以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。なお、図1の例では、カラー印刷を行う画像形成装置に利用される二次転写機構を備えた電子写真方式の複写機等を示している。
図1に示す画像形成装置100は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)ブラック(K)の各色に対応した感光体ドラム1と、帯電装置2と、走査光学装置(露光装置)3と、現像装置4と、一次転写装置5と、感光体ドラム1用のクリーニング装置6とを有するように構成される。また、感光体ドラム1と接する部分には、無端状の転写ベルト(中間転写ベルト)7が配置され、転写ベルト7の下流側には、転写ベルト7用のクリーニング装置8が配置され、転写ベルト7の上流側には、二次転写装置9が配置されている。また、二次転写装置9の上部には、定着装置10が配置されている。
画像形成装置100の画像形成動作時には、所定のプロセススピードで回転駆動する感光体ドラム1の表面が帯電装置2により一様に帯電し、例えば読取装置で読取られた原稿の画像情報に応じて走査光学装置3の露光により静電潜像が形成される。ここで、現像装置4がトナー(現像剤)で現像を行うことにより、感光体ドラム1Y、1C、1M、1K上に色毎にトナー像が形成される。
感光体ドラム1Y、1C、1M、1K上のトナー像は、一次転写装置5により、所定のプロセススピードで回転駆動する転写ベルト7に順番に重畳転写される。給紙カセット11の用紙Pは、レジストローラ12を介して所定のタイミングで用紙搬送路13により、二次転写装置9に搬送される。二次転写装置9により転写ベルト7上に担持されているトナー像が用紙Pに重畳転写される。
トナー像が転写された用紙Pは、定着装置10に搬送され、定着ローラ10aと加圧ローラ10bとの間で加熱・加圧されることによりトナー像が定着する。トナー像が定着した用紙Pは、排紙ローラにより外部に排出される。
なお、各感光体ドラム1Y、1C、1M、1K上のトナー像が転写ベルト7に転写されると、各感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kの表面は、クリーニング装置6のクリーニングブレード6aにより残トナーが除去されて、次の作像に供される。また、転写ベルト7上のトナー像が用紙Pに転写されると、転写ベルト7の表面はクリーニング装置8のクリーニングブレード8aにより残トナーが除去されて、次の作像に供される。
転写ベルト7の上流となる位置には、色ずれ検出用テストパターン(以下、「テストパターン」と呼ぶ)を検出するためのテストパターン検出部14が配置されている。感光体ドラム1の所定の回転位置で現像されたテストパターン画像は、転写ベルト7上に転写されて、テストパターン検出部14を通過する。テストパターン検出部14は、テストパターンの移動速度と通過時間とから、テストパターンの各色のマーク(位置検知用画像)の位置を検出する。
<画像形成装置の全体構成:ブロック図>
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を説明するブロック図である。なお、図2の例では、タンデム方式と称される複数の画像形成部を有する多色対応の画像形成装置を示し、図1と同一の構成については同一の符号を付して説明する。
図2に示すように、画像形成装置100は、テストパターン生成部21と、画像パス切換部22と、画像データ補正部23と、書込制御部24と、基準回転位置検出部25と、回転位置検出部26と、テストパターン書出指示部27と、位置ずれ量検出部28と、色ずれ量演算部29と、色ずれ量保持部30と、印刷ジョブ制御部31とを有するように構成される。
テストパターン生成部21は、テストパターン出力指示信号を受信すると、テストパターンを生成し、画像パス切換部22に出力する。テストパターン生成部21は、テストパターンとして、色(例えば、Y、C、M、K)ごとにテストパターン(TPDy、TPDc、TPDm、TPDk)を生成する。
画像パス切換部22は、ユーザ要求による通常印刷のための画像データ(y、c、m、k:各色の版)と、テストパターン生成部21から出力されるテストパターン(TPDy、TPDc、TPDm、TPDy)とを切り換えて出力する。すなわち、図2の例では、画像データ41Y、41C、41M、41Kは、通常印刷のための画像データとテストパターンとが切り換えて出力された色ごとの画像データである。なお、画像パス切換部22は、印刷ジョブ制御部31から得られる切換信号により、上述した切り換えを行うがこれに限定されるものではない。
画像データ補正部23は、画像パス切換部22から得られる画像データ41Y、41C、41M、41Kを、色ずれ量保持部30に保持されている現時点での色ずれ量を参照して、この色ずれ量を打ち返すように補正する。画像データ補正部23は、色ずれ量を補正した補正画像データ42Y、42C、42M、42Kを出力する。
なお、色ずれ量の補正は、例えば画像データの先頭で行い、画像データ1枚(あるいはテストパターン1組)を補正する間は、同一の色ずれ量で補正すると良い。なお、色ずれ量の補正方法については後述する。
書込制御部24は、走査光学系3から光ビームが所定位置を通過したことを示すライン同期信号43Y、43C、43M、43Kが入力されると、ライン同期信号43Y、43C、43M、43Kに基づいて各色の主走査同期信号を生成する。なお、主走査同期信号とは、主走査方向の書き出し位置を示す信号である。
また、書込制御部24は、印刷ジョブ制御部31から得られる印刷ジョブ開始指示信号又はエンジンコントローラ部からの書込開始指示を基準として、各色の副走査同期信号を生成する。各色の副走査同期信号は、各感光体ドラム1の距離(例えば図2の転写ベルト7上のPyとPcとの距離)と転写ベルト7の線速とに基づき決定される各色間の時間差により生成される。なお、副走査同期信号とは、副走査方向の書き出し位置を示す信号である。
また、書込制御部24は、内部で生成される画素クロックを基準として、各色の補正画像データ42Y、42C、42M、42Kを、上述した主走査同期信号及び副走査同期信号に同期する書込信号44Y、44C、44M、44Kへと変換する。なお、書込信号44Y、44C、44M、44Kは、走査光学系3内の光源の変調信号である。
ここで、走査光学装置3は、各色に対応した感光体ドラム1上に光ビームを走査して、各感光体ドラム1上に画像(静電潜像)を形成し、現像装置によりそれぞれの静電潜像を顕像化する。各感光体ドラム1上で顕像化されたそれぞれの画像は、一次転写位置(図2に示すPy、Pc、Pm、Pk)で転写ベルト7上に多重に一次転写される。
また、二次転写装置9は、転写ベルト7上に多重に転写された画像を一括して用紙Pに二次転写し、二次転写された画像は、定着装置により定着されてカラー画像が形成される。上述した動作のタイミング制御は、エンジンコントローラ部による制御される。
テストパターン検出部14は、例えば反射形フォトセンサ等であり、転写ベルト7上に形成されたテストパターンを読み取る。テストパターン検出部14は、所定の読取位置(図2の例では読取位置Ps)でテストパターンをサンプリングするようにタイミング制御される。
基準回転位置検出部25は、例えば透過形フォトインタラプタ等であり、所定色の感光体ドラム1(図2の例では感光体ドラム1K)の基準となる回転位置(基準回転位置)を検出する。
回転位置検出部26は、感光体ドラム1の直径と回転速度とから1周期分の時間をカウントするタイマーを保持し、基準回転位置検出部25により得られる基準回転位置に基づき、感光体ドラム1の回転位置を検出する。回転位置検出部26は、検出した感光体ドラム1の回転位置をテストパターン書出指示部27に出力する。
テストパターン書出指示部27は、回転位置検出部26により得られる感光体ドラム1の所定の回転位置と逆位相となる回転位置に基づき、ユーザ要求による通常画像が印刷される領域と重ならない領域(画像形成領域外)にテストパターンを形成するよう指示する。
具体的には、テストパターン書出指示部27は、色ずれ制御時に予め設定された時間間隔で出力される位置ずれ量検出要求信号を取得すると、テストパターン書出許可信号を取得しているタイミングで、回転位置検出部26により得られる所定の回転位置で、テストパターン書出指示信号を発行する。
また、テストパターン書出指示部27は、テストパターン書出指示信号を発行したタイミングの回転位置を保持し、例えば直前に保持した回転位置と逆位相(半回転)となる回転位置のタイミングでテストパターンの書き出しを指示して、保持している回転位置を更新する。これにより、テストパターン書出指示部27は、画像形成領域外において所定の回転位置と逆位相となる回転位置にテストパターンを形成することが可能となる。
また、テストパターン書出指示部27は、テストパターンを形成するよう指示したタイミングの回転位置を複数保持しておき、保持している回転位置のいずれか1つと逆位相となる回転位置でテストパターンの書き出しを指示しても良い。このとき、保持した回転位置のいずれか一つと逆位相となる回転位置が所定期間内に得られない場合、保持した回転位置を破棄すると良い。
このとき、テストパターン書出指示部27は、保持した回転位置のいずれか1つと逆位相となる回転位置に対応させて、画像形成領域外を拡大するよう指示したり、上述した位置ずれ量検出要求信号の時間間隔を変更するよう指示したりしても良い。なお、テストパターン書出指示部27の具体例については後述する。
上述した半回転した回転位置(逆位相となる回転位置)について更に説明すると、各色の感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kは、感光体ドラム1の周長と同じピッチで並べられている。すなわち、Y用の一次転写ニップの中心(ベルト移動方向の中心)と、C用の一次転写ニップの中心との距離は、感光体ドラム1の周長と同一の距離となるように構成されている。同様に、C用の1次転写ニップの中心と、M用の1次転写ニップの中心との距離、M用の1次転写ニップの中心と、K用の1次転写ニップの中心との距離についても、感光体ドラム1の周長と同一の距離となるように構成されている。
したがって、例えば同じ大きさのY、C、M、Kのトナー像を位置ずれなく重ね合わせる場合、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対する光書込開始タイミングを、感光体ドラム1の1回転周期分ずつずらす。すなわち、感光体ドラム1Yに対して所定のタイミングで光書込を開始した後、感光体ドラム1Yの1回転周期が経過した時点で、感光体ドラム1Cに対して光書込を開始し、感光体ドラム1Cの1回転周期が経過した時点で、感光体ドラム1Mに対して光書込を開始する。更に、感光体ドラム1Mの1回転周期が経過した時点で、感光体ドラム1Kに対して光書込を開始する。
したがって、例えば感光体ドラムの半回転周期は、感光体ドラム1Yが0.5周のとき、感光体ドラム1Cは1.5周、感光体ドラム1Mは2.5周、感光体ドラム1Kは、3.5周となるが、周回数は何周でも良い。例えば最初に回転位置検出部26により検出した回転位置に対して180度回転した位置で次のテストパターンが形成されれば良く、例えば数周した後の半回転周期となる位置でテストパターンを形成しても良い。テストパターンが形成される回転位置は、感光体ドラム1の直径と回転速度とから、半回転周期分経過した時間を予め求めておき、その経過時間を監視しておけば良い。
また、感光体ドラム1の基点となる回転位置と180度回転した回転位置は相対的に求めれば良いため、基点となる回転位置を固定する必要はなく、例えば最初にテストパターンを形成した回転位置を基点とすることで、感光体ドラム1の基点を検出する基準回転位置検出部25を省いても良い。
位置ずれ量検出部28は、テストパターン検出部14から得られるテストパターンの検出結果を用いて位置ずれ量を検出する。具体的には、位置ずれ量検出部28は、逆位相となる2つの回転位置のテストパターンの位置ずれ量(例えば現時点での位置ずれ量Anと直前の半回転異なる位置での位置ずれ量An−1)の平均値を求める。この位置ずれ量の平均値により、感光体ドラム1の偏心による位置ずれ検出誤差を除去した位置ずれ量Qxを求めることが可能となる。なお、位置ずれ量Qxは、例えば色ごと、テストパターンのマークごとに求める。位置ずれ量Qxの算出例については後述する。
色ずれ量演算部29は、位置ずれ量検出部28により得られた位置ずれ量Qxを用いて、理想値とのずれを色ずれ量の変化量(値)として算出する。また、色ずれ量演算部29は、算出した色ずれ量の変化量と、色ずれ量保持部30に保持されている色ずれ量の変化量(その時点までの色ずれ量の変化量)とを用いて新しい色ずれ量を算出する。なお、色ずれ量の変化量を算出する手順等については後述する。
色ずれ量保持部30は、現時点での色ずれ量を色ごとに保持している。また、色ずれ量保持部30は、色ずれ量演算部29から新しい色ずれ量が得られると、保持している色ずれ量を新しい色ずれ量に更新して保持する。これにより、例えば温度変化等により色ずれ量が変動しても、常時その時点での色ずれ量を保持することが可能となる。
印刷ジョブ制御部31は、通常画像の印刷ジョブ及びテストパターンの印刷ジョブのタイミングを制御する。なお、印刷ジョブとは、例えば画像1枚又はテストパターン1組のプリントを示す。印刷ジョブ制御部31は、例えば画像の印刷要求に応じて、書込制御部24に印刷ジョブ開始指示信号を発行する。
ここで、印刷ジョブ制御部31は、通常画像の印刷ジョブを発行しない間は、テストパターン書出指示部27に、テストパターン書出許可信号を発行する。印刷ジョブ制御部31は、テストパターン書出指示部27にテストパターン書出許可信号を発行しているときに、テストパターン書出指示部27からテストパターン書出指示信号を取得すると、書込制御部24にテストパターンの印刷ジョブ開始指示信号を発行する。
なお、印刷ジョブ制御部31は、通常画像の印刷ジョブの場合には、画像データ転送要求信号を発行し、テストパターンの印刷ジョブの場合には、テストパターン生成部21にテストパターン出力指示信号を発行すると良い。また、上述した印刷ジョブ開始指示信号が書込制御部24及びエンジンコントローラ部に出力され、この信号を開始基準として各部のタイミング制御が図られる。
上述したように、書込制御部24は、1つの印刷ジョブに対してそれぞれの色ごとに各感光体ドラム1間の距離に応じて時間差をつけて出力するよう制御している。そこで、書込制御部24に備えるバッファメモリの低減のため、例えば画像データ及びテストパターンを色ごとに時間差をつけて出力しても良い。
すなわち、書込制御部24が、上述した副走査同期信号に基づき、色ごとのテストパターンの出力信号をテストパターン生成部21に出力し、色ごとの画像データ転送要求信号を発行するようにしても良い。又は、印刷ジョブ制御部31に副走査同期信号を入力し、印刷ジョブ制御部31において色ごとのテストパターン出力信号及び画像データ転送要求信号を生成するようにしても良い。
<テストパターン形成タイミング>
図3は、テストパターン形成タイミングを説明するための図である。なお、図3の例では、例えば位置ずれ量検出要求信号に対して、テストパターンの形成を指示するテストパターン書出許可信号と、感光体ドラムの回転位置との関係を示している。
図3(A)は、例えば、色ずれ制御時に予め設定された時間間隔で出力される位置ずれ量検出要求信号を示している。図3(A)の(1)〜(3)に示す矢印は、位置ずれ量検出要求信号の開始タイミングを示し、各矢印の間隔がサンプリング間隔Stとなる。
図3(B)は、印刷ジョブ制御部31から発行されるテストパターン書出許可信号を示している。図3(B)の例では、ユーザ要求による通常画像印刷の処理が行われていないときに信号がHighとなり、信号がHighのとき、通常画像の画像形成領域外(すなわち紙間)となることを示している。したがって、テストパターン書出許可信号がHighのときに、テストパターンの形成が行われると良い。
図3(C)は、回転位置検出部26により検出される感光体ドラム1の回転周期を示している。例えば、図3(C)に示す回転周期上の白丸印(○)と黒丸印(●)とは、逆位相となる2つの回転位置を示している。
図3(D)は、テストパターン書出指示部27から発行されるテストパターン書出指示信号を示し、テストパターン書出指示信号の間隔が間隔Tsとなる。
例えば、図3(A)の(1)の矢印に示す位置ずれ量検出要求信号が出力された後、図3(B)に示すテストパターン書出許可信号がHighのタイミングで、例えば図3(C)の白丸印(○)の回転周期で回転位置が検出される。このとき、テストパターン書出指示部27は、図3(D)に示すテストパターン書出指示信号を発行する。これにより、例えば最初のテストパターンが形成され、形成されたテストパターンが検出されて、位置ずれ量検出部28において位置ずれ量A1が算出される。
なお、テストパターン書出指示部27は、テストパターン書出指示信号を発行したタイミングで、図3(C)に示す感光体ドラム1の回転位置(○)を保持しておく。
次に、図3(A)の(2)の矢印に示す位置ずれ量検出要求信号が出力されると、図3(B)に示すテストパターン書出許可信号がHighのタイミングで、図3(C)に示す回転位置(●)が検出される。このとき、テストパターン書出指示部27は、図3(D)に示す次のテストパターン書出指示信号を発行する。
ここで、テストパターン書出指示部27は、直前に保持している回転位置(○)(すなわち最初にテストパターンが形成された回転位置)に対して逆位相となる180度ずれた回転位置(●)が検出されたタイミングでテストパターン書出指示信号を発行する。これにより、次のテストパターンが形成され、形成されたテストパターンが検出されて、位置ずれ量検出部28において位置ずれ量A2が算出される。
位置ずれ量検出部28は、位置ずれ量A2と、直前に算出した位置ずれ量A1とから平均値を求めることにより、位置ずれ量Q1を算出する。なお、テストパターン書出指示部27は、保持している回転位置(○)をテストパターン書出指示信号が発行されたタイミングである回転位置(●)に更新して保持しておくと良い。
同様に、テストパターン書出指示部27は、図3(A)の(3)の矢印に示す位置ずれ量検出要求信号が出力され、図3(B)に示すテストパターン書出許可信号がHighのタイミングで、直前に保持している回転位置(●)に対して逆位相となる回転位置(○)が検出されると、図3(D)に示す次のテストパターンを形成するテストパターン書出指示信号を発行する。
これにより、更に次のテストパターンが形成され、形成されたテストパターンが検出されて、位置ずれ量検出部28において位置ずれ量A3が算出される。位置ずれ量検出部28は、位置ずれ量A3と、直前に算出した位置ずれ量A2とから平均値を求めることにより、位置ずれ量Q2を算出する。
上述したタイミングでテストパターンを形成し、現時点で検出された位置ずれ量Anと、直前に検出された位置ずれ量An−1とを用いて位置ずれ量Qxを求める。これにより、感光体ドラム1の逆位相となる回転位置に基づき、画像形成領域外にテストパターンを形成し、感光体ドラム1の回転周期の偏心による位置ずれ検出誤差を除去した位置ずれ量Qxを得ることが可能となる。
<テストパターン検出部14の構成例>
図4は、テストパターン検出部の構成を説明するための図である。図4に示すように、テストパターン検出部14は、例えば反射形フォトセンサ等であり、発光部51と受光部52とが一対として構成されている。テストパターン検出部14は、発光部51が、転写ベルト7に向かって光を照射し、受光部52が転写ベルト7から反射された反射光を受光し、受光した光を電気信号に変換する。
例えばテストパターンが転写ベルト7上に形成されていない(トナーが無い)状態では反射光量が強く、テストパターンが形成されている(トナーが存在する)状態では照射光が散乱して、受光部52で受光する反射光量が減る。
そこで、例えば反射光量に予め閾値を設けておくことで、転写ベルト7上に形成されているテストパターンの有無を検出することが可能である。例えば、位置ずれ量検出部28等は、一定周期でサンプリングを行うA/D変換器等を備え、受光部52から得られる電気信号(センサ出力信号)を、A/D変換器等で変換して信号処理を行う。
これにより、転写ベルト7上に形成されたテストパターンの各マークの中心位置がテストパターン検出部14を通過した時間を求め、各テストパターンが通過した時間と転写ベルト7の進行する線速度とからテストパターンの各マークの距離を測定することが可能となる。
<テストパターンの構成例>
図5は、テストパターンの構成例を示している。なお、図5におけるx軸は主走査方向を示し、y軸が副走査方向を示している。図5に示すように、テストパターンは、例えば主走査方向に平行な直線パターン(直線マーク)61と、主走査方向と45度の角をなす斜線パターン(斜線マーク)62とを一対のテストパターンとして構成される。このテストパターンは、各色(例えば図5の例ではC、K、Y、M)順に副走査方向に形成された構成とすると良い。
本実施形態では、図5に示すテストパターン(点線枠内)1組を、転写ベルト7の主走査方向に複数形成する。また、転写ベルト7の副走査方向に、感光体ドラム1の半回転周期となる回転位置のタイミングで1組ずつ形成し、形成された2組のテストパターンを用いて各配置位置の位置ずれ量を求め、色ずれ量を算出する。
<基準回転位置検出部25の構成例>
図6は、感光体ギヤと基準回転位置検出部の構成を説明するための図である。図6(A)は、感光体ドラムに接続される感光体ギヤの斜視図であり、図6(B)は、基準回転位置検出部の構成を説明するための図である。
図6(A)に示すように、基準となる色の感光体ドラム(例えば感光体ドラム1K)に接続される感光体ギヤ71は、内側円周上に一部突出した突状のフィラー72を有している。また、感光体ギヤ71の近傍には、基準回転位置検出部25が備えられている。基準回転位置検出部25は、感光体ドラム1の回転に伴い移動するフィラー72の位置を検出することで、感光体ドラム1の回転位置を検出する。
図6(B)に示す基準回転位置検出部25は、例えば透過形フォトインタラプタ等であり、発光部81と受光部82とが向かい合った位置に配置されている。
基準回転位置検出部25は、発光部81が照射する光を受光部82が受光し、受光した光を電気信号に変換する。基準回転位置検出部25は、発光部81と受光部82との間にフィラー72が存在する場合はHighレベルとし、発光部81と受光部82との間にフィラー72が存在しない場合はLowレベルとする信号を出力するように構成されている。このように、HighからLow、又はLowからHighに切り替わるタイミングが、感光体ドラム1の基準回転位置として設定される。
回転位置検出部26は、基準回転位置検出部25から上述した基準回転位置の信号を得た時刻を「0」とし、感光体ドラム1周分の時刻をカウントした値と回転速度とから、感光体ドラム1の回転位置を検出すると良い。
なお、上述した方法は一例であり、例えば突起状のフィラーの代わりにエンコーダを備え、エンコーダによって検出した値を用いて基準回転位置を設定しても良い。また、図6の例では、突状のフィラー72が1箇所に備わっているが、フィラー72を対向する位置にも備えることで、半回転周期を検出しても良い。この場合には、フィラーを通過する度に回転位置検出信号を出力し、この信号をカウントする機能を備え、そのカウント数と印刷ジョブのタイミングとに応じて、テストパターン書出指示部27に回転位置検出信号を送るようにしても良い。
上述したように感光体ドラム1の回転周期に対して、逆位相となる2つの回転位置が相対的に検出できれば良い。
<感光体ドラムの偏心>
図7は、感光体ドラムの偏心について説明するための図である。なお、図7(A)は、感光体ドラム1Kにおける光書込位置Pwを示し、図7(B)は、感光体ドラム1周分の基準回転位置が検出されるタイミングを示し、図7(C)は、感光体ドラム1Kの理想値に対する周期ずれ量を示している。
図7(A)に示すように、感光体ドラム1Kが所定の角度回転したときに、レーザ光Lにより感光体ドラム1Kの表面上に潜像が光書き込みされた位置が、所定の回転位置における光書込位置(像書込位置)Pwとなる。
ここで、図7に示す感光体ギヤ71Kは、感光体ドラム1Kと連結され、感光体ドラム1Kと同一軸線上に位置しながら、感光体ドラム1Kに回転駆動力を伝達する。感光体ギヤ71Kの径は、感光体ドラム1Kの径よりも大きい。したがって、例えば感光体ギヤ71Kに製造精度上の限界からわずかな偏心が生じてしまう場合でも、その偏心は感光体ドラム1Kの挙動に対して大きな影響を与えることとなる。
したがって、例えば感光体ドラム1Kの光書込位置Pwでは、図7(B)に示す感光体ドラム1回転あたりに、感光体ドラム1周期分のサインカーブの特性を持つ線速変動が生じることとなる。このため、光書込位置Pwで形成される画像には、図7(C)に示すように、理想値に対して周期変動による位置ずれ(周期ずれ量)が発生することになる。
<光書込位置での周期ずれ変動曲線>
図8は、感光体ドラムの回転に対する光書込位置での周期ずれ変動曲線を示す図である。なお、図8(A)は、基準回転位置の検出タイミングを示し、図8(B)は、図8(A)の検出タイミングに対応した各感光体ドラム1の光書込位置Pwでの周期ずれ変動曲線を示している。
図8(A)に示すように、例えば感光体ドラム1Kの感光体ギヤ71Kの検出により、基準回転位置検出部25から出力されるHighレベルの出力信号に基づく感光体ドラム1Kの1周又は0.5周(半回転)ごとの基準回転位置の検出タイミングが示されている。
図8(A)に対する検出タイミングに対して、各色の感光体ドラム1の光書込位置Pwでは、それぞれサインカーブの特性を持つ線速変動が生じる。そのため、図8(B)に示す周期ずれ変動曲線は、色ごとに異なる感光体ドラム1周期分のサインカーブを描いている。
上述したように、所定時刻における位相は色ごとに異なっているが、各色の回転位相は常に一定となっている。例えば、基準色(例えばK)の周期ずれ変動曲線に対するその他の色(例えばY、M、C)の周期ずれ変動曲線の位相差は常に一定である。したがって、各色の感光体ドラム1は、それぞれ同一周期で回転動作を行うため、各色のうち所定色(例えばK)の感光体ドラム1の回転位置を検出することで、その他の色(Y、M、C等)の位相も同様に検出することが可能となる。
例えば、図8(A)に示す基準回転位置の検出タイミングに基づき、テストパターン書出指示部27により印刷ジョブ制御部31にテストパターン書出指示信号を発行してからテストパターンの形成が始まるまでの処理時間は予め求めることが可能である。したがって、基準回転位置の検出タイミングに基づき、テストパターンが形成される位置は常に同一の位置となる。例えば、図8(B)に示すように、各感光体ドラム1における各テストパターンの書出位置(例えば感光体ドラム1Kの場合91_61K、91_62K、感光体ドラム1Mの場合91_61M、91_62M等)は一定となる。
また、基準回転位置を検出した後、感光体ドラム1が半回転したタイミングで、テストパターン書出指示部27により印刷ジョブ制御部31にテストパターン書出指示信号を発行してからテストパターンを形成する回転位置も容易に求めることが可能である。すなわち、感光体ドラム1の直径と回転速度とから、直前にテストパターンを形成した回転位置から半回転分経過した時間を予め求めておくことで、直前に形成した回転位置から経過した時間で容易にテストパターンが形成される回転位置を求めることが可能となる。
したがって、半回転分経過したタイミングで形成される各感光体ドラム1の各テストパターンの書出位置(例えば感光体ドラム1Kの場合92_61K、92_62K、感光体ドラム1Mの場合92_61M、92_62M等)は、半回転分ずれた位置で形成されることとなる。
上述した図8の例では、便宜上、半回転の周期タイミングでテストパターンを形成しているが、実際にはユーザ要求による通常画像印刷処理が数枚分挿入された後のタイミングとなることが考えられる。したがって、回転位置検出部26により検出した回転位置に対して半回転した位置、例えば検出した回転位置から数周した後の半回転周期となる位置(N+0.5周の位置(Nは、回転周期の整数倍の数))で、かつ、転写ベルト7上に形成される領域がテストパターン書き込み可能な位置(すなわち紙間)に次のテストパターン形成を行うと良い。
上述したように、例えば装置を構成する部品精度や組み付け精度の違いによって、各感光体ドラムの位相関係がずれても、テストパターン検出時に検出した基準色の回転位置と、その回転位置に対して半回転した位置のタイミングで各色が形成されれば良い。これにより、各色の感光体ドラム1の回転位相を監視することなく、常に高精度な検出が可能となる。
<テストパターンの印刷ジョブタイミング>
図9は、印刷ジョブタイミングを説明するためのタイミングチャートの一例である。なお、図9では、例えばテストパターンの印刷ジョブTPが、通常画像(1)〜(3)が形成されるごとに実行される例が示されている。図9に示す(1)〜(5)の数字は、通常画像のうち何枚目の印刷ジョブかを示している。
図9(A)は、テストパターンの印刷ジョブ開始指示信号TP1、TP2と、通常画像の印刷ジョブ開始指示信号(1)〜(5)を示している。各信号の下矢印は、各印刷ジョブの開始時刻を示している。図9(A)に示すテストパターンの印刷ジョブ開始指示信号TP1は、テストパターン書込許可信号が例えばHighとなっているタイミングで発行される。また、テストパターンの印刷ジョブ開始指示信号TP2は、TP1に対して感光体ドラム1が半回転となる回転位置で、テストパターン書込許可信号が例えばHighとなっているタイミングで発行される。
図9(B)〜図9(E)は、それぞれ転写ベルト7上の各点(図2に示す一次転写位置Py、Pc、Pm、Pk)における各色(Y、C、M、K)の印刷ジョブタイミングを示している。
例えば、図9(B)は、感光体ドラム1Y上に顕像化された画像が、転写ベルト7の一次転写位置Pyで転写される印刷ジョブタイミングを示している。なお、転写のタイミングは、例えば、図9(A)に示す印刷ジョブ開始指示信号TP1から、各部での処理・遅延時間が加算された時間(遅延時間)Tdy後であり、各印刷ジョブの開始時刻は、対応する印刷ジョブ開始指示信号から同一の遅延時間Tdy後となる。
図9(C)は、同様に、感光体ドラム1C上に顕像化された画像が、転写ベルト7の一次転写位置Pcで転写される印刷ジョブタイミングを示している。なお、図9(C)に示す印刷ジョブ開始時刻からの遅延時間Tdcは、上述した遅延時間Tdyに、一次転写位置Pyと一次転写位置Pcとの距離と、転写ベルト7の線速とに基づき決定される時間差が加わったものになる。
同様に、図9(D)は、一次転写位置Pmでの印刷ジョブタイミングを示し、図9(E)は、一次転写位置Pkでの印刷ジョブタイミングを示している。
図9(F)は、テストパターン検出部14の読取位置Psを通過するテストパターンの通過タイミングを示している。一次転写位置Pyと読取位置Psとの距離に応じて、印刷ジョブ開始時刻からのテストパターンの通過時間が決まる。なお、テストパターン検出部14は、テストパターンの通過タイミング付近以外動作しないようにしておくと、誤検出の防止及び省電力となる。
図9(G)は、テストパターン検出部14によるテストパターンの検出が完了する時刻を示しており、色ずれ量のサンプリング点に相当する。図9(G)に示す印刷ジョブ開始時刻からの遅延時間Tdsは、遅延時間Tdyに、一次転写位置Pyと読取位置Psとの距離にテストパターンの長さを加えた距離と、転写ベルト7の線速とに基づき決定される時間差が加わったものになる。なお、色ずれ量の算出時間τ後に新しい色ずれ量に更新される。
したがって、図9(G)に示す色ずれ量の算出時間τ後に発行される印刷ジョブ(図9の例ではTP2以降)に対して、各色とも更新された色ずれ量が参照される。すなわち、遅延時間Tdsに色ずれ量の算出時間τを加えたものが、テストパターンの印刷ジョブ開始時刻から色ずれ量の更新までの時間となる。この時間は、例えば、色ずれ量保持値を常にその時点での色ずれ量になるように制御する制御系にとっては無駄な時間となる。
また、図9に示すテストパターンの印刷ジョブ間隔Tsが制御系にとってのサンプリング周期となり、上述した無駄な時間(遅延時間Tds+算出時間τ)よりも長くなるよう設定している。色ずれ量の変動は、温度変化が主因となり、比較的遅く(緩やかに変化)、例えば数分間隔で変化していく。
そこで、上述したサンプリング周期(Ts)は、これよりも十分短くすれば良い。例えばテストパターンの印刷ジョブ間隔Tsを数秒と設定した場合、毎分60枚の印刷可能な装置では、数枚に一回の割合でテストパターンを形成していくことになる。図9の例は、3枚に1つの色ずれ検出用テストパターンが挿入された例である。上述したサンプリングの時間精度は、厳密である必要はない。
図9(H)は、二次転写装置9における印刷ジョブタイミングを示している。図9(H)に示すタイミングで、記録用紙に通常画像(1)〜(4)が転写される。なお、色ずれ検出用テストパターンは、二次転写装置9の転写ベルトが離間されるため、用紙に転写されることはない。
<テストパターンの形成領域>
図10は、テストパターンの形成領域の一例を示す図である。図10(A)は、基準回転位置検出部25から出力されるHighレベルの出力信号に基づく感光体ドラムの1周又は0.5周(半回転)ごとの基準回転位置の検出タイミングを示している。
図10(B)は、図10(A)の検出タイミングに対応した所定位置での周期ずれ変動曲線を示している。また、図10(C)は、図10(A)及び図10(B)の各タイミングに対応して形成される転写ベルト7上のテストパターンの形成領域の一例を示している。
なお、図10(C)は、転写ベルト7を上方から垂直方向に見た図であり、転写ベルト7の直交方向を画像が形成される際の主走査方向(x軸方向)とし、転写ベルト7の移動方向を副走査方向(y軸方向に対して負方向)とする。なお、テストパターン検出部14は、例えば3箇所に配置され、それぞれ主走査方向に対して一列の位置(例えば配置位置14a、14b、14c)に配置される。
図10に示す斜線部は、画像形成領域90−1〜90−4であり、画像形成領域90−2〜90−4は、図9の印刷ジョブ開始指示信号(1)〜(3)に対応した画像形成領域である。副走査方向の画像形成領域90の間(いわゆる紙間)には、テストパターンを形成するテストパターン形成領域91a、91b、91cが示されている。
また、画像形成領域90−4の後方領域には、一定間隔おいた紙間に次のテストパターン形成領域92a、92b、92cが示されている。なお、テストパターン形成領域91a、91b、91cにテストパターンが形成されるタイミングは、図9のTP1(図10(A)に示す実線の検出タイミング)で形成される。また、テストパターン形成領域92a、92b、92cにテストパターンが形成されるタイミングは、図9のTP2のタイミング(図10(A)の実線で示す検出タイミングに対して破線で示す0.5周期の検出タイミング)で形成される。
上述したテストパターン形成領域の間隔は、厳密に一定距離である必要はなく、紙間に挿入するよう印刷ジョブが制御される。
上述したテストパターン形成領域91a〜91c、92a〜92cは、テストパターン検出部14の配置位置14a、14b、14cの位置とそれぞれ一点鎖線a、b、c上で対応している。なお、テストパターンは画像形成領域外であれば、転写ベルト7のどの位置に形成しても良く、例えば転写ベルト7の主走査方向両端の形成領域93a、93c、94a、94cに形成しても良い。
上述した場合には、テストパターン検出部14を配置位置14d、14eに対応する位置に配置するものとする。これにより、通常画像と副走査方向に排他的に配置する必要がなくなり、更には、テストパターン形成を行う回転位置のタイミングも画像印刷ジョブや紙間に合わせる必要がなくなるため、テストパターン形成位置や間隔が自由に選択することが可能となる。
<サンプリング開始時点の各マークの基準距離>
図11は、サンプリング開始時点の各マークの基準距離を示す図である。なお、図11に示すテストパターンが上述したタイミングで形成されると、所定の時間が経過した時点で、テストパターン内の各マークがテストパターン検出部14により検出されるサンプリングが開始する。このサンプリング開始時点では、テストパターンは、転写ベルト7上においてテストパターン検出部14よりも転写ベルト移動方向の上流側に形成されている。
図11に示すように、C第1基準距離Ls1cは、感光体ドラム1Cの1回転あたりの偏心による位置ずれやその他の要因よるずれ量が全くない場合におけるテストパターン検出部14と直線パターン61C(C用の第1位置検知用画像)との距離を示している。
同様に、K第1基準距離Ls1k、Y第1基準距離Ls1y、M第1基準距離Ls1mは、感光体ドラム1の1回転あたりの偏心による位置ずれが全くない場合におけるテストパターン検出部14と、直線パターン61K(K用の第1位置検知用画像)、直線パターン61Y(Y用の第1位置検知用画像)、直線パターン61M(M用の第1位置検知用画像)との距離を示している。
また、C第2基準距離Ls2cは、感光体ドラム1Cにおける1回転あたりの偏心による位置ずれやその他の要因によるずれ量が全くない場合におけるテストパターン検出部14と斜線パターン62C(C用の第2位置検知用画像)との距離を示している。
同様に、K第2基準距離Ls2k、Y第2基準距離Ls2y、M第2基準距離Ls2mは、感光体ドラム1の1回転あたりの偏心による位置ずれが全くない場合におけるテストパターン検出部14と、斜線パターン62K(K用の第2位置検知用画像)、斜線パターン62C(Y用の第2位置検知用画像)、斜線パターン62M(M用の第2位置検知用画像)との距離を示している。
ここで、サンプリング開始時点から、第1のテストパターンを構成する直線パターン61C、直線パターン61K、直線パターン61Y、直線パターン61Mがテストパターン検出部14により検知されるまでの時間をそれぞれ、C第1時間t1Ac、K第1時間t1Ak、Y第1時間t1Ay、M第1時間t1Amとする。
同様に、サンプリング開始時点から、第1のテストパターンを構成する斜線パターン62C、斜線パターン62K、斜線パターン62Y、斜線パターン62Mがテストパターン検出部14により検知されるまでの時間をそれぞれ、C第2時間t2Ac、K第2時間t2Ak、Y第2時間t2Ay、M第2時間t2Amとする。
更に、サンプリング開始時点から、第2のテストパターン(第1のテストパターンに対して半回転した位置に形成されたテストパターン)を構成する直線パターン61C、直線パターン61K、直線パターン61Y、直線パターン61Mがテストパターン検出部14により検知されるまでの時間をそれぞれ、C第1時間t1Bc、K第1時間t1Bk、Y第1時間t1By、M第1時間t1Bmとする。
同様に、サンプリング開始時点から、第2のテストパターンを構成する斜線パターン62C、斜線パターン62K、斜線パターン62Y、斜線パターン62Mがテストパターン検出部14により検知されるまでの時間をそれぞれ、C第2時間t2Bc、K第2時間t2Bk、Y第2時間t2By、M第2時間t2Bmとする。なお、サンプリングとは、具体的には時間を計測することをいう。
ここで、上述したそれぞれのテストパターンのサンプリングが終了した後、それぞれのテストパターンの各マーク(直線パターン及び斜線パターン)の位置ずれ量を求める。具体的には、上述した各マークが検知されるまでの時間と、各マークが感光体ドラム1の1回転あたりの偏心により位置ずれやその他の要因によるずれ量が全くない場合における距離とに基づき、各マークの位置ずれ量を求める。
例えば、第1のテストパターンを構成する直線パターン61Cの位置ずれ量(C第1位置ずれ量(実測値)LsA1c)は、以下の(式1)によって算出する。
LsA1c=t1Ac(C第1時間)×vb(ベルト線速)−Ls1c(C第1基準距離) (式1)
また、K第1位置ずれ量LsA1k、Y第1位置ずれ量LsA1y、M第1位置ずれ量LsA1mについても同様に求められる。
LsA1k=t1Ak×vb−Ls1k
LsA1y=t1Ay×vb−Ls1y
LsA1m=t1Am×vb−Ls1m
また、第1のテストパターンを構成する斜線パターン62Cの位置ずれ量(C第2位置ずれ量(実測値)LsA2c)についても同様に求められる。
LsA2c=t2Ac×vb−Ls2c
また、K第2位置ずれ量LsA2k、Y第2位置ずれ量LsA2y、M第2位置ずれ量LsA2mについても同様に求められる。
LsA2k=t2Ak×vb−Ls2k
LsA2y=t2Ay×vb−Ls2y
LsA2m=t2Am×vb−Ls2m
次に、第2のテストパターンを構成する各マークの位置ずれ量(C第1位置ずれ量(実測値)LsB1c、K第1位置ずれ量LsB1k、Y第1位置ずれ量LsB1y、M第1位置ずれ量LsB1m、C第2位置ずれ量LsB2c、K第2位置ずれ量LsB2k、Y第2位置ずれ量LsB2y、M第2位置ずれ量LsB2m)についても同様に求める。
次に、上述した第1のテストパターンと第2のテストパターンとの各マークの位置ずれ量(実測値)の平均値を用いて、同じ画像位置ごとに位置ずれ量Qxを求める。例えば、直線パターン61Cの画像位置における位置ずれ量(C第1位置ずれ量LsC1c)を求める場合には、以下の(式2)によって算出する。
LsC1c=(LsA1c(C第1位置ずれ量:第1のテストパターン)+LsB1c(C第1位置ずれ量:第2のテストパターン))/2 (式2)
同様に、その他の画像位置(マーク)についても算出する。
K第1位置ずれ量LsC1k=(LsA1k+LsB1k)/2
Y第1位置ずれ量LsC1y=(LsA1y+LsB1y)/2
M第1位置ずれ量LsC1m=(LsA1m+LsB1m)/2
C第2位置ずれ量LsC2c=(LsA2c+LsB2c)/2
K第2位置ずれ量LsC2k=(LsA2k+LsB2k)/2
Y第2位置ずれ量LsC2y=(LsA2y+LsB2y)/2
M第2位置ずれ量LsC2m=(LsA2m+LsB2m)/2
上述した(式2)を用いて、感光体ドラム1の偏心による位置ずれ検出誤差分を除去したテストパターンの各マーク(直線パターン及び斜線パターン)における位置ずれ量Qxを求めることが可能となる。この位置ずれ量Qxを用いて、色ずれ量演算部29により色ずれ量を算出することによって、感光体ドラム1の偏心による位置ずれ検出誤差を除去した色ずれ量を求めることが可能となる。
なお、テストパターン検出部14による検出誤差やサンプリング時間のずれによって各マークの基準距離とのずれが、テストパターン検出ごとに発生することが考えられる。しかしながら、各テストパターンの各マークの実測値(例えば位置ずれ量LsA1c、LsB1c等)には、同じずれ分が含まれることになる。したがって、色ずれ量の算出時には、所定の色(例えばK)の位置ずれ量に対する各色の位置ずれ量との差分を求めた値を用いることになるため、基準距離とのずれは問題とはならない。
<色ずれ量演算方法>
次に、上述した位置ずれ量Qxから色ずれ量を演算する方法を説明する。色ずれの主な成分としては、スキューずれ、副走査方向のレジストずれ(例えば、「マージンずれ」、「オフセットずれ」ともいう)、主走査方向の倍率誤差、主走査方向のレジストずれ等がある。
なお、上述した図5等に示すテストパターンから色ずれ量を演算する手法については、例えば、特許第3773884号に開示されている手法を用いることができるが、これには限定されるものではなく、他の手法を用いても良い。以下に、例えば基準色ブラック(K)に対する各色(C、M、Y)の色ずれ量の演算方法について説明する。
まず、上述した図5に示すテストパターンの各マーク(直線パターン又は斜線パターン)間の距離を定義する。例えば単位はmmとする。具体的には、基準色Kの直線パターン61Kと対象色(例えばC)の直線パターン61Cとの測定された距離をL1cとする。また、M、Yも同様に、L1m、L1yとする。また、同色の直線パターン61と直線パターン62との測定された距離をL2とし、添え字にその色を表す。例えばシアン(C)であればL2cとする。
ここで、上述した位置ずれ量Qxを用いて色ずれ量を演算するため、例えばL1cは、以下の(式3)により求め、例えばL2cは、以下の(式4)により求める。
L1c=LsC1c−LsC1k (式3)
L2c=LsC1c−LsC1c (式4)
なお、対象色(M)、(Y)についても同様に表すことが可能である。
また、基準色Kの直線パターン61Kと対象色Cの直線パターン61Cとの理想的な距離(すなわちテストパターン生成部21により生成するパターン間の距離)をL1refとする。基準色Kの横線パターン61Kと対象色Yの横線パターン61Yとの距離も同一であるため、L1refとし、基準色Kの直線パターン61Kと対象色Mの直線パターン61Mの距離はその倍であるため2×L1refとする。
また、テストパターン検出部14の配置位置14a、14b、14cで測定される距離をそれぞれ_a、_b、_cを付けて区別する。また、テストパターン検出部14の配置位置14aと配置位置14c間の距離をLacとする。
上述のように、測定された距離を定義すると、色ずれ量の各成分の演算は以下のように表すことが可能である。
例えば、各色(C、M、Y)のブラック(K)に対するスキューずれdは、次の(式5)から得られる。
d(C)=(L1c_c−L1c_a)/Lac
d(M)=(L1m_c−L1m_a)/Lac
d(Y)=(L1y_c−L1y_a)/Lac (式5)
また、各色(C、M、Y)のブラック(K)に対する副走査方向のレジストずれfは、以下の(式6)から得られる。
f(C)=((0.25・L1c_a+0.5・L1c_b+0.25・L1c_c)−L1ref)・κ
f(M)=((0.25・L1m_a+0.5・L1m_b+0.25・L1m_c)−2・L1ref)・κ
f(Y)=((0.25・L1y_a+0.5・L1y_b+0.25・L1y_c)−L1ref)・κ (式6)
ここで、κは距離の単位を[mm]から[dot]に変換する係数である。例えば画像データが1200dpiとすると、κ=1200/25.4となる。
また、各色(C、M、Y)のブラック(K)に対する主走査方向の倍率誤差aは、以下の(式7)から得られる。
a(C)=((L2c_c−L2k_c)−(L2c_a−L2k_a))/Lac
a(M)=((L2m_c−L2k_c)−(L2m_a−L2k_a))/Lac
a(Y)=((L2y_c−L2k_c)−(L2y_a−L2k_a))/Lac (式7)
また、各色(C、M、Y)のブラック(K)に対する主走査方向のレジストずれcは、以下の(式8)から得られる。
c(C)=((L2c_a−L2k_a)−Lbd・a(C))・κ
c(M)=((L2m_a−L2k_a)−Lbd・a(M))・κ
c(Y)=((L2y_a−L2k_a)−Lbd・a(Y))・κ (式8)
ここで、Lbdは、走査光学系内で色ごとに備えられ、光ビームが通過した時にライン同期信号43(図2に示す43Y、43C、43M、43K)を生成する同期検知センサと、テストパターン検出部14の配置位置14aとの距離を示す。Lbd・a(C)の項は、主走査方向の同期位置となる同期検知センサからテストパターン検出部14の配置位置14aまで走査する期間に、主走査方向の倍率誤差によって生じる位置ずれをレジストずれから減じて校正する項である。
なお、テストパターンを図10に示すテストパターン形成領域93に形成する場合は、上述した(式6)を、次の式(式6')に変えれば良く、他の各ずれ成分は同一式で求められる。
f(C)=((0.5・L1c_a+0.5・L1c_c)−L1ref)・κ (6')
対象色(M)、(Y)についても同様に表せる。
なお、テストパターンは、図5に示した以外にも様々なパターンが提案されているため、これらのパターンを適用して各種色ずれ量の成分を求めるようにしても良い。
上述したように、感光体ドラムの所定の回転位置で形成した第1のテストパターンと、その回転位置に対して半回転した位置で形成した第2のテストパターンとを用いて算出した色ずれ量Qxによる補正手段は、従来の機械制御による色ずれ補正を行う場合にも適用可能である。また、生産性を低下させることなくテストパターンを形成し、テストパターン形成時に感光体ドラムの偏心によって発生する位置ずれ検出誤差の影響を除去することが可能となる。
<画像データ補正部23による色ずれ量補正方法>
次に、画像データ補正部23により補正する色ずれ量補正方法について説明する。なお、画像データ補正部23により、上述のように算出された色ずれ量を用いて画像を補正する手法については、例えば特開2012−063499号公報に開示されている手法を用いることができるが、これには限定されるものではなく他の手法を用いても良い。
画像データ補正部23へ入力される画像(すなわち入力画像データ又はテストパターン)の座標系を(x,y)と表記する。また、補正画像データ42C、42M、42Y、42Kの座標系を(x',y')と表記する。また、転写ベルト7上に形成される座標系を(x",y")と表記する。このとき、書込制御部24以降で生じる各色の色ずれは、上述のように算出された各色(C、M、Y)のブラック(K)に対する各成分の色ずれ量を用いて、各色それぞれ以下の(式9)の座標変換で表せる。
なお、上述した(式7)のずれ量aは、主走査方向の倍率誤差を表すため、主走査方向の全体倍率a'=1+aとなる。
したがって、画像データ補正部23では、色ごとに各成分の色ずれ量(a'、c、d、f)を用いて、(式9)の行列A(以下適宜、色ずれ変換行列と呼ぶ)の逆行列A−1(以下適宜、色ずれ補正行列と呼ぶ)を求める。また、以下に示す(式10)の座標変換を行い、(式11)に示すように、転写ベルト7上に形成される画像の色ずれ量を補正することが可能となる。
<色ずれ量演算処理>
次に、図12を用いて、2組のテストパターンを用いて実行される色ずれ量演算処理について説明する。図12は、色ずれ量演算処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下の処理は、各色(C、M、Y)において実行される。
図12に示すように、色ずれ量演算部29は、色ずれ量の初期値を設定し(S10)、設定した色ずれ量の初期値を色ずれ量保持部30に記録する。なお、色ずれ量の初期値は、色ずれ量なし(a'=1、c=0、d=0、f=0)としたり、前回使用時の色ずれ量を色ずれ量保持部30に記録させて、色ずれ量の初期値としたりしても良い。
また、色ずれを補正せずに、テストパターンを形成し、形成したテストパターンの検出結果を用いて、上述のように色ずれ量を算出する色ずれ量初期値検出処理を実行して得られた色ずれ量を初期値として設定しても良い。
次に、画像データ補正部23は、色ずれ量保持部30に記録した色ずれ量を参照して、その逆変換となる色ずれ補正行列(逆行列A−1)を求め、補正した第1のテストパターンを転写ベルト7上に形成する。テストパターン検出部14は、第1のテストパターンをサンプリングする(S11)。なお、第1のテストパターンは、例えば感光体ドラム1Kの所定の回転位置が検出されたタイミングで形成すると良い。また、サンプリングのタイミングは、上述した印刷ジョブ開始信号により定められ、そのタイミングまでは待機状態となる。
次に、位置ずれ量検出部28により、S11の処理でサンプリングしたテストパターンの検出結果を用いて位置ずれ量Anを算出する(S12)。
次に、位置ずれ量検出部28により、S12の処理で位置ずれ量Anを算出したテストパターンは、検出回数n=1か否か判断する(S13)。すなわち、位置ずれ量検出部28は、位置ずれ量Anを求めるのに用いたテストパターンが第1のテストパターンか否か判断する。位置ずれ量検出部28は、検出回数n=1と判断した場合(S13において、YES)、S12の処理で算出した位置ずれ量Anを保持し(S14)、S11の処理に戻る。
位置ずれ量検出部28は、検出回数n=1ではないと判断した場合(S13において、NO)、所定時間内(例えば直前)に得られた位置ずれ量An−1と、位置ずれ量Anとを用いて位置ずれ量Qxを算出する(S15)。
ここで、位置ずれ量検出部28は、上述した(式2)を用いることで、感光体ドラム1の偏心による位置ずれ検出誤差を除去した位置ずれ量Qxを算出する。なお、位置ずれ量An−1は、位置ずれ量Anが得られたテストパターンと、逆位相となる感光体ドラム1の回転位置で形成されたテストパターンから得られたものとする。また、位置ずれ量検出部28は、S12の処理で算出した位置ずれ量Anを直前の位置ずれ量An−1として更新し保持する。
次に、色ずれ量演算部29は、S15の処理で得られた位置ずれ量Qxを用いて、上述した(式5)〜(式8)に基づき、色ずれ量の変化値を算出する(S16)。なお、S11の処理で得られる検出結果は、色ずれ量保持部30で保持されている色ずれ量にしたがって補正されたものであるため、S16の処理で算出される色ずれ量は、保持されている色ずれ量からの変化分となる。そこで、例えばn番目のテストパターンにより得られる変化量として添え字nを付け、例えば変化値△a(n)、△c(n)、△d(n)、△f(n)として表す。
次に、色ずれ量演算部29は、S16の処理で得られた変化値△a(n)、△c(n)、△d(n)、△f(n)を用いて、新しい色ずれ量a(n)、c(n)、d(n)、f(n)を演算する(S17)。この処理では、例えば保持されている色ずれ量(n−1番目のテストパターンにより算出された結果であるa(n−1)、c(n−1)、d(n−1)、f(n−1)とする。)に、S16の処理で得られた色ずれ量の変化値をそれぞれ加算して、a(n)=a(n−1)+△a(n)とする。なお、他の成分c(n)、d(n)、f(n)も同様に算出することができる。
ここで、上述した1回のテストパターン(すなわち2組のテストパターン)を用いて算出した色ずれ量には、感光体ドラム1の偏心による位置ずれの他、テストパターン形成時の誤差や、センサの読取り誤差等が含まれる場合があるため、上述の加算により得られる値が、誤差(ノイズとして作用する)に反応してばらついてしまう場合もある。この誤差(ノイズ)の影響をなくすため、例えば次の(式12)により色ずれ量の変化値に所定の係数を掛けた値を加算して、新しい色ずれ量a(n)、c(n)、d(n)、f(n)を算出しても良い。これによりノイズ成分が平滑化され、高精度な色ずれ量を得ることが可能となる。
a(n)=a(n−1)+Kp・△a(n) (式12)
また、次の(式13)を用いて、いわゆる比例積分型(PI)制御となるように、新しい色ずれ量a(n)、c(n)、d(n)、f(n)を算出しても良い。
a(n)=a(n−1)+Kp・△a(n)+Ki・Σ△a(n) (式13)
なお、他の成分c(n)、d(n)、f(n)も同様に算出することができる。
上述した(式13)において、Σ△a(n)は1〜nまでの色ずれ量の変化値△a(n)の積算値、Kpは比例ゲイン係数、Kiは積分ゲイン係数であり、比例ゲイン係数Kpと積分ゲイン係数Kiにより制御帯域が決まり、制御帯域より高周波成分のノイズが制限される。
すなわち、テストパターンを複数組形成して平均値を求める必要がなくなり、少ないテストパターンで十分に精度良く色ずれ量が求めることが可能となる。また、上述した制御帯域以下の変動に対して追従して色ずれ量を求めることが可能となる。更に、色ずれ量の変化値△a(n)の積算値も反映しているため、定常誤差を低減することが可能となる。
また、上述した制御帯域は、温度変化等の緩やかな変動に対して追従するように色ずれ量を求めれば良い。したがって、例えばサンプリング周期を数秒間隔とすれば、制御帯域はサンプリング周期の数十分の1〜数百分の1で良く、こうなるように比例ゲイン係数Kp及び積分ゲイン係数Kiを決めれば良い。
また、a、c、d、fの各要素に要求される制御帯域が異なる場合(例えば温度変化に敏感な要素等)は、その要素に対する比例ゲイン係数Kp、積分ゲイン係数Kiのみ変えても良い。また、各要素に対する比例ゲイン係数Kp、積分ゲイン係数Kiを変えて制御帯域を互いに異なるようにして、各要素の色ずれ量の補正が互いに干渉しないようにしても良い。
次に、色ずれ量保持部30により記録されている色ずれ量(色ずれ量の保持値)をS17の処理で得られた新しい色ずれ量a(n)、c(n)、d(n)、f(n)に更新する(S18)。
次に、処理は終了か否か判断(S19)し、印刷処理が終了している等により処理が終了したと判断した場合には(S19において、YES)、処理を終了する。また、印刷処理が継続している等により、処理は終了していないと判断した場合(S19において、NO)、S11の処理に戻り、更新された色ずれ量により補正されたテストパターンを形成しサンプリングを行う。
なお、上述した色ずれ量演算処理は、各色(C、M、Y)において実行される。
上述した色ずれ量演算処理によりに、色ずれ量を更新していくことで、経時変化にも追従してその時点での色ずれ量を算出し、通常画像はこの色ずれ量に基づき補正されるため、常時色ずれが補正された画像を形成することが可能となる。
なお、上述した色ずれ量の各成分うち、主走査方向のレジストずれ、副走査方向のレジストずれは、書込制御部24の主走査同期信号の遅延又は副走査同期信号のライン単位の遅延により補正しても良い。したがって、これらの成分の色ずれ量の整数部は書込制御部24へ出力して(図2の色ずれ量演算部29からの点線で示す)、それぞれの同期信号の遅延制御を行い、小数部のみ色ずれ量保持部30に記録して画像データ補正部23により補正しても良い。
<テストパターン書出指示発行処理>
図13は、テストパターン書出指示発行処理の流れを示すフローチャートである。なお、図13に示すテストパターン書出指示発行処理は、図12に示す色ずれ量演算処理のうち、S11のサンプリング処理の前に実行される処理である。
図13に示すように、テストパターン書出指示部27は、位置ずれ量検出要求信号を受信しているか否か(位置ずれ量検出要求有り?)判断する(S20)。位置ずれ量検出要求なしと判断すると(S20において、NO)、S20の処理を続ける。
一方、位置ずれ量検出要求ありと判断すると(S20において、YES)、テストパターン書出許可信号を受信しているか否か(テストパターン書出許可あり?)判断する(S21)。テストパターン書出許可なしと判断すると(S21において、NO)、S21の処理を続ける。一方、テストパターン書出許可ありと判断すると(S21において、YES)、回転位置検出部26により検出された所定の回転位置は、検出回数n=1か否か判断する(S22)。
検出回数n=1でないと判断した場合には(S22において、NO)、回転位置検出部26により検出された感光体ドラム1の回転位置が、所定時間内(例えば直前)に保持した回転位置と逆位相か否か判断する(S23)。逆位相でないと判断した場合(S23において、NO)、S23の処理を続ける。
また、検出回数n=1と判断した場合(S22において、YES)、又は、逆位相と判断した場合(S23において、YES)、テストパターン書出指示信号を発行し(S24)、テストパターン書出指示信号を発行したときの回転位置を保持しておく。
次に、処理は終了か否か判断(S25)し、処理が終了していないと判断した場合には(S25において、NO)、S20の処理に戻る。処理が終了したと判断した場合には(S25において、YES)、処理を終了する。
<ハードウェア構成>
次に、図14を用いて、上述した画像形成装置100が有する回転位置検出部26、テストパターン書出指示部27、位置ずれ量検出部28、色ずれ量演算部29、色ずれ量保持部30、印刷ジョブ制御部31等として機能させるためのプログラムを実行するハードウェア構成の一例について説明する。図14は、各部を機能させるためのプログラムを実行するハードウェア構成図である。
なお、図14に示す構成は、画像形成装置100の各部の動作タイミング制御を行うエンジンコントローラと兼ねても良い。
A/D変換器101は、テストパターン検出部14及び基準回転位置検出部25等から得られた信号(センサ出力)を、デジタルデータへ変換する。A/D変換器101は、I/O(入出力)ポート105と接続される。なお、A/D変換器101は、フィルタ処理等の信号処理を行う信号処理部やバッファメモリ等を介してI/Oポート105と接続されても良い。
I/Oポート105は、A/D変換器101及び外部ブロック等と接続され、CPU102との入出力信号のやり取りを行う。また、印刷要求信号の入力や印刷ジョブ開始指示信号の発行、画像データ補正部23への色ずれ量の更新等は、I/Oポート105を介して行われる。
CPU102は、I/Oポート105を介して外部との入出力を行い、上述した印刷ジョブ開始制御、色ずれ量の演算処理を実行するための各処理を実行する。また、CPU102は、メモリバス106を介してRAM103及びROM104と接続される。ROM104には、色ずれ量を演算するためのプログラムや各種プログラムが格納されている。
<サンプリング間隔が長くなる場合の例>
ここで、図15は、サンプリング間隔が長くなる例を説明するための図である。上述した図3では、所定の回転位置検出後、逆位相となる180度ずれた回転周期のタイミングでテストパターンを形成する例を示した。
しかしながら、ユーザ要求による通常画像印刷ジョブが挿入される場合には、常に回転位置検出直後の逆位相の位置でテストパターン形成が行われるとは限らない。また、テストパターン書出許可信号の受信タイミングと、回転位置検出タイミングが、毎回一致するとは限らない。
図15(A)に示す位置ずれ量検出要求信号Stのタイミングに対して、例えば位置ずれ量検出要求信号のタイミング(3)のように、図15(B)に示すテストパターン書出許可信号と、図15(C)に示す回転位置検出のタイミングとが一致しない場合がある。
上述した場合には、位置ずれ量検出要求信号Stのタイミング(1)、(2)、(4)でテストパターンを検出することになる。すなわち、図15(D)に示すテストパターン書出指示信号のタイミングが、例えばタイミング間隔Tsに対し、間隔Ts'と長くなってしまう。
更に、図15の例では、位置ずれ量検出要求信号のタイミング(5)で、回転位置検出のタイミングが一致しないためテストパターンが形成できず、テストパターン書出指示信号の間隔が長くなり、サンプリング間隔Tsが保証されなくなる。
上述したように、検出するテストパターン1組ごとのサンプリング間隔が長くなると、制御ゲインが下がってしまい、制御精度が低下してしまう。したがって、所定のサンプリング間隔Tsで定期的にデータを取得することが望ましい。そこで、例えば、以下に示すような方法を用いると良い。
<制御精度を維持する方法例>
図16は、制御精度を維持する方法を説明するための図である。上述した図15の例では、最初にテストパターンの形成を行った回転位置(位置ずれ量検出要求信号のタイミング(1))に対して、逆位相となる回転位置の検出と、パターン書出許可信号のタイミングとが一致するのは、位置ずれ量検出要求信号のタイミング(2)と(4)となる。このように、位置ずれ量検出要求信号のタイミングに対して、逆位相となる回転位置の検出とパターン書出許可信号のタイミングとが一致しないとテストパターン書出指示信号の間隔Tsが長くなってしまう。
図16の例では、図16(A)に示す位置ずれ量検出要求信号のタイミング(1)で検出された回転位置に対して、位置ずれ量検出要求信号のタイミング(3)と(5)で検出された回転位置が逆位相となっていない。しかしながら、位置ずれ量検出要求信号のタイミング(3)と(5)で検出された回転位置は180度ずれた関係となっている。
そこで、例えば位置ずれ量検出要求信号のタイミング(1)でテストパターンを形成した回転位置(○印)とは異なる回転位置(□印)でテストパターンの形成を行い、その回転位置(□印)と逆位相となる回転位置(■印)でテストパターンを形成する。これにより、テストパターンのサンプリング間隔Tsが長くならずに位置ずれ量を求めることが可能となる。
具体的には、位置ずれ量検出要求信号のタイミング(1)と(2)で形成したテストパターンから得られる位置ずれ量A1と、位置ずれ量A2は、それぞれ逆位相の回転位置で形成されたテストパターンに基づき算出された位置ずれ量である。そこで、位置ずれ量A1と、位置ずれ量A2とから位置ずれ量Q1を求める。
次の位置ずれ量検出要求信号のタイミング(3)のように、検出される回転位置が直前に形成したテストパターンの回転位置に対して逆位相ではない場合でも、テストパターンを形成し、位置ずれ量B1を取得する。
このとき、位置ずれ量B1が得られた回転位置は、直前に取得した位置ずれ量A2が得られた回転位置とは、感光体ドラム1の回転周期に対し逆位相とはならないため、位置ずれ量B1と位置ずれ量A2とを用いて位置ずれ量の演算処理は行わない。なお、位置ずれ量B1が得られた回転位置(例えば位相角)等は保持しておく。
次の位置ずれ量検出要求信号のタイミング(4)で、例えば位置ずれ量検出要求信号のタイミング(2)又は(3)でテストパターンを形成した回転位置と180度異なる逆位相の回転位置が検出された場合には、テストパターンを形成し、位置ずれ量を取得する。図16の例では、位置ずれ量検出要求信号のタイミング(4)は、(2)の回転位置と逆位相の回転位置となるため、位置ずれ量A3を取得し、(2)で得られた位置ずれ量A2とから位置ずれ量Q2を求める。
次の位置ずれ量検出要求信号のタイミング(5)で、例えば位置ずれ量検出要求信号のタイミング(3)又は(4)でテストパターンを形成した回転位置と180度異なる逆位相の回転位置が検出された場合には、テストパターンを形成し、位置ずれ量を取得する。図16の例では、位置ずれ量検出要求信号のタイミング(5)は、(3)の回転位置と逆位相の回転位置となるため、位置ずれ量B2を取得し、(3)で得られた位置ずれ量B1とから位置ずれ量Q3を求める。
上述のように、位置ずれ量検出要求信号のタイミングに対し、テストパターン書出許可信号のタイミング(テストパターン形成可能領域:紙間)とテストパターンを形成する回転位置のタイミングとが一致する頻度が増え、テストパターンを形成する回転位置の自由度が増加することとなる。これにより、テストパターンを形成する間隔も短くなる。
また、例えば位置ずれ量検出要求信号のタイミング(1)でテストパターンを書き出した位置(テストパターンを形成した回転位置)に対して逆位相となる位置が、所定期間内に取得できない場合には、(1)で取得した位置ずれ量を破棄し、新たな回転位置で位置ずれ量を取得すると良い。これにより、その時刻における位置ずれ量の精度を維持することが可能となる。
<複数の回転位置で位置ずれ量を取得する例>
図17は、複数の回転位置で位置ずれ量を取得する例を示す図である。図17(A)は、テストパターン書出指示部27が保持する回転位置の一例を示し、図17(B)〜図17(D)は、位置ずれ量を取得する例を説明するための図である。
図17(A)の例では、テストパターン書出指示部27が保持するテストパターン書き出し位置の「回転位置」と、その回転位置で得られる「位置ずれ量」を示している。例えば、回転位置を「A」、「B」、「C」とし、それぞれの回転位置で得られる位置ずれ量を、○印、□印、△印で示す。
なお、図17(A)の例では、テストパターン書出指示部27は、上述した図13のS22及びS23の処理を省き、検出回数や逆位相を判断することなく、テストパターンの書き出し位置が異なるごとにその回転位置を保持していく。このとき、保持する回転位置と、位置ずれ量検出部28が検出する位置ずれ量とを対応付けることが可能である。
以下の説明では、図形マークの白色(例えば○)と黒色(例えば●)とは、テストパターン書き出し位置が180度ずれた逆位相の回転位置で得られた位置ずれ量であることを示している。
図17(B)の例では、回転位置「A1」〜「A3」が逆位相となっているため、順次、位置ずれ量Q1、Q2を算出する。また、次のタイミングで位置ずれ量を取得した回転位置「B1」は、直前に位置ずれ量を取得した回転位置「A3」と逆位相の関係にならないため、その位置ずれ量「□」を保持しておき、位置ずれ量Qxは算出しない。
次のタイミングで位置ずれ量を取得した回転位置「A4」は、直近で位置ずれ量を取得した回転位置「A3」と逆位相の関係となるため、位置ずれ量Q3を算出する。また、次のタイミングで位置ずれ量を取得した回転位置「B2」は、直近で位置ずれ量を取得した回転位置「B1」と逆位相の関係となるため、位置ずれ量Q4を算出する。また、次のタイミングで位置ずれ量を取得した回転位置「B3」も直前で位置ずれ量を取得した回転位置「B2」と逆位相の関係となるため、位置ずれ量Q5を算出する。
また、図17(C)の例では、最初に回転位置「A1」で位置ずれ量を取得した後、回転位置「B1」〜「B5」で位置ずれ量を取得し、その後、回転位置「A2」で位置ずれ量を取得している。ここで、回転位置「A1」から回転位置「A2」までの時間は開き過ぎているため、この間にドラム周期による位置ずれ以外のその他の要因、例えば温度変動等によるドリフト変動から位置ずれが発生している等、位置ずれ量が正常に算出できないおそれがある。
したがって、所定期間を経過した場合には、回転位置「A1」で得られた位置ずれ量を破棄し、回転位置「A2」で取得した位置ずれ量を保持すると良い。図17(C)の例では、次のタイミングで位置ずれ量を取得した回転位置「A3」は、直前の回転位置「A2」と逆位相の関係となるため、位置ずれ量Q5を算出する。
また、図17(D)の例では、最初に回転位置「A1」で位置ずれ量を取得した後、所定期間が経過しても逆位相の回転位置が検出されない。このように、所定期間しても逆位相の回転位置が検出されない場合には、新たな回転位置「C」で位置ずれ量を取得しても良い。
<複数の回転位置での位置ずれ量取得処理>
図18は、複数の回転位置での位置ずれ量取得処理の流れを示すフローチャートである。なお、図18に示す複数の回転位置での位置ずれ量取得処理は、図12に示す色ずれ量演算のうち、S13の検出回数を判断する処理の後に実行される処理である。
図18に示すように、位置ずれ量検出部28は、位置ずれ量Anを算出したテストパターンの検出が検出回数n=1か否か判断し(S30)、検出回数n=1と判断した場合(S30において、YES)、回転位置(Pr)を設定(r=1)する(S31)。ここで、位置ずれ量検出部28は、例えば、回転位置情報P1=回転位置Aと設定する。なお、位置ずれ量検出部28は、例えば回転位置情報P1=回転位置Aの情報をテストパターン書出指示部27に問い合わせることで取得することが可能である。
次に、位置ずれ量検出部28は、S31の処理で設定した回転位置情報と対応付けて位置ずれ量Anを保持する(S32)。
また、位置ずれ量検出部28は、検出回数n=1ではないと判断した場合(S30において、NO)、回転位置情報を参照する(S33)。回転位置情報には、テストパターンが検出されるごとに回転位置が記憶されている(r=1、2、3・・・回転位置A、B、C等)。
ここで、位置ずれ量検出部28は、位置ずれ量Anを算出したテストパターンの書き出し位置(回転位置)と逆位相となる回転位置があるか否か判断する(S34)。逆位相となる回転位置なしと判断すると(S34において、NO)、新たな回転位置(Pr)を設定(r=2)する(S35)。ここでは、例えば、回転位置情報P2=回転位置Bを設定する。
逆位相となる回転位置ありと判断すると(S34において、YES)、回転位置情報に保持されている逆位相となる回転位置の位置ずれ量を取得し、位置ずれ量Qxを算出する(S36)。
次に、処理は終了か否か判断(S37)し、処理が終了していないと判断した場合には(S37において、NO)、S30の処理に戻る。処理が終了したと判断した場合には(S37において、YES)、処理を終了する。
上述したように、感光体ドラム1の回転周期の偏心による位置ずれ検出誤差を排除した位置ずれ量Qxを算出することが可能となる。
<画像形成領域外を拡大して位置ずれ量を取得する例>
図19は、画像形成領域外を拡大して位置ずれ量を取得する例を示す図である。図19の例では、図19(A)に示す位置ずれ量検出要求信号のタイミング(2)以降は、図19(B)に示すテストパターン書出許可信号と、図19(C)に示す逆位相となる回転位置の検出とのタイミングが一致していない。
そこで、図19(B)に示すテストパターン書出許可信号のタイミングを部分的に延ばすように制御する。例えば、図19(A)に示す位置ずれ量検出要求信号のタイミング(3)の例では、図19(C)に示す逆位相となる回転位置の検出のタイミングまで、図19(B)に示すテストパターン書出許可信号のタイミングを、斜線部分に示すように延すよう制御する。
具体的には、テストパターン書出指示部27は、印刷ジョブ制御部31に書出許可信号を延長するように要求する延長要求信号を発行する。これにより、画像形成領域外となる領域(すなわち紙間の領域)を広げて、図19(C)に示す逆位相となる回転位置の検出のタイミングを容易に得ることが可能となる。なお、印刷ジョブはその間、通常画像の印刷要求を停止させても良い。
例えば、感光体ドラム1の半回転分、紙間の領域を広げる場合、感光体ドラム1の直径がφ60mmで線速度が350mm/sのとき、ドラム一回転の時間が約0.5秒、半回転は約0.25秒となるため、通常画像の印刷要求を停止させるのは、約0.25秒となる。この間に、紙間の領域(例えば94mm)を一時的に広げてテストパターンを形成することが可能となる。
上述した方法では、時間的なダウンタイムが非常に小さいため、生産性も低下させることなく、定期的に位置位置ずれ量を取得することが可能となる。
<位置ずれ量検出要求タイミングを変更して位置ずれ量を取得する例>
図20は、位置ずれ量検出要求信号のタイミングを変更する例を示す図である。図20の例では、図20(A)に示す位置ずれ量検出要求信号のタイミングSt(点線)の時間間隔では、図20(B)に示すテストパターン書出許可信号のタイミングと、図20(C)に示す逆位相となる回転位置の検出のタイミングとが一致していない。
上述した場合には、例えば、テストパターン書出指示部27は、テストパターン書出許可のタイミングと、逆位相となる回転位置の検出のタイミングとが一致するよう、図20(A)に示す位置ずれ量検出要求信号のタイミングStをタイミングSt'(実線)に変更する要求信号を発行すると良い。
なお、位置ずれ量検出要求信号は、例えばCPU102の制御部により発行されるため、テストパターン書出指示部27は、この制御部に対して要求信号を発行すると良い。これにより、効率良く定期的に位置ずれ量を取得することが可能となる。
ここで、上述した位置ずれ量検出要求タイミングの変更に応じて、上述した色ずれ量演算部29で用いる(式12)や(式13)の比例ゲイン係数Kpと積分ゲイン係数Kiとを変更し、比例ゲイン係数Kpと積分ゲイン係数Kiにより決定される制御帯域の値を変更すると良い。これにより、位置ずれ量検出要求タイミング(時間間隔)が変更しても、高精度な色ずれ量を得ることが可能となる。
なお、上述した位置ずれ量の取得例に限定されることはなく、例えば図16〜図20の手法を組み合わせて用いても良い。
上述したように、より効率的に色ずれを補正することが可能となる。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。