JP6123948B2 - タイヤインナーライナー用シートおよびタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤインナーライナー用シートおよびタイヤに関する。
近年、車の低燃費化に対する要求は、ますます高くなってきている。これに伴い、タイヤについては、薄ゲージ化による軽量化にくわえ、転がり抵抗を低減できる変形しにくいタイヤの実現、すなわち形状安定性の向上が図られている傾向にある。この傾向は、タイヤの空気圧を保持するための部材であり、かつタイヤを形成する構成の1つであるインナーライナーについても同様であり、特に、薄型化およびガスバリア性の向上という観点において、これまでに種々の検討がなされている。
インナーライナーの薄型化およびガスバリア性の向上に着目した技術として、たとえば、以下のものがある。
特許文献1には、ブチル系ゴムよりガスバリア性に優れ、タイヤインナーライナー層の厚みを薄くすることができる熱可塑性樹脂を、タイヤインナーライナーに用いる技術が記載されている。
特許文献2には、従来のブチル系ゴムの代わりにエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いて形成されたタイヤインナーライナーに係る技術が記載されている。
特許文献3には、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体を含むガスバリア層と、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体を含み、かつカーカス又はインスレーションとを接着させる接着層とを備えたタイヤインナーライナー用ポリマーシートに係る技術が記載されている。
特開平9−165469号公報 特開2009−220793号公報 特開2012−31362号公報
しかしながら、近年タイヤインナーライナーの各種特性について要求される技術水準は、ますます高くなっている。それ故、従来のタイヤインナーライナーを形成するために用いられるシート(以下、タイヤインナーライナー用シートと示す。)については、薄型化およびガスバリア性の向上という観点において、さらなる改良が要求されている。
こうした事情を鑑みて、本発明は、従来の要求特性を維持しつつ、ガスバリア性を向上させたタイヤインナーライナー用シート、およびそれを用いたタイヤを提供することを目的とする。
本発明によれば、空気バリア層と、
前記空気バリア層に積層された水蒸気バリア層と、
を有し、
前記空気バリア層が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリニトリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリフッ化樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含み、
前記水蒸気バリア層が、変性ポリオレフィン層を含み、
前記変性ポリオレフィン層を構成する樹脂は無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂である、
タイヤインナーライナー用シートが提供される。
さらに、本発明によれば、上記タイヤインナーライナー用シートを含む、タイヤが提供される。
本発明によれば、従来の要求特性を維持しつつ、ガスバリア性を向上させたタイヤインナーライナー用シート、およびそれを用いたタイヤを提供できる。
<タイヤインナーライナー用シート>
本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シート(以下、本シートと示す。)は、空気バリア層と、空気バリア層に積層された水蒸気バリア層と、を有するものである。そして、本シートにおける空気バリア層は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリニトリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリフッ化樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含み、水蒸気バリア層は、ポリアミド樹脂、ポリフッ化樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む。こうすることで、従来の要求特性を維持しつつ、タイヤのガスバリア性を向上させるために有用なタイヤインナーライナー用シートを実現することができる。
本シートは、上述したように水蒸気バリア層を有しているため、高湿度条件下においても高いガスバリア性を発揮することが可能である。また、本シートをタイヤインナーライナーとして使用した場合、タイヤ内部から空気が抜けることのみに限らず、タイヤ外部から空気が侵入することについても防ぐことができる。言い換えれば、本シートによれば、タイヤを製造した直後の状態を長期間保持することが可能となる。それ故、本シートをタイヤインナーライナーとして使用した場合、従来のシートを用いる場合と比べて、転がり抵抗が低減された変形しにくい形状安定性に優れたタイヤを実現することができる。
本シートの厚みは、好ましくは、0.05mm以上1.5mm以下であり、さらに好ましくは、0.05mm以上1.2mm以下であり、最も好ましくは、0.05mm以上1.0mm以下である。こうすることで、従来のシートと比べて、ガスバリア性に優れ、かつ薄膜化したインナーライナーを実現することが可能である。
本シートにおける空気バリア層のガスバリア性は、当該空気バリア層の25℃、65%RHにおける厚み20μm換算での酸素透過係数の値が、好ましくは、1cc/m・day・atm以上5×10cc/m・day・atm以下であり、さらに好ましくは、1cc/m・day・atm以上3×10cc/m・day・atm以下であり、より好ましくは、1cc/m・day・atm以上1×10cc/m・day・atm以下である。こうすることで、本シートをタイヤインナーライナーとして使用した場合、車体重量に関係なく、転がり抵抗が低減された変形しにくい形状安定性を発揮することができるタイヤを実現することが可能となる。言い換えれば、酸素透過係数の値が、上記数値範囲内である場合、タイヤ走行時に加わる応力による影響を受けにくい形状安定性に優れたタイヤを実現することが可能となる。
本シートにおける水蒸気バリア層のガスバリア性は、当該水蒸気バリア層の40℃、90%RHにおける厚み20μm換算での水蒸気透過度が、1g/m・day以上150g/m・day以下であることが好ましく、1g/m・day以上120g/m・day以下であるとさらに好ましい。こうすることで、高湿度条件下におけるガスバリア性という観点においてより一層優れたインナーライナーを実現することが可能となる。
本シートにおける空気バリア層と水蒸気バリア層との接着界面における剥離強度は、好ましくは、1.0N/mm以上10.0N/mm以下であり、さらに好ましくは、1.5N/mm以上10.0N/mm以下であり、最も好ましくは、2.0N/mm以上10.0N/mm以下である。こうすることで、走行時にタイヤが発熱した場合にも、良好な接着状態を維持できるインナーライナーを実現することが可能となる。
本シートは、複数の空気バリア層を有していてもよい。たとえば、本シートは、第1の空気バリア層と第2の空気バリア層とを有し得る。この場合、第1の空気バリア層、水蒸気バリア層および第2の空気バリア層は、この順で積層されていることが好ましい。また、本シートは、複数の水蒸気バリア層を有していてもよい。たとえば、本シートは、第1の水蒸気バリア層と第2の水蒸気バリア層とを有し得る。この場合、第1の水蒸気バリア層、空気バリア層および第2の水蒸気バリア層は、この順で積層されていることが好ましい。こうすることで、従来のシートと比べて、高いガスバリア性を備えたインナーライナーを実現することが可能となる。具体的には、本シートが上述した多層構造を有する場合、タイヤの最も内側に配されるバリア層により、外部環境から受ける影響(水分など)によりタイヤが劣化する可能性を低減することが可能となる。なお、空気バリア層と水蒸気バリア層とが、互いにその表面同士が接合するように積層されていない場合、空気バリア層と水蒸気バリア層との間には、タイヤの耐久性を向上させる観点から、接着剤層を介在させてもよい。
本シートにおける空気バリア層を形成する材料は、上述したように、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリニトリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリフッ化樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む材料であるが、より具体的には以下の通りである。上記ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートとポリカーボネートの共重合体、ポリブチレンテレフタレートとポリカプロラクトンの共重合体、ポリブチレンテレフタレートとポリグリコールの共重合体、ポリブチレンナフタレートとポリグリコールの共重合体等が挙げられる。上記ポリアミド樹脂の具体例としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン10,10、ナイロン6,12、ナイロン6とナイロン6,6の共重合体、ナイロン6とナイロン6,6とナイロン12の共重合体、ナイロン6とナイロン12の共重合体、ナイロン12とポリエーテルの共重合体、芳香族系ナイロン等が挙げられる。上記ポリニトリル樹脂としては、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。上記ポリビニル樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンとビニルアルコール共重合体等が挙げられる。上記ポリフッ化樹脂の具体例としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体、テトラフルオロエチレンとジフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体等が挙げられる。上記ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、併用してもよく、さらには、これらの樹脂を構成するモノマーを共重合させたものを使用してもよい。中でも、高湿度条件下においても高いガスバリア性を発現し、かつ、高い切断伸度を有する観点から、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6の共重合体、ナイロン6とナイロン12の共重合体、ナイロン6とナイロン6,6とナイロン12の共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン共重合体、が好ましい。
また、本シートにおける空気バリア層を形成する材料は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、フィラーや、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、エラストマーなどの添加剤を含有してもよい。
本シートにおける水蒸気バリア層を形成する材料は、上述したように、ポリフッ化樹脂、ポリアミド樹脂またはポリオレフィン樹脂からなる群より選択される1種以上を含む材料であるが、より具体的には以下の通りである。上記ポリフッ化樹脂の具体例としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体、テトラフルオロエチレンとジフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体等が挙げられる。上記ポリアミド樹脂の具体例としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン10,10、ナイロン6,12、ナイロン6とナイロン6,6の共重合体、ナイロン6とナイロン6,6とナイロン12の共重合体、ナイロン12とポリエーテルの共重合体、芳香族系ナイロン等が挙げられる。上記ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、エチレンとシクロオレフィン共重合体等が挙げられ、これらは変性ポリオレフィンであってもよい。これらは、単独で使用してもよいし、併用してもよく、さらには、これらの樹脂を構成するモノマーを共重合させたものを使用してもよい。中でも、高湿度条件下においても高いガスバリア性を発現するインナーライナーを実現する観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ナイロン12が好ましい。
また、本シートにおける水蒸気バリア層を形成する材料は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、フィラーや、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、エラストマー、ゴムなどの添加剤を含有してもよい。
本シートにおける空気バリア層の切断伸度は、好ましくは、80%以上1500%以下であり、さらに好ましくは、110%以上1500%以下であり、最も好ましくは、150%以上1500%以下である。こうすることで、タイヤ製造工程での部材の拡張に対して、タイヤインナーライナー用シートが追随することができるため、タイヤインナーライナー用シートに欠損が生じることなく、タイヤの内圧保持性を維持することができる。なお、切断伸度は、JIS K6251−2010に準じて測定することができる。
本シートは、水蒸気バリア層の切断伸度は、好ましくは、80%以上1500%以下であり、さらに好ましくは、110%以上1500%以下であり、最も好ましくは、150%以上1500%以下である。こうすることで、タイヤ製造工程での部材の拡張に対して、タイヤインナーライナー用シートが追随することができるため、タイヤインナーライナー用シートに欠損が生じることなく、タイヤの内圧保持性を維持することができる。なお、切断伸度は、JIS K6251−2010に準じて測定することができる。
上記空気バリア層の厚みは、好ましくは、0.01mm以上0.75mm以下であり、さらに好ましくは、0.01mm以上0.6mm以下であり、最も好ましくは、0.01mm以上0.5mm以下である。こうすることで、従来のシートと比べて、ガスバリア性に優れ、かつ薄膜化したインナーライナーを実現することが可能である。
上記水蒸気バリア層の厚みは、好ましくは、0.04mm以上0.75mm以下であり、さらに好ましくは、0.05mm以上0.75mm以下であり、最も好ましくは、0.1mm以上0.75mm以下である。こうすることで、従来のシートと比べて、ガスバリア性に優れ、かつ薄膜化したインナーライナーを実現することが可能である。
また、本シートにおける水蒸気バリア層が、ポリオレフィン樹脂を含む材料により形成されている場合、かかるポリオレフィン樹脂は、変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。言い換えれば、本シートにおける水蒸気バリア層は、変性ポリオレフィン樹脂を含む材料により形成された変性ポリオレフィン層であることが好ましい。こうすることで、水蒸気バリア層に接着層としての機能を付与することが可能となる。そのため、本シートにおける水蒸気バリア層として、変性ポリオレフィン層を採用した場合には、走行時にタイヤが発熱した場合にも、良好な接着状態を維持でき、かつ高湿度条件下におけるガスバリア性に優れたインナーライナーを実現することが可能となる。なお、本シートが複数の水蒸気バリア層を有している場合、かかる水蒸気バリア層として、上記変性ポリオレフィン層だけを有した構成としてもよいが、上記変性ポリオレフィン層と、変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含む材料により形成された水蒸気バリア層とが共存した構成としてもよい。
上記変性ポリオレフィン樹脂としては、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。さらに、上記無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂または無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂が好ましい。こうすることで、タイヤ走行時に発熱した場合にも、より一層良好な接着状態を維持できるインナーライナーを実現することが可能となる。
また、本シートにおける変性ポリオレフィン層を形成する材料は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、フィラーや、可塑剤、エラストマー、ゴムなどの添加剤を含有してもよい。
本シートが変性ポリオレフィン層を含む複数の水蒸気バリア層を有したものである場合、その層構造は、第1の空気バリア層、第1の変性ポリオレフィン層、変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含む材料により形成された水蒸気バリア層、第2の変性ポリオレフィン層および第2の空気バリア層がこの順で積層されてなる5層以上の多層構造、または変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含む材料により形成された第1の水蒸気バリア層、第1の変性ポリオレフィン層、空気バリア層、第2の変性ポリオレフィン層および変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含む材料により形成された第2の水蒸気バリア層が、この順で積層されてなる5層以上の多層構造を有していることが好ましい。こうすることで、走行時にタイヤが発熱した場合にも、良好な接着状態を維持でき、かつ従来のシートと比べて、高湿度条件下におけるガスバリア性に優れたインナーライナーを実現することが可能となる。なお、本シートは、5層以上の構成を備えたものであってもよく、その層構造は使用環境に応じて適宜選択することが可能である。
本シートは、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法等公知の方法を用いて作製することができる。また、各層を、別々に製造してからラミネーター等により接合してもよいし、空冷式または水冷式共押出インフレーション法や共押出Tダイ法で成膜してもよい。中でも、各層を形成する材料をTダイ押出機で共押出によって積層し、これを冷却ロールで常温に冷却する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。また、空気バリア層と水蒸気バリア層とを直接接合してもよいし、変性ポリオレフィン層を介して接合してもよい。
<タイヤ>
本実施形態に係るタイヤとは、空気入りタイヤのことを指す。ここで、図1を参照して本実施形態に係るタイヤの構成について説明する。なお、本実施形態に係るタイヤは、乗用車、トラック、バス、重機等に使用することができる。また、本実施形態に係るタイヤは、上述したタイヤインナーライナー用シートを備えているため、従来のタイヤと比べて転がり抵抗が低減された変形しにくい形状安定性に優れたものである。また、本実施形態に係るタイヤによれば、従来のタイヤと比べて軽量化することも可能である。
具体的には、本実施形態に係るタイヤは、走行時に路面と直接接するトレッド部と、該タイヤの側面を形成し、かつ後述するカーカスを保護するサイドウォール部と、該タイヤをホイールに備わるリムに固定するとともに、カーカスの両端を固定するためのビート部とを有する。そして、本実施形態に係るタイヤにおいては、その内側から外側にかけて、上述した本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シートにより形成されたインナーライナーと、該タイヤの骨組みを形成するカーカスとが、この順で配置されている。なお、タイヤにおいて、インナーライナーとカーカスとの間には、インスレーションが介在していてもよい。また、本実施形態に係るタイヤにおいて、トレッド部と、カーカスとの間には、上記トレッド部を補強するためにベルト層が配されている。具体的には、上記ベルト層は、カーカスのクラウン部外側に配置され、上記トレッド部の剛性を高める役割を果たしている。さらに、タイヤにおけるビート部には、上記カーカスの端部を折り返すように係止し、かつ走行時にカーカスの引っ張りを受け止めてリムに固定するためのビートコアが配されている。
次に、本実施形態に係るタイヤの製造方法について説明する。
本実施形態に係るタイヤの製造方法は、インナーライナー用シートをインナーライナーに用いた生タイヤを準備する工程と、上記生タイヤを金型に装着し、ブラダーにより加圧しつつ加硫して加硫タイヤを得る工程と、上記加硫タイヤを50〜120℃で10〜300秒間冷却する工程と、を含む。
上述した生タイヤを準備する工程において、タイヤインナーライナー用シートは、生タイヤのインナーライナー部に配置されることになる。このとき用いるタイヤインナーライナー用シートは、隣接部材(カーカスプライ)との密着性を強固なものとする観点から、事前にその表面にコロナ放電処理やプラズマ表面処理を施したものであることが好ましい。また、上述した生タイヤを準備する工程においてタイヤインナーライナー用シートを上記インナーライナー部に配置する手法としては、たとえば、カーカスプライがタイヤの外縁部側を向くように、接着剤を介して上記カーカスプライに対して該シートを密着させる方法や、上記カーカスプライに対して該シートを圧着させる方法等が挙げられる。ここで、上記接着剤の具体例としては、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、加硫接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。
なお、本実施形態に係るタイヤにおいて、タイヤ内圧を保持する気体としては、その機能を発揮できる気体であれば使用することが可能である。かかる気体の具体例としては、空気、窒素、ヘリウム等が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
空気バリア層と、
前記空気バリア層に積層された水蒸気バリア層と、
を有し、
前記空気バリア層が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリニトリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリフッ化樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含み、
前記水蒸気バリア層が、ポリアミド樹脂、ポリフッ化樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、タイヤインナーライナー用シート。
2.
前記空気バリア層の、25℃、65%RHにおける厚み20μm換算での酸素透過係数の値が、1cc/m ・day・atm以上5×10 cc/m ・day・atm以下である、1.に記載のタイヤインナーライナー用シート。
3.
前記水蒸気バリア層の、40℃、90%RHにおける厚み20μm換算での水蒸気透過度が、1g/m ・day以上150g/m ・day以下である、1.または2.に記載のタイヤインナーライナー用シート。
4.
当該タイヤインナーライナー用シートの厚みが、0.05mm以上1.5mm以下である、1.乃至3.のいずれか一つに記載のタイヤインナーライナー用シート。
5.
前記空気バリア層および前記水蒸気バリア層の表面同士が互いに接合するように積層しており、
前記空気バリア層と前記水蒸気バリア層との接着界面における剥離強度が、1.0N/mm以上10.0N/mm以下である、1.乃至4.のいずれか一つに記載のタイヤインナーライナー用シート。
6.
当該タイヤインナーライナー用シートが、第1の前記空気バリア層と第2の前記空気バリア層とを含み、前記第1の空気バリア層、前記水蒸気バリア層および前記第2の空気バリア層がこの順で積層してなる多層構造を有している、1.乃至5.のいずれか一つに記載のタイヤインナーライナー用シート。
7.
当該タイヤインナーライナー用シートが、第1の前記水蒸気バリア層と第2の前記水蒸気バリア層とを含み、前記第1の水蒸気バリア層、前記空気バリア層および前記第2の水蒸気バリア層がこの順で積層してなる多層構造を有している、1.乃至5.のいずれか一つに記載のタイヤインナーライナー用シート。
8.
前記水蒸気バリア層が、前記ポリオレフィン樹脂として変性ポリオレフィン樹脂を含む変性ポリオレフィン層である、1.乃至7.のいずれか一つに記載のタイヤインナーライナー用シート。
9.
前記変性ポリオレフィン樹脂が、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂である、8.に記載のタイヤインナーライナー用シート。
10.
1.乃至9.のいずれか一つに記載のタイヤインナーライナー用シートを含む、タイヤ。


以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、後述においては、変性ポリオレフィン樹脂を含む材料により形成された水蒸気バリア層を、変性ポリオレフィン層と称し、変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含む材料により形成された水蒸気バリア層を、水蒸気バリア層と称して、実施例を説明することとする。
<実施例1>
空気バリア層を形成する材料として、ポリエステル樹脂(帝人社製、TRN−8580FC)を、変性ポリオレフィン層を形成する材料として、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製、アドマー(登録商標)SF731)を用いた。上述した各種材料を、Tダイ押出機(スクリュー径:φ50mm、L/D:28、サン・エヌ・ティ社製、SNT50−36V型押出機)に投入し、冷却ロールを用いて冷却、固化する共押出Tダイ法にて、空気バリア層/変性ポリオレフィン層/空気バリア層の順に積層された3層構造の多層シートを製膜し、実施例1のインナーライナー用シートを得た。得られたインナーライナー用シートの厚さは、120μmであった。各層の厚みは、それぞれ、空気バリア層が10μmであり、変性ポリオレフィン層が100μmであった。
<実施例2>
空気バリア層を形成する材料として、ナイロン6(宇部興産社製、UBEナイロン(登録商標)1022B)を、変性ポリオレフィン層を形成する材料として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学社製、アドマー(登録商標)QB510)を、水蒸気バリア層を形成する材料として、ポリプロピレン(住友化学社製、FS2011DG2)を用いた。上述した各種材料を、Tダイ押出機(スクリュー径:φ50mm、L/D:28、サン・エヌ・ティ社製、SNT50−36V型押出機)に投入し、冷却ロールを用いて冷却、固化する共押出Tダイ法にて、空気バリア層/変性ポリオレフィン層/水蒸気バリア層/変性ポリオレフィン層/空気バリア層の順に積層された5層構造の多層シートを製膜し、実施例2のインナーライナー用シートを得た。得られたインナーライナー用シートの厚さは、120μmであった。各層の厚みは、それぞれ、空気バリア層が10μmであり、変性ポリオレフィン層が10μmであり、水蒸気バリア層が80μmであった。
<実施例3>
変性ポリオレフィン層を形成する材料として、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(三井化学社製、アドマー(登録商標)NF308)を、水蒸気バリア層を形成する材料として、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(プライムポリマー社製、ネオゼックス3510F)を用いた点以外は、実施例2と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<実施例4>
実施例2の空気バリア層を形成する材料と、実施例2の変性ポリオレフィン層を形成する材料とを用いて、空気バリア層/変性ポリオレフィン層/空気バリア層の順に積層された3層構造の多層シートを製膜した点以外は、実施例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。なお、得られたインナーライナー用シートの厚さは、120μmであった。各層の厚みは、それぞれ、空気バリア層が10μmであり、変性ポリオレフィン層が100μmであった。
<実施例5>
実施例3の空気バリア層を形成する材料と、実施例3の変性ポリオレフィン層を形成する材料とを用いて、空気バリア層/変性ポリオレフィン層/空気バリア層の順に積層された3層構造の多層シートを製膜した点以外は、実施例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。なお、得られたインナーライナー用シートの厚さは、120μmであった。各層の厚みは、それぞれ、空気バリア層が10μmであり、変性ポリオレフィン層が100μmであった。
<実施例6>
実施例2の空気バリア層を形成する材料と、実施例2の変性ポリオレフィン層を形成する材料とを用いて、変性ポリオレフィン層/空気バリア層/変性ポリオレフィン層の順に積層された3層構造の多層シートを製膜した点以外は、実施例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。なお、得られたインナーライナー用シートの厚さは、120μmであった。各層の厚みは、それぞれ、空気バリア層が20μmであり、変性ポリオレフィン層が50μmであった。
<実施例7>
実施例3の空気バリア層を形成する材料と、実施例3の変性ポリオレフィン層を形成する材料とを用いて、変性ポリオレフィン層/空気バリア層/変性ポリオレフィン層の順に積層された3層構造の多層シートを製膜した点以外は、実施例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。なお、得られたインナーライナー用シートの厚さは、120μmであった。各層の厚みは、それぞれ、空気バリア層が20μmであり、変性ポリオレフィン層が50μmであった。
<実施例8>
空気バリア層を形成する材料として、ナイロン6とナイロン12の共重合体(宇部興産社製、UBEナイロン(登録商標)7024B)を用いた点以外は、実施例2と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<実施例9>
空気バリア層を形成する材料として、ポリ塩化ビニリデン樹脂(SOLVAY社製、IXAN(登録商標)PVS815)を用いた以外は、実施例7と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<実施例10>
空気バリア層を形成する材料として、ポリフッ化ビニリデン樹脂(ARKEMA製、Kynar(登録商標)740)を用いた以外は、実施例7と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<比較例1>
ナイロン6(宇部興産社製、UBEナイロン(登録商標)1022B)を、Tダイ押出機(スクリュー径:φ50mm、L/D:28、サン・エヌ・ティ社製、SNT50−36V型押出機)に投入し、冷却ロールを用いて冷却、固化するTダイ押出法にて、厚み150μmの単層の空気バリア層からなるインナーライナー用シートを作製した。
<比較例2>
ポリエステル樹脂(帝人社製、TRN−8580FC)を用いて空気バリア層からなる単層シートを作製した点以外は、比較例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<比較例3>
無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製、アドマー(登録商標)SF731)を用いて変性ポリオレフィン層からなる単層シートを作製した点以外は、比較例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<比較例4>
ナイロン6とナイロン12の共重合体(宇部興産社製、UBEナイロン(登録商標)7024B)を用いて空気バリア層からなる単層シートを作製した点以外は、比較例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<比較例5>
ポリプロピレン(住友化学社製、FS2011DG2)を用いて水蒸気バリア層からなる単層シートを作製した点以外は、比較例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<比較例6>
直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(プライムポリマー社製、ネオゼックス3510F)を用いて水蒸気バリア層からなる単層シートを作製した点以外は、比較例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<比較例7>
無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学社製、アドマー(登録商標)QB510)を用いて変性ポリオレフィン層からなる単層シートを作製した点以外は、比較例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
<比較例8>
無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(三井化学社製、アドマー(登録商標)NF308)を用いて変性ポリオレフィン層からなる単層シートを作製した点以外は、比較例1と同様の方法でインナーライナー用シートを作製した。
実施例および比較例で得られたインナーライナー用シートをインナーライナーとして使用して、195/65R15サイズのタイヤを、通常の方法に従って作製した。いずれのシートについても、コロナ放電処理(放電電流:6A、処理速度:10m/分)した表面に接着剤を膜厚60μmとなるように塗布した後、乾燥することによりカーカスプライに接着した。
実施例および比較例で得られたインナーライナー用シートを用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<評価方法>
・空気バリア層の厚み20μm換算での酸素透過係数:空気バリア層の厚み20μm換算での酸素透過係数は、各実施例および各比較例のインナーライナー用シートに含まれる空気バリア層を形成する材料を用いて、多層シートではなく単層シートを製膜した点以外は上記各実施例および各比較例と同じ条件の押出Tダイ法にて得た厚さTが150μmの単層フィルムについて、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(オキシトラン(登録商標)OX−TRAN 2/21)を使用して、JIS K7126−2における付属書Bに準じて測定した。測定条件は、25℃、65%RHに設定した。なお、単位は、cc/m・day・atmである。
・水蒸気バリア層の厚み20μm換算での水蒸気透過度:水蒸気バリア層の厚み20μm換算での水蒸気透過度は、各実施例および各比較例のインナーライナー用シートに含まれる水蒸気バリア層を形成する材料を用いて、多層シートではなく単層シートを製膜した点以外は上記各実施例および各比較例と同じ条件の押出Tダイ法にて得た厚さTが150μmの単層フィルムについて、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過度測定装置(PERMATRAN−W 3/33)を使用して、JIS K7126−2に準じて測定した。測定条件は、40℃、90%RHに設定した。なお、単位は、g/m・dayである。なお、変性ポリオレフィン層を含む場合には、水蒸気バリア層と変性ポリオレフィン層の両方について水蒸気透過度を測定した。
・剥離強度:各実施例および各比較例のインナーライナー用シートに含まれる空気バリア層を形成する材料を用いて、Tダイ押出機(スクリュー径:φ50mm、L/D:28、SNT50−36V型押出機、株式会社サン・エヌ・ティ社製)を用いて0.5mm厚みのシート(以下、空気バリア層と称する。)として成形した。また、各実施例のインナーライナー用シートに含まれる水蒸気バリア層、または変性ポリオレフィン層を形成する材料を用いて、Tダイ押出機(スクリュー径:φ50mm、L/D:28、SNT50−36V型押出機、株式会社サン・エヌ・ティ社製)を用いて0.5mm厚みのシート(以下、水蒸気バリア層、または変性ポリオレフィン層と称する。)として成形した。この空気バリア層と水蒸気バリア層、または変性ポリオレフィン層を重ね、空気バリア層と水蒸気バリア層、または変性ポリオレフィン層の間の一部に、めくり口となるようにPTFEシートを1cm程度の長さで挿入し、両外側を金属メッシュで挟み込み、260℃、15分、5MPaの条件で2層シート厚みが0.6mmとなるように貼り合わせ、130mm長さ×25mm幅の短冊として剥離強度評価用のサンプルとした。剥離強度は23℃、50%RHの雰囲気下で、JIS−K6854−3に準拠し、引張速度500mm/minによるT型剥離試験により、層間の剥離強度を測定した。なお、単位は、N/mmである。評価結果は下記の通りとした。
〇:1.0N/mm以上10.0N/mm以下
×:1.0N/mm未満
・切断伸度:インナーライナー用シートの切断伸度は、各実施例および各比較例のインナーライナー用シートに含まれる層を形成する材料を用いて、多層シートではなく単層シートを製膜した点以外は上記各実施例および各比較例と同じ条件の押出Tダイ法にて得た厚さが150μmの単層フィルムについて、23℃、50%RHの条件下、JIS K6251−2010に準じて測定した。なお、単位は、%である。
・23℃でのカーカス用ゴムシートとの接着力:各実施例および比較例のインナーライナー用シートに含まれる最外層を形成する材料をTダイ押出機(スクリュー径:φ50mm、L/D:28、SNT50−36V型押出機、株式会社サン・エヌ・ティ社製)を用いて0.5mm厚みのシートとして成形した。得られたシートについて、コロナ放電処理(放電電流:6A、処理速度:10m/分)した表面に接着剤を膜厚60μmとなるように塗布した後、乾燥した。得られたシートの接着剤面が2mm厚みのカーカス用ゴムシート(天然ゴム70質量部、スチレンブタジエンゴム30質量部、カーボンブラック40質量部、プロセスオイル7質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛5質量部、硫黄3質量部、加硫促進剤1質量部)と接するようにして、一部にめくり口となるようにPTFEシートを1cm程度の長さで挿入し、両外側を金属メッシュで挟み込み、170℃、15分、5MPaの条件で2層シート厚みが1.5mmとなるように貼り合わせ、130mm長さ×25mm幅の短冊として接着力評価用のサンプルとした。次いで、作製したサンプルの温度が23℃となるように該サンプルを保持した後、引張り試験機(テンシロン万能試験機 RTG−1310、オリエンテック社製)で、チャック間隔30mm、引張速度500mm/分の条件で、23℃、50%RHにおけるS−Sカーブ(応力−歪み曲線)を測定し、その値を幅(25mm)で割って接着力を測定することで平均接着力とした。材料破断した場合は、最大荷重を接着力とした。評価結果は下記の通りとした。
◎:8.0N/mm以上
○:5.0N/mm以上、8.0N/mm未満
・80℃でのカーカス用ゴムシートとの接着力:各実施例および比較例のインナーライナー用シートに含まれる最外層を形成する材料をTダイ押出機(スクリュー径:φ50mm、L/D:28、SNT50−36V型押出機、株式会社サン・エヌ・ティ社製)を用いて0.5mm厚みのシートとして成形した。得られたシートについて、コロナ放電処理(放電電流:6A、処理速度:10m/分)した表面に接着剤を膜厚60μmとなるように塗布した後、乾燥した。得られたシートの接着剤面が2mm厚みのカーカス用ゴムシート(天然ゴム70質量部、スチレンブタジエンゴム30質量部、カーボンブラック40質量部、プロセスオイル7質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛5質量部、硫黄3質量部、加硫促進剤1質量部)と接するようにして、一部にめくり口となるようにPTFEシートを1cm程度の長さで挿入し、両外側を金属メッシュで挟み込み、170℃、15分、5MPaの条件で2層シート厚みが1.5mmとなるように貼り合わせ、130mm長さ×25mm幅の短冊として接着力評価用のサンプルとした。次いで、作製したサンプルの温度が23℃となるように該サンプルを保持してから、80℃で15分間保持した後、引張り試験機(テンシロン万能試験機 RTG−1310、オリエンテック社製)で、チャック間隔30mm、引張速度500mm/分の条件で、80℃、50%RHにおけるS−Sカーブ(応力−歪み曲線)を測定し、その値を幅(25mm)で割って接着力を測定することで平均接着力とした。材料破断した場合は、最大荷重を接着力とした。評価結果は下記の通りとした。
◎:2.0N/mm以上
△:2.0N/mm未満
・タイヤ作製時の加工性:以下の基準で評価を行った。
○:「問題なし」、タイヤ作製時に、通常と変わりなく特に問題はない。
×:「フィルム切断」、タイヤ作製時に、シートが1箇所以上切断した。「成形困難」、タイヤ作製時に、シートの張力が大き過ぎて成形し難い。「加硫前剥がれ」、タイヤ作製時に、シートの成形はできたものの、加硫前にインナーライナーがカーカスプライから剥がれた。
・タイヤのエア漏れ性:リム組後に、各タイヤを内圧2.0kg/cmに調整し、25±1℃で48時間放置し、再度、内圧を2.0kg/cmに調整し直し、さらに25±1℃で60日間放置し、この60日間におけるタイヤ内圧の低下率を下式より算出し、その結果を比較例1のタイヤを100として指数化した。評価結果は下記の通りとした。数値は大きい方が内圧保持性が高く良好であることを示す。
エア漏れ性={(P1−P0)/P0}×100
(式中、P0は初期内圧、(2.0kg/cm)を表し、P1は60日間放置後のタイヤ内圧を表す。)
◎:105以上
○:100より大きく105未満
×:100以下
・高湿度環境下でのタイヤのエア漏れ性:リム組後に、各タイヤを内圧2.0kg/cmに調整し、25±1℃で48時間放置し、再度、内圧を2.0kg/cmに調整し直し、さらに40±1℃、90%RHで60日間放置し、この60日間におけるタイヤ内圧の低下率を下式より算出し、その結果を比較例1のタイヤを100として指数化した。評価結果は下記の通りとした。数値は大きい方が内圧保持性が高く良好であることを示す。
エア漏れ性={(P1−P0)/P0}×100
(式中、P0は初期内圧、(2.0kg/cm)を表し、P1は60日間放置後のタイヤ内圧を表す。)
◎:105以上
○:100より大きく105未満
×:100以下
・インナーライナー用シート全体の水蒸気バリア性:各実施例および比較例のインナーライナー用シートを用いて、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過度測定装置(PERMATRAN−W 3/33)を使用して、JIS K7126−2に準じて測定した。測定条件は、40℃、90%RHに設定した。なお、単位は、g/m・dayである。また、評価結果は下記の通りとした。
〇:厚み20μm換算での水蒸気透過度が150g/m・day以下である。
×:厚み20μm換算での水蒸気透過度が150g/m・dayより大きい値を示す。
・タイヤ外観:加硫後のタイヤの内側を検査し、目視外観でタイヤ1本あたりの皺個数を測定した。評価結果は下記の通りとした。
○:0個
×:1個以上
Figure 0006123948
各実施例のインナーライナー用シートは、いずれも、従来の要求特性を維持しつつ、ガスバリア性に優れたものであった。また、各実施例のインナーライナー用シートを用いたタイヤは、転がり抵抗を低減できる変形しにくい形状安定性に優れたものであった。
この出願は、2015年3月3日に出願された日本出願特願2015−41069号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (9)

  1. 空気バリア層と、
    前記空気バリア層に積層された水蒸気バリア層と、
    を有し、
    前記空気バリア層が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリニトリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリフッ化樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含み、
    前記水蒸気バリア層が、変性ポリオレフィン層を含み、
    前記変性ポリオレフィン層を構成する樹脂は無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂である、
    タイヤインナーライナー用シート。
  2. 前記空気バリア層の、25℃、65%RHにおける厚み20μm換算での酸素透過係数の値が、1cc/m・day・atm以上5×10cc/m・day・atm以下である、請求項1に記載のタイヤインナーライナー用シート。
  3. 前記水蒸気バリア層の、40℃、90%RHにおける厚み20μm換算での水蒸気透過度が、1g/m・day以上150g/m・day以下である、請求項1または2に記載のタイヤインナーライナー用シート。
  4. 当該タイヤインナーライナー用シートの厚みが、0.05mm以上1.5mm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のタイヤインナーライナー用シート。
  5. 前記空気バリア層および前記水蒸気バリア層の表面同士が互いに接合するように積層しており、
    前記空気バリア層と前記水蒸気バリア層との接着界面における剥離強度が、1.0N/mm以上10.0N/mm以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のタイヤインナーライナー用シート。
  6. 前記空気バリア層が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリニトリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリフッ化樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のタイヤインナーライナー用シート。
  7. 当該タイヤインナーライナー用シートが、第1の前記空気バリア層と第2の前記空気バリア層とを含み、前記第1の空気バリア層、前記水蒸気バリア層および前記第2の空気バリア層がこの順で積層してなる多層構造を有している、請求項1乃至のいずれか一項に記載のタイヤインナーライナー用シート。
  8. 当該タイヤインナーライナー用シートが、第1の前記水蒸気バリア層と第2の前記水蒸気バリア層とを含み、前記第1の水蒸気バリア層、前記空気バリア層および前記第2の水蒸気バリア層がこの順で積層してなる多層構造を有している、請求項1乃至のいずれか一項に記載のタイヤインナーライナー用シート。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のタイヤインナーライナー用シートを含む、タイヤ。
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