JP2009080157A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転体の回転速度むらに起因する画像品質への悪影響を抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、回転体33の回転に伴って移動する被記録媒体7に像を形成する画像形成手段23と、基点位相を基準として回転体33の位相を推定し、この第1推定位相に対応する補正用パラメータを、変化特性情報に基づき順次指定する第1指定手段77と、回転体33の位相が検出点位相に達したことを検出する検出手段73と、第1指定手段に指定された指定パラメータに基づき回転体33に対する像形成位置を補正する補正手段77と、検出手段の検出タイミングに、指定パラメータの値を、指定パラメータと検出点位相に対応する基準パラメータとの間の値に変更し、この変更値に基づき補正手段に像形成位置を補正させる変更手段77と、を備える。
【選択図】図8

Description

本発明は、画像形成装置に関する。
画像形成装置は、例えば感光体や用紙の搬送ローラなどの回転体を備え、この回転体、或いは、当該回転体の回転に伴って移動する被記録媒体上に像を形成していく。例えば電子写真方式のプリンタであれば、回転する感光体上を光走査して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像した画像を被記録媒体に転写する。
ここで、感光体の回転速度が常に一定であれば、光走査を一定時間間隔の書き出しタイミングで順次行うことにより、走査ライン間隔が均一である正常な像(静電潜像、画像)を形成することができる。しかし、実際には感光体の回転速度に周期的なむらがあるため、走査ライン間隔がばらついた異常な画像が形成されてしまうなど、画像品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
そこで、従来から、感光体の回転速度むらに起因する走査ライン間隔のばらつきを抑制するための技術を備えた画像形成装置がある(特許文献1参照)。この従来の画像形成装置では、予め、感光体の回転運動における実際の各位相と、当該各位相での補正量との対応関係を測定し、その測定結果をメモリに記憶する。上記補正量とは、各位相での走査ライン間隔を所定の基準ライン間隔に補正するのに要する書き出しタイミングの補正量である。そして、上記画像形成装置は、画像形成指令がされると、原点センサによって検出される感光体の原点位相、および、画像形成装置に備えられた内部クロックに基づき感光体の回転運動の位相を推定し、その推定位相に対応する補正量を上記メモリから順次読み出す。続いて、この読み出した補正量に基づき走査ラインの書き出しタイミングを補正し、走査ライン間隔を基準ライン間隔に補正する。
特開2000−284561公報
ところが、上記従来の画像形成装置では、原点位相以外の他の位相は、実際に検出しているわけではなく、例えば内部クロック等を用いて推定しているに過ぎない。このため、この推定位相は、感光体の実際の位相からずれることがあり、そのずれは感光体の回転運動が進行するに連れて蓄積されることがある。そうすると、実際の位相とは大きく異なる位相に対応する補正量によって上記基準ライン間隔から大きく外れた走査ライン間隔に補正されてしまう。即ち、従来の画像形成装置では、感光体の回転速度むらに起因する画像品質への悪影響を十分には抑制できないという問題があった。なお、このような問題は、電子写真方式のプリンタに限らず、インクジェットプリンタであっても同様に生じ得る。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、回転体の回転速度むらに起因する画像品質への悪影響を抑制することが可能な画像形成装置を提供するところにある。
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る画像形成装置は、回転体を有し、当該回転体に、或いは、前記回転体の回転に伴って移動する被記録媒体に像を形成する画像形成手段と、前記回転体の位相に応じた補正用パラメータの変化特性情報が記憶される記憶手段と、基点位相を基準として前記回転体の位相を推定し、この推定された第1推定位相に対応する補正用パラメータを、前記変化特性情報に基づき指定する第1指定手段と、前記第1指定手段に指定された補正用パラメータである指定パラメータに基づき前記回転体或いは前記被記録媒体に対する像形成位置を補正する補正手段と、前記回転体の位相が検出点位相に達したことを検出する検出手段と、前記検出手段の検出タイミングに、前記指定パラメータの値を、当該指定パラメータと前記検出点位相に対応する補正用パラメータである基準パラメータとの間の値に変更し、この変更値に基づき前記補正手段に前記像形成位置を補正させる変更手段と、を備える。
基点位相を基準として位相を推定し、この推定位相(第1推定位相)に対応する補正用パラメータを変化特性情報に基づき指定し、この指定された補正用パラメータ(指定パラメータ)に基づき回転体或いは被記録媒体に対する像形成位置を補正する。
ここで、回転体の位相が検出点位相に達したことが検出される検出タイミングに、上記検出点位相を基点位相として設定し、その基点位相に対応する補正用パラメータに第1指定手段の指定先を移行させる構成が考えられる。このようにすれば、基点位相は上記検出タイミングにて求められる、回転体の実際の位相値に修正されるため、推定位相と実際の位相とのずれが蓄積されることを防止し、回転体の回転速度むらに起因する画像品質への悪影響を抑制することができる。
しかし、上記移行前後の補正用パラメータの値の差が大きい場合には、像形成位置の補正に使用する補正用パラメータ変化が不連続となり、その結果、画像品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
そこで、本発明は、検出タイミングで、指定パラメータの値を、その指定パラメータと基準パラメータ(検出点位相に対応する補正用パラメータ)との間の値に変更し、この変更値に基づき補正手段に像形成位置を補正させる構成とした。従って、移行前後における補正用パラメータ変化の不連続性による画像品質への悪影響を抑制することができる。
第2の発明は、第1の発明の画像形成装置であって、計時手段を備え、前記第1指定手段は、前記計時手段の計時時間に基づき前記回転体の位相を推定する構成である。
本発明によれば、基点位相の設定時からの計時手段の計時時間に基づき回転体の位相を推定する構成である。
第3の発明は、第1または第2の発明の画像形成装置であって、前記変更手段は、前記検出タイミング前に前記第1推定位相が前記検出点位相に達する場合、当該検出タイミングが到来するまで、前記指定パラメータの値を、当該指定パラメータと前記基準パラメータとの間の値に変更し、この変更値に基づき前記補正手段に前記像形成位置を補正させる構成である。
本発明によれば、第1推定位相が検出点位相に達してから検出タイミングが到来するまでにおいて、第1推定位相と回転体の実際の位相とのずれによる画像品質の悪影響を抑制できる。
第4の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、前記検出タイミングでの前記変更値は、前記指定パラメータと前記基準パラメータとの間の中間値である。
指定パラメータと基準パラメータとがいずれも変動し得る場合に、これらの中間値を変更値とすることが好ましい。
第5の発明は、第1から第4のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、前記第1推定位相と前記検出点位相とのずれ量が基準量以上かどうかを判断する判断手段と、前記判断手段が前記ずれ量が前記基準量以上であると判断した場合には、前記検出点位相を前記基点位相として設定し、前記第1指定手段の指定先を当該検出点位相に対応する補正用パラメータに移行させる第1移行手段と、を備える。
例えば回転体の駆動異常や検出手段の検出ミスなどによって第1推定位相が想定外(例えば回転体の所定周回分の位相を超えるとき)の値になることがある。この場合、この想定外の第1推定位相を用いても像形成位置を正確に補正できない。そこで、本発明によれば、第1推定位相と検出点位相とのずれ量が基準量以上である場合には、その検出点位相を基点位相として設定し、第1指定手段の指定先を当該検出点位相に対応する補正用パラメータに移行させる構成とした。これにより、想定外の第1推定位相の値を想定内の値に修正することができる。
第6の発明は、第1から第5のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、前記検出タイミング及び前記検出点位相を基準として前記回転体の位相を推定し、この推定された第2推定位相に対応する補正用パラメータを、前記変化特性情報に基づき指定する第2指定手段を備え、前記変更手段は、前記検出タイミング後、前記第1推定位相に対応する補正用パラメータと前記第2推定位相に対応する補正用パラメータとの間の値に変更し、この変更値に基づき前記補正手段に前記像形成位置を補正させる構成である。
本発明によれば、検出タイミングが到来した後において、第1推定位相と回転体の実際の位相とのずれによる画像品質の悪影響を抑制できる。
第7の発明は、第6の発明の画像形成装置であって、前記第1推定位相に対応する補正用パラメータと前記第2推定位相に対応する補正用パラメータとの差が所定値内になった場合に、前記第2推定位相を前記基点位相として設定し、前記第1指定手段の指定先を当該第2推定位相に対応する補正用パラメータに移行させる第2移行手段と、を備える。
第2推定位相は、検出タイミング及び検出点位相を基準として推定されるため、第1推定位相に比べて回転体の実際の位相に近い。そこで、本発明によれば、検出タイミング後に、第2推定位相を基点位相として設定し、第1指定手段の指定先を当該第2推定位相に対応する補正用パラメータに移行させることで、推定位相と実際の位相とのずれが蓄積されることを防止できる。しかも、この移行は、第1推定位相に対応する補正用パラメータと第2推定位相に対応する補正用パラメータとの差が所定値内になった場合であるから、上記移行前後における補正用パラメータ変化の不連続性による画像品質への悪影響を抑制することができる。
第8の発明は、第6または第7の発明の画像形成装置であって、前記検出タイミングでの前記変更値は、前記第1推定位相に対応する補正用パラメータと前記第2推定位相に対応する補正用パラメータとの間の中間値である。
第1推定位相に対応する補正用パラメータと第2推定位相に対応する補正用パラメータとがいずれも変動し得る場合に、これらの中間値を変更値とすることが好ましい。
第9の発明は、第6から第8のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、前記第1推定位相と前記第2推定位相とのずれ量が基準量以上かどうかを判断する判断手段と、前記検出タイミングにて前記判断手段が前記ずれ量が前記基準量以上であると判断した場合には、前記第2推定位相を前記基点位相として設定し、前記第1指定手段の指定先を当該第2推定位相に対応する補正用パラメータに移行させる第3移行手段と、を備える。
例えば回転体の駆動異常や検出手段の検出ミスなどによって第1推定位相が想定外(例えば回転体の所定周回分の位相を超えるとき)の値になることがある。この場合、この想定外の第1推定位相を用いても像形成位置を正確に補正できない。そこで、本発明によれば、第1推定位相と第2推定位相とのずれ量が基準量以上である場合には、その第2推定位相を基点位相として設定し、第1指定手段の指定先を当該第2推定位相に対応する補正用パラメータに移行させる構成とした。これにより、想定外の第1推定位相の値を想定内の値に修正することができる。
第10の発明は、第1から第9のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、前記画像形成手段は、カラー画像とモノクロ画像とを形成可能であり、前記補正手段は、前記カラー画像を形成する場合に前記補正を行い、前記モノクロ画像を形成する場合には前記補正を行わない。
回転速度むらに起因するライン間隔のずれによる影響は、特に複数色の画像を組み合わせて形成するカラー画像において色ずれとして顕著に現れる。そこで、本発明では補正手段による補正をカラー画像形成時に行い、モノクロ画像形成時には行わないようにした。
第11の発明は、第1から第10のいずれか一つの発明項に記載の画像形成装置であって、前記画像形成手段は、複数色それぞれに対応した複数の前記回転体を有し、当該各回転体に、或いは、当該各回転体の回転に伴って移動する被記録媒体にそれぞれ像を形成してカラー画像を形成する構成であり、前記記憶手段には前記各回転体に対応した複数の前記変化特性情報が記憶され、前記各色に対応する像形成ごとに、前記指定手段、補正手段及び変更手段による動作を独立に実行させる。
例えば複数色について共通の変化特性情報に基づき補正等を行う構成も可能であるが、本発明のように、各色毎に独立に補正等を行えば、各色毎の補正用パラメータの変化特性を正確に反映することができる。
第12の発明は、第1から第11のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、前記回転体は、現像剤像を直接、或いは被記録媒体を介して間接的に担持する担持体である。
本発明は、インクジェットプリンタに適用可能であるが、現像剤像を担持する担持体を有する電子写真方式のプリンタに特に有効である。
本発明によれば、回転体の回転速度むらに起因する画像品質への悪影響を抑制することができる。
本発明の一実施形態について図1〜図10を参照して説明する。
(プリンタの全体構成)
図1は、本実施形態の電子写真方式のプリンタ1の概略構成を示す側断面図である。なお、以下の説明においては、図1における右側(右方)をプリンタ1の前側(前方)とする。
図1に示すように、プリンタ1(画像形成装置の一例)は、直接転写タンデム方式のカラーLEDプリンタであって、ケーシング3を備えている。ケーシング3の底部には供給トレイ5が設けられ、この供給トレイ5に、被記録媒体(例えば用紙などのシート材)7が積載される。
被記録媒体7は、押圧板9によってピックアップローラ13に向かって押圧され、ピックアップローラ13の回転によって、レジストレーションローラ17へ送られる。レジストレーションローラ17は、被記録媒体7の斜行補正を行った後、所定のタイミングで、被記録媒体7をベルトユニット21上へ送り出す。
画像形成部19は、搬送手段の一例としてのベルトユニット21、露光手段としての一例としてのLED露光装置23、プロセス部25、定着器28などを備えている。なお、本実施形態では、少なくともLED露光装置23及びプロセス部25が「画像形成手段」の一例である。
ベルトユニット21は、一対の支持ローラ27,29の間に架設される無端のベルト31を備える。そして、ベルト31は、例えば後側の支持ローラ29が回転駆動することで図1の反時計回り方向に循環移動し、そのベルト31上に被記録媒体7を載せて後方へ搬送する。
LED露光装置23は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応した4つLED露光装置23K,23C,23M,23Yを備える。各LED露光装置23K,23C,23M,23Yは、感光体33(回転体、担持体の一例)の軸方向に沿って列状に並べられた複数の発光ダイオード(図示せず)を備えており、それぞれに対応する色の画像データに基づき複数の発光ダイオードをオンオフ制御して感光体33の表面上に光を照射して、感光体33上に静電潜像を形成する。
プロセス部25は、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの各色に対応して4つ設けられている。各プロセス部25は、トナー(着色剤の一例)の色等を除いて同一の構成とされている。以下の説明において、色毎に区別する必要がある場合は各部の符号にK(ブラック),C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の添え字を付し、区別する必要がない場合は添え字を省略する。
各プロセス部25は、感光体33、帯電器35及び現像カートリッジ37等を備えて構成されている。現像カートリッジ37には、トナー収容室39、現像ローラ41(現像剤像担持体の一例)等が設けられ、トナー収容室39内のトナーが現像ローラ41上に供給される。
感光体33の表面は、帯電器35により一様に正帯電される。その後、LED露光装置23からの光Lにより露光されて、被記録媒体7に形成すべき各色画像に対応した静電潜像(像の一例)が形成される。
次いで、現像ローラ41上に担持されているトナーが、感光体33の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光体33の静電潜像は、各色ごとのトナー像として可視像化される。
その後、ベルト31によって搬送される被記録媒体7が、感光体33と転写ローラ43(転写手段の一例)との間の各転写位置を通る間に、各感光体33の表面に担持されたトナー像が、転写ローラ43に印加される負極性の転写バイアスによって被記録媒体7に順次転写される。こうしてトナー像が転写された被記録媒体7は、定着器28に搬送される。
定着器28は、トナー像を担持した被記録媒体7を、加熱ローラ45及び加圧ローラ47によって搬送しながら加熱することにより、トナー像を被記録媒体7に定着させる。そして、熱定着された被記録媒体7は、排紙ローラ49により排紙トレイ51上に排出される。
(感光体の駆動機構)
図2には、感光体33を回転駆動する駆動ユニット61の内部構造を簡略化して示した斜視図である。駆動ユニット61は4つの感光体33の一端側に配置されている。駆動ユニット61は、各感光体33に対応する4つの駆動ギア63(63K,63C,63M,63Y)が設けられている。各駆動ギア63は、それに対応する感光体33と同軸上で回転可能に設けられ、カップリング機構によって互いに連結される。
具体的には、各駆動ギア63には同軸上に嵌合部65が突出形成されており、この嵌合部65が、上記感光体33の端部に形成された凹所67に嵌合し、駆動ギア63の回転駆動に対して感光体33が一体的に回転する。なお、各嵌合部65は、図2に示す嵌合位置と感光体33から離間した離間位置との間で移動可能となっており、例えばプロセス部25を交換する際には、嵌合部65が離間位置に移動することによりプロセス部25をケーシング3から取り外すことが可能になる。
隣り合う駆動ギア63同士は、中間ギア69を介してギア連結されている。本実施形態では、中央に位置する中間ギア69(駆動ギア63Cと駆動ギア63Mとを連結する中間ギア)に駆動モータ71からの駆動力が与えられ、これにより、4つの駆動ギア63及び4つの感光体33が一緒に回転する。
また、1つの駆動ギア63(本実施形態では駆動ギア63C)には原点センサ73(検出手段の一例)が設けられている。この原点センサ73は、駆動ギア63Cの位相(より正確には駆動ギア63Cの回転運動の位相 なお「位相」とは、振動や波動のような周期運動で、1周期内の進行段階を示す量であり、例えば経過時間、回転角度が含まれる。)が予め定めた検出点位相P(0)(原点位相)に達したか否かを検出するためのセンサである。
具体的には、駆動ギア63Cには回転軸を中心とした円形状のリブ部75が設けられており、その一箇所にスリット75Aが形成されている。原点センサ73は、このリブ部75を介して対向する投光素子及び受光素子を備えた透過型の光学センサである。原点センサ73の検出領域にスリット75A以外の部分が位置しているときには、投光素子からの光はリブ部75によって遮光され、受光素子での受光量レベルは比較的に低い。
一方、上記検出領域にスリット75Aが位置するとき(駆動ギア63Cの位相が検出点位相に達しているとき)は、投光素子からの光は遮光されなくなるから、受光素子での受光量レベルが高くなる。原点センサ73は、この受光量レベル変化に応じた検出信号SAを出力することで、駆動ギア63Cの位相が検出点位相に達したことを検出したタイミング(以下、検出タイミングという。)を、後述するCPU77に伝える。
なお、後述する走査ライン間隔の補正処理は、各色に個別に行うため、4つの駆動ギア63全てについて、それぞれの検出点位相P(0)に達したかどうかを検出する必要がある。このために、各駆動ギア63に1つずつ原点センサを設けて、各駆動ギア63が検出点位相P(0)に達したことを個別に検出する構成であってもよい。
しかし、原点センサの数が多くなりコストがかかる。また、本実施形態では、4つの駆動ギア63が共通の駆動モータ71からの駆動力によって回転する構成であり、4つの駆動ギア63が同時にそれぞれの検出点位相P(0)に達するように設計すれば、1つの駆動ギア63が検出点位相P(0)に達したことを検出することで、同時に残りの駆動ギア63がそれぞれの検出点位相P(0)に達したことを間接的に検出できる。そこで、本実施形態では、1つの駆動ギア63のみに原点センサ73を設ける構成とした。
また、各駆動ギア63とこれに対応する感光体33とは同軸上で一体的に回転するため、駆動ギア63の位相と感光体33の位相(より正確には感光体33の回転運動の位相)とはほぼ一致するとみなせる。従って、原点センサ73は、駆動ギア63が検出点位相P(0)に達したか否かを検出することで、感光体33が検出点位相P(0)に達したか否かを間接的に検出している。以下、駆動ギア63が検出点位相P(0)に達したことと、感光体33が検出点位相P(0)に達したこととを同じ意味で使用することがある。
(プリンタの電気的構成)
図3は、上述のプリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
プリンタ1は、CPU77、ROM79、RAM81、NVRAM83(記憶手段の一例)、操作部85、表示部87、既述の画像形成部19、ネットワークインターフェイス89、原点センサ73等を備えている。
ROM79には、プリンタ1の動作を制御するための各種プログラムが記録されており、CPU77は、ROM79から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM81やNVRAM83に記憶させながら、プリンタ1の動作を制御する。
操作部85は、複数のボタンからなり、ユーザによって印刷開始の指示などの各種の入力操作が可能である。表示部87は、液晶ディスプレイやランプからなり、各種の設定画面や動作状態等を表示することが可能である。ネットワークインターフェイス89は、通信回線70を介して外部のコンピュータ(図示せず)等に接続されており、相互のデータ通信が可能となっている。
(変化特性情報について)
以下の説明で登場する一部の用語の意味は次の通りである。
(a)「書き出し時間間隔T1」:LED露光装置23によって感光体33上に形成される各走査ラインの書き出しタイミングの時間間隔をいう。
(b)「走査ライン間隔B」:転写後の被記録媒体7における走査ライン同士の副走査方向における距離間隔(光走査によって感光体33に形成される各走査ライン間の、感光体33の周方向(副走査方向)における距離間隔)をいう。なお、副走査方向における各走査ラインの書き出し位置が像形成位置の一例である。
(c)「規定速度V0」:設計上、規定された速度であり、これは印刷速度、解像度、被記録媒体の材質等の印刷条件によって変更されることがある。
(d)「規定ライン間隔B0」:解像度などの印刷条件によって定まる、正規の走査ライン間隔Bをいう。換言すれば、走査ライン間隔Bをこの規定ライン間隔B0に一律に揃えることができれば、上記印刷条件を満たす静電潜像を形成することができる。
(e)「規定時間間隔T0(=B0/V0)」:駆動ギア63が上記規定速度V0で定速回転し、且つ、上記規定ライン間隔B0で光走査するのに要する、理論上の書き出し時間間隔をいう。
(f)「ライン番号H」:駆動ギア63の1周期分の各位相に対応付けられたアドレス番号(0〜HM−1)をいう。
(g)「1周期ライン数HM」:図4に示すように、駆動ギア63の1周期の回転によって被記録媒体7上に形成する走査ラインの合計ライン数をいう。
(h)「被記録媒体ライン数MM」:図4に示すように、一被記録媒体7全体に対して形成すべき走査ラインの合計ライン数をいう。なお、この被記録媒体ライン数MMは、被記録媒体7の搬送方向長さに応じて変更される。
(i)「基点位相」:後述する検出点位相P(0)以外の他の位相(P(1)〜P(HM−1))の到来を推定する基準となる位相であり、補正処理の当初は検出点位相P(0)が基点位相として設定される。本実施形態では、基点位相自体ではなく、それを特定するライン番号(H)として把握されている。以下、これを基点ライン番号Xという。
本実施形態では、図1に示すように被記録媒体7は感光体33によって搬送される。即ち、被記録媒体7の搬送速度は、感光体33の回転速度Vに同期する。従って、走査ライン間隔Bが規定ライン間隔B0に一律に揃った正常な静電潜像を感光体33上に形成することができれば、画像ラインの距離間隔が一律に揃った正常画像を被記録媒体7上に形成することができる。
そのためには、感光体33の位相が、規定ライン間隔B0に対応する均等量ΔPずつ進むごとに、各走査ラインを書き出すことができればよい。
ここで、まず駆動ギア63が上記規定速度V0で定速回転する場合を考える。この場合、図5(1段目)に示すように、駆動ギア63の位相は、一定時間T0ごとに一定量ΔP(本実施形態では例えば(駆動ギア63の1周期)/HM)ずつ進行する。従って、上記正常な静電潜像を形成するには、図5(2段目)に示すように、各走査ラインの書き出し時間間隔T1を一律、規定時間間隔T0に固定、換言すれば、各走査ラインを、規定時間間隔T0ごとの書き出し開始タイミング(以下、一定書き出しタイミングW1(H)という)で順次光走査すればよい。以下、上記検出点位相P(0)から上記一定量ΔPずつ順次ずれた各位相P(H)を順番にP(1)、P(2)、P(3)・・・P(HM−1)と呼ぶ。
ところが、実際には、駆動ギア63に回転速度むらがある。このため、図5(3段目)に示すように、上記各規定時間間隔T0における駆動ギア63の位相の進行量が駆動ギア63の回転速度Vに応じてばらつく。したがって、各走査ラインの書き出し時間間隔T1を規定時間間隔T0に固定したままでは、各走査ライン形成時の駆動ギア63の位相が、上記各位相P(H)からずれるため、その結果、走査ラインが不均一に並んだ異常な静電潜像が感光体33上に形成されてしまう。
そこで、正常な静電潜像を形成するためには、図5(4段目)に示すように、各走査ラインの書き出し開始タイミングを補正しなければならない。以下、この補正後の書き出し開始タイミングを「補正後書き出しタイミングW2(H)」という。なお、このときの各書き出し時間間隔T1はB0/Vで現すことができ、駆動ギア63の回転速度Vのむらに応じた値にばらつく。同図中の符号R(1)、R(2)・・・は、一定書き出しタイミングW1(H)を、補正後書き出しタイミングW2(H)にするのに要する補正量R(H)(=R(0)〜R(HM−1) 補正用パラメータの一例)である。なお、以下の説明では、補正量R(H)は、補正後書き出しタイミングW2(H)が一定書き出しタイミングW1(H)よりも遅い場合に正の値となるものとする。
図6の各実線グラフG1(G1K,G1C,G1M,G1Y)は、各駆動ギア63K,63C,63M,63Yの回転速度Vの実測値から作成されたものであり、各位相における、「規定ライン間隔B0」に対する「走査ライン間隔B」の誤差に起因する誤差距離の総和を示したものである。より詳しくは、これらの実線グラフG1は規定速度V0に対する実測値の差分に起因した誤差距離の総和をプロットして作成したものである。また、各点線グラフG2(G2K,G2C,G2M,G2Y)は、上記補正量R(H)によって補正される補正距離の総和の変化を、各位相P(H)(駆動ギア63の位相が各位相P(H)に達したときに形成すべき各走査ラインのライン番号H自体でもよい)ごとにプロットして作成したグラフである。各点線グラフG2は、それに対応する各実線グラフG1を正負逆転させたような増減傾向を示す。
例えば実線グラフG1がゼロ線よりも上にある位相P(H)では、駆動ギア63の回転速度Vが上記規定速度V0よりも速い区間である。このため、補正後書き出しタイミングW2(H)は一定書き出しタイミングW1(H)よりも早くなり、補正量R(H)は負の値になる。一方、実線グラフG1がゼロ線よりも下にある位相P(H)では、駆動ギア63の回転速度Vが上記規定速度V0よりも遅い区間である。このため、補正後書き出しタイミングW2(H)は一定書き出しタイミングW1(H)よりも遅くなり、補正量R(H)は正の値になる。
そして、変化特性情報は、図7に示すように、各走査ラインのライン番号(H)と補正量R(H)との対応関係であり、上記点線グラフG2から導き出すことができる。NVRAM83には、4つの駆動ギア63各々に対応する4つの変化特性情報が対応関係テーブルとして記憶されている。なお、ライン番号(H)は、駆動ギア63の位相が各位相P(H)に達したときに形成すべき各走査ラインを示すもの(図5参照)であるから、各ライン番号(H)によって各位相P(H)が特定できる。従って、図7に示す変化特性情報は、駆動ギア63の各位相に応じた補正量R(H)の変化特性を示すものであるといえる。勿論、変化特性情報を、各位相P(H)自体と補正量R(H)との対応関係としてもよい。
(走査ライン間隔の補正処理)
本実施形態では、図8に示す走査ライン間隔の補正処理は、単一のプロセス部25(例えばブラックのプロセス部25K)によるモノクロ印刷時には行わず、複数のプロセス部25によるカラー印刷時に行う。カラー印刷では複数色の画像を組み合わせてカラー画像を形成する。このため、カラー印刷では、特に、感光体33の回転速度むらに起因する走査ライン間隔Bのずれの影響が色ずれとして顕著に現れるからである。また、走査ライン間隔の補正処理は、それぞれの色ごとに用意された上記変化特性情報に基づき個別に行う。以下、例えばシアン画像に対する走査ライン間隔の補正処理を例に挙げて説明する。
(1)補正処理の開始当初
CPU77は、基本的には上記変化特性情報に基づき各ライン番号(H)に対応する複数の補正量ΔR(H)を時系列順(具体的にはアドレス順)に順次指定していく。
例えば外部のコンピュータからの印刷データをネットワークインターフェイス89で受信したり、操作部85で印刷指示の操作がされたりすると、CPU77は、感光体33、ベルト31等の回転駆動を指示すると共に、図8に示す補正処理を実行する。なお、CPU77は内部クロックによって時間をカウントすることができる。以下、この内部クロックによる演算上の経過時間を「演算経過時間」という。このとき、CPU77は計時手段として機能する。
まずS1で検出フラグFが立っている(F=1)かどうかを判断する。この検出フラグFは、上記検出タイミングが到来した(感光体33の位相が検出点位相P(0)に達した)かどうかを示すフラグであり、補正処理の開始当初はまだクリア(F=0)されている。感光体33の位相が検出点位相P(0)に達すると、そのことが原点センサ73からの上記検出信号SAによってCPU77に伝えられる。そうすると、CPU77は検出フラグFを立てる(F=1 S1:YES)ことでS3に進み、S3で、そのときの現在時間カウント値Cを、基準時間カウント値C0として設定する。
次にS5で、第1ラインカウンタ(I)、第2ラインカウンタ(J)、被記録媒体ラインカウンタ(M)及び検出フラグFを「0」に初期化する。第1ラインカウンタ(I)は、各走査ラインを書き出す補正後書き出しタイミングW2(H)ごとに1ずつカウントされるカウンタ値であり、基本的には上記1周期ライン数HMに達したときに「0」に初期化される。第2ラインカウンタ(J)も各走査ラインを書き出す補正後書き出しタイミングW2(H)ごとに1ずつカウントされるカウンタ値であるが、検出点位相P(0)の検出タイミングで「0」に初期化されるため、後述するように1周期ライン数HMを超えることがある点で第1ラインカウンタ(I)とは異なる。
その後、検出タイミングが到来しなければ(S7:NO)、S17で第2ラインカウンタ(J)が1周期ライン数HMを超えたかどうかを判断する。補正処理の開始当初であって、第2ラインカウンタ(J)が1周期ライン数HMよりも小さい場合には(S17:NO)、S19で、CPU77は、第1ラインカウンタ(I)と同数のライン番号(H=I)に対応する補正量R(I)(指定パラメータの一例)と、第2ラインカウンタ(J)と同数のライン番号(H=J)に対応する補正量R(J)(補正用パラメータの一例)とをそれぞれ変化特性情報から読み出して、次の演算式によって変更値R'(I)を算出する。
R'(I)=〔R(I)+R(J)〕/2
但し、補正処理の開始当初は、第1ラインカウンタ(I)の値と第2ラインカウンタ(J)の値とが一致しているため、変更値R'(I)は補正量R(I)に一致する。
次にS23では、補正量R(I)と補正量R(J)との差が所定値D内になったかどうかを判断する。所定値D内であれば(S23:YES)、S25で第1ラインカウンタ(I)に第2ラインカウンタ(J)の値を設定し、S27に進む。このとき上記基点ライン番号Xを、ライン番号(0)からこのときの第2ラインカウンタ(J)に設定変更する。以後、第1ラインカウンタ(I)は、この変更後の基点ライン番号Xを基準に新たにカウントが開始される。これにより、第1ラインカウンタ(I)に基づき指定する補正量R(I)が、第2ラインカウンタ(J)に基づき指定する補正量R(J)に移行する。このとき、CPU77は第2移行手段として機能する。一方、補正量R(I)と補正量R(J)との差が所定値D内でなければ(S23:NO)、上記S25での移行をせずにS27に進む。
次にS27では、検出タイミングから上記補正後書き出しタイミングW2(I)までの理論上の経過時間を計算する。本実施形態では、次の式で算出する。
理論上の経過時間=〔I(第1ラインカウンタ)・T0(規定時間間隔)〕+R'(I)
そして、CPU77は、上記基準時間カウント値C0からの演算経過時間(=現在時間カウント値C−基準時間カウント値C0)が上記理論上の経過時間に達したかどうかを判断する。達していなければ(S27:NO)S7に戻り、達していれば(S27:YES)、このときに走査ラインIを書き出すべき上記位相P(I)(ライン番号(H=I)に対応付けられた位相)に駆動ギア63が達したと推定する。そして、S29で走査ラインIの書き出しをLED露光装置23に指示する。このときCPU77は補正手段として機能する。
次にS31で第1ラインカウンタ(I)、第2ラインカウンタ(J)及び被記録媒体ラインカウンタ(M)にそれぞれ「1」を加え、S33で駆動ギア63の1周期分の走査ラインを光走査したかどうか、換言すれば、第1ラインカウンタ(I)に基づく第1推定位相P(I)が検出点位相P(0)に戻ったかどうかを判断する。具体的には、第1ラインカウンタ(I)が1周期ライン数HMに達したかどうか、を判断する。達していれば(S33:YES)、S35で第1ラインカウンタ(I)を「0」に初期化してS37に進み、達していなければ(S33:NO)、第1ラインカウンタ(I)を初期化せずにS37に進む。S37では、走査ラインを被記録媒体ライン数MM分すべて光走査し終えたかどうかを判断し、まだ走査し終えてなければ(S37:NO)、S7に戻り、走査し終えていれば(S37:YES)、本補正処理を終了する。
(2)駆動ギア(感光体)の位相推定について
ここで、本実施形態では、駆動ギア63(感光体33)の位相が上記検出点位相P(0)に達したことは原点センサ73によって直接検出できるが、この検出点位P(0)以外の他の位相(P(1)〜P(HM−1))に達したことは直接検出しない。CPU77は、駆動ギア63が上記各他の位相(P(1)〜P(HM−1))に達したことを、基点位相及び上記演算経過時間に基づき推定する。本実施形態では、上記基点ライン番号Xが、現在の第1ラインカウンタIのカウントの基準となる値であり、補正処理の開始当初は検出点位相P(0)に対応してライン番号「0」とされている。
具体的には、上述したように、基準時間カウント値C0からの演算経過時間(=C−C0)が理論上の経過時間(=I・T0+R'(I))に達したことをもって、駆動ギア63が、ライン番号Iの走査ラインを書き出すべき位相P(I)に達したと推定している(S27,S29参照)。以下、この第1ラインカウンタ(I)に基づき推定された位相を「第1推定位相P1(I)」という。そして、CPU77は、S31で第1ラインカウンタ(I)に「1」加えて、上記第1推定位相P1(I+1)、即ち、ライン番号(I+1)に対応する補正量R(I+1)を指定する。このとき、CPU77は、第1指定手段として機能する。この補正量R(I+1)は、次のライン番号(I+1)の走査ラインの書き出しタイミングを補正するときに使用する(図5参照)。
仮に、内部クロックによって正確な時間をカウントできれば、上記演算経過時間によって理論的な経過時間を正確にカウントできるから、駆動ギア63が第1推定位相P1(I+1)に達したと判断したときに、駆動ギア63も実際に位相P(I+1)に達していることになる。従って、図5に示すように、駆動ギア63の実際の各位相P(H)において、適切な補正量R(H)を変化特性情報から指定することができ、感光体33の回転運動全周に亘って走査ライン間隔Bを規定ライン間隔B0に一律に揃えることができる。
ところが、例えば内部クロックを生成するための発振回路が安価のものであったり、プリンタ1の内部温度が変化してパルス間隔が変動したりすることがあり、内部クロックによって正確な時間をカウントできない場合がある。そうすると、上記第1推定位相P1(I+1)と駆動ギア63の実際の位相P(I+1)とがずれてしまい、そのずれ量は駆動ギア63の回転が進行するに連れて蓄積されていく。即ち、駆動ギア63の実際の各位相P(H)において、それに対応しない不適切な補正量が指定されてしまい、走査ライン間隔Bを規定ライン間隔B0に一律に揃えることができなくなる。
(3)補正量の変更について
(A)検出タイミングの到来前に、第1推定位相が検出点位相に達する場合
演算経過時間が実際の時間よりも早い場合には、CPU77は、図9に示すように検出タイミングの到来前に、第1推定位相P1(I+1)が検出点位相P1(0)に達したと判断する。そうすると、S35で第1ラインカウンタ(I)を「0」に初期化し、被記録媒体ライン数MM分すべて光走査し終えておらず(S37:NO)、且つ、検出タイミング前(S7:NO)の場合に、S17に進む。このとき、上記S35で初期化されてなかった第2ラインカウンタ(J)は1周期ライン数HMを超えている(S17:YES)。しかし、変化特性情報には、1周期ライン数HMを超えるライン番号に対応する補正量R(H)は記憶されていない。
そこで、CPU77は、S21で第1ラインカウンタ(I)と同数のライン番号(I)に対応する補正量R(I)と、第1ラインカウンタ(0)と同数のライン番号(0)に対応する補正量R(0)(基準パラメータの一例)とをそれぞれ変化特性情報から読み出して、次の演算式によって変更値R'(I)を算出する。
R'(I)=〔R(I)〕/2
これにより検出タイミングが到来するまでの間、各変更値R'(I)は、図9に示すように各補正量R(I)と補正量R(0)との中間点(R'(1)、R'(2))になる。即ち、ライン番号Iの走査ラインの書き出しタイミングを、一定書き出しタイミングW1(I)に対して補正量R(I)の半分だけずらしたタイミングに補正するのである。このときCPU77は変更手段として機能する。
次に、検出タイミングが到来すると(S7:YES)、S9で検出フラグFを「0」に初期化し、S11で第2ラインカウンタ(J)を「0」に初期化する。従って、図9に示すように、第2ラインカウンタ(J)は検出タイミングで新たに「0」からカウントを開始する。
ここで、本実施形態では、CPU77は、検出タイミング及び検出点位相P(0)を基準として駆動ギア63の位相(以下、第2推定位相P2(J)という)を、上記第1推定位相P1(I)とは別に推定している。具体的には、検出タイミングが到来するごとに「0」に初期化される第2ラインカウンタ(J)に基づいて第2推定位相P2(J)を推定している。要するに、CPU77は、第1ラインカウンタ(I)に基づいて第1推定位相P1(I)に達したと推定したときに、この第1推定位相P1(I)にJを代入した第2推定位相P2(J)に達したと推定するのである(図9参照)。このとき、そして、CPU77は、S31で第2ラインカウンタ(J)に「1」加えて、上記第2推定位相P2(J+1)、即ち、ライン番号(J+1)に対応する補正量R(J+1)を指定する。このとき、CPU77は第2指定手段として機能する。
S13では、第1ラインカウンタ(I)と第2ラインカウンタ(J)との値の差が基準値E以上かどうかを判断する。これは、第1推定位相P1(I)と第2推定位相P2(J)とのずれ量が基準量以上かどうかを判断していることを意味する。そして、このずれ量が基準量未満であれば(S13:NO)そのままS17に進むが、基準量以上である場合には(S13:YES)、S15でエラー処理を行った後にS17に進む。即ち、第1ラインカウンタ(I)の値を、第2ラインカウンタ(J)と同じ数のライン番号(J)に設定し、補正量R(I=J)に指定を移行させる。このときCPU77は判断手段及び第3移行手段として機能する。
例えば駆動ギア63の駆動異常や原点センサ73の検出ミスなどによって検出タイミングまでに長い時間がかかり、第1推定位相P1(I)(第1ラインカウンタ(I))が想定外の値(検出点位相と大きく乖離した値)になっていることがある。この場合、このような想定外の値になった第1推定位相P1(I)を用いても書き出しタイミングを正確に補正できない。そこで、上記エラー処理を行うことで、想定外の第1推定位相P1(I)を想定内の値(検出点位相)に修正することができる。すなわち、検出タイミングによって実際の位相により近くなった第2推定位相P2(J)に対応する補正量R(I=J)に移行させるため、第1推定位相P1(I)を駆動ギア63の実際の位相により近づけることができる。
S15のエラー処理を行わなければ、S17で第2ラインカウンタ(J)は1周期ライン数HM以下であると判断し(S17:NO)、S19に進む。これにより、図9に示すように、検出タイミングの到来以降、各変更値R'(I)は、図9に示すように各補正量R(I)と各補正量R(J)との中間点(R'(3)、R'(4)・・・R'(8))になる。即ち、ライン番号(I)の走査ラインの書き出しタイミングを、一定書き出しタイミングW1(I)に対して補正量R(I)と補正量R(J)との和の半分だけずらしたタイミングに補正するのである。
その後、補正量R(I)と補正量R(J)との差が所定値D内になると(S23:YES)、S25で第1ラインカウンタ(I)に基づき指定する補正量R(I)を、第2ラインカウンタ(J)に基づき指定する補正量R(J)に移行させる。これ以降、第1ラインカウンタ(I)と第2ラインカウンタ(J)とは同じ値となり、図9に示すように、変更値R' (I)はR(I=J=6)、R(I=J=7)・・・を示すようになる。上述したように第2ラインカウンタ(J)に対応する第2推定位相P2(J)は検出タイミングによって実際の位相に近くなっている。従ってS25の移行を行うことで第1推定位相P1(I)と実際の位相とのずれが蓄積されることを防止できる。しかも、この移行は、補正量R(I)と補正量R(J)との差が所定値D内になった場合であるから、上記移行前後における変更値R'(I)変化の不連続性による画像品質への悪影響を抑制することができる。
(B)検出タイミングの到来後に、第1推定位相が検出点位相に達する場合
演算経過時間が実際の時間よりも遅い場合には、CPU77は、図10に示すように検出タイミングの到来後に、第1推定位相P1(I+1)が検出点位相P1(0)に達したと判断する。この場合、検出タイミング前までは第1ラインカウンタ(I)と第2ラインカウンタ(J)とは同じ値を示し、検出タイミングで第2ラインカウンタ(J)だけが「0」に初期化される。これ以降、各変更値R'(I)は、図10に示すように各補正量R(I)と各補正量R(J)との中間点(R'(0)、R'(1)・・・R'(8))になる。
その後、補正量R(I)と補正量R(J)との差が所定値D内になると(S23:YES)、S25で第1ラインカウンタ(I)に基づき指定する補正量R(I)を、第2ラインカウンタ(J)に基づき指定する補正量R(J)に移行させる。これ以降、第1ラインカウンタ(I)と第2ラインカウンタ(J)とは再び同じ値となり、図10に示すように、変更値R' (I)はR(I=J=9)、R(I=J=10)・・・を示すようになる。
(本実施形態の効果)
(1)例えば図10に示す状況で、検出タイミングの到来時に補正量R(I=HM−3)を一度に検出点位相P(0)に対応する補正量R(I=0)に移行させる構成が考えられる。しかし、この移行前の補正量R(I=HM−3)と移行後の補正量R(I=0)との差が大きいため、走査ライン間隔Bも移行前後で大きく変動し、結局、画像品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
これに対して、本実施形態では、検出タイミングで第1ラインカウンタ(I)に基づく補正量R(I)を、各補正量R(I)と各補正量R(J)との間の変更値R'(I)に変更し、この変更値R'(I)を基にライン番号(I)の走査ラインの書き出しタイミングを補正するようにした。従って、走査ライン間隔Bが移行前後で大きく変動し、画像品質に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
(2)また、検出タイミングの到来前に第1推定位相P1(I+1)が検出点位相P1(0)に達する場合、検出タイミングが到来するまでの間も、第1ラインカウンタ(I)に基づく補正量R(I)を、各補正量R(I)と各補正量R(J)との間の変更値R'(I)に変更し、この変更値R'(I)を基にライン番号(I)の走査ラインの書き出しタイミングを補正するようにした。従って、検出タイミングが到来するまでの間に、第1推定位相P1(I)と駆動ギア63の実際の位相とのずれによる画像品質の悪影響を抑制できる。
(3)更に、検出タイミングの到来後も、第1ラインカウンタ(I)に基づく補正量R(I)を、各補正量R(I)と各補正量R(J)との間の変更値R'(I)に変更し、この変更値R'(I)を基にライン番号(I)の走査ラインの書き出しタイミングを補正するようにした。従って、検出タイミングの到来後に、第1推定位相P1(I)と駆動ギア63の実際の位相とのずれによる画像品質の悪影響を抑制できる。
(4)例えば複数色について共通の変化特性情報に基づき補正等を行う構成も可能であるが、本実施形態のように、各色に独立に補正等を行えば、各色毎の補正量R(I)の変化特性を正確に反映することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、変更値R'(I)は各中間値(各演算式参照)であったが、これに限らず、例えば補正量R(I)と補正量R(J)との間の値であれば中間値でなくてもよい。但し、補正量R(I)と補正量R(J)とがいずれも変動し得る場合に、これらの中間値を変更値とすることが好ましい。
(2)上記実施形態では、検出タイミングでのみエラー判断及びエラー処理(図8のS13,S15)を行う構成としたが、これに限らず、検出タイミング前或いは後に行ってもよい。なお、検出タイミング前に行う構成では、エラーを判断したときに第1ラインカウンタ(I)の値を、検出点位相P(0)に対応するライン番号(0)に設定し、補正量R(I=0)に指定を移行させる。このとき、CPU77は第1移行手段として機能する。
(3)「回転体」には、例えば感光体33以外に、搬送ベルト(ベルト31)、搬送ローラ、転写ベルトが含まれる。
(4)「像」には、静電潜像以外に、現像剤(トナー)像、インク像が含まれる。例えば電子写真方式のプリンタであって、且つ回転体が搬送ベルトや、搬送ローラ、転写ベルトであれば現像剤像であり、インクジェットプリンタやサーマルプリンタであれば回転体が搬送ローラ等であり、上記像がインク像などである。
(5)「補正用パラメータ」は、補正量R(H)ではなく、ライン番号前後の補正量R(H)の差分量ΔR(H)であってもよい。また、駆動ギア63の回転速度(図6の実線グラフG1)であってもよく、この場合、各回転速度から補正量R(H)や補正差分量ΔR(H)を導くことなる。
(6)「変化特性情報」には、複数の補正用パラメータと各位相との対応関係テーブル以外に、複数の補正用パラメータと各位相との対応関係関数情報が含まれる。
(7)「像形成位置を補正する」方法として、上記実施形態では露光タイミングを変更することで像形成位置を補正する構成であった。しかし、露光タイミングを変更せずに、回転体(感光体)の回転速度を変更することで像形成位置を補正する構成であってもよい。
(8)「検出手段」には、上記実施形態では、回転体を駆動する駆動機構(駆動ユニット61)の所定状態(駆動ギア63が検出点位相P(0)に達したこと)を検出することで回転体が検出点位相に達したことを間接的に検出する構成であった。しかし、回転体上の所定点をセンサで検出することで回転体が検出点位相に達したことを直接検出する構成であってもよい。また、検出手段には、透過型に限らず、駆動ギア63の所定箇所に反射マークを設けてその反射マークからの反射光に基づき検出点位相を検出する反射型の光学センサであってもよい。その他に、磁気センサや、接触式センサ等であってもよい。
(9)位相を推定する方法として、上記実施形態では内部クロックによる時間カウントに基づき推定する構成としたが、必ずしも内部クロックのカウントによる必要はない。例えば、LED露光装置23の光走査の走査ライン数(或いはドット数)をカウントし、この走査ライン数(或いはドット数)及び基点位相の設定タイミングに基づき上記他の位相を推定する構成であってもよい。但し、この構成に比べて上記実施形態の構成の方が正確に位相を推定できる。
(10)「画像形成装置」として、上記実施形態ではLEDプリンタを示したが、これ以外の電子写真方式のプリンタ(例えばレーザプリンタ)にも適用できる。また、直接転写方式でなくても、例えば中間転写方式のプリンタ等にも適用することができ、さらにはインクジェット方式やサーマル方式のプリンタにも適用することができる。また、着色剤を2色、3色或いは5色以上有するプリンタであってもよい。
(11)変化特性情報は、複数色で共通としてもよい。例えば上記実施形態では、駆動モータ71を基準に前後方向で対称の位置にある駆動ギア63同士の回転速度変動は、ほぼ正負が逆転した形状になる。従って、どちらか一方の変化特性情報のみを有して、他の方の補正量は上記一方の変化特性情報から導く構成であってもよい。
(12)上記実施形態では、内部クロックを個別にカウントすることにより感光体33の各位相を推定する構成としたが、これに限らず、各補正用パラメータを単に一律の時間間隔で順次指定していく構成であってもよい。但し、上記実施形態のように、基点位相を基準として位相を推定し、その推定位相に対応する補正用パラメータを順次指定していくようにすれば、上記構成に比べて、回転体の実際の位相により適した補正用パラメータを指定することができる。
本発明の一実施形態に係るプリンタの概略構成を示す側断面図 駆動ユニットの内部構造を簡略化して示した斜視図 プリンタの電気的構成を示すブロック図 1周期ライン数、被記録媒体ライン数と被記録媒体との関係を説明するための模式図 理想的なタイミングと実際のタイミングとの相対的なずれ量を示すタイムチャート 相対的なずれ量及び補正量の変化特性を示すグラフ NVRAM内のデータ構造を示す模式図 補正処理のフローチャート 第1ラインカウンタ及び第2ラインカウンタによって指定される各補正量の変化を示すグラフ(1) 第1ラインカウンタ及び第2ラインカウンタによって指定される各補正量の変化を示すグラフ(2)
符号の説明
1…プリンタ1(画像形成装置)
7…被記録媒体
23…LED露光装置(画像形成手段)
25…プロセス部(画像形成手段)
33…感光体(回転体、担持体)
73…原点センサ(検出手段)
77…CPU(計時手段、第1指定手段、第2指定手段、判断手段、補正手段、第1移行手段、第2移行手段、第3移行手段、変更手段)
83…NVRAM(記憶手段)
D…所定値
R(H)…補正量(補正用パラメータ)
R(I)…補正量(指定パラメータ)
R(J)…補正量(補正用パラメータ)
P(0)…検出点位相

Claims (12)

  1. 回転体を有し、当該回転体に、或いは、前記回転体の回転に伴って移動する被記録媒体に像を形成する画像形成手段と、
    前記回転体の位相に応じた補正用パラメータの変化特性情報が記憶される記憶手段と、
    基点位相を基準として前記回転体の位相を推定し、この推定された第1推定位相に対応する補正用パラメータを、前記変化特性情報に基づき指定する第1指定手段と、
    前記第1指定手段に指定された補正用パラメータである指定パラメータに基づき前記回転体或いは前記被記録媒体に対する像形成位置を補正する補正手段と、
    前記回転体の位相が検出点位相に達したことを検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出タイミングに、前記指定パラメータの値を、当該指定パラメータと前記検出点位相に対応する補正用パラメータである基準パラメータとの間の値に変更し、この変更値に基づき前記補正手段に前記像形成位置を補正させる変更手段と、を備える画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置であって、
    計時手段を備え、前記第1指定手段は、前記計時手段の計時時間に基づき前記回転体の位相を推定する構成である。
  3. 請求項1または請求項2に記載の画像形成装置であって、
    前記変更手段は、前記検出タイミング前に前記第1推定位相が前記検出点位相に達する場合、当該検出タイミングが到来するまで、前記指定パラメータの値を、当該指定パラメータと前記基準パラメータとの間の値に変更し、この変更値に基づき前記補正手段に前記像形成位置を補正させる構成である。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
    前記検出タイミングでの前記変更値は、前記指定パラメータと前記基準パラメータとの間の中間値である。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
    前記第1推定位相と前記検出点位相とのずれ量が基準量以上かどうかを判断する判断手段と、
    前記判断手段が前記ずれ量が前記基準量以上であると判断した場合には、前記検出点位相を前記基点位相として設定し、前記第1指定手段の指定先を当該検出点位相に対応する補正用パラメータに移行させる第1移行手段と、を備える。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
    前記検出タイミング及び前記検出点位相を基準として前記回転体の位相を推定し、この推定された第2推定位相に対応する補正用パラメータを、前記変化特性情報に基づき指定する第2指定手段を備え、
    前記変更手段は、前記検出タイミング後、前記第1推定位相に対応する補正用パラメータと前記第2推定位相に対応する補正用パラメータとの間の値に変更し、この変更値に基づき前記補正手段に前記像形成位置を補正させる構成である。
  7. 請求項6に記載の画像形成装置であって、
    前記第1推定位相に対応する補正用パラメータと前記第2推定位相に対応する補正用パラメータとの差が所定値内になった場合に、前記第2推定位相を前記基点位相として設定し、前記第1指定手段の指定先を当該第2推定位相に対応する補正用パラメータに移行させる第2移行手段と、を備える。
  8. 請求項6または請求項7に記載の画像形成装置であって、
    前記検出タイミングでの前記変更値は、前記第1推定位相に対応する補正用パラメータと前記第2推定位相に対応する補正用パラメータとの間の中間値である。
  9. 請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
    前記第1推定位相と前記第2推定位相とのずれ量が基準量以上かどうかを判断する判断手段と、
    前記検出タイミングにて前記判断手段が前記ずれ量が前記基準量以上であると判断した場合には、前記第2推定位相を前記基点位相として設定し、前記第1指定手段の指定先を当該第2推定位相に対応する補正用パラメータに移行させる第3移行手段と、を備える。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
    前記画像形成手段は、カラー画像とモノクロ画像とを形成可能であり、
    前記補正手段は、前記カラー画像を形成する場合に前記補正を行い、前記モノクロ画像を形成する場合には前記補正を行わない。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
    前記画像形成手段は、複数色それぞれに対応した複数の前記回転体を有し、当該各回転体に、或いは、当該各回転体の回転に伴って移動する被記録媒体にそれぞれ像を形成してカラー画像を形成する構成であり、
    前記記憶手段には前記各回転体に対応した複数の前記変化特性情報が記憶され、
    前記各色に対応する像形成ごとに、前記指定手段、補正手段及び変更手段による動作を独立に実行させる。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
    前記回転体は、現像剤像を直接、或いは被記録媒体を介して間接的に担持する担持体である。
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