャフトと偏心ディスクとの間のバックラッシュなど、様々な外乱の影響が介在するため、偏心量R1の実測値は推定値と異なるものとなる。
ポジションセンサの値を用いた構成では、正確に偏心量R1を求めることができない。また、無段変速機の構成では、変速アクチュエータを制御する際の原点、すなわち、ギヤニュートラル(GN)点に機械的ストッパー等が設けられていないため、ギヤニュートラル(GN)点を精度良く決定することができない。
上記の無段変速機は偏心量R1の変更により変速比が変化するので、無段変速機の制御を適切なものにするために制御上の原点となるギヤニュートラル(GN)点を精度良く求めることが必要とされる。
本発明は、ギヤニュートラル点を精度良く求めることが可能な変速制御装置を提供する。
本発明の第1の側面の変速制御装置は、駆動源の回転軸に接続された入力軸(2)の回転を変速して出力軸(3)に伝達する無段変速機(1)が、前記入力軸(2)の軸線からの偏心量が可変である偏心機構(4〜13)と、前記入力軸(2)と共に回転する入力側支点(P3)と、前記出力軸(3)に接続されたワンウェイクラッチ(17)と、前記ワンウェイクラッチ(17)の揺動リンク(18)に設けられた出力側支点(P5)と、前記入力側支点(P3)および前記出力側支点(P5)の両端に接続されて、前記偏心機構(4〜13)の偏心量に応じて往復運動するコネクティングロッド(19)と、を備える無段変速機の変速制御装置であって、
ゼロから±180°の間で回転して前記偏心機構(4〜13)の前記偏心量を調整可能な偏心駆動部(14)と、
前記偏心量に応じて揺動する前記揺動リンク(18)の揺動角を検出可能な揺動角検出部(52)と、
前記偏心駆動部(14)を第1方向へ回転することで前記揺動角が増大する正領域と、前記偏心駆動部(14)を前記第1方向とは逆の第2方向へ回転することで前記揺動角が増大する負領域とを有し、前記正領域および前記負領域で前記揺動角と前記偏心駆動部(14)の回転角とを対応づける偏心量マップ(600)を記憶した偏心量マップ記憶部(51)と、
前記揺動角検出部(52)で検出された揺動角と前記偏心駆動部(14)の回転角度とを前記偏心量マップにあてはめ、前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角を決定し、前記回転角を用いて前記偏心駆動部(14)を制御する偏心制御部(53)と、を備え、
前記偏心制御部(53)は、
前記偏心駆動部(14)の初期値から前記偏心駆動部(14)を回転させた場合の揺動角の変化により、前記初期値が前記正領域および前記負領域のいずれかに含まれるか判定し、
前記初期値が含まれる領域から他方の領域まで前記偏心駆動部(14)を回転させた際の第1の回転角(a)と前記揺動リンク(18)の揺動角(p)を取得し、
前記他方の領域から前記初期値が含まれる領域まで前記偏心駆動部(14)を回転させた際に、前記揺動角(p)と等しい揺動角になる第2の回転角(b)を取得し、
前記揺動角(p)と、前記第1の回転角(a)と、前記第2の回転角(b)とを前記偏心量マップ(600)にあてはめ、前記正領域と前記負領域の境界を前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角として決定することを特徴とする。
また、本発明の変速制御装置の第2の側面によれば、前記偏心制御部(53)は、前記無段変速機(1)が非駆動状態のときに、前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角度を決定することを特徴とする。
また、本発明の変速制御装置の第3の側面によれば、前記偏心制御部(53)は、前記駆動源の起動時もしくは終了時に前記回転角を決定することを特徴する。
また、本発明の変速制御装置の第4の側面によれば、前記偏心量マップ(600)には、前記偏心制御部(53)の制御値に対する前記偏心駆動部(14)の回転角と前記揺動リンク(18)の揺動角との関係の理論値が格納されており、
前記偏心制御部(53)は、
前記第1方向および前記第2方向に前記偏心駆動部(14)を回転させた場合の回転角と揺動角の検出結果と、前記理論値との差分により、前記偏心機構(4〜13)のバックラッシュを算出し、
前記偏心制御部(53)は、
前記バックラッシュに対応する回転角として待機制御値を設定し、
車両の停止状態において、前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角から前記待機制御値だけ前記偏心駆動部(14)を回転させることを特徴とする。
また、本発明の変速制御装置の第5の側面によれば、操作部(ECON)からの入力に応じて前記駆動源の制御モードを判定する操作入力判定部(57)を更に備え、
前記操作入力判定部(57)により、燃料の消費を抑えるエンジン制御モードが選択されたと判定された場合、前記偏心制御部(53)は前記待機制御値として前記バックラッシュに対応する回転角を設定し、
前記操作入力判定部(57)により、前記エンジン制御モードが選択されていないと判定された場合、前記偏心制御部(53)は前記待機制御値として、車両の静止摩擦力に対応する駆動力を前記出力軸(3)側に加えるための回転角を設定し、
前記車両の停止状態において、前記偏心制御部(53)は、前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角から前記待機制御値だけ前記偏心駆動部(14)を回転させることを特徴とする。
また、本発明の変速制御装置の第6の側面によれば、前記偏心制御部(53)は、前記第1の回転角(a)および前記第2の回転角(b)の中点を前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角として決定することを特徴とする。
第1の側面および第6の側面の構成によれば、ギヤニュートラル点を精度良く求めることが可能な変速制御装置の提供が可能になる。
また、第2の側面の構成によれば、第1の側面の効果に加えて、無段変速機が非駆動状態のときに処理を行うことで、無段変速機の駆動により処理が中断されることなく、ギヤニュートラル点を精度良く求めることが可能になる。
また、第3の側面の構成によれば、第2の側面の効果に加えて、駆動源の振動などの影響を受けることなく、ギヤニュートラル点を精度良く求めることが可能になる。
また、第4の側面の構成によれば、第1の側面の効果に加えて、検出したバックラッシュに対応する回転角を車両の停止状態における待機制御値として設定することで、応答性に優れた無段変速機の制御が可能になる。
また、第5の側面の構成によれば、第4の側面の効果に加えて、駆動源の制御モードに応じた待機制御値を設定することで、応答性に優れた無段変速機の制御が可能になる。
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
本実施形態の無段変速機の構造を示す断面図。 図1の無段変速機の偏心量調節機構、コネクティングロッド及び揺動リンクを軸方向から見た図。 図1の無段変速機の偏心量調節機構による偏心量の変化を示す図。 本実施形態の偏心量調節機構による偏心量の変化と、揺動リンクの揺動運動の揺動角度範囲の関係を示す図。 本実施形態の偏心量調節機構による偏心量の変化と、揺動リンクの揺動運動の揺動角度範囲の関係を示す図。 本実施形態の偏心量調節機構による偏心量の変化と、揺動リンクの揺動運動の揺動角度範囲の関係を示す図。 第1実施形態の変速制御装置の構成を説明する図。 本実施形態の偏心量マップを示す図。 イグニッション(IG)オンシーケンスの流れを説明する図。 GN学習制御の流れを説明する図。 図9の9aは、偏心駆動部の回転角の計測例を示す図、図9の9bは、揺動角の計測例を示す図。 偏心駆動部の回転角の計測例を示す図。 揺動角の計測例を示す図。 入力軸側の回転運動と、出力軸側の揺動運動を説明する図。 入力軸側の回転運動と、出力軸側の揺動運動を説明する図。 第2実施形態の変速制御装置の構成を説明する図。 偏心駆動部の回転角と偏心量と出力軸トルクの関係を示す図。 ECONモードオンの場合の偏心制御部の制御を説明する図。 ECONモードオフの場合の偏心制御部の制御を説明する図。 偏心量マップ上におけるバックラッシュを例示的に示す図。 偏心駆動部が回転する場合の理論回転角と回転角の計測例を示す図。 無段変速機の変速原理を例示する図。 従来の偏心量R1を求めるための構成例を示す図。
以下、図1〜図16A−図16Bに基づいて本発明の実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
<無段変速機の構造>
まず、図1および図2を参照して、本実施形態の無段変速機の構造について説明する。本実施形態の無段変速機1は、変速比i(i=入力軸の回転速度/出力軸の回転速度)を無限大(∞)にして出力軸の回転速度を「0」にできる変速機、いわゆるIVT(Infinity Variable Transmission)の一種である。
本実施形態の無段変速機1は、入力軸2と、出力軸3と、6つの偏心量調節機構4とを備える。出力軸3は中空構造を有しており、出力軸3内を貫通して配置されているドライブシャフトSが車両の左右の車輪W(駆動輪)と接続している。クラッチCおよびデファレンシャルギヤDが出力軸3の右端側に配置されている。
入力軸2は中空の部材からなり、エンジンやモータ等の走行駆動源からの駆動力を受けて回転中心軸線P1を中心として回転駆動される。
出力軸3は、入力軸2とは水平方向に離れた位置に入力軸2に平行に配置され、クラッチCおよびデファレンシャルギヤD等を介して自動車のドライブシャフトSに駆動力を伝達する。
偏心量調節機構4はそれぞれ駆動力入力部であり、入力軸2の回転中心軸線P1を中心として回転するように設けられ、カム部としてのカムディスク5と、偏心部材としての偏心ディスク6と、ピニオンシャフト7とを有する。
カムディスク5は、円盤形状であり、入力軸2の回転中心軸線P1から偏心して入力軸2と一体的に回転するように入力軸2に2個1組で設けられている。各1組のカムディスク5は、それぞれ位相を60°異なるように設定され、6組のカムディスク5で入力軸2の周方向を一回りするように配置されている。
偏心ディスク6は、円盤形状であり、その中心P3から偏心した位置に受入孔6aが設けられ、その受入孔6aを挟むように、1組のカムディスク5が回転可能に支持されている。
偏心ディスク6の受入孔6aは、その中心が、入力軸2の回転中心軸線P1からカムディスク5の中心P2(受入孔6aの中心)までの距離Raとカムディスク5の中心P2から偏心ディスク6の中心P3までの距離Rbとが同一となるように形成されている。また、偏心ディスク6の受入孔6aには、1組のカムディスク5に挟まれた内周面に、内歯6bが形成されている。
ピニオンシャフト7は、入力軸2の中空部内に、入力軸2と同心に配置され、ピニオン軸受7bを介して入力軸2の内周面に相対回転可能に支持されている。また、ピニオンシャフト7の外周面には、外歯7aが設けられている。さらに、ピニオンシャフト7には、差動機構8が接続されている。
入力軸2における1組のカムディスク5の間には、カムディスク5の偏心方向に対向する箇所に内周面と外周面とを連通させる切欠孔2aが形成されており、この切欠孔2aを介して、ピニオンシャフト7の外歯7aは、偏心ディスク6の受入孔6aの内歯6bと噛合している。
差動機構8は、遊星歯車機構であり、サンギヤ9と、入力軸2に連結された第1リングギヤ10と、ピニオンシャフト7に連結された第2リングギヤ11と、サンギヤ9及び第1リングギヤ10と噛合する大径部12aと、第2リングギヤ11と噛合する小径部12bとからなる段付きピニオン12を自転及び公転可能に軸支するキャリア13とを有している。また、差動機構8のサンギヤ9は、ピニオンシャフト7の駆動用の電動機(モータ)からなる偏心駆動部14(偏心量調節用駆動源)の回転軸14aに連結されている。
そして、この偏心駆動部14の回転速度を入力軸2の回転速度と同一にした場合、サンギヤ9と第1リングギヤ10とが同一速度で回転することとなり、サンギヤ9、第1リングギヤ10、第2リングギヤ11及びキャリア13の4つの要素が相対回転不能なロック状態となって、第2リングギヤ11と連結するピニオンシャフト7が入力軸2と同一速度で回転する。
また、偏心駆動部14の回転速度を入力軸2の回転速度よりも遅くした場合、サンギヤ9の回転数をNs、第1リングギヤ10の回転数をNR1、サンギヤ9と第1リングギヤ10のギヤ比(第1リングギヤ10の歯数/サンギヤ9の歯数)をjとすると、キャリア13の回転数が(j・NR1+Ns)/(j+1)となる。また、サンギヤ9と第2リングギヤ11のギヤ比((第2リングギヤ11の歯数/サンギヤ9の歯数)×(段付きピニオン12の大径部12aの歯数/小径部12bの歯数))をkとすると、第2リングギヤ11の回転数が{j(k+1)NR1+(k−j)Ns}/{k(j+1)}となる。
したがって、偏心駆動部14の回転速度を入力軸2の回転速度よりも遅くした場合であって、カムディスク5が固定された入力軸2の回転速度とピニオンシャフト7の回転速度とが同一である場合には、偏心ディスク6はカムディスク5と共に一体に回転する。一方で、入力軸2の回転速度とピニオンシャフト7の回転速度とに差がある場合には、偏心ディスク6はカムディスク5の中心P2を中心にカムディスク5の周縁を回転する。
図2に示すように、偏心ディスク6は、カムディスク5に対して、P1からP2までの距離RaとP2からP3までの距離Rbとが同一となるように偏心されている。そのため、偏心ディスク6の中心P3を入力軸2の回転中心軸線P1と同一線上に位置させて、入力軸2の回転中心軸線P1と偏心ディスク6の中心P3との距離、すなわち、偏心量R1を「0」にすることもできる。
偏心ディスク6の外縁部には、コネクティングロッド15が回転可能に支持されている。コネクティングロッド15は、一方の端部に大径の大径環状部15aを有し、他方の端部に小径の小径環状部15bを有している。コネクティングロッド15の大径環状部15aは、コンロッド軸受16を介して偏心ディスク6の外縁部に支持されている。
出力軸3には、一方向回転阻止機構としての一方向クラッチ17(ワンウェイクラッチ)を介して、揺動リンク18が連結されている。一方向クラッチ17は、出力軸3の回転中心軸線P4を中心として一方側に回転しようとする場合に出力軸3に対して揺動リンク18を固定し、他方側に回転しようとする場合に出力軸3に対して揺動リンク18を空転させる。
揺動リンク18には、揺動端部18aが設けられ、揺動端部18aには、小径環状部15bを軸方向で挟み込むことができるように形成された一対の突片18bが設けられている。一対の突片18bには、小径環状部15bの内径に対応する貫通孔18cが穿設されている。貫通孔18c及び小径環状部15bに連結ピン19が挿入されることによって、コネクティングロッド15と揺動リンク18とが連結されている。また、揺動リンク18には、環状部18dが設けられている。
<てこクランク機構>
次に、図2〜図4A−図4Cを参照して、本実施形態の無段変速機のてこクランク機構について説明する。
図2に示すように、本実施形態の無段変速機1において、偏心量調節機構4と、コネクティングロッド15と、揺動リンク18とが、てこクランク機構20(四節リンク機構)を構成している。
てこクランク機構20によって、入力軸2の回転運動は、出力軸3の回転中心軸線P4を中心とする揺動リンク18の揺動運動に変換される。本実施形態の無段変速機1は、図1に示すように、合計6個のてこクランク機構20を備えている。
てこクランク機構20では、偏心量調節機構4の偏心量R1が「0」でない場合に、入力軸2とピニオンシャフト7を同一速度で回転させると、各コネクティングロッド15が60度ずつ位相を変えながら、入力軸2と出力軸3との間で出力軸3側に押したり、入力軸2側に引いたりを交互に繰り返して、揺動リンク18を揺動させる。
そして、揺動リンク18と出力軸3との間には一方向クラッチ17が設けられているので、揺動リンク18が押された場合には、揺動リンク18が固定されて出力軸3に揺動リンク18の揺動運動によるトルクが伝達されて出力軸3が回転し、揺動リンク18が引かれた場合には、揺動リンク18が空回りして出力軸3に揺動リンク18の揺動運動によるトルクが伝達されない。6つの偏心量調節機構4は、それぞれ60度ずつ位相を変えて配置されているので、出力軸3は6つの偏心量調節機構4により順に回転駆動される。
また、本実施形態の無段変速機1では、図3の3a−図3の3dに示すように、偏心量調節機構4によって偏心量R1が調節可能である。
図3の3aは、偏心量R1を「最大」とした状態を示し、入力軸2の回転中心軸線P1とカムディスク5の中心P2と偏心ディスク6の中心P3とが一直線に並ぶように、ピニオンシャフト7と偏心ディスク6とが位置する。この場合の変速比iは最小となる。図3の3bは、偏心量R1を図3の3aよりも小さい「中」とした状態を示し、図3の3cは、偏心量R1を図3の3bよりも更に小さい「小」とした状態を示している。変速比iは、図3の3bでは図3の3aの変速比iよりも大きい「中」となり、図3の3cでは図3の3bの変速比iよりも大きい「大」とした状態を示している。図3の3dは、偏心量R1を「0」とした状態を示し、入力軸2の回転中心軸線P1と、偏心ディスク6の中心P3とが同心に位置する。この場合の変速比iは無限大(∞)となる。
図4A−図4Cは、本実施形態の偏心量調節機構4による偏心量R1の変化と、揺動リンク18の揺動運動の揺動角度範囲の関係を示している。
図4Aは偏心量R1が図3の3aの「最大」である場合(変速比iが最小である場合)、図4Bは偏心量R1が図3の3bの「中」である場合(変速比iが中である場合)、図4Cは偏心量R1が図3の3cの「小」である場合(変速比iが大である場合)の、偏心量調節機構4の回転運動に対する揺動リンク18の揺動範囲θ2を示している。ここで、出力軸3の回転中心軸線P4からコネクティングロッド15と揺動端部18aの連結点、すなわち、連結ピン19の中心P5までの距離が、揺動リンク18の長さR2である。
図4A−図4Cから明らかなように、偏心量R1が小さくなるのに伴い、揺動リンク18の揺動角度範囲θ2が狭くなり、偏心量R1が「0」になった場合には、揺動リンク18は揺動しなくなる。
[第1実施形態]
<変速制御装置の構成>
次に、本実施形態の変速制御装置50の構成を説明する。変速制御装置50は、偏心駆動部14と、モータドライバ54と、偏心駆動部14の回転角を検出する回転角検出部55と、偏心量マップを記憶する偏心量マップ記憶部51と、揺動角検出部52と、偏心制御部53と、を有する。
揺動角検出部52は変速機ケース30に固定され、揺動リンク18の環状部に対向して配置されている。揺動角検出部52は揺動リンク18までの距離に基づき揺動リンク18の揺動角を検出することが可能である。揺動角検出部52は、ギャップ(GAP)センサなどで構成することが可能である。
回転角検出部55は偏心駆動部14の回転角を検出することが可能であり、回転角検出部55はエンコーダやレゾルバにより構成することができる。
偏心制御部53は、回転角検出部55から偏心駆動部14の回転角を取得し、モータドライバ54を介して偏心駆動部14を制御することが可能である。また、偏心制御部53は、偏心機構(4〜13)の偏心量R1がゼロとなる、ギヤニュートラル(GN)を決定する学習制御(GN学習制御)を行い、決定したGNに基づき偏心駆動部14の回転を制御することが可能である。
偏心駆動部14(偏心量調節用駆動源)は、偏心機構(4〜13)の偏心量R1をゼロから最大値(偏心駆動部14の回転角:±180°)の間で自在に調整可能なアクチュエータ(モータ)である。
偏心駆動部14の回転に応じて偏心機構(4〜13)の偏心量R1が変化する。偏心機構(4〜13)の偏心量R1に応じて往復運動するコネクティングロッド15により揺動リンク18は揺動する。偏心量R1の変化に応じて揺動リンク18の揺動角も変化する。揺動リンク18の揺動角は揺動角検出部52により検出され、偏心制御部53に入力される。
図11A−図11Bは、駆動源の回転軸に接続された入力軸側の回転運動と、出力軸側の揺動リンク18の揺動運動を例示的に説明する図である。図11Aは、図4A−図4Cで説明した四節リンクの構成で、揺動リンク18の近傍に揺動角検出部52が配置されている構成を例示する図である。尚、揺動角検出部52の配置は、図示の位置に限定されるものではなく、揺動リンク18近傍の異なる位置に配置してもよいし、複数個所に揺動角検出部52を配置してもよい。図11Bは、偏心駆動部14の回転角(位相)と揺動リンク18の揺動角との関係を例示する図であり、偏心量R1が異なれば、検出される揺動角も異なるものとなる。
偏心機構(4〜13)を構成する偏心量調節機構4は、それぞれ60度ずつ位相を変えて6つの配置されており、この位相により、一方向クラッチ17(ワンウェイクラッチ:OWC)ごとに、入力軸側の偏心駆動部14の回転角(位相)と揺動リンク18の揺動角との関係は、異なる波形パターンを示す。図11Bでは、6つのワンウェイクラッチ(OWC)のうち任意のOWC111の波形を実線で示し、60度位相の異なるOWC116の波形を破線で示している。
偏心量マップ記憶部51に記憶されている偏心量マップ600は、偏心機構(4〜13)の偏心量R1と、偏心駆動部14の回転角と、揺動リンク18の揺動角との関係を示すものである。偏心量マップ600は、偏心量R1と揺動角との機械的な関係より理論値を求めることが可能であり、既知の情報として偏心量マップ記憶部51に記憶されている。
図6は偏心量マップ600を例示する図であり、縦軸は揺動リンク18の揺動角を示し、横軸は偏心駆動部14の回転角および偏心機構(4〜13)の偏心量R1を示す。偏心量R1は偏心駆動部14の回転角に対応するものであり、偏心量マップ600上で偏心量R1がゼロとなる回転角がギヤニュートラル(GN)点となる。
偏心量マップ600は、偏心駆動部14を第1方向(正方向)へ回転制御することで揺動角が増大する正領域と、偏心駆動部14を第1方向と逆方向の第2方向(負方向)へ回転制御することで揺動量が増大する負領域と、を有する。正領域において、四節リンクの入力軸側のリンクは「くの字」形状となり(図6の602)、負領域において、四節リンクの入力軸側のリンクは「逆くの字」形状となる(図6の601)。正領域と負領域との境界で、入力軸2の回転中心軸線P1と、偏心ディスク6の中心P3とが同心に位置する。すなわち、入力軸側のリンクの節点間(P1とP3との間)の距離はゼロ(R1=0)となり、揺動角はゼロとなる。
偏心量調節機構4は、上述のように、それぞれ60度ずつ位相を変えて配置されている。これに対応して、それぞれの偏心量調節機構4に対応する偏心量マップ600も同様の位相をもって、偏心量マップ記憶部51に記憶されている(図6の603、604)。
偏心制御部53は、偏心駆動部14の回転角と、揺動角検出部52の検出結果(揺動角)と、偏心量マップ600とを用いて、偏心機構(4〜13)の偏心量R1がゼロとなる偏心駆動部14のギヤニュートラル(GN)点を決定する(GN学習制御)。GN学習制御の詳細は後に図8を用いて説明する。
無段変速機1が駆動状態のときには、GN学習制御の処理が途中で中断される可能性があるので、偏心制御部53は、無段変速機1が非駆動状態のときに、偏心量がゼロとなる偏心駆動部14の回転角度を決定する。
<イグニッション(IG)オンシーケンス>
次に、GN学習制御の前に実行するイグニッション(IG)オンシーケンスについて説明する。GN学習制御においては、偏心駆動部14を回転駆動させることが必要となる。この際に、偏心機構(4〜13)を介してドライバ(運転者)の意図しない動きが出力軸3に伝達することがないように、フェイルセーフの観点で、偏心制御部53は以下に説明する条件判断がクリアされた場合にのみGN学習制御を実行する。
図7は、イグニッション(IG)オンシーケンスの流れを説明する図である。ステップS71で、偏心制御部53は、イグニッション(IG)オン信号がオン(ON)であるか否かを判定する。本ステップにより、偏心制御部53は、GN学習制御を実行する前に、ドライバが車両を動かす意図をもって操作しているか否かを確認する。IGオン信号がオン(ON)でない場合(S71−No)、偏心制御部53はIGオン信号=オフ(OFF)と判定し(S76)、処理を終了する。この場合、偏心制御部53はGN学習制御を行わない。
一方、ステップS71の判定で、イグニッション(IG)オン信号がオン(ON)である場合(S71−Yes)、処理をステップS72に進める。
ステップS72で、偏心制御部53は、出力軸3と車輪Wが切断されているシフトポジションであるか否かを判定する。ここで、切断されているシフトポジションとはクラッチCが切断状態であることをいう。GN学習制御を実行して偏心駆動部14を回転駆動させたときに、偏心機構(4〜13)を介してドライバの意図しない動きが出力軸3を介して車輪Wに伝達することがないように、フェイルセーフの観点で判定処理を行うものである。偏心制御部53は、クラッチCの動作状態を示す制御信号を受信して、クラッチCが切断された状態であるか否かを判定する。制御信号としては、例えば、クラッチCの動作を司る制御部からのフィードバック信号を用いることが可能である。ステップS72の判定処理で、偏心制御部53はクラッチCが切断されておらず、出力軸3と車輪Wが切断されていないと判定した場合(S72−No)、処理をステップS75に進める。
ステップS75で、偏心制御部53は通常の停車状態と判定し、前回のGN学習制御の結果を基準として、偏心量R1=0となる回転角を偏心駆動部14のモータドライバ54に設定し、処理を終了する。この場合、偏心制御部53はGN学習制御を行わない。
一方、ステップS72の判定処理で、偏心制御部53はクラッチCが切断状態であり、出力軸3と車輪Wが切断されていると判定した場合(S72−Yes)、処理をステップS73に進める。
ステップS73で、偏心制御部53は、GN学習許可フラグの設定を確認する。GN学習許可フラグは、GN学習制御の実行可否を判定するための情報であり、偏心制御部53はGN学習許可フラグを、GN学習制御の頻度や、エンジン停止後の経過時間などに応じて設定することが可能である。例えば、GN学習制御をエンジン始動の際に毎回行うのではなく、例えば、GN学習制御をN回(Nは自然数)に1回行うようにGN学習許可フラグを設定することができる。また、エンジン停止後の経過時間が所定の閾値時間未満の場合はGN学習制御を行わず、経過時間が所定の閾値時間以上となった場合にGN学習制御を行うように設定することができる。
ステップS73の判定で、GN学習許可フラグが許可を示していない場合(S73−No)、処理をステップS75に進め、偏心制御部53は通常の停車状態と判定し、前回のGN学習制御の結果を基準として、偏心量R1=0となる回転角を偏心駆動部14のモータドライバ54に設定し、処理を終了する。この場合、偏心制御部53はGN学習制御を行わない。
一方、ステップS73の判定で、GN学習許可フラグが許可を示している場合(S73−Yes)、処理をステップS74に進める。
そして、ステップS74で、偏心制御部53はGN学習制御を行う。GN学習制御の詳細は、図8を用いて説明する。
<GN学習制御>
図8はGN学習制御の流れを説明する図である。まず、ステップS81で、偏心制御部53は、初期値のR1の領域が偏心量マップ600の正領域にあるか負領域にあるかを判定する(R1領域(正領域/負領域)判定処理)。
回転角検出部55の検出結果はモータドライバ54の電源オフによりクリアされため、回転角検出部55は、モータドライバ54の電源ON時の回転角をゼロと認識する。モータドライバ54の電源ON時の偏心駆動部14の状態を初期値とする。揺動リンク18の揺動角は揺動角検出部52により検出され、既知の値となるが、モータドライバ54の電源ON時に偏心制御部53は初期値のR1が正領域および負領域のいずれの意領域に含まれるかを特定することはできない。
以下の説明では、図6の偏心量マップ600上で初期値は負領域のPP1として以下の処理を説明する。図6では初期値が負領域にある場合を例として示しているが、本発明の趣旨はこの例に限定されるものではなく、初期値が正領域に含まれる場合でも同様の方法を適用することが可能である。
モータドライバ54の電源ON時において、初期値の偏心量R1が正領域、または負領域のいずれかの領域の値であるかを特定するため、以下のシーケンスで偏心量R1の領域判定を行う。偏心制御部53は偏心駆動部14を駆動して、偏心機構(4〜13)を駆動させ、揺動角検出部52は偏心機構(4〜13)により揺動する揺動リンク18の揺動角を検出する。
例えば、初期値の偏心量R1が、正領域にある場合に、偏心駆動部14を第1方向(例えば、正方向)へ回転するように制御すると、揺動リンク18の揺動角は増加する。一方、正領域において、偏心駆動部14を第2方向(例えば、負方向)へ回転するように制御した場合に、揺動リンク18の揺動角は減少する。
また、初期値の偏心量R1が、例えば、図6に示す偏心量マップ600のように負領域にある場合(PP1)に、偏心駆動部14を第2方向(例えば、負方向)へ回転するように制御すると、揺動リンク18の揺動角は増加する。一方、負領域において、偏心駆動部14を第1方向(例えば、正方向)へ回転するように制御した場合に、揺動リンク18の揺動角は減少する。
偏心制御部53は、揺動角検出部52の検出結果を取得して、偏心駆動部14の回転角度の回転方向に対する揺動角の増減で初期値が正領域の値であるか、負領域の値であるかを決定する。
偏心制御部53は、偏心駆動部14を第1方向へ回転制御することで揺動角が増大すれば正領域と判定し、偏心駆動部14を第1方向と逆方向の第2方向へ回転制御することで揺動量が増大すれば負領域と判定する。
あるいは、正負の逆の関係により、偏心制御部53は、偏心駆動部14を第1方向へ回転制御することで揺動角が減少すれば負領域と判定し、偏心駆動部14を第2方向へ回転制御することで揺動量が減少すれば正領域と判定する。
この領域判定により、偏心制御部53は初期値の偏心量R1が正領域、または負領域のいずれかの領域の値であるかを決定する。
次に、ステップS82で、偏心制御部53は、揺動角検出部52および回転角検出部55の検出結果を用いて、正領域における揺動角と、負領域における揺動角とが同じ揺動角となる2つの回転角(偏心量R1)を探索する。
ギヤニュートラル(GN)点は、偏心量マップ600において負領域と正領域との境界である。初期値が負領域にある場合、偏心制御部53は、負領域から境界を越えて正領域内の任意の回転角まで、偏心駆動部14を第1方向(正方向)に回転させる。この時、偏心制御部53は、揺動角検出部52で検出された揺動角(図6のpに対応する)と、回転角検出部55で検出された偏心駆動部14の回転角(図6のaに対応する)とを記憶する。このときの揺動角pと回転角aは図6のPP2(第1値)に対応するものである。
次に、偏心制御部53は、偏心駆動部14を逆方向に回転させて、正領域(PP2)から境界を越えて負領域内まで、偏心駆動部14を第2方向(負方向)に回転させる。このとき、偏心制御部53は、PP2の検出において揺動角検出部52で検出された揺動角pと同じ揺動角pとなる偏心駆動部14の回転角bを探索し、記憶する。このときの、揺動角pと回転角bは図6のPP3(第2値)に対応するものである。
図9の9aは偏心駆動部14の回転角の計測例を示し、図9の9bは揺動角の計測例を示す図である。図9の9aにおいて縦軸を回転角としているが、回転角は偏心量R1と対応するものである。正領域側の偏心駆動部14の回転角がa(図9の9a)となり、揺動角がp(図9の9b)に整定する位置で図6に示したPP2点が検出される。この位置は、図6の偏心量マップの正領域で検出されたPP2点である。
PP2点が検出された後、偏心制御部53は偏心駆動部14を正方向から負方向に逆回転させる。このとき、図9の9aの回転角はPP2点の回転角から減少していき、負領域側の偏心駆動部14の回転角がb(図9の9a)となり、揺動角がp(図9の9b)に整定する位置でPP3点が検出される。この位置は、図6の偏心量マップの正領域で検出されたPP3点である。
ステップS83で、偏心制御部53は、PP2(第1値)およびPP3(第2値)における揺動角(p)と回転角(a、b)を、偏心量マップ600にあてはめ、負領域と正領域との境界を決定する。ここで、偏心制御部53は、検出された2つの回転角(a、b)の中点の回転角を、偏心量R1がゼロとなるギヤニュートラル(GN)点として算出することが可能である。負領域と正領域との境界は、図6のPP4点に対応する。
尚、それぞれ60度ずつ位相を変えて配置されている6つの偏心機構(4〜13)について、ギヤニュートラル(GN)点の位置がずれる可能性がるため、それぞれの偏心機構(4〜13)について、ステップS81、S82およびS83の処理を行う。偏心制御部53は、それぞれの偏心機構(4〜13)について検出された回転角の中点を、偏心量R1がゼロとなるギヤニュートラル(GN)点として設定することも可能である。
ステップS84で、偏心制御部53は、先のステップS83で求めたギヤニュートラル(GN)点をモータドライバ54に設定するよう指令を出力する。この指令を受けたモータドライバ54は、GNへの移動処理により、ギヤニュートラル(GN)点の位置(回転角:図6のPP4)に合わせるように偏心駆動部14を回転させる。
図9の9aにおいて、偏心駆動部14の回転角は、負領域側の回転角bから正方向に増加していき、ギヤニュートラル(GN)点であるPP4まで回転する。図9の9bの揺動角はpから減少していきゼロとなる。揺動角がゼロとなるときの偏心駆動部14の回転角は、ギヤニュートラル(GN)点であるPP4に対応するものである。
本実施形態によれば、バックラッシュやシャフトの捻じれ等の影響を受けずに、ギヤニュートラルを精度良く求めることが可能な変速制御装置の提供が可能になる。
<変形例>
尚、偏心量マップ600では、真のギヤニュートラル(GN)点に対して、正領域と負領域とでは、同じ相関関係(符号のみが逆となる関係)を有することが確認されている。そのため、一方の領域について、回転角と揺動角との計測値を求めることができれば、偏心制御部53は、偏心量マップを用いて、他方の領域についての回転角を取得することも可能である。
図8のステップS82では、同じ揺動角となる2つの回転角(偏心量R1)を探索する処理を説明したが、ステップS82の処理の変形例として、以下のようにしてもよい。例えば、偏心制御部53は、図6のPP2点について検出された揺動角(p)と回転角(a)とを偏心量マップ600にあてはめ(図6のPP2点)、回転角(a)について符号を逆とする回転角(負領域の回転角a)を、図6のPP3点の回転角として取得する。
そして、図8のステップS83の処理の変形例として、偏心制御部53は、検出された1つの回転角(a)と、偏心量マップ600を用いて取得された負領域の回転角(a)の中点の回転角を、偏心量R1がゼロとなるギヤニュートラル(GN)点として決定することも可能である。
図10Aは偏心駆動部14の回転角の計測例を示し、図10Bは揺動角の計測例を示す図である。図10Aにおいて縦軸を回転角としているが、回転角は偏心量R1と対応するものである。正領域側の偏心駆動部14の回転角がa(図10A)となり、揺動角がp(図10B)に整定する位置でPP2点が検出される。この位置は、図6の偏心量マップの正領域で検出されたPP2点である。PP2点が検出された後、偏心制御部53は、偏心量マップ600を参照して、検出された回転角aについて符号を逆にした回転角(負領域の回転角a)を、図6のPP3点の回転角として取得する。
そして、偏心制御部53は、検出された回転角a(正領域)と、偏心量マップ600を用いて取得された回転角a(負領域)の中点の回転角を、偏心量R1がゼロとなるギヤニュートラル(GN)として決定する(PP4)。
バックラッシュの影響が小さい場合に、上記の処理ステップによれば、ギヤニュートラル(GN)点を迅速に求めることが可能になる。
第1実施形態の変速制御装置の構成では、エンジンやモータ等の走行駆動源の起動時にGN学習制御を行う構成を説明したが、走行駆動源の終了時に、GN学習制御を行うことも可能である。この場合、走行駆動源の振動などの影響を受けることなく、偏心制御部53は精度良くギヤニュートラル(GN)点を決定することが可能になる。決定したギヤニュートラル(GN)点により無段変速機1の制御を適切に行うことが可能になる。
[第2実施形態]
本実施形態では、車両の停止状態において、偏心駆動部14の回転角をギヤニュートラル(GN)点から進角させた待機状態にするための待機制御値の設定と、エンジン制御モードを選択するための操作部(ECONボタン)のオン・オフに応じて待機制御値の設定を切り替える構成を説明する。
図12は本実施形態の変速制御装置56の構成を説明する図であり、図5で説明した変速制御装置50の構成と同様の構成については、同一の参照番号を付し、説明を省略する。
偏心制御部53は、第1実施形態で説明したように、偏心駆動部14の回転角と、揺動角検出部52の検出結果(揺動角)と、偏心量マップ600とを用いて、偏心機構(4〜13)の偏心量R1がゼロとなる偏心駆動部14のギヤニュートラル(GN)を決定する。GN学習制御の際に、偏心制御部53は偏心駆動部14の回転角と、揺動角検出部52の検出結果(揺動角)を記憶しておき、偏心量マップ600に格納されている理論値との差分によりバックラッシュ量を算出することが可能である。
そして、車両停止状態において、偏心制御部53は、偏心駆動部14の回転角をギヤニュートラル(GN)から回転させた待機状態にする。ギヤニュートラル(GN)からの偏心駆動部14の回転角(偏心量R1)の増加分が待機制御値である。
待機制御値を偏心機構4〜13のバックラッシュを相殺する分の回転角として設定すれば、車両停止状態から走行状態に移行する際、偏心機構(4〜13)のバックラッシュの影響を低減することができる。バックラッシュの検出については後に図16A−図16Bを参照して詳細に説明する。
本実施形態の変速制御装置56は操作入力判定部57を更に備える。操作部(ECONボタン)を介して燃料の消費を抑えるエンジン制御モードが選択された場合、操作部(ECONボタン)から操作入力判定部57にECONモードオン信号が入力される。
操作入力判定部57は、ECONモードオン信号の有無により、燃料の消費を抑えるエンジン制御モードが選択されたか否かを判定することが可能である。
以下の説明では、エンジン制御モードが選択された状態をECONモードオンとし、エンジン制御モードが選択されていない状態をECONモードオフとする。
操作入力判定部57は判定の結果を偏心制御部53に入力し、偏心制御部53は入力された操作入力判定部57の判定結果に応じて待機制御値の設定を切り替えて、偏心駆動部14の回転角を制御する。待機制御値の設定の切り替えについては、後に図14、図15を参照して説明する。
<待機制御値を設定しない場合>
待機制御値の設定および切り替えについて説明する前に、待機制御値を設定しない場合について説明する。この場合、偏心駆動部14は偏心制御ぶ53の制御によりギヤニュートラル(GN)を起点として回転する。
図13は、偏心駆動部14の回転角と、偏心量R1と出力軸トルクの関係を例示的に示す図である。車両停止状態において、偏心駆動部14はGN学習制御で学習したギヤニュートラル(GN)点に対応する回転角(偏心量R1=0)で待機している。
この状態で、アクセルペダル(AP)が踏まれて(APオン:時刻t0)、偏心量R1を徐々に大きくしていく際、偏心機構(4〜13)を構成するギヤにガタ(バックラッシュ)があるため、偏心駆動部14が回転しても、4節リンク上の実際の偏心量R1が大きくなるまでにはタイムラグ(ガタ詰領域)がある。時刻t0から時刻t1の範囲で、偏心量R1は増加しない。
バックラッシュが詰まり、時刻t1から4節リンク上の実際の偏心量R1がゼロから徐々に大きくなると、それにつれて一方向クラッチ17(OWC)の揺動リンク18の揺動角も大きくなる。図13において、時刻t1を超えると偏心量R1は増加していき、これに応じて出力軸トルクも増加する。時刻t2まで、出力軸トルクは車両(タイヤ)の静止摩擦力以下であるため、車両は動き出さない。
時刻t2で、車両(タイヤ)の静止摩擦力に打ち勝てるだけの出力軸トルクに相当する揺動角に到達し、出力軸トルクは車両(タイヤ)の静止摩擦力を超え、車両が動き出す。この時点でドライバ(運転者)は車両の発進駆動力を体感することができる。
アクセルペダルが踏まれてから偏心駆動部14を回転させて、偏心量R1を大きくしていき、ドライバが車両の発進駆動力を体感できるまでには、偏心機構のガタ(バックラッシュ)と、静止摩擦力の乗り越しという観点で発進時の応答性が低下する可能性がある。
車両停止状態において、偏心制御部53は、待機制御値として、偏心機構(4〜13)のガタ(バックラッシュ)を相殺する分だけ偏心駆動部14の回転角を回転させておくことで、バックラッシュによる応答性の低下を改善することができる。
また、車両停止状態において、偏心制御部53は、待機制御値として、バックラッシュ分に加えて静止摩擦力とつりあう出力軸トルクを出力するように偏心駆動部14の回転角を事前に回転させておくことも可能である。これにより、バックラッシュ及び静止摩擦力の乗り越しによる応答性の低下を改善することができる。
<バックラッシュの検出>
偏心駆動部14により偏心機構(4〜13)を駆動する際に、正方向に回転する場合と負方向に回転する場合では偏心機構(4〜13)を構成するギヤの片当たりにより生じるバックラッシュの方向は異なる。偏心機構(4〜13)のガタ(バックラッシュ)を相殺する分の待機制御値を設定するために、偏心制御部53は、GN学習制御の際に、偏心駆動部14の回転角と、揺動角検出部52の検出結果(揺動角)を内部メモリに記憶しておく。偏心量マップ600には、偏心制御部53からの制御値に対する偏心量(回転角)と揺動角の関係の理論値が格納されており、理論値と検出結果の差分を求めることによりバックラッシュを求めることができる。
図16Aは偏心量マップ600上におけるバックラッシュを例示的に示す図である。偏心量マップ600の縦軸は揺動リンク18の揺動角を示し、横軸は偏心駆動部14の回転角および偏心機構(4〜13)の偏心量R1を示す。偏心量R1は偏心駆動部14の回転角に対応するものである。図16Aにおいて、実線161は偏心量(回転角)と揺動角の理論値を示している。δは理論偏心量±バックラッシュ量を示している。
一点鎖線162は初期値PP1(負領域)からPP2点(正領域)に向けて偏心駆動部14を正方向に回転させた場合に生じるバックラッシュを加味した偏心量と揺動角の関係を示している。一点鎖線162で示される偏心量と揺動角の関係は理論値に対してバックラッシュ量が加算された値として検出される。
二点鎖線163はPP2点(正領域)からPP3点(負領域)に向けて偏心駆動部14を負方向に逆回転させた場合に生じるバックラッシュを加味した偏心量と揺動角の関係を示している。二点鎖線163で示される偏心量と揺動角の関係は理論値に対してバックラッシュ量が減算された値として検出される。
図16Bは偏心駆動部14が回転する場合の理論回転角と回転角の計測例を示す図である。図16Bにおいて、実線171は回転角の理論値を示している。
一点鎖線172は、図16Aに示したPP1点からPP2点へ向けて、偏心駆動部14が回転する場合の回転角を示し、理論値(実線171)に対してバックラッシュ量が加算された値として検出される。
二点鎖線173は、図16Aに示したPP2点からPP3点へ向けて、偏心駆動部14が逆方向に回転する場合の回転角を示し、理論値(実線171)に対してバックラッシュ量が減算された値として検出される。
GN学習制御のステップS82(図8)で、偏心制御部53は、正領域における揺動角と、負領域における揺動角とが同じ揺動角となる2つの回転角(偏心量R1)を探索する。このとき、偏心制御部53は、求めた2つの回転角(偏心量R1)について理論値との差分を求める。図16AのPP2に対応する回転角(偏心量R1)と理論値との差分を求めることにより、PP1点からPP2点に向けて偏心駆動部14を回転させたときのバックラッシュ量を求めることができる。このバックラッシュ量は、図16Bにおいて、理論値(実線171)と一点鎖線172との差分として示されるものである。
また、図16AのPP3に対応する回転角(偏心量R1)と理論値との差分を求めることにより、PP2点からPP3点に向けて偏心駆動部14を回転させたときのバックラッシュ量を求めることができる。このバックラッシュ量は、図16Bにおいて、理論値(実線171)と二点鎖線173との差分として示されるものである。
一点鎖線174は、図16Aに示したPP3点からPP4点へ向けて偏心駆動部14が回転する場合の回転角を示し、理論値(実線171)に対してバックラッシュ量が加算された値として検出される。PP4点に向けて偏心駆動部14を回転させると、バックラッシュが加算された分(BL)だけ理論値からずれることになる。
偏心制御部53は理論値に対する現在のバックラッシュ(BL)を求め、偏心駆動部14を回転させる方向に応じて待機制御値を設定する。例えば、PP4点から負方向に偏心駆動部14の回転角を進角させる場合、車両の停止状態おいて、偏心駆動部14の回転角をバックラッシュに対応する回転角だけ回転させておくことにより、図13に示したガタ詰領域の影響による応答遅れを改善することができる。
<待機制御値を設定する場合>
応答性の向上を図るため、本実施形態の偏心制御部53は、ECONモードオンの場合と、ECONモードオフの場合で、待機制御値の設定を切り替えて、偏心駆動部14の回転角の進角度合いを切り替える。
本実施形態の偏心制御部53による制御において、アクセルペダル(AP)オフ、ブレーキオフではギヤニュートラル(GN)とし、クリープレス設定を採用しているものとする。
偏心制御部53はシフトポジションを示すセレクタ信号を受信する。シフトポジションとしてDレンジが選択されたことを示すセレクタ信号と、ブレーキオフを示すブレーキ信号とが偏心制御部53に入力されると、偏心制御部53は、ギヤニュートラル(GN)からクリープしない程度の偏心量R1に対応する回転角まで偏心駆動部14を回転させる。
ECONモードオンの場合に、偏心制御部53は、偏心機構(4〜13)のガタ(バックラッシュ)分に対応した回転角(偏心量R1)を待機制御値として設定する。偏心制御部53は、ギヤニュートラル(GN)点から予め予測・測定されたガタ(バックラッシュ)に対応する回転角だけ偏心駆動部14を回転させる。ECONモードオンではエンジンロスが極小となる。
ECONモードオフの場合に、偏心制御部53は、ギヤニュートラル(GN)点から、車両の静止摩擦力に対応する駆動力を出力軸3側に加えるための回転角だけ偏心駆動部14を回転させる。すなわち、偏心制御部53は、バックラッシュ分に対応した回転角1(偏心量RR1)と上乗せ分の回転角2(加算偏心量r1)とを加算した回転角(=回転角1+回転角2)を待機制御値として設定する。加算した回転角(=回転角1+回転角2)は、偏心量R1(=RR1+r1)に対応する。
加算した回転角に応じて偏心駆動部14を回転させることにより、静止摩擦力を乗り越えるための応答遅れを低減することができるため、ECONモードオフではECONモードオンの場合に比べて更なる応答性を確保することができる。
<ECONモードオンの場合>
図14は、ECONモードオンの場合の偏心制御部53による偏心駆動部14の回転制御を説明する図である。
時刻T0でシフトポジションとしてDレンジが選択されたことを示すセレクタ信号と、ブレーキオフを示すブレーキ信号とが偏心制御部53に入力される。偏心制御部53は、ギヤニュートラル(GN)から偏心機構(4〜13)のバックラッシュに対応する回転角だけ偏心駆動部14を回転させる。このときの回転角は、クリープしない程度の回転角である。バックラッシュに対応する回転角がギヤニュートラル(GN)からの偏心駆動部14の回転角の増加分であり、待機制御値である。
図14では、偏心駆動部14の回転角は、時刻T0から増加し始めて時刻T1まで増加する。この間の回転により、偏心駆動部14のガタ(バックラッシュ)は詰められた状態になる。時刻T1からT2の間では、偏心駆動部14の回転角は待機制御値で維持される。
時刻T0からT2の間では偏心駆動部14の回転により、ガタ(バックラッシュ)分が吸収されただけであり、4節リンク上の実際の偏心量R1はゼロのままで変化しない。
時刻T2で、アクセルペダル(AP)が踏まれてAP開度が増加するとエンジン回転数も増加する。偏心制御部53は偏心駆動部14の回転角を待機制御値から更に回転させる。偏心駆動部14の回転に応じて偏心量R1も増加する。
時刻T2で、4節リンク上の実際の偏心量R1がゼロから徐々に大きくなると、それに応じて一方向クラッチ17(OWC)の揺動リンク18の揺動角も大きくなり、出力軸トルクも増加する。
時刻T3で、出力軸トルクが静止摩擦力を超えると、実車速はゼロから増加し始める。アクセルペダル(AP)が踏まれて実車速が増加するまでの時間は(T3−T2)となり、バックラッシュに対応する回転角だけ偏心駆動部14を回転させておくことで、図13の時刻t0〜t1間に相当するガタ詰領域分の応答遅れを改善することが可能になる。
<ECONモードオフの場合>
図15は、ECONモードオフの場合の偏心制御部53による偏心駆動部14の回転制御を説明する図である。
時刻T0でシフトポジションとしてDレンジが選択されたことを示すセレクタ信号と、ブレーキオフを示すブレーキ信号とが偏心制御部53に入力される。偏心制御部53は、ギヤニュートラル(GN)から偏心機構(4〜13)のバックラッシュに対応した回転角1(偏心量RR1)と上乗せ分の回転角2(加算偏心量r1)とを加算した回転角(=回転角1+回転角2)だけ偏心駆動部14を回転させる。ECONモードオフの場合では、加算した回転角(=回転角1+回転角2)が、ギヤニュートラル(GN)からの偏心駆動部14の回転角の増加分であり、待機制御値である。加算した回転角に対応する偏心量R1によれば、車両の静止摩擦力に打ち勝てないレベルの駆動力を常にかけることが可能である。
図15では、偏心駆動部14の回転角は、時刻T0から増加し始めて時刻Tr1まで増加する。この間の時刻T0からT1までの増加は偏心機構(4〜13)のバックラッシュに対応した回転角1に対応する。
時刻T1からTr1までの偏心駆動部14の回転角の増加は、上乗せ分の回転角2(加算偏心量r1)に対応するものである。ガタ詰め分を超えた回転角2の増加に応じて、時刻T1では偏心量R1も増加し始める。
4節リンク上の実際の偏心量R1がゼロから徐々に大きくなると、それにつれて一方向クラッチ17(OWC)の揺動リンク18の揺動角も大きくなり、出力軸トルクも増加する。
時刻Tr1からT2の間では、偏心駆動部14の回転角は待機制御値で維持され、偏心量R1も維持される。また、このときの出力軸トルクは静止摩擦力と同レベルの値で維持される。
時刻T2で、アクセルペダル(AP)が踏まれてAP開度が増加するとエンジン回転数も増加する。偏心制御部53は偏心駆動部14の回転角を待機制御値から更に回転させる。偏心駆動部14の回転に応じて偏心量R1も増加する。
時刻T2で、偏心量R1の増加に従い出力軸トルクも増加する。時刻T2の時点で、出力軸トルクは静止摩擦力と同レベルの値で維持されているため、更なる出力軸トルクの増加に応じて、実車速はゼロから増加し始める。
アクセルペダル(AP)が踏まれて実車速が増加するまでの時間は実質ゼロとなる。
車両の停止状態で、車両の静止摩擦力に対応する駆動力を出力軸3側に加えるための回転角(=回転角1+回転角2)だけ偏心駆動部14を回転させておくことで、図13の時刻t0〜t2間に相当する応答遅れを解消することが可能になる。
図15において、一点鎖線はECONモードオンの波形を示すものであり、ECONモードオフではECONモードオンの場合に比べて実車速の立ち上がりが早くなる。ECONモードオフではECONモードオンの場合に比べて更なる応答性を確保することができる。
本実施形態によれば、偏心機構のバックラッシュを加味してギヤニュートラルGN点から回転角を進角させる待機制御値の設定を行うことが可能になる。また、エンジン制御モードを選択するための操作部(ECONボタン)のオン・オフに応じて待機制御値の設定を切り替えることが可能になる。
本実施形態によれば、車両の発進時において、アクセルペダル(AP)オンからドライバが発進駆動力を体感できるまでの応答性(ドライバビリティ)の向上を図ることが可能になる。
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
本願は、2014年3月31日提出の日本国特許出願特願2014−073614を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。

Claims (6)

  1. 駆動源の回転軸に接続された入力軸(2)の回転を変速して出力軸(3)に伝達する無段変速機(1)が、
    前記入力軸(2)の軸線からの偏心量が可変である偏心機構(4〜13)と、
    前記入力軸(2)と共に回転する入力側支点(P3)と、
    前記出力軸(3)に接続されたワンウェイクラッチ(17)と、
    前記ワンウェイクラッチ(17)の揺動リンク(18)に設けられた出力側支点(P5)と、
    前記入力側支点(P3)および前記出力側支点(P5)の両端に接続されて、前記偏心機構(4〜13)の偏心量に応じて往復運動するコネクティングロッド(19)と、
    を備える無段変速機の変速制御装置であって、
    ゼロから±180°の間で回転して前記偏心機構(4〜13)の前記偏心量を調整可能な偏心駆動部(14)と、
    前記偏心量に応じて揺動する前記揺動リンク(18)の揺動角を検出可能な揺動角検出部(52)と、
    前記偏心駆動部(14)を第1方向へ回転することで前記揺動角が増大する正領域と、前記偏心駆動部(14)を前記第1方向とは逆の第2方向へ回転することで前記揺動角が増大する負領域とを有し、前記正領域および前記負領域で前記揺動角と前記偏心駆動部(14)の回転角とを対応づける偏心量マップ(600)を記憶した偏心量マップ記憶部(51)と、
    前記揺動角検出部(52)で検出された揺動角と前記偏心駆動部(14)の回転角度とを前記偏心量マップにあてはめ、前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角を決定し、前記回転角を用いて前記偏心駆動部(14)を制御する偏心制御部(53)と、を備え、
    前記偏心制御部(53)は、
    前記偏心駆動部(14)の初期値から前記偏心駆動部(14)を回転させた場合の揺動角の変化により、前記初期値が前記正領域および前記負領域のいずれかに含まれるか判定し、
    前記初期値が含まれる領域から他方の領域まで前記偏心駆動部(14)を回転させた際の第1の回転角(a)と前記揺動リンク(18)の揺動角(p)を取得し、
    前記他方の領域から前記初期値が含まれる領域まで前記偏心駆動部(14)を回転させた際に、前記揺動角(p)と等しい揺動角になる第2の回転角(b)を取得し、
    前記揺動角(p)と、前記第1の回転角(a)と、前記第2の回転角(b)とを前記偏心量マップ(600)にあてはめ、前記正領域と前記負領域の境界を前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角として決定する
    ことを特徴とする変速制御装置。
  2. 前記偏心制御部(53)は、
    前記無段変速機(1)が非駆動状態のときに、前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角度を決定することを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
  3. 前記偏心制御部(53)は、
    前記駆動源の起動時もしくは終了時に前記回転角を決定することを特徴する請求項2に記載の変速制御装置。
  4. 前記偏心量マップ(600)には、前記偏心制御部(53)の制御値に対する前記偏心駆動部(14)の回転角と前記揺動リンク(18)の揺動角との関係の理論値が格納されており、
    前記偏心制御部(53)は、
    前記第1方向および前記第2方向に前記偏心駆動部(14)を回転させた場合の回転角と揺動角の検出結果と、前記理論値との差分により、前記偏心機構(4〜13)のバックラッシュを算出し、
    前記偏心制御部(53)は、
    前記バックラッシュに対応する回転角として待機制御値を設定し、
    車両の停止状態において、前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角から前記待機制御値だけ前記偏心駆動部(14)を回転させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
  5. 操作部(ECON)からの入力に応じて前記駆動源の制御モードを判定する操作入力判定部(57)を更に備え、
    前記操作入力判定部(57)により、燃料の消費を抑えるエンジン制御モードが選択されたと判定された場合、前記偏心制御部(53)は前記待機制御値として前記バックラッシュに対応する回転角を設定し、
    前記操作入力判定部(57)により、前記エンジン制御モードが選択されていないと判定された場合、前記偏心制御部(53)は前記待機制御値として、車両の静止摩擦力に対応する駆動力を前記出力軸(3)側に加えるための回転角を設定し、
    前記車両の停止状態において、前記偏心制御部(53)は、前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角から前記待機制御値だけ前記偏心駆動部(14)を回転させる
    ことを特徴とする請求項4に記載の変速制御装置。
  6. 前記偏心制御部(53)は、前記第1の回転角(a)および前記第2の回転角(b)の中点を前記偏心量がゼロとなる前記偏心駆動部(14)の回転角として決定することを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
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