JP6116960B2 - ポリアリレート樹脂フィルムおよびそれを用いたコンデンサ - Google Patents

ポリアリレート樹脂フィルムおよびそれを用いたコンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、機械的特性、電気的特性に優れたポリアリレート樹脂フィルムに関する。
従来より、プラスチックはその電気的絶縁特性を活かし、コンデンサ用誘電体、モーター、トランスなどの絶縁部材として使用されている。特に昨今は電子機器等の発達に伴い、安価で製造が容易な素材としてフィルムコンデンサが多く用いられている。フィルムコンデンサに用いられるプラスチックは種々あるが、電子機器の小型化、コンデンサの高容量化などにより、その使用環境が高温になってきたため、そのような条件下でも電気的特性が長時間にわたり安定であることが要求されている。例えば、種々のポリエステルのブレンド物、あるいは、ポリエステルとポリカーボネートなどのポリマーアロイからなるフィルムを用いることが開示されている(特許文献1、2)。その他、ポリフェニルスルフィド樹脂にポリエーテルイミドなど非晶性高耐熱樹脂を配合する方法も開示されている(特許文献3)。いずれもフィルムの加工性を改善することで、コンデンサの性能向上を目的としている。
ところで、ポリアリレート樹脂は、透明で耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的特性や寸法安定性に優れたエンジニアリングプラスチックとしてよく知られている。かかるポリアリレート樹脂は各種溶剤への溶解性と優れた電気特性(絶縁性、誘電特性など)を有しており、コンデンサ用のフィルムとして利用されている。しかし、従来のポリアリレート樹脂の電気特性は、高温使用、大容量化には不十分であった(特許文献4)。
特公平7−21070号公報 特表2011−516680号公報 特開2001−261959号公報 特開昭51−39796号公報
本発明は、機械的特性、電気的特性に優れたポリアリレート樹脂フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)芳香族ジカルボン酸残基と下記一般式(iii)の二価フェノール残基とからなり、ガラス転移温度が200℃以上であるポリアリレート樹脂より得られるフィルムの片面または両面に対し金属蒸着層を形成してなるポリアリレート樹脂フィルム。
一般式(iii)中、R21、R22、R23およびR24は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれ、R25、および、R26は、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の脂環族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれ、kは2〜12の整数である。
(2)金属蒸着層を形成するフィルムが、厚さ0.5〜1500μmであることを特徴とする(1)記載のポリアリレート樹脂フィルム。
(3)金属蒸着層を形成するフィルムの引張破断伸びが8%以上であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアリレート樹脂フィルム。
(4)芳香族ジカルボン酸残基と下記一般式(iii)から選ばれるいずれか1種以上の二価フェノール残基とからなるポリアリレート樹脂を、有機溶媒に溶解した後、流涎、乾燥を行うことでフィルムを形成し、そのフィルムの片面または両面に対し金属蒸着層を形成することを特徴とする(1)〜()いずれか記載のポリアリレート樹脂フィルムの製造方法。
一般式(iii)中、R21、R22、R23およびR24は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれ、R25、および、R26は、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の脂環族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれ、kは2〜12の整数である。
(5)金属蒸着層を形成するフィルムを、沸点が115℃未満の有機溶媒を用い、用いるポリアリレート樹脂の(ガラス転移温度−80℃)を超えない温度の範囲で乾燥を行うことにより作製することを特徴とする請求項記載のポリアリレート樹脂フィルムの製造方法。
(6)(1)〜()いずれか記載のポリアリレート樹脂フィルムを用いたコンデンサ。
(7)芳香族ジカルボン酸残基と下記一般式(ii)の二価フェノール残基とからなり、ガラス転移温度が200℃以上であるポリアリレート樹脂より得られるポリアリレート樹脂フィルムを用いたコンデンサ。
一般式(ii)中、R 11 、R 12 、R 13 およびR 14 は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれ、R 15 は水素、置換あるいは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、あるいはフェニル基からなる群から選ばれる。

本発明によれば、機械的特性、電気的特性に優れたポリアリレート樹脂フィルムが得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸残基と二価フェノール残基とからなる芳香族ポリエステル重合体であり、溶液重合、溶融重合、界面重合などの方法により製造される。また、溶融状態から徐冷した場合や、ガラス転移温度を超える温度で熱処理した場合にも結晶化しない非晶性のポリアリレート樹脂であることが好ましい。非晶性であるかどうかは、公知の方法例えば示差走差熱量分析(DSC)や動的粘弾性測定などにより融点が存在しているかどうかを確認すればよい。
また、ポリアリレート樹脂のガラス転移温度は200℃以上であることが必要であり、好ましくは210℃以上、より好ましくは220℃以上である。ガラス転移温度が200℃以上であると耐熱性が優れたものとなるばかりでなく、絶縁材料の特性として重要な絶縁破壊強度が大きいものとなる。ガラス転移温度が200℃未満であると絶縁破壊強度が十分に高くならない。
芳香族ジカルボン酸残基を導入するための酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられる。中でも、テレフタル酸およびイソフタル酸が好ましく、機械特性と成形性の点から、両者を混合して用いることが特に好ましい。その場合の混合モル比率は、テレフタル酸/イソフタル酸=80/20〜20/80(モル%)の範囲の任意であるが、好ましくは70/30〜25/75(モル%)、より好ましくは60/40〜30/70(モル%)の範囲とすると、得られるポリアリレート樹脂は非晶性なものとなりやすい。
また、本発明の特性や効果を損なわない範囲で、脂肪族ジカルボン酸類を用いてもよい。脂肪族ジカルボン酸類としては、特に限定されず、ジカルボキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、ドデカン二酸等を挙げることができる。
二価フェノール残基を導入するためのビスフェノール成分としては、下記一般式(i)〜(iv)で表されるものを用いる必要がある。これらのビスフェノールを用いることで、得られるポリアリレート樹脂はガラス転移温度が200℃以上となり、機械的特性や電気的特性が優れたものとなる。本発明においてはこれらの化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上混合して使用してもよい。
一般式(i)で表わされる化合物は次のものである。
一般式(i)中、R、R、RおよびRは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれる。
一般式(i)で示される構造を導入するためのビスフェノールとしては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上混合して使用してもよい。
一般式(ii)で表わされる化合物は次のものである。
一般式(ii)中、R11、R12、R13およびR14は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれ、R15は水素、置換あるいは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、あるいはフェニル基からなる群から選ばれる。
一般式(ii)で示される構造を導入するためのビスフェノールとしては、例えば、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、N−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、N−メチル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、N−エチル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上混合して使用してもよい。
一般式(iii)で表わされる化合物は次のものである。
一般式(iii)中、R21、R22、R23およびR24は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれ、R25、および、R26は、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の脂環族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれ、kは2〜12の整数である。
一般式(iii)で示される構造を導入するためのビスフェノールとしては、例えば、シクロアルキリデン基を有するビスフェノールであり、その具体例として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上混合して使用してもよい。
一般式(iv)で表わされる化合物は次のものである。
一般式(iv)中、R31、R32、R33およびR34は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれ、R35は、水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の脂環族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれ、R36は炭素数1〜20の芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる。
一般式(iv)で示される構造を導入するためのビスフェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタン等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上混合して使用してもよい。
また、本発明の特性や効果を損なわない範囲で、一般式(i)〜(iv)で示される構造と異なる一般式(v)で示されるビスフェノール、ジヒドロキシベンゼン類や脂肪族グリコールを用いることができる。
一般式(v)中、R31、R32、R33およびR34は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれるものである。
一般式(v)で示されるビスフェノールとしては、一般式(i)〜(iv)とは異なる二価フェノール残基、ジヒドロキシベンゼン残基や脂肪族グリコール残基を含んでいてもよく、その具体例としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと称する場合がある)、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2,−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等を挙げることができる。ジヒドロキシベンゼン類としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール等を挙げることができる。脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジール、ノナンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、同プロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。これらは、一般式(i)〜(iv)で示されるビスフェノール成分と混合して用いることができ、得られるポリアリレート樹脂のガラス転移温度が低下するものの機械特性が向上する点で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが特に好ましい。
一般式(i)〜(iv)で示される構造とは異なる二価フェノール残基、ジヒドロキシベンゼン残基や脂肪族グリコール残基の配合量は、得られるポリアリレート樹脂のガラス転移温度が200℃未満とならない限り、特に限定されない。組み合わせる二価フェノールによってガラス転移温度が異なったものとなるため一概に決めることができないが、一般式(v)で示される構造を有する二価フェノールの配合量の一例は、全二価フェノール中に5〜75mol%、好ましくは5〜70mol%、より好ましくは5〜60mol%である。
本発明で用いるポリアリレート樹脂では、芳香族ジカルボン酸残基および二価フェノール残基以外に、単官能カルボン酸残基、単官能フェノール残基、あるいは、単官能アルコール残基を分子量調整剤として用いることができる。単官能カルボン酸残基としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸等を挙げることができる。単官能フェノール残基としては、例えば、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール、o−フェニルフェノール、クミルフェノール等を挙げることができる。単官能アルコール残基としては、例えば、メタノール、エタノール、nープロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等を挙げることができる。
また、本発明で用いるポリアリレート樹脂は、必ずしも直鎖状のポリアリレートである必要はなく、多価フェノールを共重合することができる。共重合に用いる多価フェノールの使用量は、その要求特性に応じて適宜調製することができる。
本発明で用いるポリアリレート樹脂のインヘレント粘度(ηinh)は0.40〜1.20dl/gであることが好ましく、0.45〜1.10dl/gであることがより好ましい。インヘレント粘度(ηinh)はポリマーの分子量の指標の一つであるが、本発明において、これが0.40dl/g未満になるとポリアリレート樹脂の機械的特性が劣ったものとなり、1.20dl/gを超えるとポリアリレート樹脂フィルムを製膜する際の加工性が悪くなる場合があって好ましくない。
本発明において、ポリアリレート樹脂を重合する方法は、界面重合法、溶液重合法、溶融重合法などが挙げられるが、中でも、界面重合法が好ましい。界面重合法によれば、溶液重合法や溶融重合法と比較して反応が速く、高分子量のポリアリレート樹脂を容易に得ることができる。また、界面重合法は、得られるポリアリレート樹脂の分子量がコントロールしやすい他、優れた低不純物性、透明性を付与しうる重合法である。以下に、一般的な界面重合法によるポリアリレート樹脂の製造方法を詳述する。
前記界面重合法は、二価フェノール類をアルカリ水溶液に溶解させた水相と、ジカルボン酸残基を導入するための原料であるジカルボン酸ジハライドを水に不溶の有機溶剤に溶解させた有機相とを、触媒の存在下で混合することによっておこなわれる。この界面重合の方法は、W.M.EARECKSON,J.Poly.Sci.XL399(1959)や、特公昭40−1959号公報などに記載されている。
界面重合法について、以下に詳細に説明する。まず、上記水相として所望の二価フェノール類のアルカリ水溶液を調製し、次いで、重合触媒、さらに必要に応じて分子量調整剤(末端封止剤)を添加する。これとは別に、後述の有機相を調製するための有機溶剤に、芳香族ジカルボン酸残基を導入するための原料である芳香族ジカルボン酸ジハライドを溶解して、有機相を調製する。その後、水相であるアルカリ水溶液と有機相である有機溶剤溶液を混合し、25℃以下で30分〜5時間攪拌しながら界面重合反応を行うことによって、有機溶剤中に高分子量のポリアリレート樹脂が生成するので、その有機溶剤溶液を純水やイオン交換水などで洗浄した後、有機溶剤を留去せしめることでポリアリレート樹脂のみを得ることができる。
アルカリ水溶液を調製するためのアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。なかでも、経済的に有利な点および廃液処理が容易な点から水酸化ナトリウムが好ましい。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリドデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルアニリン等の第3級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド等の第4級アンモニウム塩や、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド等の第4級ホスホニウム塩などが挙げられる。なかでも、反応速度が速く、芳香族ジカルボン酸ハライドの加水分解を最小限に抑える観点から、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライドが好ましい。
有機相を得るための溶媒としては、水と相溶せず、かつポリアリレート樹脂を溶解する溶媒が挙げられる。具体的には、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素系溶媒や、テトラヒドロフランなどが例示され、なかでも、非引火性で製造設備を防爆仕様にしなくても取扱性が良好である点から、ジクロロメタンが好ましい。
ポリアリレート樹脂を溶液重合法で製造する場合は、二価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸ジハライドを有機溶剤に溶解して攪拌し、2〜80℃で反応させる。また、溶融重合法で製造する場合、まず二価フェノールを酢酸無水物のような有機カルボン酸無水物と100〜200℃で反応させて二価フェノールのジエステル化物を得た後、芳香族ジカルボン酸とともに攪拌しながら減圧下で300〜360℃まで昇温することでエステル交換反応させつつ副生する有機カルボン酸を留去させることで、ポリアリレート樹脂を得ることができる。
本発明で用いるポリアリレート樹脂のカルボキシル価は、耐アーク放電性や誘電率など電気特性に影響を与えるため、100モル/トン以下であることが好ましく、50モル/トン以下がより好ましく、30モル/トン以下にすることがさらに好ましい。ポリアリレート樹脂のカルボキシル価は、中和滴定など公知の方法で測定することができる。
本発明で用いるポリアリレート樹脂中の残留アルカリ金属量は、50ppm未満であることが好ましい。残留アルカリ金属量が50ppm以上であると、上述した電気特性が低下する傾向にあり好ましくない。ポリアリレート樹脂中の残留アルカリ金属量は、イオンクロマトグラフ分析法、原子吸光法、プラズマ発光分光分析法など公知の方法を利用して定量することができる。
本発明で用いるポリアリレート樹脂中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒の量が200ppm未満であることが好ましく、より好ましくは100ppm未満である。残留する触媒が200ppm以上であると絶縁破壊強度が低下する傾向があり、好ましくない。ポリアリレート樹脂中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒はガスクロマトグラフ法を利用して定量できる。
本発明のポリアリレート樹脂フィルムを得るためには、溶融押出法や流延法などのフィルムの製造方法が採用でき、特に限定されるものではない。以下にその一例を説明する。
溶融押出法は、乾燥したポリアリレート樹脂を、そのガラス転移温度より100〜180℃、好ましくは110〜170℃だけ高い温度に設定調節した押出機に投入し、溶融せしめてからフィルターを通過させた後、その溶融ポリマーをTダイの口金を用いてシート状に吐出し、冷却ドラム上で冷却固化せしめて、ポリアリレート樹脂フィルムが得られる。このようにして得られたポリアリレート樹脂フィルムは厚みが数十〜1000μmと厚いものになるため、フィルムコンデンサとして好適に用いることができる数μm〜数十μmのポリアリレート樹脂フィルムを得るために延伸処理することもできる。
流延法はいわゆる溶液キャスト法であり、ポリアリレート樹脂を有機溶剤に溶解し、その有機溶剤溶液を金属製のドラムやベルト、あるいはポリアリレート樹脂とは異なる樹脂からなるフィルム基材の上に塗布した後、有機溶剤を留去させ基材等から剥離することで
ポリアリレート樹脂フィルムを得ることができる。
これらのポリアリレート樹脂フィルムの製造方法では、流延法の方が好ましい。溶融押出法の場合、ポリアリレート樹脂のガラス転移温度が高くなるほど、押出時の加工温度を高くせざるを得ないが、加工温度がポリアリレート樹脂の分解開始温度と同等かそれを超える場合があって好ましくない。それに対し、流延法ではポリアリレート樹脂のガラス転移温度にはあまり依存せず、常温〜数十℃の温度範囲で有機溶剤溶液を取り扱うことができるので、ポリアリレート樹脂の分解開始温度を考慮しなくてもよい。また、溶融押出法では、押出成形のみで薄いポリアリレート樹脂フィルムを得ることは困難であるが、流延法の場合は、有機溶剤溶液の濃度とそれを塗工する際の厚みを調節することで、厚みをコントロールでき、その結果数μmの薄いポリアリレート樹脂フィルムも比較的容易に作製できる。
溶液キャスト法で用いる有機溶媒としては、特に制限はされないが、例えば、塩化メチレン(沸点40℃)、クロロホルム(沸点61℃)、クロロベンゼン(沸点131℃)、1,2−ジクロロベンゼン(沸点180℃)などの塩素系溶媒に代表されるハロゲン系溶媒や、トルエン(沸点110℃)、キシレン(144℃)、シクロヘキサノン(沸点156℃)、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、1,3−ジオキサン(沸点105℃)、1,4−ジオキサン(沸点101℃)、1,3−ジオキソラン(沸点75℃)、N−メチルピロリドン(沸点202℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(165℃)、ジメチルホルムアミド(沸点153℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)などの非ハロゲン系溶媒が挙げられる。
中でも、非ハロゲン系溶媒であって、かつ沸点が115℃未満であるトルエン(沸点110℃)、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、1,3−ジオキサン(沸点105℃)、1,3−ジオキソラン(沸点75℃)が好ましく、非ハロゲン系溶媒であって、かつ沸点が100℃未満であるテトラヒドロフラン(沸点66℃)、1,3−ジオキソラン(沸点75℃)がさらに好ましく、溶解性の観点から、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、1,3−ジオキソラン(沸点75℃)が特に好ましい。
溶液キャスト法でポリアリレート樹脂フィルムを製膜するにあたって、ポリアリレート樹脂を上記有機溶媒に溶解し金属製のドラムやベルト等に塗布後、乾燥工程において、有機溶剤を留去させ基材等から剥離することでポリアリレート樹脂フィルムを得ることができるが、乾燥工程において乾燥温度の制御を十分に行うことは、得られるポリアリレート樹脂フィルムの機械的特性、特に引張破断伸びや、表面外観に影響を与えるため重要である。
本発明において、溶液キャスト法でポリアリレート樹脂フィルムを製膜には、沸点が115℃未満の有機溶媒を用い、用いるポリアリレート樹脂の(ガラス転移温度−80℃)を超えない温度の範囲で乾燥を行うことが特に好ましい。
例えば、ガラス転移温度が240℃であるポリアリレート樹脂および沸点が40℃の塩化メチレンを用いてフィルムを製膜する場合、まず溶液キャストしたフィルムを40℃未満の温度で予備的乾燥押した後、40℃、60℃、80℃と段階的に昇温する条件で乾燥する方法が挙げられる。
乾燥温度を用いる有機溶媒の沸点以下の温度を開始温度とすることで、溶液キャストしたフィルムから徐々に有機溶媒が揮発し、フィルム表面の平滑性を損ねることなく乾燥を行うことができる。一方で、有機溶媒の沸点を超える温度を開始温度とすると、急激に有機溶媒の揮発が始まり凸凹が生じ平滑性が損なわれることがある。また、段階的に温度を上げることで、乾燥温度の急激な変化にともなうポリアリレート樹脂フィルムの乾燥にともなう内部応力の緩和を行うことができる。さらに、沸点を超える温度であって、かつ用いるポリアリレート樹脂の(ガラス転移温度−100℃)を超えない温度を乾燥の上限温度とすることで、有機溶媒の乾燥に対し、必要最低限の熱量で効率のよい乾燥を行うことができる。一方でポリアリレート樹脂の(ガラス転移温度−100℃)の範囲を超えて乾燥を行うことは、有機溶媒の残存量を少なくできるものの、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張破断伸びが低下する傾向がある。
ポリアリレート樹脂フィルムの乾燥の具体例としては、用いる有機溶媒や乾燥設備によって異なるが、第一乾燥工程で、有機溶媒の沸点未満の温度で予備乾燥を行い、ポリアリレート樹脂フィルム中の有機溶媒含有量が23質量%未満、好ましくは20質量%未満、さらに好ましくは18質量%未満となるようにした後、第二乾燥工程で、第一工程の乾燥温度を超え、ポリアリレート樹脂のガラス転移温度未満の温度で処理した後、ポリアリレート樹脂フィルム中の有機溶媒含有量が3質量%未満、好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満とする。有機溶媒含有量が3質量%以上であると、ポリアリレート樹脂フィルム表面の特性が悪化し、表面処理等に悪影響を及ぼすので好ましくない。本発明のポリアリレート樹脂フィルム中に残留する有機溶媒含有量は、加熱減量、ガスクロマトグラフ法など公知の方法を利用して定量することができる。加熱減量で測定を行う場合は、得られたポリアリレート樹脂フィルムのガラス転移温度未満の温度で、0.5〜1h程度処理することで定量が可能である。
なお、有機溶媒として、トルエンのような沸点が100℃を超えるような有機溶媒を用いた場合には、乾燥温度はトルエンの沸点未満であっても、極力低めに、かつ十分に時間をかけて乾燥をする方が、有機溶媒の急激な蒸発を抑制できるため、得られるポリアリレート樹脂フィルムの表面外観として、気泡やブツ等の欠陥を少なくすることができる。一方で、有機溶媒として、テトラヒドロフランのような沸点が100℃未満の有機溶媒を用いた場合には、沸点を超えない範囲で高めの温度設定とし、かつ短時間での乾燥が可能である。
第二乾燥工程においては、ポリアリレート樹脂のガラス転移温度未満であることが必要であり、ガラス転移温度より50〜150℃低い温度とすることが好ましく、ガラス転移温度より80〜120℃低い温度とすることがより好ましい。所定の乾燥温度を超えて高い温度で乾燥を行った場合、得られるポリアリレート樹脂フィルムは、寸法安定性に劣るばかりでなく、機械的特性、特に引張破断伸びが低下する傾向がある。引張破断伸びの低下は、後述する後加工工程、例えば、蒸着のようなロールtoロールで加工を行う際に破断の懸念があったり、ポリアリレート樹脂フィルムを巻き取った状態で最終製品とする際にクラックや破断の懸念があり、さらには最終製品の製品特性に影響を及ぼすことがあるため好ましくない。
本発明のポリアリレート樹脂フィルムの200℃×0.5hの加熱減量は、1質量%未満であることが好ましく、0.5質量%未満であることがより好ましく、0.3質量%未満であることがさらに好ましい。加熱減量とは、主に前記ポリアリレート樹脂フィルムの製膜時に、フィルム内部に残存する有機溶媒によるものである。したがって、加熱減量と残存する有機溶媒量は等しいものとみなすことができる。加熱減量が多くなることで、得られるポリアリレート樹脂フィルムの絶縁破壊電圧が低下する傾向がある。
本発明のポリアリレート樹脂フィルムは、さらにセラミック粒子を含有してもよい。用いることのできるセラミック粒子としては、例えば、酸化チタン、チタン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、チタン酸亜鉛、チタン酸ビスマス、酸化ランタン、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、炭酸カルシウムが挙げられる。中でも誘電率が10以上のセラミック粒子が好ましい。セラミック粒子の平均粒径は、約数百nmから1μmであることが好ましい。これらは単独、または二種以上を組み合わせて用いることができる。ポリアリレート樹脂中にセラミック粒子を分散する方法としては、特に制限されないが、予めポリアリレート樹脂にセラミック粒子を溶融混練で分散する方法、溶液キャスト法でフィルムを製膜する際に、用いるポリアリレート樹脂の溶媒溶液に分散する方法等が挙げられる。
本発明におけるポリアリレート樹脂フィルムは、単層でも複層でも構わないが、フィルム中のセラミック粒子の含有率が5〜50体積%であることが好ましい。例えば、コンデンサー用のフィルムとして用いる場合には、セラミック粒子の含有率が5体積%未満では、フィルムの誘電率の顕著な向上が得られず、また、50体積%を超えると、溶融押出法では、ポリアリレート樹脂フィルムの延伸性が極端に低下し、延伸フィルムを安定して製造することが困難になる。延伸時におけるフィルム切れなどのトラブルを防止したり、フィルム表面の均一性を向上させるためには、複層構成にしてフィルム表面層のセラミック粒子の含有量を少なくすることが有効である。溶液キャスト法では、得られるポリアリレート樹脂フィルムの引張破断伸びが低下する。
また、ポリアリレート樹脂フィルム上にセラミック粒子を分散させたスラリー溶液を塗布後乾燥することで、セラミック粒子層を積層したポリアリレート樹脂フィルムとすることもできる。その際、乾燥後の塗布厚みは、1μmとすることがセラミック粒子層の剥離や加工性の低下を抑制するために好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、0.5〜1500μm、好ましくは0.5〜500μmであり、より好ましくは0.5〜150μmであり、最も好ましくは0.5〜50μmである。
本発明のポリアリレート樹脂からなるフィルムの引張破断伸びは、得られるポリアリレート樹脂の種類により、若干性状が異なるが、ポリアリレート樹脂を構成する二価フェノール成分として、一般式(i)記載のものを単独で用いた場合には、引張破断伸びは8%以上であることが好ましく、9%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。一般式(ii)または(iii)記載のものを単独で用いた場合には、引張破断伸びは10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。一般式(iv)記載のものを単独で用いた場合には、引張破断伸びは50%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。さらに、(i)〜(v)を組み合わせて用いた場合には、引張破断伸びは10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。得られるポリアリレート樹脂フィルムの厚みを調節する場合は、上記引張破断伸びを大きく逸脱しない範囲で行うことが好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂からなるフィルムの絶縁破壊電圧は、得られるポリアリレート樹脂の種類により、若干性状が異なるが、ポリアリレート樹脂を構成する二価フェノール成分として、一般式(i)、(ii)または(iii)記載のものを単独で用いた場合には、絶縁破壊電圧は230kV/mm以上であることが好ましく、250kV/mm以上であることがより好ましく、270kV/mm以上であることがさらに好ましくい。一般式(iv)記載のものを単独で用いた場合には、絶縁破壊電圧は250kV/mm以上であることが好ましく、270kV/mm以上であることがより好ましく、290kV/mm以上であることがさらに好ましくい。さらに、(i)〜(v)を組み合わせて用いた場合には、絶縁破壊電圧は210kV/mm以上であることが好ましく、230%以上であることがより好ましく、250%以上であることがさらに好ましい。得られるポリアリレート樹脂フィルムの厚みを調節する場合は、上記絶縁破壊電圧を大きく逸脱しない範囲で行うことが好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂フィルムの少なくとも片面に金属層を形成したものを使用して、捲回法または積層法等の公知の方法でフィルムコンデンサを得ることができる。前記の金属相はコンデンサの電極として使用されるもので、たとえば真空蒸着やスパッタリング法等の方法で金属薄膜を形成したもの、あるいは別途準備した金属箔をラミネートするなどの方法で作製できる。金属薄膜を形成するための金属としては、アルミニウム、亜鉛、錫、チタン、ニッケル、或いはそれらの合金などがあるが、これらに限定されるものではない。
次に本発明のポリアリレート樹脂フィルムを使用してコンデンサを製造する方法について述べる。コンデンサの内部電極として金属箔が用いられる場合は、金属箔と本発明のポリアリレート樹脂を箔はみ出し捲回法や捲回途中でタブを挿入する方法などによって交互に重ね合わせて巻き取るなどして、ポリアリレート樹脂フィルムと電極を交互に重ね合わされ、かつ外部に電極が引き出せるような構造となるように捲回して、コンデンサ素子あるいはコンデンサ母素子を得る。
また、コンデンサの内部電極として金属薄膜が用いられる場合は、まず上述した本発明のポリアリレート樹脂フィルム上に金属薄膜を形成する。金属薄膜を形成する方法としては蒸着法が好ましい。蒸着する金属はアルミニウムを主たる成分とする金属が好ましい。金属薄膜を形成する際、予め金属薄膜形成側のフィルム表面にコロナ放電処理、プラズマ処理などの処理によって金属薄膜とフィルムとの密着力を向上させることもできる。金属薄膜を形成する際、あるいは金属薄膜を形成後に、対向電極が短絡しないように金属薄膜を形成しない部分(以下、非薄膜形成部という)を設けることが多い。捲回型コンデンサを得る場合、金属薄膜形成フィルムの一方の端に非薄膜形成部がくるように細幅のテープ状にスリットして2枚重ねて、あるいは両面金属薄膜形成フィルムと非金属薄膜形成フィルムを重ねて個々の素子を個別に巻いていく場合が多い。上記のようにして得たコンデンサ母素子をプレス成形した後、外部電極の取り付け工程、リード線取り付け工程、外装工程等を経てコンデンサを得ることができる。また、本発明のポリアリレート樹脂フィルムを用いたコンデンサーは交流および直流のいずれの用途にも使用が可能である。
1.測定方法
以下のような方法にしたがって、樹脂特性の測定、フィルムの性能評価を行った。
(1)ポリアリレート樹脂のインヘレント粘度(ηinh
ウベローデ型粘度管を使用し、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40の混合液を溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃において測定した相対粘度(ηrel)を元に下記式により算出し、dl/g単位で表した。
インヘレント粘度(ηinh)=Ln(ηrel)/c
ηrel:相対粘度、c:濃度(g/dl)
(2)ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、商品名「DSC7」)を用いて、昇温速度20℃/分で40℃から340℃まで昇温し、得られた昇温曲線中のガラス転移温度に由来する不連続変化の開始温度をガラス転移温度とした。
(3)加熱減量
得られたポリアリレート樹脂フィルムに対し、200℃×0.5hの熱処理を行い、熱処理前後の質量差から下記式により加熱減量を算出した。なお、加熱減量とは、実質的に得られたポリアリレート樹脂フィルム中に残存する有機溶媒含有量を指す。
加熱減量(質量%)=(加熱前質量−加熱後質量)/加熱前質量×100
(4)引張特性
JIS K7127に準拠して、引張強さと引張破断伸びを測定した。引張り試験機を用いて、速度200mm/minで引張り、試料が切断(破断)したときの強度(引張り荷重値を試験片の断面積で除した値)、および伸び率を求める。引張り伸び率は次の式によって算出する。
伸び率(%)=(L−Lo)/Lo
Lo:試験前の試料長さ、L:破断時の試料長さ
(5)絶縁破壊電圧(BDV)
JIS C2151に準拠して測定した。100℃の雰囲気にて、直流耐電圧試験機を用い、上部電極として直径25mm、下部電極として直径25mmの円柱を使用し、1kV/秒の昇圧速度で昇圧し、絶縁破壊した時の電圧(単位:kV)とフィルム厚み(単位:mm)から、絶縁破壊電圧(単位:kV/mm)を算出した。
(6)誘電率、誘電正接
JIS C2151に準拠して23℃、1kHzにおける誘電率と誘電正接を測定した。
実施例1
攪拌装置を備えた反応容器中に水1.2Lを入れ、水酸化ナトリウム0.79mol、二価フェノールである9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下BPFと称す)0.194mol、分子量調整剤としてp−tert−ブチルフェノール(以下PTBPと称す)0.0116molを溶解させ、0.0013molの重合触媒(トリブチルベンジルアンモニウムクロライド)を添加し、激しく撹拌した。別の容器にテレフタル酸クロライド(以下TPCと称す)0.100molとイソフタル酸クロライド(以下IPCと称す)0.100molを秤り取り、0.7Lの塩化メチレンに溶解させた。
この塩化メチレン溶液を、先に調製したアルカリ水溶液を撹拌したところへ混合し、重合を開始させた。重合反応温度は20℃前後になるように調製した。重合は攪拌化で2時間行い、その後、攪拌を停止して反応液を静置して水相と有機相を分離し、水相のみを反応容器から抜き取って、残った有機相に酢酸2gを添加した。そして、水1.5Lを加えて30分間攪拌し、再度静置分離して水相を抜き出した。この水洗操作を水洗後の水相の電気伝導度が 50μS/cm以下になるまで繰り返した。得られた有機相をホモミキサーを装着した50℃の温水槽中に徐々に投入しながら塩化メチレンを蒸発させることで、粉末状のポリマーを析出させ、これを取り出して脱水・乾燥を行い、ポリアリレート樹脂を得た。
得られたポリアリレート樹脂のインヘレント粘度は0.49dl/gであり、DSC測定を行ったところ、結晶融解ピークは見られず、ガラス転移温度は320℃であった。
次いでポリアリレート樹脂を濃度10質量%となるよう塩化メチレンに溶解し、この溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材上にアプリケータを使用して厚み100μmの塗膜を形成し、約23℃の環境下で塗膜が基材から自然剥離するまで1h、静置乾燥した後、剥離した塗膜のみを真空乾燥機に入れて40℃×0.5h、60℃×0.5h、80℃×0.5hと段階的に昇温して乾燥させ、厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表1に示す。
実施例2
二価フェノールを9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下BCFと称す)とした以外は実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のインヘレント粘度は0.49dl/gであり、DSC測定を行ったところ、結晶融解ピークは見られず、ガラス転移温度は285℃であった。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表1に示す。
実施例3
二価フェノールを9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン(以下BXFと称す)とした以外は実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のインヘレント粘度は0.47dl/gであり、DSC測定を行ったところ、結晶融解ピークは見られず、ガラス転移温度は305℃であった。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表1に示す。
実施例4
二価フェノールをN−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(以下PPPBPと称す)とし、水酸化ナトリウムの添加量を0.79molとした以外は実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のインヘレント粘度は0.49dl/gであり、DSC測定を行ったところ、結晶融解ピークは見られず、ガラス転移温度は300℃であった。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表1に示す。
実施例5
二価フェノールを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下BPZと称す)とし、水酸化ナトリウムの添加量を0.71molとした以外は実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のインヘレント粘度は0.49dl/gであり、DSC測定を行ったところ、結晶融解ピークは見られず、ガラス転移温度は210℃であった。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表1に示す。
実施例6
二価フェノールを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下BPTMCと称す)とした以外は実施例4と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のインヘレント粘度は0.49dl/gであり、DSC測定を行ったところ、結晶融解ピークは見られず、ガラス転移温度は255℃であった。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表1に示す。
実施例7
二価フェノールを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(以下BPAPと称す)とし、水酸化ナトリウムの添加量を0.48molとした以外は実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のインヘレント粘度は0.49dl/gであり、DSC測定を行ったところ、結晶融解ピークは見られず、ガラス転移温度は240℃であった。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表1に示す。
実施例8、9
BPAPとPTBPの配合を表1に記載のものとした以外は実施例7と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂はDSC測定では結晶融解ピークは見られなかった。またこれらのポリアリレート樹脂のインヘレント粘度およびガラス転移温度を表1に示す。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表1に示す。
実施例10、11
TPCとIPCの配合を表1に記載のものとした以外は実施例7と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂はDSC測定では結晶融解ピークは見られなかった。またこれらのポリアリレート樹脂のインヘレント粘度およびガラス転移温度を表1に示す。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表1に示す。
比較例1
二価フェノールを2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下BPAと称す)とした以外は実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のインヘレント粘度は0.49dl/gであり、DSC測定を行ったところ、結晶融解ピークは見られず、ガラス転移温度は190℃であった。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表2に示す。
比較例2
二価フェノールを2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下BCAと称す)とした以外は実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のインヘレント粘度は0.49dl/gであり、DSC測定を行ったところ、結晶融解ピークは見られず、ガラス転移温度は185℃であった。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表2に示す。
実施例12〜21
表3に示す二種類の二価フェノールとその配合量、水酸化ナトリウムの配合量とし、それ以外は実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。これらのポリアリレート樹脂はDSC測定では結晶融解ピークは見られなかった。またこれらのポリアリレート樹脂のインヘレント粘度およびガラス転移温度を表3に示す。得られたポリアリレート樹脂から実施例1と同様の操作で厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表3に示す。
実施例22
実施例7で得たポリアリレート樹脂を溶解した濃度5質量%の塩化メチレン溶液から20μmの塗膜を形成し、以降は実施例7と同様の操作で厚みが1μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表4に示す。
実施例23
実施例7で得たポリアリレート樹脂を溶解した濃度20質量%の塩化メチレン溶液から500μmの塗膜を形成し、以降は実施例7と同様の操作で厚みが約100μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.2質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表4に示す。
実施例24
実施例7で得たポリアリレート樹脂を溶解した濃度10質量%の塩化メチレン溶液から100μmの塗膜を形成し、約23℃の環境下で塗膜が基材から自然剥離するまで静置乾燥した後、剥離した塗膜のみを真空乾燥機に入れて40℃×0.5h、60℃×0.5h、80℃×0.5h、100℃×0.5h、150℃×0.5h、200℃×0.5hと段階的に昇温して乾燥させ、厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.1質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表4に示す。
実施例25
実施例7で得たポリアリレート樹脂を濃度10質量%となるようテトラヒドロフラン(以下THFと称す)に溶解し、この溶液から100μmの塗膜を形成し、約23℃の環境下で塗膜が基材から自然剥離するまで静置乾燥した後、剥離した塗膜のみを真空乾燥機に入れて40℃×0.5h、60℃×0.5h、80℃×0.5hと段階的に昇温して乾燥させ、厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムを2つに切り分け、一方を200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は1.0質量%であった。他方を、さらに100℃×0.5hで乾燥し、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.3質量%であった。
その後、100℃×0.5hまで乾燥処理を行ったポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表4に示す。
実施例26
実施例7で得たポリアリレート樹脂を濃度10質量%となるようトルエンに溶解し、この溶液から100μmの塗膜を形成し、約23℃の環境下で塗膜が基材から自然剥離するまで静置乾燥した後、剥離した塗膜のみを真空乾燥機に入れて40℃×0.5h、60℃×0.5h、80℃×0.5h、100℃×0.5hと段階的に昇温して乾燥させ、厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.8質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表4に示す。
実施例27
実施例7で得たポリアリレート樹脂を濃度10質量%となるようトルエンに溶解し、この溶液から100μmの塗膜を形成し、約23℃の環境下で塗膜が基材から自然剥離するまで静置乾燥した後、剥離した塗膜のみを真空乾燥機に入れて40℃×0.5h、60℃×0.5h、80℃×0.5h、100℃×0.5h、120℃×0.5hと段階的に昇温して乾燥させ、厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムにつき、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.8質量%であった。その後、得られたポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表4に示す。
実施例28
実施例7で得たポリアリレート樹脂を濃度10質量%となるようN−メチルピロリドン(以下NMPと称す)に溶解し、この溶液から100μmの塗膜を形成し、約23℃の環境下で塗膜が基材から自然剥離するまで静置乾燥した後、剥離した塗膜のみを真空乾燥機に入れて40℃×0.5h、60℃×0.5h、80℃×0.5h、100×0.5h、120℃×0.5hと段階的に昇温して乾燥させ、厚み約10μmであるポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムを2つに切り分け、一方を200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は2.0質量%であった。他方を、さらに140℃×0.5h、160℃×0.5hで乾燥し、200℃×0.5h条件で処理し加熱減量を求めた。加熱減量は0.8質量%であった。160℃×0.5hまで乾燥処理を行ったポリアリレート樹脂フィルムの引張特性、絶縁破壊電圧、誘電率および誘電正接を測定した。その結果を表4に示す。
実施例1〜28は、本発明の要件を満たしていたため、機械特性、電気特性ともに優れたポリアリレート樹脂フィルムであった。
特に、実施例22は厚み1μmのポリアリレート樹脂フィルムとしたため、実施例7に比べ、引張破断伸びが大きく、絶縁破壊電圧が高いものとなった。実施例23は厚み100μmのポリアリレート樹脂フィルムとしたため、実施例7に比べ、引張破断伸びが小さく、絶縁破壊電圧も小さかったが、実用的な性能を有していた
実施例24は、乾燥温度の上限設定が200℃であり、用いたポリアリレート樹脂のガラス転移温度240℃との温度差が40℃であった。実用的な性能を有するものの、実施例7に比べ、引張破断伸びが低下した。また、得られたフィルムは、実施例7で得られたフィルムと対比するとカールしやすく、寸法安定性に劣るものであった。
実施例25は、溶媒としてTHF(沸点66℃)を用い、沸点を超えない範囲で乾燥を行ったため、表面状態に優れたフィルムとすることができた。しかしながら、溶媒として塩化メチレンを用いた実施例7よりも乾燥温度を高くする必要があり、実用的な性能を有するものの、実施例7に比べ引張破断伸びが低下した。
実施例26は、溶媒としてトルエン(沸点110℃)を用い、沸点を超えず、100℃を上限として乾燥を行いフィルムを得た。しかしながら、溶媒として塩化メチレンを用いた実施例7よりも乾燥温度を高くする必要があり、実用的な性能を有するものの、実施例7に比べ引張強さ、引張破断伸びが低下した。また、加熱減量が0.8質量%と実施例7に比べやや高めであったため、絶縁破壊電圧もやや低下した。
実施例27は、溶媒としてトルエン(沸点110℃)を用い、沸点を超えて、120℃を上限として乾燥を行いフィルムを得た。加熱減量は0.3質量%まで低下したが、引張破断伸びが大きく低下した。また、実施例26で得られたフィルムよりも表面形状にうねりが生じ、表面平滑性に劣った。実用上は問題のない範囲であった。
実施例28は、溶媒としてNMP(沸点202℃)を用い、沸点を超えず、160℃を上限として乾燥を行いフィルムを得た。加熱減量は0.8質量%であった。引張破断伸び、絶縁破壊電圧ともに大きく低下したが、実用上は問題のない範囲であった。
比較例1および2は二価フェノールとしてそれぞれBPAとBCAしか使用しなかったため、得られるポリアリレート樹脂フィルムのガラス転移温度が低いものとなり、絶縁破壊電圧が劣るものとなった。































Claims (7)

  1. 芳香族ジカルボン酸残基と下記一般式(iii)の二価フェノール残基とからなり、ガラス転移温度が200℃以上であるポリアリレート樹脂より得られるフィルムの片面または両面に対し金属蒸着層を形成してなるポリアリレート樹脂フィルム。
    一般式(iii)中、R21、R22、R23およびR24は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれ、R25、および、R26は、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の脂環族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれ、kは2〜12の整数である。
  2. 金属蒸着層を形成するフィルムが、厚さ0.5〜1500μmであることを特徴とする請求項1記載のポリアリレート樹脂フィルム。
  3. 金属蒸着層を形成するフィルムの引張破断伸びが8%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアリレート樹脂フィルム。
  4. 芳香族ジカルボン酸残基と下記一般式(iii)から選ばれるいずれか1種以上の二価フェノール残基とからなるポリアリレート樹脂を、有機溶媒に溶解した後、流涎、乾燥を行うことでフィルムを形成し、そのフィルムの片面または両面に対し金属蒸着層を形成することを特徴とする請求項1〜いずれか記載のポリアリレート樹脂フィルムの製造方法。
    一般式(iii)中、R21、R22、R23およびR24は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれ、R25、および、R26は、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜20の脂環族炭化水素基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれ、kは2〜12の整数である。
  5. 金属蒸着層を形成するフィルムを、沸点が115℃未満の有機溶媒を用い、用いるポリアリレート樹脂の(ガラス転移温度−80℃)を超えない温度の範囲で乾燥を行うことにより作製することを特徴とする請求項記載のポリアリレート樹脂フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜いずれか記載のポリアリレート樹脂フィルムを用いたコンデンサ。
  7. 芳香族ジカルボン酸残基と下記一般式(ii)の二価フェノール残基とからなり、ガラス転移温度が200℃以上であるポリアリレート樹脂より得られるポリアリレート樹脂フィルムを用いたコンデンサ。
    一般式(ii)中、R 11 、R 12 、R 13 およびR 14 は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ニトロ基からなる群から選ばれ、炭化水素基は炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環族基、炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選ばれ、R 15 は水素、置換あるいは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、あるいはフェニル基からなる群から選ばれる。
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