JP6131342B2 - 滅菌養殖水の製造方法およびこれを利用した流水式滅菌水魚類養殖方法 - Google Patents

滅菌養殖水の製造方法およびこれを利用した流水式滅菌水魚類養殖方法 Download PDF

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Description

本発明は、滅菌養殖水の製造方法と流水式滅菌水の魚類養殖方法に関するものであり、さらに詳しくは、淡水または海水を利用して、魚類を養殖するにあたり、淡水または海水を電気分解処理などでオキシダント(Oxidant)を生成させ、病原性ウイルス、細菌、および寄生虫を死滅して有害成分が飲用水基準以下の含量に生成された滅菌養殖水を製造し、これを利用して魚類を養殖するにあたり、滅菌養殖水を中和処理により魚類に有害な残留オキシダント(ResidualOxidant)を除去した後、これを魚類の養殖水として使用することにより、抗生剤およびワクチンを使用せずとも、様々な病原性微生物による魚類の斃死率を最小化にできる新しい概念の滅菌水養殖システム(Sterile Aquaculture System;SAS)が適用される新しい流水式滅菌水魚類養殖方法に関するものである。
魚類の養殖方法は、川や海に一定の大きさの網目を設置して養殖する区画式、池などを塞いで養殖する止水式、淡水または海水を陸上水槽にポンピング(Pumping)して、1日数十回、新しい水に交換しながら養殖する陸上水槽式、1日の新しい水の交換率を10%程度と非常に少なくしながら、水槽内の養殖水をドラムフィルター(DrumFilter)とバイオフィルター(Biofilter)を通過させ浄化してから、再び水槽に供給する循環ろ過式(RAS)、残存飼料および養殖魚類が分泌する代謝産物に自家栄養細菌と他家栄養細菌を同時に増殖させながら分解して利用するバイオフロック式(Biofloc)などがある。
一方、海は陸から流れてくる様々な汚染物のため、富栄養化が急速に進められてきて、これにより、様々なウイルス、病原性細菌や寄生虫などが繁殖して近海の養殖環境は酷く悪化して、養殖魚類の斃死は増え続いている。統計によって多少の差はあるが、稚魚から販売まで概ねの水量斃死率は50%以上、重量斃死率は40%以上を示しており、漁業者の苦痛は言葉で形容できないほどである。
これを解決するために、汚染された海水と完全に遮断された人為的な清浄海水でのみ養殖するために開発された方式が、前記の「循環ろ過式」と「バイオフロック式」である。しかし、このような方法は、アンモニア窒素、亜硝酸性窒素および寄生虫等にさほど敏感ではないテラピア、ウナギ、コイ類、サモン類、エビなどのいくつかの魚種には可能だが、清浄海域でよく育つ大半の魚種には危険性が高く、高価の施設費と維持費がかかると言う大きな欠点があり、新水交換率が低いため、各種原生生物が繁殖するのに良好な条件となり、大量斃死の危険性が常に存在する。
したがって、20〜30年前から淡水または海水を、オゾン(Ozone)または電気分解(electrolysis)によりオキシダント(Oxidant)物質を生成させ、水の中のウイルス、細菌および寄生虫を死滅させた後、オキシダントを活性炭(ActivatedCarbon)(例えば、Cabot corporation Norit GCN 830)などで除去した後、養殖水として使用する研究が活発に進んできたが、(特許文献1)、これは多くの水量が要求(中小型養魚場で水面積5000mの場合、60トン/minの水量が必要)される養魚場には実用化されずに、食品産業の飲用水(コーラなど)の製造に利用されるレベルである。
さらに、養殖水(海水及び淡水)には、塩化ナトリウム(NaCl)と臭化ナトリウム(NaBr)などの数種の塩類が含まれているが、これらの養殖水は、電気分解した場合、数種のオキシダント物質(Total Residual Oxidant、TRO)が生成され、例えば、以下の反応式1に列挙したような様々な電気分解反応が起こり得る。
(反応式1)
NaCl→Na+Cl
2Cl→Cl+2e
Cl+HO→HCl+HOCl
HOCl→H+OCl
O→H+OH
Na+OH→NaOH
Cl+2NaOH→NaOCl+NaCl+H
HOCl+Br→HOBr+Cl
HOBr→H+OBr
また、オゾン発生器およびオゾン溶解装置により、海水と淡水にオゾン(ozone)を溶解したときに生成される各種オキシダント物質は、下記の反応式2に挙げるような様々な反応が起こり得る。
(反応式2)
溶解されたO→O+O
NaBr+O→NaOBr+O
NaCl+O→NaOCl+O
NH+HOBr→NHBr+H
NHBr+HOBr→NHBr+H
NHBr+HOBr→NBr+H
淡水または海水において、電気分解やオゾン供給器を利用して生成された上記のようなオキシダント物質は、病原性ウイルス、細菌および寄生虫を死滅するためには、濃度0.8ppm(0.8mg/L)以上、所要時間1分以上であれば十分であると様々な文献で報告されている(非特許文献1〜3)。また、亜硫酸ナトリウムとチオ硫酸ナトリウムによりオゾンから発生したオキシダント(Oxidant)を中和させて除去することができるが、このような方法は、小型養魚場用やBatch式のみ可能であり、流水式連続式には中和の難しさのため不可能であると知られている(「13.2海水オゾン処理の基礎知識」、オゾン利用の新技術、日本サンユー書房発行、p593)。
また、特許文献2では、海水を電気分解して得られた酸性水とアルカリ水の希釈液をそれぞれ含む、魚病の病原性細菌の殺菌液を製造する方法と、これを利用した後にそれを中和させるための方法として、このような殺菌液を化学量論的の体積比で互いに混合して中和させる方法が提案されている。しかし、これは魚病殺菌のために、養殖水に使用される細菌殺菌液であり、養殖水を持続的に処理する流水式養殖方法に適用することはできない技術である。
特許文献3は、海水殺菌処理方法に関するもので、海水を電位差および電気分解で殺菌処理するステップ及び前記処理された海水を二酸化塩素処理器に通過させて処理する段階を経て殺菌処理する装置と、これを過酸化水素で中和処理する技術が提案されている。しかし、この発明は、魚類に毒性の強い二酸化塩素処理とオキシダント濃度による魚類の毒性問題が具体的に議論されておらず、屋外のエビ養殖場への応用を試みたもので、総残留オキシダント(TRO)の測定において、0.5mg/L(0.5ppm)以上においてのみ分析可能な化学的分析法を使用したことから、オキシダントを0.5ppm以下に除去できない技術であり、魚類を養殖できる最小限の濃度である0.06ppm以下までオキシダントを除去できないため、養殖産業への適用は不可能である。特に、中和処理に使用される過酸化水素は、他の補助的な中和手段とともに適用しても、中和処理に非常に長い時間が必要となり流水式養殖方法には適用できない問題がある。
また、特許文献4では、海水を電気分解してバラスト水を殺菌処理した後、一定時間バラスト水タンクに保存してから中和して排出する技術が提案されているが、この発明は、養殖水への適用が不可能な船舶バラスト水における微生物除去のための技術に過ぎず、魚類養殖に必要な滅菌レベルの魚類養殖方法としては適用が不可能である。特に、ここでの中和処理は、船舶バラスト水を排出する場合、生物が死滅せずに生存する限界線まで中和するものであるため滅菌水としてみなすこともできなく、魚類に適用することは不可能である。
一方、魚類に病気を引き起こす各種ウイルス、細菌およびスクーチカのような寄生虫を死滅するためには、オキシダント濃度が0.8ppmの場合は1分以上処理すると99.9%以上死滅し、0.5ppmで5分以上処理しても、ほぼ同様の殺菌効果を示すと報告されている。
また、オキシダントに対する魚類の安定性において、総残留オキシダント(TotalResidual Oxidant、TRO)0.03ppmにおいてマダイは50分、黒鯛は0.04ppmで10分で死に至り、ニジマスのTRO LC50(50%が斃死する濃度)は、0.008ppmであると紹介しており、魚類が総残留オキシダントに対して非常に危険であることを警告している。さらに、韓国で最も多く養殖しているヒラメの場合は、0.01〜0.04ppm(mg/L)にて毒性があると開示しており、魚類を安全に養殖するためには総残留オキシダントが0.003ppm(mg/L)以下でなければならないと記述されてある[非特許文献3]。
したがって、病原性微生物が電気分解またはオゾン供給器により生成させた総残留オキシダントが0.8ppm程度の低い濃度において短い時間で完全に死滅することはできるが、魚類に対する毒性が強いため養殖水には使用することができなかった。その理由は、オキシダントを利用して、滅菌後に、その残留オキシダントの除去に関する技術がまともに実現されていなかったからである。
このようなオキシダント除去技術に関連して、これまで知られている活性炭ろ過装置(Activated Carbon Filter)は、1日1〜20回の新水交換に多くの水量がかかる魚類養殖場に適用される養殖水について、前記に挙げた各種オキシダントを、魚類が増殖するのに十分な0.003ppm以下まで除去するには、大層な処理能力と面積が必要となるため、産業化できず、オキシダントを0.01ppmまでは除去し、食品産業と一部小規模の種苗場のようなところで使用されてきた。
これに関連して、非特許文献4では、オキシダント0.07〜0.09ppm(mg/L)にて活魚貝類を短時間処理したとき、えら12時間後、表皮24時間後、内蔵36時間後に、ビブリオ(Vibrio)菌が検出されず、1週間露出したとき、斃死しなかったため、活魚店において消費者に販売する前にビブリオ菌などを死滅させる用途としての活用可能性を示唆しているが、養殖場で長期間養殖水を注入することは絶対に不可能であり、魚介類が斃死する場合があり、実用化していない。
このように、従来の魚類養殖方法の場合、滅菌方法で養殖水を持続的に供給する流水式養殖方法が適用されず、止むを得ず各種抗生物質やワクチンを使用したり、さらには40〜50%の斃死を甘受しつつ養殖をしているのが実情であり、魚種に応じて、循環ろ過式(RAS)、バイオフロック式(BioFloc式)で斃死率を下げる努力を続けている程度である。したがって養魚産業で、より効率的で、経済的な新しい魚類養殖システムの開発が切実な実情である。
一方、このような魚類の養殖方法において適用される滅菌養殖水の製造時に、電気分解装置またはオゾンで淡水や海水を殺菌する場合、淡水および海水中に存在するNaClとNaBrにより陽極からO、Cl、Br、O、OHラジカルのTRO(Total Residual Oxidant)が最初に発生した後、これらの物質が2次的にNaOCl、ClO、NaOBr、HOCl、HOBrなどを生成し、これらの物質が淡水及び海水に存在する各種の有機物質と反応をしてTHMs、HAAs、HANsなどを生成し、OHラジカルが一瞬生成され消失される過程でCOを生成させ、オゾン(Ozone)ORP(Oxidation Reduction Potential)以上の電位差(Potential)でオゾンが発生した後、または電解槽内で過電流または過電圧が発生した時にBrO3−(Bromate)が発生するという主張が提起されている。
また、電気分解方式で養殖水を滅菌して病原性微生物のない養殖水を製造することはできたが、魚類に対して安全な範囲までオキシダント(Oxidant)を除去する技術と滅菌された養殖水の中に副産物(by−product)として生成される、人体及び魚類有害物質を飲用水基準以下に含有するように、滅菌養殖水を製造するのは高コストがかかり、養殖用としては実用化されず、船舶のバラスト水を殺菌処理してIMO(国際海事機関)に承認される基準内で海洋に排出することで、多量の海水と迅速に希釈されるようにして、海に生息している魚類に被害を与えないバラスト水殺菌処理用の技術として活用されているだけである。
このように、養殖水を電気分解で滅菌して養殖する滅菌水養殖方法は、未だまともに実用化されておらず、その理由は、電気分解して殺菌した後、活性炭(Activated Carbon)によりTRO物質を除去する方法が知られている程度なので、その製造方法上、小規模の種苗場または研究用などに活用している状況である。
韓国登録特許第1264260号 韓国特許公開第2004−19772号 韓国特許公開第2010−59089号 韓国特許登録第10−1064911号
SUISANZOSHOKU, 49(2), 237-241(2001) NipponSuisan Gakkaishi, 67(2), 222-225(2001) 水産増殖、第44巻第4号, 457-463(1996-H8) 韓国水産学会誌、46(5), 534-539(2013)
本発明では、魚類の養殖水を供給するシステムで抗生物質とワクチンを使用しなくても、様々な病原性微生物による魚類の斃死率を最小限にすることができる養殖水処理方式であって、オゾンまたは電気分解方式で生成されたオキシダントを活用して、有害物質が飲用水基準以下に含有される無菌の養殖水を製造する方法を開発することを解決課題とする。
また、前記無害性滅菌養殖水を流水式で継続的に供給しながらも、従来の循環ろ過式(RAS)やバイオフロック式(Biofloc)と比較して、低コスト及び高効率の新しい魚類養殖方法とそのシステムの提供を解決の課題とする。
本発明者らは、養殖水にオキシダント(oxidant)を生成させ、魚類有害菌を殺菌するが、養殖水に残っているオキシダントを特定中和処理方法を使用してオキシダントを除去すると、養殖水内に0.06ppm(mg/L)以下、好ましくは0.01ppm以下、さらに好ましくは0.003ppm以下にオキシダントが残留することになるため、魚類に安全な状態の滅菌養殖水を流水式で養殖システムに適用することができるということが分かり、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の目的は、養殖水を電気分解方法により滅菌処理する滅菌養殖水の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、養殖水をオキシダントで殺菌した後、中和剤(Neutralizer)でオキシダントを除去して、魚類に安全な養殖水を流水式に供給できる滅菌水の魚類養殖方法を提供することにある。
また、本発明のまた他の目的は、非常に経済的、かつ、効率的に養殖水を処理しながら、環境に優しくも大規模魚類養殖を可能にする新概念の流水式滅菌水魚類養殖の方法を提供することにある。
また、本発明のまた別の目的は、新しい養魚システムとして流水式魚類の養殖用滅菌養殖システム(Sterile Aquaculture System;SAS)を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、チタン(Titanium)またはニオビウム(Niobium)を基質金属とし、これにルテニウム(Ruthenium)、イリジウム(Iridium)、タンタル(Tantalum)および白金(Platinum)の中から選択された金属またはそれらの酸化物の中から選択された金属が0.1〜30μmコーティングされたことを陽極として使用して海水及び淡水を電気分解するが、電圧を2.51〜4.4V(Volt)に調整して臭素酸塩(Bromate)が10ppb以下に生成されるようにする電気分解方法を利用した滅菌養殖水の製造方法を提供する。
また、本発明は(a)淡水または海水を採水して養殖水として供給する養殖水の供給段階;(b)供給された養殖水内で、前記のような電気分解の方法を適用してオキシダント(oxidant)を生成させるオキシダント生成段階;(c)養殖水が連続して流れる状態で、養殖水内でオキシダント(oxidant)が残留しつつ養殖水内の魚類有害菌を殺菌する殺菌処理段階;(d)養殖水が連続して流れる状態で、前記殺菌処理された養殖水に中和剤を投入して養殖水内の残留オキシダントが0.06ppm以下になるようにオキシダントを除去する中和処理段階;(e)前記殺菌処理および中和処理された滅菌養殖水を魚類の養殖水槽に供給する滅菌養殖水の供給段階;及び(f)前記の養殖水槽から魚類養殖に使用された養殖廃水を排出する養殖廃水排出段階;を含むことをを特徴とする流水式滅菌水魚類養殖方法を提供する。
また、本発明は、淡水または海水を採水して養殖水として供給する養殖水供給部;オキシダントの生成手段を備え、供給された養殖水にて前記電気分解方法でオキシダントを生成させるオキシダント生成部、オキシダントが生成された養殖水が供給され移動する間、養殖水内でオキシダントが残留しながら養殖水内の魚類有害菌を殺菌するようにする養殖水数移動チャンバーを含む殺菌処理部;殺菌処理された養殖水の移動中に中和剤を投入する中和剤投入部を有し、中和剤が投入された養殖水が移動しつつ、養殖水内の残留オキシダントが中和によって0.06ppm以下まで除去されるようにする養殖水移動チャンバーを含む中和処理部;殺菌処理および中和処理された滅菌養殖水を養殖水槽に供給する滅菌養殖水供給部;及び養殖水槽から使用済の養殖廃水を排出する養殖廃水排出部;を含むことを特徴とする流水式滅菌水魚類養殖システムを提供する。
また、本発明は、(a)淡水または海水を採水して養殖水として供給する養殖水の供給段階;
(b)供給された養殖水内でオキシダントを生成させるオキシダント生成段階;
(c)養殖水が連続的に流れる状態で、養殖水内でオキシダントが残留しながら養殖水内の魚類有害菌を殺菌する殺菌処理段階;
(d)養殖水が連続的に流れる状態で、前記殺菌処理された養殖水に中和剤を投入して、養殖水内の残留オキシダントが0.01ppm以下になるようにオキシダントを除去する中和処理段階;
(e)前記殺菌処理および中和処理された滅菌養殖水を魚類の養殖水槽に供給する滅菌養殖水供給段階;及び
(f)前記養殖水槽から魚類養殖に使用された養殖廃水を排出するための養殖廃水排出段階;を含み、
前記(c)と(d)段階は、2〜8個に区画されているチャンバーで行われ、養殖水は区画されたチャンバー内に導入(引入)、またはポンピング(pumping)され、一方向に流れながら、区画された各々のチャンバーにおいて順次(c)段階の殺菌処理と(d)段階の中和処理とが行われる。このとき、各チャンバーは、下端部が所定の幅で開放された隔壁と、上端部が所定の幅で段を成すように形成された隔壁とが交互に配置され、上端部から下端部に養殖水が移動して、下端部から流入した養殖水が再び上端部に移動し、上端部でオーバーフローされ流入し、再び下端部に移動する方式で構成され、養殖水が連続して上下に上り下りしながら移動する流水(water flow)方式で導入(引入)、またはポンピング(pumping)される構造を有することを特徴とする流水式滅菌水の魚類養殖方法を含む。
本発明は、養殖水を特定条件の電気分解を利用して、低コスト、高効率な方法で殺菌処理した後、中和剤自体も魚類に安全で、中和処理後に生成される物質も魚類に安全な中和剤を使用する中和処理方法でオキシダントの有害性を解消することにより養殖水滅菌処理を効率的に可能にして、連続的な滅菌処理ができる効果がある。
すなわち、本発明は、養殖水内の格種病原性微生物を死滅した後、魚類に有害な残留オキシダント物質を0.06ppm以下、好ましくは0.01ppm以下、さらに好ましくは0.003ppm以下にほぼ完全に除去して、滅菌された養殖水である滅菌水を、養殖水槽に持続的に供給することにより、各種病原性微生物などの魚類有害菌による斃死を画期的に減らすことができる実用性の高い技術である。
本発明により養殖方法と滅菌養殖システムは、抗生物質を全く与えてない方法で養殖魚類を大量生産することが可能であるため、養殖魚が健康食材として定着させることができる。また、養殖魚類の消費拡大により養殖産業の所得増大に大きく貢献するだけでなく、台風、病原性微生物の拡散などの自然災害の影響を受けずに経済的、かつ、環境に優しく魚類の養殖を可能にして、新しい養殖産業時代を切り開いていくことができることが期待される。
特に、本発明において、電気分解方法の条件は、特定の電圧範囲で実施して滅菌養殖水を製造できるため、臭素酸塩などの人体に有害な物質を最小限に抑えることができるため、より人体に安全で斃死率がほとんどない養殖システムの適用が可能という効果がある。
図1は、本発明による流水式滅菌水の養殖方法を工程図で例示した図である。 図2は、本発明による魚類養殖のための流水式滅菌養殖システムの一実施例であり、殺菌処理部と中和処理部が多数のチャンバーで構成されたこと含む、典型的な滅菌水魚類養殖システムの例を概略的に示した図である。 図3a、3bは、本発明による滅菌養殖システムにおける主要部位である殺菌処理部及び中和処理部の構成を一つの具体的実施例として例示した図であり、図3aは殺菌処理部と中和処理部を構成する8つのチャンバーとそのチャンバーを移動する養殖水移動経路を矢印で示しており、図3bは、殺菌処理部と中和処理部を構成する8つのチャンバーの平面構造を図式的に表した図である。
以下、本発明を一つの実施例として、より詳細に説明する。
本発明は、多量の養殖水を連続的に供給しながら殺菌処理及び中和処理し、魚類養殖水槽を経てから供給された養殖水の全量を連続的に排出するようにする、新しい概念の滅菌養殖システム(SAS)を適用する流水式滅菌水の魚類養殖方法に関するものである。このような本発明に係る流水式魚類養殖方法は、本質的に魚類の滅菌養殖システムに適用されるものであって、このような本発明による流水式滅菌水魚類養殖方法は、図1に示すような工程図を以て説明することができる。
本発明は、養殖水供給段階、オキシダント生成段階、殺菌処理段階、中和処理段階、滅菌養殖水供給段階、養殖水排出段階が連続的に行われるように構成できる流水式の滅菌水魚類養殖方法を特徴とする。
本発明で養殖水の供給段階(a)は、淡水または海水を採水して養殖水として供給する段階である。
この段階(a)では、淡水が継続的に供給可能なところから淡水を継続的に採水したり、海から海水を継続的に採水して、ポンピング(Pumping)または自然流水によって養殖水として供給する段階である。本発明の好ましい実施例によると、湖や海などから長いパイプなどを利用して養殖水を採水することができ、これをポンプなどを利用して養殖水として採水することができる。このように採水された養殖水には、さまざまな魚類有害菌が含まれており、そのまま養殖水として適用すると、40〜50%の養殖魚斃死が発生する。したがって、このような初期養殖水に含有された各種魚類有害菌を滅菌処理するためには、滅菌処理環境を組成するように、次の段階であるオキシダント生成段階(b)へ送られる。
前記(b)段階は、供給された養殖水内でオキシダントを生成する段階であり、ここで、養殖水でオキシダントを生成させるための手段としては、電気分解(electrolysis)を利用してオキシダントを生成する。
本発明において「オキシダント(oxidant)」とは、ウイルス、細菌、寄生虫など、病原性微生物を死滅させられる機能を有する物質を総称するもので、本発明にとると、オキシダントは、例えば、NaOBr、NaOCl、NaClO、HOCl、HClO、HOBr、Cl、Br、ヒドロキシルラジカル、O、NHBr、NHBr、NBrなどを挙げることができる。ところが、淡水または海水の養殖水を電気分解処理すると、初期養殖水の水質によって、約5〜20種の多様な殺菌性物質が生成され、これら物質の中で酸化性物質が多く生成されるため、本発明ではこのような殺菌性物質を総称してオキシダント(Oxidant)と呼ぶ。
したがって、このような養殖水から生成されるオキシダントは、単なる通常の酸化剤と断定することはできず、活性が高く不安全な物質であり、大気中に長時間放置すると相当の量が消失され、完全に分離および定量化することができない殺菌性物質と言える。
本発明によると、養殖水は電気分解により生成されるオキシダント(TRO、Total Residual Oxidant)を使用する。
本発明によれば、このようなオキシダント生成のために、電気分解方法で適用するにおいて、特定条件により電気分解を行うことに特徴がある。本発明において、電気分解方法を用いて滅菌水を製造することは非常に重要な意味を持つ。
本発明による電気分解方法を用いた滅菌水の製造方法を具体的に説明すると、次の通りである。
一般に、魚類養殖のために海水や淡水を電気分解してオキシダントを生成し、このようなオキシダントを利用して滅菌された養殖水が製造できる。これに関連して、ヒトにおける発がん性があり、魚類に有害な成分として知られている、THMs、HANs、HAAs、Bromate、COなどを少なく生成する方法に関しては、Aquaculture264(2007)119-129において、1.8〜2.5V 2L/minの流速で養殖水を電気分解すると、0.5〜3.0ppm(mg/L)のTROが生成され、養殖水を十分に滅菌することができ、飲用水の基準以下にTHMs、HANs、HAAsなどが生成されるため、安全に養殖ができると言う実験室レベルの研究がある。しかし、ヒトに対する発がん性物質として知られている臭素酸塩(Bromate)が飲用水の基準以下に生成されることに関する報告はない。
本発明の好ましい実施例による滅菌水の製造方法は、このような臭素酸塩を含む有害物質を、飲用水の基準以下で含有する滅菌水として製造する方法である。
電気分解による滅菌水に含まれるトリハロメタン(THMs)には、トリクロロメタン、ジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、トリブロモクロロメタン、1,2,3−トリクロロプロパン、1,2−ジクロロエタンなどが知られており、ハロゲン化アセトニトリル(HANs)には、モノクロロアセトニトリル、モノブロモアセトニトリル、トリクロロアセトニトリル、ジクロロアセトニトリル、ブロモクロロアセトニトリル、ジブロモアセトニトリル、トリブロモアセトニトリル、ブロモジクロロアセトニトリル、ジブロモクロロアセトニトリルなどが知られ、ハロゲン化酢酸(HAAs)には、モノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸、ジクロロ酢酸、ダラポン、トリクロロ酢酸、ブロモクロロ酢酸、ジブロモ酢酸、ブロモジクロロ酢酸、クロロジブロモ酢酸、トリブロモ酢酸などが知られており、他の物質としてクロルピクリンなどがある。
ところで、電気分解で海水および淡水を殺菌処理したとき、THMs、HAAs、HANsを少なく発生させる技術に関連して、Journal of EnvironmentalProtection 2010. 01, 456-465では、海水を電気分解で処理した場合、生成されるオキシダント成分の一つであるNaOClを以て残留塩素濃度(ResidualChlorine)を1〜4ppmになるように濃度を調節し、時間経過によるTHMs中、トリクロロメタン(chloroform)、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、トリブロモメタン(Bromoform)などの生成濃度が変わるのを提示し、一方、電気分解で海水を殺菌するとき、人体及び魚類に対する有害物質生成量の生成量の濃度に関しては、Journalof the Korean Society for Marine Environment and Energy、Vol.16 No 2, 88-101、May 2013によると、船舶バラスト水を電気分解により殺菌して排出する際に、副生する各種魚類有害物質の排出濃度は下記の表1の通り分析される。
本発明では、海水および淡水を電気分解槽に流入させながら、滅菌養殖水を製造できる方法として、殺菌可能な濃度である0.1〜7ppmのTRO濃度になるようにする条件を維持すると共に、前記表1から確認できる臭素酸塩(bromate)の生成が過多であることによる問題点を解決するための方案として、電気分解方法の条件を新たに見出した。
本発明によると、養殖水の殺菌のための電気分解装置は、一般的に2.5V以下で電気分解して養殖水を殺菌する方が有害物質の生成が少ないが、2.5V以下では、陽極と陰極の極板に流れる電流密度が低すぎて、電解槽が実用化できないほどかなり大きくなるため、経済性が低いだけでなく、通常の養殖水面積5000mを基準に約3600m/hの多量の水量を供給する水量に対して、0.1〜7ppmのTRO濃度、好ましくは0.5〜3.0ppmのTROで滅菌することは不可能である。
したがって、本発明によると、海水及び淡水中の臭素酸ナトリウム(NaBr)の含有量に応じて、2.5〜4.4Vで電気分解を実施することが好ましく、さらに好ましくは、3.0〜4.2Vで電気分解して、養殖水を殺菌することが、臭素酸塩(Bromate)を飲用水の基準以下に生成しながら斃死率を最小化できる望ましい電気分解条件である。
本発明によれば、海水に対して3.5Vの条件で電気分解処理し、オキシダント含有量を1ppmのTROに生成させて殺菌した後、その滅菌養殖水に含まれる成分を分析した結果は、以下の表2の通り表す。
本発明の好ましい実施例によると、電気分解のための電極は、チタン(Titanium)またはニオブ(Niobium)を基質金属とし、陽極の場合は、これにルテニウム(Ruthenium)、イリジウム(Iridium)、タンタル(Tantalum)および白金(Platinum)の中から選択した金属またはそれらの酸化物の中から選択した金属が0.1μm〜30μmコーティングされたものを使用して海水および淡水を電気分解することが望ましい。
特に、本発明の好ましい実施例によると、電気分解時に電圧を2.51〜4.4Vで調整することが望ましく、そうすると、臭素酸塩(Bromate)が10ppb以下に生成される。電気分解時に電圧が2.51V未満だと、オキシダントの生成量が低すぎて殺菌効果が低下して非経済的で実用化が不可能であり、4.4Vを超えると、滅菌水の内に臭素酸塩の含有量が基準値以上に含有されて望ましくない。
したがって、本発明は前記のような条件で電気分解方法を利用して、臭素酸塩(Bromate)が基準値以下の含有量で生成されるようにする滅菌水の製造方法を含む。
本発明によれば、オキシダントをオゾン発生器などによるオゾン発生から生成されるオキシダントを使用することができ、オゾンを用いても滅菌水を製造することができる。
また、本発明は前記のような電気分解方法で製造された滅菌水を利用して、流水式で魚類を養殖する方法を含む。
本発明の好ましい実施例によると、オキシダントの生成段階では養殖水内に総残留オキシダント(Total Residual oxidant、TRO)の量を基準に、0.1〜7.0ppmになるようにオキシダントを生成させることが望ましい。オキシダントの生成段階では、このようなオキシダントの生成によって養殖水内の各種魚類有害菌を殺菌処理できる環境を造成することである。養殖水内の総残留オキシダントが0.1ppm未満の場合、魚類有害菌であるウイルス、細菌および寄生虫などの様々な病原性微生物を死滅することが難しく、7.0ppmを超える場合、後に中和処理によってオキシダントを除去する過程で、多額の費用がかかる問題および魚類に有害な様々な物質(例えば、トリハロメタン.ハロゲン化アセトニトリル、ハロゲン化酢酸など)が生成され得るため、前記の範囲内にオキシダントを生成することが望ましい。このようなオキシダントの残留量は、採水される養殖水の水質と魚類の種及び養殖環境などを考慮して、前記の範囲内で適切に調節することができ、採水する養殖水のすべてに対して0.1ppm〜7.0ppmの濃度で生成させることもでき、採水量の一部の量に1.0ppm〜700ppmの高濃度で発生させ、全体の養殖水に対して0.1ppm〜7.0ppmになるように希釈して滅菌環境を造成することもできる。
次に、オキシダントが生成された養殖水は、殺菌処理段階(c)に送られる。
前記(c)段階は、養殖水内において、オキシダントが流水しながら養殖水内の魚類有害菌を殺菌する殺菌処理段階である。この段階では、殺菌水槽の地面との高さの差分だけ養殖水が下に流れたり、上方に上る間、養殖水中に含有された魚類有害菌にオキシダントが接触または結合して殺菌が行われる。このとき、養殖水は、殺菌処理中でも継続的に次の段階に移動しながら流水(water flow)の状態を維持することになる。
本発明で「魚類有害菌」と言うのは、ウイルス、細菌および寄生虫、病原性微生物など、稚魚から成魚に至るまで、様々な魚類の病気に直接的または間接的に影響を与える格種病原性細菌や微生物全部を含むことを意味する。
一般に、養殖水の殺菌処理方法において、各種病原性ウイルス、細菌、および寄生虫などの魚類有害菌を死滅するための方法として、養殖水を養魚場の水槽に注水する前に紫外線(Ultra Violet。UV)を照射をして、養殖水を供給する方法も検討されたが、1日1〜24回も新水を交換する養殖場の場合は、養殖水槽面積4960m(1500坪)を基準に、毎分約60トン(3600ton/hour)の驚異的な水量を処理することは、施設費と管理費が極めて高くかかり、非常に非経済的で実用化が難しいだけではなく、養殖水に浮遊物または懸濁物質が多い場合には、紫外線が水の中まで照射されないため、殺菌効果が著しく低下する大きい欠点があり、小規模の培養場や一部循環ろ過式は使用できるが、ほとんどの養魚場では使用ができない。
しかし、本発明による前記のような殺菌処理段階では、望ましくも養殖水内に殺菌性物質であるオキシダントが含まれているので、直ちに魚類有害菌と接触させて魚類有害菌を死滅させるメカニズムを採用しているため、養殖水に含有された浮遊物質よる殺菌減少効果もほとんどなく、施設費および維持費も紫外線殺菌に比べて安価であり、特に養殖水の中に残留するオキシダントは0.5〜1ppm程度の非常に低い濃度でも十分な殺菌および殺虫効果を示すため、魚類の有害菌を死滅する効果が非常に優れたものである。
ただ、このような魚類有害菌を滅菌するために養殖水に残留しているオキシダントは、魚類有害菌を殺す以外に、養殖する魚介類も斃死させる原因物質となるので、殺菌処理段階以後に、このような残留オキシダントを除去せずに養殖水として使用するこのは不可である。したがって残留オキシダントの除去のための中和処理段階を必ず経た後、滅菌養殖水として魚類が養殖される養殖水槽に供給すべきである。
一方、本発明によると、殺菌処理段階またはそれ以後の段階で適切なオキシダントの残留程度を測定するために総残留オキシダント(TRO)を測定することができる。一般的に知られているオキシダント測定方法は、化学的方法とDPD(N,N-ジエチル−p−フェニレンジアミン)や、トリジン(o−tolidine)などの発色試薬と電極を利用して、機器で測定する物性的な測定法が用いられる。
化学的な測定法の一例として、試料約50mlに1Nの硫酸を加えてpH6に調整した後、1%KI溶液5mlを添加する。その後、1%でん粉溶液の数滴を加え青色を発色した後、0.001Nのチオ硫酸ナトリウム溶液で青色がなくなることを終末点として滴定する。総残留オキシダント濃度は、以下の式(1)に基づいて、計算する。
(数式1)
総残留オキシダント(ppm=mg/L)=aF×1000/X×0.024(0.03456)
(ここで、前記数式において、
a:滴定量(ml)
F:0.001Nチオ硫酸ナトリウム溶液の換算係数
X:海水試料(ml)
0.024:0.001Nチオ硫酸ナトリウム溶液に対するオゾン(O)量
0.03546:0.001Nチオ硫酸ナトリウム溶液に対するCl量
(Clで示す場合には、2乗する)である。)
ただし、オキシダント残留量の測定過程で、前記のような化学的測定方法を利用する場合には、オキシダント濃度が0.5ppm以下で低い場合には、測定は容易にできない。
オキシダントの残留量の測定のための発色測定法には、例えば、携帯用機器として、HACH Pocket ColorimeterIIが用いられる。これは、オキシダントの濃度が0.02ppm以上の場合のみに測定可能である。電気分解により発生した総残留オキシダント(Total Residual Oxidant、TRO)を測定し、換算係数(Factor)0.68(O48/Cl71)を乗じて用いることもある。
また、別の例として、精密用機器も使えられるが、例えば、AW400(ResidualChlorine monitor、ABB Limited(USA))、Mico2000(SIEMENS)機器などが使えられる。これは、感度が0.001ppmであり、この試験装置は、総残留塩素のオキシダント夫々と、総残留オゾンを測定する装置であるため、その分析値の合計をTRO分析値として理解すればよいが、海水では誤差の発生が多いと言う欠点がある。
また、オキシダント残留量の測定のための方法の別例として、0.005ppmまでの精密測定方法として、飲用水の水質公定試験であるES05310.2aや、IS07393−2(1985)国際標準試験法であるOT法、DPD法などで測定することもできる。
前記のように養殖水に残留するオキシダントを利用して、養殖水内に含まれた魚類有害菌に対する殺菌処理段階において、好ましくは、養殖水移動チャンバー内で養殖水が移動しながら、自然に殺菌処理が行われるようにすることができる。この時、殺菌処理段階での殺菌処理時間は、養殖水に含まれた魚類有害菌が全て死滅する程度であれば良い。これは養殖水の状態とオキシダントの残留量に応じて決定できるが、好ましくは1分〜32分、さらに好ましくは4〜8分程度で行えばよい。殺菌処理を1分未満で行う場合は、残留オキシダントの濃度を高く生成するべきで、高濃度に生成されたオキシダントを安全に中和除去するためには、高コストがかかり、魚類に有害な各種物質(トリハロメタン、ハロゲン化アセトニトリル、ハロゲン化酢酸など)が生成され得る問題があり、また、例えば、32分以上の程度で長時間殺菌処理段階を行う場合は、オキシダントの残留量の濃度を低くして長時間殺菌することで、オキシダントを除去するには便利だが、殺菌や殺虫が弱くて好ましくなく、殺菌時間が長くなり過ぎても、魚類に有害な物質が生成される可能性があり、また長くなり過ぎると、経済的面やシステム運用上の時間的、空間的に非効率的という問題がある。
前記のように殺菌処理段階を経た養殖水は、魚類有害菌は滅菌されたが、残留オキシダントを除去する過程が必要である。そのため、本発明において殺菌処理された養殖水は、オキシダント除去のための中和処理段階(d)に送られる。
中和処理段階(d)では、殺菌処理された養殖水に中和剤を投入して残留オキシダントを除去する段階であり、この段階を踏めばオキシダントが極微量に残留するか、実質的にすべて除去され、魚類の養殖水として、非常に適した環境の水質を持つようになる。
本発明によれば、このような中和処理段階で中和剤を投入するが、このような中和処理工程は、低コスト及び高効率的にオキシダントを除去できる方法である。
一般に、オキシダント除去のための方法として使用されていた従来の活性炭の場合、0.1〜7.0ppm(mg/L)濃度のオキシダントが含まれている養殖水を約5000mの養魚場に毎分60トンを供給しながら、オキシダントを魚類養殖に適した0.003ppm以下に除去するために、非常に大きいか、または複数の活性炭濾過槽が必要になることもあるが、活性炭では0.003ppmまですぐに除去することは不可能で、0.01ppmまでしか除去できない限界があった。勿論、活性炭もいくつかの段階を経たり、養殖水中のオキシダントが0.01ppmと低く含まれている場合は、0.003ppmまで除去することは可能だが、これは魚類養殖場に適用するのは不可能であり、小規模の種苗培養場、活貝類の衛生処理または研究室用と、非常に限定的に使用できるのみである。
しかし、本発明の場合、最小量の中和剤を使用して、一定濃度以下で魚類に安全な中和剤を使用し、適切な中和処理方法により中和処理する段階を経て、残留オキシダントの除去ができるようにする。
本発明の好ましい実施例によると、中和処理段階では、中和剤の投入に加え、エアレーション(Aeration)、中和促進剤、またはこれらの全部をさらに用いることができる。このような手段を用いると中和時間をより短縮させたり、オキシダントの除去をより十分にして、低コスト、高効率な方法でオキシダントを中和処理して、オキシダントの残留量を0.06ppm以下、好ましくは0.01ppm以下、より好ましくは0.003ppm以下に除去できるため、広く実用化が可能である。
本発明の好ましい実施例によれば、前記(c)段階の殺菌処理段階は、好ましくは1〜28分間、より好ましくは4〜12分行うことが良い。殺菌処理段階における殺菌処理時間は、養殖水の水質、オキシダントの初期残留量などを考慮して決定できる。このような殺菌処理段階は、中和処理段階を行う前の時間を意味することであり、中和処理段階でも、一部の残留オキシダントによって殺菌はしばらく持続する。
本発明の好ましい実施例によると、中和処理の段階において中和剤の添加量は、養殖水に含まれたオキシダントの残留量と中和剤を、当量よりやや多い量の中和剤を投与することが好ましく、さらに好ましくはオキシダント残留量に比べて2倍以下の当量で添加することが良い。なぜなら、中和剤が過量に投入されると、中和に利用されず残りの中和剤が魚類に被害を与える可能性があるため、中和剤自体や中和後に発生する物質が魚類に全く有害にならないよう、極めて限定的範囲の物質を最少量に使用しなければならないからである。
したがって、本発明の好ましい実施例によると、中和処理段階で用いられる中和剤として通常の中和剤が使えられ、例えば、チオ硫酸無機塩類、さらに具体的には、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウムなどが用いられ、チオ硫酸無機塩類、亜ジチオン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、システイン、亜硫酸ガス、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、過酸化水素の中から選択された一つ以上を使用することもできる。本発明によると、一般的な前記中和剤以外の中和剤を使用する場合、中和処理時間が長期間かかり過ぎるか、後の追加中和処理の過程がなくては残留オキシダントを0.06ppm以下、より好ましく0.01ppm以下に中和処理するには難しいと言う問題がある。また、中和処理時間が長くなると中和処理のためのチャンバーが多く必要となり、中和処理のためのスペースや設備が相当必要になるなど、非常に非経済的であり、中和剤の使用量が過剰に必要であるため、中和処理後の中和剤の残留量が多くなるなどの問題によって別の有害性の問題が発生する。
本発明において、前記中和剤として使用されるチオ硫酸ナトリウムや亜ジチオン酸ナトリウムは、無水物や水和物の全て適用することができる。また、前記中和剤は、殺菌処理段階が完了した後、殺菌された養殖水内に水溶液を製造して投入することができる。
本発明で使用する中和剤は、養殖水に含まれる残留オキシダントの毒性を除去するために使用される物質を意味するもので、このような中和剤もまた魚類に対して毒性を示すため、その使用量を最小限にする必要がある。つまり、オキシダントを中和する中和剤は、魚類に対し安全性が保障され、中和した後生成される物質も魚類に安全でなければならないが、養殖場に流入してから海や川などへ排出される養殖廃水が環境を阻害してはいけないので、排出水管理基準のCOD、BODに影響を与えてはならない。
したがって、本発明によると、前記のような中和剤を使用することが好ましく、その中和剤の使用量も最小限に抑える方が良い。本発明の好ましい実施例によると、中和剤の使用量は、総残留オキシダント(TRO)に対して、少なくともTROに対する当量の割合以上、2倍当量以下となるように添加することが必要である。このように中和処理段階を踏めば、魚類に悪い影響を与えない安全な中性塩に変化させ、オキシダントが完全除去されるか、極微量で存在して、中和処理後の中和剤の残留量も魚類に有害ではないレベルで滅菌された養殖水が得られる。
一実施例として、養殖水にオキシダントを生成する場合、養殖水には約5〜20種類のオキシダントが存在し、そのようなオキシダント成分の中で主成分として、例えば、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、次亜臭素酸ナトリウム(NaOBr)およびOなどのいくつかのオキシダントの成分が存在するようになる。この場合、中和処理段階で養殖水に存在するオキシダントの成分に対する前記中和剤の反応過程は次の反応式3のような反応メカニズムを経て中和処理されることにより、殺菌処理された養殖水内で残留するオキシダントが除去される効果を得ることができるものである。その反応の例を見ると、以下の反応式3で例示することができる。
(反応式3)
・NaOCl(オキシダント)+H(酸化性中和剤)
→NaCl+HO+O
・NaOBr(オキシダント)+H(酸化性中和剤)
→NaBr+HO+O
・Zn(金属促進型の中和剤)+NaOCl(オキシダント)
→ZnO+NaCl
・NaHSO(還元性中和剤)+NaOCl(オキシダント)
→NaCl+NaHSO
・NaOCl(オキシダント)+Na(中性塩型中和剤)+2NaOH→NaCl+2NaSO+H
・O(オキシダント)+3SO(ガス型中和剤)+3H
→3HSO
・2Na(中性塩形中和剤)+H2O
→Na+2NaHSO
前記の反応式に示すように、本発明によると、従来とは異なり養殖水に存在する残留オキシダントを中和剤で中和させ除去することができる滅菌方法を提供することで、このような殺菌処理及び中和処理によって滅菌された養殖水には魚類有害菌がすべて死滅した状態で、魚類に有害な残存オキシダントも実質的になく、中和剤も残留されないかまたは極微量で残存して魚類に全く影響を与えず、養殖廃水の排出の場合は環境にも全く影響を与えない、望ましい滅菌養殖システムとして適用できるものである。
本発明によると、このような中和処理段階で中和剤の使用量を最小限に抑えるためには、その使用量を少なく用いるための環境をさらに造成することができる。
そのために、中和処理段階では、中和処理の過程で殺菌処理された養殖水が移動する間、その移動チャンバー内に金属性中和成分の中和促進剤をさらに投入することができる。本発明の好ましい実施例によると、中和処理段階で追加で使用できる中和促進剤としては、例え、遷移金属およびIVA族に属する金属の中から選択されたかがなどが好ましく使用することができ、さらに好ましくは、IIIB族、VIIIB族、IB族、VIB族金属およびIVA族の中から選択された1つ以上の金属が使用することができ、最も好ましくは亜鉛、鉄、銅、クロム、およびスズからなる群より選択された1種以上の金属またはこれらのイオンを中和促進剤として投入し、オキシダントの除去のための中和処理を好適に行うことがことができる。この時、前記中和促進剤は、前記金属成分を利用した網(mesh drawing)、粉末(powder)、多孔質または非多孔質のグラニュール(granule)、多孔質(porous)ペレット、円筒形ブロック(block)、または板状(Plate)の中から選択された1つ以上の形態で投入することができ、このような中和促進剤は、養殖水の中で中和反応を促進させ、反応をよりよく起こすようにすることができる。
また、本発明の好ましい実施例によると、前記(d)段階の中和処理段階では、空気を注入してオキシダントを除去するエアレーションス段階をさらに含んで行ってもよい。この時、空気を注入するエアレーション段階に適用される空気注入手段としては、代表的にブロアー(blower)とコンプレッサー(compressor)により行えるが、これに制限されることではない。このような空気注入のためのエアレーション段階も、中和処理段階で追加で適用する場合、前記の中和促進剤と同様に中和反応を促進させ、オキシダントの除去率をさらに向上することができ、エアレーションにより中和促進剤が養殖水と接触する具合を活性化するように、浮遊、移動させる機能を果たすことができる。本発明によれば、前記エアレーションの代わりに攪拌によって養殖内に中和促進剤を浮遊させることもでき、エアレーションと同時に撹拌を行うこともできる。
本発明の好ましい実施例によると、前記中和処理段階において、前記金属成分の中和促進剤の投入と、エアレーション段階とを同時に追加で行うこともできる。この場合、エアレーション段階によって空気を下部から注入する場合、殺菌処理段階を経て中和剤が投入された状態で養殖水が移動されるチャンバー内で追加で投入された前記金属成分の中和促進剤は、チャンバー内の養殖水に浮遊され活発に移動する形で中和処理の活性に寄与することになるため、非常に好ましい中和処理が可能である。
本発明によれば、前記のような方法で殺菌処理された養殖水に残留するオキシダントは、中和剤を使用して中和処理する場合は、養殖水内でオキシダントの残留量が0.06ppm、好ましくは0.01ppmになるまで除去することは比較的容易である。しかし、養殖水内のオキシダントの残留量を0.005ppm、さらに好ましくは0.003ppmまで除去することは容易でない場合がある。この場合、多量の養殖水を短時間に処理してオキシダントの残留量を0.003ppm以下までなるように除去するためには、前記に例示したチオ硫酸無機塩類、ジチオン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、システイン、亜硫酸ガス、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性亜硫酸ナトリウムおよび過酸化水素の中から選ばれた1種以上の中和剤を使用することができる。特に、中和処理時間を短縮するためには、前記のような特定中和剤の投入に加え、エアレーション段階の追加適用と共に、前記金属成分の中和促進剤を触媒成分として追加投入すると、中和反応の進行速度、すなわちオキシダントの除去速度が速くなる。例えば、毎分60トン以上の多量の養殖水内に残留するオキシダントを最大1時間以内に0.003ppm以下まで除去することができる。
一方、本発明の好ましい実施例によれば、前記殺菌処理段階(c)と中和処理段階(d)は、養殖水が連続して移動する過程で、すぐに接続して連続的に行うことができる。また、本発明の好ましい実施例によると、このような養殖水に対する殺菌処理と中和処理のための(c)と(d)段階は、例えば、隔壁で区画されている複数のチャンバーで行うことができ、養殖水は区画されているチャンバーに導入(引入)またはポンピング(pumping)され一方の方向に流れながら、区画された各々のチャンバーにおいて(c)段階の殺菌処理ステップと(d)段階の中和処理段階とが順次行われる。
本発明によれば、前記殺菌処理段階が行われるチャンバーと中和処理段階が行われるチャンバーとは、それぞれ複数個で設けられ、好ましくは、チャンバーの上・下端部を通過するように流路を構成し、そのチャンバーの上下流路を上り下りしながら養殖水が連続的に移動する過程で殺菌処理段階を経た後、続いて同じように養殖水が上下を上り下りしながら、中和処理段階を経ることができるように設けられる。つまり、オキシダントが生成された養殖水は、第1チャンバーと第2チャンバーを通る間、第1チャンバーでは下方に養殖水が移動し、第1チャンバー下端部を通って第2チャンバーの下端部に移動された養殖水は、第2チャンバー内では上方に移動し、第2のチャンバーと第3チャンバーとの間の第2チャンバーの上端部で中和剤が投入され、第3チャンバーと、その後続く複数のチャンバー、例えば、第4チャンバー〜第8チャンバーで、前記の第1チャンバーおよび第2チャンバーでのように、養殖水が上下に移動しながら中和処理段階が実行されるようにすることができる。このように、養殖水が殺菌処理段階と中和処理段階とを経る間、多数のチャンバーを上下に上り下りしながら通過移動される形に構成すると、比較的小さいスペースでも、本発明による流水式滅菌水の魚類養殖方法を好ましく適用することができ、殺菌処理の段階でのオキシダントの接触状態と中和処理段階での中和処理工程でも有利に作用することができる。
このような殺菌処理段階と中和処理段階とを経る間、養殖水が通るチャンバーの数は、養殖水の水質、オキシダントの生成量、殺菌処理段階と中和処理段階との実行条件、養殖が行われる面積や地域環境、チャンバーの大きさと高さ、養魚場の規模、養殖水の供給量などに応じて決定することができる。好ましくは、殺菌処理段階と中和処理段階のためのチャンバーの合計数は2〜8個、より好ましくは4〜6個が殺菌効率と中和効率及び中和時間の調整などを考慮して最も好ましい。
本発明によれば、前記のように中和処理段階で養殖水内に残留するオキシダントが除去されるが、中和処理段階が進む間、中和処理の初期では養殖水内にオキシダントが相当分残留していて、中和処理が行われると徐々にオキシダント残留量が減少することになる。したがって中和処理段階の初期では養殖水内のオキシダントの残留量が多いため、その養殖水に対して既に殺菌処理段階を経てはいるが、中和処理過程でも殺菌処理は一部連続的に行われる。しかし、中和処理段階の後期にはオキシダントがほとんど除去された状態であり、魚類有害菌もほとんど死滅した状態であるため、実質的に殺菌処理は起こらない。
このように、本発明の好ましい実施例によると、殺菌処理段階と中和処理段階が連続的に行われながら、中和処理段階の初期に殺菌処理が持続する点からも、非常に効率的に養殖水の滅菌処理が可能である。
本発明によれば、殺菌処理後中和処理段階を経た滅菌養殖水の場合、すぐに養魚場の魚類が養殖される養魚水槽に供給され得るが、この時、滅菌養殖水内のオキシダントの残留量が、少なくとも0.06ppm以下、好ましくは0.01ppm以下でなければならず、より好ましくは0.005ppm以下であることがよく、さらに好ましくは0.003ppm以下が魚類養殖に好適である。最も好ましくは、オキシダントが検出されない方がいい。また、中和剤の残留量は、好ましくは実質的にないことに越したことはなく、少なくとも1ppm以下でなければならず、さらに好ましくは0.5ppm以下であることが良い。
本発明の一実施例によると、例えば、殺菌処理段階と中和処理段階とを行うための養殖水処理水槽の構造を合計8個のチャンバーに区画する場合、0.1〜0.7ppmの低濃度オキシダントが含有された養殖水にて長時間の殺菌を目的とする場合には、オキシダントが生成された養殖水が、例えば、第1チャンバー〜第5チャンバーの5つのチャンバーを経る間に殺菌処理段階を経て、この時は特別な措置なしに養殖水内に含まれるオキシダントが第1チャンバーから第5チャンバーに移動する間、養殖水の中で自主的に殺菌作用をしながら殺菌処理が行われる。そして第5チャンバーまで殺菌処理段階を経た養殖水は、第5チャンバーの上端部において中和剤が投入され、第6チャンバーに移動するようになり、第6チャンバーから第8チャンバーまでの3つのチャンバーを移動しながら中和処理段階を経るようにする方法で中和処理段階を踏むことができる。
本発明によると、殺菌処理時間および中和処理時間も、養殖水処理水槽の内部に隔壁を有して形成されるチャンバーの数とサイズに応じて調節および設計することができる。例えば、水面積5000mの陸上水槽式の養魚場で60m/minの養殖水の水量を揚水(Pumping)しながら、連続的に0.7ppmのオキシダントを発生させ、殺菌時間を4分とする場合、8個に区画されたチャンバーとして、各チャンバーの体積を横6m、縦5m、高さ8mにすると、各段階ごと、チャンバーを通過する流量の流速時間は4分になるので、殺菌処理時間は自ずと4分になり、この場合オキシダントを除去するための中和処理時間は4分×7個のチャンバー=28分で算定することができる。一方、引き込まれる養殖水中30m/minを地下水で使用して殺菌処理が不要の場合は、地下水ではない残り30m/minのみを殺菌処理すればよいので、チャンバーのサイズを横6m、縦5m、高さ8mにすると殺菌処理時間は8分となり、中和処理時間は8×7=56分で算定することができる。
中和処理段階において、中和剤の種類だけでなく、中和処理時間は非常に重要で、オキシダントの発生濃度に応じて中和処理のための時間は、1〜48分以内の短時間にオキシダントの残留量が少なくとも0.06ppm以下、好ましくは0.01ppm以下になるように中和する必要がある。本発明では、中和処理時間1〜16分以内に、オキシダント残留量を0.06ppm以下に除去することが好ましい。長時間の中和処理をする場合、つまり、中和処理チャンバーが例えば7つ以上になる場合は、中和処理のためのスペースと時間のために非常に非経済的な処理となり、流水式に適用することも難しく、実際の魚類養殖産業に実用化が難しいと言う問題がある。
すなわち、本発明によると、地域と水質によって病原性細菌やマスクチカなどの病原性微生物の感染濃度が異なるため、採水する養殖水の内でオキシダント生成濃度と、それを用いた殺菌処理時間の調節は、養魚場の現場事情に応じて異なるよう設定することもできる。したがって、前記のように様々な形で殺菌処理段階を実行するチャンバーと、中和処理段階を実行するチャンバーとの大きさや個数を調整して構成することができる。
このように、本発明による一実施例として複数回の中和処理段階を経て出てくる滅菌養殖水は、使用した中和剤の種類と中和時間に応じて、総残留オキシダントがほとんどないか、0.06ppm以下、概ね0.003ppm以下を含有するように中和処理をすることができ、殺菌された養殖水の総残留オキシダント濃度の99%以上が除去される場合がほとんどであり、99.9%以上に中和されるため、本発明による中和処理段階は、低コスト、高効率の方法でオキシダントを容易に除去することができる。
本発明によると、前記のように中和処理段階を経た滅菌養殖水は、魚類が養殖される養殖水槽に供給される滅菌養殖水供給段階(e)を経て、養魚場に本格的に供給される。
ここで、前記滅菌養殖水のみを単独で養殖水槽に供給することもでき、他の養殖水として魚類有害菌がない地下水などを混合して養殖水槽に供給することもできる。養殖水槽に供給された本発明による滅菌養殖水は、魚類の有害菌が滅菌された状態であり、オキシダント残留量もないか、または有害でない極微量であるため、魚類の養殖に非常に有用な環境を造成することができるので、養魚効果が非常に大きく改善することができる。
本発明によれば、望ましくも、このような養殖水槽に供給された滅菌養殖水は継続的に供給され、また、継続的に排出される方法を適用するため、養殖水槽内に供給された滅菌養殖水が長く留まらず、連続的に新しく供給・排出されるので、養殖水槽では常に優れた品質の養殖水が満たされている状態になる。
本発明によると、養殖水槽に供給された滅菌養殖水は、養殖水槽から魚類養殖に使われた養殖廃水を排出する養殖廃水排出段階(f)を経る。このように、滅菌養殖水は継続的に供給され養殖に使用された後、一方で、養殖廃水を継続的に排出する段階を経る。このように排出される養殖廃水は、滅菌された水質として、環境にやさしい廃水として、自然に放出しても環境に何ら悪影響を与えない。
一方、本発明は、前記のような流水式の滅菌水の魚類養殖方法を適用するための魚類の滅菌養殖システムを含む。
本発明に係る流水式滅菌水の魚類養殖方法が適用できる望ましい実施例としての流水式滅菌水の魚類養殖システムは、図2及び図3a、3bに示すような構造でなり得る。図2は、本発明に係る流水式の滅菌魚類養殖システムの一実施例を概略的に示す図であり、このような滅菌養殖システム(SAS)の一実施例として詳細に説明する。
図2から見ると、本発明による流水式滅菌水の魚類養殖システムは、養殖水供給部(100)と、オキシダント生成部(200)と、養殖水移動チャンバーを含む殺菌処理部(300)と、養殖水移動チャンバーを含む中和処理部(400)と、養殖水槽(500)に滅菌養殖水を供給する滅菌養殖水供給部(600)と、養殖廃水排出部(700)とを含んでなる。
本発明によると、養殖水供給部(100)は、淡水または海水を採水するために、淡水または海水が位置する採水地域まで養殖水移送管を連結しなり得る。このような養殖水供給部(100)は、供給のためのポンプを含むことができる。
このような養殖水供給部(100)によって採水された養殖水は、オキシダント生成部(200)に移送される。オキシダント生成部(200)は、好ましくは、養殖水の前処理水槽を含み、この水槽内にオキシダントの生成手段(210)を備え、供給された養殖水でオキシダント(oxidant)を生成するように構成される。この際、オキシダント生成手段としては電気分解装置が用いられる。
前記オキシダント生成部(200)において、オキシダント生成手段からオキシダントを生成した養殖水は、オキシダントが生成された状態で養殖水移動手段(例えば、ポンプ)によって殺菌処理部(300)に移送される。殺菌処理部(300)は、オキシダントが生成された養殖水が給水され流れる間に、養殖水内でオキシダントが残留しながら養殖水内の魚類有害菌を殺菌するようにする養殖水数移動チャンバーを含む。
本発明の好ましい実施例として、最も典型的に構成した例によると、殺菌処理部(300)は、図3a、3bに示すように、例えば、合計8つのチャンバー構造を持つ形態で構成することができる。
図3aは、本発明による滅菌養殖システムでの主要部位である殺菌処理部(300)および中和処理部(400)の構成を一つの具体的な実施例として例示したものである。図3aは、殺菌処理部(300)と中和処理部(400)とを構成する8つのチャンバーと、それらのチャンバーを移動する養殖水の移動経路を矢印で示しており、図3bは、殺菌処理部(300)と中和処理部(400)を構成する8つのチャンバーの平面構造を、理解を容易にするために図式的に示したものである。
図3a、3bから見ると、殺菌処理部(300)は、例えば、養殖水が連続的に供給されながら移動できるように、一つ以上の養殖水移動チャンバー、例えば、2つの養殖水移動チャンバー(310、320)を含むことができる。前記オキシダント生成部(200)から供給されたオキシダント含有の養殖水は、殺菌処理部(300)の養殖水移動チャンバーである第1チャンバー(310)と第2チャンバー(320)とを移動する間、養殖水内に含まれたオキシダントが養殖水内に存在する魚類有害菌と接触して殺菌が行われることになる。このような殺菌処理部の養殖水移送チャンバー(310、320)は、そのチャンバーの数を1個に構成したり、2個、またはそれ以上の複数個に構成することもできる。
前記殺菌処理部(300)で殺菌処理された養殖水は、中和処理部(400)に移送され養殖水内のオキシダントを除去するために、残留オキシダント成分が中和処理される。本発明による中和処理部(400)は、殺菌処理された養殖水が移動する間に中和剤を投入する中和剤投入部(401)を有し、中和剤が投入された養殖水が移動を継続しながら養殖水内の残留オキシダントが中和によって除去されるようにする、養殖水移動チャンバーを含む。
このような中和処理部(400)は、前記殺菌処理部(300)と同一または類似の方法で、好ましくは、同じ方法で多数の養殖水移動チャンバー(430、440、450、460、470、480)を備えている。このような中和処理部(400)における各養殖水移動チャンバーは、第3チャンバー(430)から第8チャンバー(480)に至るまで、規則的に構成されている。したがって殺菌処理部(300)である第1チャンバー(310)と第2チャンバー(320)において殺菌処理が行われた後、殺菌処理された養殖水が同じ方法で連続して流水(water flow)され中和処理部(400)である第3チャンバー(430)から第8チャンバー(480)を経る間に中和処理が行われる。
本発明の好ましい実施例によると、このような中和処理部(400)の各チャンバー内部には、前記の遷移金属またはIVA族金属の中から選択された一つ以上の中和促進剤(402)が投入されてもよい。このような中和促進剤(402)は、具体的な形の例として、網状、粉末状、多孔性または非多孔性のグラニュール、板状、多孔質ペレット、円筒形のブロックなどのように、養殖水との接触面積を広くして中和が促進できる形で適用することができる。このような中和促進剤を投入すると、養殖水に残留するオキシダントを中和処理するのに役立つものとして、中和処理部(400)の全チャンバーまたは一部のチャンバーに追加投入することができる。
また、本発明の好ましい実施例によると、中和処理部(400)の各チャンバーには、エアレーションの装置(403)が設置できる。特に、このようなエアレーション装置(403)は、前記中和促進剤と共に適用して中和促進剤を中和処理用のチャンバー内で浮遊させ中和がスムーズに行われるようにし、中和処理の活性化のために単独で追加適用することもできる。また、中和処理部(400)のチャンバー内部では、中和処理の活性化のために養殖水または中和促進剤などを攪拌する攪拌機(図示せず)が設置されてもよい。これに関する具体的な例として、各チャンバーの反応効率を向上させるために気泡を発生させるブロアー(blower)、養殖水を空気力で攪拌して養殖水内の物質がよく接触して反応時間を短縮させるコンプレッサー(compressor)、物理的な力で養殖水内の中和剤とオキシダントの接触時間を増やす攪拌機(mixer)、そして、養殖水が数回回転をしながら流れるようにする循環ポンプ(circulating pump)からなる群より選択された1種以上の反応向上装置をさらに含むことができる。
本発明によれば、前記第1チャンバー(310)から第8チャンバー(480)までの各チャンバーは、それぞれのチャンバーを区分するチャンバーと間の隔壁がある。図3aと図3bを参照し、その隔壁の構造を具体的に説明すると、第1チャンバー(310)と第2チャンバー(320)との間の隔壁は下端部が所定の幅で開放され、第2のチャンバー(320)と第3チャンバー(430)との間の隔壁は上端部が所定の幅で段を成すように形成される。したがって、第1チャンバー(310)では上端部から下端部に養殖水が移動し、第2チャンバー(320)では第1チャンバー下端部から流入した養殖水が上端部に移動し、第3チャンバー(430)では養殖水が上端部でオーバーフローして流入して、再び下端部へ移動するように構成されている。したがって、養殖水が連続して第1チャンバー(310)の上端部から流入して下方に流れ、第8チャンバー(480)まで上下に上り下りしながら移動する流水(water flow)方式で養殖水が移動する。
このように、オキシダントを含有した養殖水は、第1チャンバー(310)から第8チャンバー(480)を経る過程で、第1チャンバー(310)と第2チャンバー(320)で移動する間には、養殖水に残留するオキシダントによって殺菌処理が行われるものであり、第2チャンバー(320)上端部の中和剤供給装置(401)から供給される中和剤が、第2チャンバー(320)から第3チャンバー(430)へオーバーフローする過程で殺菌処理された養殖水に供給され中和処理が開始され、第3チャンバー(430)の上端部に流入するのである。このようにして殺菌処理された養殖水は、第3チャンバー(430)から第8チャンバー(480)まで移動する間、中和処理が行われる。この過程を経る間、養殖水に残留するオキシダントは徐々に除去され、第8チャンバー(480)に達すると、中和処理が完了して養殖水にはオキシダントが実質的に残留しないか、または、少なくとも0.06ppm以下、好ましくは0.003ppm以下で残留する滅菌養殖水として処理され、魚類養殖がなされる養殖水槽(500)に送られる。
本発明によると、前記中和処理部(400)の末端部に位置する第8チャンバー(480)から、殺菌処理され中和処理された滅菌養殖水を養殖水槽(500)に供給する滅菌養殖水供給部(600)は、無菌の地下海水と混合される混合タンク(610)を含むことができる。このような無菌地下海水と混合タンク(610)は、地上から数メートル以上の高さに位置するように設置して、水圧により滅菌養殖水を養殖水槽(500)へ供給できるように構成することができる。この時、前記殺菌処理部(300)と中和処理部(400)を構成するチャンバーと同じ高さに混合タンク(610)が位置するように設計してもよい。
このように、養殖水槽(500)に供給された滅菌養殖水は、養殖水槽(500)内部で生育する魚類が、滅菌養殖水の状態で健康に養殖できるる環境を与えるようになる。
また、養殖水槽(500)で魚類養殖に活用された滅菌養殖水は、連続して排出できるよう、養殖廃水排出部(700)を介して外部へ排出される。この時、排出される養殖排水は、前記のように有害成分が中和処理され滅菌されたもので、魚類が自然に利用したものであるため、環境には何ら悪影響を与えない。
一方、本発明によると、本発明の魚類の滅菌養殖システムにおいて、殺菌処理部(300)と中和処理部(400)の構成は、非常に効率的であり望ましい構造に構成され、特徴的な意味を有する。
本発明によると、前記殺菌処理及び中和処理が行われる第1チャンバー〜第8チャンバーの構成は、殺菌処理部(300)が2つのチャンバーで構成され、中和処理部(400)が6つのチャンバーで構成され、合計8つのチャンバーを有する滅菌養殖システムの場合を、本発明の一実施例として例示したものである。
本発明の好ましい実施例によると、前記殺菌処理部(300)のチャンバー数は1〜7個で構成することができ、中和処理部(400)のチャンバー数は1〜7個で構成することができる。これらのチャンバーの構成は、養魚場の規模、養殖水、揚水量によってチャンバーの数、大きさ、高さ、形態、殺菌処理部のチャンバーと中和処理部のチャンバーの個数を適宜に調整や設計して、本発明に係る流水式滅菌魚類養殖方法を適用することができる魚類滅菌魚類養殖システム(SAS)を構成することができる。
前記のように、本発明の好ましい実施例によると、前記のオキシダント生成部(200)は、オゾン供給器または電気分解装置が装着されたもので適用することができ、養殖水供給部(100)から供給された養殖水にオキシダントを生成させ、オキシダントが生成された養殖水は、殺菌処理部(300)のチャンバーで注水して供給する。
したがって、殺菌処理部(300)と中和処理部(400)は、区画された複数のチャンバー(chamber)を有し、各チャンバーは、養殖水が引込み、またはポンピング(pumping)される得る構造に構成することができる。本発明によれば前記チャンバーは、そのチャンバーの全体の数に応じて、1つ乃至チャンバー数−1個の隔壁で区画され、最初の隔壁の下端部には、養殖水が流入する空間として通過ホールが形成され、これにより最初のチャンバーから下端部に養殖水が移動され次のチャンバーへの流入ができる。次の2番目の隔壁は、その上端部において他の隔壁に比べて低いオーバーフロー段が形成され、2番目のチャンバーの養殖水がオーバーフロー(over flow)され3番目のチャンバーに採水されるように構成し、奇数番目の隔壁は下端部を通じて、偶数番目の隔壁は上端部を通じて、養殖水が移動可能になるように構成できる。このように、各チャンバーの間には、養殖水が移動して流水する過程では、養殖水が隔壁の通過ホールとオーバーフロー段が交互に形成された構造により、順次上り下りを繰り返しながら、養殖水が一方向に流れて移動しながら、殺菌処理と中和処理が行われるようになるものである。
併せて、中和剤の提案の投入は、本質的には殺菌処理部の最後のチャンバーの上段で中和剤投入部により投入されるが、流水の流れによって自然にオーバーフローされることで、養殖水が中和処理部のチャンバーに採水され中和が始まり、その後、複数のチャンバーを経ることにより多段階で中和処理が実行される。
この時、中和剤は殺菌処理部の最後のチャンバー上端部または下端部において全量を投入してもよく、殺菌時間を長くしようとするときは、適切な位置の中和処理のためのチャンバーの上下端部から分離して中和剤を投入することにより、中和処理過程の中で殺菌処理が追加して持続するようにしてもよい。このような中和剤投入過程もやはり養魚場の規模、養殖水の水質、揚水の供給量などに応じて調節して適切に設計することができる。
前記のような本発明に係る流水式の魚類養殖方法を適用して、特に本発明による魚類の滅菌養殖システムを利用する場合、低コストおよび高効率で無菌魚類養殖が可能になる。このような本発明に係る流水式魚類養殖方法と魚類の滅菌養殖システムは、魚類の斃死率は低く、抗生物質とワクチンが不要な無菌養殖法として、従来の養殖法とは異なる新しい養殖法として非常に有用なものである。
また、本発明の新しい魚類滅菌養殖システムの場合は、従来とは異なり高濃度オキシダント(0.1〜7ppm)を発生させ、病原性細菌など魚類有害菌を完全に死滅させ、時間と空間および経済的効率性の全べて優れた方法で、毎分30〜60トンの滅菌養殖水の供給が可能であり、簡単なシステム設計の調整で毎分数千トン〜数万トンの滅菌養殖水の供給も可能であり、滅菌養殖水内のオキシダント残留量を少なくとも0.06ppm以下、好ましくは0.01ppm、最も好ましくは0.003ppm以下に除去することができ、非常に経済的で環境に優しく大規模の魚類無菌養殖が可能である。
以下、本発明を次の実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
下記の実施例は、養殖水面性5000m規模に利用可能な実際の設備の大きさの1/1000量に該当する横60cm、縦50cm、高さ80cmの大きさの8つのチャンバー(水槽)で構成された流水式の滅菌魚類養殖システムを一つの実施例として構成し、下記試験を実施した。
(比較例1)
中小型として最も多く設けられる養殖場面積5000mの養殖水に該当する、1分当たり60トンの水量に、電気分解装置またはオゾン供給器によりオキシダントを0.8mg/L(ppm)を発生させ殺菌した後、活性炭によりオキシダントを除去するために活性炭(Activated Carbon)を準備しようと計算した結果、なんと400mの活性炭の適用空間を必要とし、直径5m、高さ1.5mである活性炭の塔を28個も設置する必要があるという結論が導出された。
したがって、このような方法では高コストがかかり、場所的にも膨大なスペースが必要であり、再生処理の難しさにより、多量の水量を使う養魚場では使用できない方法であると確認された。
(製造実施例1)
済州島西帰浦市表善面の海水と地下海水を50:50に混合し、養魚場で一般的に注水する主水口の流速(20〜30cm/sec)で下記表3のように電圧、電流密度を変化しながら電気分解し、臭素酸塩(Bromate)の生成濃度を分析した。
地域別、当該地域でも位置毎の海水中に含まれる有機物質の濃度、臭化ナトリウム(NaBr)の濃度、塩分などはすべて異なるため、表善面が最も標準的地域および場所として判断され、当該地域を選定した。
(製造実施例2)
有機物質がほとんどない表善面の地下海水を流速20〜30cm/secで流しながら下記表4の条件で電気分解した後、臭素酸塩の濃度を測定した。この時、海水中の臭素酸ナトリウム(NaBr)の含有量は、Brとして63.3mg/Lであった。
(製造実施例3)
表善面の海水のみを以て流速20〜30cm/secで下記表5の条件により電気分解をして臭素酸塩の含有量を測定した。その結果は、下記表5の通りである。この時、海水中の臭素酸ナトリウム(NaBr)の含有量は、Brとして63.7mg/Lであった。
(製造実施例4)
表善面の地下海水を10〜20cm/secの流速でゆっくり電気分解して、下記の条件で高濃度TROを調製し、注水口のTRO濃度は1ppm TRO濃度になるよう、海水で希釈して臭素酸塩(Bromate)の生成濃度を測定した。その結果は、下記表6の通りである。
(実施例1)
まず、済州島の沖で採水した養殖水を、電気分解装置にて連続的に1.0ppmの総残留オキシダント(TRO)が発生するように、電気分解装置における電圧と電流を調節し、60L/分の流速で殺菌処理部に注水した。この時、本発明による図2及び図3a、3bに例示された構造を持つのと同じ流水式滅菌魚類養殖システムを利用するが、中和処理部の第3チャンバー〜第8チャンバー(図3aにおいて430、440、450、460、470)に該当する5つのチャンバーには、1.0メッシュ(Mesh)の亜鉛網を40cm間隔で2カ所に設置したものを用いた。次に、注水された殺菌養殖水中の総残留オキシダント(TRO)とTROに対する当量よりも1.0〜1.7倍のチオ硫酸ナトリウム5水和物(Sodium thiosulfate、Na・5HO)溶液が注入されるように、チオ硫酸ナトリウム5水和物0.265%の溶液を調製して別の容器に入れて置き、60mL/分の速度で第3チャンバー(図3aにおける430)に注入し、ブロアー(blower)で空気を注入してよく混合されるようにする。
ここで、中和剤であるチオ硫酸ナトリウムを当量よりも多い1.7倍に投入しなければならないことは、電気分解装置およびオゾン供給器から生成されたオキシダントが下記酸化還元反応式によってのみ除去されるのではないか、または生成されたオキシダントがNaOClだけでなく、多数の異なる種類があるためであると考えられる。本実施例では、長期にわたる実験の繰り返しおよび研究を重ねた結果、チオ硫酸ナトリウム中和剤の場合、当量より1.7倍程度の量を加える場合、一定時間が経過すると0.000ppmまで中和されることを確認した。
このとき、第4チャンバー(図3aにおける440)から第8チャンバー(図3aにおける480)までの中和処理部には、空気は注入したが、チオ硫酸ナトリウム5水和物溶液は注入しなかった。電気分解装置で発生した総残留オキシダントの中で色々な成分の一つである次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)をチオ硫酸ナトリウムで除去する反応は、次の反応式4によって行われるものと推定される。
(反応式4)
4NaClO+Na+2NaOH
→4NaCl+2NaSO+H
前記中和処理後、養殖水に残留する総残留オキシダント(TRO)除去率(%)の測定結果は、下記表7の通りである。
(実施例2)
前記実施例1と同じ流水式で魚類の滅菌養殖システムを適用するが、電気分解装置でオキシダントを生成するのではなく、オゾン供給器でオキシダントを生成させ養殖水処理工程を行った。
前記処理後の養殖水に残留する総残留オキシダント(TRO)除去率(%)の測定結果は、下記表8の通りである。
電気分解装置を用いて発生されるオキシダントの主成分は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)(SodiumHypochlorite)または次亜塩素酸(HOCl)(Hypochlorous acid)であり、オゾン供給器で生成されたオキシダントの主成分は次亜臭素酸(HOBr)(Hydrobromous acid)または次亜臭素酸ナトリウム(NaOBr)(SodiumHypoBromite)であると推定されるが、いずれのオキシダントでも、本実施例によりオキシダントが完全に除去されることが確認できた。
(実施例3)
前記実施例1と同じの流水式の魚類滅菌養殖システムを使用して、電気分解装置で連続的に1.0ppmの総残留オキシダント(TRO)が発生するよう、電圧と電流を調節して、30L/分の流速で殺菌処理部である第1チャンバーに注水した。中和処理部である第3チャンバー(図3aにおける430)に0.265%濃度のチオ硫酸ナトリウム5水和物溶液を調製し別の容器に入れて置き、総残留オキシダント(TRO)とTROに対する当量より1.7倍の量が反応できるように、チオ硫酸ナトリウム5水和物溶液を30ml/分の流速で注入することを除いては、実施例1と同じ方法で養殖水処理工程を実行した。
前記の処理後の養殖水に残留する総残流のオキシダント(TRO)除去率(%)の測定結果は下記表9の通りである。
前記の表9に示したように、1.0ppmの総残留オキシダント(TRO)が含まれている養殖水を1分当たり30Lの流速で横60cm、縦50cm、高さ80cmの中和水槽を通過させオキシダントを除去する場合は、第7チャンバー(図3aにおける470)でオキシダントの除去率がすでに100%に達したため、残りの第8チャンバー(図3aにおける480)は、改めて通さないか、または設ける必要もないことが確認できた。
すなわち、オキシダントの濃度、注入速度、水槽の大きさを考慮して、各養殖場の規模に合わせて魚類の滅菌養殖システムを設計及び製作して産業規模に実用化し適用できるものである。
(実施例4)
前記実施例1とすべての条件を同一にして、ジチオン酸ナトリウム(Sodium dithionite)無水物(a)0.572%と水和物(b)0.336%(0.572÷1.7)の溶液を調製して中和タンクに入れ、毎分60mlを注入しながら中和を実施した。中和反応は、以下のような反応式5によって行われるものと推定される。その結果は、下記表10の通りである。
(反応式5)
・2Na+H
→Na+2NaHSO
・Na+4NaOCl+2NaOH
→4NaCl+2NaSO+H
・2NaHSO+2NaOCl
→2NaCl+2NaHSO
前記実験の結果、短い時間内に魚類の養殖ができる残留オキシダントを0.06ppmまで除去することが可能で、累積中和時間20〜24分で0.003ppmまで完全に中和除去されることが確認できる。
(実施例5)
前記実施例1とすべての条件を同一にして、アスコルビン酸0.85%溶液を調製して中和タンクに入れ、毎分60mlを注入しながら中和を実施した。中和反応は、以下のような反応式6により行われるものと推定される。その結果は、下記表11の通りである。
(反応式6)
+NaOCl
→C+NaCl+H
前記実験の結果、アスコルビン酸は無機物中和剤より少し早い時間内に中和が完成されることを確認できる。
(実施例6)
前記実施例1とすべての条件を同一にして、システイン塩酸塩一水和物1.69%溶液を調製して中和タンクに入れ、毎分60mlを注入しながら中和を実施した。中和反応は、以下のような反応式7により行われるものと推定される。その結果は、下記表12の通りである。
(反応式7)
2CH7NOS+NaOCl
→2CNOS+NaCl+3HO+2HCl
前記実験の結果、本中和剤は、生体タンパク質を構成するアミノ酸としてオキシダントに対する中和力が優れるものと判断される。
(実施例7)
前記実施例3と同じ魚類滅菌養殖システムを使用するが、亜鉛網を除去し、エアレーションを実施していない。その結果は、下記表13の通りである。
エアレーションと亜鉛網を使用しない場合には、48分程度が経過してから0.01ppm以下にオキシダントを除去することができるため、オキシダントを除去するのに多少長い時間がかかった。したがって反応チャンバーの数やサイズがもっと必要になることもある。
(実施例8〜9)
亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウムをそれぞれ使用してオキシダントの除去効率を比較するために、前記実施例3とすべての条件を同一にして、以下の反応式8により中和されると推定して、亜硫酸ナトリウム当量を1.7倍の0.604%溶液(126.04/35.5×1.7)を使用し、酸性亜硫酸ナトリウム当量を1.7倍の0.586%溶液(104.061/35.5×1.7)で使用して、それぞれ30ml/分の速度で注入した。
使用された各中和剤のオキシダント除去率を測定し、その結果を下記表14に比較して示した。
(反応式8)
・NaOCl+NaSO
→NaCl+Na2SO
・NaOCl+NaHSO
→NaCl+NaHSO
(実施例10)
前記実施例3とすべての条件を同一にし、中和剤として過酸化水素(50%)を使用してオキシダントを除去し、オキシダントの除去効率を測定した。下記反応式9に示すように中和されると推定する当量より1.7倍量の中和剤を使用するために過酸化水素(50%)0.355(35.5/34.01×2×1.7)%溶液を調製して、別の中和タンクに入れて置き、30ml/分の速度で注入した。その結果は、下記表15の通りである。
(反応式9)
NaOCl+H→NaCl+HO+O
(実験例1:亜鉛板の中和促進効果試験)
2000mlビーカーに薄い亜鉛板(厚さ1mm)を幅10mm、長さ200mmに切断して、4個を床から4cmほど離れて吊り下げて置き、オキシダント2ppm溶液1500mlを入れてマグネチック棒で攪拌しながら8分、16分、24分、32分、40分、48分の間隔でそれぞれのサンプルを取りオキシダント除去率の実験をした。その実験結果を下記表16に示す。
前記実験の結果、亜鉛が明らかにオキシダント除去促進の役割をしていることを確認した。
(実験例2:ストレプトコッカス・パラウベリス(Streptococcus parauberis)微生物生存実験の測定)
養殖水と共に輸入されヒラメに最も多く斃死を引き起こす原因のストレプトコッカス・パラウベリス(Streptococcusparauberis)微生物を別途培養して、10cfu/mlになるように養殖水を調製した。これを電気分解装置を用いて前記実施例1の1/2に該当する0.5ppmの総残留オキシダント(Oxidant)を生成して殺菌処理部の第1チャンバー(図3aにおける310)に前記調製した養殖水を注水した。併せて、オキシダントの残留時間を前記実施例1よりも2倍(16分)長くするために第2チャンバー(図3aにおける320)と第3チャンバー(図3aにおける430)を殺菌処理部として使用し、中和処理部の開始チャンバーとして第4チャンバー(図3aにおける440)において0.265%の濃度のチオ硫酸ナトリウム5水和物(Sodiumthiosulfate、Na・5HO)溶液をオキシダントに対する当量の1.7倍で供給した。
続いて、第5チャンバー(図3aにおける450)から第8チャンバー(図3aにおける480)まで中和処理段階を経た後、養殖水を採水して総残留オキシダント(TRO)とストレプトコッカス・パラウベリスの菌水を測定した結果、総残留オキシダントは100%除去され、ストレプトコッカス・パラウベリスは1〜5cfu/mlで99.9%減少したことが確認できた。その結果を下記表17に示す。
微生物の試験は、生菌水試験のみ行い同定試験は行わなかった。検出される微生物のコロニー(Colony)形態で判断したとき、意図的に注入したストレプトコッカス・パラウベリスではないと判断されたので、微生物の死滅率が99.9%で確認されたが、ストレプトコッカス・パラウベリスは100%死滅されたと判断することができる。
(実験例3:養殖魚体中の臭素酸塩(Bromate)検査)
表善面の海水及び地下海水を毎分400L、流速20〜30cm/sec、2.7V、1.2ppmのTRO濃度でオキシダントを発生させ、16分間(1番〜4番チャンバーを滅菌チャンバーとして使用)殺菌して、1.5%の中和液を5番チャンバーに毎分55mlを入れ、エアレーション(Airation)で曝気しながら16分間(5番〜8番チャンバーを中和槽として使用)中和して、TROが0.01ppm以下であることを確認した後、養殖水槽に注水を開始した。
直径8mの水槽に、2014年6月1日魚体重5〜10gの稚魚を入れ流水式滅菌水の魚類養殖を開始し、6ヶ月ぶりの12月1日、魚体重300〜400gの2匹をランダムに選定してミキサーで粉砕した後、蒸留水を加えて全体が2000mlになるようにした後、遠心分離して上澄み液を採取し、臭素酸塩(Bromate)を検査した結果、不検出であった。
また、6ヶ月の養殖期間中、以下の病気による斃死も全く発生しなかった。
1.ラブド(Rhabdo)ウイルス、VHSV(ウイルス性出血性敗血症)、リムフォシスティス(Lymphocystis)ウイルス
2.ビブリオ病(Vibrio anguillarumなど)
3.エドワード病(Edwardsiella tardaなど)
4.連鎖水菌症(Streptococcus parauberisなど)
5.スクーチカ症(Scuticocilate)
したがって、前記の実施例から分かるように、本発明による流水式の魚類養殖方法と、魚類の滅菌養殖システムを適用して養殖水内の様々な病原性微生物などの魚類有害菌を死滅させた後、魚類に有害なオキシダント物質を完全に除去し、滅菌された無菌養殖水を養殖水槽に注水することより、病原性微生物による魚類の斃死を画期的に減らせることが確認された。また、養殖水内に残留するオキシダントの濃度、養殖水の注入速度、養殖水槽の大きさなどを考慮して、各養殖場の規模に合わせて魚類の滅菌養殖システムを設計し使用することにより、産業規模に適用できる優れた養殖方法であることが確認された。
100 養殖水の供給部
200 オキシダントの生成部
300 殺菌処理部
310 第1チャンバー
320 第2チャンバー
400 中和処理部
401 中和剤投入口
402 中華促進剤、
403 エアレーション装置
430〜480 第3チャンバー〜第8チャンバー
500 養殖水槽
600 滅菌養殖水供給部
610 混合タンク
700 養殖廃水の排出部

Claims (18)

  1. (a)淡水または海水を採水して養殖水として供給する養殖水供給段階と、
    (b)前記供給された養殖水内で、チタン(Titanium)またはニオブ(Niobium)を基質金属とし、これに、ルテニウム(Ruthenium)、イリジウム(Iridium)、タンタル(Tantalum)及びプラチナ(Platinum)の中から選択された金属またはそれらの酸化物の中で選択された金属が0.1〜30μmコーティングされたものを陽極として使用し、海水及び淡水を電気分解するが、電圧を2.51〜4.4V(Volt)に調整して臭素酸塩(Bromate)が10ppb以下で生成されるようにする電気分解方法を用いてオキシダント(oxidant)を生成させるオキシダント生成段階と、
    (c)前記養殖水が連続して流れる状態で、養殖水内においてオキシダントが残留しながら前記養殖水内の魚類有害菌を殺菌する殺菌処理段階と、
    (d)前記養殖水が連続して流れる状態で、前記殺菌処理された養殖水に中和剤(Neutralizer)を投入して養殖水内の残留オキシダントが0.06ppm以下になるようにオキシダントを除去する中和処理段階と、
    (e)前記殺菌処理及び中和処理された滅菌養殖水を魚類の養殖水槽に供給する滅菌養殖水供給段階と、
    (f)前記養殖水槽から魚類養殖に使用された養殖廃水を排出する養殖排水排出段階と、を含み、
    前記(c)および(d)段階は、2〜8個に区画されているチャンバーで行われ、前記養殖水は区画されているチャンバーに導入(引入)またはポンピング(pumping)され一方向に流れながら、区画された各チャンバーにおいて前記(c)段階の殺菌処理と前記(d)段階の中和処理が順次に行われ、
    この時、各チャンバーは、下端部が所定の幅で開放された隔壁と、上端部が所定の幅で段を成すように形成された隔壁とが交互に配置され、上端部から下端部に前記養殖水が移動して、下端部から流入された養殖水が再び上端部へ移動し、
    上端部でオーバーフローされ流入し、再び下端部に移動する方式で構成され、養殖水が連続的に上下に上り下りしながら移動される流水(water flow)方式で導入(引入)またはポンピング(pumping)される構造を有することを特徴とする、流水式滅菌水魚類養殖方法。
  2. 前記(c)段階のオキシダントの総残留オキシダント(Total Residual oxidant、TRO)値は、0.1〜7.0ppmであることを特徴とする、請求項に記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
  3. 前記(c)の段階の殺菌は、1〜28分間反応させることを特徴とする、請求項に記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
  4. 前記(d)段階は、遷移金属及びIVA族に属する金属、またはこれらのイオンの中から一つ以上を中和促進剤として投入しオキシダントの除去を促進させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
  5. 前記(d)段階は、空気を注入してオキシダントを除去するエアレーションス段階をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
  6. 前記(d)段階は、亜鉛、鉄、銅、クロム及びスズからなる群より選択された1種以上の金属、またはこれらのイオンを中和促進剤として投入してオキシダントの除去を促進させる段階と、空気を注入してオキシダントを除去するエアレーションス段階とをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
  7. 前記中和促進剤は、網(mesh drawing)、粉末(powder)、グラニュール(granule)、多孔質(porous)ペレット、円筒形ブロック(block)、または板(Plate)の中から選択された一つ以上の形態で投入されることを特徴とする、請求項又はに記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
  8. 前記(d)中和処理段階は、1〜48分間行うことを特徴とする、請求項に記載の流水式滅菌水の魚類養殖方法。
  9. 前記(c)段階は、オキシダントと養殖水を接触して殺菌された直後に、前記(d)段階を行うための中和剤の投入が連続的に行われることを特徴とする、請求項に記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
  10. 前記中和剤として、チオ硫酸無機塩類、ジチオン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、システイン、亜硫酸ガス、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、過酸化水素の中から選択された1種以上の中和剤を使用することを特徴とする、請求項に記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
  11. 淡水または海水を採水して養殖水に供給する養殖水供給部と、
    電気分解によるオキシダント生成手段を備え、供給された前記養殖水においてチタン(Titanium)またはニオブ(Niobium)を基質金属とし、これに、ルテニウム(Ruthenium)、イリジウム(Iridium)、タンタル(Tantalum)及びプラチナ(Platinum)の中から選択された金属またはそれらの酸化物の中で選択された金属が0.1〜30μmコーティングされたものを陽極として使用し、海水及び淡水を電気分解するが、電圧を2.51〜4.4V(Volt)に調整して臭素酸塩(Bromate)が10ppb以下で生成されるようにする電気分解方法によりオキシダント(oxidant)を生成するオキシダント生成部と、
    前記オキシダントが生成された養殖水が供給され移動する間に、前記養殖水内でオキシダントが残留しながら、前記養殖水内の魚類有害菌を殺菌するようにする養殖水移動チャンバーを含む殺菌処理部と、
    前記殺菌処理された養殖水が移動する間に、チオ硫酸塩類、ジチオン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、システイン、亜硫酸ガス、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性亜硫酸ナトリウムおよび過酸化水素の中で選択された1種以上の中和剤(Neutralizer)を投入する中和剤投入部を有し、前記中和剤が投入された養殖水が移動を続けながら、前記養殖水内の残留オキシダントが中和によって0.06ppm以下まで除去されるようにする、養殖水移動チャンバーを含む中和処理部と、
    前記殺菌処理および中和処理された滅菌養殖水を養殖水槽に供給する滅菌養殖水供給部と、
    前記養殖水槽から使用済の養殖廃水を排出する養殖廃水排出部と、
    を含むことを特徴とする流水式滅菌水魚類養殖システム。
  12. 前記中和処理部の中和は、前記殺菌処理部の最後のチャンバーに前記中和剤投入部から投入された中和剤が流水の流れによりオーバーフロー(over flow)することにより前記中和処理部のチャンバーに採水され中和が始まるように構成されたことを特徴とする、請求項11に記載の流水式滅菌水魚類養殖システム。
  13. 前記中和処理部は、亜鉛、鉄、銅、クロム、およびスズからなる群より選択された1種以上の金属、またはこれらのイオンを中和促進剤としてさらに投入されることを特徴とする、請求項11に記載の流水式滅菌水魚類養殖システム。
  14. 前記中和促進剤は、網、粉末、グラニュール、板、多孔質ペレットまたは円筒形ブロックの中から選択された形態で投入されることを特徴とする、請求項13に記載の流水式滅菌水魚類養殖システム。
  15. 前記中和処理部は、ブロアー(blower)、コンプレッサー(compressor)、撹拌機(mixer)及び循環ポンプ(circulating pump)からなる群より選ばれた1種以上の反応向上装置をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の流水式滅菌水魚類養殖システム。
  16. (a)淡水または海水を採水して養殖水として供給する養殖水供給段階と、
    (b)前記供給された養殖水内においてオキシダント(oxidant)を生成させるオキシダント生成段階と、
    (c)前記養殖水が連続して流れる状態で、前記養殖水内でオキシダントが残留しがら前記養殖水内の魚類有害菌を殺菌する殺菌処理段階と、
    (d)前記養殖水が連続して流れる状態で、前記殺菌処理された養殖水に中和剤(Neutralizer)を投入して、前記養殖水内の残留オキシダントが0.01ppm以下になるようにオキシダントを除去する中和処理段階と、
    (e)前記殺菌処理および中和処理された滅菌養殖水を魚類の養殖水槽に供給する滅菌養殖水供給段階と、
    (f)前記養殖水槽から魚類養殖に使用済の養殖廃水を排出する養殖廃水の排水段階と、を含み、
    前記(c)と(d)段階は、2〜8個に区画されているチャンバーにおいて行われ、前記養殖水は前記区画されているチャンバーに導入(引入)またはポンピング(pumping)され一方向に流れながら、前記区画された各々のチャンバーにおいて前記(c)段階の殺菌処理と前記(d)段階の中和処理とが順次行われ、
    このとき、前記各チャンバーは、下端部が所定の幅に開放された隔壁と、上段部が所定の幅で段を成すように形成された隔壁とが交互に配置され、上端部から下端部に養殖水が移動し、前記下端部から流入された養殖水が再び前記上端部に移動し、前記上端部からオーバーフローされ流入し再び前記下端部に移動する方法で構成され、前記養殖水が連続して上下に上り下りしながら移動される流水方式で導入(引入)またはポンピングされる構造を有することを特徴とする、流水式滅菌水魚類養殖方法。
  17. 前記オキシダントは、オゾンから生成されることを特徴とする、請求項16に記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
  18. 前記中和剤は、チオ硫酸無機塩類、ジチオン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、システイン、亜硫酸ガス、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、過酸化水素の中から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項16に記載の流水式滅菌水魚類養殖方法。
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