JP2017037760A - 透明導電性基板及びその製造方法、並びにその透明導電性基板を用いたタッチパネル - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の透明導電性基板は、ガラス基板と、上記ガラス基板の少なくとも一方の主面に配置された導電層とを備え、上記導電層は、上記ガラス基板の上に配置された有機導電層と、上記有機導電層の上に配置された無機導電層とを備え、上記有機導電層は、導電性高分子と、バインダとを含み、上記無機導電層は、導電性無機材料と、バインダとを含み、上記無機導電層の厚さが、0.04μm以上0.1μm以下であることを特徴とする。
本発明の透明導電性基板の有機導電層がバインダを含むことにより、導電性高分子のみからなる有機導電層に比べて、硬度が高くガラス基板への密着性が高い有機導電層を形成できる。また、上記有機導電層がバインダを含むことにより、ガラス基材上に厚みのばらつきが小さい有機導電層を形成できるため、有機導電層全体の電気抵抗値を均一にできる。更に、上記有機導電層は、パターニングしてもよく、これによりタッチパネル用途に適した有機導電層を形成できる。
上記導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用でき、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が使用できる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、特にポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子及びポリアニリン系導電性高分子が好ましい。
上記有機導電層に用いるバインダとしては、アルコキシシランモノマー、アルコキシシランオリゴマー等を架橋して形成したシリコーン系無機バインダ;ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、フッ化ビニリデン−アクリル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂を含む有機バインダ;ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等を含む有機バインダ等が使用できる。上記シリコーン系無機バインダを用いた場合、高硬度の有機導電層を作製できるため特に好ましい。また、上記フッ素系樹脂を含む有機バインダを用いると、有機導電層の耐水性と透明性を向上できる。
ガラス基板の上に形成された上記有機導電層単独の表面電気抵抗値は、50Ω/sq以上1000Ω/sq以下であることが好ましい。更に、上記導電層をタッチパネル用電極として用いる場合には、上記有機導電層単独の表面電気抵抗値は、50Ω/sq以上500Ω/sq以下が好ましく、50Ω/sq以上400Ω/sq以下がより好ましい。表面電気抵抗値が小さいほど良好な電気特性を示す。
本発明の透明導電性基板の無機導電層がバインダを含むことにより、上記無機導電層を塗布方式で形成できるため、例えば、スパッタリング法、化学蒸着法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に比べて、上記無機導電層を簡便な装置で安価に形成できる。
上記導電性無機材料としては、導電性金属酸化物が使用でき、例えば、アンチモン、インジウム、錫、亜鉛、チタン、ニオブ、ガリウム及びアルミニウムからなる群から選ばれる2種以上の金属の鎖状金属酸化物が好ましい。導電性の点からは、特に鎖状アンチモン酸化錫(鎖状ATO)又は鎖状インジウム酸化錫(鎖状ITO)が好ましい。上記鎖状アンチモン酸化錫は、アンチモン酸化錫の粒子が数珠状に連結したものであり、アンチモン酸化錫の粒子相互間に導電性を有し、独立した粒状のアンチモン酸化錫に比べて、少ない量で高い導電性を発揮できるものである。また、上記鎖状インジウム酸化錫も同様に少ない量で高い導電性を発揮できるものである。
上記無機導電層に用いるバインダとしては、前述の有機導電層に用いるバインダと同様のバインダを使用できるが、特に前述のシリコーン系無機バインダが高硬度の無機導電層を形成できるため好ましい。
上記無機導電層の厚みは、厚すぎると表面抵抗値が上昇し、薄すぎると表面硬度が低下するため、0.04μm以上0.1μm以下に設定される。
本発明の透明導電性基板に用いるガラス基板のガラスの材質としては特に限定されず、また、上記ガラス基板の厚みも特に限定されず、例えば、0.1mm以上1mm以下の厚みのガラス基板を用いることができる。
本発明の透明導電性基板の導電層側の硬度は、2H以上が好ましく、3H以上がより好ましい。また、本発明の透明導電性基板の導電層側の表面抵抗値は、50Ω/sq以上1500Ω/sq以下であることが好ましく、上記透明導電性基板をタッチパネル用電極として用いる場合には、上記透明導電性基板の導電層側の表面抵抗値は、50Ω/sq以上500Ω/sq以下がより好ましく、50Ω/sq以上100Ω/sq以下が最も好ましい。
本発明の透明導電性基板の製造方法は、導電性高分子と、バインダと、溶媒とを含む有機導電層形成用塗料を作製する工程と、導電性無機材料と、バインダと、溶媒とを含む無機導電層形成用塗料を作製する工程と、上記有機導電層形成用塗料をガラス基板の上に塗布して乾燥することにより、上記ガラス基板の上に有機導電層を形成する工程と、上記有機導電層の上に上記無機導電層形成用塗料を塗布して乾燥することにより、上記有機導電層の上に無機導電層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
上記有機導電層形成用塗料に用いる導電性高分子としては、前述のポリチオフェン系化合物としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸とを含む混合物(PEDOT/PSS)等を用いることができる。
上記無機導電層形成用塗料に用いる導電性無機材料としては、前述の導電性金属酸化物を用いることができ、特に前述の鎖状アンチモン酸化錫又は鎖状インジウム酸化錫が好ましい。
本発明のタッチパネルは、上記本発明の透明導電性基板を備えることを特徴とする。本発明のタッチパネルは、電気特性、光学特性、物理特性及び耐湿熱性に優れた上記本発明の透明導電性基板を備えているため、その感度に経時変化が少なく、信頼性の高いタッチパネルとすることができる。
<有機導電層形成用塗料の調製>
以下の成分を添加、混合して有機導電層形成用塗料Aを調製した。
(1)導電性高分子分散液(ヘレウス社製、商品名“PH−1000”、導電性高分子:PEDOT−PSS、固形分濃度:1.2質量%、溶媒:水):30.6部
(2)バインダ溶液(アルコキシシラン溶液、信越化学工業社製、商品名“シリコーンオリゴマーX40−2308”、固形分濃度:20.0質量%、溶媒:エタノール):14.2部
(3)非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド):12.5部
(4)プロトン性極性溶媒(エチルアルコール):40.0部
(5)プロトン性極性溶媒(水):2.7部
次に、厚さ0.7mmの10cm角の無アルカリガラス(全光線透過率:91.2%)をガラス基板として用い、そのガラス基板の一方の主面に上記有機導電層形成用塗料Aをスピンコータを用いて、回転速度200rpmで、30秒間塗布し、その後120℃で30分間加熱して乾燥した。これにより、一方の主面に有機導電層が形成された有機導電層付ガラス基板を作製した。
上記有機導電層付ガラス基板の有機導電層の表面電気抵抗値を、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定装置“Loresta−GP”(MCP−T610型)とLSPプローブを用いて測定したところ、100Ω/sqであった。
以下の成分を添加、混合して無機導電層形成用塗料Bを調製した。
(1)鎖状ATO粒子分散液(日揮触媒化学社製、商品名“V−3560”、溶媒:イソプロピルアルコール):3.4部
(2)バインダ溶液(アルコキシシラン溶液、信越化学工業社製、商品名“シリコーンオリゴマーX40−2308”、固形分濃度:10.0質量%、溶媒:エタノール):1.8部
(3)非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド):7.5部
(4)プロトン性極性溶媒(エチルアルコール):87.3部
上記有機導電層付ガラス基板の有機導電層の上に上記無機導電層形成用塗料Bをスプレーガンを用いて塗布し、その後120℃で30分間加熱して乾燥した。上記スプレーガンとしては、ノードソン社製のパルススプレガンを用い、ニードル開度を0.15mm、吐出液量を7.2g/分になるように塗料の押し出し圧力を調整した。また、上記スプレーガンと有機導電層との距離は100mmとし、塗布速度を600mm/秒、重ねピッチを12mmとし、アトマイズエアー及びスワールエアーの圧力は0.05MPaとした。これにより、有機導電層の上に無機導電層が形成された実施例1の透明導電性基板を作製した。
無機導電層の形成工程において、重ねピッチを15mmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の透明導電性基板を作製した。
無機導電層の形成工程において、重ねピッチを17mmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程において、スピンコータの回転速度を150rpmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程においてスピンコータの回転速度を150rpmに変更し、無機導電層の形成工程において重ねピッチを15mmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例5の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程においてスピンコータの回転速度を150rpmに変更し、無機導電層の形成工程において重ねピッチを17mmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例6の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程において、スピンコータの回転速度を800rpmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例7の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程においてスピンコータの回転速度を800rpmに変更し、無機導電層の形成工程において重ねピッチを15mmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例8の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程においてスピンコータの回転速度を800rpmに変更し、無機導電層の形成工程において重ねピッチを17mmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例9の透明導電性基板を作製した。
無機導電層を形成していない有機導電層付ガラス基板を実施例1と同様に形成し、その有機導電層付ガラス基板を比較例1の透明導電性基板とした。
無機導電層の形成工程において、重ねピッチを10mmに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2の透明導電性基板を作製した。
無機導電層の形成工程において、重ねピッチを20mmに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例3の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程においてスピンコータの回転速度を150rpmに変更し、無機導電層の形成工程において重ねピッチを20mmに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例4の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程においてスピンコータの回転速度を150rpmに変更し、無機導電層の形成工程において重ねピッチを10mmに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例5の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程においてスピンコータの回転速度を1000rpmに変更し、無機導電層の形成工程において重ねピッチを10mmに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例6の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程においてスピンコータの回転速度を1000rpmに変更し、無機導電層の形成工程において重ねピッチを20mmに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例7の透明導電性基板を作製した。
有機導電層を形成せず、実施例1のガラス基板に、実施例1の無機導電層形成用塗料Bを、重ねピッチを15mmに変更した以外は実施例1と同様にして塗布して、無機導電層付ガラス基板を形成し、その無機導電層付ガラス基板を比較例8の透明導電性基板とした。
有機導電層を形成せず、実施例1のガラス基板に、実施例1の無機導電層形成用塗料Bを、実施例1と同様にして塗布して、無機導電層付ガラス基板を形成し、その無機導電層付ガラス基板を比較例9の透明導電性基板とした。
有機導電層を形成せず、実施例1のガラス基板に、実施例1の無機導電層形成用塗料Bを、重ねピッチを10mmに変更した以外は実施例1と同様にして塗布して、無機導電層付ガラス基板を形成し、その無機導電層付ガラス基板を比較例10の透明導電性基板とした。
無機導電層の形成工程において、鎖状ATO粒子分散液を非鎖状ATO粒子分散液(石原産業社製、商品名“SN―100P”、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に変更し、重ねピッチを3mmに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例11の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程において、スピンコータの回転速度を150rpmに変更した以外は、比較例11と同様にして比較例12の透明導電性基板を作製した。
有機導電層の形成工程において、スピンコータの回転速度を800rpmに変更した以外は、比較例11と同様にして比較例13の透明導電性基板を作製した。
上記透明導電性基板の導電層の表面電気抵抗値を、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定装置“Loresta−GP”(MCP−T610型)とLSPプローブを用いて測定した。また、表面抵抗値が5×106Ω/sqを超える場合には、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定計“Hiresta−UP”(MCP−HT450型)とURSプローブを用いて測定した。
上記透明導電性基板の全光線透過率とヘイズを日本電色工業社製のヘイズメータ“NDH2000”で測定した。
上記透明導電性基板の導電層の鉛筆硬度を、日本工業規格(JIS)K5400に規定された鉛筆硬度の測定方法に基づき、新東科学社製の表面性試験機“HEIDON−14DR”で測定した。
上記透明導電性基板を切断し、その切断面を日立製作所製の走査型電子顕微鏡“S−4500”で観測することで、透明導電性基板の有機導電層と無機導電層の厚さを測定した。
先に測定した透明導電性基板の導電層の表面電気抵抗値を初期表面抵抗値とした。
表面電気抵抗値の変化率(%)=〔(保存後の表面電気抵抗値−初期表面電気抵抗値)/初期表面電気抵抗値〕×100 (1)
11 ガラス基板
12 有機導電層
13 無機導電層
Claims (10)
- ガラス基板と、前記ガラス基板の少なくとも一方の主面に配置された導電層とを含む透明導電性基板であって、
前記導電層は、前記ガラス基板の上に配置された有機導電層と、前記有機導電層の上に配置された無機導電層とを含み、
前記有機導電層は、導電性高分子と、バインダとを含み、
前記無機導電層は、導電性無機材料と、バインダとを含み、
前記無機導電層の厚さが、0.04μm以上0.1μm以下であることを特徴とする透明導電性基板。 - 前記導電性無機材料が、鎖状金属酸化物である請求項1に記載の透明導電性基板。
- 前記鎖状金属酸化物が、鎖状アンチモン酸化錫又は鎖状インジウム酸化錫である請求項2に記載の透明導電性基板。
- 前記無機導電層に含まれる前記バインダが、シリコーン系無機バインダである請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性基板。
- 前記導電性高分子は、ドーパントを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性基板。
- 前記導電性高分子は、ポリチオフェン系化合物とポリスチレンスルホン酸とを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性基板。
- 前記有機導電層に含まれる前記バインダが、シリコーン系無機バインダである請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電性基板。
- 前記導電層の鉛筆硬度が、2H以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明導電性基板。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法であって、
導電性高分子と、バインダと、溶媒とを含む有機導電層形成用塗料を作製する工程と、
導電性無機材料と、バインダと、溶媒とを含む無機導電層形成用塗料を作製する工程と、
前記有機導電層形成用塗料をガラス基板の上に塗布して乾燥することにより、前記ガラス基板の上に有機導電層を形成する工程と、
前記有機導電層の上に前記無機導電層形成用塗料を塗布して乾燥することにより、前記有機導電層の上に無機導電層を形成する工程とを含むことを特徴とする透明導電性基板の製造方法。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電性基板を含むことを特徴とするタッチパネル。
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