JP2019051898A - タイヤインナーライナー用シートおよびタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤ成形性と、ガスバリア性に優れるタイヤインナーライナー用シートに係る技術を提供する。【解決手段】本発明のタイヤインナーライナー用シート10は、複数の層からなる積層構造を有するタイヤインナーライナー用シート10であって、前記積層構造は、未加硫ゴム組成物からなる接着層1と、熱可塑性樹脂組成物からなるガスバリア層2とを有し、前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーを含み、前記未加硫ゴム組成物は、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ブチル系エラストマーからなる群より選択される1種以上を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤインナーライナー用シートおよびタイヤに関する。
近年、車の低燃費化に対する要求は、ますます高くなってきている。これに伴い、タイヤについては、薄ゲージ化による軽量化にくわえ、転がり抵抗を低減できる変形しにくいタイヤの実現、すなわち形状安定性の向上が図られている傾向にある。この傾向は、タイヤの空気圧を保持するための部材であり、かつタイヤを形成する構成の1つであるインナーライナーについても同様であり、特に、薄型化およびガスバリア性の向上という観点において、これまでに種々の検討がなされている。
インナーライナーの薄型化およびガスバリア性の向上に着目した技術として、たとえば、以下のものがある。
特許文献1には、ブチル系ゴムよりガスバリア性に優れ、タイヤインナーライナー層の厚みを薄くすることができる熱可塑性樹脂を、タイヤインナーライナーに用いる技術が記載されている。
特許文献2には、従来のブチル系ゴムの代わりにエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いて形成されたタイヤインナーライナーに係る技術が記載されている。
特許文献3には、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含むガスバリア層と、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を含み、かつカーカス又はインスレーションとを接着させる接着層とを備えたタイヤインナーライナー用ポリマーシートに係る技術が記載されている。
また、従来のタイヤ製造プロセスにおいて、通常、上述したインナーライナーは、未加硫タイヤ(生タイヤ)の構成の一部として使用される。具体的には、上述したインナーライナーを用いた従来の代表的なタイヤ製造プロセスは、金型内に収容した未加硫タイヤ(生タイヤ)内にブラダー本体を挿入し、ブラダー本体を膨張させて未加硫タイヤの内側から金型内面に押し付けて加硫成形を行い、その後、ブラダー本体を取り除いてから所望のタイヤ形状に成形する手法を採用していた(特許文献1等)。
特開平9−165469号公報 特開2009−220793号公報 特開2012−31362号公報
しかしながら、近年、インナーライナーについては、タイヤ消費者の安全性を向上させるべく、長期的に良好な耐久性を示すという点において、より一層高度な信頼性が求められている。このような事情に鑑みて、本発明者は、従来のインナーライナーを用いたタイヤ製造プロセスについて考察した結果、特に、タイヤ加工後の形状安定性という観点において、該インナーライナーについては、タイヤ加工性の技術水準を向上させる余地があることを見出した。
そこで、本発明は、タイヤ成形性と、ガスバリア性に優れるタイヤインナーライナー用シートに係る技術を提供する。
本発明によれば、複数の層からなる積層構造を有するタイヤインナーライナー用シートであって、
前記積層構造は、未加硫ゴム組成物からなる接着層と、熱可塑性樹脂組成物からなるガスバリア層とを有し、
前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーを含み、
前記未加硫ゴム組成物は、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ブチル系エラストマーからなる群より選択される1種以上を含む、タイヤインナーライナー用シート。
また、本発明によれば、上記タイヤインナーライナー用シートから構成される、インナーライナーが提供される
また、本発明によれば、上記インナーライナーを備える、タイヤが提供される。
タイヤ成形性と、ガスバリア性に優れるタイヤインナーライナー用シートに係る技術を提供する。
本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シートの一例の断面図である。 本実施形態に係るタイヤの一例の部分断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シートは、複数の層からなる積層構造を有するタイヤインナーライナー用シートであって、前記積層構造は、未加硫ゴム組成物からなる接着層と、熱可塑性樹脂組成物からなるガスバリア層とを有し、前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーを含み、前記未加硫ゴム組成物は、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ブチル系エラストマーからなる群より選択される1種以上を含む。
<タイヤインナーライナー用シート10>
図1は、本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シート10の断面図である。なお、図1に示すタイヤインナーライナー用シート10は、接着層1と、ガスバリア層2と、接着層1とが、厚み方向にこの順で積層された3層構造を有するものであるが、あくまでも一例であり、これに限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シート10は、未加硫ゴム組成物からなる接着層1と、熱可塑性樹脂組成物からなるガスバリア層2とを有するものである。そして、熱可塑性樹脂組成物は熱可塑性エラストマーを含み、未加硫ゴム組成物はポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ブチル系エラストマーからなる群より選択される1種以上を含む。
こうすることで、長期的に良好な耐久性を示すという観点において、信頼性に優れたタイヤを作製するために有用なタイヤインナーライナー用シート10とすることができる。特に、本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シート10よれば、従来品と比べて、延伸処理した後段階においても該シートを用いたタイヤの加工性という点で、良好な特性を発揮することができる。また、本実施形態によれば、従来品と比べて、ガスバリア性に優れたタイヤインナーライナー用シート10を実現することもできる。
近年、インナーライナーについては、タイヤ消費者の安全性を向上させるべく、長期的に良好な耐久性を示すという点において、より一層高度な信頼性が求められている。このような事情に鑑みて、本発明者は、従来のインナーライナーを用いたタイヤ製造プロセスについて考察した結果、特に、延伸後の形状安定性という観点において、該インナーライナーについては、タイヤ成形性の技術水準を向上させる余地があることを見出した。
タイヤインナーライナー用シート10は、上述したように、複数の層からなる積層構造を有するタイヤインナーライナー用シートであって、前記積層構造は、未加硫ゴム組成物からなる接着層1と、熱可塑性樹脂組成物からなるガスバリア層2とを有するものである。
ここで、熱可塑性樹脂組成物は熱可塑性エラストマーを含み、未加硫ゴム組成物はポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ブチル系エラストマーからなる群より選択される1種以上を含む。
このような熱可塑性エラストマーをガスバリア層2として選択し、接着層1と積層したことによって、結果として、加工時に、破断伸びの向上と、適切な引っ張り応力とを両立できる積層構造を備えるタイヤインナーライナー用シート10を実現した。
従来のタイヤインナーライナー用シートのように、ゴムと熱可塑性エラストマーとのブレンド体ではなく、上記積層構造を用いることにより、タイヤインナーライナー10の強度の向上と、破断伸びの向上とを両立することができ、結果として、インナーライナーのタイヤ加工性を向上させることができた。
このため、タイヤインナーライナー用シート10によれば、以下の効果が得られる。
第1に、タイヤインナーライナー用シート10によれば、長期的に良好なガスバリア性を示すという観点において信頼性に優れたタイヤを実現することができる。そして、タイヤインナーライナー用シート10を用いて作製したタイヤについては、実施例にて後述するように、タイヤ成形性という点において、良好な特性を示すことが確認された。
以下、タイヤインナーライナー用シート10の構成について、詳細を説明する。
なお、説明に際して、適宜符号を省略する。
<ガスバリア層2>
まず、ガスバリア層2について説明する。
ガスバリア層2は、熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムであり、後述する接着層1を介して、タイヤの部材に接着される。ここで、熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーを含む。
熱可塑性エラストマーとしては、限定されず、具体的には、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、上記具体例のうち、1種または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、熱可塑性エラストマーとして、スチレン系エラストマーまたはポリエステル系エラストマーを用いるのが好ましい。これにより、ガスバリア性を向上できる。
上記スチレン系エラストマーとしては、限定されず、具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体及びスチレン−イソブチレン共重合体などが挙げられる。スチレン系エラストマーとしては、上記具体例のうち1種または2種以上を含むことができる。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体及びスチレン−イソブチレン共重合体からなる群より選択される1種または2種以上を用いることが好ましく、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体を用いることがより好ましい。これにより、ガスバリア性を向上できる。
上記ポリエステル系エラストマーとしては、限定されず、ハードセグメントとしてポリエステルと、ソフトセグメントとしてポリエーテルまたはポリエステルなどを含むエラストマーを用いることができる。すなわち、ポリエステル系エラストマーとしては、具体的にはポリエステル・ポリエーテルエラストマー、ポリエステル・ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。
ポリエステル・ポリエーテルエラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとして芳香族系結晶性ポリエステル、ソフトセグメントとしてポリエーテルを用いたものが挙げられる。
ポリエステル・ポリエステルエラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとして芳香族系結晶性ポリエステル、ソフトセグメントとして脂肪族系ポリエステルを用いたものが挙げられる。
上述したポリエステル系エラストマーの市販品としては、例えば、具体的には、デュポン社製のハイトレル(登録商標)8238;東レ・デュポン社製のハイトレル(登録商標)3046、ハイトレル(登録商標)4047、ハイトレル(登録商標)4767、ハイトレル(登録商標)5557、ハイトレル(登録商標)6347、ハイトレル(登録商標)7247;東洋紡績社製のペルプレンEN5030、ペルプレンEN16000、EMS社製のグリペットB24HNZなどが挙げられる。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、具体的には、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン及びαオレフィンの共重合体、エチレン及びアルキルアクリレートの共重合体、エチレン及びメタクリレートの共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレン及びパラアルキルスチレンの共重合体、イソブチレン及びスチレンの共重合体、スチレン及びブタジエンの共重合体、スチレン及びイソプレンの共重合体及びこれらのエポキシ化物、マレイン化物、ハロゲン化物、水素化物などが挙げられる。
上記ウレタン系エラストマーとしては、限定されず、ハードセグメントとしてポリウレタンと、ソフトセグメントとしてポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルからなる群より選択される1種または2種以上を含むエラストマーを用いることができる。
上記ポリアミド系エラストマーとしては、限定されず、ハードセグメントとしてポリアミドと、ソフトセグメントとしてポリエーテルを含むエラストマーを用いることができる。
上述した熱可塑性エラストマー以外に、熱可塑性樹脂組成物中には、熱可塑性樹脂、フィラーなどをさらに添加してもよい。
以下、代表成分について詳細を説明する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は樹脂層2の酸素バリア性を向上する目的で熱可塑性樹脂組成物に添加される。熱可塑性樹脂組成物に添加される熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリニトリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリフッ化樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートとポリカーボネートの共重合体、ポリブチレンテレフタレートとポリカプロラクトンの共重合体、ポリブチレンテレフタレートとポリグリコールの共重合体、ポリブチレンナフタレートとポリグリコールの共重合体などが挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン10,10、ナイロン6,12、ナイロン6とナイロン6,6の共重合体、ナイロン6とナイロン6,6とナイロン12の共重合体、ナイロン6とナイロン12の共重合体、ナイロン12とポリエーテルの共重合体、芳香族系ナイロンなどが挙げられる。
ポリニトリル樹脂としては、具体的には、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
ポリビニル樹脂としては、具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンとビニルアルコール共重合体などが挙げられる。
ポリフッ化樹脂としては、具体的には、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体、テトラフルオロエチレンとジフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体などが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび他の成分を共重合したポリオレフィン樹脂共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(フィラー)
フィラーとしては、有機フィラー、無機フィラーなどが挙げられる。
有機フィラーとしては、具体的には、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂またはフッ化樹脂などにより形成される有機フィラーが挙げられる。
また無機フィラーとしては、具体的には、アルミナ、シリカ、マグネシア、フェライト、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの金属酸化微粒子;タルク、マイカ、カオリン、ゼオライトなどの珪酸塩類;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、フラーレンなどの微粒子などが挙げられる。フィラーとしては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。
フィラーとしては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
<接着層1>
本実施形態に係る接着層は、未加硫ゴム組成物からなる。未加硫ゴム組成物は、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ブチル系エラストマーからなる群より選択される1種以上を含む。未加硫ゴム組成物は、ポリオレフィン系エラストマーを含み、さらに、スチレン系エラストマーまたはブチル系エラストマーを含むことが好ましい。これにより、タイヤ成形性を向上できる。
未加硫ゴム組成物が含有するポリオレフィン系エラストマーとしては、具体的には、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエン共重合体、ポリエチレン、エチレン及びα−オレフィンの共重合体、エチレン及びアルキルアクリレートの共重合体、エチレン及びメタクリレートの共重合体、非晶性又は低結晶性のポリプロピレン、プロピレン及びα−オレフィンのランダム共重合体、プロピレン及びエチレン及びα−オレフィンのランダム共重合体、並びに、上記具体例のエポキシ化物、マレイン化物、ハロゲン化物、水素化物などが挙げられる。未加硫ゴム組成物が含有するポリオレフィン系エラストマーとしては、上記具体例のうち、天然ゴムを用いることが好ましい。これにより、タイヤ成形性を向上できる。
上述したポリオレフィン系エラストマーの市販品としては、具体的には、TAFMER(商品名,三井化学(株)製,α−オレフィンコポリマー)、Engage(商品名、Dupont Dow Elastomer社製,エチレン−オクテンコポリマー)、Vistamaxx(商品名、エクソンモービル社製,ポリプロピレン系エラストマー)などが挙げられる。
未加硫ゴム組成物が含有するスチレン系エラストマーとしては、具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンゴム(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム(SEBS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロックゴム(SIBS)、スチレン−イソプレン−プロピレン−スチレンゴムなどが挙げられる。スチレン系エラストマーとしては、上記具体例のうち1種または2種以上を含むことができる。未加硫ゴム組成物が含有するスチレン系エラストマーとしては、スチレンブタジエンゴムを用いることが好ましい。これにより、タイヤ成形性を向上できる。
未加硫ゴム組成物が含有するブチル系エラストマーとしては、具体的には、イソブチレンイソプレンゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテン、ポリイソプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。未加硫ゴム組成物が含有するブチル系エラストマーとしては、イソブチレンイソプレンゴムを用いることが好ましい。これにより、タイヤ成形性を向上できる。
上述したポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ブチル系エラストマー以外に、未加硫ゴム組成物には、フィラー、老化防止剤、加硫促進剤、加硫助剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、可塑剤などを添加してもよい。
以下、代表成分について詳細を説明する。
(フィラー)
フィラーとしては上述した熱可塑性樹脂組成物の含有成分として例示したものと同じものを用いることができる。
(老化防止剤)
老化防止剤として用いることができる化合物は限定されず、具体的には、アミン類、フェノール類、イミダゾール類、リン類またはチオウレア類などが挙げられる。
アミン類としては、フェニル−α−ナフチルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、p、p'−ジオクチルジフェニルアミン、p,p'−ジクミルジフェニルアミン、N,N'-ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
フェノール類としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化メチルフェノール、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノンなどが挙げられる。
イミダゾール類としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩などを用いることができる。
(加硫促進剤)
加硫促進剤として用いることができる化合物は限定されず、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤などが挙げられる。加硫剤としては、上記具体例のうち、1種又は2種以上を用いることができる。
(加硫助剤)
加硫助剤として用いることができる化合物は限定されず、具体的には、酸化亜鉛などが挙げられる。
<タイヤインナーライナー用シート10の作製方法>
本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シート10は、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法、カレンダー法等公知の方法を用いて作製することができる。また、各層を、別々に製造してからラミネーター等により接合してもよいが、空冷式または水冷式共押出インフレーション法や共押出Tダイ法で成膜してもよい。
また、上述接着層1と、ガスバリア層2とが互いに接合するように積層しているタイヤインナーライナー用シート10を作製する場合、上記接着層1と、上記ガスバリア層2とは、化学的な相互作用を利用して互いを接着させてもよいし、アンカー効果等の物理的な相互作用を利用して互いを接着させてもよい。
<タイヤインナーライナー用シート10>
以下に、本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シート10について、詳細を説明する。
本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シート10の積層構造は、接着層1と、ガスバリア層2とを有していれば限定されない。積層構造は、複数の接着層1を積層していてもよく、さらに、複数のガスバリア層2を積層していてもよい。
タイヤインナーライナー用シート10の具体的な積層構造としては、接着層1、ガスバリア層2がこの順で積層された積層構造であってもよく、接着層1、第1のガスバリア層2、第2のガスバリア層2がこの順で積層された積層構造であってもよく、第1の接着層1、ガスバリア層2、第2の接着層1がこの順で積層された積層構造であってもよく、第1の接着層1、第1のガスバリア層2、第2の接着層1、第2のガスバリア層2、第3の接着層1がこの順で積層された積層構造であってもよい。
積層構造としては、上記具体例のうち、積層構造の最外層の両面に接着層が存在するものが好ましい。これにより、周回した部分のタイヤインナーライナー接合が容易になる。
また、タイヤインナーライナー用シート10の積層構造は、各層の間に介在させる補助接着層を有していてもよい。
タイヤインナーライナー用シート10の100℃の温度条件下、JIS−7127(1999)に準じた方法で測定した当該タイヤインナーライナー用シートの破断強度が、1.2MPa以上3.0MPa以下であり、より好ましくは1.3MPa以上2.5MPa以下であり、さらに好ましくは1.5MPa以上2.0MPa以下である。これにより、タイヤ成形時に加熱しながら延伸した後段階において、収縮しにくいという点で延伸後の形状安定性を向上させたインナーライナー用シートを実現することができる。
さらに、23℃の温度条件下、JIS−7127(1999)に準じた方法で測定した当該タイヤインナーライナー用シートの破断強度が、5.0MPa以上15MPa以下であり、より好ましくは7.0MPa以上14.5MPa以下であり、さらに好ましくは10MPa以上14MPa以下である。これにより、タイヤ成形時にブラダーを内側から膨らませることにより加圧する段階において、延伸させるエネルギーが低減するという点で延伸後の形状安定性を向上させたインナーライナー用シートを実現することができる。
本実施形態において、タイヤインナーライナー用シート10におけるガスバリア層の厚みは、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましく、0.05mm以上1.2mm以下であることがより好ましく、0.05mm以上1.0mm以下であることが更に好ましい。これにより、従来のシートと比べて、加工性に優れるインナーライナーを実現することが可能である。
本実施形態において、タイヤインナーライナー用シート10における接着層の厚みは、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましく、0.05mm以上1.2mm以下であることがより好ましく、0.05mm以上1.0mm以下であることが更に好ましい。これにより、従来のシートと比べて、加工性に優れるインナーライナーを実現することが可能である。
タイヤインナーライナー用シート10におけるガスバリア層2の厚みをXとし、接着層1の厚みをYとした時、X/Yの値は、例えば、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.8以上であり、さらに好ましくは1以上であり、最も好ましくは2以上である。こうすることで、カーカスやインスレーションとの良好な接着性と、優れた層間密着性とを両立しつつ、ガスバリア性に優れたインナーライナーを実現することができる。
一方、上記X/Yの値の上限値は、例えば、500以下としてもよく、200以下としてもよく、100以下としてもよく、50以下としてもよい。これにより、タイヤインナーライナー用シート10において接着層とガスバリア層とが互いに接合するように積層している場合、両者の層間密着性を良好なものとすることができる。
また、本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シート10の厚み400μm換算での25℃、65%RHにおける酸素透過量が、好ましくは、1cc/m・day・atm以上5×10cc/m・day・atm以下であり、より好ましくは、1×10cc/m・day・atm以上1×10cc/m・day・atm以下であり、さらに好ましくは、1×10cc/m・day・atm以上1×10cc/m・day・atm以下である。こうすることで、車体重量に関係なく、転がり抵抗が低減された変形しにくい形状安定性を発揮することができるタイヤを実現することが可能となる。言い換えれば、酸素透過係数の値が上記数値範囲内にある場合、タイヤ走行時に加わる応力による影響を受けにくい形状安定性に優れたタイヤを実現することが可能となる。なお、空気バリア層の厚み20μm換算での25℃、65%RHにおける酸素透過量は、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(オキシトラン(登録商標)OX−TRAN 2/21)を使用して、JIS K7126−2における付属書Bに準じて測定することができる。
<用途>
本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シート10を用いて、インナーライナーを作製することができる。すなわち、本実施形態に係るインナーライナーは、上記タイヤインナーライナー用シートを備える。
本実施形態に係るインナーライナーの製造方法について説明する。
以下に、接着層1、ガスバリア層2がこの順で積層された積層構造であるタイヤインナーライナー用シート10を例として、インナーライナーの製造方法を説明する。
インナーライナーは、タイヤインナーライナー用シート10を成形ドラムに巻きつけ、加熱加圧することによって成形される。ここで、タイヤインナーライナー用シート10を成形ドラムに巻きつける際、タイヤインナーライナー用シート10を配置する向きは限定されない。例えば、接着層1をタイヤの外径向きに、ガスバリア層2をタイヤの内径向きとして、成形ドラム5に巻きつけて配置してもよく、ガスバリア層2をタイヤの外径向きに、接着層1をタイヤの内径向きとして、成形ドラムに巻きつけて配置してもよい。
なお、本実施形態において、成形ドラムのドラム中心向きがタイヤの内径向きである。また、内径方向の反対向きがタイヤの外径向きである。
(タイヤ)
本実施形態に係るインナーライナーを用いて、タイヤを作製することができる。すなわち、本実施形態に係るタイヤは、上記インナーライナーを備える。なお、本実施形態に係るタイヤとは、空気入りタイヤのことを指す。
なお、タイヤの用途は限定されず、例えば、乗用車、トラック、バス、重機など車両のタイヤとして使用できる。
以下に、タイヤを構成するタイヤ部材について、図2に基づいて説明する。
本実施形態に係るタイヤは、チューブレスタイヤである。チューブタイヤは、空気圧を保持するためにチューブを有する。チューブレスタイヤは、チューブの代替としてインナーライナー40を有する。
タイヤ30は、例えば、後述するカーカス31の内周にインナーライナー40を有する。インナーライナーは、本実施形態に係るタイヤインナーライナー用シートによって形成される。これにより、タイヤは、空気圧を保持することができる。
タイヤ30は、例えば、トレッド部33と、サイドウォール部35と、ビード部37とを最外層に有する。
トレッド部33は、タイヤを使用する際に路面と接する部分である。トレッド部33には、図2に示すようにパターンが刻まれている。パターンの形状としては限定されず、要求されるタイヤのグリップ特性、排水特性、摩耗特性などに応じて設定できる。
サイドウォール部35は、タイヤを使用する際に大変形する部分である。これにより、外力、遠心力などの荷重がタイヤにかかる場合、サイドウォール部35が変形し、衝撃を吸収できる。
ビード部37は、乗用車、トラック、バス、重機など車両のホイールと組み合わされる部分である。ホイールのリム部と、タイヤ30のビード部37とが組み合わされることで、タイヤ30を車両に固定することができる。
タイヤ30は、例えば、タイヤ30の骨格としてカーカス31を有する。タイヤ30の形状は、骨格であるカーカス31の形状に応じて設定することができる。また、タイヤ30は、カーカス31を有することで、使用時の衝撃、タイヤの空気圧などに対する耐衝撃性を発現することができる。
タイヤ30は、例えば、上述したトレッド部33の内側に、ベルト39を有する。ベルト39は、鉄またはアラミド繊維などのワイヤーを束ねることで形成される。タイヤは、ベルト39を有することで、車両のホイールのリム部に締め付ける力を高めることができる。また、トレッドの剛性を向上することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、各実施例、各比較例のタイヤインナーライナー用シートを作製した。詳細を以下に説明する。
(実施例1)
まず、第1の接着層及び第2の接着層を構成する未加硫ゴム組成物を準備した。具体的には、イソブチレンイソプレンゴム(以下IIRとも示す、エクソンモービル社製、1068)60質量部と、天然ゴム(以下NRとも示す、GUANGKEN RUBBER製、TSR20)40質量部と、ステアリン酸(花王社製、ルナックS−90V)3質量部と、酸化亜鉛(三井金属鉱社製)5質量部と、老化防止剤として2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(大内新興化学社製、ノクラックMBZ)1質量部と、加硫促進剤としてジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(大内新興化学社製、ノクセラーDM−P)1質量部と、を未加硫ゴム組成物の原料成分として準備した。次いで、上記原料成分を、2軸押し出し機に投入し、さらに混練して、未加硫ゴム組成物を得た。
次いで、ガスバリア層を構成する熱可塑性樹脂組成物を準備した。具体的には、熱可塑性樹脂組成物の原料成分としては、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(以下SIBSとも示す、カネカ社製、SIBSTAR 103T)を準備した。
次いで、上記未加硫ゴム組成物から第1の接着層及び第2の接着層をそれぞれ作製し、上記熱可塑性樹脂組成物からガスバリア層を作製し、これらを積層することで積層構造を作製した。具体的には、上記未加硫ゴム組成物、上記熱可塑性樹脂組成物を用いて、Tダイ押出機(スクリュー径:φ40mm、L/D:28)を用いて、共押出を行った。積層構造は、第1の接着層と、ガスバリア層と、第2の接着層とがこの順で積層するようにした。なお、第1の接着層及び第2の接着層の厚みがそれぞれ0.1mm、ガスバリア層の厚みが0.4mmとなるようにした。
これにより、第1の接着層と、ガスバリア層と、第2の接着層の3層から構成されるタイヤインナーライナー用シートを作製した。
(実施例2)
第1の接着層及び第2の接着層の厚みが、それぞれ0.05mm、ガスバリア層の厚みが0.4mmとなるように共押出を行った以外は、実施例1と同様の方法で、タイヤインナーライナー用シートを作製した。
(実施例3)
第1の接着層及び第2の接着層の厚みが、それぞれ0.05mm、ガスバリア層の厚みが1.0mmとなるように共押出を行った以外は、実施例1と同様の方法で、タイヤインナーライナー用シートを作製した。
(実施例4)
第1の接着層及び第2の接着層の厚みが、それぞれ0.05mm、ガスバリア層の厚みが1.5mmとなるように共押出を行った以外は、実施例1と同様の方法で、タイヤインナーライナー用シートを作製した。
(実施例5)
第1の接着層及び第2の接着層を構成する未加硫ゴム組成物の原料成分として、スチレンブタジエンゴム(以下SBRとも示す、日本ゼオン社製、NIPOL1723)60質量部と、天然ゴム(以下NRと示す、GUANGKEN RUBBER製、TSR20)40質量部と、ステアリン酸(花王社製、ルナックS−90V)3質量部と、酸化亜鉛(三井金属鉱業者製)5質量部と、老化防止剤として2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(大内新興化学社製、ノクラックMBZ)1質量部と、加硫促進剤としてジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(大内新興化学社製、ノクセラーDM−P)1質量部とを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、タイヤインナーライナー用シートを作製した。
(実施例6)
ガスバリア層を構成する熱可塑性樹脂組成物の原料成分として、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(以下SEBSとも示す、クラレ社製、セプトン 2002)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、タイヤインナーライナー用シートを作製した。
(実施例7)
ガスバリア層を構成する熱可塑性樹脂組成物の原料成分として、ポリエステル系エラストマー(東洋紡社製、ペルプレンEN1000)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、タイヤインナーライナー用シートを作製した。
(実施例8)
積層構造が、接着層と、ガスバリア層とがこの順で積層するようにし、さらに、接着層の厚みが0.2mm、ガスバリア層の厚みが0.4mmとなるように共押出を行った以外は、実施例1と同様の方法で、タイヤインナーライナー用シートを作製した。
(比較例1)
比較例1としては、接着層を作製せず、実施例1と同様の方法で、タイヤインナーライナー用シートを作製した。すなわち、実施例1の積層構造が、厚さ0.4mmのガスバリア層のみのものを比較例1のタイヤインナーライナー用シートとした。
(比較例2)
比較例2としては、ガスバリア層を作製せず、実施例1と同様の方法で、タイヤインナーライナー用シートを作製した。すなわち、実施例1の積層構造が、厚さ0.4mmの接着層のみのものを比較例2のタイヤインナーライナー用シートとした。
(比較例3)
比較例3としては、実施例1で用いた未加硫ゴム組成物及び熱可塑性樹脂組成物を混合した混合組成物を用いて、ガスバリア層及び接着層の混合層からなるタイヤインナーライナー用シートを作製した。
具体的には、未加硫ゴム組成物、熱可塑性樹脂組成物を、ミキサーを用いて混練し、Tダイ押出機(スクリュー径:φ40mm、L/D:28)を用いて、押出成形を行うことで、厚さ0.4mmの混合層によって構成されるタイヤインナーライナー用シートを作製した。
各実施例、各比較例のタイヤインナーライナー用シートについて、以下の評価を行った。評価結果を表1、表2に示す。
(酸素透過量)
各実施例、各比較例のタイヤインナーライナー用シートについて、酸素透過量を測定した。以下に詳細を説明する。
酸素透過量は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN MODEL 2/21)を用いて、JIS K 7126−2Bの方法に準拠して行った。評価結果を表1、表2に示す。なお、酸素透過量は、単位厚み当たりの酸素透過量を測定し、400μmあたりの値に換算したものである。この単位は、cc/m・day・atmである。
(破断強度)
各実施例、各比較例のタイヤインナーライナー用シートについて、引張試験を行い、破断強度を測定した。以下に詳細を説明する。
測定装置として、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、RTG−1310)を用いて、JIS K 7127に準拠し、引張試験を行った。評価結果を表1、表2に示す。なお、引張試験の温度は、23℃と、100℃とのそれぞれで行った。なお、単位はMPaである。
<タイヤの作製>
また、各実施例、各比較例のタイヤインナーライナー用シートをインナーライナーに成形し、該インナーライナーを用いた195/65R15の大きさの空気入りラジアルタイヤを作製した。
(タイヤ成形性)
各実施例、各比較例のタイヤインナーライナー用シートを用いて作成したタイヤについて、タイヤ成形性を評価した。以下に詳細を説明する。
得られたタイヤインナーライナー用シートを用いて、タイヤインナーライナー用シートをタイヤ成形ドラムに巻いて、タイヤの形状へインフレート実験を実施した。5回実施して、剥離等の成形不良が1回でも発生したときは「×」、発生しなかった場合は「○」と評価した。評価結果を表1、表2に示す。
(静的空気圧低下率)
各実施例、各比較例のタイヤインナーライナー用シートのガスバリア性を評価するために、各実施例、各比較例のタイヤインナーライナー用シートを用いて作成したタイヤについて、静的空気圧低下率を評価した。以下に詳細を説明する。
各実施例、各比較例のタイヤインナーライナー用シートを用いて作成した195/65R15の大きさのタイヤを、15×6JJのリムに組み付けた。初期空気圧が300kPaとなるように、タイヤ内に空気を封入し、温度23℃で90日間静置した。次いで、タイヤの継時後空気圧を測定し、以下の式から静的空気圧低下率を評価した。評価結果を下記表1、表2に示す。なお、単位は%である。
(式) (静的空気圧低下率)={(継時後空気圧)/(初期空気圧)}×100
Figure 2019051898
Figure 2019051898
上記表1、表2より、各実施例のタイヤインナーライナー用シートは、各比較例のタイヤインナーライナー用シートと比べて、タイヤ成形性と、ガスバリア性とに優れることが確認された。
1 接着層
2 ガスバリア層
10 タイヤインナーライナー用シート
30 タイヤ
31 カーカス
33 トレッド部
35 サイドウォール部
37 ビード部
39 ベルト
40 インナーライナー

Claims (9)

  1. 複数の層からなる積層構造を有するタイヤインナーライナー用シートであって、
    前記積層構造は、未加硫ゴム組成物からなる接着層と、熱可塑性樹脂組成物からなるガスバリア層とを有し、
    前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーを含み、
    前記未加硫ゴム組成物は、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ブチル系エラストマーからなる群より選択される1種以上を含む、タイヤインナーライナー用シート。
  2. 請求項1に記載のタイヤインナーライナー用シートであって、
    当該タイヤインナーライナー用シートの厚み400μm換算での25℃、65%RHにおける酸素透過量が、1cc/m・day・atm以上5×10cc/m・day・atm以下である、タイヤインナーライナー用シート。
  3. 請求項1または2に記載のタイヤインナーライナー用シートであって、
    100℃の温度条件下、JIS−7127(1999)に準じた方法で測定した当該タイヤインナーライナー用シートの破断強度が、1.2MPa以上3.0MPa以下である、タイヤインナーライナー用シート。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のタイヤインナーライナー用シートであって、
    23℃の温度条件下、JIS−7127(1999)に準じた方法で測定した当該タイヤインナーライナー用シートの破断強度が、5.0MPa以上15MPa以下である、タイヤインナーライナー用シート。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のタイヤインナーライナー用シートであって、
    前記接着層の厚みをYとし、前記ガスバリア層の厚みをXとした時、X/Yの値が、0.5以上500以下である、タイヤインナーライナー用シート。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のタイヤインナーライナー用シートであって、
    前記未加硫ゴム組成物は、前記ポリオレフィン系エラストマーとして天然ゴムを含み、
    前記未加硫ゴム組成物は、前記スチレン系エラストマーまたは前記ブチル系エラストマーをさらに含む、タイヤインナーライナー用シート。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のタイヤインナーライナー用シートであって、
    前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーからなる群より選択される1種以上である、タイヤインナーライナー用シート。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のタイヤインナーライナー用シートから構成される、インナーライナー。
  9. 請求項8に記載のインナーライナーを備える、タイヤ。
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