JP6105657B2 - 検出可能なタンパク質を用いた細胞分析 - Google Patents

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Description

1. 関連出願
本願は、2009年4月24日に出願された米国仮出願61/172,680号の継続
出願に基づくものであり、その内容の全てをここに参照して取り込む。
2. 技術分野
ここに開示する内容は、様々な細胞プロセスに関与するタンパク質の活性を調節する化
合物のスクリーニングおよび同定を含む、タンパク質修飾の検出の分野に関する。
3. 概要
本出願は、分析に有用な、例えば細胞プロセスに関与するタンパク質の活性の測定に関
する。いくつかの実施形態において、タンパク質の活性は核酸タグを用いて、特に核酸タ
グの存在を検出することによって評価される。前記分析は、例えば被験化合物のモジュレ
ーター、例えばタンパク質活性の阻害剤、作用薬および拮抗剤としての効果を調査するた
めに使用できる。
したがって、1つの態様において、ここに開示するのは、目的の細胞プロセスによって
修飾されたタンパク質の検出法であって、(a)(i)目的の細胞プロセスによって修飾
された標的タンパク質に結合する抗体と(ii)核酸相互作用モチーフに結合する核酸配
列とを含む核酸オリゴマーと、標的タンパク質と、核酸相互作用モチーフを包含する検出
可能なタンパク質を接触させる工程;および(b)抗体によっても結合する、検出可能な
タンパク質に結合する核酸オリゴマーの存在を検出する工程を具えていて;工程(b)に
おける結合核酸オリゴマーの存在は、目的の細胞プロセスによるタンパク質の修飾の存在
を示す。いくつかの実施形態では、検出可能なタンパク質を工程(a)において核酸オリ
ゴマーと接触させる前に、検出可能なタンパク質を抗体と接触させる。いくつかの実施形
態では、検出可能なタンパク質を工程(a)において核酸オリゴマーと接触させた後、検
出可能なタンパク質を抗体と接触させる。いくつかの実施形態では、検出可能なタンパク
質は、抗体および工程(a)の核酸オリゴマーに同時に接触させる。
いくつかの実施形態では、細胞プロセスは、アシル化、アセチル化、脱アセチル、ホル
ミル化、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン酸化、硫酸化、酸化、還元、ヒドロキ
シル化、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィド形成、プレニル化、糖化、グリコシ
ル化、ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解、ラセミ化および異性化から選択され
る。ある実施形態において、細胞プロセスはリン酸化である。
いくつかの実施形態では、標的タンパク質はキナーゼ基質である。いくつかの実施形態
において、修飾された標的タンパク質は、1つ以上の残基でリン酸化されていて、抗体は
抗リン酸抗体である。いくつかの実施形態において、修飾された標的タンパク質は、1つ
以上のチロシン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化チロシン抗体である。いく
つかの実施形態において、修飾された標的タンパク質は、1つ以上のセリン残基でリン酸
化されていて、抗体は抗リン酸化セリン抗体である。いくつかの実施形態において、修飾
された標的タンパク質は、1つ以上のスレオニン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リ
ン酸化スレオニン抗体である。
いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、G結合タンパク質受容体、イオン・
チャネルタンパク質、核内受容体タンパク質、転写制御因子、キナーゼ、サイトカイン、
成長因子、ホルモン、酵素、抗体または短鎖型可変部(scFV)である。
いくつかの実施形態において、核酸相互作用モチーフはDNA結合ドメインである。い
くつかの実施形態において、DNA結合ドメインは、NF−κB DNA結合ドメイン、
croリプレッサーDNA結合ドメイン、lacリプレッサーDNA結合ドメイン、GA
L4 DNA結合ドメイン、GCN4 DNA結合ドメイン、Lex−A DNA結合ド
メイン、Opaque−2 DNA結合ドメインまたはTGA1a DNA結合ドメイン
である。ある実施形態において、核酸相互作用モチーフは、配列番号:5または配列番号
:6に示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、オリゴマーは、約50〜500ヌクレオチドの長さを有
する。
他の態様において、本明細書に開示するのは、細胞プロセスを調節する被験化合物を同
定する方法であって、細胞プロセスは標的タンパク質の修飾であり、前記方法が、(a)
検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物を被験化合物と接触させる工程であり
、検出可能なタンパク質は、標的タンパク質および核酸相互作用モチーフを含む、工程;
(b)(i)細胞プロセスの結果として修飾された標的タンパク質に特異的に結合する抗
体と;(ii)核酸相互作用モチーフに結合する核酸配列を含む核酸オリゴマーとを、検
出可能なタンパク質に接触させる工程;および(c)抗体によっても結合する、検出可能
なタンパク質に結合核酸オリゴマーを定量する工程とを具え、;前記被験化合物の不存在
下で検出した結合核酸オリゴマーの量と比較した、前記被験化合物存在下での工程(c)
における結合核酸オリゴマー量の増加または減少により、被験化合物が細胞プロセスを調
節することが示される。
いくつかの実施形態において、検出工程(c)における、前記被験化合物の存在下での
結合核酸オリゴマー量の増加(前記被験化合物の不存在下での値との比較で)は、被験化
合物が細胞プロセスに悪影響を及ぼしたことを示す。いくつかの実施形態において、検出
工程(c)における前記被験化合物の存在下での結合核酸オリゴマー量の減少(前記被験
化合物の不存在下での値との比較で)は、被験化合物が細胞プロセスを阻害することを示
す。
いくつかの実施形態において、工程(a)は被験化合物と検出可能なタンパク質を含む
細胞との接触を具える。いくつかの実施形態において、細胞は検出可能なタンパク質を一
時的に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は検出可能なタンパク質を安定的に
発現する。
いくつかの実施形態において、細胞プロセスは、アシル化、アセチル化、脱アセチル、
ホルミル化、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン酸化、硫酸化、酸化、還元、ヒド
ロキシル化、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィド形成、プレニル化、糖化、グリ
コシル化、ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解、ラセミ化および異性化から選択
される。ある実施形態において、細胞プロセスはリン酸化である。
いくつかの実施形態において、標的タンパク質はキナーゼ基質である。いくつかの実施
形態において、修飾された標的タンパク質は、1つ以上のチロシン残基でリン酸化されて
いて、抗体は抗リン酸化チロシン抗体である。いくつかの実施形態において、修飾された
標的タンパク質は、1つ以上のセリン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化セリ
ン抗体である。いくつかの実施形態において、修飾された標的タンパク質は、1つ以上の
スレオニン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化スレオニン抗体である。
いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、G結合タンパク質受容体、イオン・
チャネルタンパク質、核内受容体タンパク質、転写制御因子、キナーゼ、サイトカイン、
成長因子、ホルモン、酵素、抗体または短鎖型可変部(scFV)である。
いくつかの実施形態において、核酸相互作用モチーフは、DNA結合ドメインである。
いくつかの実施形態において、DNA結合ドメインは、NF−κB DNA結合ドメイン
、croリプレッサーDNA結合ドメイン、lacリプレッサーDNA結合ドメイン、G
AL4 DNA結合ドメイン、GCN4 DNA結合ドメイン、Lex−A DNA結合
ドメイン、Opaque−2 DNA結合ドメインまたはTGA1a DNA結合ドメイ
ンである。ある実施形態において、核酸相互作用モチーフは、配列番号:5または配列番
号:6に示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、オリゴマーは、約50〜500ヌクレオチドの長さを有
する。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質はMek1であり、抗体はリン酸化したM
ek1に特異的に結合して、工程(a)は陽性コントロールサンプルをさらに具える。陽
性コントロールサンプルにおいては、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物
は、被験化合物の代わりにBraf阻害剤と接触させる。これらの実施形態では、工程(
c)において、Braf阻害剤との接触によって、阻害剤の不存在下で検出される結合核
酸オリゴマーの量に対して、検出した結合核酸オリゴマーの量が減少することが好ましく
、これによりBraf阻害剤がBrafキナーゼ活性を阻害すること、例えばMEK1の
リン酸化を阻害することを示す。いくつかの実施形態では、Braf阻害剤は、BAY−
43−9006、PLX−4720、Chir−265から選択される。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質はAkt1であり、抗体はリン酸化したA
ktに結合する。いくつかの実施形態において、抗体はSer473またはThr308
でリン酸化したAkt1に結合する。いくつかの実施形態において、抗体はThr308
でリン酸化したAkt1に結合する。いくつかの実施形態において、抗体はSer473
でリン酸化したAkt1に結合する。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質はFRAP1またはPDPK1であり、抗
体はリン酸化したFRAP1またはリン酸化したPDPK1にそれぞれ特異的に結合して
、工程(a)は陽性コントロールサンプルをさらに具える。陽性コントロールサンプルに
おいて、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物は、被験化合物の代わりに、
PIK3CA阻害剤と接触させた。これらの実施形態では、工程(c)において、PIK
3CA阻害剤との接触によって、阻害剤の不存在下において検出された結合核酸オリゴマ
ーの量に対して、検出した結合核酸オリゴマーの量が減少することが好ましく、これによ
りPIK3CA阻害剤がPIK3CAキナーゼ活性を阻害すること、例えばそれぞれFR
AP1またはPDPK1のリン酸化を阻害することを示す。いくつかの実施形態において
、PIK3CA阻害剤は、PI103、ZSTK−474、ワートマニンおよびPIK−
93から選択される。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質は、AKT1であり、抗体はリン酸化した
AKT1に特異的に結合して、工程(a)は陽性コントロールサンプルをさらに具える。
陽性コントロールサンプルにおいて、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物
は、被験化合物の代わりに、PDPK1、FRAP1またはmTOR阻害剤と接触させた
。これらの実施形態では、工程(c)において、PDPK1、FRAP1またはmTOR
阻害剤との接触によって、阻害剤の不存在下において検出された結合核酸オリゴマーの量
に対して、検出した結合核酸オリゴマーの量が減少することが好ましく、これによりPD
PK1、FRAP1またはmTOR阻害剤がPDPK1、FRAP1またはmTORキナ
ーゼ活性を阻害すること、例えばAKT1のリン酸化を阻害することを示す。いくつかの
実施形態において、PDPK1阻害剤はBX−795である。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質は、FOXO1であり、抗体はリン酸化し
たFOXO1に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体はThr24でリ
ン酸化したFOXO1に結合する。
いくつかの実施形態において、工程(a)は陽性コントロールサンプルの調製をさらに
具えることによって、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物は被験化合物の
代わりにAKT1阻害剤と接触させた。いくつかの実施形態において、Akt1阻害剤は
GSK−690693である。
いくつかの実施形態において、ここに開示する方法は、少なくとも2つの異なる濃度の
被験化合物と、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物を接触させ、被験化合
物のIC50を算出する工程を具える。
いくつかの実施形態において、核酸オリゴマーは、(a)PCR増幅配列である第1の
核酸配列および(b)核酸相互作用モチーフに結合する第2の核酸配列を含み、第1の核
酸配列と第2の核酸配列とは非相同性である。
いくつかの実施形態において、ここに開示する方法は、検出可能なタンパク質に結合す
る核酸オリゴマーをqPCRで増幅する工程を含む。いくつかの実施形態において、核酸
オリゴマーは放射性標識、蛍光標識またはビオチン化されたものである。
ここに開示する方法のいくつかの実施形態において、抗体は固体支持体に固定される。
いくつかの実施形態において、抗体は、マルチウェルプレートに固定される。
さらに他の態様において、ここに開示するのは:細胞プロセスによって修飾された標的
タンパク質を含む検出可能なタンパク質と、核酸相互作用モチーフを具えた細胞と;核酸
相互作用モチーフに結合する核酸配列を含む核酸オリゴマーとを具えたキットである。い
くつかの実施形態において、キットはさらに目的の細胞プロセスによって修飾された標的
タンパク質に結合する抗体を含む。いくつかの実施形態において、細胞プロセスはリン酸
化であり、修飾された標的タンパク質はリン酸化された標的タンパク質である。
4. 図面の簡単な説明
標的タンパク質および核酸相互作用モチーフを含む検出可能なタンパク質、細胞プロセスによって修飾された標的タンパク質に結合する抗体および核酸相互作用モチーフに結合する核酸配列を含む核酸オリゴマーを用いた細胞分析を示す模式図である。 PIK3CAシグナル経路の図である。 化合物の用量反応曲線を開示するものであり、x軸はnMで化合物の濃度を示し、y軸はプローブ等価単位でqPCRによって生じるシグナルを示す。リン酸化Mek1結合分析から得られるBAY−43−9006、PLX−4720、Chir−265およびCI−1040に関する用量反応曲線の図である。 化合物の用量反応曲線を開示するものであり、x軸はnMで化合物の濃度を示し、y軸はプローブ等価単位でqPCRによって生じるシグナルを示す。リン酸化Akt(Ser473)結合分析およびリン酸化Akt(Thr308)結合分析から得られたPI103、ZSTK−474、BX−795、ワートマニンおよびPIK93の用量反応曲線の図である。 化合物の用量反応曲線を開示するものであり、x軸はnMで化合物の濃度を示し、y軸はプローブ等価単位でqPCRによって生じるシグナルを示す。リン酸化Akt1(Ser473)分析におけるBX−795、TG−100−115、ラジシコールおよびトリシリビンの用量反応曲線の図である。 化合物の用量反応曲線を開示するものであり、x軸はnMで化合物の濃度を示し、y軸はプローブ等価単位でqPCRによって生じるシグナルを示す。リン酸化Akt1(Thr308)分析におけるラジシコールおよびトリシリビンの用量反応曲線の図である。 化合物の用量反応曲線を開示するものであり、x軸はnMで化合物の濃度を示し、y軸はプローブ等価単位でqPCRによって生じるシグナルを示す。Akt1リン酸化FOXO(T24)分析におけるGSK−690693、PI103およびBX−795の用量反応曲線の図である。
5. 実施形態の詳細な説明
5.1 用語
本明細書で使用される「標的タンパク質」の用語は、細胞プロセス、例えば本明細書に
記載される過程によって修飾された、目的のあらゆるタンパク質とする。いくつかの実施
形態において、標的タンパク質は、酵素または触媒活性のあるタンパク質によって修飾さ
れる。
本明細書で使用される「細胞プロセス」および「目的の細胞プロセス」の用語は、相互
に入れ替えて使用することができ、細胞タンパク質の修飾を生じる細胞内に起こるあらゆ
る事象を示す。いくつかの実施形態において、細胞プロセスは、生存細胞の、例えば取り
込み、輸送、受容体結合、代謝、融合、生化学反応、細胞分離、細胞遊走、細胞成長、壊
死およびアポトーシスの間に生じる。他の実施形態において、細胞プロセスは、腫瘍形成
、形質転換および/または転移の間に生じる。いくつかの実施形態において、細胞プロセ
スは触媒活性または酵素活性を有するタンパク質による、タンパク質、例えば標的タンパ
ク質の修飾を起こす。他の実施形態において、細胞プロセスは、酵素または非酵素のタン
パク質の修飾を起こす。ある実施形態において、酵素または非酵素タンパク質の修飾は、
共有結合的修飾である。他の実施形態において、細胞プロセスは、非共有結合的な酵素の
タンパク修飾を生じ、この修飾としては、タンパク質分解、ラセミ化または異性化が挙げ
られるがこれらに制限されるものではない。他の実施形態において、細胞プロセスは、非
共有結合修飾、例えばタンパク質のホモまたはヘテロ二量化、または他の結合事象(リガ
ンド、成長因子、ホルモン、サイトカイン、アロステリック調節因子、共同因子、補酵素
および第2のメッセンジャー)を生じさせる。細胞プロセスとしては、アシル化、アセチ
ル化、脱アセチル、ホルミル化、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン酸化、硫酸化
、酸化、還元、ヒドロキシル化、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィド形成、プレ
ニル化、糖化、グリコシル化、ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解、ラセミ化お
よび異性化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。したがって、本発明で使
用される細胞プロセスによって修飾されたタンパク質は、細胞プロセスの結果としてアシ
ル化、アセチル化、脱アセチル、ホルミル化、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン
酸化、硫酸化、酸化、還元、ヒドロキシル化、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィ
ド形成、プレニル化、糖化、グリコシル化、ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解
、ラセミ化および異性化の修飾を経たタンパク質であるが、これらに制限されるものでは
ない。
本明細書で使用される「抗体」および「免疫グロブリン」または「Ig」の用語は、相
互に入れ替えて使用することができる。本発明で使用される「抗体」は、免疫グロブリン
分子のあらゆるタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)
、あらゆるクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4; IgA1および
IgA2)もしくはあらゆるサブクラス(例えばIgG2aおよびIgG2b)またはそ
のあらゆる抗原認識(もしくは抗原結合)断片とすることができる。抗体はモノクローナ
ルまたはポリクローナル抗体とすることができ、マウス、ラット、ラビット、ウマもしく
はヒトを含むあらゆる種を起源とすることができ、また、キメラ抗体とすることもできる
。例えば、Walkerら., Molec. Immunol. 1989; 26: 403-411; Morrision et al, Proc. N
at'l. Acad. Sci. 1984; 81 : 6851; Neubergerら, Nature 1984; 312: 604を参照のこと
。抗体は、米国特許第4,474,893号(Reading)または米国特許第4,816,
567号(Cabillyその他)に開示される方法によって生成された組み換え型モノクロー
ナル抗体としてもよい。抗体は、米国特許第4,676,980号(Segelら)に開示さ
れた方法にしたがって生成された、特異的な抗体によって化学的に構成することもできる
。本発明の抗体としては、合成抗体、モノクローナル抗体、組み換えにより生成された抗
体、多種特異的な抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、
細胞内発現抗体(intrabodies)、短鎖Fvs(scFv)(例えば、単一特
異性、二重特異性等を含む)、ラクダ化抗体(camerized antibody)
、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合したFvs(sdFv)、抗イデ
ィオタイプ(抗Id)抗体およびエピトープ結合断片のあらゆる前記のものが挙げられる
が、これらに制限されるものではない。特に、本発明の抗体としては、免疫グロブリン分
子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある部位、(例えば抗原結合ドメイン、
または例えば目的の修飾されたタンパク質に免疫特異的に結合する抗原結合部位)が挙げ
られる。ある実施形態において、抗体はIgG抗体、例えばモノクローナルIgG抗体で
ある。
本明細書で使用される「抗リン酸抗体」の用語は、キナーゼ抗原またはエピトープ(例
えば、リン酸化チロシン、リン酸化スレオニまたはリン酸化セリンを含むエピトープ)の
ような、リン酸化形態のタンパク質抗原またはエピトープには特異的に結合し、非リン酸
化形態のタンパク質またはエピトープには特異的に結合しない、抗体または抗体断片を意
味する。抗原に特異的に結合する抗体または断片は、目的の抗原と交差反応を起こしても
よい。ある実施形態において、抗リン酸抗体は、キナーゼ抗原に特異的に結合する抗体ま
たは抗体断片であり、他の抗原と交差反応しない。キナーゼ抗原に特異的に結合する抗体
または抗体断片は、例えばイムノアッセイ、ビアコア法(BIAcore)または当業者に既知
の他の技術によって同定することができる。抗体または抗体断片は、RIA及びELIS
Aのような実験技術において、あらゆる交差反応を起こし得る抗原と比較して、それがよ
り高い親和性で抗原に結合する場合、抗原に特異的に結合するものといえる。一般的には
、特異的または選択的な反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2
倍であり、より一般的には、バックグラウンドの10倍を超える。ある実施形態において
、抗リン酸抗体は、タンパク質または酵素の1以上のリン酸化されたチロシン残基(キナ
ーゼの1以上のリン酸化されたチロシン残基を含む)に特異的に結合する抗リン酸化チロ
シン抗体(また「抗pTyr」または「抗pY」として表わされる)である。1つの実施
形態において、抗リン酸抗体は、キナーゼの1以上のリン酸化されたセリン残基を含むタ
ンパク質または酵素の1以上のリン酸化されたセリン残基(キナーゼの1以上のリン酸化
されたセリン残基を含む)に特異的に結合する、抗リン酸化セリン抗体(また「抗pSe
r」または「抗pS」)である。ある実施形態において、抗リン酸抗体は、タンパク質ま
たは酵素の1以上のリン酸化されたスレオニン残基(キナーゼの1以上のリン酸化された
スレオニン残基を含む)に特異的に結合する抗リン酸化スレオニン抗体(また「抗pTh
r」または「抗pT」)である。ある実施形態において、抗リン酸抗体は、キナーゼの1
以上の特異的位置における、1以上のリン酸化されたチロシン(Y)、セリン(S)また
はスレオニン(T)残基に免疫特異的に結合する。他のある実施形態において、抗リン酸
抗体は、タンパク質の1つのリン酸化されたアミノ酸残基のみに特異的に結合する。
「化合物」または「被験化合物」は、1以上の有機化合物、無機化合物、合成核酸、天
然核酸、合成ポリペプチド、天然ポリペプチド、ペプチド断片および/またはタンパク質
を意味する。本明細書で使用される「化合物」または「被験化合物」の用語は、実験に使
用される低分子、FDA許可された治療用低分子、抗体治療及び他の治療薬のために開発
された抗体も含む。
5.2 細胞プロセスによって調節されるタンパク質の同定方法
本明細書において開示する以下の実施形態は、例示的なものであり、これらに限定され
るものではない。ここに開示される方法は、応用の範囲を有する。本明細書に開示する組
成物および方法は、インビトロおよび/またはインビボとすることができる。
1つの態様において、ここに開示する方法は、目的の細胞プロセスにより修飾された標
的タンパクを検出する、以下の工程を含む方法である;(a)(i)目的の細胞プロセス
によって修飾された標的タンパク質に結合する抗体と(ii)核酸相互作用モチーフに結
合する核酸配列を含む核酸オリゴマーとを、標的タンパク質および核酸相互作用モチーフ
を含む検出可能なタンパク質に接触させる工程;および(b)抗体にも結合する、検出可
能なタンパク質に結合する核酸オリゴマーの存在を検出する工程。工程(b)における核
酸オリゴマーの存在は、目的の細胞プロセスによる標的タンパク質の修飾の存在を示す。
いくつかの実施形態において、工程(a)における検出可能なタンパク質と核酸オリゴマ
ーとの接触に前に、検出可能なタンパク質を抗体と接触させる。いくつかの実施形態にお
いて、工程(a)における検出可能なタンパク質と核酸オリゴマーとの接触の後に、検出
可能なタンパク質を抗体と接触させる。いくつかの実施形態において、検出可能なタンパ
ク質は、同時に抗体および工程(a)における核酸オリゴマーと接触させる。
いくつかの実施形態において、細胞プロセスは、アシル化、アセチル化、脱アセチル、
ホルミル化、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン酸化、硫酸化、酸化、還元、ヒド
ロキシル化、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィド形成、プレニル化、糖化、グリ
コシル化、ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解、ラセミ化および異性化から選択
される。ある実施形態において、細胞プロセスはリン酸化である。
いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、キナーゼ基質である。いくつかの実
施形態において、修飾された標的タンパク質は、1つ以上の残基でリン酸化されていて、
抗体は抗リン酸抗体である。いくつかの実施形態において、修飾された標的タンパク質は
、1つ以上のチロシン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化チロシン抗体である
。いくつかの実施形態において、修飾された標的タンパク質は、1つ以上のセリン残基で
リン酸化されていて、抗体は抗リン酸化セリン抗体である。いくつかの実施形態において
、修飾された標的タンパク質は、1つ以上のスレオニン残基でリン酸化されていて、抗体
は抗リン酸化スレオニン抗体である。
いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、G結合タンパク質受容体、イオン・
チャネルタンパク質、核内受容体タンパク質、転写制御因子、キナーゼ、サイトカイン、
成長因子、ホルモン、酵素、抗体または短鎖型可変部(scFV)である。
いくつかの実施形態において、核酸相互作用モチーフは、DNA結合ドメインである。
いくつかの実施形態において、DNA結合ドメインは、NF−κB DNA結合ドメイン
、croリプレッサーDNA結合ドメイン、lacリプレッサーDNA結合ドメイン、G
AL4 DNA結合ドメイン、GCN4 DNA結合ドメイン、Lex−A DNA結合
ドメイン、Opaque−2 DNA結合ドメインまたはTGA1a DNA結合ドメイ
ンである。ある実施形態において、核酸相互作用モチーフは、配列番号:5または配列番
号:6に示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、オリゴマーは約50〜500ヌクレオチドの長さを有す
る。
他の態様において、本明細書に開示する方法は、細胞プロセスを調節する被験化合物を
同定する方法であって、細胞プロセスは標的タンパク質の修飾であり、該方法は以下の工
程を具える;(a)被験化合物と検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物とを
接触させる工程であり、検出可能なタンパク質は、標的タンパク質および核酸相互作用モ
チーフを含む、工程;(b)(i)細胞プロセスにより修飾された標的タンパク質に特異
的に結合する抗体と、(ii)核酸相互作用モチーフに結合する核酸配列を含む核酸オリ
ゴマーとに、検出可能なタンパク質を接触させる工程;ならびに(c)抗体にも結合する
、検出可能なタンパク質に結合核酸オリゴマーを定量する工程。前記被験化合物の定量工
程(c)における結合核酸オリゴマーの量の増加または減少は、前記被験化合物の不存在
下における結合核酸オリゴマーの量に対して、被験化合物が細胞プロセスを調節すること
を示す。
いくつかの実施形態において、工程(c)における、前記被験化合物の不存在下での結
合核酸オリゴマーの量と比較した、前記被験化合物の存在下の結合核酸オリゴマー量の上
昇は、被験化合物が細胞プロセスに悪影響を及ぼしたことを示す。いくつかの実施形態に
おいて、工程(c)における、前記被験化合物の不存在下での結合核酸オリゴマーの量と
比較した、前記被験化合物の存在下の結合核酸オリゴマーの量の減少は、被験化合物が細
胞過程を阻害することを示す。
いくつかの実施形態において、工程(a)は検出可能なタンパク質を含む細胞を接触さ
せることを具える。いくつかの実施形態において、細胞は検出可能なタンパク質を一時的
に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は検出可能なタンパク質を安定的に発現
する。
いくつかの実施形態において、細胞プロセスは、アシル化、アセチル化、脱アセチル、
ホルミル化、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン酸化、硫酸化、酸化、還元、ヒド
ロキシル化、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィド形成、プレニル化、糖化、グリ
コシル化、ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解、ラセミ化および異性化から選択
される。ある実施形態において、細胞プロセスはリン酸化である。
いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、キナーゼ基質である。いくつかの実
施形態において、修飾された標的タンパク質は、1つ以上のチロシン残基でリン酸化され
ていて、抗体は抗リン酸化チロシン抗体である。いくつかの実施形態において、修飾され
た標的タンパク質は、1つ以上のセリン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化セ
リン抗体である。いくつかの実施形態において、修飾された標的タンパク質は、1つ以上
のスレオニン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化スレオニン抗体である。
いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、G結合タンパク質受容体、イオン・
チャネルタンパク質、核内受容体タンパク質、転写制御因子、キナーゼ、サイトカイン、
成長因子、ホルモン、酵素、抗体または短鎖型可変部(scFV)である。
いくつかの実施形態において、核酸相互作用モチーフはDNA結合ドメインである。い
くつかの実施形態において、DNA結合ドメインは、NF−κB DNA結合ドメイン、
croリプレッサーDNA結合ドメイン、lacリプレッサーDNA結合ドメイン、GA
L4 DNA結合ドメイン、GCN4 DNA結合ドメイン、Lex−A DNA結合ド
メイン、Opaque−2 DNA結合ドメインまたはTGA1a DNA結合ドメイン
である。ある実施形態において、核酸相互作用モチーフは、配列番号:5または配列番号
:6に示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、オリゴマーは約50〜500ヌクレオチドの長さを有す
る。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質はMek1であり、抗体はリン酸化したM
ek1に特異的に結合して、工程(a)は陽性コントロールサンプルをさらに具える。陽
性コントロールサンプルにおいては、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物
に、被験化合物の代わりに、Braf阻害剤と接触させる。これらの実施形態では、工程
(c)において、Braf阻害剤との接触によって、阻害剤の不存在下において検出され
る結合核酸オリゴマーの量に対して、検出した結合核酸オリゴマーの量が減少することが
好ましく、これによりBraf阻害剤がBrafキナーゼ活性を阻害すること、例えばM
EK1のリン酸化を阻害することを示す。いくつかの実施形態において、Braf阻害剤
は、BAY−43−9006、PLX−4720、Chir−265から選択される。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質は、Akt1であり、抗体はリン酸化した
Aktに結合する。いくつかの実施形態において、抗体はSer473またはThr30
8でリン酸化したAkt1に結合する。いくつかの実施形態において、抗体はThr30
8でリン酸化したAkt1に結合する。いくつかの実施形態において、抗体はSer47
3でリン酸化したAkt1に結合する。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質はFRAP1またはPDPK1であり、抗
体はリン酸化したFRAP1またはリン酸化したPDPK1にそれぞれ特異的に結合して
、工程(a)は陽性コントロールサンプルの調製をさらに具える。陽性コントロールサン
プルにおいては、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物は、被験化合物の代
わりに、PIK3CA阻害剤と接触させる。これらの実施形態では、工程(c)において
、PIK3CA阻害剤との接触によって、阻害剤の不存在下において検出される結合核酸
オリゴマーの量に対して、検出した結合核酸オリゴマーの量が減少することが好ましく、
これによりPIK3CA阻害剤がPIK3CAキナーゼ活性を阻害すること、例えばそれ
ぞれFRAP1またはPDPK1のリン酸化を阻害することを示す。いくつかの実施形態
において、PIK3CA阻害剤は、PI103、ZSTK−474、ワートマニンおよび
PIK−93から選択される。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質はAKT1であり、抗体はリン酸化したA
KT1に特異的に結合して、工程(a)は陽性コントロールサンプルの調製をさらに具え
る。陽性コントロールサンプルにおいては、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞
溶解物は、被験化合物の代わりに、PDPK1、FRAP1またはmTOR阻害剤と接触
させる。これらの実施形態では、工程(c)において、PDPK1、FRAP1またはm
TOR阻害剤との接触により、阻害剤の不存在下において検出された結合核酸オリゴマー
の量に対して、検出した結合核酸オリゴマーの量が減少することが好ましく、これにより
PDPK1、FRAP1またはmTOR阻害剤がPDPK1、FRAP1またはmTOR
キナーゼ活性を阻害すること、例えばAKT1のリン酸化を阻害することを示す。いくつ
かの実施形態において、PDPK1阻害剤はBX−795である。
いくつかの実施形態において、キナーゼ基質はFOXO1であり、抗体はリン酸化した
FOXO1に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体はThr24でリン
酸化したFOXO1に結合する。
いくつかの実施形態において、工程(a)は陽性コントロールサンプルをさらに具え、
検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物を被験化合物の代わりにAKT1阻害
剤と接触させる。いくつかの実施形態において、Akt1阻害剤はGSK−690693
である。
いくつかの実施形態において、核酸オリゴマーは、(a)PCR増幅配列である第1の
核酸配列および(b)核酸相互作用モチーフに結合する第2の核酸配列を含み、第1の核
酸配列と第2の核酸配列とは非相同性配列である。
いくつかの実施形態において、方法は、被験化合物が、修飾した形態の標的タンパク質
に特異的に結合する抗体と、標的タンパク質の結合において競合するか否かを決定するた
め、コントロール試験を実施する工程をさらに具える。好適な実施形態において、本発明
の方法は、標的タンパク質の修飾された形態と特異的に結合する抗体と標的タンパク質の
結合において競合しない被験化合物を同定するために使用する。
いくつかの実施形態において、検出可能なタンパク質に結合する核酸オリゴマーの定量
工程は、検出可能なタンパク質に結合する核酸オリゴマーをqPCR増幅する工程を具え
る。いくつかの実施形態において、核酸オリゴマーは放射性標識、蛍光標識またはビオチ
ン化されたものである。
1つの実施形態において、標的タンパク質は、細胞内で起こる細胞プロセスによって修
飾される。他の実施形態において、DNA結合ドメインおよび標的タンパク質を含む検出
可能なタンパク質は、細胞溶解物から取得する。他の実施形態において、DNA結合ドメ
インおよび標的タンパク質を含む検出可能なタンパク質を、化学的に合成する。特定の実
施形態において、DNA結合ドメインおよび標的タンパク質を含む検出可能なタンパク質
は、無細胞系で修飾される。
他の態様において、本明細書に開示するのは、酵素活性を調節する被験化合物を同定す
る方法であって、該酵素活性は標的タンパク質の修飾であり、該方法は以下の工程を具え
る;(a)被験化合物と検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物とを接触させ
る工程であり、検出可能なタンパク質は標的タンパク質および核酸相互作用モチーフを含
む、工程;(b)(i)酵素活性により修飾された標的タンパク質に特異的に結合する抗
体と、(ii)核酸相互作用モチーフに結合する核酸配列を含む核酸オリゴマーとに、検
出可能なタンパク質を接触させる工程;ならびに(c)抗体にも結合する、検出可能なタ
ンパク質に結合核酸オリゴマーを定量検出する工程。工程(c)において、前記被験化合
物の不存在下で検出した結合核酸オリゴマーの量と比較した、結合核酸オリゴマーの量の
増加または減少は、被験化合物が細胞過程を調節することを示す。
他の態様において、本明細書に開示するのは、酵素活性を阻害する化合物を同定する方
法であって、該方法は以下の工程を具える;(a)被験化合物と検出可能なタンパク質を
含む細胞または細胞溶解物とを接触させる工程であり、検出可能なタンパク質は、標的タ
ンパク質および核酸相互作用モチーフを含む、工程;(b)(i)酵素活性により修飾さ
れた標的タンパク質に特異的に結合する抗体と、(ii)核酸相互作用モチーフに結合す
る核酸配列を含む核酸オリゴマーとに、検出可能なタンパク質を接触させる工程;ならび
に(c)抗体にも結合する、検出可能なタンパク質に結合核酸オリゴマーを定量する工程
。工程(c)において、前記被験化合物の不存在下で検出した核酸オリゴマーの量と比較
した、結合核酸オリゴマー量の減少は、被験化合物が酵素活性を阻害することを示す。
いくつかの実施形態において、酵素活性は、アシル化、アセチル化、脱アセチル、ホル
ミル化、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン酸化、硫酸化、酸化、還元、ヒドロキ
シル化、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィド形成、プレニル化、グリコシル化、
ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解、ラセミ化および異性化から選択される。あ
る実施形態において、酵素活性はキナーゼ活性である。ある実施形態において、細胞プロ
セスはリン酸化である。ある実施形態において、酵素活性はホスファターゼ活性である。
他の実施形態において、酵素活性はメチルトランスフェラーゼ活性である。他の実施形態
において、酵素活性はアセチルトランスフェラーゼの活性である。
また他の態様において、本明細書に開示するのは、酵素に対する化合物のIC50を測
定する方法であって、(a)化合物の不存在下における少なくとも1つのサンプル、およ
び化合物量を増加させた条件での複数のサンプルを調製する工程であり、それぞれのサン
プルは検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物に由来するものであり、検出可
能なタンパク質は、核酸相互作用モチーフおよび酵素基質を含む、工程;(b)細胞プロ
セスによって修飾された酵素基質に結合する抗体と、検出可能なタンパク質とを接触させ
る工程;(c)抗体結合した検出可能なタンパク質から、結合していない検出可能なタン
パク質と結合していない抗体とを分離する工程;(d)抗体結合した検出可能なタンパク
質と核酸相互作用モチーフに結合核酸オリゴマーとを接触させる工程;および(e)工程
(a)において調製したそれぞれのサンプルについて結合核酸オリゴマーを定量する工程
を具える。検出された結合核酸オリゴマー量が、化合物の不存在下で調製されたサンプル
において検出された結合核酸オリゴマーの量の半分となるときの化合物の濃度が、酵素に
対する化合物のIC50である。
ここに記載したあらゆる方法は、単連式または多連式のいずれかで行われた。1つの例
示的な多連式において、被験化合物、胞プロセスに関与する関連する複数のタンパク質に
対する調節的な特性に関して、それぞれ目的の伴う関連タンパク質のパネルから目的の複
数のタンパク質に対して同時にスクリーニングし、試験した。複数のタンパク質を同時ま
たは順番に分析する場合、それぞれ目的のタンパク質によって調節されたタンパク質に固
有の核酸オリゴマーを、目的のそれぞれのタンパク質活性を区別するため、使用すること
ができる。
5.2.1 検出可能なタンパク質
ある実施形態において、目的のタンパク質は、標的タンパク質と異種核酸相互作用モチ
ーフの間のキメラ融合である。このようなキメラ融合において、それぞれ半分のキメラを
示す少なくとも2つの遺伝子配列は、イン・フレームで融合することができ、適切なベク
ター中にクローニングして、選択した宿主細胞中に発現させてもよい。もしくは、標的タ
ンパク質は、核酸相互作用モチーフと合成的に結合させてもよい(例えばポリペプチドリ
ンカーを使用して)。ある実施形態において、標的タンパク質は、核酸相互作用モチーフ
(例えばDNA結合タンパク質)のアミノ末端である。他の実施形態において、標的タン
パク質は、核酸相互作用モチーフ(例えばDNA結合タンパク質)のカルボキシ末端であ
る。結合は、直接的であっても、間接的であってもよい。ある実施形態において、標的タ
ンパク質および/または核酸相互作用モチーフ(例えばDNA結合タンパク質)は、各野
生型タンパク質の活性を保持している。ある実施形態において、核酸相互作用モチーフお
よび標的タンパク質は、同じ生命体、例えばヒトから由来するものである。
5.2.1.1 標的タンパク質
本明細書における「標的タンパク質」の用語は、ここに記載される細胞プロセスによっ
て修飾され得る、目的のあらゆるタンパク質を示す。いくつかの実施形態において、標的
タンパク質は、酵素または触媒活性を有するタンパク質によって修飾される。いくつかの
実施形態において、標的タンパク質は、キナーゼ、トランスフェラーゼ、酸化還元酵素、
ヒドロラーゼ、リガーゼ、イソメラーゼまたはリアーゼの基質である。ある実施形態にお
いて、標的タンパク質は、ヒトのポリペプチドまたはタンパク質である。いくつかの実施
形態において、標的タンパク質は、切断、官能基の付加もしくは除去、または異性化を経
ることによって修飾できる。ある実施形態において、標的タンパク質は、アシルトランス
フェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、アミドトランスフェラーゼまたはサルファ
トランスフェラーゼ等の活性を有するトランスフェラーゼの基質である。いくつかの実施
形態において、標的タンパク質は、G結合タンパク質受容体、イオン・チャネルタンパク
質、核内受容体タンパク質、転写制御因子、キナーゼ、サイトカイン、成長因子、ホルモ
ン、酵素、抗体または短鎖型可変部(scFV)である。他の実施形態において、標的タ
ンパク質は、ヒドロラーゼ、ペプダーゼまたはホスファターゼの基質である。いくつかの
実施形態において、標的タンパク質は、キナーゼの基質である。いくつかの実施形態にお
いて、標的タンパク質は、脂質キナーゼ、例えばP13K族(例えばmTOR)の脂質キ
ナーゼの基質である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、プロテインキナ
ーゼの基質である(例えばManning (2002) Science 298:
1912を参照のこと)。いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、チロシンキ
ナーゼまたはセリン/スレオニンキナーゼの基質である。いくつかの実施形態において、
標的タンパク質は、ヒトの非受容体チロシンキナーゼ、例えばABL、ACK、CSK、
MATK、FAK、PYK2、FES、FRK、JAK、SRC−A、SRC−B、TE
Cおよび/またはSYK族の一員である非受容体チロシンキナーゼの基質である。他の実
施形態において、標的タンパク質は、ヒトの受容体チロシンキナーゼ、例えばALK、A
XL、DDR、EGFR、EPH、FGFR、INSR、MET、MUSK、PDGFR
、PTK7、RET、ROR、ROS、RYK、TIE、TRK、VEGFR、AATY
Kおよび/またはSuRTK 106族の一員である受容体チロシンキナーゼの基質であ
る。いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、PIK3CA、FRAP1、PD
PK1、AKT1、BRafまたはMEK1の基質である。ある実施形態において、標的
タンパク質は、ヒストン(例えばヒストンH3)である。ある実施形態において、標的タ
ンパク質は、プロアポトーシスタンパク質(例えばBAD)である。ある実施形態におい
て、標的タンパク質は、転写因子(例えばSTAT5a、STAT6)である。ある実施
形態において、標的タンパク質は、サイクリン(例えばサイクリンB1)である。ある実
施形態において、標的タンパク質は、受容体(例えばアンドロゲン受容体)である。
ある実施形態において、標的タンパク質は、自己リン酸化によって調節される酵素であ
る。ある実施形態において、標的タンパク質は、自己リン酸化によって調節されるキナー
ゼである。自己リン酸化キナーゼの例としては、CSF1R、Kit、Axl、EGFR
、Flt3、AuroraA、Brk、Jak2、Jak3、Fak、SrcおよびTn
k2が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
ある実施形態において、標的タンパク質は、基質として修飾され得るが、下流の活性に
影響を及ぼさない、触媒不活性の酵素である。ある実施形態において、標的タンパク質は
、リン酸化されるが、キナーゼドメインの触媒残基にキナーゼを不活性化するような突然
変異を有するキナーゼである。
ある実施形態において、検出可能なタンパク質をコード化する核酸をプラズミド発現ベ
クター中にクローニングして、細胞株を一時的に形質転換し、検出可能なタンパク質を一
時的に発現させる。ある実施形態において、検出可能なタンパク質をコード化する核酸を
プラズミド発現ベクター中にクローニングして、細胞株を安定的に形質転換することで、
検出可能なタンパク質を安定的に発現させる。ある実施形態において、検出可能なタンパ
ク質をコード化する核酸をプラズミド発現ベクター中にクローニングして、細胞株を構成
的に形質転換することで、検出可能なタンパク質を構成的に発現させる。ある実施形態に
おいて、構成的な発現は、CMVプロモーターの制御下にある。ある実施形態において、
検出可能なタンパク質をコード化する核酸を誘導性のプラズミド発現ベクター中にクロー
ニングして、細胞株を芸質転換し、検出可能なタンパク質の誘導発現を生じさせる。特徴
的な実施形態において、誘導発現は、オペレーター部位を含むCMVプロモーターの制御
下にある。さらに特徴的な実施形態において、オペレーター部位は、テトラサイクリンオ
ペレーター2部位である。さらに他の実施形態において、誘導プラズミド発現ベクターは
、テトラサイクリンで調節された発現ベクターである。
5.2.1.2 核酸相互作用モチーフ
核酸相互作用モチーフ、例えばDNA結合ドメインが従来技術において既知であり、本
発明で開示する方法への使用に適した配列の例を表1に示す。核酸相互作用モチーフは、
転写活性化因子およびレプレッサーを含む転写因子のDNA結合ドメインを包含する。適
切なDNA結合ドメインの例としては、NF−κB(真核生物)、croリプレッサー(
λバクテリオファージ)、lacリプレッサー(酵母)、GAL4(酵母)、GCN4(
酵母)、Lex−A(大腸菌)、Opaque−2(トウモロコシ)およびTGA1a(
タバコ)が挙げられる。適切なDNA結合ドメインとしては、合成ジンクフィンガー、ロ
イシンジッパー、ウィングドヘリックス、ヘリックス・ループ・ヘリックス、ホメオドメ
インおよびPOUドメイン等の、自然発生および/または工学的なDNA結合モチーフの
異なる部位の組み合わせから構成される合成DNA結合ドメインも挙げられる。他の実施
形態において、核酸相互作用モチーフは、DNAリガーゼ、DNA修復酵素、制限酵素ま
たはDNAメチルトランスフェラーゼ等のDNA代謝酵素の全長、部分長または機能断片
であってもよい。
DNA結合ドメインの適合性は、特定のDNA結合ドメインのその標的配列への会合時
間に依存し得る。例えば、NF−κBは、その標的DNA配列と4時間を超える解離半減
期で、強い会合を形成する(Speight ら(2001) Chem. Biol. 8:951-965を参照のこと)。
ある実施形態において、核酸相互作用モチーフは、シス二量体化を可能にするため、タ
ンデムリピートとして存在する。他の実施形態において、NF−κBのモチーフは、NF
−κBのシス二量体化を可能にするため、タンデムリピートとして存在する。
5.2.1.3 検出可能なタンパク質を作成する方法
ここに記載するように、検出可能なタンパク質は、核酸相互作用モチーフに結合した標
的タンパク質を含み、任意に、標的タンパク質が膜タンパク質の場合、シグナルペプチド
を含むことができる。本明細書に開示した検出可能なタンパク質は、当業者に既知のあら
ゆる様々な方法、例えば組み換えまたは合成のいずれを用いて作成してもよい。
1つの態様において、検出可能なタンパク質は、標準の組み換えDNA技術を用いて作
成することができる。例えば、検出可能なタンパク質をコードする配列を含むポリヌクレ
オチド、例えば発現ベクター内の核酸相互作用モチーフをコードする配列とイン・フレー
ムで結合した標的タンパク質をコードする配列、例えばプラズミドベクターは、任意の適
切な細胞、例えば細菌または哺乳類等の細胞で発現させることができる。
ある実施形態において、細胞は、単一の検出可能なタンパク質を発現するために使用さ
れる。他の実施形態において、細胞は、1を超える形態の検出可能なタンパク質が発現す
るように設計され、例えば第1の標的タンパク質と異なる標的タンパク質を含む検出可能
なタンパク質とが発現するように設計される。
ある実施形態において、標的タンパク質および核酸相互作用モチーフをコード化する配
列に加えて、シグナルペプチドのアミノ酸をコードする配列さらに含む。シグナルペプチ
ドは、細胞膜に分布するリソソームタンパク質、分泌タンパク質または膜タンパク質とな
る、新たに生成されたタンパク質を小胞体(ER)に導く短いアミノ酸配列である。1つ
の実施形態において、標的タンパク質が、リソソームタンパク質、分泌タンパク質または
膜タンパク質である場合、シグナルペプチドは標的タンパク質をその最終目的部位に導く
ために用いられる。シグナルペプチドは、標的タンパク質、核酸相互作用モチーフの発現
または活性と相互作用しないあらゆる部位に配置することができる。例えば、シグナルペ
プチドをコードする配列を、標的タンパク質をコードする配列の上流(5’)または下流
(3’)に配置して、シグナルペプチドが、発現した検出可能なタンパク質中の標的タン
パク質に対して、アミノまたはカルボキシとなるようにしてもよい。同様に、シグナルペ
プチドをコードする配列を、核酸相互作用モチーフをコードする配列の上流(5’)また
は下流(3’)に配置して、シグナルペプチドが、発現した検出可能なタンパク質中の核
酸相互作用モチーフに対して、アミノまたはカルボキシとなるようにしてもよい。ある実
施形態において、シグナルペプチドは、標的タンパク質配列中にある内部シグナル配列で
ある。ある実施形態において、融合タンパク質は、アミノ末端からカルボキシ末端にかけ
て、シグナルペプチド、標的タンパク質、任意のリンカー配列および核酸相互作用モチー
フを有する。ある実施形態において、シグナルペプチドは、検出可能なタンパク質のアミ
ノ末端に存在する。ある実施形態において、検出可能なタンパク質は、アミノ末端からカ
ルボキシ末端にかけて、シグナルペプチド、標的タンパク質および核酸相互作用モチーフ
を有する。ある実施形態において、検出可能なタンパク質は、アミノ末端からカルボキシ
末端にかけて、シグナルペプチド、標的タンパク質および核酸相互作用モチーフを有し、
標的タンパク質は受容体である。ある実施形態において、リンカー配列は標的タンパク質
と核酸相互作用モチーフの間に存在する。ある実施形態において、リンカー配列は、10
〜20アミノ酸の長さを有する。ある実施形態において、リンカー配列は、16,17ま
たは18アミノ酸の長さを有する。他の実施形態において、リンカー配列は、可動性リン
カーである。さらに他の実施形態において、リンカー配列は、タンパク分解酵素が認識し
得る酵素切断部位である。このような実施形態において、標的タンパク質は、核酸モチー
フからタンパク分解酵素で切断することができる。このような切断部位の例としては、タ
バコエッチ病ウイルス(TEV)タンパク分解酵素により認識、切断されるものが挙げら
れるが、この例示に制限されるものではない。
ある実施形態において、検出可能なタンパク質は、核酸相互作用モチーフのアミノ末端
に結合した標的タンパク質を含む。このような実施形態において、検出可能なタンパク質
をコードする配列は、順番に配列される。即ち、1つの実施形態において、標的タンパク
質をコードする配列は、核酸相互作用モチーフとイン・フレームで、標的タンパク質の最
もカルボキシ末端側のアミノ酸残基が、発現した検出可能なタンパク質内の核酸相互作用
モチーフの最もアミノ末端側の近アミノ酸残基に隣接するように配置される。あるいは、
他の実施形態において、標的タンパク質をコードする配列は、アミノ酸リンカー配列をコ
ードする配列とイン・フレームで、つまり、順番に、核酸相互作用モチーフをコードする
配列とイン・フレームに配置されるように配置される。このような実施形態において、標
的タンパク質のアミノ酸配列は、核酸相互作用モチーフのアミノ末端とも結合しているが
、リンカー配列によっても結合されている。
同様に、ある実施形態において、検出可能なタンパク質は、核酸相互作用モチーフのカ
ルボキシ末端に結合した標的タンパク質を含む。このような実施形態において、検出可能
なタンパク質をコードする配列は、順番に配列される。即ち、1つの実施形態において、
核酸相互作用モチーフをコードする配列は、核酸相互作用モチーフの最もカルボキシ末端
側のアミノ酸残基が、発現した検出可能なタンパク質内の標的タンパク質の最もアミノ末
端側のアミノ酸残基と隣接するように、標的タンパク質をコードする配列とイン・フレー
ムに配置される。あるいは、他の実施形態において、核酸相互作用モチーフをコードする
配列は、アミノ酸リンカー配列をコードする配列とイン・フレームで配置され、つまり、
標的タンパク質をコードする配列とイン・フレームで配置される。このような実施形態に
おいて、標的タンパク質のアミノ酸配列は、核酸相互作用モチーフのカルボキシ末端とも
結合しているが、リンカー配列によっても結合されている。
発現ベクターの構築および発現ベクターを含む細胞内の遺伝子発現に関する技術は、従
来技術において周知である。例えば、Sambrookら, 2001, Molecular Cloning - A Labora
tory Manual, 3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY
およびAusubelら編, Current Edition, Current Protocols in Molecular Biology, Gree
ne Publishing Associates and Wiley Interscience, NYを参照のこと。
発現ベクターに使用するのに有用なプロモーターとしては、アラビノースプロモーター
、メタロチオネイン・プロモーター、構成的アデノウイルス・メジャー・レイト・プロモ
ーター、デキサメタゾン誘導性MMTVプロモーター、SV40プロモーター、MRP
pol IIIプロモーター、構成的MPSVプロモーター、テトラサイクリン誘導性C
MVプロモーター(例えばヒトの極初期CMVプロモーター(immediate−ea
rly CMV promoter)および構成的なCMVプロモーターが挙げられるが
、これらに制限されるものではない。誘導性プロモーターについては、ここに記載の方法
を実施する際に有用性が見出されており、例えば、T−REx(商標)システム(インビ
トロジェン社 カタログ番号 K1020−02)等のtet−onまたはtet−of
f系のテトラサイクリン制御性転写活性因子(TRE)、金属塩の添加によって制御可能
なメタロチオネイン・プロモーター、およびラパマイシン誘導性プロモーター(Riveraら
, 1996, Nature Med, 2(9): 1028-1032; Yeら, 2000, Science 283: 88-91; Sawyer T K
ら, 2002, Mini Rev Med Chem. 2(5): 475-88)等のプロモーターが挙げられる。従来の
発明に使用される、多くの適切な制御可能なベクターおよびプロモーターが、当業者に周
知であり、多くは市販されている。
発現ベクターは、検出可能なタンパク質が発現した細胞と互換性を有する、発現および
複製シグナルを有する。検出可能なタンパク質をコードする構成に有用な発現ベクターと
しては、ウイルスベクター、例えばレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウ
イルス、プラズミドベクター、コスミド等が挙げられる。ウイルスベクターおよびプラズ
ミドベクターは、哺乳類細胞に発現ベクターを形質転換するのに好ましい。例えば、発現
制御配列がCMVプロモーターを含む発現ベクターpcDNA1(インビトロジェン社、
カリフォルニア州サンディエゴ)は、優れた形質転換率、および形質転換された細胞にお
ける優れた発現率を実現させる。
検出可能なタンパク質は、例えば化学合成方法または合成方法および組み換え方法の組
み合わせを用いても作成することができる。例えば、検出可能なタンパク質は、当業者に
周知の標準的なポリペプチド合成技術を用いて、合成的に生成することができる。あるい
はまた、検出可能なタンパク質の一部分は、精製するか、ここに記載した技術等を用いて
組み換えて発現させることができ、当該部分は、検出可能な完全なタンパク質を得るため
に、合成技術を用いて結合してもよい。
検出可能なタンパク質の一部分を発現させて、または精製してから結合させた実施形態
において、前記結合は、ペプチド結合等の共有結合または非共有結合であり、直接的な結
合であってもよく、また、核酸相互作用モチーフと標的タンパク質を結合するリンカー部
位等のリンカー部位を介したものであってもよい。
結合としては、エーテル、エステル、チオエーテル、チオエステル、アミド、イミド、
ジスルフィド、ペプチドまたは他の結合など、あらゆるさまざまな結合がを使用できるが
、これらに制限されるものではない。同様に、あらゆる様々な官能基、例えばスルフヒド
リル基、カルボン酸(COOH)または遊離アミン(−NH)基を介したものでもよい
。当業者は、通常、適切な結合、任意のリンカーを選択し、また、例えば核酸相互作用モ
チーフおよび/または標的タンパク質等の検出可能なタンパク質の要素の物理的および化
学的特性に基づいて、検出可能なタンパク質の結合部位の結合方法を選択することができ
る。
リンカーを用いる場合の実施形態において、リンカーは核酸相互作用モチーフおよび標
的タンパク質のポリペプチド等の検出可能なタンパク質部分に直接結合させてもよい。他
の実施形態において、リンカー自体は、核酸相互作用モチーフおよび標的タンパク質等の
検出可能なタンパク質の結合部位と会合する2つ以上の分子を含む。例えば、結合は、例
えば、核酸相互作用モチーフに付与されたビオチンと、および標的タンパク質ポリペプチ
ドに付与されたストレプトアビジンを介していてもよい。リンカーとしては、直鎖または
分岐鎖の炭素リンカー、複素環炭素リンカー、置換された炭素リンカー、不飽和性炭素リ
ンカー、芳香性炭素リンカー、ペプチドリンカー等が例示されるが、これらに限定される
ものではない。
リンカーが核酸相互作用モチーフを標的タンパク質ポリペプチドに接続させるために使
用する場合の実施形態において、リンカーは、特に制限することなく、当業者に既知のあ
らゆる手段または方法によって核酸相互作用モチーフおよび/または標的タンパク質ポリ
ペプチドに付与することができる。
さらに、検出可能なタンパク質の結合部位、例えば核酸相互作用モチーフおよび標的タ
ンパク質は、検出可能なタンパク質の他の部位またはリンカーへの結合の促進に適した形
に誘導体化させてもよい。該誘導体化は、例えばPierce Chemical Company(イリノイ州
ロックフォード)から市販されているもの等の適した誘導体または複数の誘導体によって
達成することができる。あるいは、誘導体化は、検出可能なタンパク質の1以上の結合部
位、例えば核酸相互作用モチーフおよび/または標的タンパク質の化学処理を伴う。例え
ば、当業者は、通常の方法でタンパク質に遊離スルフヒドリル基を生成して、ジスルフィ
ド、チオエーテル、チオエステル等の、結合を起こさせる反応部位を形成することができ
る。例えば、米国特許第4,659,839号を参照のこと。
ここに記載のあらゆる結合方法を、様々な構成での検出可能なタンパク質の結合部位、
例えば核酸相互作用モチーフおよび標的タンパク質に使用することができる。例えば、核
酸相互作用モチーフのカルボキシ末端は、直接的または間接的に標的タンパク質ポリペプ
チドのアミノ末端に結合させることができる。いくつかの実施形態において、標的タンパ
ク質のカルボキシ末端は、核酸相互作用モチーフのアミノ末端に、直接的または間接的に
結合させることができる。他の実施形態において、核酸相互作用モチーフのアミノ末端は
、標的タンパク質のアミノ末端に、直接的または間接的に結合させることができる。他の
実施形態において、核酸相互作用モチーフのカルボキシ末端は、標的タンパク質のカルボ
キシ末端に、直接的または間接的に結合することができる。前記のように、ここでいうア
ミノ末端またはカルボキシ末端に「結合した」とは、最もアミノ末端側または最もカルボ
キシ末端側のアミノ酸ポリペプチドに直接的に結合することを必ずしも示すものではなく
、1つ以上の残基、例えば、2、3、4、5、10、15、20、25またはそれ以上の
アミノ酸残基のアミノ酸配列等をリンカーとして介した結合であってもよい。前記方法に
よって生成されたあらゆる検出可能なタンパク質は、本明細書に開示する方法の一部とし
て用いることができることを明らかとする。
5.2.2 抗体
ここに開示する方法およびキットに使用する抗体としては、ポリクローナル抗体、合成
抗体、モノクローナル抗体、組み換えによって生成される抗体、多特異的な抗体(二重特
異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、ヤギ抗体、ラビット抗体、キメ
ラ抗体、細胞内発現抗体、単鎖Fv(scFv)(例えば単一特異性、二重特異性等を含
む)、ラクダ化抗体(camerized antibody)、Fabフラグメント、
F(ab’)、ジスルフィド結合したFvs(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id
)抗体、およびこれらのいずれかのエピトープ結合断片が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。
ある実施形態において、本明細書に開示する方法およびキットに使用する抗体としては
、免疫グロブリンの免疫グロブリン分子の免疫グロブリン分子および免疫学的に活性のあ
る部位が挙げられる。本明細書に開示する免疫グロブリン分子としては、免疫グロブリン
分子のあらゆるタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)
、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)
またはサブクラスを使用できる。
使用可能な抗体としては、免疫グロブリンの変異体及び誘導体であり、エピトープに特
異的に結合する能力を保持する断片を含むものを使用できるが、これらに制限されるもの
ではない。好ましい断片としては、Fab断片(抗原結合ドメインを有し、ジスルフィド
結合によって架橋された軽鎖および重鎖の一部を含む抗体断片);Fab’(Fabと、
それに付加されたヒンジ領域を有する重鎖部分とを含む単一の抗結合ドメインを包含する
抗体断片);F(ab’)(重鎖のヒンジ領域における鎖間ジスルフィド結合によって
連結した2つのFab’分子;Fab’分子は、同一のまたは異なるエピトープに対応す
る);二重特異性Fab(2つの抗原結合ドメインを有するFab分子であって、それぞ
れのドメインは異なるエピトープに対応する);可変領域を含む単鎖Fab鎖sFvとし
ても知られる(10−25アミノ酸の鎖によって結合した単一の軽鎖および重鎖の抗体の
可変、抗原結合決定領域);ジスルフィド結合したFvまたはdsFv(ジスルフィド結
合によって結合した単一の軽鎖および重鎖の抗体の可変、抗原結合決定領域);ラクダ化
VH(camerized VH)(単一の軽鎖および重鎖の抗体の可変、抗原結合決定
領域であって、VH接合部分でのアミノ酸のいくつかは、天然のラクダ抗体を生じる重鎖
にみられる);二重特異性sFv(2つの抗原結合ドメインを有するsFvまたはdsF
v分子であって、それぞれ異なるエピトープに対応する);二特異性抗体(diabod
y)(第1のsFvのVHドメインが第2のsFvのVLドメインとともに組み立てられ
、第1のsFvのVLドメインが第2のsFvのVHドメインとともに組み立てられて形
成される二量体sFv;二特異性抗体の2の抗原結合領域は、同一のまたは異なるエピト
ープに対応する);三特異性抗体(triabody)(3つの抗原結合ドメインが1つ
の複合体中に形成される以外は、二特異性抗体と同様の方法で形成される三量体sFv;
3つの抗原結合ドメインは同一のまたは異なるエピトープに対応する)。免疫グロブリン
の誘導体である抗体は、抗体結合部位の1以上のCDR配列も有する。CDR配列は、2
以上のCDR配列が存在する場合、スカフォールド上で結合することができる。ある実施
形態において、本発明に使用する抗体は、単鎖Fv(「scFv」)を含む。scFvは
、抗体のVHおよびVLドメインを含む抗体断片であり、これらのドメインは、単一のポ
リペプチド鎖に存在する。一般的に、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合のた
めの望ましい構造を形成することを可能とする、VHおよびVLドメイン間のポリペプチ
ドリンカーを含む。scFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Mon
oclonal Antibodies, vol. 113, RosenburgおよびMoore編 Springer-Verlag, New York,
pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
本明細書に開示する方法およびキットに使用する抗体は、トリおよび哺乳類を含むあら
ゆる動物由来のものを使用できる(例えばヒト、ネズミ、ロバ、ヒツジ、ラビット、ヤギ
、モルモット、ラクダ、ウマまたはニワトリ)。本発明の方法およびキットのある実施形
態において、本発明の抗体は、ヒトまたはヒト化モノクローナル抗体である。本明細書に
おける「ヒト」抗体とは、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト
免疫グロブリンライブラリまたはヒト遺伝子からの抗体を発現するマウスから分離された
抗体を含む。
ある実施形態において、細胞プロセスによって修飾された標的タンパク質に特異的に結
合する抗体は、修飾されていない形態の標的タンパク質とは、結合または交差反応を起こ
さない。タンパク質の特定の修飾、例えば特定の修飾残基に特異性を有する抗体は、従来
技術において周知である。したがって、アシル化、アセチル化、脱アセチル、ホルミル化
、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン酸化、硫酸化、酸化、還元、ヒドロキシル化
、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィド形成、プレニル化、糖化、グリコシル化、
ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解、ラセミ化および異性化を含む(ただし、こ
れらに制限されない)、タンパク質修飾に特異性を有する従来技術に既知のあらゆる抗体
についてが、ここに開示する方法に使用することができる。いくつかの実施形態において
、ここに開示する方法に使用される抗体は、抗リン酸抗体である。他の実施形態において
、ここに開示する方法に使用した抗体は、抗メチル抗体である。他の実施形態において、
ここに開示する方法に使用される抗体は、抗アセチル抗体である。
標的タンパク質がヒストンH3である場合の実施形態において、修飾した形態のヒスト
ンH3に特異的に結合する有用な抗体としては、抗アセチル化ヒストンH3(Lys5)
、(Epitomics社、Novus Biologicals社);抗アセチル化ヒストンH3(Lys12)(
Novus Biologicals社);抗アセチル化ヒストンH3(BioVision社、EMD Biosciences社
);抗アセチル化ヒストンH3(Lys9)、(Active Motif社、USBIO社、Novus Biolo
gical社);抗アセチル化ヒストンH3(Lys14)、抗アセチル化ヒストンH3(Ly
s18)、(Active Motif社、USBIO社、Epitmoics社);抗アセチル化ヒストンH3(L
ys24)(Santa Cruz Biotechnology社);抗アセチル化ヒストンH3(Lys23)
、抗アセチル化ヒストンH3(Lys27)、抗アセチル化ヒストンH3(Lys56)
、(Active Motif社, Epitomics社);抗アセチル化ヒストンH3(Lys9/Lysl
4)(Cell Signaling Technology社、 Santa Cruz Biotechnology社);抗アセチル化ヒ
ストンH3(Lys9/Lys18)(USBIO社);抗過メチル化ヒストンH3(Lys
9)(Cell Signaling Technology社、Active Motif社、USBIO社);抗モノメチル化ヒス
トンH3(Lys9)、抗モノメチル化ヒストンH3(Lys56)、抗モノメチル化ヒ
ストンH3(Lys79)(Active Motif社);抗リン酸化モノメチル化ヒストンH3(
Lys4)(Cell Signaling Technology社);抗ジメチル化ヒストンH3(Lys4)
、抗ジメチル化ヒストンH3(Lys9)、ヒストンH3(Lys27)、抗ジメチル化
ヒストンH3(Lys79)、(Cell Signaling Technology社、Active Motif社、USBIO
社);抗ジメチル化ヒストンH3(Lys80)(Santa Cruz Biotechnology社);抗ジ
メチル化ヒストンH3(Lys56)、(Cell Signaling Technology社、Active Motif
社);(Cell Signaling Technology社);抗ジメチル化ヒストンH3(Lys36)、(
Active Motif社);抗トリメチル化ヒストンH3(Lys9)、抗トリメチル化ヒストン
H3(Lys27)(Active Motif社);抗トリメチル化ヒストンH3(Lys4)(Ep
itomics社);抗リン酸化(Thr80)抗トリメチル化(Thr79)ヒストンH3(U
SBIO社);抗リン酸化(Thr3)抗メチル化(Lys4)ヒストンH3(Lifespan Bio
sciences社);抗アセチル化(Lys9)抗リン酸化(Ser10)ヒストンH3(USBIO
社);抗アセチル化(Lys15)抗リン酸化(Ser11)ヒストンH3(Santa Cruz
Biotechnology社);および抗リン酸化ヒストンH3(Ser28)(Santa Cruz Biotech
nology社)が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
標的タンパク質がサイクリンB1の場合の実施形態において、修飾した形態のサイクリ
ンB1に特異的に結合する有用な抗体としては、抗リン酸化サイクリンB1(Ser12
6)(Rockland社、Meridian Life Science社);および抗リン酸化サイクリンB1(S
er133)(Cell Signaling Technology社)が挙げられるが、これらに制限されるも
のではない。
標的タンパク質がBADの場合の実施形態において、サイクリンBADの修飾した形態
に特異的に結合する有用な抗体としては、抗リン酸化BAD(Ser112)(Immuno-B
iological Laboratories, Assay Designs,社、Cell Signaling Technology社、IMGENEX社
、MBL International社);抗リン酸化BAD(Ser136)(Immuno-Biological Lab
oratories社、Assay Designs社);および抗リン酸化BAD(Ser155)(Immuno-B
iological Laboratories社、IMGENEX社)が挙げられるが、これらに制限されるものでは
ない。
標的タンパク質がSTAT5Aの場合の実施形態において、STAT5Aの修飾した形
態に特異的に結合する有用な抗体としては、抗リン酸化STAT5(Tyr694)(Roc
kland社, ECM Biosciences社, Cell Signaling Technology社, Abgent社, Immuno-Biolog
ical Laboratories社, USBIO社、Lifespan Biosciences社、MBL International社、RayBi
otech社、Biotrend社、IMGENEX社、AnaSpec社、Abeam社、EMD Biosciences社);抗リン酸
化STAT5(Tyr695/Tyr699)(RayBiotech社);抗リン酸化STAT5
A(Ser127/セリン128);抗リン酸化STAT5A(Ser780)(Abgent
社);抗リン酸化STAT5A(Ser780)(IMGENEX社);および抗リン酸化ST
AT5A/Bが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
標的タンパク質がSTAT6である場合の実施形態において、修飾した形態のSTAT
6に特異的に結合する有用な抗体としては、抗リン酸化STAT6(Thr641)(Cel
l Signaling Technology社、R&D Systems社、Biotrend社、MBL International社、RayBio
tech社、IMGENEX社、Biovision社、ミリポア社、EMD Biosciences社);および抗リン酸化
STAT6(Thr645)(IMGENEX社、Abeam社)が挙げられるが、これらに制限され
るものではない。
タンパク質の修飾を検出する他の抗体としては、抗ファルネシル抗体(シグマ社)および
抗O−グリケーション抗体(ミリポア社、Acris Antibodies GmbH、GeneTex社、Fitgeral
d社、Industries Internationl社)が挙げられる。特異的なタンパク質の修飾を認識し、
結合する、カスタムモノクローナルまたはポリクローナル抗体を調製してもよい。
いくつかの実施形態において、分析方法は、固体相分析の形式を用いて実施される。こ
こに開示する方法およびキットのある実施形態において、抗体は、固体支持体に固定する
。ここで使用される「固体支持体」は、特に限定されるものではなく、あらゆるカラム(
またはカラム材料)、ビーズ、試験管、マイクロタイターディッシュ、粒子(例えばマグ
ネット、アガロースまたはセファロースビーズ)、マイクロチップ(例えばガラス、繊維
ガラス、ラテックス、シリコン、シリコンガラスまたはゴールドチップ)、膜(例えばリ
ポソームまたはベシクルの膜)、プラスチック材料(例えばポリスチレンまたはポリ塩化
ビニル)、または、抗体が直接または間接的に(例えば他の抗体、プロテインAまたはプ
ロテインG等の他の結合パートナーを間に介して)結合することができるか、または、抗
体を埋め込むことができる(例えば受容体またはチャネルによって)センサチップ(例え
ばビアコアシステム)である。特定の実施形態において、抗体は、プロテインGの固体支
持体上への固定によって、間接的に固定される。
分析方法に使用される抗体は、あらゆる標準的な方法を用いて「捕捉」される。例えば
、抗体をビオチン化した後、固定されたストレプトアビジン(例えばマグネットビーズま
たはカラムに固定されたストレプトアビジン)を用いてビオチン化抗体を捕捉することが
できる。抗体(および検出可能なタンパク質に結合する核酸オリゴマー)に結合する標的
タンパク質は、固体支持体に結合したまま残り、一方で、結合していない結合試薬(例え
ば標的タンパク質および核酸オリゴマー)は、洗い流される。結合した標的タンパク質の
捕捉後、検出可能なタンパク質の核酸相互作用モチーフへの結合を介して標的に結合する
核酸オリゴマーは、通常、例えば核酸オリゴマーとハイブリッドを形成するプライマーを
用いたPCR反応によって検出することができる。ある実施形態において、PCR反応は
、標準の定量方法を用いて(例えばパーキンエルマー社のTaqManを使用して)実施される
。いくつかの実施形態において、目的の核酸オリゴマーと複合体をなす複数のタンパク質
は、固体支持体上に残存する。この場合、分離されたプールの個々の要素は、例えば目的
の特定のタンパク質に特異的なそれぞれ固有の核酸オリゴマーの増幅等を経て同定するこ
とができる。
ある実施形態において、抗体を結合させる固体支持体は、マグネットビーズである。あ
る実施形態において、抗体は、ストレプトアビジン被覆ビーズに固定されたビオチン化抗
体である(Invitrogenインビトロジェン社のDynabeads(商標)M280)。ある実施形態に
おいて、ビオチン化抗体は、1次抗体を捕捉するために使用される2次抗体であり、同様
に、修飾された標的タンパク質を認識し、結合するために使用される。ある実施形態にお
いて、抗体はプロテインGビーズ上に固定される(インビトロジェン社のDynabeads(商
標)プロテインG)。ある実施形態において、抗体はプロテインAビーズ上に固定される
(インビトロジェン社のDynabeads(商標)プロテインA)。いくつかの実施形態におい
て、抗体は、固体表面上に固定された2次抗体によって固定される(例えばDynabeads(
登録商標)M-280ヒツジ抗マウスIgG(インビトロジェン社);Dynabeads(登録商標)
M-280ヒツジ抗ラビットIgG(インビトロジェン社)。
ある実施形態において、抗体−標的タンパク質複合体の溶出が、例えば核酸オリゴマー
のPCR検出に必要とされる場合、タンパク質複合体の溶出は、市販の溶出緩衝液を用い
て実施してもよい。ある実施形態において、抗体標的タンパク質複合体は、プロテインG
ビーズを用いて固定された場合、溶出は、リン酸フェニルを用いて、または市販の低pH
緩衝剤を用いて実施してもよい。ある実施形態において、固定された抗体は、例えば1次
抗体または2次抗体のいずれか、化学的切断または酵素切断することができる切断リンカ
ーを含む。ある実施形態において、切断リンカーは、ホスフィンまたはジチオールを介し
た還元によって切断することができる。ある実施形態において、ホスフィンは、トリス(
2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)である。
ある実施形態において、抗体は、複数のウェルを有するウェルプレート、例えばマルチ
ウェルプレートまたはマルチドメインマルチウェルプレートに固定された。マルチウェル
の分析プレートの使用は、並行処理およびプレート上のマルチウェルに分布された複数の
サンプルの分析を可能とする。マルチウェルの分析プレート(別名マイクロプレートまた
はマイクロタイタプレート)は、様々な形態、サイズおよび形状とすることができる(例
えば96−, 384−, 1536−または9600プレート;丸底型または平底型の
複数のウェルプレート)。ここに開示する方法は、標準のプレートの形態において実施さ
れる場合は、これらのプレートの格納、移動が可能な市販の機器、ならびに液体をプレー
トの中および外で容易に調合することができる市販の機器を使用することができる(例え
ばマルチウェルピペット、プレート洗浄機等)。ここに開示する方法に使用することがで
きるマルチウェルプレートの形態としては、96ウェルプレート(ウェル12×8の配列
)、384ウェルプレート(ウェル24×16の配列)および1536ウェルプレート(
ウェル48×32の配列)が例示できる。ここに開示する方法に使用することができる他
の形態としては、単一または複数のドメインを含むマルチプレートが挙げられるが、これ
らに制限されるものではない。
5.2.3 核酸オリゴマー
本発明で使用される核酸オリゴマーは、標的タンパク質の核酸相互作用モチーフに結合
する。ある実施形態において、核酸オリゴマーは、(a)レポーター機能を有するPCR
増幅産物(「アンプリコン」)である第1の核酸配列および(b)タンパク質を捕捉する
か、「標識を付す」機能を有する核酸相互作用モチーフの第2核酸配列、を含む。ある実
施形態において、第1の核酸配列は、異種であり、即ち、通常、第2の核酸配列に隣接し
ている。標的タンパク質および核酸相互作用モチーフ、例えばDNA結合タンパク質を含
む検出可能なタンパク質は、核酸オリゴマー、例えばDNAタンパク質の複合体形成によ
って捕捉するか、「標識を付す」ことができる。
ある実施形態において、核酸オリゴマーは、DNA結合タンパク質によって特異的に認
識される標的DNA配列に結合したアンプリコンを含む(例えばNFκB、croリプレ
ッサー、GAL4、GCN4、LexA、Opaque−2およびTGA1a)。他の実
施形態において、核酸オリゴマーは、転写因子のDNA結合ドメインの同族DNA配列に
結合したアンプリコンを含む。ある実施形態において、第2の核酸配列は、天然のまたは
合成のDNA結合タンパク質を認識する配列を含む。ある実施形態において、PCR増幅
産物を含む第1の核酸配列は、核酸相互作用モチーフを含む第2の核酸から分離されて、
区別されるものである。このような実施形態において、核酸オリゴマーは、核酸オリゴマ
ーを特異的に認識することができるDNA結合因子を有するタンパク質に結合することが
できる。核酸オリゴマーは、その後、検出され、および/または、例えば定量化PCR(
qPCR)またはPCR増幅後の質量分析による検出等を用いて定量化される。いくつか
の実施形態において、PCR増幅工程の間に、第2のレポーター機能が用いられる。ある
実施形態では、PCR増幅工程の間、プライマー伸長工程において、蛍光タグ等の第2の
レポーター機能が核酸オリゴマーに付着する。
ある実施形態において、核酸オリゴマーは、qPCRによって検出され、および/また
は定量化される。qPCRによる核酸オリゴマー検出は、確実性のある定量的な検出方法
であるだけでなく、高感度で、且つ、選択性の高い検出方法であるという利点も有する。
qPCR検出方法が高感度であることから、この方法は、極めて微量の標的タンパク質の
検出を可能とし、組み換え型タンパク質のような、少量で高価な分析対象の必要量を減少
させることができる。qPCR検出方法の高特異性により、qPCRは、複雑な異種混合
物中の特異的なDNA配列の検出が可能となり、タンパク質の検出を改善するか、促進さ
せるために、タンパク質サンプルに通常実施される、あらゆる種類の精製工程が不要とな
る。
増幅される配列は、配列特異的な方法で、PCRプライマーとハイブリッドを形成する
か、形成することができるものである。ある実施形態において、核酸オリゴマーは、複数
のアンプリコン、例えば2,3,4,5,6,7,8,9,10またはそれ以上のアンプ
リコンを含む。いくつかの実施形態において、複数のアンプリコンは、単一のアンプリコ
ンのタンデムリピートである。ある実施形態において、アンプリコンは、定量的PCRに
よって増幅可能であり、該核酸オリゴマーに標識を付されたタンパク質の定量化を可能と
する。ある増幅方法において、最高40回の変性、アニーリングおよび伸長の連続的な工
程で、qPCRシグナルの増幅を完成するため、PCR配列の増幅は、標準のPCR反応
混合物(通常、最終濃度10mM Tris−HCl(25°CでpH 8.3)、1−
4mMのMgCl、0.1−1mM dNTP)中にPCR増幅の鋳型を含む核酸、P
CRプライマーおよびqPCRプローブを混合し、非特異的なアニーリングまたはミスプ
ライミングを最小にするため、試料を最初にホットスタート条件下にて(例えば5分間9
5℃で加熱して)処理し、変性工程(例えば45秒間、95℃)の後、伸長工程(1分間
、72℃)を実施することによって行う。
ある実施形態において、核酸オリゴマーの長さは、約50〜約100、約50〜約20
0、約50〜約300、約50〜約400、約50〜約500、約100〜約200、約
100〜約300、約100〜約400、約100〜約500、約200〜約300、約
200〜約400、約200〜約500、約300〜約400、約300〜約500また
は約400約500ヌクレオチドである。
ここで開示されるレポーター機能とは、それを視覚化あるいは検出または定量化するこ
とを可能とする核酸オリゴマーの特徴とするものであり、したがって、捕捉または「標識
」されたタンパクを間接的に視覚化あるいは検出または定量化することを可能とする。あ
る実施形態において、核酸オリゴマーのレポーター機能は、PCR、qPCR(アプライ
ドバイオシステムズ社/ABI、 BioTrove)、DNAマイクロアレイ(アフィメトリッ
クス社、GeneChip(登録商標))、ビーズアレイ(Illumina's BeadArray Technology社L
uminex's xMAP technology)、DNAキャピラリーアレイまたはキャピラリー電気泳動(
アプライドバイオシステムズ社、ベックマンコールター社、GenomeLab(商標)GeXP Gene
tic Analysis System)、ナノテクノロジー(Nanostring(登録商標)社nCounter(商標)A
nalysis System)、DNA塩基配列決定(454、Illumina社Solexa、イフテクノロジーズ
社SOLiD(登録商標) System Sequencing、アプライドバイオサイエンス社/ABI)、
及び質量分析(Sequenom(商標)社、BioTrove社)等により検出されるが、検出方法はこ
れらに制限されるものではない。
ある実施形態において、核酸オリゴマーのレポーター機能は、核酸オリゴマーの放射性
同位元素標識、蛍光標識またはビオチン化により付与される。核酸オリゴマーとしては、
一本鎖または二本鎖DNA、一本鎖または二本鎖RNA、DNA−RNAハイブリッド、
RNA−RNAハイブリッドまたはそれらの天然または合成誘導体、その類似体および断
片が例示される。いくつかの実施形態において、核酸オリゴマーはDNAとし、レポータ
ー機能標識は、例えばニックトランスレーション等のあらゆる標準的な酵素反応、または
32P、125Iまたはビオチン化標識されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP
)の末端標識のDNAへの導入、または標識の挿入剤としての導入としてもよい。多くの
蛍光剤または発光剤市販されており、核酸オリゴマーを標識するために使用することがで
きる。核酸オリゴマーの標識に使用できる蛍光標識としては、フルオレセイン、ローダミ
ン、クマリンならびにそれらの市販の誘導体、例えばテキサスレッド(登録商標)および
アレキサフルオル(登録商標)が例示される。発光剤としては、ランタニド複合体および
発光ナノ粒子が例示される。ある実施形態において、核酸オリゴマーは、始めからレポー
ター機能を有するものでなく、レポーター機能は、核酸検出工程の前に付加される。
核酸オリゴマーおよび核酸相互作用モチーフの対の例を表1に示す。DNA結合タンパ
ク質は、例えば転写活性化因子およびリプレッサーを含む転写因子のDNA結合ドメイン
を有する。適切なDNA結合ドメインとしては、NF−κB(真核生物)、croリプレ
ッサー(λバクテリオファージ)、lacリプレッサー(E.coli)、GAL4(酵
母)、GCN4(酵母)、Lex−A(E.coli)、Opaque−2(トウモロコ
シ)およびTGA1a(タバコ)が挙げられる。DNA結合ドメインの適合性は、特定の
DNA結合ドメインのその標的配列への相互作用時間にも依存し得る。例えば、NF−κ
Bは、その標的DNA配列と4時間を超える解離半減期で、強い会合を形成する(Speigh
t et al. (2001) Chem. Biol. 8:951-965を参照のこと)。適切なDNA結合ドメインは
、自然発生的なおよび/または工学的なDNA結合モチーフ、例えば合成ジンクフィンガ
ー、ロイシンジッパー、ウィングドヘリックス、ヘリックス・ループ・ヘリックス、ホメ
オドメインおよびPOUドメインの異なる部分の組み合わせから構成される合成DNA結
合ドメインを含んでいてもよい。検出可能なタンパク質は、核酸オリゴマーのある結合認
識配列によるDNA結合ドメインの認識によって捕らえることができるか「タグを付す」
ことができる。本発明の他の実施形態において、核酸相互作用モチーフは、全長、一部分
、または、ここに記載のDNA代謝酵素、例えばDNAリガーゼ、DNA修復酵素、制限
酵素またはDNAメチルトランスフェラーゼの機能的断片である。
表1:核酸オリゴマー、核酸相互作用モチーフおよび核酸相互作用モチーフ認識配列の例
Figure 0006105657
Figure 0006105657
5.2.4 細胞
ここに開示する方法に使用する細胞は、あらゆる細胞種および生物由来の初代細胞、二
代目の細胞または不死化細胞とできる。いくつかの実施形態において、細胞は、ヒトを含
む哺乳類由来である。いくつかの実施形態において、細胞は異なる細胞種である。他の実
施形態において、細胞は、実質的に均一な集団の細胞である。本発明の方法は、例えば4
2、96、384または1536のウェルの分析プレートを含有する大量の細胞サンプル
の分析を可能とする。
ここに開示する方法は、通常の組織培養プラスチックウェア内に成長することができる
、あらゆる細胞種を用いて実施することができる。このような細胞種としては、あらゆる
既知の供給源、例えば哺乳類、植物、細菌、ウイルスまたは菌由来の、全ての野生型およ
び形質転換細胞を含む。ある実施形態において、細胞は、哺乳類由来のものである(ヒト
または齧歯動物もしくはサル等の動物)。いくつかの実施形態において、細胞は、ヒト由
来のものである。いくつかの実施形態において、細胞は、齧歯動物由来のものである。い
くつかの実施形態において、細胞は、ネズミ由来のものである。いくつかの実施形態にお
いて、哺乳類細胞は、あらゆる臓器または組織由来(例えば脳、肝臓、肺、心臓、腎臓、
皮膚、筋肉、骨、骨髄または血液)および、あらゆる細胞種のものを使用できる。ここに
開示した方法に使用するための適切な細胞種としては、線維芽細胞、基底細胞、上皮細胞
、内皮細胞、血小板、リンパ球、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、網状赤血球、
顆粒白血球、単球、マスト細胞、神経細胞、神経芽細胞、巨細胞性、樹枝細胞、マクロフ
ァージ、分割球、内皮細胞、腫瘍細胞、介在性細胞、クップファー細胞、ランゲルハンス
細胞、沿岸細胞、組織細胞、例えば筋細胞および脂肪細胞ならびに除核細胞等が挙げられ
るが、これらに制限されるものではない。
ここに記載の方法に従って特定の分析を発展するため、使用する細胞種および/または
細胞株は、当業者によって容易に選択することができ、その選択は、研究対象たる細胞プ
ロセスの特性、分析の意図する目的等のいくつかの要因によって決定される。例えば、細
胞株の選択は、基質に作用する研究対象たるタンパク質(形質転換した検出可能な標的タ
ンパク質)が、細胞に内因的に存在するかどうかに部分的に依存する。いくつかの実施形
態において、細胞プロセスを調節する被験化合物の1次スクリーニング用に構築された分
析(即ち、第1回目のスクリーニング)は、市販の、通常は成長させるのが比較的容易な
確立された安定な細胞株を用いて実施することができる。分析結果が薬剤開発の後の工程
に使用される場合において、分析は、初代および二代目の細胞を用いて実行される。初代
および二代目の細胞は、不死化細胞を比較して、取得、維持及び/または成長が、通常は
困難であるものの、優れた生体内条件(in vivo)の実験モデルを示す。
いくつかの実施形態において、ここに記載の方法は、被験化合物と細胞とを接触させる
前に、細胞を飢餓状態にする工程を含む。細胞の飢餓状態は、分析する細胞プロセスが1
以上のプロテインキナーゼによるリン酸化であり、目的のプロテインキナーゼが、構造的
に活性状態でない場合に特に有利である。飢餓は、細胞成長および分裂の正常なサイクル
を中断して、細胞を静止(不活性)状態にして、細胞のリン酸化レベルをベースラインま
で低下させる。細胞の飢餓は、あらゆる適切な方法、例えば血清または成長補助剤を含ま
ない培地での細胞培養によって実行される。
本明細書に開示する方法のいくつかの実施形態において、細胞は、標的タンパク質およ
び核酸相互作用モチーフを含む検出可能なタンパク質を発現するように、遺伝子操作して
もよい。発現ベクターは、当業者に既知のあらゆる方法によって宿主細胞内に発現するよ
うに導入することができる。係る方法としては、例えば細胞による溶液からの分子の直接
的な取り込み;またはリポソームまたは免疫リポソーム等を用いたリポフェクションを介
した促進された取り込み;粒子を媒介した形質転換等が挙げられるが、これらに制限され
るものではない。例えば、米国特許第5,272,065号、Goeddelら編, 1990, Metho
ds in Enzymology, vol. 185, Academic Press, Inc., CA;Krieger, 1990, Gene Transfe
r and Expression - A Laboratory Manual, Stockton Press, NY;Sambrookら, 1989, Mo
lecular Cloning - A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY;および
Ausubelら編, Current Edition, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub
lishing Associates and Wiley Interscience, NYを参照のこと。発現ベクターに使用す
るための実用的なプロモーターとしては、メタロチオネイン・プロモーター、構成的アデ
ノウイルス・メジャー・レイト・プロモーター、デキサメタゾン誘導性MMTVプロモー
ター、SV40プロモーター、MRP pol IIIプロモーター、構成的なMPSV
プロモーター、RSVプロモーター、テトラサイクリン誘導性CMVプロモーター(例え
ばヒトの極初期CMVプロモーター(immediate−early CMV pro
moter))および構成的なCMVプロモーターが挙げられるが、これらに制限される
ものではない。発現ベクターは、検出可能なタンパク質を発現する細胞と互換性を持つ、
発現および複製シグナルを含むべきである。検出可能なタンパク質を発現するための発現
ベクターとしては、ウイルスベクター、例えばレトロウイルス、アデノウイルスおよびア
デノ関連ウイルス、プラズミドベクター、コスミド等が挙げられる。
組み換え型ポリペプチドを発現するのに有用な当業者に既知のあらゆる哺乳類細胞、例
えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、A375細胞、HEK
293またはLnCap細胞が、標的タンパク質および核酸相互作用モチーフを含む検出
可能なタンパク質を発現するために使用できる。標的タンパク質が適切な宿主細胞に発現
している場合、それは天然タンパク質に存在する翻訳後の修飾を発現することができ、し
たがって、天然タンパク質の構造および機能を保持することが期待できる。
5.3 キット
また、ここに開示されるキットは、候補分子または細胞プロセスを調節する被験化合物
をスクリーニングするためのキットであり、細胞プロセスは、標的タンパク質を修飾する
。係るキットは、細胞分析において、検出可能な基質としての役割を果たす、検出可能な
タンパク質で形質転換された細胞株を含む。前記キットは、細胞プロセスの結果として修
飾された、標的タンパク質に特異的に結合する抗体をさらに含む。抗体は、任意に固体支
持体または容器、例えばマルチウェルプレートのウェルに固定される。いくつかの実施形
態において、キットは、さらに検出可能な核酸オリゴマー、および核酸オリゴマーによっ
て「標識を付す」ことができる標的タンパク質を含む。核酸オリゴマーをqPCRによっ
て検出することができる場合、キットは、核酸オリゴマー内のPCR開始配列を認識する
ことができるPCRプライマーをさらに含む。係るキットは、前記のように、細胞プロセ
スを調節する被験化合物を同定するための方法を実施するために使用することができる。
他の実施形態において、キットは、細胞プロセスの結果として修飾された標的タンパク
質の存在を検出するために使用してもよい。前記キットは、生体試料中にある分子が存在
するか否かを試験する診断キットとして使用してもよく、前記分子は細胞プロセスを調節
するか、細胞プロセスを誘発する化合物であり、前記細胞プロセスにより、標的タンパク
質の修飾が起こる。ある例において、キットは、細胞プロセスの結果として修飾され、固
体表面に固定される標的タンパク質に特異的に結合する抗体;核酸オリゴマーによって標
識を付すことができる標的タンパク質および核酸相互作用モチーフを含む検出可能なタン
パク質;および検出可能な核酸オリゴマーを含む。キットは、任意に、qPCR増幅を可
能とするため、核酸オリゴマー内のPCR開始配列を認識することができるPCRプライ
マーをさらに含む。
6. 実施例
6.1 実施例1;NF−κBおよびキナーゼ融合タンパク質の構築
構成的発現のための発現ベクター
以下の遺伝要素は、標準の分子生物学技術を用いた遺伝子合成に続いて、制限酵素によ
る消化、およびその後のライゲーションによって、一般的な細菌プラズミドであるpGE
Mのバックボーンにクローニングした。5’末端から3’末端まで記載すると、それらは
下記の通りである:
多く細胞種にて、強い構成的発現を可能とするCMV(サイトメガロウイルス)エンハ
ンサー/プロモーター領域;
ヒトβ−グロビン遺伝子の最初のイントロン、ならびにリーダー、および免疫グロブリ
ン遺伝子の重鎖可変領域の主体から構成されるキメライントロン(形質転換の研究は、c
DNA挿入に隣接するようなイントロンの存在が、しばしば遺伝子発現のレベルを上昇す
ることを示した);
TEV(タバコエッチ病ウイルス)のタンパク分解酵素の認識配列に続いて、いくつか
の固有な制限酵素部位を有する多重クローニング領域とイン・フレームで融合した酵母G
AL4のDNA結合ドメインまたはヒトNF−κB転写活性因子(表1参照);
mRNAの安定性および翻訳を向上させるSV40(シミアンウイルス40)後期ポリ
アデニル化シグナル;
E.coliの増殖のためのpMBIの複製起点;および
E.coliの選択/増殖のためのアンピシリン耐性(Amp)遺伝子。
構成的発現のための発現ベクター
細胞で検出可能なタンパク質の発現レベルを調節することで、細胞系を混乱させないよ
う、T−Rex(商標)系 (インビトロジェン カタログ番号 K 1020-02)と使用するた
めに設計されたpcDNA(商標)5/TO(インビトロジェン カタログ番号K1020-01
)を、5.1.1.に記載されたタンパク質のクローニングにも使用した。前記ベクター
は、2つのテトラサイクリンオペレーター2(TetO)部位を、テトラサイクリン調
節発現を可能とするCMVプロモーターの内に有する。TetO部位は、pcDNA(
商標)6/TRに発現した4つのTetリプレッサー分子の結合部位の役割を果たす。T
etリプレッサーの結合は、検出可能なタンパク質の発現をテトラサイクリンの不存在下
において抑制する。テトラサイクリンの添加により、検出可能なタンパク質の非抑制およ
び発現が生じる。検出可能なタンパク質の発現は、細胞内に存在するテトラサイクリンの
量を調整するか、または細胞内を共形質転換するpcDNA(商標)5/TOおよびpc
DNA(商標)6/TRの比率を調整するかのいずれかによって制御することができる。
6.1.1 タンパク質のクローニング
全長ヒトキナーゼMek1(GenBank 登録番号NP_002746.1)(配列番号:22)、全長
ヒトErk1(参照配列P27361)(配列番号:23)、全長ヒトキナーゼAkt1(GenBan
k登録番号NP_005154.2) (配列番号:24)、全長ヒト転写因子FKHR/FOXO1(G
enBank登録番号NP_002006)(配列番号:25)、アミノ酸1−787のヒトのAck1/
Tnk2(参照配列Q07912)(配列番号:26)、全長AuroraキナーゼA(参照配列
014965)(配列番号:27)、全長ヒトSrc(参照配列P12931)(配列番号:28)、全長
ヒトプロアポトーシスタンパク質BAD(参照配列CAG46757)(配列番号:29)、全長ヒ
トヒストンH3(参照配列P68431及びQ71DJ3)(配列番号:30)、アミノ酸142−54
0のヒトアンドロゲン受容体(AR)(参照配列P 10275)(配列番号:31)、全長ヒト
転写因子STAT5A(P42229)(配列番号:32)、全長転写因子STAT6(P42226)
(配列番号:33)および全長サイクリンB1(参照配列14635)(配列番号:34)をコー
ド化する配列は、逆翻訳から取得でき、ヒトのDNA結合ドメインNF−κB(配列番号
:5)のアミノ酸35−36(MetAla)およびアミノ酸41−359をコード化す
る配列とイン・フレームでそれぞれ融合して、また逆転写により取得した。対応する触媒
的に不活性なキナーゼは、前記野生型配列、キナーゼドメインの触媒残基に突然変異を導
入することによって、クローニングした。したがって、以下のミスセンス突然変異をコー
ド化する配列(括弧内に記載した特定のアミノ酸置換)であって、全長ヒトMek1(K
97A)、全長Erk1(K71R)、全長Akt1(K179A)、全長Ack1/T
nk2(K158R)、全長AuroraキナーゼA/AurKA(K162R)、全長
Src(K298R)およびアミノ酸142−540のアンドロゲン受容体/AR(Y5
34F)をコード化する配列は、逆翻訳から得られ、配列番号:5をコード化する配列と
イン・フレームでそれぞれ融合して、また逆翻訳から取得した触媒的に不活性なキナーゼ
が、下流効果を発揮しないリン酸基の受動的な受容体として構成され、宿主これにより、
細胞系の混乱を最小限にすることができる。
配列は、通常の分子クローニングプロトコルに従って、制限酵素を用いた切断、及びラ
イゲーションによってクローニングした。クローンの配列は、ABIシーケンサーで確認
した。
構築された各DNAの発現レベルおよび品質は、GAL4およびNF−κBに対する抗
体(Santa Cruz Biotechnology社)を用いたSDS−PAGE/ウェスタンブロット法に
よって解析した。
6.1.2 核酸オリゴマーの構築
任意の配列を生成して、ソフトウェアPrimer Express(登録商標)(ABI)を用いて
、アンプリコンを設計するに使用した。アンプリコンは、ヒトのキノーム(kinome
)に対して、および他のアンプリコンに対してBLAST検索して、BLAST検索の配
列の最小類似性に基づいて選択した。選択されたアンプリコンを、ABIに送ることで、
適切なプライマーおよびqPCR蛍光プローブが、ABIで調製された。アンプリコンを
、GAL4またはNF−κB認識部位の添加によってさらに修飾し、完全な核酸オリゴマ
ーを生成した。オリゴヌクレオチドは、細菌プラズミドにクローニングして、オリゴマー
はPCRを用いて複製した。
6.2 実施例2:リン酸化Mek1細胞分析
この細胞分析において、化合物について、Brafの直接的なキナーゼ基質であるMe
k1のリン酸化を測定することによって、それらのBrafを阻害する能力に関して試験
した。構成的に活性なBraf V600E突然変異を発現するA375細胞は、3e5
細胞/mLの濃度で10cmプレートに播種して、40μLのリポフェクトアミン200
0(インビトロジェン社)で1mLのOPTI−MEM緩衝剤(ギブコ社/インビトロジ
ェン社)中で検出可能なタンパク質(16μg)をコード化する発現プラズミドに形質転
換して、37℃で18−22時間インキュベートした。次の日に、培地を取り除き、細胞
をPBSで洗浄し、トリプシン処理して、M3培地(10%FBSを含むDMEM)で停
止させた。細胞は、計数し、M3完全培地中に濃度5e6細胞/mLまで再懸濁して、5
0,000細胞/ウェル/100μLで96ウェルプレートに播種して、37℃で3時間
インキュベートした。その後、培地を取り除き、飢餓培地(0.5%FBS/DMEM)
をウェルに添加し、一晩インキュベートした。翌日、細胞をM3飢餓培地中の化合物とと
もに、37℃で2時間インキュベートした。
タンパク質抽出工程のため、ウェルから培地を取り除き、M−PER(Pierce社)/1
50mM NaCl/10mM DTT/1×Complete(商標)EDTAフリー
(ロシュ社)抗タンパク分解酵素混合物/250nMオカダ酸を添加して、プレートは冷
蔵室にて30分間最大速度で振とうした。細胞は、20分間、3000rpm遠心分離機
で分離した。上清30μLは、収集して、10μLの4×タンパク質安定化混合剤(Pier
ce社 カタログ番号89806)を含む冷却したポリプロピレンプレートにピペットで取り、
混合し、2つの10μLのアリコートを取り出し、プレートを−80℃で凍結して、結合
分析のために保存した。溶解物の希釈は、2工程で実施した。10μLの抽出物のアリコ
ートを内包する96ウェルプレートを、室温で解凍して、NF−κBプローブとしての役
割を果たす2nM核酸タグを有する0.1%BSA/1×PBS0.05%Tween溶
液40μLを添加して、軌道振とうによって450rpm、室温で10分間振とうした。
それから、0.1%BSA/1×PBS0.05%に懸濁されたせん断されたサケ精子D
NAの溶液270μLを添加して、ピペッティングにより軽く混合した。
リン酸Mek1検出分析における第1工程として、2.5μgの抗リン酸化MEK1/
2(Ser217/221)抗体を、PBST(1×PBS/0.05%Tween20
)100μL中のプロテインGビーズ(インビトロジェン社Dynabeads-Protein G (カタ
ログ番号100-04D))にそれぞれ固定して、室温で約45分間回転させた後、1%BSA
/0.02%アジ化ナトリウムを抗体/ビーズ混合物に添加して、4℃で一晩回転させた
。翌日、ビーズを沈殿させ、洗浄/ブロッキングし、1−2×2%BSA/PBSTに再
懸濁して、最初のストック濃度の半分の濃度となるように、96ウェルのポリプロピレン
プレート上に播種した。リン酸化Mek1結合分析は、25μLビーズおよび100μL
の2%BSA/PBSTを有する別のプレート上にて実施し、細胞溶解剤を添加するまで
振とうした。結合分析のために、まずビーズを沈殿させ、緩衝剤を吸引し、次いで希釈さ
れた溶解剤100μLを各ウェルに添加して、プレートを室温で1時間振とうした。結合
工程後、ビーズを4分間で沈殿させ、緩衝剤を吸引し、PBST150μLを添加した。
プレートを、短時間振とうさせて、マグネット上で沈殿させ、2〜4回洗浄緩衝剤(1×
PBS/0.05%Tween20)で洗浄して結合していないタンパク質を除去した。
最終洗浄後、ビーズは、0.05%までTween20を追加したIgG溶離緩衝液(Pi
erce社カタログ番号21004)150μLに再懸濁して、振とうしながら室温で50分間イ
ンキュベートした。ビーズを沈殿させた後、溶離された混合液50μLを取り除き、20
0mMトリス塩基30μLに添加して、よく混合して、DNA検出分析に移した。qPC
Rのため、2.5μLを、適切なプライマーおよびプローブ(アプライドバイオサイエン
ス社)とともにマスターミックス7.5μLに移された。
選択的に、結合分析を核酸オリゴマー不存在下にて実施し、結合していないタンパク質
の洗浄除去後に核酸オリゴマーを添加してもよい。抗体固定の代替方法によって、同等の
結果が得られた:ストレプトアビジンの支持体上のビオチン−プロテインG(Pierce社)
の固定、デスチオビオチン標識された抗体、切断可能なジスルフィド結合による抗体のビ
オチンへの結合およびマグネットストレプトアビジンM−280ビーズ(インビトロジェ
ン社)へのビオチン化された抗体の固定。
結合分析は、全体のウェルに亘って測定されたリン酸化Mek1の量を正常化するため
、抗トータルMek1抗体を用いても実行した。抗リン酸化Mek分析は、文献公知のB
raf阻害剤を用いて確認した:BAY−43−9006, PLX−4720, Ch
ir−265。
図3は、陰性コントロールとして試験したCI−1040と、前記プロトコルを用いて
、Brafに対するBAY−43−9006、PLX−4720、Chir−265に関
して得られたIC50を示す。
6.3 実施例3;リン酸化Akt1細胞分析
図2に示すように、PIK3CAキナーゼは、2つの独立した経路、例えば共にAkt
をリン酸化するキナーゼ基質FRAP1(mTORのキナーゼドメイン)の直接活性、ま
たは「PDK2」として文献公知のものおよびPDPK1といった他のあまり研究されて
いないキナーゼによるシグナリングを媒介する。FRAP1およびPDPK1は、それぞ
れ固有のリン酸化部位においてAkt1を活性化するため(FRAP1はAkt1キナー
ゼのアミノ酸473のセリンをリン酸化して、PDPK1はAktキナーゼのアミノ酸3
08のスレオニンをリン酸化する)、それぞれの経路の活性化は、それぞれのリン酸化部
位に特異的な抗リン酸化抗体を用いて、分離して試験することができる。したがって、こ
の細胞分析を用いて、Aktのリン酸化特異的部位を測定し、PIK3CAに対するもの
のみでなく、FRAP1またはPDPK1に対するものについても、化合物の阻害機構に
関して調査した。細胞株Hek293を使用して、密度5e5/mLで播種される以外は
、実施例1に記載されたプロトコルに従った。リン酸化Akt1検出工程のため、抗リン
酸化Akt(Ser473)抗体(Akt1キナーゼのアミノ酸473でリン酸化される
セリン抗体を含むペプチドに対する抗体)を、FRAP経路からの阻害を測定するために
使用し、抗リン酸化Akt1(Thr308)抗体(Akt1キナーゼのアミノ酸308
でリン酸化されるスレオニン抗体を含むペプチドに対する抗体)は、PDPK1経路から
の阻害を測定するために使用した。抗トータルAkt1抗体を用いた結合分析は、またウ
ェルに亘って測定されたリン酸化Akt1の量を正常化するのと並行して実行した。
抗リン酸化Akt1の細胞分析は、文献公知の選択的なPIK3CA阻害剤、例えばP
I103、ZSTK−474、ワートマニンおよびPIK−93ならびに文献公知のPD
PK1阻害剤、例えばBX−795を用いて評価した。
図4は、PI103、ZSTK−474およびBX−795について、抗リン酸化Ak
t1(Ser473)および抗リン酸化Akt(Thr308)分析から得られたIC
を示す。文献に確立されているように、細胞分析は、PI103がFRAP1およびP
DPK1経路を通して、ほぼ等量のIC50を有することを示し、これにより、PI10
3が選択的なPIK3CA阻害剤として働くことを示す。同様に、細胞分析は、ZSTK
−474およびワートマニンの双方が、FRAP1またはPDPK1経路を調査する各試
験においてほぼ等量のIC50を有することを示し、これは、ZSTK−474およびワ
ートマニンを選択的なPIK3CA阻害剤として確立した文献の記載と一致する。対照的
に、PDPK1を特異的に阻害する文献公知の化合物であるBX−795は、細胞分析に
おいて、FRAP1を通して選択的にPDPK1を阻害することを示す(FRAP1に対
するBX−795のIC50は、PDPK1に対する該化合物から得られたIC50より
非常に高い)。
以下の化合物について、抗リン酸化Akt1(Ser473)細胞分析においても試験
した:PIK3CGを阻害する文献公知の化合物TG−100−115(PI3KCのγ
アイソフォーム);HSP90の阻害剤として既知のラジシコールおよびAkt1リン酸
化の阻害剤として既知のトリシリビン。また、それぞれに関して得られた容量反応極性を
図5に示す。BX−795およびTG−100−115に関する結果は、リン酸化Akt
1(Ser473)分析が、PDPK1およびPIK3CG阻害剤に対して感度が低いこ
とを示す。ラジシコールに関する結果は、分析がHSP90阻害に部分的に感度が高く、
pAkt阻害剤トリシリビンは、ラジシコールと同様の用量反応曲線を表示することを示
す。
トリシリビンおよびラジコールは、また抗リン酸化Akt(Thr308)の細胞分析
においても(図6)試験し、用量反応曲線は、両方の化合物が、Thr308のリン酸化
を部分的のみ阻害することができることを示す。
6.4 実施例4;PIK3CAリン酸化FOXO1細胞分析
この細胞分析において、Akt1の直接的なキナーゼ基質である転写因子FOXO1(
別名FKHR)のリン酸化を測定することによって、化合物のAkt1を阻害する能力に
関して試験した。細胞株Hek293を使用して、濃度5e5/mLで播種した以外は、
実施例1に記載されたプロトコルに従った。リン酸化FOXO1検出工程に関して、抗リ
ン酸化FOXO(Thr24)抗体(FOXO1転写因子のアミノ酸24でリン酸化され
たスレオニンに対する抗体)を使用し、また、NF−κBに対する抗体を、ウェルに亘っ
て測定されたリン酸化FOXO1の量を正常化して完全に捕らえるために使用した。
図7は、Akt1阻害剤として既知のGSK−690693に関して、ならびにPIK
3CAおよびPDPKIを阻害すると文献公知の化合物PI103およびBX−795に
関して、得られる用量反応曲線を示す。図7は、抗リン酸化FOXO1(Thr24)分
析が、PI103(762nMのIC50を示す)のようなPIK3CA阻害剤と比較し
て、例えばGSK−6900693(165nMのIC50を示す)のようなAkt1阻
害剤に高い感度があることを示す。したがって、PIK3Cの上流阻害からの直接的なA
kt1阻害の分化を可能とする。
したがって、実施例3および4に記載の分析は、図2に示すようなPIK3CA経路に
働く、化合物の作用機構を調べることを可能とする、本発明の分析の一群を示すものであ
る。
6.5 実施例5;リン酸化AurkA細胞分析
この分析で、化合物のAurora Aの自己リン酸化能力への阻害能力について試験
した。HeLa細胞を、5e6/mLの濃度で10cmプレートに播種し、40μLリポ
フェクトアミン2000(インビトロジェン社)を含む2mLのOPTI−MEM緩衝剤
中(ギブコ社/インビトロジェン社)の検出可能なタンパク質(8μg)をコード化する
発現プラズミドで形質転換して、37℃で18−22時間インキュベートした。翌日、培
地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、トリプシン処理して、M3培地(10%FBSを含
むDMEM)で停止させた。細胞を計数して、M3完全培地中に濃度5e6mLとなるよ
うに再懸濁し、50,000細胞/ウェル/50μLとなるように96ウェルプレートに
播種し、37℃で4時間インキュベートした。
結合実験の前に実施されるビーズ調製として、プロテインGビーズ(インビトロジェン
社Dynabeads-Protein G(カタログ番号100-04D))を、15mLチューブ中で洗浄し、マ
グネット上で沈殿させ、1×PBS/0.05%Tween20中で再度洗浄した。次い
でビーズを再懸濁し、1%BSA/0.02%アジ化ナトリウムを抗体/ビーズの混合物
に添加し、一晩4℃で回転させた後、抗リン酸化Aurora A(Thr288)抗体
を、100μLプロテインGビーズ当り、抗体2.5μgの比率で添加して、室温で約4
5分間回転させた。ここに開示した分析の全てに関して、ビーズに対する抗体の適した比
率が、複数の抗体濃度について試験して、未処理の細胞(リン酸化されたもの)に対する
処理された細胞(標的タンパク質のリン酸化を阻害する特異的な阻害剤で処理したもの)
について、最も高いシグナル比率を得られるような濃度を選択することによって実験的に
決定した。
一晩インキュベーション翌日に、細胞を、M3中の被験化合物中で、37℃で2時間イ
ンキュベートした。タンパク質抽出工程のため、培地をウェルから除去し、M−PER(
Pierce社)/150mM NaCl/10mM DTT/1×Complete(商標)
(ロシュ社)抗タンパク分解酵素混合物/250nMオカダ酸を含む抽出緩衝材50μL
を添加して、プレートを冷所で30分間、3000rpmで振とうした。細胞は、20分
間、3000rpmの条件で遠心分離機にて分離した。上清30μLを収集し、10μL
の4×タンパク質安定化混合剤(Pierce社カタログ番号89806)を含む、冷却したポリプ
ロピレンプレートにピペットで分注した。
溶解物の希釈を2工程で実施した。細胞抽出物を、NF−κBプローブとしての役割を
果たす核酸オリゴマー0.5nM及び80μg/mLサケ精子DNAの存在下で、1×P
BS/0/05%Tween/0.1%BSAで最初に2倍に希釈し、約30分間室温で
インキュベートした。第2の希釈工程で、希釈された抽出物を、1×PBS/0.05%
Tween/0.1%BSAおよび40μg/mLサケ精子DNA中にさらに7.5×希
釈して、結果的に、最終希釈物として、0.03nM核酸オリゴマーおよび40μg/m
Lサケ精子DNAを含む、原品を15倍希釈したものを得た。
ビーズを調製した翌日、また、ビーズを沈殿させ、洗浄し、ブロッキングして、1×P
BS/0.05%Tween20/2%BSAが2倍の体積になるように再懸濁し、半分
の濃度となるように、1×PBS/0.05%Tween20/2%BSAを包含する9
6ウェルプレートに、1ウェル当り体積50μLを播種した。細胞溶解物50μLを、各
ウェルに添加し、プレートを室温で1時間振とうした。
結合反応後、ビーズを4分間で沈殿させ、緩衝剤を吸引し、PBST150μLを各ウ
ェルに添加した。プレートを振とうし、マグネット上で沈殿させ、結合していないタンパ
ク質を取り除くため、2から4回PBSTで洗浄して、結合していないタンパク質を除去
した。最後の洗浄工程で、ビーズをマグネット上の新しいプレートに移した。最後の緩衝
液をアスピレータで除去し、0.05%のTween 20を含むIgG溶離緩衝液(Pi
erce社カタログ番号21004)150μLを添加し、30分間室温で振とうしながらインキ
ュベートした。
選択的に、結合分析を核酸オリゴマーの不存在下で実施し、結合していないタンパク質
を除去する洗浄工程後に核酸オリゴマーを添加してもよい。結合分析は、全体のウェルに
亘って測定されるリン酸化AurkAの量を正常化するため、抗Aurora A抗体を
用いて実行してもよい。
qPCR検出工程のため、溶離液50μLを、新しい384ウェルのポリプロピレンプ
レートに分注した。pHを中和するため、そこに中和緩衝剤(200mMトリスpH9.
4/0.05%アジ化ナトリウム)30μLを添加した。中和した溶離液2.5μLを、
qPCR反応混合物(カスタムメイドのTaqMan(登録商標)マスターミックス(アプライ
ドバイオシステムズ社))7.5μLを含むPCRプレートに移して、7900リアルタ
イムPCR機器(アプライドバイオシステムズ社)を用いて示した。MLN−8054(
AurkA阻害剤として文献公知)、AZD−1152HQPA(AurkB阻害剤とし
て文献公知)およびVX−680(pan Aurora阻害剤)に関するIC50曲線
を得た。
6.6 実施例6;リン酸化Erk1細胞分析
この分析において、化合物のMek1を阻害する能力に関して、実施例4に記載のプロ
トコルに従い、Erk1のリン酸化を測定することによって試験した。触媒的に不活性な
Erk1−NFκBの検出可能なタンパク質をコード化するベクターで、A375細胞を
形質転換し、また、抗リン酸化Erk1(Thr202/Tyr204)抗体を結合分析
に使用した。結合分析は、ウェル全体に亘って測定されるリン酸化Erk1の量を正常化
するため、抗トータルErk1抗体を用いて実施した。IC50曲線は、CI−1040
(PD0325901)を等の文献公知のErk1阻害剤に関するIC50曲線を得た。
6.7 実施例7;リン酸化Tnk2細胞分析
この分析において、化合物のTnk2の(Ack1としても知られる)自己リン酸化を
阻害する能力に関して、実施例4に記載のプロトコルに従って試験した。Tnk2−NF
κBの検出可能なタンパク質をコード化するベクターで、Hek293細胞を形質転換し
て、結合反応において、抗リン酸化チロシン抗体をTyr284でTnk2のリン酸化を
検出するために使用した。結合反応は、ウェル全体に亘って測定されるリン酸化Tnk2
の量を正常化するため、抗トータルNFκB抗体を用いて実施した。
6.8 実施例8;リン酸化Src細胞分析
この分析において、化合物のSrcの自己リン酸化を阻害する能力に関して、実施例4
に記載されたプロトコルに従って試験した。Src−NFκBの検出可能なタンパク質を
コード化するベクターで、Hek293細胞を形質転換して、結合反応において、抗リン
酸化チロシン抗体を、Tyr416でSrcのリン酸化を検出するために使用した。結合
反応は、ウェル全体に亘って測定されるリン酸化Src1の量を正常化するため、抗トー
タルSrc抗体を用いて実施した。SKI606(bosutinib)、CGP−52
421、PD−180970およびBMS−354825(dasatinib)を含む
既知のSrc阻害剤に関するIC50曲線を得た。
本明細書中で引用する全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照して援用し、各刊行物
または特許出願を明示的かつ個別的に援用したのと同様の扱いとする。上記の発明の明確
な理解のために、図と例を挙げて詳細に記載されているが、これらは添付の特許請求の範
囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、特定の改変と変更態様がそれにされているこ
とは、本発明の教示を考慮すれば当業者にとって明確である。

Claims (58)

  1. )核酸相互作用モチーフに融合した標的タンパク質を含む検出可能なタンパク質を;
    i)目的の細胞プロセスによって修飾された標的タンパク質に特異的に結合するが、前記細胞プロセスによって修飾されていない標的タンパク質には結合しない固定された抗体;および
    ii)レポーター機能を有する第1の核酸配列;及び核酸相互作用モチーフに結合し、前記第1の核酸配列に非相同である第2の核酸配列を含む核酸オリゴマー
    と接触させる工程;
    b)検出可能なタンパク質および工程a)の前記固定された抗体に結合しない核酸オリゴマーを除去する工程;および
    c)工程b)の後に、前記抗体を結合した検出可能なタンパク質に結合した、前記核酸オリゴマーの存在の中の前記レポーター機能を検出する工程;を具え:
    工程()における核酸オリゴマーの存在は、目的の細胞プロセスによるタンパク質の修飾の存在を示す、
    目的の細胞プロセスによって修飾されたタンパク質を検出する方法。
  2. 前記標的タンパク質は、アシル化、アセチル化、脱アセチル、ホルミル化、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン酸化、硫酸化、酸化、還元、ヒドロキシル化、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィド形成、プレニル化、糖化、グリコシル化、ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解、ラセミ化および異性化から選択される細胞プロセスによって修飾されている、請求項1記載の方法。
  3. 細胞プロセスはリン酸化である、請求項1記載の方法。
  4. 標的タンパク質はキナーゼ基質である、請求項1記載の方法。
  5. 修飾された標的タンパク質は、1以上の残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸抗体である、請求項4記載の方法。
  6. 修飾された標的タンパク質は、1以上のチロシン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化チロシン抗体である、請求項5記載の方法。
  7. 修飾された標的タンパク質は、1以上のセリン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化セリン抗体である、請求項4記載の方法。
  8. 修飾された標的タンパク質は、1以上のスレオニン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化スレオニン抗体である、請求項4記載の方法。
  9. 標的タンパク質はG、結合タンパク質受容体、イオン・チャネルタンパク質、核内受容体タンパク質、転写制御因子、キナーゼ、サイトカイン、成長因子、ホルモン、酵素、抗体または短鎖型可変部(scFV)である、請求項1記載の方法。
  10. 核酸相互作用モチーフはDNA結合ドメインである、請求項1記載の方法。
  11. DNA結合ドメインは、NF−κB DNA結合ドメイン、croリプレッサーDNA結合ドメイン、lacリプレッサーDNA結合ドメイン、GAL4 DNA結合ドメイン、GCN4 DNA結合ドメイン、Lex−A DNA結合ドメイン、Opaque−2 DNA結合ドメインまたはTGA1a DNA結合ドメインである、請求項1記載の方法。
  12. 核酸相互作用モチーフは、配列番号:5または配列番号:6に示すアミノ酸配列を含む、請求項1記載の方法。
  13. 前記オリゴマーは、約50〜500ヌクレオチドの長さを有する、請求項1記載の方法。
  14. 細胞プロセスを調節する被験化合物を同定する方法であって、
    前記細胞プロセスは標的タンパク質を修飾するものであり、
    前記方法は、
    a)検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物を、被験化合物と接触させる工程であって、前記検出可能なタンパク質は、核酸相互作用モチーフに融合した標的タンパク質を含む、工程;
    b)前記細胞または細胞溶解物中の前記検出可能なタンパク質を、
    i)細胞プロセスにより修飾された標的タンパク質に特異的に結合するが、修飾されていない標的タンパク質には結合しない固定された抗体;および
    ii)レポーター機能を有する第1の核酸配列及び核酸相互作用モチーフに結合し、前記第1の核酸配列に非相同である第2の核酸配列を含む核酸オリゴマー
    と接触させる工程;
    )検出可能なタンパク質および工程b)の前記固定された抗体に結合しない核酸オリゴマーを除去する工程;および

    )前記レポーター機能を検出し、前記固定化された抗体と結合した検出可能なタンパク質に結合した、核酸オリゴマーの量を測定する工程;
    を具え、
    前記被験化合物の存在下で検出された、工程)の結合核酸オリゴマー量の増加または減少は、前記被験化合物の不存在下において検出された結合核酸オリゴマーの量との比較により、被験化合物が細胞プロセスを調節していることを示す、細胞プロセスを調節する被験化合物を同定する方法。
  15. 検出可能なタンパク質を工程(b)の核酸オリゴマーと接触させる前に、検出可能なタンパク質を抗体と接触させる、請求項14記載の方法。
  16. 検出可能なタンパク質を工程(b)の核酸オリゴマーと接触させた後、検出可能なタンパク質を抗体と接触させる、請求項14記載の方法。
  17. 検出可能なタンパク質を、抗体および工程(b)の核酸オリゴマーに同時に接触させる、請求項14記載の方法。
  18. 工程(a)は、検出可能なタンパク質を含む細胞の接触を具える、請求項14記載の方法。
  19. 細胞は、検出可能なタンパク質を一時的に発現する、請求項18記載の方法。
  20. 細胞は、検出可能なタンパク質を安定的に発現する、請求項18記載の方法。
  21. 細胞は、検出可能なタンパク質を構成的に発現する、請求項18記載の方法。
  22. 細胞は、検出可能なタンパク質を誘導発現する、請求項18記載の方法。
  23. 細胞プロセスは、アシル化、アセチル化、脱アセチル、ホルミル化、アルキル化、メチル化、リン酸化、脱リン酸化、硫酸化、酸化、還元、ヒドロキシル化、脱アミド化、カルボキシル化、ジスルフィド形成、プレニル化、糖化、グリコシル化、ユビキチン化、SUMO化、タンパク質分解、ラセミ化および異性化から選択される、請求項14記載の方法。
  24. 細胞プロセスはリン酸化である、請求項14記載の方法。
  25. 標的タンパク質はキナーゼ基質である、請求項24記載の方法。
  26. 修飾された標的タンパク質は、1以上のチロシン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化チロシン抗体である、請求項25記載の方法。
  27. 修飾された標的タンパク質は、1以上のセリン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化セリン抗体である、請求項25記載の方法。
  28. 修飾された標的タンパク質は、1以上のスレオニン残基でリン酸化されていて、抗体は抗リン酸化スレオニン抗体である、請求項25記載の方法。
  29. 標的タンパク質は、G結合タンパク質受容体、イオン・チャネルタンパク質、核内受容体タンパク質、転写制御因子、キナーゼ、サイトカイン、成長因子、ホルモン、酵素、抗体または短鎖型可変部(scFV)である、請求項14記載の方法。
  30. 核酸相互作用モチーフはDNA結合ドメインである、請求項14記載の方法。
  31. DNA結合ドメインは、NF−κB DNA結合ドメイン、croリプレッサーDNA結合ドメイン、lacリプレッサーDNA結合ドメイン、GAL4 DNA結合ドメイン、GCN4 DNA結合ドメイン、Lex−A DNA結合ドメイン、Opaque−2 DNA結合ドメインまたはTGA1a DNA結合ドメインである、請求項14記載の方法。
  32. 核酸相互作用モチーフは、配列番号5または配列番号6に示すアミノ酸配列を含む、請求項14記載の方法。
  33. 前記オリゴマーは、約50〜500ヌクレオチドの長さを有する、請求項14記載の方法。
  34. キナーゼ基質はMek1であり、工程(a)が陽性コントロールサンプルの調製をさらに具え、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物を、被験化合物の代わりにBraf阻害剤と接触させる、請求項25記載の方法。
  35. Braf阻害剤は、BAY−43−9006、PLX−4720、Chir−265から選択される、請求項34記載の方法。
  36. キナーゼ基質はAkt1であり、抗体はリン酸化したAktに結合する、請求項25記載の方法。
  37. 抗体はSer473またはThr308でリン酸化したAkt1に結合する、請求項36記載の方法。
  38. 抗体はThr308でリン酸化したAkt1に結合する、請求項37記載の方法。
  39. 抗体はSer473でリン酸化したAkt1に結合する、請求項37記載の方法。
  40. キナーゼ基質はFRAP1またはPDPK1であり、工程(a)は陽性コントロールサンプルの調製をさらに具え、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物を、被験化合物の代わりにPIK3CA阻害剤と接触させる、請求項25記載の方法。
  41. PIK3CA阻害剤はPI103、ZSTK−474、ワートマニンおよびPIK−93からから選択される、請求項40記載の方法。
  42. キナーゼ基質はAKT1であり、工程(a)は陽性コントロールサンプルの調製をさらに具え、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物を、被験化合物の代わりにPDPK1、FRAP1またはmTOR阻害剤と接触させる、請求項25記載の方法。
  43. PDPK1阻害剤はBX−795である、請求項42記載の方法。
  44. キナーゼ基質はFOXO1であり、抗体はリン酸化したFOXO1と結合する、請求項25記載の方法。
  45. 抗体はThr24でリン酸化したFOXO1と結合する、請求項44記載の方法。
  46. 工程(a)は陽性コントロールサンプルの調製をさらに具え、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物を、被験化合物の代わりにAKT1阻害剤と接触させる、請求項25記載の方法。
  47. Akt1阻害剤はGSK−690693である、請求項46記載の方法。
  48. 少なくとも2種類の濃度の被験化合物と、検出可能なタンパク質を含む細胞または細胞溶解物を接触させて、被験化合物のIC50を算出する工程をさらに具える、請求項14記載の方法。
  49. 前記被験化合物の存在下において検出した工程(c)の結合核酸オリゴマーの量の、前記被験化合物の不存在下において検出した結合核酸オリゴマーの量に対する増加は、被験化合物が細胞プロセスに悪影響を及ぼしたことを示す、請求項14記載の方法。
  50. 被験化合物の存在下において検出した工程(c)の結合核酸オリゴマーの量の、前記被験化合物の不存在下において検出した結合核酸オリゴマーの量に対する減少は、被験化合物が細胞プロセスを阻害したことを示す、請求項14記載の方法。
  51. 第1の核酸配列はPCR増幅配列である請求項1記載の方法。
  52. 検出可能なタンパク質に結合する核酸オリゴマーのqPCR増幅をさらに具える、請求項1記載の方法。
  53. 核酸オリゴマーは、放射性標識、蛍光標識またはビオチン化される、請求項1記載の方法。
  54. 抗体は、マルチウェルプレート上に固定される、請求項1記載の方法。
  55. (a)検出可能なタンパク質を含む細胞であって、前記検出可能なタンパク質が核酸相互作用モチーフに融合した標的タンパク質を含む、細胞;
    (b)核酸相互作用モチーフに結合する第1の核酸配列を含む核酸オリゴマー;
    核酸相互作用モチーフに結合し、前記第1の核酸配列に非相同である第2の核酸配列;並びに、
    (c)細胞プロセスによって修飾された標的タンパク質に特異的に結合するが、修飾されていない標的タンパク質には結合しない、固定化された抗体、
    を含むキット。
  56. 細胞プロセスはリン酸化である、請求項55記載のキット。
  57. 前記核酸オリゴマーは(a)PCR増幅配列である第1の核酸配列、および(b)前記核酸相互作用モチーフに結合する第2の核酸配列を含み、前記第1の核酸配列は前記第2の核酸配列と非相同性である、請求項2記載の方法。
  58. 前記核酸オリゴマーは(a)PCR増幅配列である第1の核酸配列、および(b)前記核酸相互作用モチーフに結合する第2の核酸配列を含み、前記第1の核酸配列は前記第2の核酸配列と非相同性である、請求項3記載の方法。
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