JP6112717B2 - ジチエノゲルモール骨格を有する有機ヘテロ高分子およびその製造方法 - Google Patents

ジチエノゲルモール骨格を有する有機ヘテロ高分子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジチエノゲルモール骨格を有する新規な有機ヘテロ高分子(又は有機金属高分子)およびその製造方法に関する。
金属フタロシアニンに代表される有機金属化合物は、その有機分子−金属間の結合により、特異な電子状態や非常に安定な分子構造を形成するものが多い。これらの特徴により、古くから有機顔料などとして用いられてきた。
近年では、熱・光や電場など外部エネルギーに対する応答性から、電子写真方式のプリンターの感光材、CD−Rなどの記録媒体などのエレクトロニクス分野への利用が広まっている。例えば、最近では、有機金属化合物の有機半導体としての機能が注目され、有機トランジスタや有機薄膜太陽電池への利用が検討されている。有機半導体を用いた電子デバイスは、印刷により作製できるため、無機系デバイスに比べて、より安価に大量生産できると期待されている。
しかし、従来の有機金属化合物は溶剤に不溶又は難溶であるものが多く、その成膜は主に真空蒸着法で行っているため、作製した電子デバイスは高価である。
このような中、有機金属化合物由来の構造を有する高分子も開発されつつある。例えば、特開2012−162514号公報(特許文献1)には、芳香環骨格を有する特定のジハロゲン化物と、このジハロゲン化物とカップリング可能な特定の置換基(ボロン酸基など)を2つ有するジチエノゲルモール化合物とを、貴金属錯体存在下で反応させることにより、下記式で表されるジチエノゲルモール重合体が得られることが記載されている。
(式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、Arは置換基を有してもよい2価の芳香環と、芳香環数2〜7の置換基を有してもよい2価の多核芳香環と、置換基を有してもよい2価の芳香環及び/又は芳香環数2〜7の置換基を有してもよい2価の多核芳香環を複数連結させた2価のアリーレン基とから選ばれる何れかであり、nは少なくとも2の正数)
そして、この文献には、上記式のArのうち、置換基を有してもよい2価の芳香環の具体例として、以下の基を例示している。
しかし、この文献のポリマーでは、吸収波長が比較的短波長であったり、エネルギーバンドギャップが比較的大きいため、太陽光のエネルギー吸収や導電性(起電力)の点で十分でなかったり、また、バンドギャップの調整が難しいなど、改善すべき点があった。
また、多核芳香環の導入により、溶剤溶解性が低くなり、透明な膜を形成しがたい、また、多量の溶剤が必要となるなどの成形品(フィルムなど)作成上の問題も生じうる。
さらに、この文献の方法では、原料の入手が困難であったり、合成手法が煩雑であるなど、効率よくポリマーを得ることが困難である。
特開2012−162514号公報(特許請求の範囲、段落[0030]〜[0038])
従って、本発明の目的は、ジチエノゲルモール骨格を有する新規な有機ヘテロ高分子(又は有機金属高分子)およびこのヘテロ高分子を含む組成物(又はコーティング組成物)を提供することにある。
本発明の他の目的は、優れた特性(導電性、発光特性、溶剤溶解性など)を有する新規な有機ヘテロ高分子およびこのヘテロ高分子を含む組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記のような有機ヘテロ高分子を、効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、コーティングなどの簡便な方法により成膜可能な有機ヘテロ高分子組成物(コーティング組成物)を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、主鎖に、ジチエノゲルモール骨格と特定の5員環単位又はジエン単位とを組み合わせて有する高分子(共役系高分子)が、優れた特性(例えば、導電性、発光特性、溶剤溶解性など)を有していること、また、このような高分子は、比較的高分子量であるにもかかわらず、特定のチタン錯体を利用して、効率よく(さらには容易に)合成できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の有機ヘテロ高分子は、下記式(1)又は(2)
(式中、Mは、周期表14族元素、15族元素、および16族元素から選択されたヘテロ原子を示し、
およびRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロ原子、又は錯形成した金属原子を示し、
は単結合又は二重結合を示し、
m1およびm2はそれぞれ0又は1を示し、
及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は−Z−R(式中、Zは周期表14族元素、15族元素、16族元素、スルフィニル基又はスルホニル基を示し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、又はヘテロアリールアルキル基を示す)を示し、
及びRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基を示す。)
で表される繰り返し単位を有する有機ヘテロ高分子である。
なお、上記式(1)において、Mが硫黄原子であるとき、特に、m1及び/又はm2が1であってもよい。
上記式(1)において、下記式(A)
(式中、R、R、m、mは前記に同じ。)
で表されるユニットは、例えば、下記式(A1)〜(A6)
(式中、Mは周期表15族元素、Mは周期表14族元素、15族元素又は16族元素、Mは周期表16族元素、Mは周期表16族元素を示し、R1a及びR1bは同一又は異なってハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、R2a及びR2cは同一又は異なって周期表16族元素を示し、R2bは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は錯形成した金属原子を示す。)
で表されるユニットのいずれかであってもよい。
代表的には、上記式(A1)〜(A6)において、MがP、As、Sb又はBiであり、MがSi、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、Se又はTeであり、MがSe、又はTeであり、MがS、Se又はTeであり、R1aがアルキル基又はアリール基であり、R1bがハロゲン原子、アルキル基又はアリール基であり、R2aがO、S、Se又はTeであり、R2bがハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は錯形成した周期表11族元素であり、R2cがOであってもよい。
特に、前記式(1)において、Mは非硫黄元素(特に、周期表第14族元素又は15族元素)であってもよい。具体的な非硫黄元素としては、例えば、周期表14族元素(例えば、Si,Ge,Sn,Pb)、周期表15族元素(例えば、P,As,Bi,Sbなど)などが挙げられる。このようなMは、効率よく吸収波長を長波長側にシフトできるなど、硫黄(S)である場合に比べて、優位である場合が多い。
また、前記式(2)において、下記式(B)
(式中、RおよびRは前記と同じ。)
で表されるユニットは、例えば、下記式(B1)又は(B2)
(式中、R3aおよびR4aは、同一又は異なって水素原子又はハロゲン原子(特に、Br,I)を示し、Zは、周期表16族元素、スルフィニル基又はスルホニル基を示し、R5aは、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)
で表されるユニットであってもよい。
代表的には、上記式(B1)又は(B2)において、R3aおよびR4aが、同一又は異なって水素原子、臭素原子(Br)、又はヨウ素原子(I)であり、ZがS、Se、スルフィニル基又はスルホニル基であり、R5aがアルキル基又はアリール基であってもよい。
また、前記式(1)および(2)において、RおよびRは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であってもよく、特に、C4−20アルキル基、C4−20アルコキシ基、又はC4−20アルキルチオ基であってもよい。
本発明の有機ヘテロ高分子の数平均分子量は、例えば、1×10〜1×10程度であってもよい。本発明の有機ヘテロ高分子は、特に、有機半導体を形成するための有機ヘテロ高分子であってもよい。
本発明には、有機ヘテロ高分子を製造する方法であって、下記式(3)
(式中、RおよびRは前記と同じ。)
で表される化合物(ジエチニル化合物)と、エチレン性不飽和結合を有する化合物を配位子とするチタン錯体とを反応させて、前駆体として、下記式(I)
(式中、LおよびLは同一の又は異なる配位子を示し、RおよびRは前記と同じ。)
で表される繰り返し単位を有する高分子を得る工程を含む製造方法も含まれる。
チタン錯体は、アルケンを配位子とするチタン錯体(例えば、プロピレンを配位子とするジアルコキシチタン)であってもよい。
本発明には、前記有機ヘテロ高分子と、有機溶媒とを含む組成物(有機半導体形成用組成物)も含まれる。
また、本発明には、前記有機ヘテロ高分子で形成された有機半導体も含まれる。さらに、本発明には、基材の少なくとも一方の面に前記組成物を塗布して乾燥し、有機半導体を形成する有機半導体の製造方法も含まれる。
また、本発明には、前記有機ヘテロ高分子で形成された有機半導体を含む電子デバイスも含まれる。このような電子デバイスは、例えば、光電変換素子、スイッチング素子及び整流素子から選択された一種であってもよい。
なお、本明細書中、「有機ヘテロ高分子」とは、硫黄、窒素、酸素、リンなどのヘテロ原子だけでなく、ヘテロ金属原子を含む高分子を意味する。そのため、「有機ヘテロ高分子」を有機金属高分子という場合もある。
本発明では、ジチエノゲルモール単位(骨格)と、ヘテロ原子を含む5員芳香族性環又はジエン単位(骨格)とが結合(共役結合π−電子共役結合)した構造を有する新規な高分子(有機ヘテロ高分子)が得られる。
このような有機ヘテロ高分子は、種々の優れた特性(発光特性、導電性又は半導体特性、溶剤溶解性など)を有しており、種々の用途において適用可能である。例えば、本発明の有機ヘテロ高分子には、半導体特性を有するものも含まれ、比較的分子量が大きいにも拘わらず導電性(キャリア移動度)が高い。そのため、高分子有機半導体を形成するのに有用である。特に、本発明の有機ヘテロ高分子では、バンドギャップを比較的小さくすることができ、導電性や起電力を効率よく向上できるため、有機半導体として好適である。
また、本発明の有機ヘテロ高分子には、発光特性を有するものが含まれる。そのため、発光材料などとしても使用可能である。特に、本発明の有機ヘテロ高分子では、吸収波長を比較的長波長とすることが可能(長波長シフトが可能)であり、太陽光のエネルギーを吸収しやすい。そのため、前記のような有機半導体特性と相まって、太陽電池を形成するための有機ヘテロ高分子としても好適である。
なお、側鎖にアルキル鎖などを導入すると、有機溶媒に対する溶解性をさらに向上できる。そのため、有機ヘテロ高分子をコーティング組成物とし、コーティングなどの簡便な方法により成膜可能である。さらに、ヘテロ原子の種類などを代えることで、吸収波長やバンドギャップの調整(例えば、長波長側へシフトさせる、バンドギャップを小さくするなど)を容易に行うことができる。
また、本発明の方法によれば、上記のような有機ヘテロ高分子を、効率よく(さらには容易に)製造(又は合成)できる。そのため、本発明の方法は、極めて実用性に優れている。
図1は、実施例1で得られたポリマー(溶液、フィルム)および実施例2で得られたポリマー(溶液、フィルム)の紫外−可視吸収スペクトル(UV−visスペクトル)の測定結果を示すグラフである。
[有機ヘテロ高分子]
本発明の有機ヘテロ高分子は、下記式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有している。
(式中、Mは、周期表14族元素、15族元素、および16族元素から選択されたヘテロ原子を示し、R、R、R、R、R、Rは、置換基(水素原子を含む)を示し、
は単結合又は二重結合を示し、
m1およびm2はそれぞれ0又は1を示す。)
すなわち、式(1)で表される繰り返し単位は、下記式(A)で表されるユニット(単位、構造単位、骨格)と、下記式(C)で表されるユニット(単位、構造単位、骨格)とを有する。
(式中、R、R、m、mは前記に同じ。)
(式中、R、Rは前記に同じ。)
また、式(2)で表される繰り返し単位は、下記式(B)で表されるユニット(単位、構造単位、骨格)と、前記式(C)で表されるユニット(単位、構造単位、骨格)とを有する。
(式中、RおよびRは前記と同じ。)
以下、式(1)、式(2)又はそれぞれのユニットについて詳細に説明する。
式(1)又は式(A)において、Mは、周期表14族元素(例えば、Si、Ge、Sn、Pb)、15族元素(例えば、N、P、As、Sb、Bi)、16族元素(例えば、S、Se、Te)から選択された元素(ヘテロ原子)である。これらの元素Mのうち、周期表14族元素では、例えば、Ge、Snなど(特にSn)が好ましく、15族元素では、例えば、P、As、Sb、Biなど(特にP)が好ましく、16族元素では、例えば、S、Se、Teが好ましい。Mは、吸収波長の長波長化や低バンドギャップの観点から、非硫黄元素(14族元素、15族元素、Se,Teなど)が好ましく、特に、14族元素又は15族元素であるのが好ましい。
これらの元素(ヘテロ原子)の原子価は、元素(ヘテロ原子)の種類に応じて、適宜選択でき、例えば、2〜6価、好ましくは3〜5価であってもよい。特に周期表14族元素(例えば、Sn)は4価である場合が多く、15族元素(例えば、P)は3〜5価である場合が多く、周期表16族元素(例えば、S、Se、Te)は2〜6価である場合が多い。なお、MがS(硫黄原子)であるとき、特に、3価以上(例えば、4価、6価など)あってもよい。
式(1)において、RおよびRとしては、例えば、ハロゲン原子[例えば、F(フッ素原子)、Cl(塩素原子)、Br(臭素原子)、I(ヨウ素原子)など]、炭化水素基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基など)、ヘテロアリール基を含む基[例えば、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基が炭化水素基に置換した基(例えば、ヘテロアリールアルキル基など)など]、ヘテロ原子、配位子と錯体を形成した金属原子などが挙げられる。
アルキル基(直鎖状又は分岐鎖状アルキル基)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。アルキル基は、代表的には、C1−20アルキル基(例えば、C1−12アルキル基)、好ましくはC1−10アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、さらに好ましくはC1−4アルキル基、特にC1−2アルキル基であってもよい。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのC3−10シクロアルキル基などが例示できる。好ましいシクロアルキル基は、C5−8シクロアルキル基である。
アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)が置換していてもよいC6−12アリール基などが例示できる。好ましいアリール基には、フェニル基などのC6−10アリール基が含まれる。
アラルキル基(アリールアルキル基)としては、前記例示のアリール基とアルキル基とを組み合わせた基、例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリールC1−4アルキル基などが例示できる。
ヘテロアリール基としては、例えば、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含む5員複素環基(例えば、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、フリル基など)、硫黄原子、窒素原子及び酸素原子から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含む6員複素環基(ピリジル基、ピラジル基など)、これらの5員又は6員複素環と芳香族炭化水素環(ベンゼン環など)との縮合環基(ベンゾチエニル基、インドリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフリル基、キノリル基、キノキサリニル基など)などが例示できる。
ヘテロアリール基が炭化水素基に置換した基としては、上記ヘテロアリール基が前記例示の炭化水素基に置換した基、例えば、ヘテロアリールアルキル基(例えば、チエニルエチル基、フリルエチル基などの5員又は6員ヘテロアリールC1−4アルキル基など)が例示できる。
なお、RおよびRにおいて、炭化水素基(例えば、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基など)およびヘテロアリール基を含む基は、無置換の基であってもよく、さらに置換基を有する基であってもよい。このような置換基としては、本発明の効果を害しない限り特に限定されないが、例えば、炭化水素基(アルキル基などの前記例示の炭化水素基など)、ハロゲン原子(塩素原子などの前記例示の基)、エーテル基{例えば、アルコキシ基[例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などの前記例示のアルキル基が酸素原子に結合したアルコキシ基(例えば、C1−20アルコキシ基など)など]など}、チオエーテル基{例えば、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基などの前記例示のアルキル基が硫黄原子に結合したアルキルチオ基(例えば、C1−20アルキルチオ基など)など]など}、アシル基[例えば、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基などのC1−10アルキルカルボニル基)などの前記例示の炭化水素基とカルボニル基とが結合したアシル基など]、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などの前記例示のアルコキシ基とカルボニル基とが結合したアルコキシカルボニル基)などが含まれる。なお、置換基の数は、炭化水素基やヘテロアリール基を含む基の種類などに応じて適宜選択でき、例えば、1〜10(例えば、1〜6)、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2などであってもよい。
ヘテロ原子としては、例えば、周期表11族元素(例えば、Cu、Ag、Au)、周期表16族元素(例えば、O、S、Se、Te)などが挙げられる。これらのヘテロ原子(ヘテロ金属原子など)のうち、周期表16族元素(例えば、O、S、Se、Te)などが好ましい。なお、周期表16族元素などは、Mと多重結合を形成して結合し(例えば、=O、=S、=Se、=Teなどの二重結合)、周期表11族元素などは、Mと単結合を形成して結合していてもよい。なお、MがSであるとき、ヘテロ原子はS以外の原子(例えば、Oなど)であってもよい。
配位子と錯体を形成した金属原子(錯形成した金属原子)において、金属原子としては、例えば、周期表11族元素(例えば、Cu、Ag、Auなど)などの遷移金属元素(原子)などが含まれる。これらのうち、周期表11族元素(例えば、Ag、Auなど、特にAu)などが好ましい。また、配位子としては、例えば、酸素原子、ハロゲン原子(又はハロ、塩素、臭素などの前記例示の基)、OH(ヒドロキソ)、HO(アコ)、CO、CN、メトキシ基などのアルコキシ基、アセチル基、メトキシカルボニル(アセタト)基、アセチルアセトナト基、シクロペンタジエニル基、ピリジン、ホスフィン、ハロゲンなどが挙げられる。なお、錯形成した金属原子は、Mと、単結合又は多重結合のいずれで結合していてもよい。代表的な錯形成した金属原子としては、周期表11族元素が配位子と錯形成した金属原子[例えば、−AuX(式中、Xはハロゲン原子)などのハロゲン原子を配位子として有する周期表11族元素]などが挙げられる。
代表的なRおよびRには、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ原子(例えば、O、Sなどの周期表16族元素)、錯形成した金属原子などが含まれる。
式(1)又は式(A)において、m1およびm2は、それぞれ同一又は異なって0又は1である。m1とm2との合計は、Mの種類などに応じて選択でき、0〜2のいずれであってもよい。すなわち、元素(ヘテロ原子)Mの価数に応じて、m1=0及びm2=0(例えば、MがSe、Teなどの周期表16族元素である場合など)、m1=1及びm2=0(例えば、MがP、Biなどの周期表15族元素又は16族元素、特に周期表15族元素である場合)、m1=0及びm2=1(例えば、Sなどの周期表15族元素又は16族元素、特に周期表16族元素である場合など)、m1=1及びm2=1(例えば、Sn、P、S、Teなどの周期表14〜16族元素である場合)のいずれであってもよい。
なお、MがS(硫黄原子)であるとき、m1およびm2の少なくとも一方が1であってもよい。
式(A)で表されるユニットは、代表的には、下記式(A1)〜(A6)のいずれかで表されるユニットであってもよい。
(式中、Mは周期表15族元素(特に、P、As、Sb、Bi)、Mは周期表14族元素、15族元素又は16族元素(特に、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、Se、Teなど)、Mは周期表16族元素(特にSe、Teなどの非硫黄元素)、Mは周期表16族元素(特に、S、Se、Teなど)を示し、R1aはハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基(好ましくはアルキル基又はアリール基、特にアリール基)を示し、R1bはハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基(好ましくはハロゲン原子、アルキル基又はアリール基)を示し、R2aは周期表16族元素(特に、O、S、Seなど)を示し、R2bは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は錯形成した金属原子(好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は錯形成した金属原子(錯形成した周期表11族元素など))を示し、R2cは周期表16族元素(特にOなど)を示す。)
なお、上記式(A1)〜(A6)において、R1aおよびR1bはRに、R2a、R2bおよびR2cはRに、それぞれ対応し、好ましい態様もRおよびRの項で記載した通りである。
なお、以下の表1に、前記式(A)で表されるユニットにおいて、M(元素の種類、価数)、R、m、R、およびmの組み合わせの一例を示す。
式(2)又は式(B)において、R及びRとしては、例えば、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、−Z−R[式中、Zは周期表14族元素、15族元素、16族元素、スルフィニル基(−SO−)又はスルホニル基(−SO−)を示し、Rは炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの前記Rの項で例示の炭化水素基など)、ヘテロアリール基を含む基(例えば、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基などの前記Rの項で例示のヘテロアリール基を含む基など)を示す。]、−SOR(式中、Rは前記と同じ)などが挙げられる。
Zにおいて、周期表14〜16族元素としては、前記例示の元素が挙げられる。特に、Zは、周期表16族(又は6B族)元素[例えば、S、Se、Te(例えば、S、Se)]又はスルフィニル基であってもよい。また、Rにおいて、炭化水素基、ヘテロアリール基を含む基は、前記Rの項で例示の炭化水素基などが挙げられる。特に、Rはアリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)であってもよい。
なお、Rにおいて、炭化水素基およびヘテロアリール基を含む基は、前記Rの場合と同様に、無置換であってもよく、さらに置換基を有していてもよい。置換基の種類などは前記と同じ態様である。このようなRとしては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を有するアリール基(例えば、アルコキシフェニル基、アルキルチオフェニル基など)などが挙げられる。
代表的なRおよびRには、水素原子、−Z−Rが挙げられる。なお、RおよびRは、同一の又は異なる基であってもよい。
式(B)で表されるユニットは、代表的には、下記式(B1)又は(B2)のいずれかで表されるユニットであってもよい。
(式中、R3aおよびR4aは、同一又は異なって水素原子又はハロゲン原子(特に、Br,I)を示し、Zは、周期表16族元素(特にS、Se)又はスルフィニル基(−SO−)を示し、R5aは、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基(特に、アルキル基又はアリール基)を示す。)
なお、上記式において、R3aはRに、R4aはRに、ZはZに、R5aはRに、それぞれ対応し、好ましい態様は、それぞれ、R、R、Z、Rの項で記載した通りである。なお、2つのZ、2つのR5aは、それぞれ同一又は異なる基であってもよい。
式(1)、式(2)又は式(C)において、R及びRとしては、例えば、ハロゲン原子[例えば、F(フッ素原子)、Cl(塩素原子)、Br(臭素原子)、I(ヨウ素原子)など]、炭化水素基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基など)、エーテル基(例えば、アルコキシ基)、チオエーテル基(例えば、アルキルチオ基など)などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基などが好ましく、特にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基が好ましい。
炭化水素基、エーテル基、チオエーテル基としては、前記Rの項で例示の基が挙げられる。特に、R及びRの種類に応じて、有機ヘテロ高分子の溶媒溶解性などを向上又は改善できる場合がある。このような観点から、例えば、アルキル基は、前記例示の基から選択できるが、特に、比較的炭素数の大きいアルキル基、例えば、C4−20アルキル基(例えば、C4−18アルキル基)、好ましくはC6−16アルキル基、さらに好ましくはC6−14アルキル基などであってもよい。
また、アルコキシ基としては、前記例示のアルコキシ基から選択できるが、同様の理由により、特に比較的炭素数の大きいアルコキシ基、例えば、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などのC4−20アルコキシ基(例えば、C4−18アルコキシ基)、好ましくはC6−16アルコキシ基、さらに好ましくはC6−14アルコキシ基などであってもよい。
さらに、アルキルチオ基としては、前記例示のアルキルチオ基から選択できるが、同様の理由により、特に比較的炭素数の大きいアルキルチオ基、例えば、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基などのC4−20アルキルチオ基(例えば、C4−18アルキルチオ基)、好ましくはC6−16アルキルチオ基、さらに好ましくはC6−14アルキルチオ基などであってもよい。
本発明の有機ヘテロ高分子は比較的分子量が大きいという特色がある。有機ヘテロ高分子の分子量は特に制限されないが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したとき、ポリスチレン換算で、数平均分子量が1×10〜1×10、好ましくは1.3×10〜5×10、さらに好ましくは1.5×10〜2×10(例えば、1.7×10〜1×10)程度であってもよい。
なお、有機ヘテロ高分子は直鎖状である場合が多いものの、必要であれば分岐構造を有していてもよい。
本発明の有機へテロ高分子は、ジチエノゲルモール構造と、ヘテロ元素核を含む5員環構造又はジエン構造とを主鎖に含み、共役系を形成している。また、アルキル基などの側鎖を有する骨格を導入できるため、溶解性を高めることもでき、溶媒可溶性を有している。そのため、塗布(コーティング)により容易に成膜できる。
しかも、本発明の有機ヘテロ高分子は、種々の優れた特性を有している。例えば、主鎖全体に有機−ヘテロ原子(ヘテロ金属原子)結合による特異な電子状態が維持されるためか、半導体特性を有している場合がある。なお、成膜後、主鎖間でスタッキングするためか、分子間の電子移動も容易な構造膜が得られる。また、高分子中にアルキル鎖などがあったとしても、スタッキング方向(縦方向)に対してアルキル鎖が並行に並ぶためか、スタッキングを阻害することがない。そのためか、得られた膜は有機半導体などとして有効に機能する。
[有機ヘテロ高分子の製造方法]
本発明の有機ヘテロ高分子の製造方法は、特に限定されず、前記特許文献1に記載の方法であってもよいが、効率よく製造するためには、本発明の有機ヘテロ高分子の前駆体である特定のチタナシクロペンタジエン骨格を有する高分子を生成し、この高分子を、前記式(1)(又は式(A))又は前記式(2)(又は式(B))で表されるユニットの種類に応じた反応基質と反応させることにより製造するのが好ましい。
すなわち、本発明の製造方法は、下記式(3)で表される化合物(ジエチニル化合物、ジエチニルジチオゲルモール化合物)と、エチレン性不飽和結合を有する化合物を配位子とするチタン錯体とを反応させて、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子(チタナシクロペンタジエン骨格を有する高分子)を前駆体として得る工程(前駆体生成工程)を含む。
(式中、RおよびRは前記と同じ。)
(式中、LおよびLは同一の又は異なる非オレフィン系配位子を示し、RおよびRは前記と同じ。)
式(3)で表される化合物において、RおよびRは、前記式(1)又は(2)における場合と同じであり、好ましい態様もまた同様である。代表的な化合物としては、3,6−ジエチニル−1,1’−ジアルキルジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール{例えば、3,6−ジエチニル−1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモールなどの3,6−ジエチニル−1,1’−ジC1−20アルキルジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール、好ましくは3,6−ジエチニル−1,1’−ジC4−20アルキルジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモールなど}などが挙げられる。
なお、式(3)で表される化合物は、市販品を用いてもよく、合成したものを用いてもよい。例えば、式(3)で表される化合物に対応するジハロゲン化物[すなわち、式(3)において、エチニル基がハロゲン原子(例えば、臭素、ヨウ素など)に置換した化合物]と、トリアルキルシリルアセチレンとを、適当な触媒{例えば、パラジウム化合物(例えば、塩化パラジウム(PdCl)などのPd(II)化合物)と、ホスフィン化合物(例えば、トリフェニルホスフィンなど)と、銅化合物[例えば、銅ハロゲン化物(例えば、ヨウ化銅(I)などのハロゲン化銅(I))など]とを組み合わせた触媒}の存在下で反応させて、式(3)において、エチニル基がトリアルキルシリル基で保護された(又はエチニル基がトリアルキルシリルエチニル基に置換した)化合物を得、この化合物を脱保護(例えば、アルカリによる脱保護)することにより得ることができる。
チタン錯体において、配位子としてのエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、アルケン(例えば、プロピレンなどのC2−10アルケン、好ましくはC3−6アルケン)などが挙げられる。
チタン錯体は、通常、配位子として少なくともエチレン性不飽和結合を有する化合物の他に、他の配位子を有している。他の配位子(非オレフィン系配位子)としては、特に限定されず、例えば、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルコキシ基、好ましくはC1−6アルコキシ基、さらに好ましくはC1−4アルコキシ基など)、アシル基(C1−4アシル基など)、アルコキシカルボニル基(C1−4アルコキシカルボニル基など)、アセチルアセトナト、シクロアルカジエニル基(シクロペンタジエニル基、シクロオクタジエニル基など)、ベンジリデン基、ビニリデン基、ベンジリデンアセトン、ベンジリデンアセチルアセトナト、ベンジリデンアセトフェノン、シクロアルカジエン(シクロオクタジエンなど)、芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、シメン、クメン、キシレン、ナフタレンなど)、ハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、HO(アコ)、ホスフィン(トリフェニルホスフィンなど)、ホスファイト(トリフェニルホスファイトなど)、NH(アンミン)、NO、NO(ニトロ)、NO(ニトラト)、含窒素有機化合物、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)などが挙げられる。
好ましい他の配位子には、アルコキシ基などが含まれ、特に分岐アルコキシ基(例えば、イソプロポキシ基など)が好ましい。これらの他の配位子は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
チタン錯体において、チタンの価数は、2〜6価であってもよいが、通常低原子価(2又は3価)、特に2価であってもよい。
代表的なチタン錯体としては、下記式(4)で表される錯体(チタン錯体、チタン化合物)が含まれる。
(式中、Rは水素原子又はアルキル基、LおよびLは配位子を示す。)
上記式(4)において、アルキル基Rとしては、メチル基、エチル基などのC1−10アルキル基(例えば、C1−5アルキル基、好ましくはC1−3アルキル基、さらに好ましくはC1−2アルキル基)などが挙げられる。また、LおよびLとしては、前記例示の他の配位子、例えば、アルコキシ基などが挙げられる。
なお、チタン錯体は、予め合成したものを用いてもよく、反応系において合成して(生成せて)もよい。例えば、チタン錯体は、テトラアルコキシチタン(テトライソプロポキシチタン(Ti(OPr)など)とアルキルマグネシウムハライド(イソプロピルマグネシウムクロリド(PrMgCl)など)とを反応させることにより生成できる。なお、アルキルマグネシウムハライドの使用量は、テトラアルコキシチタンに対して、1.5〜2.5当量程度である。
式(3)で表される化合物とチタン錯体との反応において、これらの割合(使用割合)は、特に限定されず、例えば、前者/後者(モル比)=0.5/1〜2/1、好ましくは0.6/1〜1.7/1、さらに好ましくは0.8/1〜1.5/1程度であってもよい。
式(3)で表される化合物とチタン錯体との反応は、不活性溶媒[エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル)など]中で行ってもよい。また、反応は、不活性雰囲気(アルゴン気流など)下であってもよく、反応温度は、例えば、−100℃〜−20℃(例えば、−90℃〜−30℃)程度であってもよい。
以上のようにして、有機ヘテロ高分子の前駆体(すなわち、前記式)が得られる。そして、有機ヘテロ高分子は、この前駆体と、前記式(A)又は(B)で表されるユニットの種類に応じた反応基質と反応させたり、前記前駆体を分解することなどにより得ることができる。
例えば、前記式(1)において、m1=1、m2=0である有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(A1)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)は、下記式のように、前駆体(I)と、ヘテロ原子M(例えば、M)およびR(例えば、R1a)を有するハロゲン化物とを反応させることで得ることができる。
(式中、X、M、R、R、Rは前記と同じ。)
上記式において、Xは、前記と同じハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など、特に塩素原子又は臭素原子)である。代表的なハロゲン化物(5)としては、例えば、周期表15族元素のジハロゲン化物{例えば、ジハロホスフィン化合物[例えば、アルキルジハロホスフィン、アリールジハロホスフィン(フェニルジクロロホスフィンなど)など]、ジハロビスマス化合物[例えば、アリールジハロビスマス(ジクロロフェニルビスムチン(PhBiCl)、ジブロモフェニルビスムチン(PhBiBr)など)など]など}、周期表16族元素のジハロゲン化物(例えば、アルキルジクロロセレン、アルキルジクロロテルルなど)などのジハロゲン化物;周期表15族元素のトリハロゲン化物(例えば、三塩化ビスマス、三臭化ビスマスなど)などのトリハロゲン化物などが挙げられる。なお、トリハロゲン化物を用いると、Rがハロゲン原子である有機へテロ高分子が得られる。
また、前記式(1)において、m1=1、m2=1であり、Rが単結合でMに結合している有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(A3)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)は、例えば、下記式のように、前駆体(I)とヘテロ原子M(例えば、M)、R(例えば、R1b)およびR(例えば、R2b)を有するハロゲン化物(6)とを反応させるか、前記式(1−1)で表される繰り返し単位を有する有機ヘテロ高分子とR(例えば、R2b)および脱離基を有する化合物(7)とを反応させることで得られる。
(式中、Lは脱離基を示し、X、M、R、R、R、Rは前記と同じ。)
上記式において、化合物(7)の脱離基としては、特に限定されないが、錯形成した配位子(テトラヒドロチオフェンなど)などであってもよい。
代表的な化合物(6)としては、例えば、周期表14族元素のジハロゲン化物{例えば、ジハロスズ化合物[例えば、アルキルスズジハライドなど]などが挙げられる。また、代表的な化合物(7)としては、例えば、ハロゲン化金錯体(例えば、塩化金テトラヒドロチオフェン錯体など)などが挙げられる。
なお、前記式(1)において、m1=1、m2=1であり、Rが単結合でMに結合している有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(A3)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)のうち、RおよびRがいずれもハロゲン原子である有機ヘテロ高分子は、後述の前記式(1)においてm1=m2=0である有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(A4)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)と、RおよびRに対応するハロゲン分子(例えば、臭素分子など)とを反応させることにより得ることもできる。
また、前記式(1)において、m1=1、m2=1であり、R(R2aなど)が二重結合でM(Mなど)に結合している有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(A2)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)は、例えば、前記式(1−1)で表される繰り返し単位を有する有機ヘテロ高分子と、Rに対応する単体(例えば、硫黄、セレン、酸素分子など)とを反応させることで得ることができる。また、Rが酸素(=O)である有機ヘテロ高分子は、反応系中に酸素を存在させることにより、前記式(1−1)で表される繰り返し単位を有する有機ヘテロ高分子の合成時に生成させることもできる。
前記式(1)においてm1=m2=0である有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(A4)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)は、例えば、前駆体(I)と、ヘテロ原子M(Mなど)のハロゲン化物{例えば、周期表16族元素のハロゲン化物[例えば、ハロゲン化硫黄(SClなど)、ハロゲン化セレン(二塩化セレン(SeCl)、四塩化セレン(SeCl)など)、ハロゲン化テルル(例えば、二塩化テルル(TeCl)、四塩化テルル(TeCl)など)など]など}とを反応させることで得ることができる。
また、前記式(1)において、m1=1、m2=1であり、R(R2cなど)が二重結合でM(Mなど)に結合している有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(A6)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)は、例えば、前記式(1)においてm1=m2=0である有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(A4)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)を得たのち、Rに対応する化合物(例えば、酸素)と反応させることで得ることができる。
さらに、前記式(1)において、m1=0、m2=1である有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(A5)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)は、前駆体(I)と、ヘテロ原子M(Mなど)およびRを有する化合物[例えば、塩化チオニル(SOCl)など]とを反応させることで得ることができる。
前記式(2)において、RおよびRが水素原子である有機ヘテロ高分子は、前駆体(I)を分解(酸を用いた分解など)することで得ることができる。
また、前記式(2)において、RおよびRが水素原子である有機ヘテロ高分子は、前駆体(I)を分解(酸を用いた分解など)することで得ることができる。
前記式(2)において、RおよびRがハロゲン原子である有機ヘテロ高分子は、例えば、前駆体(I)と、対応するハロゲン分子(例えば、Iなど)とを反応させることで得ることができる。
また、前記式(2)において、RおよびRが−Z−Rである有機ヘテロ高分子(例えば、前記式(B2)で表されるユニットを有する有機ヘテロ高分子)は、下記式のように、前駆体(I)と、基−Z−Rに対応するハロゲン化物(8)とを反応させることで得ることができる。
(式中、X、Z、R、R、Rは前記と同じ。)
上記式において、代表的な化合物(8)としては、例えば、アレーンスルフェニルハライド(例えば、ベンゼンスルフェニルクロライド(C−S−Cl)など)などのZが周期表16族元素である化合物などが含まれる。
また、Zがスルフィニル基又はスルホニル基である有機ヘテロ高分子は、このようにして得た有機ヘテロ高分子(1−3)を酸化(例えば、酸素酸化)することで得ることができる。
また、前記反応は、いずれも、通常、不活性溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなど)中で行ってもよく、不活性雰囲気(アルゴン気流など)下で行ってもよい。また、反応温度は、例えば、−80℃〜30℃(例えば、−60℃〜室温)程度であってもよい。
反応終了後、慣用の分離精製方法、例えば、濃縮、デカント、再沈殿、クロマトグラフィなどにより所定の有機ヘテロ高分子を得ることができる。
[有機ヘテロ高分子の用途]
有機ヘテロ高分子は、ジチエノゲルモール骨格と、ヘテロ原子を含む5員環又はジエン単位とを有しており、種々の特性を有している。例えば、本発明の有機ヘテロ高分子は、極めて電子移動度が高く、通常、半導体特性を有しており、有機半導体として使用することもできる。また、本発明の有機ヘテロ高分子には、発光特性を有しているものもあり、発光材料などとして使用できる。
さらに、本発明の有機ヘテロ高分子は、上記のような骨格を有するポリマーであるにもかかわらず、通常、有機溶媒に対して可溶であり、取扱性や実用性に優れている。そのため、本発明は有機へテロ高分子と有機溶媒とを含む組成物も包含する。このような組成物は、例えば、有機半導体(特にコーティング(塗布)などにより有機半導体の薄膜)を形成するための組成物などとして有用である。
有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエタンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、ピロリドン類(例えば、2−ピロリドン、3−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなど)などが例示できる。これらの有機溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
溶媒の使用量は、塗布性及び成膜性を損なわない範囲から選択でき、例えば、有機へテロ高分子の濃度は、0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜20重量%(例えば、0.1〜10重量%)程度であってもよい。
本発明の組成物は、慣用の方法、例えば、有機へテロ高分子と有機溶媒とを混合して有機へテロ高分子を溶解し、必要によりろ過して調製してもよい。
有機半導体は、基材又は基板(ガラス板、シリコンウエハー、耐熱プラスチックフィルムなど)に前記組成物を塗布する工程と、塗膜を乾燥して溶媒を除去する工程とを経て製造してもよい。なお、塗布方法としては、慣用の塗布方法、例えば、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレー法、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などが例示できる。
塗膜(有機半導体など)の厚みは、用途に応じて適宜選択され、例えば、1〜5000nm、好ましくは30〜1000nm、さらに好ましくは50〜500nm程度であってもよい。
なお、有機半導体はn型半導体、p型半導体であってもよく、真性半導体であってもよい。本発明の有機ヘテロ高分子(有機半導体)は、光電変換能を有し、例えば、光吸収により発生した電子及びホールの移動度を高め、光電変換率を向上できる。そのため、本発明の有機半導体は、光電変換デバイス又は光電変換素子(太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子など)、整流素子(ダイオード)、スイッチング素子又はトランジスタ[トップゲート型、ボトムゲート型(トップコンタクト型、ボトムコンタクト型)など]などの用途に適する。
代表的なデバイスとして、太陽電池は、pn接合型半導体に表面電極が積層された構造を有している。例えば、p型シリコン半導体に有機半導体膜を積層して、この有機半導体膜に透明電極(ITO電極など)を積層することにより、太陽電池を形成できる。このような太陽電池では、高い開放電圧及び短絡電流を得ることができる。
また、有機ELは、透明電極(ITO電極など)に、有機ヘテロ高分子(発光性高分子)に必要に応じて電子輸送性材料、ホール輸送性材料を分散させた発光層を形成し、この発光層に電極(金属電極など)を積層した構造が例示できる。
さらに、有機薄膜トランジスタは、ゲート電極層と、ゲート絶縁層と、ソース/ドレイン電極層と、有機半導体層とで構成されている。これらの層の積層構造によって、有機薄膜トランジスタは、トップゲート型、ボトムゲート型(トップコンタクト型、ボトムコンタクト型)に分類できる。例えば、ゲート電極(酸化膜が形成されたp型シリコンウエハーなど)に有機半導体膜を形成して、この有機半導体膜上にソース・ドレイン電極(金電極)を形成することにより、トップコンタクト型電界効果トランジスタを製造できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(合成例1)
(式中、Rは2−エチルヘキシル基、TMSはトリメチルシリル基を示す。)
アルゴン雰囲気下、ジイソプロピルアミン(10ml)とテトラヒドロフラン(THF)(10ml)を溶媒として、3,6−ジブロモ−1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(0.285g,0.459mmol)、PdCl(0.002g,0.010mmol)、トリフェニルホスフィン(PhP)(0.006g,0.020mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(TMS−≡)(0.14g,1.380mmol)を室温で攪拌し、さらにCuI(0.002g,0.012mmol)を加え12時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)を加え、ジエチルエーテル(20ml)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、黄色オイル状の化合物を収率83%で得た(0.250g,0.382mmol)。得られた化合物は、3,6−ジ(トリメチルシリルエチニル)−1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモールであることを確認した。
H−NMR(300MHz,CDCl,ppm)0.32(s,18H,−Si−(C ),0.76−0.83(m,12H,−C ),1.15−1.31(m,18H,−OCH(C CH)C CH),1.46−1.55(m,−O−C −,4H),7.26(s,2H,aromatic)
そして、続いて、得られた化合物(0.250g,0.382mmol)のTHF溶液(10ml)に1NのKOH−メタノール溶液(10ml)を加え、室温で3時間攪拌することで、脱保護を行った。反応後、希塩酸を加えて中和し、ヘキサン(20ml)にて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製することで目的の化合物{すなわち、3,6−ジエチニル−1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール}を黄色オイル状の化合物として収率79%で得た(0.155g,0.302mmol)。
(実施例1)
アルゴン雰囲気下、合成例1で得られたジエチニル化合物(0.258g,0.500mmol)及びテトライソプロポキシチタン(0.198g,0.700mmol)をシクロペンチルメチルエーテル(20ml)に溶解し、−78℃で攪拌しつつ、イソプロピルマグネシウムクロリドのジエチルエーテル溶液(1.0N,1.25ml,1.25mmol)を加えた。その後、−50℃まで徐々に昇温し、12時間攪拌し、この温度でジクロロフェニルホスフィン(PhPCl)(0.106g,0.600mmol)を加え、室温までゆっくりと昇温し、さらに3時間攪拌した。不溶物を濾過することで除去し、減圧脱気することで溶媒を留去後、ヘキサンに再沈殿を行い、目的の青色のポリマー(下記式で表される繰り返し単位を有するポリマー)を収率67%(0.207g,0.335mmol)で得た。
(式中、Prはイソプロピル基、Phはフェニル基を示し、Rは前記と同じ。)
得られたポリマーのNMRおよびIR解析結果を以下に示す。
H−NMR(300MHz,CDCl,ppm)0.54−1.68(34H,−C −C(C −C )C −C ),6.64−8.91(9H,aromatic)
13C−NMR(75MHz,CDCl,ppm)10.7,10.8,14.1,20.7,22.6,22.9,28.5,28.9,31.6,35.4,36.8,127.6,182.8,129.9,130.9,131.9,133.7,134.0,141.4,143.2,145.4
31P−NMR(122MHz,CDCl,ppm)8.03
IR(ATR,cm−1)3052,2956,2926,2855,1545,1457,1436,1368,1259,1164,1096,1025,966,821,740,692。
得られたポリマーの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、数平均分子量は、ポリスチレン換算で、2000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.6であった。
得られたポリマーについて紫外可視吸収スペクトル測定を行った。まず、ポリマーの塩化メチレン溶液の最大吸光波長λmaxは602nm、λonsetは730nmであり、E opt(バンドギャップ)は1.70eVであった。
得られたポリマーは、容易にフィルム化できたので、フィルムについても紫外可視吸収スペクトルを測定した。まず、得られたポリマーを、スピンコーターによりガラス基板上に塗布したのち、溶媒を蒸発させて塗膜(フィルム)を得た。
そして、得られたフィルムについて、紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、最大吸光波長λmaxは622nm、λonsetは758nmであり、E opt(バンドギャップ)は1.64eVであった。
これらの紫外可視吸収スペクトル(溶液、フィルム)を測定した結果(グラフ)を図1に示す。
さらに、得られたポリマーの電気化学特性に関して、サイクリックボルタンメトリー法により酸化還元電位測定を行った結果、HOMOエネルギー準位(EHOMO)が−4.83eV、LUMOエネルギー準位(ELUMO)が−3.12eVであった。そして、これらの値から算出したバンドギャップ(E)は1.71eVであった。
(実施例2)
実施例1において、ジクロロフェニルホスフィン(PhPCl)(0.106g,0.600mmol)に代えて、ジクロロジフェニルスズ(PhSnCl)(0.205g,0.600mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、目的の紫色のポリマー(下記式で表される繰り返し単位を有するポリマー)を収率53%(0.208g,0.265mmol)で得た。なお、スタンノール骨格は加水分解性を示すため、反応終了後からの精製操作はすべてアルゴン雰囲気下および禁水条件下にて行った。
(式中、Prはイソプロピル基、Phはフェニル基を示し、Rは前記と同じ。)
得られたポリマーのNMRおよびIR解析結果を以下に示す。
H−NMR(300MHz,CDCl,ppm)0.54−1.70(34H,−C −C(C −C )C −C ),6.61−7.85(14H,aromatic)
13C−NMR(75MHz,CDCl,ppm)10.7,10.8,14.1,20.7,22.6,22.9,28.5,28.9,31.6,35.4,36.8,128.7,129.4,130.4,131.8,132.7,135.1,136.0,139.6,141.5,145.6
IR(ATR,cm−1)3047,2958,2923,2858,2358,2343,1734,1578,1458,1431,1364,1259,1088,1073,1022,1011,798,728,649
得られたポリマーの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、数平均分子量は、ポリスチレン換算で、4500であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.6であった。
得られたポリマーについて紫外可視吸収スペクトル測定を行った。まず、ポリマーの塩化メチレン溶液の最大吸光波長λmaxは558nm、λonsetは708nmであり、E opt(バンドギャップ)は1.75eVであった。
得られたポリマーは、容易にフィルム化できたので、フィルムについても紫外可視吸収スペクトルを測定した。まず、得られたポリマーを、スピンコーターによりガラス基板上に塗布したのち、溶媒を蒸発させて塗膜(フィルム)を得た。
そして、得られたフィルムについて、紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、最大吸光波長λmaxは562nm、λonsetは761nmであり、E opt(バンドギャップ)は1.63eVであった。
これらの紫外可視吸収スペクトル(溶液、フィルム)を測定した結果(グラフ)を図1に示す。
さらに、得られたポリマーの電気化学特性に関して、サイクリックボルタンメトリー法により酸化還元電位測定を行った結果、HOMOエネルギー準位(EHOMO)が−4.92eV、LUMOエネルギー準位(ELUMO)が−3.17eVであった。そして、これらの値から算出したバンドギャップ(E)は1.75eVであった。
本発明の有機へテロ高分子は、ジチエノゲルモール単位とヘテロ原子を含む5員環又はジエン単位とを有しており、導電性又は半導体特性、発光特性などの特性を有している。また、上記のような骨格を有するポリマーであるにもかかわらず、溶剤溶解性や成形性(成膜性など)にも優れ、合成も容易である。そのため、極めて実用性又は有用性が高い。このような有機ヘテロ高分子は、種々の用途(例えば、半導体(有機半導体)、発光材料、触媒など)に適用できる。特に、有機半導体(高分子型有機半導体)は、様々なデバイス、例えば、整流素子(ダイオード)、スイッチング素子又はトランジスタ[接合型トランジスタ(バイポーラトランジスタ)、電界効果型トランジスタ(ユニポーラトランジスタ)など]、光電変換素子(太陽電池素子、有機EL素子など)などに利用できる。

Claims (13)

  1. 下記式(1)又は(2)
    (式中、Mは、周期表14族元素、15族元素、および16族元素から選択されたヘテロ原子を示し、
    およびRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロ原子、又は錯形成した金属原子を示し、
    は単結合又は二重結合を示し、
    m1およびm2はそれぞれ0又は1を示し、
    及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は−Z−R(式中、Zは周期表14族元素、15族元素、16族元素又はスルフィニル基を示し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、又はヘテロアリールアルキル基を示す)を示し、
    及びRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基を示す。
    ただし、Mが硫黄原子であるとき、m1及び/又はm2は1である。)
    で表される繰り返し単位を有する有機ヘテロ高分子。
  2. 式(1)において、下記式(A)
    (式中、R、R、m、mは前記に同じ。)
    で表されるユニットが、下記式(A1)〜(A6)
    (式中、Mは周期表15族元素、Mは周期表14族元素、15族元素又は16族元素、Mは周期表16族元素、Mは周期表16族元素を示し、R1a及びR1bは同一又は異なってハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、R2a及びR2cは同一又は異なって周期表16族元素を示し、R2bは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は錯形成した金属原子を示す。)
    で表されるユニットのいずれかである請求項1記載の有機ヘテロ高分子。
  3. 式(A1)〜(A6)において、MがP、As、Sb又はBiであり、MがSi、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、Se又はTeであり、MがSe又はTeであり、MがS、Se又はTeであり、R1aがアルキル基又はアリール基であり、R1bがハロゲン原子、アルキル基又はアリール基であり、R2aがO、S、Se又はTeであり、R2bがハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は錯形成した周期表11族元素であり、R2cがOである請求項2記載の有機ヘテロ高分子。
  4. 式(1)において、Mが非硫黄元素である請求項1〜3のいずれかに記載の有機ヘテロ高分子。
  5. 式(2)において、下記式(B)
    (式中、RおよびRは前記と同じ。)
    で表されるユニットが、下記式(B1)又は(B2)
    (式中、R3aおよびR4aは、同一又は異なって水素原子又はハロゲン原子を示し、Zは、周期表16族元素、スルフィニル基又はスルホニル基を示し、R5aは、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)
    で表されるユニットである請求項1〜4のいずれかに記載の有機ヘテロ高分子。
  6. 式(B1)又は(B2)において、R3aおよびR4aが、同一又は異なって水素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、ZがS、Se、スルフィニル基又はスルホニル基であり、R5aがアルキル基又はアリール基である請求項5記載の有機ヘテロ高分子。
  7. 式(1)および(2)において、RおよびRが、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基である請求項1〜6のいずれかに記載の有機ヘテロ高分子。
  8. 式(1)および(2)において、RおよびRが、C4−20アルキル基、C4−20アルコキシ基、又はC4−20アルキルチオ基である請求項1〜7のいずれかに記載の有機ヘテロ高分子。
  9. 数平均分子量が1×10〜1×10である請求項1〜8のいずれかに記載の有機ヘテロ高分子。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の有機ヘテロ高分子を製造する方法であって、下記式(3)
    (式中、RおよびRは前記と同じ。)
    で表される化合物と、エチレン性不飽和結合を有する化合物を配位子とするチタン錯体とを反応させて、前駆体として、下記式(I)
    (式中、LおよびLは同一の又は異なる配位子を示し、RおよびRは前記と同じ。)
    で表される繰り返し単位を有する高分子を得る工程を含む製造方法。
  11. チタン錯体が、アルケンを配位子とするチタン錯体である請求項10記載の製造方法。
  12. チタン錯体が、プロピレンを配位子とするジアルコキシチタンである請求項10又は11に記載の製造方法。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載の有機ヘテロ高分子と、有機溶媒とを含む組成物。
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