以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略することがある。
(実施の形態1)
本実施の形態は、開示する発明の一態様である酸化物半導体材料について、図1乃至図3および図5を参照して説明する。
本発明の一態様における酸化物半導体材料としては、酸化モリブデンを用いることができる。酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。また、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなど元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることもできる。
上記酸化物半導体材料の酸化モリブデンとしては、三酸化モリブデン(以下、MoO3)と、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(以下、MoOy(2<y<3))とが混合された材料(以下、MoO3+MoOy(2<y<3))を用いることが好ましい。
MoO3+MoOy(2<y<3)は、導電型をp型にすることができる。高濃度のキャリアを有するp型の半導体材料とするには、MoO3+MoOy(2<y<3)の組成におけるMoOy(2<y<3)の混合比率を4%以上とすることが好ましい。
なお、本明細書におけるp型の導電型を有する材料とは、フェルミ準位が伝導帯より価電子帯に近い材料、あるいはp型の導電型のキャリアであるホールを移動することができることを指す材料以外に、n型の導電型を有する材料と接続した際に生じる仕事関数の差によるバンドベンディングによって、電流−電圧(I−V)特性が整流性を示す材料を含むこととする。
上記のMoOy(2<y<3)には、例えば、Mo2O5,Mo3O8、Mo8O23、Mo9O26、Mo4O11、Mo17O47、Mo5O14などや、MoO3中の一部の酸素原子が欠損してMoO2とMoO3の中間的な組成となったものを用いることができる。
MoO3+MoOy(2<y<3)膜は、蒸着法、スパッタ法、またはイオンプレーティング法などの気相法により成膜することができる。蒸着法では、酸化モリブデン材料単体の蒸着、または酸化モリブデン材料と導電型を付与する不純物を共蒸着する方法を用いればよい。共蒸着とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。また、スパッタ法では、酸化モリブデン、モリブデン、またはそれらに導電型を付与する不純物を含む材料をターゲットとし、酸素、または酸素とアルゴンなどの希ガスとの混合ガスをスパッタガスとする方法を用いればよい。また、イオンプレーティング法では、上記スパッタ法と同様の材料を用いて、酸素を含むプラズマ中で膜を形成すればよい。
本実施の形態では、p型の導電型を有するMoO3+MoOy(2<y<3)膜を形成するために、酸化モリブデン材料単体を蒸着する方法を用いる。蒸着源としては、酸化モリブデン粉末を用いることができる。該酸化モリブデン粉末の純度は、99.99%(4N)〜99.9999%(6N)であることが好ましい。成膜は高真空下で行うことが好ましく、真空度が5×10−3Pa以下、より好ましくは1×10−4Pa以下で行う。
例えば、高純度化学研究所社製三酸化モリブデン粉末(4N MOO03PB)をフルウチ化学社製タングステンボート(BB−3)に入れ、1×10−4Pa以下の真空下で、0.2nm/秒の成膜速度でシリコン基板上に抵抗加熱蒸着を行うと、MoO3が約90%、MoOy(2<y<3)が約10%含まれる混合組成のp型の導電型を有するMoO3+MoOy(2<y<3)膜を得ることができる。該膜は、電気伝導度1×10−6〜3.8×10−3S/cm(暗伝導度)、屈折率1.6〜2.2(波長550nm)、消衰係数6×10−4〜3×10−3(波長550nm)、Taucプロットから求めた光学バンドギャップが2.8〜3eVであり、イオン化ポテンシャルは、約6.4eVである。
また、MoO3+MoOy(2<y<3)膜はパッシベーション効果が高く、シリコン表面の欠陥を低減させることができ、キャリアのライフタイムを向上させることができる。
例えば、MoO3+MoOy(2<y<3)膜を抵抗率約9Ω・cmのn型の単結晶シリコン基板の両面に成膜し、パッシベーション膜としたときのμPCD(microwave detected photoconductivity decay)法測定による実効ライフタイムは、約400μsecであることが確かめられている。また、単結晶シリコン基板のバルクライフタイムを指すヨウ素アルコール溶液によるケミカルパッシベーションを行った際のn型の単結晶シリコン基板のライフタイムも約400μsecである。なお、パッシベーション膜を形成しない場合のn型単結晶シリコン基板の実効ライフタイムは、約40μsecである。
また、図5は、上記蒸着法でガラス基板上に形成したMoO3+MoOy(2<y<3)膜および比較例であるプラズマCVD法で形成した非晶質シリコン膜の光吸収係数の比較である。MoO3+MoOy(2<y<3)膜は、広い波長範囲で光吸収係数が小さくなるため、透光性が高いことがわかる。
MoO3+MoOy(2<y<3)に含まれるMoO3と、MoOy(2<y<3)との割合は、例えば、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)にて、内殻準位Mo3dを調べることで判明する。ここで割合とは、MoO3の結合を有するMo元素と、MoOy(2<y<3)の結合を有するMo元素との比率を意味する。
図1は、成膜条件が異なる酸化モリブデン膜を個々にシリコン基板上に成膜したサンプルA乃至サンプルDについて、入射エネルギー1486.6eV(X線源 単色化Al)、取出角45°で測定した内殻準位Mo3d付近のXPSスペクトルである。
モリブデンの内殻準位Mo3d5/2の束縛エネルギーのピーク位置が約227.9eV、二酸化モリブデン(MoO2)のMo3d5/2が約229.6eV、三酸化モリブデン(MoO3)のMo3d5/2が約232.8eVであることが知られている。したがって、XPSのMo3d5/2のピーク位置(ケミカルシフト)により酸化モリブデン膜の組成を特定することができる。
図1に示した全てのサンプルのXPSスペクトルにおいて、Mo3d5/2のピーク位置は232.8eVほどのところにあり、該サンプル全ての主成分は三酸化モリブデン(MoO3)であることがわかる。
また、各サンプルの酸化モリブデン膜には、XPSピーク形状から三酸化モリブデン(MoO3)以外の成分が含まれていることがわかる。各サンプルのスペクトルのピーク分離により、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))の成分が含まれていることが判明している。なお、二酸化モリブデン(MoO2)の成分はほとんど含まれず、約1%以下である。
XPSのピーク強度は、組成、元素密度に比例する。したがって、酸化モリブデン膜に含まれるMoO3と、MoOy(2<y<3)との割合は、MoO3成分を示すピークの積分値とMoOy(2<y<3)成分を示すピークの積分値の割合を調べることによって特定することができる。サンプルAのXPSスペクトルから読み取れるMoOy(2<y<3)の割合は約26%、サンプルBでは約10%、サンプルCでは約4%、サンプルDでは約3%以下である。
酸化モリブデン膜のp型化には、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))が含まれることが寄与する。図2にXPSにて測定した、サンプルA乃至サンプルDの価電子帯の状態を表すスペクトルを示す。図2のXPSスペクトルは、入射エネルギー1486.6eV(X線源 単色化Al)、取出角45°で測定した価電子帯付近のスペクトルであり、束縛エネルギーはフェルミ準位(EF)を基準としたエネルギーである。なお、エネルギー軸はC1sのピークを284.6eVに合わせる一般的な補正方法を用いた。
価電子帯のXPSスペクトルは、価電子帯の状態密度に比例したピーク強度を有する。図2に示した束縛エネルギー1.7eV付近のピーク112は、ギャップ準位のピークである。また、束縛エネルギー3.5eV以上にみられるピーク113は、MoO3を主とするバルクからのピークである。
図2に示したように、酸化モリブデン膜中に含まれるMoOy(2<y<3)の割合が増加するほど、ギャップ準位のピーク強度が高くなることがわかる。また、MoOy(2<y<3)の割合が高いほど、ギャップ準位で構成されるエネルギーバンドとフェルミ準位(EF)間のエネルギーが近づき、よりp型の導電型を有しやすくなることがわかる。
ギャップ準位は、XPSで観測されることから電子で満たされているといえる。図2中に示されていない伝導帯は、電子が詰まっていないためXPSでは観測されない。しかし、フェルミ準位(EF)は、伝導帯と電子の詰まったギャップ準位間に存在している。伝導帯とギャップ準位間で、熱的に、または光照射下の平衡状態において同数のキャリアが励起されていれば、ギャップ準位よりバルクの準位である伝導帯の状態密度が高いことから、フェルミ準位(EF)は、ギャップ準位側に近づいていることになるといえる。また、ギャップ準位は、XPSで観測されるほど状態密度が高く、これがホールを移動する価電子帯のエネルギーバンドの一つとして振る舞うことで、p型の導電型を有することができる。したがって、ギャップ準位の状態密度を増やすことに寄与するMoOy(2<y<3)を含有する酸化モリブデン膜はp型の導電型を示すことができる。
また、酸化モリブデンがp型である他の理由として次が挙げられる。例えば、MoOy(2<y<3)を含有する割合が約10%のものに関して、価電子帯XPSスペクトルを示した図2中のピーク112の価電子帯トップにあたるエネルギー(Ev)とフェルミ準位(EF)間のエネルギー差は、約0.3〜0.7eVとなっていることがわかる。それに加えて、温度変化に対する電気伝導度より求めた価電子帯トップのエネルギー(Ev)とフェルミ準位(EF)間のエネルギー差に該当する活性化エネルギーは、XPSスペクトルからもとめた値と対応する約0.41eVとなっている。酸化モリブデン膜の光学バンドギャップが約3.2eVであることから、その半分のミッドギャップ(Ei)とフェルミ準位(EF)間のエネルギー差は約1.6eVである。また、価電子帯トップ(Ev)とフェルミ準位(EF)間のエネルギー差では約0.3〜0.7eVであり、価電子帯トップ(Ev)とフェルミ準位(EF)間のエネルギー差の方が小さいことから、p型の酸化モリブデンとなっていることがいえる。なお、酸化モリブデン膜では、パーセントレベルの検出感度であるXPSによってもピーク112が観測されるほどの状態密度を持つため、光学バンドギャップはピーク112の価電子帯トップにあたるエネルギー近傍からの光学遷移によって測定できる。
図1に示した酸化モリブデン膜中に含まれるMoOy(2<y<3)の成分割合と、図2に示した価電子帯中の束縛エネルギー1.7eV付近のギャップ準位のXPSピーク強度の積分値は、図3のような相関関係を有している。また、MoO3およびMoOy(2<y<3)を含む酸化モリブデン膜がp型の導電型を有するには、素子の整流性確認実験よりMoOy(2<y<3)を含有する割合を4%以上とすることが好ましいことがわかっている。
なお、三酸化モリブデン(MoO3)はn型の導電型を有することが知られている。したがって、p型の導電型を有する酸化モリブデンを用いた半導体装置だけでなく、n型の導電型を有する酸化モリブデンを用いた半導体装置を複合化した半導体装置を形成することも可能となる。
本実施の形態は、他の実施の形態、および実施例と自由に組み合わすことができる。
(実施の形態2)
本実施の形態は、開示する発明の一態様である光電変換装置の構成およびその作製方法について、図6乃至図9を参照して説明する。
先ず、本発明の一態様である光電変換装置の構成について説明する。
図6(a)には、本発明の一態様における光電変換装置の断面模式図の例を示す。該光電変換装置は、シリコン基板100、該シリコン基板の一方の面に形成された酸化物半導体層110、該シリコン基板の他方の面に形成された不純物領域130、酸化物半導体層110上に形成された透光性導電膜150、該透光性導電膜と接する第1の電極170、および不純物領域130と接する第2の電極190を含んで構成される。なお、第1の電極170はグリッド電極であり、第1の電極170側が受光面となる。
シリコン基板100は一導電型を有し、酸化物半導体層110は、シリコン基板100の導電型とは逆の導電型を有する半導体層である。したがって、シリコン基板100と酸化物半導体層110との間には、p−n接合が形成される。
ここで、本発明の一態様における光電変換装置では、酸化物半導体層110にp型の導電型を有する半導体層を用いるため、シリコン基板100にはn型の導電型を有するシリコン基板を用いる。
酸化物半導体層110上には透光性導電膜150を形成することが好ましい。透光性導電膜150を設けることによって、酸化物半導体層110と第1の電極170との間における抵抗損失を低減させることができる。ただし、酸化物半導体層110の抵抗が十分に低い場合や、作製する光電変換装置が抵抗損失を無視できる低電流用途で用いられる場合は、図6(b)に示すような、透光性導電膜150を設けない構造としてもよい。
不純物領域130は、BSF(Back Surface Field)層であり、シリコン基板100と同じ導電型を有し、かつシリコン基板100よりも高濃度のキャリアを有する領域である。BSF層を設けることにより、n−n+接合またはp−p+接合が形成され、バンドベンディングによる電位障壁により第2の電極190近傍での少数キャリアの再結合を防止することができる。
なお、本明細書では、同じ導電型でキャリア濃度の異なる材料を区別する必要がある場合には、n型またはp型シリコン基板に対して、相対的にキャリア濃度の高い材料の導電型をn+型またはp+型と呼称するのに対し、相対的にキャリア濃度の低い材料の導電型をn−型またはp−型と呼称する。
また、図6(a)、(b)中には図示していないが、図9(c)に示した例のように、シリコン基板100に凹凸加工を施したテクスチャ構造としてもよい。受光面側に設けたテクスチャ構造は、入射光が多重反射することで表面反射損失を低減することができる。また、テクスチャ構造では、屈折率の高い光電変換領域のシリコン基板と屈折率の低い入射側媒質である空気との屈折率差により光電変換領域内を光が斜めに入射されることから光路長が増大し、光電変換領域内の裏面と表面で反射を繰り返すことで、所謂光閉じ込め効果を起こさせることもできる。シリコン基板中に入射された光は、入射媒質である空気と屈折率の高いシリコン基板との間においてスネルの法則により、シリコン基板表面凹凸形状に対して法線方向近傍となる方向に進行する。そのため、テクスチャ構造によりシリコン基板表面に凹凸形状を設けて角度をつけておくことにより、角度のついたテクスチャ構造表面に対して法線方向近傍に屈折して、入射光は進行する。このことによりシリコン基板の厚さ方向に対して斜めに入射光が進行し、入射光の光路長を増加させることができる。テクスチャ構造は、図9(c)のように表裏両面、あるいは、表面のみ、裏面のみに設けてもよい。
また、本発明の一態様における光電変換装置は、図7(a)、(b)に示す構造としてもよい。図7(a)(b)に示す光電変換装置は、一導電型を有するシリコン基板100、該シリコン基板の一方の面に形成された該シリコン基板とは逆の導電型を有する酸化物半導体層110、酸化物半導体層110上に形成された透光性導電膜150、該透光性導電膜と接する第1の電極170、該シリコン基板の他方の面に形成された該シリコン基板と同じ導電型を有し、該シリコン基板よりもキャリア濃度の高い不純物領域130、およびパッシベーション層180、不純物領域130と接する第2の電極190を含んで構成される。
パッシベーション層180には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン(SiNxOy(x>y>0))膜、酸化窒化シリコン(SiOxNy(x>y>0))膜、酸化アルミニウム膜などを用いることができる。パッシベーション層180を設けることで、シリコン基板100の裏面側における少数キャリアの再結合を低減させることができ、光電変換装置の発電出力電圧を向上させることができる。また、シリコン基板よりも屈折率が小さい材料で形成された膜をパッシベーション層180として用いることで、シリコン基板裏面での反射率を上げることができ、光電変換装置の発電時の出力電流の向上にも寄与することができる。
図7(a)に示す光電変換装置の構造は、シリコン基板裏面全面に不純物領域130を設け、パッシベーション層180に設けた開口部で不純物領域130と第2の電極190を接する構造である。また、図7(b)に示す光電変換装置の構造は、パッシベーション層180の開口部付近のみに不純物領域130を設け、該開口部で不純物領域130と第2の電極190を接する構造である。パッシベーション層180を設けることで少数キャリア密度を低減できる一方、不純物領域130とパッシベーション層180の表面再結合速度は速くなるトレードオフの関係にある。
したがって、パッシベーション層180の品質、すなわちパッシベーション層180とシリコン基板界面での表面再結合速度を考慮して、より良好な電気特性が得られるように実施者が構造を決定すればよい。例えば、パッシベーション層180の品質が低く、表面再結合速度が速い場合は、不純物領域130をシリコン基板裏面全面に設けた方がシリコン基板裏面において再結合を起こす少数キャリア密度自体を下げられ、シリコン基板裏面での再結合を抑制することができる。逆に、パッシベーション層180の品質が高く、表面再結合速度が遅い場合は、不純物領域130を該開口部付近だけに設けた方が表面再結合速度の低下要因である不純物領域130とパッシベーション層180接触界面を減らすことができ、シリコン基板裏面全体での再結合を抑制することができる。
なお、図6(a)、(b)図7(a)、(b)に示したそれぞれの構成、および凹凸加工を施したテクスチャ構造を任意に複合した構成の光電変換装置としてもよい。
本発明の一態様における酸化物半導体層110には、酸化モリブデンを用いることができる。酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
上記酸化物半導体層110は、複数の酸化物を混合することにより、導電型を変化させることができる。例えば、酸化モリブデンでは、三酸化モリブデン(MoO3)と、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))とを含む混合組成物とすることで、p型の導電型を付与することができる。上記混合組成物においては、MoOy(2<y<3)を4%以上含む組成とすることで、高濃度のキャリアを有するp型半導体とすることができる。なお、ここで言うp型の導電型とは、フェルミ順位が伝導帯より価電子帯に近いこと、あるいはp型の導電型のキャリアであるホールを移動することができることを指す以外に、逆の導電型であるn型の導電性を有する材料と接続した際に仕事関数の差によるバンドベンディングによっても、n型の導電型を有する半導体材料との接合した素子の電流−電圧(I−V)特性が整流性を示すものを含むこととする。
また、上記酸化物半導体層に不純物を添加することにより、導電型を変化させることができる。また、上記酸化物半導体層は、故意に不純物を添加しない場合においても、酸化物半導体中の欠陥や成膜工程中に取り込まれた微量の不純物がドナー準位またはアクセプタ準位を形成するため、n型またはp型の導電性を示すことがある。
また、図5に示したように、酸化モリブデン膜は、広い波長範囲で光吸収係数が小さくなるため、透光性が高い。したがって、光電変換装置の窓層として酸化モリブデン膜のような透光性を有する金属酸化物を用いることにより、窓層での光吸収損失が低減し、光吸収領域において効率良く光電変換を行うことできるようになる。また、上述したように、該金属酸化物は、シリコン表面のパッシベーション効果が非常に高い。したがって、光電変換装置の電気特性を向上させることができる。
次に、図6に示した光電変換装置の作製方法について、図8および図9を用いて説明する。
本発明の一態様に用いることのできるシリコン基板100には、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いることができる。これらのシリコン基板の製造方法は、特に限定されない。本実施の形態においては、MCZ(Magnetic Czochralski)法で製造された(100)面を表面に有するn型の単結晶シリコン基板を用いる例を説明する。
初期の単結晶シリコン基板がスライス加工のみである基板の場合は、単結晶シリコン基板の表面から10〜20μmに残留するダメージ層をウエットエッチング工程にて取り除く。エッチング液には、比較的高濃度のアルカリ溶液、例えば、10〜50%の水酸化ナトリウム水溶液、または同濃度の水酸化カリウム水溶液を用いることができる。または、フッ酸と硝酸を混合した混酸や、それらに酢酸を混合した混酸を用いても良い。
次に、ダメージ層除去後の単結晶シリコン基板表面に付着している不純物を酸洗浄で取り除く。酸としては、例えば、0.5%フッ酸と1%過酸化水素水の混合液(FPM)などを用いることができる。またはRCA洗浄などを行っても良い。なお、この酸洗浄工程は省いても良い。
シリコン基板100における表面の多重反射による反射損失低減、光路長増加のための光閉じ込めを行うために、ここでは、シリコン基板100に凹凸加工を施したテクスチャ構造を形成する例を説明する。上述したように(100)面を表面に有する単結晶シリコン基板を用いる場合は、アルカリ溶液による面方位に対するエッチングレートが異なることを利用した異方性エッチングによりピラミッド形状のテクスチャ構造を形成することができる。
(100)面を表面に有する単結晶シリコン基板にピラミッド形状のテクスチャ構造を形成するエッチング液には、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液のアルカリ溶液を用いることができる。例えば、1〜5%の水酸化ナトリウム水溶液、または同濃度の水酸化カリウム水溶液を用いることができ、好ましくは、数%のイソプロピルアルコールを添加する。エッチング液の温度は70〜90℃とし、30〜60分間、単結晶シリコン基板をエッチング液に浸漬する。この処理により、単結晶シリコン基板表面に、微細な略四角錐状の複数の凸部、および隣接する凸部間で構成される凹部からなるピラミッド形状の凹凸を形成することができる。
なお、シリコン基板100として、(100)面を表面に有する単結晶シリコン以外の単結晶シリコン基板、または多結晶シリコン基板などを用いる場合は、ドライエッチング法や、銀などの金属触媒を利用したウエットエッチングなどを用いて凹凸加工を行えばよい。
次に、上述の凹凸を形成するためのエッチング工程では、シリコンの表層に不均一な酸化層が形成されるため、該酸化層を取り除く。また、該酸化層にはアルカリ溶液の成分が残存しやすいため、それを取り除く目的もある。アルカリ金属、例えばNaイオンやKイオンがシリコン中に侵入するとライフタイムが劣化するため、光電変換装置の電気特性が著しく低下してしまう。なお、この酸化層を除去するには、1〜5%の希フッ酸を用いれば良い。
次に、フッ酸と硝酸を混合した混酸、または、それらに酢酸を混合した混酸を用いて単結晶シリコン基板の表面をエッチングし、金属成分などの不純物を除去することが好ましい。酢酸を混合することで、硝酸の酸化力を維持し、エッチング工程を安定にする効果、およびエッチングレートを調整する効果が得られる。例えば、各酸の体積比率は、フッ酸:硝酸:酢酸=1:(1.5〜3):(2〜4)とすることができる。なお、本明細書では、フッ酸、硝酸および酢酸の混酸液をフッ硝酢酸と呼ぶ。なお、このフッ硝酢酸を用いたエッチングを行う場合は、上述の希フッ酸を用いた酸化層の除去工程を省くこともできる。これらの工程により、シリコン基板100の表面に凹凸形状のテクスチャ構造を形成することができる(図8(a)参照)。
次いで、シリコン基板100と同じ導電型を付与する不純物をシリコン基板100の受光面とは逆側となる裏面の表層に拡散させて、不純物領域130を形成する(図8(b)参照)。n型の導電型を有するシリコン基板100を用いた場合、n型を付与する不純物としては、リン、ヒ素、アンチモンなどがあり、例えば、シリコン基板100をオキシ塩化リン雰囲気中で800℃以上900℃以下の温度で熱処理することにより、リンをシリコン基板の表面から0.5μm程度の深さに拡散させることができる。
不純物領域130の形成は、受光面とは逆の裏面にのみ形成する。このため、受光面側に不純物を拡散させないようにするには、公知の方法を用いて、受光面側を無機絶縁膜などの耐熱性材料でマスクし、不純物領域130形成後に該マスクを取り除く工程を行えばよい。または、表面、裏面ともに不純物を拡散させて不純物領域を形成して、裏面側をマスクし、受光面側の不純物層をエッチング処理して取り除いてもよい。
次いで、適切な洗浄の後、受光面となるシリコン基板100の面上にシリコン基板100とは逆の導電型である酸化物半導体層110を形成する(図8(c)参照)。ここでは、酸化物半導体層110として、酸化モリブデン膜を用いる。
酸化モリブデン膜は、蒸着法、スパッタ法、またはイオンプレーティング法などの気相法により成膜することができる。蒸着法では、酸化モリブデン材料単体の蒸着、または酸化モリブデン材料と導電型を付与する不純物を共蒸着する方法を用いればよい。共蒸着とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。また、スパッタ法では、酸化モリブデン、モリブデン、またはそれらに導電型を付与する不純物を含む材料をターゲットとし、酸素、または酸素とアルゴンなどの希ガスとの混合ガスをスパッタガスとする方法を用いればよい。また、イオンプレーティング法では、上記スパッタ法と同様の材料を用いて、酸素を含むプラズマ中で膜を形成すればよい。
本実施の形態では、p型の導電型を有する酸化モリブデン膜を形成するために、酸化モリブデン粉末を蒸着源とした蒸着法を用いる。また、酸化モリブデン粉末にモリブデンなどを添加する共蒸着法を用いてもよい。本実施の形態に用いることのできる酸化モリブデン膜は、例えば、三酸化モリブデン(MoO3)と、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))とを含む混合組成物である。なお、上記酸化モリブデン膜のキャリア濃度を高めるには、MoOy(2<y<3)を4%以上含むことが好ましい。また、酸化モリブデン粉末の純度は、99.99%(4N)〜99.9999%(6N)であることが好ましい。成膜は高真空下で行うことが好ましく、真空度が5×10−3Pa以下、より好ましくは1×10−4Pa以下で行う。
次に、不純物領域130上に第2の電極190を形成する(図9(a)参照)。第2の電極190には、銀、アルミニウム、銅などの低抵抗金属や、インジウム錫酸化物、珪素を含むインジウム錫酸化物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン等の導電性膜を、単層または積層して用いることができる。成膜方法は、スパッタ法や真空蒸着法などを用いることができる。または、スクリーン印刷法を用いて、銀ペーストや、銅ペースト、アルミニウムペーストなどの導電性樹脂を供給し、焼成して形成してもよい。
次に、酸化物半導体層110上に透光性導電膜150を形成する(図9(b)参照)。該透光性導電膜には、例えば、インジウム錫酸化物、珪素を含むインジウム錫酸化物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン等を用いることができる。また、該透光性導電膜は単層に限らず、異なる膜の積層でもよい。例えば、インジウム錫酸化物とアンチモンを含む酸化錫の積層や、インジウム錫酸化物とフッ素を含む酸化錫の積層などを用いることができる。該透光性導電膜はスパッタ法などを用いて形成することができる。膜厚は総厚で10nm以上1000nm以下とすることが好ましい。例えば、透光性導電膜150としてインジウム錫酸化物を用い、光学反射率を下げるために、膜厚は70nmとする。
次に、透光性導電膜150上に第1の電極170を形成する(図9(C)参照)。第1の電極170はグリッド電極であり、銀ペースト、銅ペースト、ニッケルペースト、モリブデンペースト、アルミニウムペーストなどの導電性樹脂を用いて、スクリーン印刷法で供給し、焼成して形成することが好ましい。また、第1の電極170は、銀ペーストと銅ペーストを積層するなど、異なる材料の積層であっても良い。また、導電性樹脂の供給は、ディスペンス法やインクジェット法を用いてもよい。
また、図6(b)の構成の光電変換装置を形成するには、透光性導電膜150の形成工程を省けばよい。
また、図7の構成の光電変換装置を形成するには、図8(a)を説明する工程と図8(b)を説明する工程との間に、開口部を有するパッシベーション層180として酸化シリコン膜や窒化シリコン膜を設ける工程を行えばよい。パッシベーション層180は、熱酸化法や、プラズマCVD法等で形成することができる。
なお、図8および図9に示した工程順序は、適宜変更してもよい。
以上により、本発明の一態様である光電変換装置を作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態、および実施例と自由に組み合わすことができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2とは異なる構造の光電変換装置、およびその作製方法について図10乃至図15を参照して説明する。なお、実施の形態2と共通する内容については、その詳細を省略する。
図10は、本発明の一態様における光電変換装置の断面図である。該光電変換装置は、シリコン基板200、該シリコン基板の一方の面上に形成された第1のシリコン半導体層201、酸化物半導体層210、透光性導電膜250、および第1の電極270、並びに、該シリコン基板の他方の面上に形成された第2のシリコン半導体層202、第3のシリコン半導体層203、および第2の電極290を含んで構成される。なお、第1の電極270はグリッド電極であり、第1の電極270側が受光面となる。
なお、酸化物半導体層210には、実施の形態1、2に示したp型の導電性を有する酸化物半導体層110と同じ材料を用いることができる。例えば、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))を含有する酸化物半導体を用いればよい。
従来の光電変換装置では、シリコン材料を窓層としていたため、窓層における光吸収は大きな損失となっていた。本発明の一態様では、光電変換装置の窓層として透光性を有する金属酸化物を用いることにより、窓層での光吸収損失が低減し、光吸収領域において効率良く光電変換を行うことできるようになる。
また、図10では、シリコン基板200の表裏に凹凸加工を施したテクスチャ構造の例を示している。テクスチャ構造に加工された面では入射光が多重反射し、光電変換領域内には光が斜めに進行することから光路長が増大する。また、裏面からの反射光が表面で全反射する、所謂光閉じ込め効果を起こさせることもできる。
なお、図11に例示したように、シリコン基板200の表裏のどちらか一方のみに凹凸加工を施した構成であっても良い。凹凸加工によってシリコン基板の表面積が増大するため、上記光学的効果が得られる一方で、表面欠陥の絶対量が増大してしまう。したがって、光学的効果と表面欠陥量のバランスを考慮し、より良好な電気特性が得られるように実施者が構造を決定すればよい。
また、図12に示すように、第2の電極290もグリッド電極とし、第3のシリコン半導体層203と第2の電極290との間に透光性導電膜280を形成して両面を受光面とする構造としてもよい。
また、図13に示すように、第1のシリコン半導体層201を設けずに、シリコン基板200と酸化物半導体層210が直接接する構造としてもよい。実施の形態1で説明したように、本発明の一態様の光電変換装置に用いることのできる酸化物半導体層は、シリコン表面のパッシベーション効果が高く、シリコン基板200と良好な接合を形成することができる。
なお、図10、図11、図12および図13のそれぞれの構成を任意に複合した構成としてもよい。
第1のシリコン半導体層201および第2のシリコン半導体層202には、水素を含む欠陥の少ない半導体層を用いることができ、シリコン基板200の表面の欠陥を終端することができる。該半導体層には、非晶質シリコン半導体を用いることが好ましい。
第1のシリコン半導体層201および第2のシリコン半導体層202には、例えば、i型のシリコン半導体層を用いることができる。また、本実施の形態においては、シリコン基板200にn型のシリコン基板を用いるため、第1のシリコン半導体層201および第2のシリコン半導体層202にはp型のシリコン半導体層を用いることもできる。
なお、本明細書において、i型の半導体とは、フェルミ準位がバンドギャップの中央に位置する所謂真性半導体の他、半導体に含まれるp型若しくはn型を付与する不純物が1×1018cm−3以下の濃度であり、暗伝導度に対して光伝導度が高い半導体を指す。
また、第1のシリコン半導体層201および第2のシリコン半導体層202にp型のシリコン半導体層を用いる場合には、p−型のシリコン半導体層を用いることが好ましい。p−型シリコン半導体を用いる場合には、該半導体層の暗伝導度を1×10−10S/cm〜1×10−5S/cm、好ましくは1×10−9S/cm〜1×10−6S/cm、さらに好ましくは1×10−9S/cm〜1×10−7S/cmとする。
本実施の形態において、シリコン基板200の導電型はn型であり、酸化物半導体層210の導電型はp型である。したがって、シリコン基板200と酸化物半導体層210との間には、第1のシリコン半導体層201を介したp−n接合が形成される。
また、裏面側に設けられる第3のシリコン半導体層203は、シリコン基板200と同じ導電型で、該シリコン基板よりもキャリア濃度が高い半導体層である。したがって、シリコン基板200と第3のシリコン半導体層203との間には、第2のシリコン半導体層202を介してn−n+接合が形成される。つまり、第3のシリコン半導体層203は、BSF層として作用する。BSF層を設けることにより、n−n+接合のバンドベンディングによる電位障壁により第2の電極290近傍での少数キャリアの再結合を防止することができる。
なお、第3のシリコン半導体層203の代替として、導電型がn型の透光性導電膜を用いてもよい。該透光性導電膜には、例えば、インジウム錫酸化物、珪素を含むインジウム錫酸化物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン等を用いることができる。また、透光性導電膜は単層に限らず、異なる膜の積層でも良い。該透光性導電膜は、電界形成層として作用するだけでなく、第2の電極290に到達した光の反射を助長させる効果も有する。
次に、図10に示した光電変換装置の作製方法について、図14および図15を用いて説明する。
本発明の一態様に用いることのできるシリコン基板200には、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いることができる。これらのシリコン基板の製造方法は特に限定されない。本実施の形態においては、MCZ法で製造された(100)面を表面に有するn型の単結晶シリコン基板を用いる例を説明する。
次に、シリコン基板200の表裏にテクスチャ構造を形成するため加工を行う(図14(a)参照)。凹凸加工の方法については、実施の形態2に示した図8(a)のシリコン基板100を凹凸加工する工程の説明を参照することができる。
次に、適切な洗浄の後、受光面とは逆側となるシリコン基板200の面上にプラズマCVD法を用いて第2のシリコン半導体層202を形成する。第2のシリコン半導体層202の厚さは、3nm以上50nm以下とすることが好ましい。本実施の形態において、第2のシリコン半導体層202はi型の非晶質シリコンであり、膜厚は5nmとする。なお、第2のシリコン半導体層202としては、微結晶シリコンを用いてもよい。また、導電型はi型に限らず、n−型であってもよい。
第2のシリコン半導体層202の成膜条件としては、例えば、反応室に流量5sccm以上200sccm以下のモノシランを導入し、反応室内の圧力を100Pa以上200Pa以下、電極間隔を10mm以上40mm以下、カソード電極の面積を基準とする電力密度を8mW/cm2以上120mW/cm2以下、基板温度を150℃以上300℃以下とすればよい。
次に、第2のシリコン半導体層202上に第3のシリコン半導体層203を形成する(図14(b)参照)。第3のシリコン半導体層203の厚さは3nm以上50nm以下とすることが好ましい。本実施の形態において、第3のシリコン半導体層203はn+型の微結晶シリコンまたは非晶質シリコンであり、膜厚は10nmとする。
第3のシリコン半導体層203の成膜条件としては、例えば、反応室にモノシランおよび水素ベースのホスフィン(0.5%)を1:(1〜15)の流量比率で導入し、反応室内の圧力を100Pa以上200Pa以下とし、電極間隔を10mm以上40mm以下とし、カソード電極の面積を基準とする電力密度を8mW/cm2以上120mW/cm2以下、基板温度を150℃以上300℃以下するとすればよい。
次に、受光面側となるシリコン基板200の面上にプラズマCVD法を用いて第1のシリコン半導体層201を形成する(図14(c)参照)。第1のシリコン半導体層201の厚さは、3nm以上50nm以下とすることが好ましく、本実施の形態において、第1のシリコン半導体層201はi型の非晶質シリコンであり、膜厚は5nmとする。なお、第1のシリコン半導体層201としては、微結晶シリコンを用いてもよい。また、導電型はi型に限らず、p−型であってもよい。なお、第1のシリコン半導体層201は、第3のシリコン半導体層203と同様の成膜条件にて形成することができる。
なお、第1のシリコン半導体層201に、p−型のシリコン半導体層を用いる場合の成膜条件は、例えば、反応室にモノシラン:水素ベースのジボラン(0.1%)を1:(0.01〜1未満)の流量比率で導入し、反応室内の圧力を100Pa以上200Pa以下、電極間隔を10mm以上40mm以下、カソード電極の面積を基準とする電力密度を8mW/cm2以上120mW/cm2以下、基板温度を150℃以上300℃以下とすればよい。
なお、本実施の形態において、第1のシリコン半導体層201、第2のシリコン半導体層202、および第3のシリコン半導体層203の成膜に用いる電源には周波数13.56MHzのRF電源を用いるが、27.12MHz、60MHz、または100MHzのRF電源を用いても良い。また、連続放電だけでなく、パルス放電にて成膜を行っても良い。パルス放電を行うことで、膜質の向上や気相中で発生するパーティクルを低減することができる。
次に、第1のシリコン半導体層201上に酸化物半導体層210を形成する(図15(a)参照)。酸化物半導体層210の形成方法については、実施の形態2において、図9(a)に示した酸化物半導体層110を形成する工程の説明を参照することができる。本実施の形態において、酸化物半導体層210には、p型の酸化モリブデン膜を用い、膜厚は1〜100nmとする。なお、酸化物半導体層210は、第1のシリコン半導体層201よりもキャリア濃度が高くなるように形成する。
次に、酸化物半導体層210上に透光性導電膜250を形成する(図15(b)参照)。透光性導電膜250の厚さは10nm以上1000nm以下とすることが好ましい。透光性導電膜250については、実施の形態2に示した図9(b)の透光性導電膜150を形成する工程の説明を参照することができる。例えば、透光性導電膜250としてインジウム錫酸化物を用い、光学反射率を下げるため、膜厚は70nmとする。
なお、シリコン基板200の表裏に設ける膜の形成順序は、上記の方法に限らず、図15(b)に示した構造が形成できればよい。例えば、第2のシリコン半導体層202を形成し、その次に第1のシリコン半導体層201を形成してもよい。
次に、第3のシリコン半導体層203上に第2の電極290を形成する。第2の電極290には、銀、アルミニウム、銅などの低抵抗金属を用いることができ、スパッタ法や真空蒸着法などで形成することができる。または、スクリーン印刷法を用いて、銀ペーストや、銅ペーストなどの導電性樹脂で形成しても良い。
次に、透光性導電膜250上に第1の電極270を形成する(図15(c)参照)。第1の電極270はグリッド電極であり、銀ペースト、銅ペースト、ニッケルペースト、モリブデンペーストなどの導電性樹脂を用いて、スクリーン印刷法で形成することが好ましい。また、第1の電極270は、銀ペーストと銅ペーストを積層するなど、異なる材料の積層であっても良い。
なお、図11の構成の光電変換装置を形成するには、凹凸加工工程前に凹凸を形成しない面にマスクなどを設ければよい。
また、図12の構成の光電変換装置を形成するには、図15(b)の工程において、透光性導電膜280を第3のシリコン半導体層203上にも形成し、その後、透光性導電膜250、280上にグリッド状の電極として、第1の電極270および第2の電極290を設ければよい。
また、図13の構成の光電変換装置を形成するには、図14(c)の工程において、第1のシリコン半導体層201を設けない構成とすればよい。
以上により、本発明の一態様である酸化物半導体層を窓層に用いた光電変換装置を作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態、および実施例と自由に組み合わすことができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2、3とは異なる構造の光電変換装置について図16乃至図18を参照して説明する。なお、実施の形態2、3と共通する内容については、その詳細を省略する。
図16(a)には、本発明の一態様における光電変換装置の断面模式図の例を示す。該光電変換装置は、シリコン基板300、該シリコン基板の一方の面に形成されたシリコン酸化物層311上に形成された酸化物半導体層310、酸化物半導体層310上に形成された透光性導電膜350、該透光性導電膜と接する第1の電極370、該シリコン基板の他方の面に形成された不純物領域330、および不純物領域330と接する第2の電極390を含んで構成される。なお、第1の電極370はグリッド電極であり、第1の電極370側が受光面となる。
酸化物半導体層310には、他の実施の形態で説明した二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))を含有するp型の導電性を有する酸化物半導体を用いることができる。例えば、三酸化モリブデン(MoO3)と、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))を含有する酸化モリブデンを用いる。酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
本実施の形態において、シリコン基板300にはn型の導電型を有するシリコン基板を用いる。また、上述したように、酸化物半導体層310は、p型の導電型を有する。したがって、シリコン基板300と酸化物半導体層310との間には、SIS(Semiconductor−Insulator−Semiconductor)構造を有するp−n接合が形成される。
酸化物半導体層310上には透光性導電膜350を形成することが好ましい。透光性導電膜350を設けることによって、酸化物半導体層310と第1の電極370との間における抵抗損失を低減させることができる。ただし、酸化物半導体層310の抵抗が十分に低い場合や、作製する光電変換装置が抵抗損失を無視できる低電流用途で用いられる場合は、透光性導電膜350を設けない構造としてもよい。
透光性導電膜350としては、実施の形態1で説明した透光性導電膜150と同じ材料を用いることができる。
不純物領域330は、BSF層であり、シリコン基板300と同じ導電型を有し、かつシリコン基板300よりも高濃度のキャリアを有する領域である。BSF層を設けることにより、n−n+接合が形成され、バンドベンディングによる電位障壁により第2の電極390近傍での少数キャリアの再結合を防止することができる。
また、図16(b)に図示したように、シリコン基板300に凹凸加工を施したテクスチャ構造としてもよい。受光面側に設けたテクスチャ構造は、入射光が多重反射することで表面反射損失を低減することができる。また、テクスチャ構造は、光電変換領域のシリコン基板の屈折率により光電変換領域内を光が斜めに入射されることから光路長が増大し、光電変換領域内の裏面と表面で反射を繰り返すことで、所謂光閉じ込め効果を起こさせることもできる。テクスチャ構造は、図16(b)のように表裏両面、あるいは、表面のみ、裏面のみに設けてもよい。
シリコン酸化物層311には、二酸化シリコン(SiO2)、一酸化シリコン(SiO)、二酸化シリコンとシリコンの組成が混合された酸化シリコンなどの酸化シリコン(SiOx(x>0))、ならびに、シリコン、酸素および酸化物半導体層310を構成する金属の化合物を用いることができる。シリコン酸化物層311の形成方法としては、電気炉、プラズマCVD装置、プラズマ酸化処理装置などで酸化または成膜することで形成することができる。また、シリコン基板300と酸化物半導体層310を熱、赤外線、または酸化物半導体層310の成膜時のエネルギーなどで反応させることにより形成することもできる。なお、シリコン酸化物層311は半導体レベルの抵抗を有していてもよい。
シリコン酸化物層311の膜厚は、0.5〜10nmとすることができる。より好ましくは、0.5〜5nmにする。シリコン酸化物層311は、上記シリコン基板300と酸化物半導体層310との間に形成されたp−n接合間に介在するため、シリコン酸化物層311はトンネル電流が流れる極薄膜とすることが好ましい。また、シリコン酸化物層311は、シリコン基板300と酸化物半導体層310の接合における格子ミスマッチの緩衝層としての作用も有する。
図17は、図16(a)中のA−B方向のエネルギーバンド構造の模式図の例である。ここでは、シリコン基板300としてn型の導電型の単結晶シリコン、酸化物半導体層310としてMoO3およびMoOy(2<y<3)を含むp型の導電型を有する酸化モリブデン、シリコン酸化物層311として酸化シリコン(SiOx(x>0))、不純物領域330として高濃度の不純物リンを添加したn+型の単結晶シリコンを用いた例を示す。図17中、酸化物半導体層310のバンドギャップ中のエネルギー準位312は、図2に示したXPSスペクトルのピーク112として検出されるギャップ準位と同様のものである。
図17(a)に示すように、シリコン酸化物層311がp型の酸化物半導体層310とn型のシリコン基板300のp−n接合間に介在することにより、電子が移動する伝導帯側、ホールが移動する価電子帯側ともに電位障壁ができる。n型のシリコン基板300中における多数キャリアである電子にとっての伝導帯側の電位障壁は、n型のシリコン基板300の空乏層領域におけるバンドベンディングによる電位障壁であり、、p−n接合間のダイオードとしての拡散電流、熱放出電流を低減することができ、光電変換装置の出力電圧を向上させることに寄与することができる。
他方、図17(a)中、シリコン酸化物層311によるn型のシリコン基板300中における少数キャリアであるホールにとっての価電子帯側の電位障壁は、光電変換層であるn型のシリコン基板300中で光吸収して励起された電子、ホール対ができた際に、そのホールを移動する際に電位障壁となって光電流を得るのを妨げるように作用することになる。しかし、シリコン酸化物層311は、極薄膜で形成するため、トンネル電流、または漏れ電流が発生することができる。これにより、シリコン酸化物層311による伝導帯側の電位障壁があっても、光電変換層であるn型のシリコン基板300中で光吸収して励起された電子、ホール対ができた際に、そのホールは、電位障壁をトンネル電流、または漏れ電流により流れることができ、電流として取り出すことができる。また、シリコン酸化物層311の電位障壁に流れるトンネル電流がデバイスの動作機構である場合、、トンネル電流の温度依存性が少ないことから、日射や気温上昇による光電変換装置の温度上昇による出力低下を抑制することができる。
酸化物半導体層310のエネルギーバンドギャップ中のエネルギー準位312によって、ホールをキャリアとする電流を流すことができる。また、エネルギー準位312は、酸化物半導体層310の価電子帯としてのエネルギーバンドとして振る舞うことでp型の導電型を付与することができる。
また、図17(b)は、シリコン酸化物層311を酸化シリコン(SiOx(x>0))で形成する場合のバンド図である。図示したように、シリコン酸化物層311のバンドギャップ中にエネルギー準位を形成し、電流を取り出しやすくすることもできる。
次に、図16(a)、(b)に示した光電変換装置の作製方法について説明する。図16(a)、(b)に示した光電変換装置は、実施の形態2で説明した図8および図9の要領で作製し、図8(c)で説明した酸化物半導体層110を設ける前、あるいは同時にシリコン酸化物層311を設ければよい。または、図8(c)の後で、酸化物半導体層110とシリコン基板100の界面で反応させてシリコン酸化物層311を形成すればよい。
また、本発明の一態様における光電変換装置は、図18(a)、(b)に示す構造としてもよい。図18(a)、(b)に示す光電変換装置は、シリコン基板300、該シリコン基板の一方の面に形成されたシリコン酸化物層311、該シリコン酸化物層上に形成された酸化物半導体層310、、該酸化物半導体層上に形成された透光性導電膜350、該透光性導電膜と接する第1の電極370、該シリコン基板の他方面に形成された該シリコン基板と同じ導電型を有する不純物領域330およびパッシベーション層380該不純物領域と接する第2の電極390を含んで構成される。
パッシベーション層380には、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン(SiNxOy(x>y>0))、酸化窒化シリコン(SiOxNy(x>y>0))、酸化アルミニウムなどを用いることができる。パッシベーション層380を設けることで、シリコン基板300の裏面側における少数キャリアの再結合を低減させることができ、光電変換装置の発電出力電圧を向上させることができる。また、シリコン基板よりも屈折率の小さい材料をパッシベーション層380として用いることで、シリコン基板裏面の反射率を上げることができ、光電変換装置の発電出力電流の向上にも寄与することができる。
不純物領域330は、図18(a)に示したようにシリコン基板裏面全面に設けた構造、または、図18(b)に示したようにパッシベーション層380の開口部付近のみに不純物領域330を設けた構造とすることができる。不純物領域330を設けることで少数キャリア密度を低減できる一方で、不純物領域330とパッシベーション層380界面での表面再結合速度は速くなるトレードオフの関係にある。したがって、作製工程に依るパッシベーション層380の表面再結合速度を考慮して、より良好な電気特性が得られるように実施者が構造を決定すればよい。
なお、図16(a)、(b)、および図18(a)、(b)の構成を任意に複合した構成の光電変換装置としてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態、および実施例と自由に組み合わすことができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2、3、4とは異なる構造の光電変換装置について図19、20を参照して説明する。なお、実施の形態2、3、4と共通する内容については、その詳細を省略する。
図19(a)、(b)は、本発明の一態様における光電変換装置の断面図である。該光電変換装置は、シリコン基板400、該シリコン基板の一方の面に形成されたシリコン酸化物層411、該シリコン基板の一方の面に該シリコン酸化物層を介して形成された酸化物半導体層410、透光性導電膜450、および第1の電極470、並びに、該シリコン基板の他方の面上に形成された第1のシリコン半導体層402、第2のシリコン半導体層403、および第2の電極490を含んで構成される。なお、第1の電極470はグリッド電極であり、第1の電極470側が受光面となる。
また、図19(b)では、シリコン基板400の表裏に凹凸加工を施したテクスチャ構造の例を示している。テクスチャ構造に加工された面では入射光が多重反射し、光電変換領域内には光が斜めに進行することから光路長が増大する。また、裏面からの反射光が表面で全反射する、所謂光閉じ込め効果を起こさせることもできる。テクスチャ構造はシリコン基板400の表裏両面、あるいは、表面のみ、裏面のみに設けてもよい。
本発明の一態様における酸化物半導体層410には、他の実施の形態で説明した二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))を含有する酸化物半導体を用いることができる。
シリコン酸化物層411には、実施の形態4で説明したシリコン酸化物層311と同じ材料を用いることができる。シリコン酸化物層411の膜厚は、好ましくは0.5〜10nmとし、より好ましくは、0.5〜5nmとする。シリコン酸化物層411は、p−n接合間に介在するため、トンネル電流が流れる極薄膜とすることが好ましい。また、シリコン酸化物層411は、シリコン基板400と酸化物半導体層410の接合における格子ミスマッチの緩衝層としての作用も有する。
第1のシリコン半導体層402および第2のシリコン半導体層403には、実施の形態3で説明した第1のシリコン半導体層302および第2のシリコン半導体層303のそれぞれと同じ材料を用いることができる。例えば、i型のシリコン半導体層、またはシリコン基板400とは逆の導電性を有するシリコン半導体層を用いればよい。
従来の光電変換装置では、シリコン材料を窓層としていたため、窓層における光吸収は大きな損失となっていた。本発明の一態様では、光電変換装置の窓層として透光性を有する金属酸化物を用いることにより、窓層での光吸収損失が低減し、光吸収領域において効率良く光電変換を行うことできるようになる。
また、本発明の一態様における光電変換装置は、図20に示す構造としてもよい。図20に示す光電変換装置は、シリコン基板400、該シリコン基板の一方の面に形成された第3のシリコン半導体層401、該第3のシリコン半導体層401上に形成されたシリコン酸化物層411、該シリコン酸化物層上に形成された酸化物半導体層410、透光性導電膜450、および第1の電極470、並びに、該シリコン基板の他方の面上に形成された第1のシリコン半導体層402、第2のシリコン半導体層403、および第2の電極490を含んで構成される。
第3のシリコン半導体層401は、実施の形態3で説明した第1のシリコン半導体層201と同様の水素を含む欠陥の少ない半導体層を用いることができ、シリコン基板400の表面の欠陥を終端することができる。該半導体層には、非晶質シリコン半導体を用いることが好ましい。
なお、図19(b)に示した光電変換装置は、実施の形態4で説明した図17、18の要領で作製することができ、図17(c)で説明した第1のシリコン半導体層201の代わりにシリコン酸化物層411を設ければよい。
また、図20(b)に示した光電変換装置は、実施の形態4で説明した図17、18の要領で作製するこができ、図18(a)で説明した酸化物半導体層210を設ける前、あるいは同時にシリコン酸化物層411を設ければよい。または、酸化物半導体層410を形成した後で、酸化物半導体層410とシリコン基板400の界面で反応させてシリコン酸化物層411を形成してもよい。
なお、図19(a)、(b)、図20(a)、(b)のそれぞれの構成を任意に複合した構成の光電変換装置としてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態、および実施例と自由に組み合わすことができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態2、3、4、5とは異なる構造の光電変換装置について図21、22を参照して説明する。なお、実施の形態2、3、4、5と共通する内容については、その詳細を省略する。
図21(a)は、本発明の一態様における光電変換装置の断面図である。該光電変換装置は、シリコン基板500、該シリコン基板の一方の面に形成された酸化物半導体層510、透光性薄膜551、並びに、該シリコン基板の他方の面上に形成された第1の不純物領域520、第2の不純物領域530、第1の電極570、および第2の電極590を含んで構成される。すなわち、裏面にのみに電極、および不純物領域を設けたバックコンタクト構造である。なお、シリコン基板500の導電型はp型、n型のどちらであってもよい。また、透光性薄膜551は反射防止膜として機能し、必要に応じて設ければよい。
シリコン基板500の表面に設けられた酸化物半導体層510は、該シリコン基板と接続された付近のバンドをベンディングすることや、酸化物半導体層510自体の電位障壁により、キャリアの再結合を抑制するパッシベーション効果を持つことができる。また、図21(b)に示したように、酸化物半導体層510とシリコン基板500の界面を反応させてシリコン酸化膜層511を設けてもよい。シリコン酸化膜層511が界面に介在することにより、より高い電位障壁ができ、パッシベーション効果を向上させることができる。したがって、酸化物半導体層510は、バックコンタクト構造の光電変換装置の表面側のパッシベーション膜として用いることができる。
透光性薄膜551は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン(SiNxOy(x>y>0))膜、酸化窒化シリコン(SiOxNy(x>y>0))膜、酸化チタン膜、硫化亜鉛、フッ化マグネシウムなどを単層または積層して用いることができる。形成膜厚は、反射防止膜として機能させるため、光学反射率が下げられるように構成すればよい。
また、図22(a)の光電変換装置は、一導電型を有するシリコン基板500と、該シリコン基板の一方の面に形成された逆の導電型を有する酸化物半導体層510と、酸化物半導体層510上に形成された透光性薄膜551と、シリコン基板500と同じ導電型を有し、該シリコン基板よりもキャリア濃度が高く、該シリコン基板の他方の面に形成された不純物領域540と、及び該シリコン基板を貫通する開口部の壁面に形成されたパッシベーション層560と、シリコン基板500を貫通する開口部を通じて酸化物半導体層510と接する第1の電極570と、不純物領域540に接する第2の電極590を含んで構成される。
図22の構成において、酸化物半導体層510は、図21の構成と同様にシリコン基板500の表面においてキャリアの再結合を抑制するパッシベーション効果を有するとともに、シリコン基板500との間で接合を形成する接合層としても作用する。また、図22(b)に示したように、酸化物半導体層510とシリコン基板500の界面を反応させてシリコン酸化膜層511を設けてもよい。
なお、図21(a)、(b)、図22(a)、(b)のそれぞれの構成を任意に複合した構成の光電変換装置としてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態、および実施例と自由に組み合わすことができる。
(実施の形態7)
本実施の形態は、本発明の一態様である光電変換装置およびその作製方法について説明する。
実施の形態4で説明した図16に示す光電変換装置では、バンド図(図23参照)で示されるように、シリコン基板300よりも仕事関数が大きく、p型の伝導性を有する酸化物半導体層310である酸化モリブデン膜がn型のシリコン基板300とのp−n接合を有する。また、電子が移動する伝導帯側にバンドベンディングによる電位障壁ができ、また、そのp−n接合間にシリコン酸化物層311介在することにより、電子が移動する伝導帯側、ホールが移動する価電子帯側ともに電位障壁ができる。シリコン酸化物層311は、シリコン基板300と酸化物半導体層310の接合における格子ミスマッチの緩衝層としての作用を有する。また、シリコン酸化物層311は、光電流のホール電流を取り出す側の価電子帯側に電位障壁が生じるため、トンネル電流として伝導させる極薄膜とするか、絶縁性が低く、半導体レベルの導電性を有していることが好ましい。シリコン酸化物層311の絶縁性が低い場合は、図示したようにバンドギャップ中に多くのエネルギー準位313が形成されているため、該エネルギー準位を介した伝導により光電流が取り出しやすくなる。
酸化モリブデン膜のエネルギーバンドギャップ中のエネルギー準位312は、ホールを移動することができる。また、エネルギー準位312が酸化物半導体層110の価電子帯としてのエネルギーバンドとして振る舞うため、酸化モリブデン膜はp型の伝導性を有することができる。
また、例えば、三酸化モリブデン(MoO3)と、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))を約10%含有する酸化モリブデン膜のイオン化ポテンシャルは約6.4eVであり、仕事関数としては5.7eV〜6.1eV程度である。このため、上述したように、伝導帯側に高い電位障壁301aを形成することができる。上記構成の酸化モリブデンと、抵抗率が1Ω・cm程度のn型シリコン基板を用いた場合の平衡状態における電位障壁301aは、1.4eV〜1.8eV程度であり、最大空乏層容量を考慮した有効な障壁高さは0.66eV程度となり、図24に示すようなダイオード電流成分となる電子の熱放出電流302aは流れにくい。一方、価電子帯側の電位障壁301bは、0.19eV〜0.59eV程度であり、ホールの拡散電流302bが流れやすい。
一般的に、ダイオード電流を抑制することで、理論上、高い開放電圧(Voc)を得ることができる。ダイオード電流と開放電圧(Voc)の関係は、簡単には式(1)で与えられる。ここで、k:ボルツマン定数、T:温度、q:素電荷、IL:光電流、Ido:ダイオード電流における飽和電流(あるいは基本電流と呼ばれる)である。
したがって、図16に示す構造の光電変換装置では、ダイオード電流成分であるホールの拡散電流が多くなるため、開放電圧を高めるにはホールの拡散電流を抑制することが課題となる。
図25(a)は本発明の一態様における光電変換装置の断面図である。該光電変換装置は、n型のシリコン基板600、該シリコン基板の一方の面に形成されたシリコン酸化物層611、該シリコン酸化物層上に形成されたp型の伝導性を有する酸化物半導体層610、該酸化物半導体層上に形成された透光性導電膜650、該透光性導電膜上に形成された第1の電極670、および該シリコン基板の他方の面に形成された第2の電極691を含んで構成される。第1の電極670はグリッド電極であり、第1の電極670側が受光面となる。なお、シリコン酸化物層611を設けない構成としてもよい。
図25(a)の光電変換装置は、図16の光電変換装置がBSF層として有する不純物領域を有さない。また、図16の光電変換装置の第2の電極390と図25(a)の光電変換装置第2の電極691とは材料が異なる。その他においては、図25(a)の光電変換装置は、図16の光電変換装置と同じであってよい。
第2の電極691には、シリコンよりも仕事関数の小さい材料を用いることができる。また、第2の電極691の仕事関数は4.6eV以下が好ましく、4.2eV以下がより好ましい。例えば、Mg、MgO、MgAg、MgIn、AlLi、BaO、SrO、CaO、GdB、YB6、LaB6、Y、Hf、Nd、La、Ce、Sm、Ca、Gdから選ばれた1つ以上の導体あるいは半導体材料を含むことが好ましい。また、AlやAgなどの低抵抗金属と積層する構造であってもよい。また、仕事関数の小さい材料としては、他に、K、Rb、Sr、Ba、Eu、Lu、Th、Uなどがある。
このような材料を第2の電極691に用いると、図26に示すようなバンド構造を得ることができる。シリコン酸化物層611との界面に形成される電位障壁601a、601b以外に、第2の電極691との界面にもバンドベンディングによりホールの電位障壁601cを形成することができ、電位障壁601bと電位障壁601cによるホールに対する高い電位障壁を得ることができる。したがって、図27に示すようにホールの拡散電流602bを抑制することができる。つまり、電子の熱放出電流602aとホールの拡散電流602bの和であるダイオード電流を抑制することができ、高い開放電圧を得ることができる。なお、ホールの電位障壁601cは、ダイオード電流と逆向きに流れる光電流が第1の電極670、第2の電極691で電流として取り出せる際の妨げとはならない向きにバンドベンディングされた電位障壁である。また、図26に示すエネルギー準位612、613は図23に示すエネルギー準位312、313にそれぞれ相当する。
また、図33のように、第2の電極691とシリコン基板600の間に、シリコンよりも仕事関数の小さい半導体領域692を設けてもよい。半導体領域692の仕事関数は4.6eV以下が好ましく、4.2eV以下がより好ましい。例えば、MgO、BaO、SrO、CaOなどから選ばれた1つ以上の半導体材料で形成することができる。このとき第2の電極は、同上の述べた低仕事関数材料の導体で構成されることが好ましいが、低仕事関数材料でなく、AlやAgなどの低抵抗金属としてもよい。
図16の光電変換装置のような一般のダイオードにおけるホールの拡散電流(Id,p)は、理論的には下式(2)、(3)で表される。
また、図25(a)の光電変換装置におけるホールの拡散電流は、下式(4)のようになる。
ここで、Id,p:ホールの拡散電流、Id0,p:ホールの拡散電流における飽和電流、q:素電荷、A:面積、Dp:ホール拡散係数、Lp:ホール拡散長、pn0:平衡時のn型シリコン基板中ホール密度、Wn:n型シリコン基板厚さ、LB:裏面バンドベンディング幅、In→m:シリコン基板裏面における価電子帯障壁通過ホール電流、V:酸化物半導体層とシリコン基板間の電位差、k:ボルツマン定数、T:温度、である。
式(4)は、シリコン基板裏面側における価電子帯のホール障壁を越えるホール電流602c(図27参照)をIn→mとした境界条件を設けて、電流連続の方程式を解くことで導くことができる。
式(4)中のホール電流602cであるIn→mは、厳密な解をもとめることは容易でないが、ある程度の近似のもとで求めることができる。In→mは、式(5)のように、n型シリコン基板の少数キャリアであるホールの熱放出的な電流In→m Thermonicと裏面バンドベンディングによる価電子帯の電位障壁をトンネルする電流In→m Tunnelにおける、平衡状態からの変化量の和と考えることができる。
ホールの熱放出的な電流In→m Thermonic(Pn,VB)は、シリコン基板裏面付近のホールの分布をMaxwell−Bolzman速度分布とホールの速度を掛けて、裏面バンドベンディングによるホール障壁を越えることができるホールの速度以上で積分することで求められ、式(6)のように表すことができる。
また、裏面バンドベンディングによる価電子帯の電位障壁をホールがトンネルする電流In→m Tunnel(Pn,VB)は、ホールの熱放出電流に価電子帯の電位障壁をトンネルする確率を掛けて積分することで式(7)のように求めることができる。裏面バンドベンディングによる曲がった価電子帯バンドの電位障壁のトンネル確率を解析的にもとめることは困難であるため、バンドの曲がりを一次関数で近似した三角ポテンシャルとし、WKB(Wentzel−Kramers−Brillouin)近似を用いて計算すれば、トンネル確率の近似解である式(7)を得ることができる。
ここで、In→m Thermonic(Pn,VB):ホールキャリア密度Pnと電位VB時の価電子帯障壁を通過するホールの熱放出電流、In→m Tunnel(Pn,VB):ホールキャリア密度Pnと電位VB時の価電子帯障壁をトンネルするホール電流、mh *:シリコン基板のホール有効質量、VB:シリコン基板と第2の電極間の電位差、φn−m:シリコン基板と第2の電極との仕事関数差、x:シリコン基板の膜厚方向での位置、である。
一方、上で述べた式(4)の右辺第二項はId0,p1を下げる項であり、式(4)の右辺第一項は式(8)の大小関係が成立するため、式(3)のId0,p2よりも小さい電流値となることがいえる。
よって、式(3)よりも式(4)の飽和電流値が小さい関係Id0,p1≦Id0,p2が成立する。したがって、本発明の一態様である図25の光電変換装置を用いることで、図16の光電変換装置よりもホールの拡散電流を抑制することができ、式(1)から開放電圧を向上させることができるといえる。
本発明の一態様である光電変換装置は、ホールの拡散電流を抑制すること、および受光面に加えて他方の面での電圧生成により、開放電圧を向上させることができる。
また、本発明の一態様における光電変換装置は、図25(b)に示す構造であってもよい。該光電変換装置は、図25(a)の構成に不純物半導体領域660が加えられた構成である。不純物半導体領域660を加えることにより、バンドベンディング幅を広げ、ホールの電位障壁601cを高くすることでき、ホールの拡散電流602bを抑制しやすくなる。
なお、不純物半導体領域660は、シリコン基板600よりもキャリア濃度の低い領域としてもよい。例えば、不純物半導体領域660は、シリコン基板600とは逆の導電型を付与する不純物を添加することにより形成することができる。また、シリコン基板600よりもキャリア濃度の低いシリコン膜を成膜することにより形成してもよい。不純物半導体領域660の厚さは、バンドベンディングの空乏層幅よりも薄くすることが望ましい。不純物半導体領域660の幅すべてがバンドベンディングされていれば、光電流の取り出しの妨げとはならず好ましい。
なお、不純物半導体領域660は、BSF(Back Surface Field)層として、シリコン基板600と同じ導電型を有し、かつシリコン基板600よりも高濃度のキャリアを有する領域としてもよい。BSF層を設けることにより、n−n+接合またはp−p+接合が形成される。それにより、バンドベンディングによる電位障壁ができる。また、それに加えて、低仕事関数材料で構成された第2の電極691によるバンドベンディングの電位障壁も得られ、第2の電極691近傍での少数キャリアの再結合の抑制効果が得られることで、ホールの拡散電流を抑制することができる。
また、本発明の一態様における光電変換装置は、図28(a)、(b)、(c)に示す構造としてもよい。図28(a)、(b)、(c)に示す光電変換装置は、n型のシリコン基板600、該シリコン基板の一方の面に形成されたp型の伝導性を有する酸化物半導体層610、該酸化物半導体層上に形成された透光性導電膜650、該透光性導電膜上に形成された第1の電極670、シリコン基板600の他方の面に形成されたパッシベーション層680、該シリコン基板と接する第2の電極691を含んで構成される。
パッシベーション層680には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン(SiNxOy(x>y>0))膜、酸化窒化シリコン(SiOxNy(x>y>0))膜、酸化アルミニウム膜などの絶縁膜を用いることができる。パッシベーション層680を設けることで、シリコン基板600の裏面側における少数キャリアの再結合を低減させることができ、光電変換装置の発電出力電圧を向上させることができる。また、シリコン基板よりも屈折率が小さい材料で形成された膜をパッシベーション層680として用いることで、シリコン基板裏面での反射率を上げることができる。したがって、前述した光電変換装置の開放電圧を向上させる効果のほか、発電出力電流を向上させることもできる。
図28(a)に示す光電変換装置の構造は、パッシベーション層680に設けた開口部でシリコン基板600と第2の電極691とが接する構造である。また、図28(b)に示す光電変換装置の構造は、パッシベーション層680の開口部付近のみに不純物半導体領域660を設け、該開口部で不純物半導体領域660と第2の電極691とが接する構造である。図28(b)の構造の光電変換装置では、図25(b)の光電変換装置と同様に、不純物半導体領域660を設けることによりホールの拡散電流602bを抑制しやすくなる。また、図28(c)に示す光電変換装置の構造は、シリコン基板600の受光面の他方の面に不純物半導体領域660を設け、該開口部で不純物半導体領域660と第2の電極691とが接する構造である。図28(c)の構造の光電変換装置では、図25(c)の光電変換装置と同様に、不純物半導体領域660を設けることによりパッシベーション層680を介して、シリコン基板600および不純物半導体領域660にバンドベンディングが得られ、ホールの拡散電流602bを抑制しやすくなる。
また、図25(a)および図28(a)の構造の光電変換装置においては、シリコン基板600の導電型をn型ではなく、i型としてもよい。光電変換層のシリコン基板自体のキャリアを低濃度化させることで、表面側の電子の電位障壁が下がるものの、裏面側のホールの電位障壁およびバンドベンディング幅が得られやすくなる。また、i型のシリコン基板を用いるため、キャリア濃度が極めて低いことにより拡散長を長くすることができる。それにより、電子の熱放出電流とホールの拡散電流で構成される総合的なダイオード電流の低減が可能、および、酸化物半導体層610とシリコン基板600の接合間に加えてシリコン基板600と第2の電極691接合間の両方で光起電力による電圧生成をすることができる。
酸化物半導体層610は、複数の酸化物を混合することにより、導電型を変化させることができる。例えば、酸化モリブデンでは、三酸化モリブデン(MoO3)と、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))とを含む混合組成物とすることで、p型の伝導性を付与することができる。上記混合組成物においては、MoOy(2<y<3)を4%以上含む組成とすることで、高濃度のキャリアを有するp型半導体として振る舞うことができる。ここで、p型の伝導性とは、フェルミ準位が伝導帯より価電子帯に近いこと、あるいはp型のキャリアであるホールを移動することができることを指す以外に、逆の導電型であるn型の伝導性を有する材料と接続した際に仕事関数の差によるバンドベンディングによっても、n型の伝導性を有する半導体材料との接合した素子の電流−電圧(I−V)特性が整流性を示すものを含むこととする。
上記の二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))には、例えば、Mo2O5、Mo3O8、Mo8O23、Mo9O26、Mo4O11、Mo17O47、Mo5O14などや、MoO3中の一部の酸素原子が欠損してMoO2とMoO3の中間的な組成となったものを用いることができる。これらは、MoO3を原料として、その一部を還元することにより形成することができる。
また、酸化モリブデン膜はパッシベーション効果が高く、シリコン表面の欠陥を低減させることができ、キャリアのライフタイムを向上させることができる。
また、本発明の一態様における光電変換装置は、図29(a)、(b)、図30(a)、(b)、(c)に示すように、シリコン酸化物層611を有さない構造としてもよい。シリコン酸化物層611を有さず、かつシリコン基板600と酸化物半導体層610の界面再結合が少なければ、シリコン酸化物層611の抵抗による電圧降下が低減でき、出力を向上させることができる。
次に、図25(a)に示した光電変換装置の作製方法については、実施の形態4で説明した図16の光電変換装置の作製方法を参照することができる。なお、シリコン基板600の他方の面上に形成する第2の電極691としては、Mg、MgO、MgAg、MgIn、AlLi、BaO、SrO、CaO、GdB、YB6、LaB6、Y、Hf、Nd、La、Ce、Sm、Ca、Gdから選ばれた1つ以上の材料を含むことが好ましい。これらの材料を用いた第2の電極691は、スパッタ法や蒸着法などで形成することができる。また、上記材料とAlやAgなどの低抵抗金属、または銀ペーストなどの導電性樹脂を積層した構成としてもよい。
また、図33(a)の構成の光電変換装置を形成するには、第2の電極691を形成する工程の前に、半導体領域692を形成すればよい。半導体領域692として、例えば、MgO、BaO、SrO、CaOなどから選ばれた1つ以上の半導体材料で形成することができる。このとき第2の電極691は、Al、Ag、Mg、MgAg、MgIn、AlLi、GdB、YB6、LaB6、Y、Hf、Nd、La、Ce、Sm、Ca、Gdから選ばれた1つ以上の導体で形成することができる。
また、図33(b)の構成の光電変換装置を形成するには、第2の電極691を形成する工程の前に、シリコン基板600とは逆の導電型を付与する不純物をシリコン基板600の他方の面に拡散させて、不純物半導体領域660し、半導体領域692を形成すればよい。不純物半導体領域660は、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウムなどを拡散させる。また、プラズマCVD法などにより、n−型またはp−型の非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜をシリコン基板600の他方の面上に成膜して不純物半導体領域660を形成してもよい。また、不純物半導体領域660の代替として、i型の非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜を用いてもよい。また、半導体領域692は、例えば、MgO、BaO、SrO、CaOなどから選ばれた1つ以上の半導体材料で形成することができる。このとき第2の電極191は、Al、Ag、Mg、MgAg、MgIn、AlLi、GdB、YB6、LaB6、Y、Hf、Nd、La、Ce、Sm、Ca、Gdから選ばれた1つ以上の導体で形成することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わすことができる。
(実施の形態8)
上述の酸化物半導体材料は、金属、i型半導体材料、またはn型半導体材料などと接合を形成することにより、トランジスタ、ダイオード、光電変換装置、電気光学装置、発光表示装置、記憶装置、撮像装置、半導体回路および電子機器などの様々な半導体装置に適用することができる。例えば、トランジスタのチャネル領域に用いることにより、pチャネル型のトランジスタを形成することができる。また、i型半導体層、および/またはn型半導体層との組み合わせにより、p−i接合デバイス、p−i−n接合デバイス、p−n接合デバイスなどを形成することができる。該酸化物半導体材料を用いることにより、シリコン系半導体材料を用いた場合とは異なる光学特性および/または電気特性を有する半導体装置を形成することができ、半導体装置の電気特性の向上、信頼性の向上、低消費電力化など様々な利点を得ることができる。本実施の形態では、上該半導体装置を電子機器に適用する場合について、図31を用いて説明する。本実施の形態では、コンピュータ、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯情報端末(携帯型ゲーム機、音響再生装置なども含む)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子ペーパー、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)などの電子機器に、該半導体装置を適用する場合について説明する。
図31(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、筐体1701、筐体1702、表示部1703、キーボード1704などによって構成されている。筐体1701と筐体1702内に設けられた少なくとも一つ以上の半導体装置は、本発明の一態様である酸化物半導体材料を用いて形成することができる。
図31(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体1711には、表示部1713と、外部インターフェース1715と、操作ボタン1714等が設けられている。また、携帯情報端末を操作するスタイラス1712などを備えている。本体1711内に設けられた半導体装置は、本発明の一態様である酸化物半導体材料を用いて形成することができる。
図31(C)は、電子ペーパーを実装した電子書籍である、電子書籍1720は、筐体1721と筐体1723の2つの筐体で構成されている。筐体1721および筐体1723には、それぞれ表示部1725および表示部1727が設けられている。筐体1721と筐体1723は、軸部1737により接続されており、該軸部1737を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体1721は、電源1731、操作キー1733、スピーカー1735などを備えている。筐体1721および筐体1723内に設けられた少なくとも一つ以上の半導体装置は、本発明の一態様である酸化物半導体材料を用いて形成することができる。
図31(D)は、携帯電話機であり、筐体1740と筐体1741の2つの筐体で構成されている。さらに、筐体1740と筐体1741は、スライドし、図31(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。また、筐体1741は、表示パネル1742、スピーカー1743、マイクロフォン1744、タッチパネル1745、ポインティングデバイス1746、カメラ1747、外部接続端子1748などを備えている。また、筐体1740は、携帯電話機の充電を行う太陽電池1749、外部メモリスロット1750などを備えている。また、アンテナは、筐体1741に内蔵されている。筐体1740および筐体1741内に設けられた少なくとも一つ以上の半導体装置は、本発明の一態様である酸化物半導体材料を用いて形成することができる。
図31(E)は、デジタルカメラであり、本体1761、表示部1767、接眼部1763、操作スイッチ1764、表示部1765、バッテリー1766などによって構成されている。本体1761内に設けられた少なくとも一つ以上の半導体装置は、本発明の一態様である酸化物半導体材料を用いて形成することができる。
図31(F)は、テレビジョン装置であり、筐体1771、表示部1773、スタンド1775などで構成されている。テレビジョン装置1770の操作は、筐体1771が備えるスイッチや、リモートコントローラ1780により行うことができる。筐体1771およびリモートコントローラ内に設けられた少なくとも一つ以上の半導体装置は、本発明の一態様である酸化物半導体材料を用いて形成することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の一態様である酸化モリブデン膜(MoO3+MoOy(2<y<3))を用いて作製したダイオード素子の電気特性に関して説明する。
実施の形態1において詳細を説明したMoO3およびMoOy(2<y<3)を含む酸化モリブデン膜を用いてダイオードを作製し、電気特性を評価した。酸化モリブデン膜の導電型は、導電型やキャリア濃度の異なるシリコン基板との接続によって形成されたダイオードの電流−電圧(I−V)特性から判断することができる。
作製したダイオードの素子は、一導電型を有する単結晶シリコン基板と、該単結晶シリコン基板の一方の面に成膜された酸化モリブデン膜と、該単結晶シリコン基板の他方の面に成膜された該単結晶シリコン基板と同じ導電型を有する非晶質シリコン膜と、該酸化モリブデン膜上に成膜されたアルミニウム電極と、該非晶質シリコン膜上に成膜されたアルミニウム電極で構成される。
単結晶シリコン基板には、n型の導電型を付与する不純物としてリン(P)を添加したn型の単結晶シリコン、あるいはp型の導電型を付与する不純物としてホウ素(B)を添加したp型の単結晶シリコンの2種類を用いた。
酸化モリブデン膜の膜厚は50nmとし、実施の形態1で説明した方法で形成した。
非晶質シリコン膜は、プラズマCVD法にて形成した。n型の単結晶シリコン基板を用いた場合は、n型の非晶質シリコンを形成し、p型の単結晶シリコン基板を用いた場合は、p型の非晶質シリコンを成膜した。n型の非晶質シリコンは、モノシラン(SiH4)と水素希釈されたホスフィン(PH3)を混合したガスをプラズマ励起させて成膜した。p型の非晶質シリコンは、モノシラン(SiH4)と水素希釈されたジボランガス(B2H6)を混合したガスをプラズマ励起させて成膜した。なお、非晶質シリコン膜は、作製するダイオード素子において単結晶シリコンと金属電極との間でショットキー接合が形成されることを防止し、オーミックな接合を形成するために上記単結晶シリコン基板よりもキャリア濃度が高くなるように形成した。したがって、非晶質シリコン膜を成膜する以外に、単結晶シリコン基板にシリコン基板と同じ導電型を付与する不純物を熱拡散させた領域を設けてもよい。ここでは、シリコン基板と同じ導電型を有する非晶質シリコン膜を用い、膜厚は10nmとした。
該酸化モリブデン膜上に成膜されたアルミニウム電極、および該非晶質シリコン膜上に成膜されたアルミニウム電極は、抵抗加熱による蒸着法にて形成した。
以上の方法で、酸化モリブデン膜と単結晶シリコン基板を接合させてダイオードを作製した。作製したダイオードの電気特性は、単結晶シリコン側の電極をグランドとして、酸化モリブデン側の電極に電圧を印加して、I−V特性を測定した。
図4(a)はn型のシリコン基板上に、図4(b)はp型のシリコン基板上に、それぞれ酸化モリブデン膜を形成した素子のI−V特性である。該酸化モリブデン膜は、MoO3およびMoOy(2<y<3)を含む混合組成物である。
MoOy(2<y<3)を含有する割合が約3%以下の酸化モリブデン膜を用いた素子では、図4(a)、4(b)とも整流性を示している。一方、MoOy(2<y<3)を含有する割合が約4%以上の酸化モリブデン膜を用いた素子では、図4(a)では整流性を示し、図4(b)ではオーム性を示している。
したがって、MoOy(2<y<3)を約4%以上含む酸化モリブデン膜を用いた場合、n型シリコン基板との接合時にはp−n接合、p型シリコン基板との接合時にp−p接合が形成されているといえる。
また、MoOy(2<y<3)を含有する割合が約4%以上の酸化モリブデン膜は、ヘテロ接合でもn型のシリコン基板との接合時のみ整流性を示すことから高濃度のキャリアを有するp型の導電型であることがわかる。
なお、MoOy(2<y<3)が約3%以下の酸化モリブデン膜では、バンドギャップの異なるヘテロ接合のため、n型のシリコン基板を用いた素子、p型のシリコン基板を用いた素子ともに整流性を示す。そのため、フェルミ準位が価電子帯側に近いか、伝導帯側に近いか、特定が困難である。すなわち、MoOy(2<y<3)が約3%以下では、n型の導電型、i型の導電型、p型の導電型とも特定されない。
上記の実験により、MoO3およびMoOy(2<y<3)の混合組成物からなる酸化モリブデン膜において、MoOy(2<y<3)を約4%以上含む酸化モリブデン膜は、p型の導電型を有する酸化物半導体材料であることが示された。
本実施例は、実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の一態様の光電変換装置に関する実験結果を説明する。
実施の形態1で詳細を説明した、三酸化モリブデン(MoO3)と、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデンの中間組成を有する酸化モリブデン(MoOy(2<y<3))を含む酸化モリブデン膜を酸化物半導体層として用いた光電変換装置の電気特性を評価した。
作製した光電変換装置には、実施の形態5の図19(b)に示した構造を用いた。酸化物半導体層410には上記酸化モリブデン膜を用い、MoOy(2<y<3)を含有する割合を約22%として作製した光電変換装置をセルA、MoOy(2<y<3)を含有する割合を約10%として作製した光電変換装置をセルB、MoOy(2<y<3)を含有する割合を約3%として作製した光電変換装置をセルCとした。
なお、本発明の一態様の光電変換装置の構成を有するセルA、およびセルBにおける酸化物半導体層410は、実施の形態1で説明した蒸着法で成膜した酸化モリブデンで形成し、シリコン酸化物層411は、その成膜時におけるシリコン基板400との界面での反応により二酸化シリコン膜とシリコン膜の混合物で形成した。セルCの酸化物半導体層410は、スパッタ法で成膜した酸化モリブデンで形成し、シリコン酸化物層411は、その成膜時におけるシリコン基板400との界面での反応により形成した。
セルA、セルB、セルCともにシリコン基板400には、n型単結晶シリコン基板を用いた。セルA、Cの酸化物半導体層410の膜厚は約3〜10nm、セルBの酸化物半導体層410の膜厚は約47〜50nmとした。また、シリコン基板400と酸化物半導体層410の界面に形成したシリコン酸化物層311の膜厚は約4〜7nmであった。セル面積は、セルA、セルB、セルCともに100cm2とした。
図32は、作製したセルA、セルB、セルCのI−V特性である。測定は、ソーラーシミュレータにより発生させた疑似太陽光(AM1.5G、照射強度は100mW/cm2)を用い、温度25℃環境下で行った。それぞれ、短絡電流密度(Jsc)は、セルAが32.8mA/cm2、セルBが29.4mA/cm2、セルCが0.01mA/cm2であり、開放電圧(Voc)は、セルAが0.642V、セルBが0.635V、セルCが0.028Vとなり、セルA、セルBが高い電気特性を示し、またセルAが最も高い電気特性結果となった。
上記の結果より、セルA、セルBが、良好なp型の導電型を有する酸化物半導体層を有しているといえる。また、セルA、セルBは、酸化物半導体層中をp型の伝導キャリアであるホールを移動することができるため、光吸収して励起されたホールを酸化物半導体層側の電極で収集することができる。したがって、本発明の一態様の光電変換装置の構成を有するセルA、およびセルBは、大きな短絡電流密度(Jsc)を得ることができる。
本実施例は、実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。