JP6115688B1 - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

光学濃度と厚み(μm)の比(光学濃度(OD)/厚み(T))が0.22以上、2.0以下であり、示差走査熱量測定(DSC)において、溶融状態で5分間保持した後、10℃/分の降温速度で冷却した時の降温結晶化温度Tmcが180℃以上、210℃以下の範囲にピークを有するポリエステルフィルムにより、隠蔽性と製膜性に優れ、光を当てた際の収縮性にも優れ、電子機器の遮光基材として好適に用いられるポリエステルフィルムを提供する。

Description

本発明は、隠蔽性と製膜性に優れ、光を当てた際の収縮性にも優れるポリエステルフィルムに関する。
ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレートなど)樹脂は機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。そのポリエステルをフィルム化したポリエステルフィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、その機械的特性、電気的特性などから、太陽電池バックシート用材料や給湯器モーター用電気絶縁材料、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料、テープ材料やコンデンサ用材料、包装材料、建築材料、写真用途、グラフィック用途、感熱転写用途などの各種用途に使用されている。
これらの用途の中で、太陽電池バックシート用材料や、電子機器内部に使用されるテープ材料では、隠蔽性が要求されている。例えば太陽電池バックシート用材料においては、意匠性の観点から発電素子への配線などが外側から見えないことが好ましい。太陽電池バックシート用材料において、隠蔽性を向上させる検討としては、カーボンブラックなどの黒色顔料を含有させたポリエステルフィルムを用いる方法がなされている(特許文献1、2)。また、テープ材料においては、近年のスマートフォンの普及に伴い、電子機器内部に使用されるテープには、内部の光を遮光するために、高い隠蔽性が要求されている。電子機器の小型化・薄型化に伴い、テープ材料は隠蔽性だけでなく、薄膜であることも求められる。テープ材料において、隠蔽性を向上させる方法としては、フィルム厚みが薄い薄物のポリエステルフィルムの上に黒色顔料を多く含有する印刷層を設ける方法が検討されている(特許文献3)。
特開2008−56871号公報 特開2011−119651号公報 特許第5651012号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されている方法のように、ポリエステルに隠蔽性を付与するためカーボンブラックを添加すると、カーボンブラックが結晶化の核となってポリエステルの結晶化速度が速くなるため、カーボンブラックを多量に含有せしめると製膜性が低下するという問題が発生する。そのため、特許文献1、2に記載の方法では、フィルム中に含有させるカーボンブラック濃度に制限があるため、充分な隠蔽性が得られないという課題があった。この課題は、特に、フィルム厚みが薄い薄物フィルムにおいて顕著であった。一方、特許文献3に記載の方法では、薄物フィルムにおいても充分な隠蔽性が得られるものの、印刷インキよる環境汚染の問題や、機械特性に優れるポリエステルフィルムの厚み比率が小さいため、光を吸収した時に発生する熱によってフィルムが収縮するという問題があった。
本発明の課題は、かかる従来技術を鑑み、隠蔽性(以下、遮光性と称する場合がある)と製膜性に優れ、光を当てた際の収縮性(以下、耐光収縮性と称する場合がある)にも優れるポリエステルフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
[I]光学濃度と厚みの比(光学濃度(OD)/厚み(T))が0.22以上、2.0以下であり、示差走査熱量測定(以下、DSC)における降温結晶化温度Tmcが180℃以上、210℃以下であるポリエステルフィルム。
[II]黒色顔料を4質量%以上、25質量%以下含む[I]に記載のポリエステルフィルム。
[III]少なくとも一方の表面の十点平均粗さRz(μm)が、Rz(μm)と厚み(μm)の比(十点平均粗さ(Rz)/厚み(T))が0.30以下であること満たす[I]または[II]に記載のポリエステルフィルム。
[IV]フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリエステルの構成成分としてイソフタル酸成分および/またはシクロヘキサンジメタノール成分を含む[I]〜[III]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[V]フィルムを構成するポリエステルが、全ジカルボン酸成分に対してイソフタル酸成分を0.5mol%以上20mol%以下含む、または全ジオール成分に対してシクロヘキサンジメタノール成分を0.5mol%以上20mol%以下含む[IV]に記載のポリエステルフィルム。
[VI]フィルム厚みが28μm以下である[I]〜[V]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[VII]電子機器の遮光基材として用いられる[I]〜[VI]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[VIII][I]〜[VI]のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いた遮光テープ。
本発明によれば、隠蔽性と製膜性に優れ、耐光収縮性にも優れるポリエステルフィルムを提供することができる。更にはかかるフィルムは電子機器内部に用いられる遮光基材として好適に用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムはポリエステル樹脂を主たる構成成分とする。ここでポリエステル樹脂を主たる構成成分とするとは、該フィルムを構成する成分に対してポリエステル樹脂が60質量%以上含有されていることを示す。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、1)ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジオール成分」と総称する)の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。また、ポリエステル樹脂の重合は常法により行うことができる。
1)において、ジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸などの芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体などが代表例としてあげられる。また、これらは単独で用いても、複数種類用いても良い。
また上述のジカルボン酸成分の少なくとも一方のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類およびその誘導体や該オキシ酸類が複数個連なったもの等を縮合させたジカルボキシ化合物も用いることができる。
次にジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール、ビスフェノールA、1,3−ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香族ジオールが代表例としてあげられる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。また、上述のジオール成分の少なくとも一方のヒドロキシ末端にジオール類を縮合させて形成されるジヒドロキシ化合物も用いることができる。
また、2)において一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の例としては、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸、およびその誘導体、オキシ酸類のオリゴマー、ジカルボン酸の一方のカルボキシル基にオキシ酸が縮合したもの等が挙げられる。
尚、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂として、3官能成分(3価以上のカルボン酸、3価以上のジオール、3価以上のオキシ酸およびそれらのエステル形成性誘導体)を、本発明の特性を損なわない範囲で含んでいても良い。
ポリエステル樹脂として具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のホモ重合体、およびこれらの共重合体が挙げられ、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は前記のホモ重合体および共重合体の中から1種類を選択して用いても良く、ホモ重合体同士、またはホモ重合体と共重合体をブレンドして用いても良い。
ここでポリエステル樹脂のホモ重合体としては、製膜性の観点からポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸が好ましく、中でも加工性が容易であることからポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、がより好ましく、製膜性により優れることからポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、ポリエステル樹脂の共重合体とは、ポリエステル樹脂全体の50mol%未満を異なるジカルボン酸成分とジオール成分のいずれか、または両方で構成される共重合体のことを示し、ホモ重合体とのブレンドを想定する場合は、対象のホモ重合体と同じ分子構造が全体の50mol%以上を構成する共重合体を用いることが好ましい。
ここでポリエステル樹脂の共重合体としては、重合適性や熱安定性、ホモ重合体との相溶性に優れる観点からジカルボン酸成分として、脂環族ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が、ジオール成分としてはブタンジオール、エチレングリコール、スピログリコール、シクロヘキサンジメタノールを共重成分として含むものが好ましく用いられ、これらは単独で用いても、必要に応じて組み合わせて用いても良い。中でも製膜性を向上させる観点からジカルボン酸成分としてイソフタル酸を共重合体成分として含むものや、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノールを共重合体成分として含むものがより好ましく用いられる。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂において、共重合成分の比率は、全ポリエステル樹脂成分に対して0.5mol%以上、20mol%以下となるように前記の共重合体、およびホモ重合体同士、またはホモ重合体と共重合体のブレンド比を調整することが好ましい。ポリエステル樹脂に共重合成分を導入することで、ポリエステルの結晶性を低下させることにより、後述する着色顔料を多量に含有しても、製膜性と耐光収縮性に優れたポリエステルフィルムとすることが可能となる。より好ましくは共重合成分の比率が1.0mol%以上、15mol%以下、更に好ましくは2.0mol%以上、10mol%以下、特に好ましくは2.5mol%以上、7.5mol%以下である。
ここでいう共重合成分とは、ポリエステル樹脂全体の50mol%を超えて構成する重合体のジカルボン酸成分、およびジオール成分を第一成分としたとき、ポリエステル樹脂に50mol%未満含まれる第一成分以外のジカルボン酸成分、およびジオール成分を示す。尚、ポリエステルフィルムの共重合成分は、ポリエステルフィルムを溶媒抽出した後、プロトン核磁気共鳴分光法(H−NMR)やカーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)によって分析を行うことができる。
ポリエステル樹脂の共重合成分の比率が0.5mol%未満の場合、結晶性を抑えられずに製膜性が不足したり延伸時の配向がかかりすぎて耐光収縮性も低化する場合がある。一方でポリエステル樹脂の共重合成分の比率が20mol%越える場合、ポリエステル樹脂の結晶性が低化し過ぎて、かえって製膜性が低化する場合や、配向がかからず機械強度が不足することで、光を照射した際に発生した熱によってフィルムが収縮し過ぎることから、耐光収縮性が不足する場合がある。つまり、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂において、共重合成分の比率を全ポリエステル樹脂成分に対して0.5mol%以上、20mol%以下とすることで、より優れた製膜性と光収縮性を両立したポリエステルフィルムとすることができる。
更には、前記の共重合成分として、全ジカルボン酸成分に対してイソフタル酸成分を0.5mol%以上20mol%以下含む、または全ジオール成分に対してシクロヘキサンジメタノール成分を0.5mol%以上20mol%以下含むことで、ポリエステルフィルムの製膜性と耐光収縮性を更に向上させることができるため、より好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は、二軸延伸性の観点から結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。ここでいう結晶性とは、ポリエステルフィルムを、JIS K7122(1987)に準じて、示差走査熱量測定にて昇温速度10℃/分で固体状態から溶融状態まで加熱した際に得られたチャートにおいて熱結晶化による吸熱ピークが観測されることを示す。
本発明のポリエステルフィルムは隠蔽性を付与するため、着色顔料を含有する形態が好ましい。着色顔料としては遮光性に優れる観点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、具体的にはカーボンブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンファイバーなどの炭素系化合物やチタンブラックなどの酸化物系無機粒子が挙げられる。また、隠蔽性と製膜性を両立できることから、カーボンブラックを用いることが好ましく、中でも安価で隠蔽性に優れる観点からファーネス法で製造されたカーボンブラックを用いることがより好ましい。
前記の着色顔料の粒子径は1次粒径として5nm以上、100nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上、50nm以下、更に好ましくは15nm以上、30nm以下である。着色顔料の1次粒径が5nm未満の場合、凝集による欠点発生やポリエステル樹脂の結晶化を過剰に促進させることで製膜性が低化する場合がある。一方で着色顔料の1次粒径が100nmを越えると隠蔽性が低化する場合や、製膜時にフィルム破れが起こりやすくなる場合がある。
また、前記の着色顔料の含有量は、0.5質量%以上、40質量%以下が好ましい。本発明において着色顔料として黒色顔料を含有する場合においては3.5質量%以上、30質量%以下が好ましく、より好ましくは4.0質量%以上、25質量%以下、更に好ましくは5.0質量%以上、15質量%以下、特に好ましくは6.0質量%以上、10質量%以下である。本発明において黒色顔料の含有量が3.5質量%未満では、隠蔽性が不足するため遮光性が満足できない場合がある。一方で黒色顔料の含有量が30質量%を越えると、製膜性が低化する場合がある。つまり、本発明のポリエステルフィルムに黒色顔料を3.5質量%以上、30質量%未満含有させることで、フィルム厚みが28μm以下の薄膜のフィルムであっても、優れた隠蔽性と製膜性を両立することができる。
また本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果が損なわれない範囲内でその他の添加剤(例えば、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、有機の易滑剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤など)が含有されていてもよい。例えば、難燃性が要求されるような用途に本発明のポリエステルフィルムを用いる場合、ハロゲン系やリン系などの有機系難燃剤やアンチモン系や水酸化金属系などの無機系難燃剤を含有させることで、ポリエステルフィルムの難燃性を向上させることができる。また難燃剤としては着色顔料と併用しても製膜性を維持する観点から有機系難燃剤が好ましく用いられ、環境負荷低減の観点から有機系難燃剤の中でも、リン系難燃剤がより好ましく用いられる。
本発明のポリエステルフィルムは、示差走査熱量測定(DSC)における降温結晶化温度Tmcが180℃以上、210℃以下である必要がある。より好ましくは186℃以上、206℃以下、より好ましくは192℃以上、203℃以下、更に好ましくは197℃以上、201℃以下である。ここでいう示差走査熱量測定における降温結晶化温度Tmcとは、ポリエステルフィルムをJIS K7122(1987)に準じて、昇温速度10℃/分で25℃からポリエステル樹脂の融点Tm+50℃まで加熱後、融点Tm+50℃にてポリエステル樹脂を溶融状態で5分間保持してから、降温速度10℃/分で25℃まで冷却した時に得られる発熱ピークのピークトップの温度を示す。尚、発熱ピークを複数有する場合は最も高温側に位置するピークトップ温度を示す。ここでのポリエステル樹脂の融点Tmは、ポリエステルフィルムを示差走査熱量測定にて昇温速度10℃/分で固体状態から溶融状態まで加熱した際に得られたチャートにおいて、最も高温側で得られる吸熱ピークの温度を示す。前記の降温結晶化温度Tmcは、ポリエステル樹脂の結晶性を表す指標として用いられ、降温結晶化温度Tmcの温度が高いと結晶性が高いことを表し、降温結晶化温度Tmcの温度が低い、あるいは降温結晶化温度Tmcが検出されないと結晶性が低いことを表す。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、前記の降温結晶化温度Tmcが180℃未満の場合、結晶性が低すぎるため、高濃度の黒色顔料を含む場合、光照射時にフィルムが収縮したり、延伸時にフィルムが反って延伸性が低化するといった問題が発生する。特にこの問題はフィルム厚みが28μm以下のような薄膜フィルムにおいて顕著に表れる。一方で降温結晶化温度Tmcが210℃を超える場合、結晶性が高すぎるため、製膜が困難となる。また配向がかかりやすくなり延伸後の残留応力によって耐光収縮性が低化する。つまり、本発明において降温結晶化温度Tmcを180℃以上、210℃以下の範囲とすることで、優れた製膜性と光収縮性を両立するポリエステルフィルムとすることができる。
尚、本発明における降温結晶化温度Tmcは、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂中に着色顔料を含有させる場合、着色顔料の種類や含有量、ポリエステル樹脂中の共重合成分の比率によって調整することが可能である。また隠蔽性との両立を図るためにはポリエステル樹脂中の共重合成分の比率によって調整する方法が最も好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、薄膜であっても高い隠蔽性と製膜性、光収縮性に優れることから、スマートフォンなどの薄さが要求される電子機器内部に用いるテープ基材として好適に用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムの厚み(T)としては28μm以下が好ましく、より好ましくは25μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは16μm以下である。尚、厚みの下限については特に限定されるものでは無いが、製膜性の低化や、光収縮性が悪化する懸念から3.0μm以上が現実的である。
また、本発明のポリエステルフィルムは、光学濃度(OD)が3.5以上であることが好ましく、より好ましくは4.0以上、更に好ましくは5.0以上、特に好ましくは6.0以上である。本発明のポリエステルフィルムの光学濃度(OD)を3.5以上とすることで、内部で光が発生するような電子機器に用いられる遮光性が要求されるテープ基材として好適に用いることができる。また、遮光テープの基材フィルムとして用いた場合、黒色インク層の印刷回数を低減することができる。尚、光学濃度の上限については特に限定されるものでは無いが、フィルムに含有せしめることが可能な粒子量の観点から9.0以下が現実的である。
本発明のポリエステルフィルムは、光学濃度と厚み(μm)の比(光学濃度(OD)/厚み(T))が0.22以上、2.0以下であることが必要である。フィルムの隠蔽性を表す指標である光学濃度は、ランベルト・ベールの法則からも理解することができるとおり、フィルムの厚みが厚くなれば(光の透過光路が長くなれば)、高い値となる傾向にある。そのため、光学濃度を高くするだけならば、製膜性や光収縮性の観点からフィルム中に含有せしめることが可能な着色顔料の量に制限がある従来のポリエステルフィルムであっても、フィルム厚みを厚くすれば達成することが可能であった。しかしながら、製膜性や光収縮性の観点からフィルム中に含有せしめることが可能な着色顔料の量に制限がある従来のポリエステルフィルムでは、光学濃度と厚み(μm)の比(OD/T)を、0.22以上とすることは困難であった。本発明のポリエステルフィルムは、上述したとおり、結晶性を好適な範囲に制御することにより、着色顔料を高濃度に含有せしめることが可能となった結果、従来では到達し得なかった光学濃度と厚み(μm)の比(OD/T)0.22以上を達成するものであり、好ましくは0.25以上、1.5以下、より好ましくは0.30以上、1.0以下、更に好ましくは0.35以上、0.5以下である。
本発明において光学濃度と厚み(μm)の比(OD/T)が0.22未満のポリエステルフィルムは、厚みのわりに隠蔽性が不足していることを示す。一方で光学濃度と厚み(μm)の比(OD/T)が2.0を越えると、薄くて隠蔽性には優れる反面、製膜性が低化し、光照射時に光を吸収して発生した熱によってフィルムが収縮し過ぎてしまうため、電子機器の内部に用いられるような基材としては不適である。
つまり、本発明のポリエステルフィルムにおいて、光学濃度と厚み(μm)の比(OD/T)が0.22以上、2.0以下の範囲とすることで、薄膜であっても遮光性に優れ、かつ、製膜性、光収縮性に優れたフィルムとすることが可能である。そのため、スマートフォンのような薄さが要求され、遮光性も要求される電子機器内部のテープ基材として好適に用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面の十点平均粗さRz(μm)が3.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは2.5μm以下、更に好ましくは2.0μm以下である。ここでいう十点平均粗さRzとは、後述する測定方法において、接触式三次元表面粗さ計でポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面の十点平均粗さRzを測定した値である。十点平均粗さRzが3.0μmを超えると、表面の凹凸が大きくなり過ぎて光を遮るために必要なフィルム厚みが厚くなる場合がある。尚、十点平均粗さRzの下限については特に限定されるものでは無いが、巻き取り性低下の懸念から0.1μm以上が好ましい。また、フィルム両表面の十点平均粗さRz(μm)がいずれも上記範囲を満たすことがより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面の十点平均粗さRz(nm)が、Rz(μm)と厚み(μm)の比(十点平均粗さ(Rz)/厚み(T))が0.30以下を満たすことが好ましく、0.25以下を満たすことがより好ましく、0.20以下を満たすことがさらに好ましい。(Rz/T)が0.30を超えると、表面の凹凸が大きくなり過ぎて光を遮るために必要なフィルム厚みが不足し、遮光性が低下する場合がある。また、フィルム厚みに対して表面の凹凸が大きくなり過ぎて、製膜性が低下する場合がある。尚、(Rz/T)の下限については特に限定されるものでは無いが、フィルム表面での光拡散によって遮光性を向上させる観点から、0.07以上が好ましく、0.10以上がより好ましく、0.12以上が更に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの十点平均粗さRz(μm)と厚み(μm)の比(Rz/T)を0.30以下とするには、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂中に着色顔料を含有させる場合、ポリエステルフィルムの製膜条件によって十点平均粗さRz(μm)を調整することができる。詳細は後述する。
本発明のポリエステルフィルムは単膜フィルムでも、2層以上からなる積層フィルムのどちらの構成を選択しても構わない。本発明のポリエステルフィルムを単膜フィルムとすることで製造工程を簡略化することができる。また2層以上の積層フィルムとする場合、P2層/P1層/P2層の2種3層構成を用いることで、例えばP2層は着色顔料を含まない層とし、P1層には着色顔料を含む層として機能分離することで、隠蔽性と新しい機能を両立したフィルムを創出することができる。また前記のP2層に着色顔料を含有させ、P1層に光拡散性を持つ空洞を含有することで、遮光性をより高めることができる。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法について具体例を挙げて説明する。本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
まず、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の製造方法は、以下の方法で製造することができる。
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体と、ジオールを周知の方法でエステル交換反応、もしくはエステル化反応させることによって得ることができる。従来公知の反応触媒としてはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などを挙げることが出来る。好ましくは前記のポリエステル樹脂の製造方法が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては例えば、ゲルマニウム化合物を例に取ると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。
次に、ポリエステルフィルムの製造方法は、ポリエステルフィルムを構成する原料を押出機内で加熱溶融させ、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)が好ましく用いられる。またポリエステルフィルムが積層構成の場合は、積層する各層の原料を二台の押出機に投入し溶融してから合流させて、口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)を好ましく用いることができる。また溶融押出シートを静電気によりキャストドラムに密着させ冷却固化することで、結晶化を抑えた未延伸シートを作製することができる。またキャストドラムに密着させる方法としては薄溝から溶融押出シートにエアを噴出し密着させる方法やバキュームチャンバーにより、お溶融押出シートを引き付けて密着させる方法も選択することができる。
次に本発明のポリエステルフィルムは少なくとも一軸に延伸されていることが好ましく、より好ましくは二軸延伸されることが好ましい。本発明のポリエステルフィルムを延伸して得ることによって、薄膜化が可能となり、機械特性にも優れたポリエステルフィルムとすることができる。
その延伸方法として、未延伸シートを70〜140℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸シートを得ることができる。
二軸延伸をする場合は、続いて前記で得られた一軸延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、70〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に横延伸して二軸延伸したポリエステルフィルムを得ることができる。
この際、延伸倍率は長手方向と幅方向それぞれ2〜5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)としては8倍以上が好ましく、より好ましくは9倍以上、更に好ましくは10倍以上である。面倍率の下限としては特に限定されるものでは無いが、6倍未満ではフィルムの機械特性が不足する場合や、薄膜化が困難となる場合がある。
二軸延伸する方法としては、前記の長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法やインフレショーン製膜であっても構わない。
ここで、ポリエステルフィルムの十点平均粗さRz(μm)を好ましい範囲に調整するためには、二軸延伸を選択することが好ましく、一軸延伸直前の(同時二軸の場合は同時延伸を開始する直前)のフィルム温度を80℃以上、100℃以下の範囲に調整し、一軸目の延伸倍率を2.8倍以上3.6倍以下、もしく二軸目の延伸の予熱温度を70℃以上、125℃以下範囲で製膜することがより好ましい。
ポリエステルフィルムの十点平均粗さRzを小さくするためには、延伸時に粗大結晶の生成を抑えることが重要であるため、未延伸シートや一軸延伸シートではRzが大きくなることがある。また一軸目の延伸時の延伸温度100℃を超える場合や、延伸倍率が2.8倍未満の場合はポリエステルの熱結晶化が促進され過ぎ、かえって十点平均粗さRzが大きくなる場合がある。また延伸温度が80℃未満の場合や、延伸倍率が3.6倍を超える場合は、一軸目の配向結晶化が促進され過ぎることがある。更には二軸目の延伸の予熱温度が125℃を超えると、一軸目に形成されたポリエステルの結晶が熱によって成長し、粗大結晶としてポリエステルフィルムに残ることで、表面の凹凸が大きくことがある。一方で二軸目の延伸の予熱温度を70℃未満とすると、熱量が不足し延伸破れが発生する場合がある。
つまり、本発明のポリエステルフィルムを二軸延伸によって製造する場合、前記の条件で製膜を行うことで、ポリエステルの結晶化と結晶の成長を抑えることが可能となり、ポリエステルフィルムの十点平均粗さRzを好ましい範囲に調整することができることから、ポリエステルフィルムの遮光性を更に向上させることができる。
本発明のポリエステルフィルムに着色顔料を含有させる方法としては、着色顔料を高濃度でマスターバッチ化した原料を作製し、押出機に投入する際に着色顔料を含まないポリエステル樹脂で希望の濃度になるように希釈する方法(マスターバッチ法)が好ましく用いられる。
更に本発明においては、マスターバッチ化するベース原料に共重合されたポリエステル樹脂を用いることがより好ましく、かかる方法で得られたマスターバッチは着色顔料の分散性をより高めることが可能となり、遮光性と製膜性を高めることができる。
本発明のポリエステルフィルムは前記の製造方法によって製造することができる。得られたポリエステルフィルムは、隠蔽性と製膜性に優れ、光を当てた際の収縮性にも優れるという性能を有するものである。そのため、電子機器内部に用いられる遮光基材はさることながら、カバーフィルムや太陽電池バックシート用フィルムやモーター用絶縁フィルムなどの工業材料、リチウムイオンバッテリー用の外装フィルム、意匠性フィルム、保護フィルムなどの包装材料、インクリボン用フィルム、建築材料用フィルム、感熱転写フィルム等、様々な用途に好適に用いることができる。
また本発明のポリエステルフィルムが好適に用いることができる電子機器の遮光基材としては、携帯電話、スマートフォン、ディスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC、電子辞書、カーナビゲーション、GPSナビゲーション、デジタルカメラ、ビデオカメラなどの電子機器の内部に組み込まれて使用される遮光シートや遮光テープの基材が挙げられる。本発明のポリエステルフィルムを用いることで、内部の光を電子機器の外部に漏れ出すことを防止しながら、より小型化、もしくは薄型化が可能となる。
本発明のポリエステルフィルムは、隠蔽性と製膜性に優れ、光を当てた際の収縮性にも優れるという性能を有するため遮光テープに好適に用いることができる。本発明のポリエステルフィルムに用いることができる遮光テープの構成としては、例えば、本発明のポリエステルフィルムの片面、もしくは両面に粘着剤層を設けたものを挙げることができる。粘着剤層に用いられる粘着剤としては、特に限定されるものでは無いが、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが好ましく用いられる。
本発明の遮光テープの遮光性が不足する場合は黒色インク層をポリエステルフィルムの粘着剤層が設けられていない方の面や、両面に粘着剤層が設けられている構成ではポリエステルフィルムと粘着剤層の間に設けることができる。更には粘着剤中に黒色顔料を混合して黒色粘着剤層として設けることもできる。黒色インク成分としては特に限定されるものでは無いが、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂からなるバインダーに前述した黒色顔料を含有させた成分が好ましく用いられる。
また、本発明の効果が損なわれない範囲で、その他の添加剤を含有する機能層を新たに設けても良く、前記の粘着剤層や黒色インク層に組み合わせても良い。例えば、粘着剤層の反対側の面に粒径の大きい粒子を含有する層をポリエステルフィルムに設けることで、艶消し性を持つ遮光テープとすることができる。また黒色インク層に放熱性粒子を添加することで、放熱性に優れる遮光テープとすることができる。
次に、ポリエステルフィルム上に前記の層を設ける方法としては、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗付等の表面処理を行った後、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法などのコーティング方法や、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷方法を選択することができる。また、ポリエステルフィルムの製膜中に、インラインにて公知のコーティング手法を用いる方法も、工程の簡略化という点で好ましい方法である。
以上のように、薄くて遮光性に優れる本発明のポリエステルフィルムを用いた遮光テープは、従来、遮光性付与のために用いられている黒色インク層を無くす、または層数を低減することができるため、溶媒に用いられる有機溶剤による環境負荷低減や製造工程の簡略化を達成することができる。
〔特性の測定方法および評価方法〕
(1)示差走査熱量測定(DSC)
JIS K7122(1987)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用い、ポリエステルフィルム5mgをサンプルパンに秤量し、昇温速度10℃/分で室温から300℃まで加熱(1stRUNと称する)し、その状態で5分間保持し、次いで降温速度10℃/分で25℃まで冷却し、昇温過程と降温過程の測定チャートを得た。
(1−1)降温結晶化温度Tmcの測定
(1)で得られた、降温過程に現れる発熱ピークについて、ピークトップの温度をポリエステルフィルムの降温結晶化温度Tmcとした。尚、発熱ピークが複数現れる場合は、最も高温側のピークを降温結晶化温度Tmcとする。
(2)光学濃度測定
ポリエステルフィルムの光学濃度はX−lite社製の分光濃度測定器を用いて、光学濃度測定を行った。測定は長手方向、および幅方向の直線上に5cm以上離れた箇所を選択して5回づつ行い、計10回の平均値を光学濃度とした。尚、方向性が不明な場合や概念が無い場合は任意の直線上と、その垂直方向の直線上の測定を実施した。
(3)三次元表面粗さRzの測定
ポリエステルフィルムの十点平均粗さRzは小坂研究所製の3次元表面粗さ計(型式ET−4000A)と小坂研究所製の3次元表面粗さ解析システム(型式TDA−31)を用いて、触針は先端半径0.5μmR、径2μm、ダイヤモンド製、針圧を100μNとし、測定条件をXピッチ(測定方向):1.00μm、Yピッチ(測定方向の垂直方向):5μm、X送り速さ:0.1mm/s、低域カット:0.25mm、高域カット:R+W、測定力:100、Z測定倍率:20000、ヒステリシス:0.006μmに設定して、測定方向をフィルム長手方向、および幅方向で2回測定を行った平均値を三次元表面粗さRzとした。尚、測定は両表面について行い、表には値が低い方の三次元表面粗さを記載した。尚、方向性が不明な場合や概念が無い場合は任意の直線上と、その垂直方向の直線上の測定を実施した。
(4)製膜性
ポリエステルフィルムの製膜性は、1時間連続製膜時にフィルム破れが発生しない延伸面倍率から以下の通り判定した。尚、縦延伸、横延伸倍率はいずれも最低2.5倍以上とし、ここでの横延伸倍率はテンター入り口幅と最大幅の比である機械倍率のことを示す。また延伸倍率以外の条件は自由に変更しても良い。
面倍率が10倍以上:A
面倍率が9倍以上:B
面倍率が8倍以上:C
面倍率が6倍以上:D
面倍率が6倍未満、または製膜不可:E
製膜性はA〜Dが良好であり、その中でもAが最も優れている。
(5)遮光性評価
(5−1)遮光性評価用擬似LED照明台の作製
林時計工業(株)製の光ファイバーライトガイド用LED光源(型式:LA−HDF108AS、定格電圧AC100〜240V、定格消費電力20W、定格周波数50/60Hz)に同社製の結束径4mmφの光ファイバーライトガイドを接続し、LED光源本体のコントロール目盛りを8としてLED照明を準備する。次いでライトガイド先端の径のサイズの穴を開けたサンプル台の下部からライトガイドを挿入し、サンプル台の平面部から5mm離れた位置にLED照明の先端が位置するように固定し、擬似LED照明台を作製した。
(5−2)擬似光遮光性評価
(5−1)で得られた擬似LED照明台にポリエステルフィルムを被せて、入力電圧の調整時にポリエステルフィルムを透過するLED光源の有無を目視で確認し、ポリエステルフィルムの遮光性を以下の通り判定した。尚、前記評価は長手方向、および幅方向の直線上に5cm以上離れた箇所を選択して5回づつ行い、計10回の平均値とした。また透過光の形状が円形では無い場合は、最も長径となる箇所を測長する。
入力電圧5Vでも透過光が見えない:A
入力電圧3V以上、5V未満で透過光が見えない:B
入力電圧2V以上、3V未満で透過光が見えない:C
入力電圧1V以上、2V未満で透過光が見えない:D
入力電圧1V未満でも透過光が見える:E
遮光性はA〜Dが良好であり、その中でもAが最も優れている。
(6)耐光収縮性評価
ポリエステルフィルムの片面に1辺1cmの正方形を記入し、対角線2本の長さを(株)テクノニーズ製万能投影器(AMM−1号機)を用いて測定し、2本の長さの平均値をL0とする。次いで、(4)で用いた擬似LED照明台に正方形の中心がLED照明の中心となるように、ポリエステルフィルムを被せて、入力電圧を5Vに設定し30秒間ライトを当てた後に正方形の対角線2本の長さを同様に測定した時の平均値をLとし、下記式から光収縮率を算出した。尚、前記評価は長手方向、および幅方向の直線上に5cm以上離れた箇所を選択して5回行い、計10回の平均値とした。
光収縮率(%)=(L0−L)/L0×100
得られた光収縮率からポリエステルフィルムの耐光収縮性を以下の通り判定した。
光収縮率が2%未満:A
光収縮率が2%以上、3%未満:B
光収縮率が3%以上、5%未満:C
光収縮率が5%以上、10%未満:D
光収縮率が10%以上、または測定不可:E
耐光収縮性はA〜Dが良好であり、その中でもAが最も優れている。
(7)電子機器用の遮光基材要求特性
ポリエステルフィルムの厚みと、(5)項の遮光性、(6)項の耐光収縮性評価から、下記の通り判定した。
厚みが16μm以下で、遮光性と耐光収縮性評価がいずれもA判定:A
厚みが20μm以下で、遮光性と耐光収縮性評価のいずれもB判定以上:B
厚みが25μm以下で、遮光性と耐光収縮性評価のいずれもC判定以上:C
厚みが28μm以下で、遮光性と耐光収縮性評価のいずれもD判定以上:D
厚みが28μmを越える、または遮光性と耐光収縮性評価のいずれかがE判定:E
電子機器用の遮光基材としてはA〜Dが良好であり、その中でAが最も優れている。
(8)黒色インク層の印刷回数
ポリエステルフィルムを用いた遮光テープにおいて、(5)遮光性評価の(5−1)擬似光遮光性評価でAを達成するために、ポリエステルフィルム上に黒色インク層を印刷する回数から、遮光テープ評価を以下の通り、判定した。評価は5回行い、その平均値にて判定した。
印刷不要:A
印刷回数が2回未満:B
印刷回数が2回以上、4回未満:C
印刷回数が4回以上、6回未満:D
印刷回数が6回以上:E
遮光テープ評価としては、環境負荷低減や製造工程簡略化の観点からA〜Dが良好であり、その中でもAが最も優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(ポリエステル樹脂の製造方法)
1.ポリエチレンテレフタレート(PET)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マグネシウム2水和物0.03質量部、三酸化アンチモン0 .03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.65、末端カルボキシル基量が34当量/トンのポリエチレンテレフタレートを得た。
2.ポリエチレンナフタレート(PEN)
ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いた以外は前記1.項のポリエチレンテレフタレートと同様に重合を行い、固有粘度0.61、末端カルボキシル基量が36当量/トンのポリエチレンナフタレートを得た。
3.ポリエチレンテレフタレート−IPA共重合体1(PET/I−1)
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸ジメチル82.5質量部とイソフタル酸ジメチル25質量部を混合した以外は前記1.項のポリエチレンテレフタレートと同様に重合を行い、イソフタル酸(IPA)が17.5mol%共重合されたポリエチレンテレフタレートを得た。
4.ポリエチレンテレフタレート−IPA共重合体2(PET/I−2)
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸ジメチル75質量部とイソフタル酸ジメチル25質量部を混合した以外はポリエチレンテレフタレートと同様に重合を行い、イソフタル酸(IPA)が25mol%共重合されたポリエチレンテレフタレートを得た。
5.ポリエチレンテレフタレート−NDC共重合体(PET/N)
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いた以外は前記3.項のポリエチレンテレフタレート共重合体と同様にナフタレンジカルボン酸(NDC)が17.5mol%共重合されたポリエチレンテレフタレートを得た。
6.ポリエチレンテレフタレート−CHDM共重合体(PET−G)
シクロヘキサンジメタノール(CHDM)が30mol%共重合されたポリエチレンテレフタレートとして、イーストマンケミカル社製ポリエステル樹脂「EastarTMCopolyester6763」を用いた。
7.ポリブチレンテレフタレート(PBT)
ジオール成分がブタンジオール(BDO)であるポリブチレンテレフタレートとして、東レ(株)社製「トレコン1200S」を用いた。
8.CBマスターバッチ1(CB−MB1)
上記1.項によって得られたポリエチレンテレフタレート80質量部と、一次粒径18nmのファーネス法によって製造されたカーボンブラック(CB−1)20質量部を、ベントした280℃の押出機内で溶融混練し、CBマスターバッチ1を作製した。
9.CBマスターバッチ2(CB−MB2)
一次粒径23nmのアセチレン法によって製造されたカーボンブラック(CB−2)を用いた以外は、CBマスターバッチ1と同様の方法でCBマスターバッチ2を作製した。
10.CBマスターバッチ3(CB−MB3)
ベースのポリエステル樹脂として、上記3.項で得られたポリエチレンテレフタレート−IPA共重合体1を用いた以外は、CBマスターバッチ1と同様の方法でCBマスターバッチ3を作製した。
11.酸化チタンマスターバッチ(TiO−MB)
上記1.項によって得られたポリエチレンテレフタレート50質量部と、一次粒径200nmのルチル型二酸化チタン粒子50質量部をベントした280℃の押出機内で溶融混練し、TiOマスターバッチを作製した。
(遮光テープの作製方法)
1.粘着剤層
イソノニルアクリレート98.9重量部、アクリル酸0.1重量部、N−ビニルカプロラクタム1.0重量部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.05重量部及び溶剤として酢酸エチル80重量部を、攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入口を備えた五つ口フラスコに仕込み、攪拌した後、窒素ガスで約30分間パージし、モノマー溶液中に残存する酸素を除去した。しかる後、窒素ガスでフラスコ内の空気を置換し、攪拌しつつ昇温し70℃に保持し、熱重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.03重量部を1重量部の酢酸エチルに溶解したものを、滴下ロートから滴下した。反応開始後、そのままの温度で10時間反応させ、アクリル系共重合体溶液を得た。
続いて、ポリエステルフィルムの片面に前記のアクリル系共重合体溶液をダイコーティング方法で塗布し、厚み8μmの粘着剤層を設けた。
2.黒色インク層
CBマスターバッチ1(CB−MB1)で用いたカーボンブラック(CB−1)に市販のインク用メジウム(ポリウレタン系/塩・酢ビコポリマー)と溶剤(ケトン/芳香族炭化水素/アルコール)を加えて混合・撹拌し、溶剤乾燥後のカーボン含有率が50重量%となる黒色インクを調合した。
続いて、ポリエステルフィルム上に前記の黒色インクを用いて、乾燥後の厚みが2μmの黒色インク層を遮光性の要求特性に応じた回数、オフセット印刷にて設けた。
(実施例1)
表に示す組成となるように、ポリエステル原料として前項で作製したポリエチレンテレフタレート34質量部とポリエチレンテレフタレート−イソフタル酸(IPA)共重合体1を26質量部、CBマスターバッチ1を40質量部ブレンドし、180℃で2時間真空乾燥した。次いで280℃に昇温した押出機内で溶融させて吐出し、Tダイから押出した溶融シートを表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸シートを得た。
続いて、得られた未延伸シートを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、85℃の温度に加熱したロールと25℃の温度に調整したロール間で3倍の速度差をつけることで長手方向(縦方向)に3倍に延伸した後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸シートを得た。更に得られた一軸延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンター内の80℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.6倍に延伸した。更に引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにて230℃で20秒間の熱処理を施し、さらに6%幅方向に弛緩処理を行いながら均一に徐冷し、ポリエステルフィルムを製膜した。
引き続き、製膜後のポリエステルフィルムの厚みが16μmとなるように押出機の吐出量とキャスティングドラム以降のライン速度を調整して、実施例1に記載のポリエステルフィルムを得た。製膜性は非常に優れており、前記条件で1時間連続製膜を実施しても一度もフィルム破れが発生しなかった。
得られたポリエステルフィルムの遮光性評価と光収縮性評価を実施したところ、いずれも非常に優れた遮光性と耐光収縮性を有することが分かった。
また非常に薄膜でありながら、前記特性を満足することから、電子機器に用いられる遮光基材として好適に用いることができるポリエステルフィルムであることが分かった。
更に、ポリエステルフィルムの片面に粘着剤層を設けて遮光テープを作製した。得られた遮光テープは非常に遮光性に優れ、黒色インク層を設ける必要が無いことから、環境負荷低減や製造工程簡略化の観点で、非常に優れる遮光テープであることが分かった。
(実施例2〜7)
表に記載の着色顔料濃度となるようにCBマスターバッチ1の量と、表に記載の厚みとなるように製膜条件を調整した以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。実施例4、5については製膜時にフィルム破れが発生したため、実施例1に比べて延伸倍率を下げて製膜を行った。
得られたポリエステルフィルムの特性は表に示す通り、実施例1には劣るものの良好な特性を示し、電子機器用の遮光基材としても良好な特性であることが分かった。
また、実施例1と同様に遮光テープを作製したところ、実施例1には劣るものの遮光テープとして良好な特性であることが分かった。
(実施例8〜13)
表に記載の共重合成分の比率となるようにポリエチレンテレフタレート−イソフタル酸(IPA)共重合体1の量を調整した以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。実施例8以外については製膜時にフィルム破れが発生したため、実施例1に比べて延伸倍率を下げて製膜を行い、中でも実施例13は製膜性に劣るが問題ない範囲であった。得られたポリエステルフィルムの特性は表に示す通り、実施例1には劣るものの良好な特性を示し、電子機器用の遮光基材としても良好で、中でも実施例9は最も優れる特性であることが分かった。また実施例12耐光収縮性に劣るが問題ない範囲であった。
また、実施例1と同様に遮光テープを作製したところ、非常に優れる遮光テープであることが分かった。
(実施例14〜18)
表に記載の共重合成分の種類と比率となるように前項に記載のポリエチレンテレフタレート−ナフタレンジカルボン酸(NDC)共重合体、ポリエチレンテレフタレート−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)共重合体、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の量を調整した以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。実施例17以外については製膜時にフィルム破れが発生したため、実施例1に比べて延伸倍率を下げて製膜を行い、中でも実施例14は製膜性に劣るが問題ない範囲であった。
得られたポリエステルフィルムの特性は表に示す通り、共重合成分としてジオール成分にCHDMを用い、共重合成分比率9mol%とした実施例17は実施例1と同様に非常に優れた遮光性と耐光収縮性を有することが分かった。またその他の実施例については、実施例1や17には劣るものの良好な特性を示し、電子機器用の遮光基材としても良好な特性であることが分かった。
また、実施例1と同様に遮光テープを作製したところ、非常に優れる遮光テープであることが分かった。
(実施例19〜21)
表の通り、前項に記載のCBマスターバッチ2、CBマスターバッチ3、酸化チタンマスターバッチを用いて着色顔料の種類と含有量を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。実施例20は製膜性に劣るが問題ない範囲であった。
得られたポリエステルフィルムの特性は表に示す通り、実施例19は実施例1に比べて遮光性と耐光収縮性に劣るものの優れた特性であること、実施例20は実施例1に比べて着色顔料濃度が少量であっても実施例1と同等の遮光性が得られることがわかった。また実施例21は遮光性に劣るが問題無い範囲であった。
また、実施例1と同様に遮光テープを作製したところ、実施例1には劣るものの遮光テープとして良好な特性であることが分かった。
(実施例22)
構成成分を前項に記載のポリエチレンナフタレートとし、共重合成分としてジカルボン酸成分がテレフタル酸(TPA)である前項に記載のポリエチレンテレフタレートを表に記載の比率となるように調製した以外は、実施例1と同様にポリエステルフィルムを得たところ、製膜性に劣るが問題ない範囲であった。
得られたポリエステルフィルムの特性は表に示す通り、実施例1に比べて耐光収縮性に劣るものの優れた特性であることがわかった。
また、実施例1と同様に遮光テープを作製したところ、非常に優れる遮光テープであることが分かった。
(実施例23)
フィルムの厚みを10μmとした以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表に示す通りであり、実施例1に比べて遮光性に劣るものの優れた特性であることがわかった。
また、実施例1と同様に遮光テープを作製したところ、優れた遮光テープであることが分かった。
(実施例24〜35)
表に記載の通り、製膜条件を変更した以外は実施例23と同様にポリエステルフィルムを得た。尚、実施例25〜35は縦延伸の際、予熱ロールから延伸ロールの間に、フィルム間距離400mm、ヒーター容量6.6kW、発熱長800mmの赤外線ヒーター(RH)を設置して製膜を行った。得られたポリエステルフィルムは製膜条件における、縦延伸時のフィルム温度と延伸倍率、横延伸時における予熱温度を変えることで、光学濃度と十点平均粗さRz(μm)とフィルム厚み(μm)の比(Rz/T)が変化することがわかった。また実施例35を製膜性に劣るが問題ない範囲であった。
得られたポリエステルフィルムの特性は表に示す通り、実施例25、34、35は実施例23に比べて遮光性に優れることがわかった。
また、実施例1と同様に遮光テープを作製したところ、実施例25、34、35は実施例23に比べて優れた遮光テープであることが分かった。
(比較例1)
表の通り、ポリエチレンテレフタレートのホモ重合体を単独で用いた以外は実施例1と同様であったが、遮光性と耐光収縮性には非常に優れるものの、製膜性に劣るものであった。
(比較例2)
表の通り、ポリエチレンテレフタレート−イソフタル酸(IPA)共重合体2を単独で用いた以外は実施例1と同様であったが、遮光性には非常に優れ、製膜性は良好なものの、耐光収縮性に劣るものであった。
(比較例3)
表の通り、着色顔料を高濃度化した以外は実施例12と同様であったが、遮光性には優れるものの、製膜性と耐光収縮性に劣るものであった。
(比較例4)
表の通り、着色顔料を低濃度化した以外は実施例1と同様であったが、製膜性と耐光収縮性には非常に優れるものの、遮光性に劣るものであった。
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本発明のポリエステルフィルムは、薄膜でありながら隠蔽性と製膜性に優れ、光を当てた際の収縮性にも優れるという性能を有するものであり、電子機器内部に用いられる遮光基材はさることながら、カバーフィルムや太陽電池バックシート用フィルムやモーター用絶縁フィルムなどの工業材料、リチウムイオンバッテリー用の外装フィルム、意匠性フィルム、保護フィルムなどの包装材料、インクリボン用フィルム、建築材料用フィルム、感熱転写フィルム等の用途に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 光学濃度と厚み(μm)の比(光学濃度(OD)/厚み(T))が0.22以上、2.0以下であり、示差走査熱量測定(DSC)において、溶融状態で5分間保持した後、10℃/分の降温速度で冷却した時の降温結晶化温度Tmcが180℃以上、210℃以下であるポリエステルフィルム。
  2. 黒色顔料を3.5質量%以上、30質量%以下含む請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 少なくとも一方の表面の十点平均粗さRz(μm)が、Rz(μm)と厚み(μm)の比(十点平均粗さ(Rz)/厚み(T))が0.30以下であること満たす請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. フィルムを構成するポリエステル樹脂が、ポリエステルの構成成分としてイソフタル酸成分および/またはシクロヘキサンジメタノール成分を含む請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. フィルムを構成するポリエステルが、全ジカルボン酸成分に対してイソフタル酸成分を0.5mol%以上20mol%以下含む、または全ジオール成分に対してシクロヘキサンジメタノール成分を0.5mol%以上20mol%以下含む請求項4に記載のポリエステルフィルム。
  6. フィルム厚みが28μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  7. 電子機器の遮光基材として用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いた遮光テープ。
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