JP2005243378A - 光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明電極および金属酸化物半導体の接着強度を向上させ、信頼性に優れた高効率の光電変換装置を提供すること。
【解決手段】 3〜5族の1種以上の元素を含有した透明電極2と、この透明電極上に形成され色素を有する金属酸化物半導体3とを備えた光電変換装置とする。これにより、透明電極2および金属酸化物半導体3の接着強度が向上し、信頼性に優れた光電変換装置を作製することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、特に太陽電池や光センサ等に使用可能であり、透明電極と、この透明電極上に形成され色素を有する金属酸化物半導体とを備えた光電変換装置に関するものである。
近年、低コスト型太陽電池である色素増感型太陽電池の開発が盛んに行なわれている。このタイプの太陽電池は、真空装置を用いないこと、低温プロセスであること、材料コストが安価であることから、製造コストが安いことが特長であるが、現在、主流となっているバルクシリコン(Si)系太陽電池に比して、信頼性の面において大きな遅れをとっている。
信頼性向上のための検討としては、主として、長寿命を有する有機色素開発、経時変化しない安定な正孔輸送層開発および同正孔輸送層の封止技術開発が盛んに行なわれている。
一方、上記以外の課題としては、酸化チタンを代表とする金属酸化物半導体と透明電極との物理的接着強度の信頼性向上が挙げられる。特に高い耐熱性を有しない熱可塑性基板を用いる場合や、コストおよびプロセスタクトのメリットを考慮して、金属酸化物半導体の焼成温度を比較的低く設定する場合には、金属酸化物半導体と透明電極との物理的接着強度が充分に得られず、素子特性の長期信頼性が大幅に低下するといった問題があった。
従来、色素増感太陽電池における金属酸化物半導体と透明電極との物理的接着強度向上に対する効果的な解決手段は開示されていないが、シリコン原子を含有する非単結晶半導体材料からなる半導体層および透明電極の構成例においては、透明電極が酸化物から構成され、且つこの酸化物に炭素原子を含有させることにより、透明電極の柔軟性を助長し、半導体層と透明電極との密着性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、pn接合またはpin接合から成る半導体層と電極とを導電性基板上に備えた太陽電池において、導電性基板および半導体層間に遷移金属を1原子ppm以上5原子%以下の一定の濃度で含む酸化亜鉛層を挿入することにより、上記2層間の密着性を向上させることも提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
さらに、上記と同様に透明導電膜に不純物を添加して膜質を変化させるために、酸化錫を主成分とした導電膜における塩素濃度が0.11質量%であり、前記導電膜中のフッ素濃度を前記塩素濃度以上にするという提案がなされている(例えば、特許文献3を参照。)。
特許2788798号公報
特許2788799号公報
特開2001−36107号公報
しかしながら、上述した各技術では、シリコン系半導体層および透明電極との物理的接着強度向上、または透明電極自体の透過率向上に主眼を置いたものであり、金属酸化物半導体と透明電極との物理的接着強度向上に関して考慮したものではない。
すなわち、特許文献1に開示された光起電力素子では、導電性基板上に、少なくともシリコン原子を含有する非単結晶半導体材料からなるp型層、i型層、n型層および透明電極を積層して構成される光起電力素子が前提となっており、例えば炭素原子が含有されることによる金属酸化物半導体と透明電極との物理的接着強度の変化については全く不明である。
また、特許文献2に開示された太陽電池では、pn接合またはpin接合からなる半導体層と電極とを導電性基板上に順次積層した構造が前提となっている。また、挿入される遷移金属を1原子ppm以上5原子%以下の一定の濃度で含む酸化亜鉛層は、接着層としてのバッファ層であり、同部位の形成のために素子作製プロセスが複雑になるといった問題があった。さらに、同部位での光吸収ロスがわずかに存在するために、光収支の面においてもデメリットが存在していた。
さらに、特許文献3に開示された光電変換装置用基板においては、塩素およびフッ素濃度の制御により、光透過率の向上とヘイズ率の制御を行なっているが、金属酸化物半導体と透明電極との物理的接着強度の変化については全く不明である。
そこで本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は透明電極と金属酸化物半導体との接着強度を向上させ信頼性に優れた光電変換装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の光電変換装置は、3〜5族元素(旧IIIA〜VA族元素のスカンジウム(Sc),イットリウム(Y),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf),バナジウム(V),ニオブ(Nb),タンタル(Ta)等)の1種以上の元素を含有した透明電極と、該透明電極上に形成された、色素を有する金属酸化物半導体とを備えたことを特徴とする。また特に、前記透明電極の前記金属酸化物半導体側に、前記3〜5族元素の1種以上の元素がより多く含有されていることを特徴とする。さらに、前記透明電極が、錫酸化物、インジウム酸化物もしくは亜鉛酸化物またはこれら酸化物の複合酸化物であることを特徴とする。
本発明の光電変換装置によれば、3〜5族元素の1種以上の元素を含有した透明電極と、この透明電極上に形成され色素を有する金属酸化物半導体とを備えたので、透明電極に含有される3〜5族元素は酸素との結合する力が強いので、透明電極と、この上に形成される金属酸化物半導体との間に高い接着力を生じさせる。すなわち、透明電極内に含有されている3〜5族元素と金属酸化物半導体内の酸素とが強固に結合することにより高い接着力が得られる。この効果は透明電極内に含有されている3〜5族元素の濃度が高いほど顕著であるが、透明電極の光学的透過率を高く維持しつつ、高い接着力を得るには、透明電極中に3〜5族元素を0.1原子ppm〜0.1原子%含有させることが好ましい。
また、透明電極の金属酸化物半導体側に、3〜5族元素の1種以上の元素をより多く含有させると、透明電極の光学的透過率をより高く維持しつつ接着力を向上させることができるのでよい。特に透明電極内の3〜5族元素が金属酸化物半導体との界面において最も多く含まれるようにすることが好ましい。
さらに、3〜5族元素が金属酸化物半導体側からみて、略指数関数的に減少するような分布の場合に、最も経時変化しにくく安定なものとなるために好ましい。
以上により、透明電極と金属酸化物半導体との間ではがれが生じない信頼性に優れた光電変換装置を提供することができる。
以下、本発明の光電変換装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明に係る光電変換装置の一実施形態を示す断面図であり、1は金属基板、2は透明電極、3は色素4を有する金属酸化物半導体であり色素4で発生した電子を輸送する電子輸送体として機能する。また、5は対向電極、6は色素4で発生した正孔を輸送する正孔輸送体として機能する電解液である。
まず、金属基板1は銀(Ag),アルミニウム(Al),銅(Cu),チタン(Ti),ニッケル(Ni),鉄(Fe),亜鉛(Zn),モリブデン(Mo),タングステン(W)またはこれらの合金や化合物を用いることができる。これら元素の中では、特に、光学的に高反射率を有するAg,Alを用いることが好ましい。また、金属基板1の厚さは0.01mm乃至3mm程度のものを用いるとよい。ロールトゥーロール方式等で巻回させる必要がある場合は、0.01mm乃至1mmの厚みとし、枚葉式等で板材として用いる場合には0.1mm乃至3mmの厚みとすると強度的に良好である。また、支持体としての機能を有するものであれば、例えばガラスやPET等の樹脂材料を用いてもよい。
透明電極2は低抵抗材料であり、且つヨウ素電解液等の電解液に対して腐食耐性を有する材料から構成され、化学的性質が類似する3〜5族元素(旧IIIA〜VA族のスカンジウム(Sc),イットリウム(Y),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf),バナジウム(V),ニオブ(Nb),タンタル(Ta)等)の1種以上の元素、その中で特にTiを微量(0.1原子ppm〜0.1原子%)に含有する透明電極材料が好適に用いられる。3〜5族元素、特にTiを微量に含有させる透明電極材料の例としては、錫酸化物、インジウム−錫酸化物、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、ガリウム酸化物、ストロンチウム−銅酸化物、銅−インジウム酸化物、カルシウム−アルミニウム酸化物、銅ヨウ化物およびその複合物や、上記材料に他金属を微量ドープしたものが挙げられる。これらの中でも、可視光域において80%以上の高い透過率を有し、1μm程度の膜厚において10Ω/□程度の低抵抗値が得られることから、錫酸化物、インジウム酸化物、亜鉛酸化物またはこれらの複合酸化物が好ましい。
ここで、透明電極2に含有される3〜5族元素、特にTiは、酸素などとの高い結合力により、透明電極2上に形成される金属酸化物半導体3との間に高い接着力を発現させることに大きく寄与する。すなわち、透明電極2内に含有されている3〜5族元素、特にTiが金属酸化物半導体3内の、特に酸素原子と強固に結合することにより高い接着力が得られる。この効果は透明電極2内に含有されている3〜5族元素の濃度、特にTi濃度が高いほど顕著に発現するが、透明電極2の内部にまで3〜5族元素、特にTiを高濃度で含有させた場合には、透明電極2の光学的透過率が低下し、素子の短絡電流値が低下するために好ましくない。よって、透明電極2の光学的透過率を高く維持しつつ、高い接着力を得るには、透明電極2中に3〜5族元素、特にTiを0.1原子ppm〜0.1原子%含有させることがよく、また透明電極2の金属酸化物半導体3側に、3〜5族元素の1種以上の元素、特にTiをより多く含有させるとよい。特に透明電極2内の3〜5族元素、特にTiが金属酸化物半導体3との界面において最も多く含まれるようにすることが好ましい。さらに、3〜5族元素、特にTiの深さ方向の含有濃度は、金属酸化物半導体3との界面側からみて、略指数関数的に減少するようなプロファイルの場合に、最も経時変化しにくく安定なものとなるために最も好ましい。
なお、透明電極2の形成はスパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法等の真空成膜技術を用いる他、スプレー熱分解法、ペースト法、ディップコート法等によっても容易に形成することが可能である。
真空成膜にて形成する場合、例えばスパッタ法を用いてTiを含有するフッ素ドープ酸化錫層を形成する場合には、スパッタリングターゲットとして、あらかじめTiを含有させたフッ素ドープ酸化錫を用いてスパッタする方法、純Tiターゲットとフッ素ドープした酸化錫ターゲットを用いて2元スパッタする方法、フッ素ドープした酸化錫ターゲットを、Tiを含有するガス雰囲気にてリアクティブスパッタなどを用いる。
一方、大気圧下で形成する場合、例えばスプレー熱分解法を用いてTiを含有するフッ素ドープ酸化錫層を形成する場合には、原料溶液としてDBTDA[(C4H9)2Sn(OCOCH3)2]エタノール溶液およびフッ化アンモニウム水溶液の混合液等、錫原子およびフッ素原子を含有する溶媒に、チタンオキシアセチルアセトネートエタノール溶液等、チタン原子を含有する溶媒を極微量添加したものを用いて、加熱基板上に間欠噴霧して形成する。錫原子を含有する原料としては、塩化錫(無水)、塩化錫・5水和物、テトラブチル錫等を用いてもよい。Tiを含有する原料としては、四塩化チタン、チタンイソプロポキシド、Ti微粒子または酸化チタン微粒子を用いてもよい。
金属酸化物半導体3はIn2O3,SnO2,WO3,ZnO,TiO2,Nb2O5,ZrO2,Ta2O5,Ag2O,MnO2,Cu2O3,Fe2O3,V2O5,Cr2O3,NiO,SrTiO3,K4NbO17等が用いられる。また、上記の材料にバンドギャップ調整材、あるいは電荷輸送特性を向上させる目的で微量の不純物をドープしたものを用いてもよい。さらに、上記の材料を複合して用いてもよい。特に上記材料の中ではTiO2が好ましい。これは、下記に示すような多孔質形状の形態が得られやすいために表面積を大きくできることや、素子にした際に注入キャリアとなる電子のライフタイムがμsec〜msecオーダーと長い、といった特長を有しているからである。
また、金属酸化物半導体3の形状は多孔質形状または、針状や円柱状物質の集合体であることが好ましい。これにより、電荷発生部の形成面積の拡大と電荷発生材料の拡散経路の確保を両立させることができるため、高効率化が容易となる。また、針状や円柱状物質を用いる場合には、長軸方向へのキャリアの拡散係数が大きいため、伝導過程における再結合ロスが低減されるといった利点がある。
さらに、電子輸送特性が極度に低下しないものであれば、金属酸化物半導体3に代えてSi,Ge等の単体の半導体、CdSe,CdS,InP,Bi2S3,PbS,ZnS等の化合物半導体やこれらに不純物を適宜ドープしたものを用いてもよい。
色素4はルテニウム錯体,フタロシアニン色素,シアニン色素,メロシアニン色素,ポルフィリン色素,ペリレン色素,アントラキノン色素,アゾ色素,キノフタロン色素,ナフトキノン色素,キナクリドン色素,トリフェニルメタン色素,キサンテン色素,ベリレン色素,インジゴ色素等の有機色素、または無機色素から構成されることが好ましい。また、金属酸化物半導体3との吸着性および電荷輸送性を考慮すると、色素4の分子中にカルボキシル基,ヒドロキシル基,アルコキシ基,スルホン酸基,エステル基,ホスホニル基,ヒドロキシアルキル等のインターロック基を備えていることが好ましい。また、ここでいう色素とは、少なくとも可視光領域の光を吸収してキャリアを励起させる物質を統括的に表すものとし、本発明の効果が著しく損なわれないものであれば、これを好適に用いることができる。例えば、Si,Ge等の単体半導体、CdSe,CdS,InP,Bi2S3,PbS,ZnS等の化合物半導体やこれらに不純物を適宜ドープしたものを用いてもよい。さらに、有機−無機ハイブリッド材料も同様に適用することが可能である。
対向電極5は透光性および導電性を有する材料から構成されることが好ましく、支持基体上に透明導電層を形成したものが好適に用いられる。具体的には支持基体はガラス、透明プラスチックおよび透明樹脂等が用いられる。また、透明導電層には酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛またはこれらの複合酸化物が用いられる。さらに透明導電層上には、電解液中のレドックスイオンの還元反応を充分な速度で行なわせるために、白金(Pt),カーボン(C),ロジウム(Rh),ルテニウム(Ru)等の触媒層を形成することが好ましい。
なお、対向電極5のシート抵抗は20Ω/□以下、望ましくは10Ω/□以下であり、これを達成するために、網目状金属等からなる取り出し電極を付加形成してもよい。取り出し電極の材料としては、Ag,Al,Cu,Ti,Ni,Fe,Zn,Mo,Wまたはこれらの合金や化合物を用いることができる。この時、電解液に対して腐食耐性の低い材料を用いた場合は、腐食耐性に優れたバリア層をさらに設けることが望ましい。
電解液6は、イミダゾリウム塩,トリアゾリウム塩およびピリジニウム塩等の溶融塩電解質や、LiI,NaI,KIおよびCaI2とI2の混合物、またはLiBr,NaBr,KBrおよびCaBr2とBr2の混合物をアルコール類,ニトリル化合物,カーボネート化合物に溶解させた電解液が好適に用いられる。
また、電解液6はプロセス上で問題の無い限り、擬固体化ゲル電解質や固体電解質に置き換えてもよく、さらに耐候性を考慮するとp型無機半導体等を用いることができる。p型無機半導体等の例としては、CuI,Cu2O,CuS,CuInSe,CuInS,CuSCN,CoO,NiO,FeO,MoO2およびCr2O3等が挙げられる。
かくして、本発明の光電変換装置によれば、3〜5族の1種以上の元素を含有した透明電極2と、この透明電極2上に形成され色素4を有する金属酸化物半導体3とを備え、特に、透明電極2の金属酸化物半導体3側に、前記3〜5族の少なくとも1種以上の元素が多く含有されているので、透明電極2内に含有されている3〜5族元素が金属酸化物半導体3内の特に酸素原子と強固に結合することにより、透明電極2と金属酸化物半導体3とが強固に接着することができるので、はがれのない信頼性の高い光電変換装置を提供することができる。
<本発明例1>
まず、基板1となる厚さ0.1mmのアルミニウム基板上に、スパッタリング法によって透明電極2となる、Tiを含有するフッ素ドープ酸化錫を形成した。スパッタにはバイアススパッタ装置(ULVAC社製、SBH−2306RE特型)を用い、15cmφのチタンターゲットおよびフッ素ドープ酸化錫ターゲットによる2元スパッタを行なった。各ターゲットの基板側にはシャッターを設け、開度を調整することにより両ターゲットからの成膜寄与率を制御した。この時、チタンターゲットおよびフッ素ドープ酸化錫ターゲットには、それぞれ直流電圧100〜180Vおよび450〜570Vを印加し、スパッタ電流をそれぞれ0.1〜0.15Aおよび0.55〜0.7Aとした。またプロセスガスとしてArおよびO2(20%Ar希釈)を35sccmおよび1sccmで導入し、成膜室内の圧力を0.5〜0.7Paに制御した。本発明例1では、チタンターゲットのシャッターの閉時間に対する開時間の比率を徐々に大きくし、膜の成長方向に対してチタン原子がより高濃度となるように制御した。
まず、基板1となる厚さ0.1mmのアルミニウム基板上に、スパッタリング法によって透明電極2となる、Tiを含有するフッ素ドープ酸化錫を形成した。スパッタにはバイアススパッタ装置(ULVAC社製、SBH−2306RE特型)を用い、15cmφのチタンターゲットおよびフッ素ドープ酸化錫ターゲットによる2元スパッタを行なった。各ターゲットの基板側にはシャッターを設け、開度を調整することにより両ターゲットからの成膜寄与率を制御した。この時、チタンターゲットおよびフッ素ドープ酸化錫ターゲットには、それぞれ直流電圧100〜180Vおよび450〜570Vを印加し、スパッタ電流をそれぞれ0.1〜0.15Aおよび0.55〜0.7Aとした。またプロセスガスとしてArおよびO2(20%Ar希釈)を35sccmおよび1sccmで導入し、成膜室内の圧力を0.5〜0.7Paに制御した。本発明例1では、チタンターゲットのシャッターの閉時間に対する開時間の比率を徐々に大きくし、膜の成長方向に対してチタン原子がより高濃度となるように制御した。
次に、同基板上に金属酸化物半導体3となるTiO2層を形成した。具体的には、ゾルゲル法により作製した平均粒径約10nmのTiO2ペーストをドクターブレード法で塗布し、室温にて予備乾燥させた後、マッフル炉内で450℃×30分の焼結熱処理を行なった。更に、平均粒径約50〜100nmのTiO2ペーストを先のペースト量の30%程度の分量でドクターブレード法により塗布し、同じく室温にて予備乾燥させた後、マッフル炉内で450℃×30分の焼結熱処理を行なった。このとき、焼結後のTiO2層の膜厚は約9μmであり多孔質形状であった。この後、酸性のTiO2ゾルを添加し、150℃×5分の加熱処理を行なった。
次に、ルテニウム−トリス型の遷移金属錯体色素をアセトニトリルおよびt−ブタノールの溶媒に溶解させたものにTiO2層を形成した基板を約15時間浸漬して、色素をTiO2層上に形成した。この間、溶液の温度は60℃〜80℃に保持した。
次いで、対向電極となる厚さ1.1mmの酸化スズを形成したガラス基板を、上記色素層まで形成した基板と、封止材となる熱可塑性エポキシ樹脂を介して対向配置させ、電解液注入孔(不図示)を残して局部加熱により周囲を封止した。引き続き、電解液注入孔より、電解液となるヨウ素0.1M、ヨウ化リチウム0.1M、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド0.7M、4−tertブチルピリジン8Mを混合し、メトキシアセトニトリルを溶媒として調製したものを用いた。最後に、電解液注入孔をエポキシ樹脂により封止した。
<本発明例2>
まず、金属基板1となる厚さ1.1mmのガラス基板上に、スプレー熱分解法によって透明電極2となる、チタン原子を含有するフッ素ドープ酸化錫を形成した。具体的には、2.0質量%のDBTDAエタノール溶液に、フッ素添加量にして200原子%となるようにフッ化アンモニウム水溶液を加えた混合液を作製した。さらに0.25質量%の四塩化チタン水溶液および過酸化水素水を前記混合液に対して1/100〜1/10000の質量混合比で添加したものを基板上に間欠噴霧した。本発明例2では、この混合比を噴霧中に変化させ、膜の成長方向に対してチタン原子濃度が意図的に膜厚方向に不均一となるように制御した。なお、噴霧中の基板温度は350℃に保持した。
まず、金属基板1となる厚さ1.1mmのガラス基板上に、スプレー熱分解法によって透明電極2となる、チタン原子を含有するフッ素ドープ酸化錫を形成した。具体的には、2.0質量%のDBTDAエタノール溶液に、フッ素添加量にして200原子%となるようにフッ化アンモニウム水溶液を加えた混合液を作製した。さらに0.25質量%の四塩化チタン水溶液および過酸化水素水を前記混合液に対して1/100〜1/10000の質量混合比で添加したものを基板上に間欠噴霧した。本発明例2では、この混合比を噴霧中に変化させ、膜の成長方向に対してチタン原子濃度が意図的に膜厚方向に不均一となるように制御した。なお、噴霧中の基板温度は350℃に保持した。
次に、透明電極2上に金属酸化物半導体3となるTiO2層を形成した。具体的には、四塩化チタンおよびチタンオキシアセチルアセトナートを2−ブタノールに2.0質量%となるように溶解させた溶液を、350℃に保持した前記基板上に噴霧した。このとき、得られたTiO2層の膜厚は約8μmであり、多孔質形状であった。この後、酸性のTiO2ゾルを添加し、150℃×5分の加熱処理を行なった。
以下、本発明例1と同様の作製方法によって光電変換素子を作製した。
図2は、ガラス基板上に本発明例1および本発明例2の手法によってそれぞれ透明電極を形成した後に、SIMS分析によって透明電極中のチタン濃度プロファイルを測定したものであり、上記各手法によってチタンが膜中に含有されていることがわかった。
上記の様にして作製した本発明例1および本発明例2の各3素子と、比較例1および比較例2の各1素子に、入射光強度が100mW/cm2に調整された擬似太陽光を照射し、特性の信頼性評価を行なった。ここで、比較例1は、本発明例1の作製工程において、透明電極2のスパッタ形成時にチタンターゲットのシャッターを全閉にして形成し、以下の工程は同様にして作製したサンプルである。また、比較例2は、本発明例2の作製工程において、透明電極2の形成時に、四塩化チタン水溶液および過酸化水素水を全く添加せずに形成し、以下の工程は同様にして作製したサンプルである。
表1に、各光電変換装置を湿度80%の暗所において、25℃で2時間,48℃で2時間,85℃で2時間のヒートサイクル試験を20回実施した後の特性を示す。なお、表中の特性(変換効率)劣化率および短絡電流劣化率はヒートサイクル試験後の劣化率を、ヒートサイクル試験前の特性に対して相対的に評価した値を示す。また、剥離の面積比率はヒートサイクル試験後にTiO2層が透明電極部から剥離した面積を、初期のTiO2層形成部全体の面積(1cm×10cm=10cm2)に対して相対的に表した数値である。なお、剥離部の観察は、各素子を特性評価後に分解し、TiO2層表面側からの光学顕微鏡(オリンパス社製、型式BX50)観察によって行ない、画像処理により面積比率の定量化を行なった。
表1より、比較例1および2に対して、本発明例1,2ではTiO2層の透明電極からの剥離が大幅に抑制されており、これに伴って短絡電流値および変換効率の劣化が大きく抑えられていることが分かった。特に、本発明例2のように、金属酸化物半導体の形成時に高温での焼結処理等を行なわない場合には、比較例では透明電極と金属酸化物半導体との接着強度に大きな問題があったが、本発明のように透明電極部にTiを含有させることで大幅な改善が見られた。
また、透明電極部の光学的透過率については、本発明例1のサンプルが本発明例2に比して600nmの波長において約10%程度高く、透明電極内部への過度のTiの含有は、光学的透過率を低下させることが分かった。よって、透明電極の光学的透過率の低下を抑制し、且つ透明電極と金属酸化物半導体との間に高い接着力を得るには、本発明例1のように、透明電極内のTiが金属酸化物半導体との界面において最も多く含まれるようにすることが好ましい。
以上により、透明電極にTiを含有させることで、透明電極と金属酸化物半導体との接着強度を高め、信頼性に優れた高効率の光電変換装置が作製可能となった。
なお、本発明では上記の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の調整、変更を行なってもよい。
1:金属基板
2:透明電極
3:金属酸化物半導体
4:色素
5:対向電極
6:電解液
2:透明電極
3:金属酸化物半導体
4:色素
5:対向電極
6:電解液
Claims (3)
- 3〜5族元素の1種以上の元素を含有した透明電極と、該透明電極上に形成された、色素を有する金属酸化物半導体とを備えたことを特徴とする光電変換装置。
- 前記透明電極の前記金属酸化物半導体側に、前記3〜5族元素の1種以上の元素がより多く含有されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記透明電極が、錫酸化物、インジウム酸化物もしくは亜鉛酸化物またはこれら酸化物の複合酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換装置。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004050693A Pending JP2005243378A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 光電変換装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005243378A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007122932A (ja) * | 2005-10-25 | 2007-05-17 | Kyocera Corp | 光電変換装置 |
JP2017143279A (ja) * | 2012-02-17 | 2017-08-17 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 光電変換装置 |
-
2004
- 2004-02-26 JP JP2004050693A patent/JP2005243378A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007122932A (ja) * | 2005-10-25 | 2007-05-17 | Kyocera Corp | 光電変換装置 |
JP2017143279A (ja) * | 2012-02-17 | 2017-08-17 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 光電変換装置 |
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