JP6117729B2 - 導電性樹脂組成物および面状発熱体 - Google Patents

導電性樹脂組成物および面状発熱体 Download PDF

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Description

本発明は、導電性樹脂組成物および面状発熱体に関する。
特に、得られる塗膜における膜厚の均一性、導電性および基材に対する密着性を効果的に向上させることができる導電性樹脂組成物およびそれを用いた面状発熱体に関する。
従来、乗用車のヘッドライトの霜取りや、フロントガラスまたはリアガラスの曇りを防止するために、透明な面状発熱体をガラスに積層することが行われている。
また、このような透明な面状発熱体の製造方法としては、電極パターンが印刷された基材に対して導電性樹脂組成物を塗布、乾燥する方法が広く実施されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1には、(A)π共役系導電性ポリマー、および(B)バインダー、を含有し、(A)π共役系導電性ポリマーの導電率が0.15(S/cm)以上であり、(B)バインダーがポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂を含有し、(B)バインダーの配合量が、(A)π共役系導電性ポリマー100質量部に対して0.1質量部〜500質量部である、透明面発熱体形成用の導電性コーティング剤およびそれを用いて得られる透明面発熱体が開示されている。
また、特許文献1の明細書中には、π共役系導電性ポリマーとしてポリチオフェン系導電性ポリマーを用い、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂以外のバインダーとしてポリ酢酸ビニル等を用いることが記載されている。
また、主に電極を形成するためのスクリーン印刷用ペーストの発明であるが、特許文献2には、導電性重合体の溶液または分散液並びに場合により結合剤、濃稠化剤および充填剤を含んでなる、1〜200dPasの粘度を有するスクリーン印刷ペーストが開示されている。
また、特許文献2には、導電性ポリマーとしてポリチオフェン系導電性ポリマーを用い、粘度を調整するためにポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等を用いることが記載されている。
WO2012/073474号公報(請求の範囲) 特表2002−500408号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に記載の導電性コーティング剤は、バインダーとしてのポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂と、ポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性が不十分であり、得られる塗膜における膜厚の均一性、導電性および基材に対する密着性が低いという問題が見られた。
また、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂以外のバインダーであるポリ酢酸ビニルを併用した場合であっても、得られる塗膜における膜厚の均一性等の問題を解決することができないという問題が見られた。
また、特許文献2に記載のスクリーン印刷ペーストも、バインダーとして機能するポリエステル樹脂等と、ポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性が不十分であり、得られる塗膜における膜厚の均一性、導電性および基材に対する密着性が低いという問題が見られた。
また、粘度を調整するためにポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールを併用した場合であっても、得られる塗膜における膜厚の均一性等の問題を解決することができないという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、従来の問題を鋭意検討した結果、ポリチオフェン系導電性ポリマーに対してスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体とを、それぞれ所定の配合量にて配合することにより、上述した問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
より具体的には、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を配合することにより、主たるバインダー樹脂としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、ポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性を効果的に向上させ、ひいては、得られる塗膜における膜厚の均一性、導電性および基材に対する密着性を効果的に向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、得られる塗膜における膜厚の均一性、導電性および基材に対する密着性を効果的に向上させることができる導電性樹脂組成物およびそれを用いた面状発熱体を提供することにある。
本発明によれば、下記(A)〜(C)成分を含む導電性樹脂組成物であって、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、当該ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とイオン対をなすドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸と、からなる複合体であり、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の重量平均分子量を5,000〜30,000の範囲内の値とし、(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とし、かつ、ビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)を、90:10〜55:45の範囲内の値とすることを特徴とする導電性樹脂組成物が提供され、上述した問題を解決することができる。
(A)ポリチオフェン系導電性ポリマー 100重量部
(B)スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂 200〜530重量部
(C)ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体 7〜230重量部
すなわち、本発明の導電性樹脂組成物であれば、ポリチオフェン系導電性ポリマーに対してスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体と、溶媒とを、それぞれ所定の配合量にて配合していることから、主たるバインダー樹脂としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、ポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性を効果的に向上させることができる。
その結果、得られる塗膜における膜厚の均一性(以下、「レベリング性」と称する場合がある。)、導電性および基材に対する密着性を効果的に向上させることができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物であれば、透明性、貯蔵安定性、乾燥性等といった導電性樹脂組成物に要求される諸特性についても、バランスよく発揮することができる。
また、このように構成することにより、得られる塗膜における導電性を効果的に保持しつつ、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、ポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性をより効果的に向上させることができる。
また、このように構成することにより、得られる塗膜における導電性を効果的に保持しつつ、基材に対する密着性をより向上させることができ、耐摩耗性についても向上させることができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(D)成分として、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂を含むとともに、当該アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、0.7〜15重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、ポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性をより一段と向上させることができるばかりか、得られる塗膜における耐摩耗性についても向上させることができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(E)成分として、水性ポリエーテルウレタン樹脂を含むとともに、当該水性ポリエーテルウレタン樹脂の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、25〜170重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、得られる塗膜における導電性や密着性を効果的に保持しつつ、導電性樹脂組成物の粘度を好適な範囲に調整して、得られる塗膜における膜厚の均一性をさらに向上させることができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(F)成分として、界面活性剤を含むとともに、当該界面活性剤の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、50〜370重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、得られる塗膜における導電性を効果的に保持しつつ、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、ポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性を効果的に向上させることができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(G)成分として、(A)〜(C)成分の溶媒を含むとともに、当該溶媒の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、8,000〜12,000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、導電性樹脂組成物の粘度や乾燥性を好適な範囲に調整することができるばかりか、得られる塗膜における導電性を安定させることができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(G)成分としての溶媒が、水およびエチレングリコールを含むことが好ましい。
このように構成することにより、導電性樹脂組成物の粘度や乾燥性をより好適な範囲に調整することができるばかりか、得られる塗膜における導電性をより安定させることができる。
また、本発明の別の態様は、基材と、当該基材表面に形成された発熱層と、を含む面状発熱体であって、発熱層が、下記(A)〜(C)成分を含む導電性樹脂組成物であって、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、当該ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とイオン対をなすドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸と、からなる複合体であり、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の重量平均分子量を5,000〜30,000の範囲内の値とし、(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とし、かつ、ビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)を、90:10〜55:45の範囲内の値とする導電性樹脂組成物を塗布および乾燥させてなることを特徴とする面状発熱体である。
(A)ポリチオフェン系導電性ポリマー 100重量部
(B)スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂 200〜530重量部
(C)ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体 7〜230重量部
すなわち、本発明の面状発熱体であれば、所定の導電性樹脂組成物を用いて発熱層を形成していることから、発熱層における膜厚の均一性、導電性および基材に対する密着性を効果的に向上させることができ、また、発熱層の透明性についても効果的に向上させることができる。
したがって、諸特性に優れた高品質な面状発熱体を得ることができる。
図1は、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の配合量と、得られる塗膜におけるレベリング性および密着性との関係を説明するために供する図である。 図2は、(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体における共重合比と、得られる塗膜におけるレベリング性との関係を説明するために供する図である。 図3は、(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量と、得られる塗膜におけるレベリング性および導電性との関係を説明するために供する図である。 図4は、面状発熱体について説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、下記(A)〜(C)成分を含むことを特徴とする導電性樹脂組成物である。
(A)ポリチオフェン系導電性ポリマー 100重量部
(B)スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂 200〜530重量部
(C)ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体 7〜230重量部
以下、第1の実施形態の各構成要件である(A)〜(C)成分等について、具体的に説明する。
1.(A)成分:ポリチオフェン系導電性ポリマー
本発明の導電性樹脂組成物は、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーを含むことを特徴とする。
この理由は、ポリチオフェン系導電性ポリマーを含むことにより、得られる塗膜に対して導電性を付与することができるためである。
(1)種類
また、ポリチオフェン系導電性ポリマーの種類としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを用いることができるが、特に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、当該ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とイオン対をなすドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸と、からなる複合体を用いることが好ましい。
この理由は、かかる複合体であれば、導電性を効果的に発揮しつつ、後述する(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の作用により、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステルおよび(D)成分としての溶媒との相溶性を効果的に向上させることができるためである。
なお、上述したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸複合体としては、例えば、ヘレウス(株)製の「CLEVIOS P HCV4」や、「CLEVIOS P H 500」等が挙げられる。
(2)配合量
また、ポリチオフェン系導電性ポリマーの配合量を、導電性樹脂組成物の全体量(100%)に対して、0.1〜2重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が0.1重量%未満の値となると、得られる塗膜における導電性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる配合量が2重量%を超えた値となると、得られる塗膜が過度に脆くなり、基材との密着性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、ポリチオフェン系導電性ポリマーの配合量を、導電性樹脂組成物の全体量(100重量%)に対して、0.5〜1.8重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜1.5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.(B)成分:スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂
本発明の導電性樹脂組成物は、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする。
この理由は、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂であれば、主たるバインダー樹脂としての機能を発揮して、得られる塗膜における導電性を効果的に保持しつつ、レベリング性および基材に対する密着性を向上させることができるばかりか、所定の耐摩耗性を得ることができるためである。
また、後述する(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の作用により、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性を効果的に向上させることができるためである。
(1)種類
また、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂は、例えば、エチレングリコール等のポリオールと、イソフタル酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸およびスルホン酸Na塩基を有する5−ソジオスルホイソフタル酸等のスルホン酸塩基を有する多価カルボン酸と、の重縮合エステル化反応により得られるポリエステル樹脂である。
なお、スルホン酸塩基としては、スルホン酸Na塩基のほかに、スルホン酸K塩基、スルホン酸Li塩基、スルホン酸Ca塩基、スルホン酸Mg塩基、スルホン酸Al塩基、スルホン酸Sb塩基、スルホン酸Sn塩基等を挙げることができる。
(2)重量平均分子量
また、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の重量平均分子量を5,000〜30,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の重量平均分子量をかかる範囲内の値とすることにより、得られる塗膜における導電性を効果的に保持しつつ、レベリング性および基材に対する密着性をより向上させることができ、耐摩耗性についても向上させることができるためである。
すなわち、かかる重量平均分子量が5,000未満の値となると、塗膜強度が著しく低下し、耐摩耗性が低下する場合があるためである。一方、かかる重量平均分子量が30,000を超えた値となると、塗膜が著しく脆くなり、基材との密着不良を起こしやすくなる場合があるためである。
したがって、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の重量平均分子量を8,000〜25,000の範囲内の値とすることがより好ましく、10,000〜20,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量として測定することができる。
(3)配合量
また、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、200〜530重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる配合量が200重量部未満の値となると、得られる塗膜におけるレベリング性および基材に対する密着性が著しく低下するとともに、十分な耐摩耗性を得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかる配合量が530重量部を超えた値となると、得られる塗膜におけるレベリング性および導電性が著しく低下し、所定の表面抵抗値を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、170〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、180〜480重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図1を用いて、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の配合量と、得られる塗膜におけるレベリング性および密着性との関係を説明する。
すなわち、図1には、横軸に(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対する(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の配合量(重量部)を採り、左縦軸にレベリング性(評価点)を採った特性曲線A、および右縦軸に密着性(評価点)を採った特性曲線Bが示してある。
また、レベリング性および密着性の評価点は、実施例に記載のレベリング性および密着性の評価を行い、得られた結果を下記基準に沿って数値化したものである。
なお、導電性樹脂組成物の組成等の詳細は、実施例1に準じる。
(レベリング性)
4:ハジキ、ピンホールが確認されず、かつ、塗膜が平滑である
3:ハジキ、ピンホールは確認されないが、塗膜に波状の部分が確認される
2:ハジキ、ピンホールが僅かに確認され、かつ、塗膜に波状の部分が確認される
1:ハジキ、ピンホールが多数確認され、かつ、塗膜が全体的に波状になっている
(密着性)
4:剥がれなかった碁盤目の割合が99%以上の値である
3:剥がれなかった碁盤目の割合が95〜99%未満の値である
2:剥がれなかった碁盤目の割合が75〜95%未満の値である
1:剥がれなかった碁盤目の割合が75%未満の値である
まず、特性曲線Aからは、レベリング性を向上させるに際し、(B)成分の配合量には最適範囲が存在していることが理解される。
すなわち、(B)成分の配合量が増加するのに伴って、レベリング性は一旦増加した後、低下することが理解される。
より具体的には、(B)成分の配合量が200〜530重量部の範囲内の値であれば、レベリング性の評価点を安定的に3以上の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、レベリング性の評価点を安定的に3以上の値に維持することが困難になり、優れたレベリング性を維持することが困難になることが理解される。
また、特性曲線Bについても、特性曲線Aと同様であり、(B)成分の配合量が200〜530重量部の範囲内の値であれば、密着性の評価点を安定的に3以上の値、あるいは3を下回る場合であっても3付近の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、密着性の評価点を安定的に3以上の値、あるいは3付近の値に維持することが困難になることが理解される。
よって、(B)成分の配合量を、(A)成分100重量部に対して200〜530重量部の範囲内の値とすることで、得られる塗膜におけるレベリング性および基材に対する密着性を効果的に向上させられることが理解される。
3.(C)成分:ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体
本発明の導電性樹脂組成物は、(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を含むことを特徴とする。
この理由は、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体であれば、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性を効果的に向上させることができるためである。
その結果、得られる塗膜におけるレベリング性、導電性および基材に対する密着性を効果的に向上させることができる。
(1)共重合比
また、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体におけるビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)を、90:10〜55:45の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルの共重合比をかかる範囲内の値とすることにより、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有するポリエステル樹脂と、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性をさらに向上させることができるためである。
すなわち、ビニルピロリドンの共重合比が90:10を超えた値になると、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の凝集力が低下し、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーやとの相溶性が低下したり、その影響により導電性樹脂組成物の粘度が過度に上昇したりして、得られる塗膜におけるレベリング性および密着性が過度に低下する場合があるためである。一方、ビニルピロリドンの共重合比が55:45未満の値になると、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の水溶性が著しく低下し、貯蔵安定性が不安定になるばかりでなく、得られる塗膜におけるレベリング性および密着性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体におけるビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)を、85:15〜58:42の範囲内の値とすることがより好ましく、83:17〜60:40の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図2を用いて、(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体における共重合比(モル換算)と、得られる塗膜におけるレベリング性との関係を説明する。
すなわち、図2には、横軸に(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体におけるビニルピロリドンおよび酢酸ビニルの合計を100とした場合のビニルピロリドンの共重合比(モル換算)(−)を採り、縦軸にレベリング性(評価点)を採った特性曲線が示してある。
なお、レベリング性の評価点の基準等は、図1に示す特性曲線の場合と同様であり、導電性樹脂組成物の組成等についての詳細は、実施例1に準じる。
かかる特性曲線からは、レベリング性を向上させるに際し、ビニルピロリドンの共重合比には最適範囲が存在していることが理解される。
すなわち、ビニルピロリドンの共重合比が増加するのに伴って、レベリング性は一旦増加した後、低下することが理解される。
より具体的には、ビニルピロリドンの共重合比が55〜90の範囲内の値であれば、レベリング性の評価点を安定的に3以上の値、あるいは3を下回る場合であっても3付近の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、レベリング性の評価点を安定的に3以上の値、あるいは3付近の値に維持することが困難になることが理解される。
よって、(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体におけるビニルピロリドンおよび酢酸ビニルの合計を100とした場合のビニルピロリドンの共重合比(モル換算)(−)を55〜90の範囲内の値とすることで、得られる塗膜におけるレベリング性を効果的に向上させられることが理解される。
なお、グラフ化は省略したが、実施例1、5〜6および比較例6〜7からは、密着性についても、上述したレベリング性と同様に、ビニルピロリドンの共重合比を55〜90の範囲とすることが好ましいことが理解される。
(2)重量平均分子量
また、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量をかかる範囲内の値とすることにより、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性をより効果的に向上させることができるためである。
すなわち、かかる重量平均分子量が10,000未満の値になると、著しく吸湿性となって、得られる塗膜における導電性の制御が困難になる場合があるためである。一方、かかる重量平均分子量が500,000を超えた値になると、(A)および(B)成分等との相溶性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量を30,000〜300,000の範囲内の値とすることがより好ましく、50,000〜200,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量として測定することができる。
(3)配合量
また、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、7〜230重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる配合量が7重量部未満の値となると、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性が不十分になり、得られる塗膜におけるレベリング性および導電性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる配合量が230重量部を超えた値となると、逆に導電性樹脂組成物の相溶性が低下して、得られる塗膜におけるレベリング性および導電性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、13〜220重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜215の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図3を用いて、(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量と、得られる塗膜におけるレベリング性および導電性との関係を説明する。
すなわち、図3には、横軸に(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対する(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量(重量部)を採り、左縦軸にレベリング性(評価点)を採った特性曲線A、および右縦軸に導電性(評価点)を採った特性曲線Bが示してある。
また、導電性の評価点は、実施例に記載の導電性の評価を行い、得られた結果を下記基準に沿って数値化したものである。
なお、レベリング性の評価点の基準等は、図1に示す特性曲線の場合と同様であり、導電性樹脂組成物の組成等についての詳細は、実施例1に準じる。
(導電性)
4:得られた表面抵抗値が600Ω/□未満の値である
3:得られた表面抵抗値が600〜800Ω/□未満の値である
2:得られた表面抵抗値が800〜1,000Ω/□未満の値である
1:得られた表面抵抗値が1,000Ω/□以上の値である
まず、特性曲線Aからは、レベリング性を向上させるに際し、(C)成分の配合量には最適範囲が存在していることが理解される。
すなわち、(C)成分の配合量が増加するのに伴って、レベリング性は一旦急激に増加した後、低下することが理解される。
より具体的には、(C)成分の配合量が7〜230重量部の範囲内の値であれば、レベリング性の評価点を安定的に3以上の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、レベリング性の評価点を安定的に3以上の値に維持することが困難になり、優れたレベリング性を維持することが困難になることが理解される。
また、特性曲線Bについても、特性曲線Aと同様であり、(C)成分の配合量が7〜230重量部の範囲内の値であれば、導電性の評価点を安定的に3以上の値、あるいは3を下回る場合であっても3付近の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、導電性の評価点を安定的に3以上の値、あるいは3付近の値に維持することが困難になることが理解される。
よって、(C)成分の配合量を、(A)成分100重量部に対して7〜230重量部の範囲内の値とすることで、得られる塗膜におけるレベリング性および導電性を効果的に向上させられることが理解される。
4.(D)成分:アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂
また、本発明の導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(D)成分として、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂を含むことが好ましい。
この理由は、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂であれば、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性をより一段と向上させることができるばかりか、得られる塗膜における耐摩耗性についても向上させることができるためである。
なお、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂とジケテンとを公知の方法により反応させることで容易に製造することができる。
(1)アセチル化度
また、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂におけるアセチル化度(モル換算)を1〜15%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアセチル化度が1%未満の値となると、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の凝集力が低下し、導電性樹脂組成物の粘度が過度に上昇する場合があるためである。一方、かかるアセチル化度が15%を超えた値となると、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の水溶性が著しく低下したり、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー等との相溶性が低下したりする場合があるためである。
したがって、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂におけるアセチル化度(モル換算)を1.2〜12%の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜10%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)重量平均分子量
また、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の重量平均分子量を10,000〜100,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる重量平均分子量が10,000未満の値になると、得られる塗膜における耐摩耗性が著しく低下する場合があるためである。一方、かかる重量平均分子量が100,000を超えた値になると、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーおよび(D)成分としての溶媒との相溶性を向上させる効果を十分に得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の重量平均分子量を20,000〜95,000の範囲内の値とすることがより好ましく、25,000〜90,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量として測定することができる。
(2)配合量
また、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、0.7〜15重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が0.7重量部未満の値となると、得られる(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性を向上させる効果が不十分になるばかりか、得られる塗膜における耐摩耗性を向上させる効果も不十分になる場合があるためである。一方、かかる配合量が15重量部を超えた値になると、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー等との相溶性が低下したりする場合があるためである。
したがって、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、1〜12重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.(E)成分:水性ポリエーテルウレタン樹脂
また、本発明の導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(E)成分として、水性ポリエーテルウレタン樹脂を含むことが好ましい。
この理由は、水性ポリエーテルウレタン樹脂であれば、得られる塗膜における導電性や密着性を効果的に保持しつつ、導電性樹脂組成物の粘度を好適な範囲に調整して、得られる塗膜におけるレベリング性をさらに向上させることができるためである。
(1)種類
また、水性ポリエーテルウレタン樹脂を、会合性ポリエーテルウレタン樹脂とすることが好ましい。
この理由は、会合性ポリエーテルウレタン樹脂であれば、得られる塗膜における導電性や密着性をより効果的に保持しつつ、導電性樹脂組成物の粘度を好適な範囲に調整して、得られる塗膜におけるレベリング性をさらに向上させることができるためである。
ここで、会合性ポリエーテルウレタン樹脂とは、ポリエーテルポリオールと、有機イソシアネートと、末端構成基を結合するための反応体としてのポリオールと、の反応物であり、例えば、ポリエーテルポリオールとしてのポリエチレングリコールと、有機イソシアネートとしてのイソホロンジイソシアネート、またはヘキサメチレンジイソシアネートと、末端構成基を結合するための反応体であるポリオールとしての3−ノニルフェノキシ−1,2−プロパンジオール、または1,2−ヘキサデカンジオールと、の反応により得られるポリエーテルウレタン樹脂である。
(2)重量平均分子量
また、水性ポリエーテルポリウレタン樹脂の重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる重量平均分子量が10,000未満の値になると、増粘効果が著しく低下し、得られる塗膜におけるレベリング性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる重量平均分子量が500,000を超えた値になると、増粘効果が著しく増大し、逆に得られる塗膜におけるレベリング性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、水性ポリエーテルウレタン樹脂の重量平均分子量を15,000〜400,000の範囲内の値とすることがより好ましく、20,000〜300,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、水性ポリエーテルウレタン樹脂の重量平均重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量として測定することができる。
(3)配合量
また、水性ポリエーテルウレタン樹脂の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、25〜170重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が25重量部未満の値になると、増粘効果が著しく低下し、得られる塗膜におけるレベリング性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる配合量が170重量部を超えた値になると、増粘効果が著しく増大し、逆に得られる塗膜におけるレベリング性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、水性ポリエーテルウレタン樹脂の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、30〜130重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、35〜120重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
6.(F)成分:界面活性剤
また、本発明の導電性樹脂組成物を構成するにあたり、(F)成分として、界面活性剤を含むことが好ましい。
この理由は、界面活性剤を含むことにより、得られる塗膜における導電性を効果的に保持しつつ、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性を効果的に向上させることができるためである。
(1)種類
また、界面活性剤の種類としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
より具体的には、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α−スルホン化脂肪酸、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、およびこれらの塩などのアニオン系界面活性剤、第一〜第三脂肪族アミン、四級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウムアルキルピリジニウム,2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム、N,N−ジアルキルモルホリニウム、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム、およびこれらの塩などのカチオン系界面活性剤、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのベタイン類、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などのアミノカルボン酸類などの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンープロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、アルコールアルコキシレート、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイド、アセチレングリコールなどの非イオン系界面活性剤、フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系界面活性剤等の一種または二種以上の組み合わせが挙げられる。
この中でも、得られる塗膜における導電性を効果的に保持しつつも、優れたレベリング性を得ることができることから、アセチレングリコール、アルコールアルコキシレートを使用することが好ましい。
また、アセチレングリコールは、導電性樹脂組成物を塗布した際に、優れた消泡効果を発揮することから、塗膜におけるハジキやピンホールの発生を効果的に抑制し、より優れたレベリング性を得ることができる。
また、アルコールアルコキシレートを用いる場合には、アルコールアルコキシレートにおける炭素数を10〜30の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる炭素数が10未満の値になると、得られる塗膜におけるレベリング性が低下しやすくなる場合があるためである。一方、かかる炭素数が30を超えた値となると、導電性樹脂組成物の貯蔵安定性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、アルコールアルコキシレートにおける炭素数を12〜25の範囲内の値とすることがより好ましく、15〜20の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)配合量
また、界面活性剤の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、50〜370重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が50重量部未満の値になると、得られる塗膜におけるレベリング性を向上させる効果を十分に発揮させることが困難になる場合があるためである。一方、かかる配合量が370重量部を超えた値になると、導電性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下したり、得られる塗膜における導電性が低下しやすくなったりする場合があるためである。
したがって、界面活性剤の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、60〜230重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、100〜200重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、特に、界面活性剤としてアセチレングリコールおよびアルコールアルコキシレートを混合して用いることが好ましく、その場合、アセチレングリコールと、アルコールアルコキシレートとの配合比率(重量比)を9:99〜28:72の範囲内の値とすることが好ましく、15:85〜33:67の範囲内の値とすることがより好ましい。
7.(G)成分:溶媒
本発明の導電性樹脂組成物は、(G)成分として、(A)〜(C)成分の溶媒を含むことが好ましい。
この理由は、溶媒を含むことにより、導電性樹脂組成物の粘度や乾燥性を適当な範囲に調整することができるばかりか、得られる塗膜における導電性を安定させることができるためである。
(1)種類
また、溶媒の種類としては、水、およびメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエチレングリコール類、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、乳酸メチル、乳酸エチル等のヒドロキシエチル類等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中でも、水およびエチレングリコールを含むことが好ましい。
この理由は、水およびエチレングリコールを併用することにより、導電性樹脂組成物の粘度や乾燥性を好適な範囲に調整することができるばかりか、得られる塗膜における導電性をさらに安定させることができるためである。
(2)配合量
また、溶媒の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、8,000〜12,000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が8,000重量部未満の値になると、導電性樹脂組成物の粘度が過度に高くなる場合があるためである。一方、かかる配合量が12,000重量部を超えた値になると、塗膜を形成する際の乾燥性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、溶媒の配合量を、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、8,500〜11,600重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、8,700〜11,300重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、特に、溶媒として水およびエチレングリコールを併用する場合には、水と、エチレングリコールとの配合比率(重量比)を90:10〜75:25の範囲内の値とすることが好ましく、85:15〜80:20の範囲内の値とすることがより好ましい。
8.架橋剤
また、本発明の導電性樹脂組成物は、得られる塗膜の耐水性を向上させる観点から、シランカップリング剤、イソシアネート化合物等の架橋剤を添加してもよい。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、基材と、当該基材表面に形成された発熱層を、を含む面状発熱体であって、発熱層が、下記(A)〜(C)成分を含む導電性樹脂組成物を塗布および乾燥させてなることを特徴とする面状発熱体である。
(A)ポリチオフェン系導電性ポリマー 100重量部
(B)スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂 200〜530重量部
(C)ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体 7〜230重量部
以下、本発明の第2の実施形態の面状発熱体について、具体的に説明する。
1.発熱層
本発明の面状発熱体における発熱層は、上述した導電性樹脂組成物を基材に対して塗布、乾燥することにより得ることができる。
また、透明性を保持する観点から、発熱層の膜厚は0.01〜20μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、導電性樹脂組成物の詳細については、第1の実施形態として説明したため省略する。
2.基材
また、基材としては、特に限定されるものではなく、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル、ABS、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン等のプラスチック基材や、ガラス、金属素材等が挙げられる。
3.製造方法
また、本発明の面状発熱体は、電極パターン等を表面に印刷した基材に対して導電性樹脂組成物を塗布、乾燥させて発熱層を形成することによって製造することができる。
また、導電性樹脂組成物の塗布方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、ディップコート、スプレーコート、バーコート等が挙げられるが、より均一な塗膜を得る観点から、スクリーン印刷が特に好ましい。
4.用途
また、本発明の面状発熱体は、例えば、自動車のヘッドライトの霜取りや、フロントガラスあるいはリアガラスの曇りを防止するための透明面状発熱体、建築物における浴室等の窓ガラスの曇りを防止するための透明面状発熱体として好適に使用することができ、さらに、液晶ディスプレーの表面温度を一定に保つための透明面状発熱体としても使用することができる。
以下、本発明を、実施例に基づいて詳細に説明するが、特に理由なく、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1.導電性樹脂組成物の調製
撹拌装置を備えた容器内に、下記組成を収容した後、撹拌装置を用いて均一になるまで混合し、導電性樹脂組成物とした。
なお、以下における配合量は固形物換算された値である。
(A)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸複合体
100重量部
(ヘレウス(株)製、CLEVIOS P HC V4)
(B)スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂 333重量部
(C)ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体 20重量部
(D)アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂 2重量部
(E)水性ポリエーテルウレタン樹脂 60重量部
(F1)アセチレングリコール 33重量部
(日信化学(株)製、オルフィン AF−104)
(F2)アルコールアルコキシレート 67重量部
(ビックケミー(株)製、BYK D−800)
(G1)エチレングリコール 1,000重量部
(G2)水 8,267重量部
また、上述した(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂におけるスルホン酸塩基はスルホン酸Na塩基であり、重量平均分子量は16,000であった。
また、上述した(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量は50,000であり、ビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)は60:40であった。
また、上述した(D)成分としてのアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の重量平均分子量は45,000であり、アセチル化度(モル換算)は10%であった。
また、上述した(E)成分としての水性ポリエーテルウレタン樹脂の重量平均分子量は60,000であった。
さらに、上述した(F2)成分としてのアルコールアルコキシレートの炭素数は16であった。
2.導電性樹脂組成物の評価
(1)レベリング性の評価
得られた導電性樹脂組成物におけるレベリング性、すなわち得られる塗膜の均一性を評価した。
すなわち、未処理のポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラー T−125μm)に対して、得られた導電性樹脂組成物をスクリーン印刷(ポリエステルスクリーン300メッシュ、乳剤膜厚10μm)した後、120℃、20分の条件にて乾燥させて膜厚が1μmの塗膜を形成した。
次いで、得られた塗膜を目視にて確認し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:ハジキ、ピンホールが確認されず、かつ、塗膜が平滑である
○:ハジキ、ピンホールは確認されないが、塗膜に波状の部分が確認される
△:ハジキ、ピンホールが僅かに確認され、かつ、塗膜に波状の部分が確認される
×:ハジキ、ピンホールが多数確認され、かつ、塗膜が全体的に波状になっている
(2)密着性の評価
得られた導電性樹脂組成物により形成した塗膜における密着性を評価した。
すなわち、レベリング性の評価と同様の条件で塗膜を形成し、JIS−K−5600 5.6に準拠して碁盤目セロテープ(登録商標)剥離試験により密着性を評価した。
より具体的には、塗膜上に隙間間隔1mmのカッターガイドを用いて100目の碁盤目を作り、セロテープを貼付後、剥離し、剥がれなかった碁盤目の割合(%)から、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:剥がれなかった碁盤目の割合が99%以上の値である
○:剥がれなかった碁盤目の割合が95〜99%未満の値である
△:剥がれなかった碁盤目の割合が75〜95%未満の値である
×:剥がれなかった碁盤目の割合が75%未満の値である
(3)導電性の評価
また、得られた導電性樹脂組成物により形成した塗膜における導電性を表面抵抗値(Ω/□)により評価した。
すなわち、レベリング性の評価と同様の条件で塗膜を形成し、温度24℃、相対湿度55%の環境下において、抵抗測定器(三菱化学(株)製、Loresta MP MCP−350)を用いて、JIS−K−6911に準拠しつつ四探針法により表面抵抗値(Ω/□)を測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:得られた表面抵抗値が600Ω/□未満の値である
○:得られた表面抵抗値が600〜800Ω/□未満の値である
△:得られた表面抵抗値が800〜1,000Ω/□未満の値である
×:得られた表面抵抗値が1,000Ω/□以上の値である
(4)透明性の評価
得られた導電性樹脂組成物により形成した塗膜における透明性を全光線透過率(%)によりを評価した。
すなわち、レベリング性の評価と同様の条件で塗膜を形成し、温度24℃、相対湿度55%の環境下において、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH2000(D65光源)を用いて、JIS−K−7150に準拠しつつ全光線透過率(%)を測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:得られた全光線透過率が84%以上の値である
○:得られた全光線透過率が77〜84%未満の値である
△:得られた全光線透過率が70〜77%未満の値である
×:得られた全光線透過率が70%未満の値である
(5)発熱性の評価
また、得られた導電性樹脂組成物により形成した塗膜に電源を接続してなる面状発熱体における発熱性を評価した。
すなわち、図4に示すように、レベリング性の評価と同様の条件で印刷面積が60mm×60mmとなるように発熱層としての塗膜12を形成し、温度24℃、相対湿度55%の環境下において、得られた塗膜12に定圧電源(DIAMOND ANTENNA(株)製、POWER SUPPLY MODEL GS−400V)(図示せず)を銅箔11および銀ペースト13を介して接続して面状発熱体10を構成し、発熱層としての塗膜12に対して13.5Vの電圧をかけ、温度計(シンワ(株)製、IR THERMOMETER)を用いて昇温温度を測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:昇温温度が10℃以上の値である
○:昇温温度が5〜10℃未満の値である
△:昇温温度が1〜5℃未満の値である
×:昇温温度が1℃未満の値である
[実施例2および比較例1〜3]
実施例2および比較例1〜3では、導電性樹脂組成物を調製する際に、(A)成分であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸複合体の配合比を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様に塗膜を形成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3〜4および比較例4〜5]
実施例3〜4および比較例4〜5では、導電性樹脂組成物を調製する際に、(C)成分であるビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量を表2に示すように変えたほかは、実施例1と同様に塗膜を形成し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例5、参考例6および比較例6〜7]
実施例5、参考例6および比較例6〜7では、導電性樹脂組成物を調製する際に、(C)成分であるビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体におけるビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)を表3に示すように変えた重量平均分子量50,000の共重合体もしくは重合体を用いたほかは、実施例1と同様に塗膜を形成し、評価した。得られた結果を表3に示す。
なお、比較例6では、ビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比が100:0であることから、正確には、「ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体」ではなく、「ポリビニルピロリドン」を用いたことになる。
また、比較例7では、ビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比が0:100であることから、正確には、「ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体」ではなく、「ポリ酢酸ビニル」を用いたことになる。
[実施例7〜8および比較例8]
実施例7〜8では、導電性樹脂組成物を調製する際に、(D)成分であるアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の配合量を表4に示すように変え、比較例8ではさらに(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量を変えたほかは、実施例1と同様に塗膜を形成し、評価した。得られた結果を表4に示す。
[実施例9〜10および比較例9〜10]
実施例9〜10および比較例9〜10では、導電性樹脂組成物を調製する際に、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の配合量を表5に示すように変えたほかは、実施例1と同様に塗膜を形成し、評価した。得られた結果を表5に示す。
[実施例11〜12および比較例11]
実施例11〜12では、導電性樹脂組成物を調製する際に、(E)成分としての水性ポリエーテルウレタン樹脂の配合量を表6に示すように変え、比較例11ではさらに(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量を変えたほかは、実施例1と同様に塗膜を形成し、評価した。得られた結果を表6に示す。
[実施例13〜15および比較例12]
実施例13〜15では、導電性樹脂組成物を調製する際に、(F1)成分としてのアセチレングリコールの配合量を表7に示すように変え、比較例12ではさらに(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量を変えたほかは、実施例1と同様に塗膜を形成し、評価した。得られた結果を表7に示す。
[実施例16〜18および比較例13]
実施例16〜18では、導電性樹脂組成物を調製する際に、(F2)成分としてのアルコールアルコキシレートの配合量を表8に示すように変え、比較例13ではさらに(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量を変えたほかは、実施例1と同様に塗膜を形成し、評価した。得られた結果を表8に示す。
[実施例19〜20および比較例14]
実施例19〜20では、導電性樹脂組成物を調製する際に、(G1)成分としてのエチレングリコールの配合量を表9に示すように変え、比較例14ではさらに(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の配合量を変えたほかは、実施例1と同様に塗膜を形成し、評価した。得られた結果を表9に示す。
本発明の導電性樹脂組成物等によれば、ポリチオフェン系導電性ポリマーに対してスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体とを、それぞれ所定の配合量にて配合することにより、主たるバインダー樹脂としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂と、ポリチオフェン系導電性ポリマーとの相溶性を効果的に向上させることができるようになった。
その結果、得られる塗膜における膜厚の均一性、導電性および基材に対する密着性を効果的に向上させることができるようになった。
したがって、本発明の導電性樹脂組成物およびそれを用いた面状発熱体は、面状発熱体の品質向上に著しく寄与することが期待される。
10:面状発熱体、11:銅箔、12:塗膜(発熱層)、13:銀ペースト

Claims (7)

  1. 下記(A)〜(C)成分を含む導電性樹脂組成物であって、
    (A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、当該ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とイオン対をなすドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸と、からなる複合体であり、
    (B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の重量平均分子量を5,000〜30,000の範囲内の値とし、
    (C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とし、かつ、ビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)を、90:10〜55:45の範囲内の値とすることを特徴とする導電性樹脂組成物。
    (A)ポリチオフェン系導電性ポリマー 100重量部
    (B)スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂 200〜530重量部
    (C)ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体 7〜230重量部
  2. (D)成分として、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂を含むとともに、当該アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂の配合量を、前記(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、0.7〜15重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. (E)成分として、水性ポリエーテルウレタン樹脂を含むとともに、当該水性ポリエーテルウレタン樹脂の配合量を、前記(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、25〜170重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性樹脂組成物。
  4. (F)成分として、界面活性剤を含むとともに、当該界面活性剤の配合量を、前記(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、50〜370重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物。
  5. (G)成分として、(A)〜(C)成分の溶媒を含むとともに、当該溶媒の配合量を、前記(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマー100重量部に対して、8,000〜12,000重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物。
  6. 前記(G)成分としての溶媒が、水およびエチレングリコールを含むことを特徴とする請求項5に記載の導電性樹脂組成物。
  7. 基材と、当該基材表面に形成された発熱層と、を含む面状発熱体であって、
    前記発熱層が、下記(A)〜(C)成分を含む導電性樹脂組成物であって、(A)成分としてのポリチオフェン系導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、当該ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とイオン対をなすドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸と、からなる複合体であり、(B)成分としてのスルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂の重量平均分子量を5,000〜30,000の範囲内の値とし、(C)成分としてのビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とし、かつ、ビニルピロリドン:酢酸ビニルの共重合比(モル換算)を、90:10〜55:45の範囲内の値とする導電性樹脂組成物を塗布および乾燥させてなることを特徴とする面状発熱体。
    (A)ポリチオフェン系導電性ポリマー 100重量部
    (B)スルホン酸塩基を有する水性ポリエステル樹脂 200〜530重量部
    (C)ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体 7〜230重量部
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