JP6119469B2 - イオン伝導性固体、その製造方法及び固体電池 - Google Patents

イオン伝導性固体、その製造方法及び固体電池 Download PDF

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Description

本発明は、イオン伝導性固体、その製造方法及び固体電池に関する。
従来、イオンを伝導可能な固体電解質が知られている。例えば、特許文献1では、一般式Li2+x1-x+yy3+2y(但し、0.03≦x≦0.7、0≦y≦0.2)で示される組成よりなるものが提案されている(特許文献1参照)。こうしたものでは、Li2CO3とLi3BO3の固溶体からなり、その結晶構造はLi2CO3と同様であり、化学的に安定であるとしている。また、Li3BO3との固溶体にすることによりそのリチウムイオン導電性が著しく改善されるとしている。
特開平5−54712号公報
しかしながら、特許文献1の固体電解質では、イオン伝導性を高めることができるものの、まだ十分でないことがあった。このため、イオン伝導性の高いイオン伝導性固体が望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、LiとBとCとを含むイオン伝導性固体において、イオン伝導性の高いものを提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、原料を溶融した後凝固させて一般式Li2+xx1-x3(0<x<1)で表される化合物を合成すると、イオン伝導性の高いものが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、特許文献1の固体電解質は、融点以下である600〜700℃の温度範囲で焼成を行った焼結体であり、原料を溶融した後凝固させたものではない。
即ち、本発明の第1のイオン伝導性固体は、
一般式Li2+xx1-x3(0<x<1)で表され、融点以上の温度で溶融した後凝固させたものである。
このイオン伝導性固体では、LiとBとCとを含むイオン伝導性固体において、イオン伝導性の高いものを提供することができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。すなわち、融点以上の温度で溶融した後凝固させることにより、イオン伝導に適した結晶構造になるため、イオン伝導性が高いと考えられる。
本発明の第2のイオン伝導性固体は、
一般式Li2+xx1-x3(0<x<1)で表され、CuKα線を用いた粉末X線回折において、2θ=31.0〜31.2°の範囲に回折ピークが確認されるものである。
このイオン伝導性固体では、本発明の第1のイオン伝導性固体と同様に、LiとBとCとを含むイオン伝導性固体において、イオン伝導性の高いものを提供することができる。
本発明のイオン伝導性固体の製造方法は、
Li成分とB成分とC成分とを含む原料を融点以上の温度で溶融した後凝固させ、一般式Li2+xx1-x3(0<x<1)で表されるイオン伝導性固体を製造するものである。
この製造方法では、上述したイオン伝導性固体を比較的容易に合成できる。
本発明の固体電池は、
正極活物質を有する正極と、
負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質と、
上述したイオン伝導性固体と、
を備え、
前記正極活物質、前記負極活物質、前記固体電解質のうちの少なくとも1以上が前記イオン伝導性固体中に分散しているものである。
この全固体電池では、イオン伝導性固体中に分散している正極活物質や負極活物質、固体電解質が、イオン伝導性の高いイオン伝導性固体で結合されているため、イオンの伝導が円滑に行われ、電池のエネルギー密度を高めることができる。
イオン伝導性固体の結晶構造の一例を示す模式図。 固体電池20の構造の一例を示す説明図。 固体電池20の構造の一例を示す説明図。 実験例1〜5の処理温度と導電率との関係を示すグラフ。 実験例1〜5の処理温度とc軸長との関係を示すグラフ。 実験例1,6〜12のLi2+xx1-x3におけるxの値と導電率との関係を示すグラフ。 実験例1,4,13のXRD測定結果
本発明の第1のイオン伝導性固体は、一般式Li2+xx1-x3(0<x<1)で表されるものである。一般式Li2+xx1-x3(0<x<1)において、xは0.02以上であることが好ましく、0.08以上であることがより好ましく、0.14以上であることがさらに好ましい。また、xは0.8以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましい。こうした範囲では、イオン伝導性をより高めることができる。なお、イオン伝導性固体は、化学量論組成のもののほか、例えば、一部の元素が欠損し又は過剰である非化学量論組成のものとしてもよい。
このイオン伝導性固体は、融点以上の温度で溶融した後凝固させたものである。融点は、イオン伝導性固体の組成によって変化するため、上述した融点以上の温度すなわち溶融時の処理温度は、特に限定されるものではないが、700℃より高温であることが好ましい。このうち、750℃以上であることが好ましく、760℃以上であることがより好ましく、770℃以上であることがさらに好ましく、780℃以上であることがより一層好ましい。また、処理温度の上限は特に限定されるものではないが、LiやCが揮発しにくい1000℃以下の温度が好ましい。このうち、900℃以下であることが好ましく、890℃以下であることがより好ましく、870℃以下であることがさらに好ましい。こうした温度範囲であれば、イオン伝導性をより高めることができる。また、処理温度は、融点よりも25℃以上高い温度であることが好ましく、50℃以上高い温度であることがより好ましい。こうした温度範囲であれば、イオン伝導性をより高めることができる。
このイオン伝導性固体は、図1に示すような結晶構造を有するものとしてもよい。すなわち、CO3三配位の面間にLiO4四面体が存在し、C4+サイトの一部がB3+に置換され、それに伴う電荷の補償のためにLi+がいずれかのサイトに存在する結晶構造を有するものとしてもよい。この構造は、CO3 2-が積層した構造であるが、CO3 2-間の距離(c軸長)が6.295Å以上であることが好ましい。このうち、6.30Å以上であることがより好ましく、6.32Åであることがより好ましく、6.33Å以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、6.35Å以下としてもいし、6.34Å以下としてもよい。
このイオン伝導性固体は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、2θ=31.0〜31.2°の範囲に回折ピークが確認されるものであることが好ましい。また、2θ=30.0〜30.2°の範囲に回折ピークが確認されるものであることが好ましい。焼結体であれば、こうした範囲に回折ピークが確認されないと考えられるからである。また、Li2CO3やLi3BO3の存在を示す回折ピークが確認されないか、確認されても極めて小さいことが好ましい。こうしたものでは、単相のLi2+xx1-x3であり、Li2CO3やLi3BO3などの不純物が含まれていないか極めて少ないため、イオン伝導性をより高めることができるからである。なお、このイオン伝導性固体Li2+xx1-x3は、x=0.4が固溶限界であるため、x>0.4では不純物のLi3BO3が生成すると考えられる。
このイオン伝導性固体は、25℃におけるイオン伝導率が6.1×10-7S/cm以上であることが好ましい。このうち、1.2×10-6S/cm以上であることが好ましく、2×10-6S/cm以上であることがより好ましく、2.5×10-6S/cm以上であることがさらに好ましい。
本発明の第2のイオン伝導性固体は、一般式Li2+xx1-x3(0<x<1)で表され、CuKα線を用いた粉末X線回折において、2θ=31.0〜31.2°の範囲に回折ピークが確認されるものである。溶融していない焼結体では2θ=31.3°付近に確認される回折ピークが、溶融した後凝固させたものでは低角度側にシフトして2θ=31.0〜31.2°の範囲に確認される。このため、こうしたイオン伝導性固体は、本発明の第1のイオン伝導性固体と同様のものであると考えられる。このイオン伝導性固体において、組成や、処理温度、結晶構造、粉末X線回折で確認される回折ピーク、イオン伝導率などは、第1のイオン伝導性固体で例示したものを適宜採用することができる。例えば、このイオン伝導性固体は、700°より高温で溶融した後凝固させたものとしてもよい。また、CO3 2-が積層した構造であり、CO3 2-間の距離が6.295Å以上であるものとしてもよい。また、xは、0.02≦x≦0.8を満たすものとしてもよい。また、25℃におけるイオン伝導率が6.1×10-7S/cm以上であるであるものとしてもよい。このイオン伝導性固体は、一般式Li2+xx1-x3(0<x<1)で表され、CuKα線を用いた粉末X線回折において、2θ=30.0〜30.2°の範囲に回折ピークが確認されるものであることが好ましい。溶融していない焼結体では2θ=30.3°付近に確認される回折ピークが、溶融した後凝固させたものでは低角度側にシフトして2θ=30.0〜30.2°の範囲に確認されるため、本発明の第1のイオン伝導性固体との同一性がより高いからである。
次に、本発明のイオン伝導性固体の製造方法について説明する。本発明のイオン伝導性固体の製造方法は、Li成分とB成分とC成分とを含む原料を融点以上の温度で溶融した後凝固させ、一般式Li2+xx1-x3(0<x<1)で表されるイオン伝導性固体を製造するものである。原料は、Li成分とB成分とC成分とを所望の組成となるように含むものであれば特に限定されない。例えば、Li成分としてLi2Oを含んでもよいし、Li成分及びB成分としてLi3BO3を含んでもよいし、B成分としてB23を含んでもよいし、Li成分及びC成分としてLi2CO3を含んでもよいし、その他のものを含んでもよい。このうち、Li3BO3及びLi2CO3を含むことが好ましい。Li3BO3とLi2CO3とをx:1−xのモル比で混合すれば、Li2+xx1-x3の組成となり、組成の制御が容易だからである。なお、原料は、Li成分及びB成分及びC成分としてLi2+xx1-x3(0<x<1)を含むものとしてもよい。
本発明のイオン伝導性固体の製造方法では、溶融は、融点以上の温度で行えばよい。溶融時の処理温度は、本発明のイオン伝導性固体で説明した処理温度と同様であるため、説明を省略する。溶融時の処理雰囲気は特に限定されないが、大気雰囲気や酸化性雰囲気であることが好ましい。このような雰囲気であれば、Li2+xx1-x3からの酸素の脱離が抑制され、組成の制御が容易だからである。また、溶融時の処理雰囲気は、水分及びCO2が十分に少ないことが好ましい。また、プレスなどにより加圧した状態で溶融したのち凝固させてもよい。
次に、本発明の固体電池について説明する。本発明の固体電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在する固体電解質と、イオン伝導性固体と、を備えている。固体電池の種類は特に限定されるものではないが、以下では、主に、リチウムイオンを電荷のキャリアとするリチウムイオン電池について説明する。
本発明の固体電池において、正極は、正極活物質を有するものである。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、Li(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)、Li(1-x)Mn24などのリチウムマンガン複合酸化物、Li(1-x)CoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、Li(1-x)NiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、LiV23などのリチウムバナジウム複合酸化物、V25などの遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうちで、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiV23などがより好ましい。
本発明の固体電池において、負極は、負極活物質を有するものである。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、導電性ポリマーなどが挙げられる。このうち、リチウム合金が、固体電解質との界面抵抗を低減でき、好ましい。リチウム合金としては、Mg,Al,Si,In,Ag及びSnのうち少なくとも1以上の添加元素を含むリチウム合金がより好ましく、Alを含むものやInを含むものなどがより好ましい。特に、Inを含むものでは、添加されている原子数がより少なくても、固体電解質と負極との界面抵抗をより低減することができ、好ましい。また、負極は、リチウム合金が10質量%以上30質量%以下の範囲で添加元素を含むものとすることが好ましく、15質量%以上25質量%以下の範囲で添加元素を含むものとすることがより好ましく、20質量%の添加元素を含むものとすることが更に好ましい。含まれる添加元素が10質量%以上では界面抵抗をより低減することができ、30質量以下ではリチウム合金の均一性をより高めることができ、好ましい。なお、負極に用いるリチウム合金についての詳細は、特開2011−70939号公報に記載されているため、ここでは記載を省略する。
上述した正極や負極は集電体を有していてもよい。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。
本発明の固体電池において、固体電解質としては、リチウムイオン伝導性の酸化物が好ましい。なかでも、ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物が好ましい。ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、例えば、基本組成Lix3212(式中、A,Bは、1種類以上の元素、xは全体の電荷バランスを保障する数)などで表すことができる。このうち、ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、基本組成Li5+xLa3Zrx2-x12(式中、Aは、Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,GaおよびGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素,xは1.4≦x<2)で表されるものであることがより好ましい。ここで、xは1.4≦x<2であるから、元素Aを含まないガーネット型酸化物Li7La3Zr212(つまりx=2)と比べて、伝導率が高くなり且つ活性化エネルギーも小さくなる。例えば、元素AがNbの場合、伝導度が2.5×10-4Scm-1以上、活性化エネルギーが0.34eV以下になる。したがって、この酸化物を全固体型リチウムイオン二次電池に用いた場合、リチウムイオンが伝導しやすくなるため、電池の出力が向上する。また、活性化エネルギーが小さい、つまり、温度に対する伝導度の変化の割合が小さいため、電池の出力が安定する。また、xが1.6≦x≦1.95を満たせば伝導度がより高く、活性化エネルギーがより低くなるため、好ましい。更に、xが1.65≦x≦1.9を満たせば、伝導度がほぼ極大、活性化エネルギーがほぼ極小となるため、一層好ましい。なお、基本組成Li5+xLa3Zrx2-x12で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の詳細は、例えば、特開2010−202499号公報などに記載されているため、ここでは記載を省略する。固体電解質としては、上述したもの以外にも、種々の無機固体電解質や有機固体電解質などを用いることができる。無機固体電解質としては、例えば、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、xLi3PO4−(1−x)Li4SiO4、Li2SiS3、Li3PO4−Li2S−SiS2、硫化リン化合物などが挙げられる。有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリホスファゼン、ポリエチレンスルフィド、ポリヘキサフルオロプロピレンなどやこれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明の固体電池において、イオン伝導性固体は、上述した本発明の第1又は第2のイオン伝導性固体である。このイオン伝導性固体は、固体電解質とは異なる種類のものである。
本発明の固体電池では、正極活物質、負極活物質、固体電解質のうちの少なくとも1以上が、イオン伝導性固体中に分散している。このとき、イオン伝導性固体は、正極活物質、負極活物質、固体電解質のうちの少なくとも1以上の粒子を含むように溶融した後凝固させたものであることが好ましい。液相化したイオン伝導性固体中に、正極活物質粒子や負極活物質粒子、固体電解質粒子などが分散し、その後凝固するため、粒子同士の隙間などにイオン伝導性固体が入り込んで、イオンの伝導経路を確保しやすいからである。
本発明の固体電池では、少なくとも正極活物質が上述したイオン伝導性固体中に分散していることが好ましい。以下では、正極活物質がイオン伝導性固体に分散した層を混合層とも称する。この混合層は、固体電解質の正極側表面に密着していることが好ましい。ここで「密着」とは、点接触ではなく、二次元的、又は、三次元的に接触(接合)していることをいう。「密着」しているか否かは、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて5000倍の倍率で断面を観察したときに、点接触をしているか否かにより確認することができる。混合層が固体電解質の正極側表面に密着しているものとするには、例えば、正極活物質とイオン伝導性固体の原料とを含む複合層を固体電解質表面に形成し、その後所定の処理温度で溶融したのち凝固させてもよい。複合層の形成に際しては、正極活物質とイオン伝導性固体の原料との混合物を含む層を形成してもよいし、正極活物質を含む層を形成してからイオン伝導性固体の原料を含む層を形成してもよいし、イオン伝導性固体の原料を含む層を形成してから正極活物質を含む層を形成してもよい。また、正極活物質を含む層とイオン伝導性固体を含む層とを交互に形成してもよい。こうした複合層やそれを形成する各層を形成する際には、例えば、バインダー等を添加してペースト状にしたものを用いてもよい。バインダーとしては、エチルセルロースやメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系のものや、ブチラール系樹脂、アクリル系樹脂などの各種バインダーを用いることができる。また、ターピオネールやアセトン、トルエンなどの有機溶剤を溶媒や分散媒として用いてもよい。処理温度は、上述した処理温度から適宜選択すればよい。このうち、正極活物質や固体電解質との反応を抑制する観点からは、900℃以下であることが好ましい。
本発明の固体電池の構造は、特に限定されないが、例えば図2や図3に示す構造としてもよい。図2の固体電池20は、固体電解質層10と、この固体電解質層10の片面に形成された正極12と、この固体電解質層10のもう片面に形成された負極14とを有する。このうち、正極12は、固体電解質層10に接する混合層12a(正極活物質が分散したイオン伝導性固体)とこの混合層12aに接する集電体12bとからなり、負極14は、固体電解質層10に接する負極活物質層14aとこの負極活物質層14aに接する集電体14bとからなる。一方、図3の固体電池20は、固体電解質層10と、この固体電解質層10の片面に形成された正極12と、この固体電解質層10のもう片面にポリマー電解質層16を介して形成された負極14とを有する。このうち、正極12は、混合層12aと集電体12bとからなり、負極14は、負極活物質層14aと集電体14bとからなる。
本発明の固体電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。
以上説明した本発明のイオン伝導性固体およびその製造方法では、LiとBとCとを含むイオン伝導性固体において、イオン伝導性の高いものを提供することができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、融点以上の温度で溶融されることにより、イオン伝導に適した結晶構造になるため、イオン伝導性が高いと考えられる。また、本発明の固体電池では、イオン伝導性固体中に分散している正極活物質や負極活物質、固体電解質が、イオン伝導性の高いイオン伝導性固体で結合されているため、イオンの伝導が円滑に行われ、電池のエネルギー密度を高めることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下では、本発明のイオン伝導体を具体的に作製した例を実験例として説明する。なお、実験例3〜5が実施例に相当し、実験例1,2,6〜13が比較例に相当する。
1.試料の合成
[実験例1]
試料の合成は、固相反応法により行った。具体的には、まず、原料としてのLi2CO3とLi3BO3とを、Li2CO3:Li3BO3がモル比で4:1となるように秤量し、混合した。続いて、プレス成型し、加熱処理を行った。処理温度は、650℃で、水分とCO2が十分少ない雰囲気で行った。こうして、実験例1の試料を得た。
[実験例2〜5]
処理温度を700℃とした以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例2の試料を得た。また、処理温度を750℃とした以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例3の試料を得た。また、処理温度を800℃とした以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例4の試料を得た。また、処理温度を900℃とした以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例5の試料を得た。
[実験例6〜12]
Li2CO3:Li3BO3がモル比で3:2となるように秤量した以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例6の試料を得た。また、Li2CO3:Li3BO3がモル比で2:3となるように秤量した以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例7の試料を得た。また、Li2CO3:Li3BO3がモル比で1:4となるように秤量した以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例8の試料を得た。Li2CO3:Li3BO3がモル比で0:1となるように秤量した以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例9の試料を得た。Li2CO3:Li3BO3がモル比で1:0となるように秤量した以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例10の試料を得た。Li2CO3:Li3BO3がモル比で9:1となるように秤量した以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例11の試料を得た。Li2CO3:Li3BO3がモル比で7:3となるように秤量した以外は、実験例1と同様の工程を経て実験例12の試料を得た。
[実験例13]
特許文献1の実施例3にならって実験例13の試料を得た。ここでは、600℃で24時間大気中で仮焼し、700℃で6時間酸化雰囲気で焼成した。
2.イオン伝導率(導電率)の測定
得られた試料の両面に金を蒸着して電極とし、交流インピーダンス法を用いた導電率測定を行った。具体的には、ナイキストプロットでブロッキングがでる周波数の実部を抵抗値とし、この抵抗値から導電率を算出した。
3.構造の特定
得られた試料を粉砕・混練し、キャピラリーに詰めCuKα線源を使用してXRD(X線回折)測定を行った。2θ=32°付近の回折をCO3 2-イオン由来の回折としてCO3 2-の距離(C軸長)を決定した。
4.結果と考察
表1に、実験例1〜13のLi2+xx1-x3におけるxの値、処理温度、c軸長及び導電率をまとめた。表1より、処理温度が750℃以上である実験例3〜5のものでは、処理温度が650℃や700℃である焼結体のうち最も導電率の高い実験例1と同等以上の導電率を有し、イオン伝導性が高いことがわかった。なお、x=0.2のものでは、融点Tmは700℃<Tm<750℃であった。
図4に、実験例1〜5の処理温度と導電率との関係を示す。図4より、処理温度が750℃以上であれば、イオン伝導性を焼結体のうちで最も導電率の高い実験例1と同等の導電率を有し、イオン伝導性が高いことがわかった。このうち、760℃以上900℃以下であれば導電率が1.2×10-6S/cm以上と高く、770℃以上890℃以下であれば導電率が2.0×10-6S/cm以上とより高く、780℃以上870℃以下であれば導電率が2.5×10-6S/cm以上とさらに高いことがわかった。
図5に、実験例1〜5の処理温度とc軸長との関係を示す。図5より、650℃で処理した実験例1ではc軸長が6.292Åであるのに対し、700℃以上で処理した実験例2〜5ではc軸長が6.295Å以上と大きかった。実施例に相当する実験例3〜5では、いずれもc軸長が6.295Å以上であったことから、c軸長が6.295Å以上と長いことが、イオン伝導性を高めるのに好適であると推察された。
図6に、実験例1,6〜12のLi2+xx1-x3におけるxの値と導電率との関係を示す。図6より、xが0.02以上0.8以下であれば導電率が8.0×10-10S/cm以上であり、xが0.08以上0.6以下であれば導電率が7.0×10-8S/cm以上と高くなり、0.14以上0.4以下であれば導電率が3.0×10-7S/cm以上とさらに高くなることがわかった。なお、実験例1,6〜12は、処理温度が650℃であるが、処理温度が異なる場合でも同様の傾向を示すと推察される。すなわち、xが0.02以上0.8以下であれば導電率が高く、xが0.08以上0.6以下であれば導電率より高く、0.14以上0.4以下であれば導電率がさらに高いと推察された。
図7に実験例1,4,13のXRD測定結果を示す。図7(a)は2θ=15〜40°の範囲のデータであり、図7(b)は、2θ=28〜33°の範囲を拡大表示したものである。図7より、実施例に相当する実験例4では、2θ=31.0〜31.2°の範囲に回折ピークが確認されたが、比較例に相当する実験例1,13では、対応する回折ピークが2θ=31.2°より高角度側に確認された。また、実施例に相当する実験例4では、2θ=30.0〜30.2°の範囲に回折ピークが確認されたが、比較例に相当する実験例1,13では、対応するピークが2θ=30.2°より高角度側に確認された。このように、実施例のものと比較例のものとでは、回折ピークが異なることがわかった。また、Li2CO3の存在を示す回折ピークは、実験例13が最も大きく、実験例1が次に大きく、実験例4が最も小さかった。このことから、実施例のものでは、不純物であるLi2CO3がほとんど含まれていないことがわかった。また、Li3BO3の存在を示すピークは、実験例1で確認されたが、実験例4,13では確認されなかった。このことから、実施例のものでは、不純物であるLi3BO3がほとんど含まれていないことがわかった。以上より、実施例のものはLi2+xx1-x3 単相であるといえることがわかった。
本発明は、固体電池などイオン伝導性固体を用いる分野に利用可能である。
10 固体電解質層、11 電極、12 正極、12a 正極活物質層、12b 集電体、14 負極、14a 負極活物質層、14b 集電体、16 ポリマー電解質層、20 固体電池。

Claims (5)

  1. 一般式Li2+xx1-x3 (0.02≦x≦0.8)で表され、CuKα線を用いた粉末X線回折において、2θ=31.0〜31.2°の範囲に回折ピークが確認される、イオン伝導性固体。
  2. CO3 2-が積層した構造であり、前記CO3 2-間の距離が6.295Å以上である、請求項1に記載のイオン伝導性固体。
  3. 25℃におけるイオン伝導率が6.1×10-7S/cm以上である、請求項1又は2に記載のイオン伝導性固体。
  4. Li成分とB成分とC成分とを含む原料を融点以上の温度で溶融した後凝固させ、一般式Li2+xx1-x30.02≦x≦0.8)で表されるイオン伝導性固体を製造する、
    イオン伝導性固体の製造方法。
  5. 正極活物質を有する正極と、
    負極活物質を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質と、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のイオン伝導性固体と、
    を備え、
    前記正極活物質、前記負極活物質、前記固体電解質のうちの少なくとも1以上が前記イオン伝導性固体中に分散している、固体電池。
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