JPWO2005118841A1 - シノビオリンのユビキチン化のアッセイ及びスクリーニングへの利用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、シノビオリンとユビキチンとを含む反応系で両者を反応させ、得られる反応産物からシノビオリンに結合したユビキチンの量を測定することを特徴とする、シノビオリンの自己ユビキチン化活性を測定するためのアッセイ方法、その活性の調節作用を有する物質をスクリーニングする方法、及びシノビオリンの自己ユビキチン化アッセイを行うためのキットである。

Description

本発明は、シノビオリンのユビキチン化に関する。より詳しくは、関節リウマチに関係するタンパク質であるシノビオリンの自己ユビキチン化の高感度アッセイ方法、ならびに自己ユビキチン化に影響を及ぼす物質の、ハイスループット・スクリーニング方法に関する。
関節リウマチ(rheumatoid arthritis、以下、RAと省略する)は、関節の滑膜組織に異常な増殖が見られる全身性の慢性炎症性疾患である。滑膜細胞(synovial cell)は、関節の滑膜で1〜6層の上皮様層を形成する繊維芽細胞様の細胞であり、滑液にプロテオグリカンやヒアルロン酸を供給するものとされている。RA患者の関節では、滑膜組織の増殖、その結果として引き起こされる多層構造、滑膜細胞の他の組織への浸潤といったような症状が観察される。
RAの発症や進展の背後にある分子レベルの機序を解明する研究の過程で、RA患者の滑膜組織において強発現している新規な遺伝子が見出され、それがコードするタンパク質は、発現している組織である滑膜細胞(synovial cell)にちなみ、シノビオリン(Synoviolin)と名づけられた(WO02/052007)。当該遺伝子ならびにその発現産物であるシノビオリンは、RA疾患の主因である滑膜組織の異常増殖に密接に関連している。また、シノビオリンはシグナル伝達に関与することも報告されている。シノビオリンは細胞増殖作用を有することから、細胞内外の情報がシノビオリンを介するタンパク質のリン酸化により伝達されることが考えられる。さらに、シノビオリンはタンパク質のユビキチン化(ubiquitination)にも関与しており、これによりタンパク質機能の制御も行なっていると推測される。
上記のように、これまで本発明は、シノビオリンタンパク質による自己ユビキチン化をアッセイする方法、及びそのユビキチン化活性を調節する作用を有する化合物をスクリーニングする方法などの開発が望まれていた。
本発明者らは、シノビオリンによるシグナル伝達に関する鋭意研究を行った結果、シノビオリンが自己ユビキチン化(self−ubiquitination)を起こすユビキチンリガーゼ作用を有することを初めて見出した。これに基づき、シノビオリンの自己ユビキチン化活性を高感度にアッセイする方法、ならびにその酵素活性のアッセイ方法を利用して自己ユビキチン化を調節する化合物を探索するためのハイスループット・スクリーニング方法に関する本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)シノビオリンとユビキチンとを含む反応系で両者を反応させ、得られる反応産物からシノビオリンに結合したユビキチンの量を測定することを特徴とする、シノビオリンのユビキチン化活性を測定するためのアッセイ方法。
上記反応は、シノビオリン又はその活性誘導体、ユビキチン、ユビキチン活性化酵素、ユビキチン結合酵素及びユビキチン化に必要な低分子の反応因子を含む系における自己ユビキチン化反応であってもよく、また上記測定は、シノビオリンに結合したユビキチンの量を測定するものであってもよい。
また、上記シノビオリンの活性誘導体としては、例えばシノビオリンとタグタンパク質との融合タンパク質が挙げられる。
さらに、上記測定は、上記シノビオリンに結合したビオチン化ユビキチンをアビジンと反応させることにより、シノビオリンに結合したユビキチンの量を定量することにより行うことができる。
(2)シノビオリンのユビキチン化に対する調節作用を有する物質をスクリーニングする方法であって、次の工程を含むことを特徴とする方法:
(i)被験物質の存在下又は非存在下に、ユビキチンとシノビオリン又はその活性誘導体とを接触させる工程;
(ii)シノビオリン又はその活性誘導体によるユビキチン化活性を測定する工程;並びに
(iii)シノビオリンのユビキチン化活性を調節する被験物質の作用を、上記(i)及び(ii)により得られた結果と、対照の結果とを比較して検出する工程。
(3)シノビオリンのユビキチン化を測定するために少なくとも次のものを含んでなる、シノビオリンのユビキチン化アッセイを行なうためのキット:
(i)シノビオリン又はその活性誘導体及びユビキチン;並びに
(ii)シノビオリンに結合したユビキチンの量を測定する工程で使用される試薬類。
また、上記キットはユビキチン活性化酵素、ユビキチン結合酵素、ユビキチン化に必要な低分子の反応因子及び緩衝液類をさらに含めることができる。
図1は、GST−HA−Ubのビオチン化を示す図である。
図2は、ビオチン化GST−HA−Ubを用いたシノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化の結果をウエスタンブロッティング法により示す図である。
図3は、ビオチン化GST−HA−Ubを用いたシノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化の結果をELISA法により示す図である。
図4は、Pk−His−HA−Ub K48Rを用いたシノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化の結果をウエスタンブロッティング法により示す図である。
図5は、Pk−His−HA−Ub K48Rを用いたシノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化の結果をELISA法により示す図である。
図6は、小スケールのインビボビオチン化BioEASE−Ub精製を示す図である。
図7は、インビボビオチン化BioEASE−Ub精製を示す図である。
図8は、異なるビオチン化ユビキチンを用いた、シノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化を示す図である。
図9は、ELISA法を用いたインビトロ自己ユビキチン化反応検出系における、シノビオリン濃度の影響を示す図である。
図10は、ELISA法を用いたインビトロ自己ユビキチン化反応検出系における、ユビキチン濃度の影響を示す図である。
図11は、ELISA法を用いたMBP−Syno ΔTM−Hisのインビトロ自己ユビキチン化活性の検出を示す図である。
図12は、ELISAを用いたインビトロ自己ユビキチン化反応検出時における、抗体濃度の影響を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ユビキチン化(例えば自己ユビキチン化)されたシノビオリンに結合したユビキチンをELISA法等により高感度かつ簡易に測定し得ることを見出し完成されたものである。
ユビキチン化とは、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)及びユビキチンリガーゼ(E3)などの酵素が協同して、基質となるタンパク質にユビキチンを次々と結合させていく過程である。このユビキチン化の生理的意義は、プロテオソーム系のタンパク質分解機構へ送られるためのタグ修飾として、従来認識されていた。そして、その後の研究により拡大され、現時点でのユビキチン化の意義は、タンパク質機能を制御する可逆的タンパク質修飾システムとして位置づけられている。
本明細書において「自己ユビキチン化(self−ubiquitination,auto ubiquitination)」とは、シノビオリンがユビキチンリガーゼ活性を有することにより、シノビオリン自体がユビキチン化の基質タンパク質となり、他のユビキチンリガーゼによることなく自らユビキチンを結合させるものである。シノビオリンの自己ユビキチン化は、本発明者によりシノビオリンがユビキチンリガーゼ活性を有することが見出されて明らかとなった。しかも、その自己ユビキチン化は、内在性のシノビオリンの完全長の分子で観察されるだけでなく、シノビオリンの細胞質内部分のみとタグタンパク質の融合したシノビオリンにおいても生起することが明らかにされている。本発明者は以上の知見を見出し、当該知見に基づいて鋭意研究を行い、本発明を完成させた。
本発明によるユビキチン化活性のアッセイ方法は、シノビオリンとユビキチンとを含む反応系で両者を反応させ、得られる反応産物からシノビオリンに結合したユビキチンの量を測定することを特徴とする。また、本発明は、以下の工程を含む。
(i)シノビオリン又はその活性誘導体、ユビキチン、ユビキチン活性化酵素、ユビキチン結合酵素、及びユビキチン化に必要な低分子反応因子を含む系でシノビオリンの自己ユビキチン化反応を行なわせる工程、及び
(ii)上記反応により得られた反応液に含まれる、シノビオリンに結合したユビキチン又は結合しなかったユビキチンの量を測定する工程。
ユビキチン化は、例えば標識ユビキチン又は抗ユビキチン抗体を用いて、シノビオリンに結合したユビキチン又は結合しなかったユビキチンの量を測定することにより、基質タンパク質のユビキチン化を検出するとともに、その程度を評価することができる。この方法は、直接的であり操作も複雑でないため、後述のように自己ユビキチン化に影響を与える低分子物質のスクリーニングに使用するのに適している。
「シノビオリン又はその活性誘導体」には、シノビオリンのほかに、ユビキチン化の酵素活性を有する各種誘導体も含まれる。これにはシノビオリンの塩の形態、修飾を受けたタンパク質分子、さらには融合タンパク質(例えばシノビオリンとHisタグタンパク質との融合タンパク質)も含まれる。ユビキチン化のアッセイに使用されるシノビオリンは以下のようにして調製される。
1.生体材料からのシノビオリンの調製
シノビオリンは、RA患者の滑膜組織から得ることができる。滑膜細胞はインビトロで培養することができるため、この培養物からシノビオリンを回収することが可能である。具体的には、RA患者から滑膜切除術(synovectomy)により外科的に切除された滑膜組織等をもとにこの組織から滑膜細胞を分離する。分離した細胞を培養すれば、滑膜細胞を付着性細胞として回収することができる(J.Clin.Invest.92:186−193,1993)。回収した細胞からは、公知のタンパク質精製技術を組み合わせてシノビオリンを抽出し精製する。
2.遺伝子工学手法によるシノビオリンの調製
シノビオリンを簡便にしかも効率よく入手するには、以下の遺伝子工学の手法を利用する方法で得ることが望ましい。さらに、シノビオリンの組換えタンパク質(recombinant)を細菌などの宿主を利用して調製することは、標識として各種のタグタンパク質をシノビオリンに付加したり、また、シノビオリンの変異体を調製したりするのが簡便であるなどの点でより好ましい。
(1)シノビオリンポリペプチド
上記のようにシノビオリンは、生体材料から得ることの他に、これをコードする遺伝子を適当な発現系に組み込んで遺伝子組み換えによる発現産物として入手することもできる。
本発明において使用するシノビオリンの種は、ヒト、マウス、ラットなどであってもよく、特に限定されるものではない。シノビオリンとしては、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを使用することができる。配列番号2で表されるポリペプチドをコードするDNAの塩基配列を配列番号1に示す。本発明で用いられるポリペプチドは、シノビオリンとしての作用を有する限り、変異体でもよく、上記のシノビオリンのアミノ酸配列とホモロジーを有するポリペプチドでもよい。上記シノビオリンポリペプチドのアミノ酸配列と約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
ここで、「シノビオリンとしての作用」を有するとは、ユビキチンリガーゼ活性を持つことを意味する。
さらに、配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1若しくは複数個(例えば1個又は数個)のアミノ酸に欠失、置換又は付加等の変異が生じたアミノ酸配列であって、シノビオリンとしての作用を有するポリペプチドのアミノ酸配列も本発明において使用することができる。例えば、(i)配列番号2に示すアミノ酸配列のうち1若しくは複数個(好ましくは1個又は数個(例えば1個〜10個、さらに好ましくは1個〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(ii)配列番号2に示すアミノ酸配列のうち1若しくは複数個(好ましくは1個又は数個(例えば1個〜10個、さらに好ましくは1個〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換したアミノ酸配列、(iii)配列番号2に示すアミノ酸配列のうち1若しくは複数個(好ましくは1個又は数個(例えば1個〜10個、さらに好ましくは1個〜5個))の他のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列、(iv)上記(i)〜(iii)を組み合わせたアミノ酸配列からなり、かつ上記シノビオリンと同様の作用を有する変異型のシノビオリンポリペプチドを使用することもできる。
このような配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Press(1989))、「Current Protocols in Molecular Biology」(John Wiley & Sons(1987−1997)、Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:488−92、Kunkel(1988)Method.Enzymol.85:2763−6等に記載の部位特異的変異誘発法等の方法に従って調製することができる。
また、ポリヌクレオチドに変異を導入するには、Kunkel法やGapped duplex法等の公知手法により、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えばQuikChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、GeneTailorTM Site−Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site−Directed Mutagenesis System(Mutan−K、Mutan−Super Express Km等:タカラバイオ社製)等を用いて行うことができる。
さらに、シノビオリンポリペプチドには、他のペプチド配列により付加された融合タンパク質を含む。本発明のポリペプチドに付加するペプチド配列(タグ)としては、インフルエンザ凝集素(HA)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、多重ヒスチジンタグ(6×His、10×His等)、マルトース結合タンパク質(MBP)等のタンパク質の識別を容易にする配列、組換え技術によりタンパク質を発現させる際に安定性を付与する配列、タンパク質の精製過程を容易にする配列等を選択することができる。
シノビオリンは、その細胞質内ドメインだけであっても、自己ユビキチン化されることから、本発明に用いるシノビオリンは、細胞膜貫通部位を除いたシノビオリンdTMであってもよい。例えば、当該dTMに上記のタグタンパク質を融合させたMBP−シノビオリンdTM−Hisも本発明において用いることができる。
(2)シノビオリン遺伝子又はポリヌクレオチド
本発明において、シノビオリン遺伝子は、配列番号1で表される塩基配列のほか、前記本発明のシノビオリンポリペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドであれば特に限定されない。例えば、配列番号2で表わされるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドのほか、配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換又は付加されたアミノ酸配列からなる変異ポリペプチドであって、シノビオリンとしての作用が維持されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも本発明において使用することができる。
ここで、「ポリヌクレオチド」とは、複数のデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)等の塩基又は塩基対からなる重合体を指し、DNA、cDNA、ゲノムDNA、化学合成DNA及びRNAを含むが、DNAであることが好ましい。また、天然以外の人工塩基を必要に応じて含むポリヌクレオチドも包含する。
本発明のシノビオリン遺伝子は、配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む。このようなアミノ酸配列をコードする塩基配列は、配列番号1で表される塩基配列に加えて、遺伝子暗号の縮重により配列番号1で表される塩基配列とは異なる塩基配列を含むものである。本発明のポリヌクレオチドを遺伝子工学的な手法によりポリペプチドを発現させるのに用いる場合、使用する細胞のコドン使用頻度を考慮して、発現効率の高いヌクレオチド配列を選択し、設計することができる(Grantham et al.(1981)Nucleic Acids Res.9:43−74)。シノビオリンをコードするポリヌクレオチドは、また、修飾されたヌクレオチドを含むものであってもよい。
さらに、本発明のシノビオリン遺伝子は、配列番号1で表される塩基配列を有するポリヌクレオチド、又は該塩基配列に相補的な配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、シノビオリンとしての作用を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。このようなシノビオリン遺伝子は、配列番号1で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその断片をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、サザンブロット等の公知のハイブリダイゼーション法により、cDNAライブラリー及びゲノムライブラリーから得ることができる。cDNAライブラリーの作製方法については、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Press(1989))を参照することができる。また、市販のcDNAライブラリー及びゲノムライブラリーを用いてもよい。
本発明におけるハイブリダイゼーション条件において、ストリンジェントな条件としては、例えば、「2×SSC、0.1%SDS、25℃」、「1×SSC、0.1%SDS、25℃」、「0.2×SSC、0.1%SDS、42℃」、よりストリンジェントな条件としては、例えば「0.1×SSC、0.1%SDS、68℃」等の条件を挙げることができる。当業者は、このようなバッファーの塩濃度、温度、プローブ濃度、プローブの長さ、反応時間等の諸条件を加味し、本発明のシノビオリン遺伝子をコードするポリヌクレオチドを得るための条件を設定することができる。
ハイブリダイゼーション法の詳細な手順については、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Press(1989)、特にSection9.47−9.58)等を参照することができる。
本発明のポリヌクレオチドには、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換又は付加されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、又は該ポリヌクレオチド配列に相補的な配列が含まれる。これらのポリヌクレオチドは、前記の部位特異的変異誘発法等の公知方法に従って調製することができる。また、変異の誘発は、前記の市販のキットを用いることもできる。
本発明のポリヌクレオチドの塩基配列は、慣用の配列決定法により確認することができる。例えば、ジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーション法(Sanger et al.(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA74:5463)等により行うことができる。また、適当なDNAシークエンサー(例えば、ABI PRISM(アプライドバイオシステムズ社))を利用して配列を解析することも可能である。
あるいは、本発明において、シノビオリンをコードする遺伝子又はポリヌクレオチドは、前記RA患者の滑膜細胞から公知の方法によりクローニングすることができる(Nucleic Acid Res.16:7583−7600,1988)。例えば、シノビオリンをコードする遺伝子は、滑膜細胞のcDNAライブラリー等を鋳型としてPCRなどで増幅することにより得ることができる。具体的には、滑膜組織や培養細胞として回収した、RA患者の関節炎を発症した組織に由来する滑膜細胞から抽出したmRNAをもとに、cDNAライブラリーを得る(Nucleic Acid Research,16,7583,1988)。続いて、国際公開第02/052007号公報の配列番号1に示された塩基配列に基づいて設定したプローブを用いて、このライブラリーからハイブリダイズするクローンをスクリーニングすることによってシノビオリンをコードする遺伝子を単離することができる。
(3)シノビオリン発現ベクターと宿主
上記(ii)に記載のシノビオリンをコードする遺伝子もしくはポリヌクレオチドを適当な発現系に組み込むための好適な宿主/ベクター系として、大腸菌/プラスミドの系を例示することができが、特にこれに限定されるものではない。例えば、発現ベクターであるpMALベクターは、外来遺伝子をマルトース結合タンパク質(MBP)との融合タンパク質として大腸菌で発現させることができる(Gene,67:31−40,1988)。シノビオリンをコードする遺伝子を組み込んだプラスミドをヒートショックにより、プロテアーゼ欠損株であるBL21のような大腸菌株に導入し、適当な培養時間の後にイソプロピルチオ−β−D−ガラクトシダーゼ(IPTG)を添加してMBP融合シノビオリン(MBP−シノビオリン)の発現を誘導する。このMBPは、タグとして機能するため、発現生成物、すなわちMBP−シノビオリンはアミロースビーズカラムによって容易に分離・精製することができる。
シノビオリンの遺伝子組換え体を得るための宿主/ベクター系としては、この他にも次のようなものを応用することができる。まず細菌を宿主に利用する場合には、各種タグタンパク質、例えばヒスチジンタグ、HA、FLAG、GST等を利用した融合タンパク質の発現用ベクターが市販されている。酵母においては、Pichia属酵母が糖鎖を備えたタンパク質の発現に有効であることが知られている。糖鎖の付加という点では、昆虫細胞を宿主とするバキュロウイルスベクターを利用した発現系も有用である(Bio/Technology,6:47−55,1988)。さらに、哺乳動物の細胞を利用して、CMV、RSV、EF−1αあるいはSV40等のプロモーターを利用したベクターのトランスフェクションが行われており、これらの宿主/ベクター系は、いずれもシノビオリンの発現系として利用することができる。また、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター等のウイルスベクターを利用してシノビオリンをコードする遺伝子を導入することもできる。
上記のような宿主/ベクター系の発現産物であるシノビオリンは、以下のように用いることができる。例えば、タグを付けたシノビオリンを発現するベクターを細胞にトランスフェクションして、次にシノビオリンを発現させた細胞を破砕し、[32P]標識ユビキチンを添加して反応させた後、抗タグ抗体により免疫沈降する。沈降物をSDS−PAGEにより展開し、オートラジオグラフィーによりシノビオリンのユビキチンリガーゼ活性を検出することができる(Hashizume,R.et al.,J.Biol.Chem.276,14537−14540,2001)。
3.MBP−シノビオリン−His融合タンパク質の可溶化及びプレートへの作用
以下、シノビオリンのMBP及びHisとの融合タンパク質であるMBP−シノビオリン−Hisを例に挙げて説明する。
トランスフォームされた細胞を含む培養液を遠心分離するといった公知の方法で、細胞もしくは培養菌体を集める。適当な緩衝液に懸濁した菌体ペレットを氷冷下で、超音波処理、リゾチーム及び/又は凍結融解などの処置により、菌体又は細胞を破壊して、MBP、His融合シノビオリンを溶出する。その際、可溶化を促進するため、TritonX−100、Tween20などの界面活性剤を使用してもよい。通常はこのようにして、溶出された発現産物である融合タンパク質を、例えばアミロースビーズあるいはニッケルアガロースビーズを用いるクロマトグラフィーなどで精製することができる。また、目的に応じて、プロテアーゼで融合タンパク質からタグ部分であるMBP又はHisを切り離すことにより、目的のタンパク質を単体としてアッセイに用いることができる。
MBP−シノビオリン−Hisは、精製時に用いられるアミロースビーズ又はニッケルアガロースビーズから溶出され、さらに透析された後は、会合体を形成しやすいという特徴を有する。そこで、当該シノビオリン−融合タンパク質を含む細菌細胞の可溶化物は、分離精製の操作をすることなく、プレート等の固相支持体に作用させることにより、当該支持体とMBP−シノビオリン−His融合タンパク質との複合体を得て、後の使用に用いる。この方法のほうが、シノビオリンを精製して用いるよりもはるかに簡便であり、しかも会合体形成を防止できる点で好ましい。当該会合は、MBP−シノビオリン−His融合タンパク質が、シノビオリンの示す自己ユビキチン化活性を有し、固相支持体に固定化しても活性があることに起因する。
固相支持体として、イムノプレート(マルチウェルプレート)を用いることができ、例えば96ウェル、384ウェル等のプレートを挙げることができる。シノビオリン−融合タンパク質を含む細菌細胞の可溶化物を直接当該プレートに作用させると、目的物であるシノビオリン融合タンパク質以外のタンパク質もプレートに固相化されてしまう。そこで、目的物であるMBP−シノビオリン−His融合タンパク質のみをプレートに結合させるために、あらかじめプレートを抗MBP抗体で固相化しておくことが好ましい。当該抗MBP抗体を固相化したプレートには、MBPタグを有するタンパク質が特異的に結合するため、細胞の可溶化物をプレートに作用させても、目的物であるMBP−シノビオリン−His融合タンパク質が選択的にプレートに結合することになる。プレートに固相化する抗体は、シノビオリンが融合タンパク質として結合したタグに対する抗体であればいずれであってもよい。例えば、シノビオリンにGSTとの融合タンパク質を用いる場合には、プレートに固相化する抗体は抗GST抗体であればモノクローナル抗体でもポリクローナル抗体であってもよい。
抗MBP抗体のプレートへの固相化は、96ウェルプレートの場合、ウェルあたり1μgの抗MBP抗体を、PBSやクエン酸バッファーなどの緩衝液中で終夜4℃でインキュベートすることにより行うことができる。
この抗MBP抗体固相化プレートにより、産生されたMBP−シノビオリン−His融合タンパク質を細菌細胞から抽出・精製することなくそのままプレートに結合することができ、後述の自己ユビキチン化反応の後はプレートの洗浄により容易に非結合物の除去や分離を行なうことができる。上記融合タンパク質を含む細菌細胞の可溶化物は、反応を行なう96ウェルプレートのウェル当たり、0.3〜7μl、好ましくは、0.5〜3μlの使用量が好適である。
4.ユビキチン
本発明において利用するELISA法(後述)では、ユビキチンはプレートに結合したMBP−シノビオリン−His融合タンパク質のシノビオリンに、シノビオリン自身のユビキチンリガーゼ作用により結合する。
本発明で用いられるユビキチンは、シノビオリンのユビキチンリガーゼ作用によりシノビオリンに結合する限り、種は問わない。本発明で用いるユビキチンとして、例えば、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを使用することができる。配列番号4で表されるポリペプチドをコードするDNAの塩基配列を配列番号3に示す。本発明で用いられるユビキチンポリペプチドは、(i)のシノビオリンポリペプチドで記載したような配列番号4に対する各変異体を用いることもできる。さらに、本発明でも用いられるユビキチン遺伝子又はポリヌクレオチドには、(ii)のシノビオリン遺伝子又はポリヌクレオチドで記載したような各変異体を用いることもできる。
ユビキチンをコードする塩基配列を配列番号3に、ユビキチンのアミノ酸配列を配列番号4に示す。
例えば、遺伝子工学手法によりユビキチン(Ub)を宿主から産生する際には、GST及びHAのタグを付加したGST−HA−Ubを用いることができる。タグ等を付加する際にも、本発明のELISA法において、シノビオリンのユビキチンリガーゼ作用によりシノビオリンに結合する作用を保持していることが必要である。前記のGST−HA−Ubは、(iii)に記載したような発現ベクター/宿主を用いて発現させ、取得することが可能である。例えば、Ub遺伝子をGST及びHAタグ融合タンパク質のベクター(pGEX)に挿入し、大腸菌での融合タンパク質の産生を行い、大腸菌の可溶化上清から得られる各融合タンパク質をグルタチオンセファロースTM4B(Amersham Biosciences社)カラムで精製することによって、上記GST−HA−Ubを取得することができる。
また、上記したように宿主から産生された融合タンパク質を精製するには、以下のような方法を用いることもできる。すなわち、まず、融合タンパク質を産生する宿主を破壊する。宿主の破壊は、例えば、超音波処理(ソニケーション)、リゾチーム等の酵素による溶菌やフレンチプレスなどの方法を単独又は適宜組み合わせて行うことができる。その後、適当なバッファーを加えて混合した後、遠心分離により上清を得る。得られた上清に含まれるタンパク質を、吸着ビーズ等を用いて吸着させる。例えば、グルタチオンセファロースTM4B(Amersham Biosciences社)などのビーズを用いて適当な時間回転させて産生タンパク質をビーズに吸着させることができる。その後、このビーズから、産生タンパク質を分離すればよい。分離の方法としては、例えば、タンパク質が吸着しているビーズをカラムにつめて、適当なバッファーを用いて溶出することができる。なお、溶出したタンパク質を透析してから回収してもよい。
また本発明で用いられるユビキチンには、Pk−His−HA−Ub K48R又はBioEase−Ubも含まれる。Pk−His−HA−Ub K48Rはユビキチンの48番目のリジン残基をアルギニンに置換したものであり、48番目のリジン残基を介したポリユビキチン化が形成されないという特徴を有する。Pk−His−HA−Ub K48Rは、Ubの48番目のリジンをアルギニンに変異させた変異体に、HAタグ、Hisタグ、Pkが結合したタンパク質である。Pk−His−HA−Ub K48Rを本発明の方法に用いることで、バックグラウンドが低減し、よりS/N 比の高いアッセイをすることが可能となる。BioEase−Ubは、ユビキチン遺伝子をpET104−PESTTM(Invitrogen)に挿入し、大腸菌内で融合タンパク質産生を行うと同時に、BioEaseTMTag内の特定のリジン残基にビオチンが共有結合で付加され(インビボにてビオチン化される)、その可溶化上清から得られる融合タンパク質をStreptavidin Agarose(Invitrogen)などのビーズで精製したタンパク質である。
BioEase−Ubを本発明の方法に用いることで、バックグラウンドが顕著に低減し、S/N比が極めて高いアッセイをすることが可能となる。
本発明では、ユビキチン又はビオチン化ユビキチンを、96ウェルプレートのウェルあたり、1.7μg使用することが好ましい。
また、本発明のユビキチンは、標識して用いることもできる。ユビキチンの標識は、適当な化学的又は物理的検出手段により検出可能な標識であればよい。例えばフルオレスカミン、フルオレッセインイソチオシアネートなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸脱水素酵素などの酵素類、ルシフェリン、ルミノールなどの発光物質などを用いてユビキチンを標識化することができる。また、本発明のユビキチンは、ビオチン化して用いることもできる。ビオチン化の方法は、インビトロビオチン化又はインビボビオチン化の方法がある。インビトロビオチン化の方法としては、例えば、NHS(N−hydroxysuccinimide)−ビオチン(BIO RAD社)と2時間室温でインキュベートする方法がある。インビボビオチン化の方法としては、pET104−PEST等のベクターにユビキチンをクローニングしたものを形質転換し、得られた形質転換体内でビオチン化タンパク質を産生させる方法がある。標識ユビキチンは、それぞれの標識を検出することが可能な手段で分析され、これによりユビキチンの定量が可能となる。上記のビオチン標識の場合には、アビジン−アルカリフォスファターゼを用いて検出することが可能である。
上記3.で例示したMBP−シノビオリン−Hisを実験に用いる場合、自己ユビキチン化反応の対照として、シノビオリン部分を欠如させたMBP−Hisを用いることができる。
5.シノビオリンのユビキチン化
ユビキチン化は、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)及びユビキチンリガーゼ(E3)が共同して基質タンパク質にユビキチンを次々と結合させていく過程である。上述のように、シノビオリンの自己ユビキチン化とは、シノビオリンがユビキチンリガーゼ活性を有することにより、シノビオリン自体がユビキチン化の基質タンパク質となり、他のユビキチンリガーゼではなく自らユビキチンを結合させるものである。
上記のユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)などの酵素類は、市販されており、これらを適宜使用することができる。96マイクロプレートのウェル当たり、E1は、10〜50ngの範囲、好ましくは20〜40ngの範囲で、E2は、0.1〜0.5μgの範囲、好ましくは0.2〜0.3μgの範囲で用いられる。
ユビキチン化に必要な低分子反応因子として、MgCl、MgSOなどのMg塩、ATP、NAF、DTT(ジチオスレイトール)、オカダ酸などを適宜選択して使用することができる。これらの化合物も市販されており、入手は容易である。
さらに酵素類又は試薬を溶解する緩衝液、洗浄用緩衝液、測定用緩衝液、反応停止緩衝液などは、酵素を失活させ、あるいは反応を阻害しないものであれば、任意の公知緩衝液(例えば、Tris−HCl)を使用することができる。
シノビオリンの自己ユビキチン化反応は、以下の条件で行うことができる。反応溶媒となる緩衝液(pH6〜8)の一定量に、シノビオリンの自己ユビキチン化に必要な反応物質(シノビオリン又はその活性誘導体を除く)をそれぞれ上記の所定量加え、室温で5〜30分間インキュベートする。次いでシノビオリン又はその活性誘導体、あるいは固定化されたシノビオリンの活性誘導体を添加して、シノビオリンの自己ユビキチン化反応を開始する。室温〜37℃の一定温度のもとで、20〜120分の一定時間のインキュベーションを行い、停止緩衝液(0.2Mホウ酸緩衝液、TritonX−100及びEDTAを含有する)を一定量加えることにより反応を停止させる。そして、シノビオリンに結合したユビキチン又は結合しなかったユビキチンの量を測定して、自己ユビキチン化の程度を求める。そのためには標識ユビキチンを使用するか、あるいは抗ユビキチン抗体を使用することが好ましい。
6.アッセイ用キット
本発明は、上記アッセイの方法のみならず、そのための手段の組み合わせにも関わる。その組み合わせの具体的な態様であるキットは、少なくとも、
(i)シノビオリンのユビキチン化反応に使用されるシノビオリン又はその活性誘導体、ユビキチン、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)、ユビキチン化に必要な低分子の反応因子及び緩衝液類;並びに
(ii)上記反応により得られた反応液からシノビオリンに結合したユビキチン又は結合しなかったユビキチンの量を測定する工程で使用される試薬類(例えばELISAに使用される洗浄液、ユビキチン標識用酵素、o−フェニレンジアミン、硫酸等)を含む。
反応用のマルチウェルプレートは、例えば96ウェルでも384ウェルでもよく、当業者であれば、プレートの種類を容易に選択することができる。また、キットにマルチウェルプレートを含む場合、あらかじめ抗MBP抗体を固相化したプレートであってもよい。
シノビオリン、ユビキチン、必要な酵素類及びユビキチン化に必要な低分子の反応因子、及びユビキチンの量を測定する工程で使用される試薬類については上記アッセイの項において説明したものがいずれも好適に用いられる。
キットに含まれる「緩衝液」には、「反応緩衝液」のほかに「洗浄液」も含まれる。「洗浄液」には、「反応緩衝液」と同じ溶媒、又はその他の水溶性溶媒、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液などを例示することができる。両者は同一系の緩衝液であってもよく、緩衝液の液性を変更する、具体的にはイオン強度、pH、含有する塩類の種類を変化させることにより、洗浄用及び溶離の作用を実現させることができる。
これらのキットを構成する各成分は、別個に用意してもよく、あるいは、支障がない限り共存させていてもよい。キットは溶液を含んでもよく、あるいはそのような溶液を配合するための成分が濃縮形態であってもよい。
さらに必要に応じて、本キットは補助剤、専用容器、その他の必要なアクセサリー、説明書などを含んでもよい。
本発明のキットはELISA法に基づくものである。ELISA法(enzyme−linked immunosorbent assay)とは、一般には酵素で標識した抗原(又は抗体)を用いて、抗体(又は抗原)と結合する物質又はその量を酵素活性を利用して検出する方法である。本発明のキットは、上記のような抗原−抗体反応ではなく、シノビオリンの自己ユビキチン化反応に基づくものである。すなわち、本発明のキットは、酵素で標識したユビキチンを用いて、シノビオリンと結合するユビキチン又はその量を、酵素活性を利用して検出するものである。本発明において、自己ユビキチン化反応に基づく当該方法もELISA法と称することがある。
7.ユビキチン化に対する調節作用を有する物質のスクリーニング
シノビオリンのユビキチン化に対する調節作用を有する物質について、本発明によるスクリーニング方法は、以下の手順に基づく。
シノビオリン又はその活性誘導体を用いて、少なくとも次の工程、
(i)マルチウェルプレート上のウェルで、被験物質の存在下又は非存在下に、ユビキチンとシノビオリン又はその活性誘導体を接触させる工程;
(ii)上記ウェルで上記のアッセイ操作を行なうことにより、シノビオリン又はその活性誘導体によるユビキチン化活性を測定する工程;
(iii)シノビオリン自己ユビキチン化活性を調節する被験物質の作用を、上記(i)及び(ii)に基づく結果と、同時に行なった対照の結果とを比較して検出する工程;及び
(iv)前記調節作用が高い被験物質を選択する工程;
を含んでいる。
この場合、被験物質が存在しない条件下で工程(i)及び(ii)と同じ操作を行なったものが対照として好適である。あるいは、対照としては、被験物質をより低い濃度で含む場合であってもよい。また、例えば被験物質の代わりに、シノビオリンの自己ユビキチン化を促進又は阻害する活性を有することが分かっている分子を用いて工程(i)及び(ii)と同じ操作を行い、その分子よりもより高い調節活性を持つ物質を選別することもできる。
このような物質のスクリーニングにおいて、シノビオリンのユビキチン化活性を調節する被験物質の作用として、次のように区分される。被験物質の存在によりシノビオリンに結合するユビキチンの量が上昇すれば、この物質はシノビオリンのユビキチン化を促進する物質と判定される。また被験物質の存在によりシノビオリンに結合するユビキチン量が低下すれば、この物質はシノビオリンのユビキチン化を阻害する物質と判定される。例えば、シノビオリンとユビキチン活性化酵素及び/又はユビキチン結合酵素との相互作用を阻害する物質は、シノビオリンのユビキチン化を有効に阻害することができると判定できる。
シノビオリンのユビキチン化に影響を与える化合物のスクリーニングを行なう場合、大量の低分子化合物ライブラリーに対してハイスループットにスクリーニングする必要から、感度が高く、短時間で済むアッセイ方法を採用することが望ましい。そこで、本発明においては、上記のアッセイ方法のように多数のサンプルを同時に処理できるマルチウェルプレートを使用し、シノビオリン又はその活性誘導体を固相支持体に固定化して反応を行なって反応生成物のみを該プレートのウェルに残し、ユビキチンの結合量をそのままマルチウェルプレート上で測定する。
上記ハイスループット化スクリーニング方法の実現のために、具体的にはシノビオリン又はその活性誘導体として、上述のようなシノビオリン−His融合タンパク質を含む細菌細胞の可溶化物を直接、抗MBP抗体固相化プレートに作用させて得られる融合タンパク質との複合体を使用するアッセイ方法が好ましい。
検出は、上記反応に使用したプレート上で、そのまま吸光度の測定が行なわれるため、ユビキチンの定量は格段と効率化される。反応物の吸光度測定システムとして、多サンプルを短時間で処理するために従来から用いられているマイクロタイタープレートを使用してもよい。384ウェル以上の高密度プレートを用いる場合、CCDカメラをベースとしたイメージング検出を可能とする機器も使用される。
本発明のスクリーニング方法により、スクリーニングされた物質、低分子化合物、その塩、又はその誘導体であって、シノビオリンのユビキチン化を阻害することが判明したものは、本発明の範囲に含まれる。
以上の方法により、シノビオリンのユビキチン化を調節する作用を有する物質を選択することができる。さらに上記ハイスループット・スクリーニング方法は、シノビオリンのユビキチン化の他に、シノビオリンが関与するシグナル伝達を担う他のタンパク質のユビキチン化に影響を与える化合物の検索にも応用可能である。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、以下において特にことわらない限り、%は重量%を意味する。
本実施例は、シノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化をELISAで検出するのに用いるビオチン化GST−HA−Ubを作製することを目的とした。
まず、GST−HA−Ubは、ユビキチンの全領域を含むcDNAを、GST及びHA融合タンパク質のベクター(pGEX)に挿入し、大腸菌で融合タンパク質を産生し、グルタチオンセファロースTM4B(Amersham Biosciences社)カラムで精製することにより調製した。
次に、上記のように得られたGST−HA−UbをNHS(ydroxyuccinimide)−ビオチンで標識し、ビオチン化した。このビオチン化GST−HA−UbについてSDS−PAGEを行った後、ニトロセルロース膜に転写し、ビオチン−アビジン−アルカリホスファターゼの系を用いて検出した。その結果、反応に用いるNHS−ビオチンの濃度依存的に、GST−HA−Ubがビオチン化された(図1)。
本実施例は、ウエスタンブロッティング法を用いたシノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化の確認することを目的とした。
(1)インビトロ自己ユビキチン化反応
最終濃度が50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM MgCl、2mM ATP、0.267μg E1、0.333μg E2、1.7μgビオチン化GST−HA−Ub、1μg MBP−シノビオリンdTM Hisx12となるように、上記組成物をチューブ内で調製し、37℃で2時間恒温槽で反応させた。
反応に用いたE1(酵母由来)はAffiniti社より購入した。E2はUbcH5cをHisタグ融合タンパク質のベクター(pET)に挿入し、大腸菌で融合タンパク質を産生し、Ni−NTAカラム(キアゲン社)で精製することより得た。また、ビオチン化GST−HA−Ubは実施例1で作製したものを用いた。MBPシノビオリンΔTM−Hisx12は、細胞膜貫通部分(TM)を欠損させたシノビオリン(Synoviolin ΔTM)をMBPと融合させたものである。MBPシノビオリンdTM−Hisx12は、大腸菌で融合タンパク質を産生し、Ni−NTAカラム(キアゲン社)で精製することにより調製した。
(2)ウエスタンブロッティング法による自己ユビキチン化反応の検出
(1)のインビトロ自己ユビキチン化反応後にサンプルについてSDS−PAGEを行い、ニトロセルロース膜に転写した。次に、当該ニトロセルロース膜を5%スキムミルクでブロッキングし、その後1/1000希釈したアビジン−アルカリフォスファターゼを加えて30分振盪した。その後、ニトロセルロース膜をTBS−Tで洗浄し、Alkaline phosphatase conjugate subatrate kit(BIO RAD社)で検出した。結果を図2に示す。図2に示すように、ビオチン化GST−HA−Ubでシノビオリンがユビキチン化されたバンドが検出された。
本実施例は、ビオチン化GST−HA−Ubを用いたシノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化のELISA法による検出系を構築することを目的とした。
方法は、96ウェルプレートにウェルあたり抗MBP抗体1μgを4℃で終夜コーティングし、1%BSAで4時間、室温でブロッキングした後、0.01%Tween20/PBS(−)で洗浄し、ウェル内でMBP−シノビオリンΔTM Hisx12又はMBP−Hisxを4℃で終夜反応させた。その後、上記の実施例2の方法に準じてビオチン化GST−HA−Ubを用いたインビトロ自己ユビキチン化反応を行った。37℃で2時間反応した後、0.01%Tween20/PBS(−)でプレートを洗浄し、1%BSAで1時間、室温でブロッキングした後、0.01%Tween20/PBS(−)で洗浄し、1/1000希釈したアビジン−アルカリフォスファターゼを加えて30分静置した。0.01%Tween20/PBS(−)で洗浄後、Alkaline phosphatase subatrate kit(BIO RAD社)を加えて5分間静置した後、0.4Nの水酸化ナトリウムを加えて反応をとめた。その後、420nmの吸光度を測定した。その結果、MBP−Hisx(図3「MBP」)と比較して多くのMBP−シノビオリンΔTM Hisx12(図3「Syno」)の自己ユビキチン化が、ELISA法で検出された(図3)。
本実施例では、ウエスタンブロッティング法(WB)を用いたシノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化の確認における、インビトロ自己ユビキチン化の検出時のバックグラウンドを低減させることを目的に、反応に用いるユビキチンにGST−HA−Ub又はPk−His−HA−Ub K48Rを用いたときのバックグラウンドの程度の比較を行った。
Pk−His−HA−Ub K48Rは、Ubの48番目のリジンをアルギニンに変異させた変異体に、HAタグ、Hisタグ、Pkサイトが結合したタンパク質である。Pk−His−HA−Ub K48Rの作製は、Pkサイトを挿入したHis−HA−ユビキチン(K48R)遺伝子をpETベクターに挿入し、大腸菌で融合タンパク質を産生し、Ni−NTAカラム(キアゲン社)で精製することにより行なった。
方法は、実施例2で示すような通常のインビトロ自己ユビキチン化反応において、GST−HA−Ub、又はPk−His−HA−Ub K48Rを用いた。37℃で2時間反応させた後、反応液についてSDS−PAGEを行い、ニトロセルロース膜に転写した。ニトロセルロース膜を5%スキムミルクでブロッキングし、次に1/2500希釈(0.5%スキムミルクを含む)したα−HA(3F10)(Roche社)を加えて1時間振盪した後、TBS−Tで洗浄した。続いてα−ラットIg HRPを加えて振盪した後、TBS−Tで洗浄し、実験室で作製したECLで検出した。その結果、Pk−His−HA−Ub K48Rを用いることにより、バックグラウンドが低下することが確認された(図4)。
本実施例では、実施例4においてインビトロ自己ユビキチン化のウエスタンブロッティング法による検出に有効であることが示されたPk−His−HA−Ub K48Rを、ELISA法による検出においても有用であるかを検討することを目的とした。
方法は、96ウェルプレートにウェルあたり抗MBP抗体1μgを4℃で終夜コーティングし、1%BSAで4時間、室温でブロッキングした後、0.01%Tween20/PBS(−)で洗浄し、ウェル内で1μgのMBP−シノビオリンΔTM Hisx12又はMBP−Hisxを4℃で終夜反応させた。その後、GST−HA−Ub(図5「wt」)又はPk−His−HA−Ub K48R(図5「K48R」)を用いたインビトロ自己ユビキチン化反応を行った。37℃で2時間反応した後、0.01%Tween20/PBS(−)で洗浄した。その後、ブロックエースで1時間、室温でブロッキングした後、0.01%Tween20/PBS(−)で洗浄し、1/2500希釈(1/10量のブロックエースを含む)したα−HA(3F10)(Roche社)を加えて60分静置した。0.01%Tween20/PBS(−)でプレートを洗浄した後、α−rat IgG HRPを加えて30分静置した。0.01%Tween20/PBS(−)で洗浄後、o−フェニレンジアミンを100μl/ウェル加えて15分静置し、2Nの硫酸を加えて反応を停止させ、492nmの吸光度を測定した。
その結果、Pk−His−HA−Ubを用いることにより、実施例3のWBの結果と同様にバックグラウンドの低下が示され、MBP−シノビオリンΔTM Hisx12とMBP−Hisxを用いたときの差が顕著に確認できた(図5)。
本実施例では、ビオチン化ユビキチンを用いたシノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化のELISA法による検出系の構築を行うことを目的とした。
(1)クローニング
pET104.1−DESTにユビキチン又はKR変異体(5種)をGatewayシステム(Invitrogen社)を用いてクローニングした(pET104.1−DEST/Ub)。
(2)インビボビオチン化タンパク質の精製
BL21Star(DE3)をpET104.1−DEST/Ubで形質転換し、アンピシリンを含むL−ブロス10mlに加え、37℃で終夜振盪培養した。この予備培養液10mlを、アンピシリンを含むL−ブロス500mlに加え、37℃で振盪培養した。吸光度600nmを測定し、0.4を超えたのを確認後、IPTGを終濃度1mMとなるように加え、37℃で4時間、振盪培養した。集菌後、PBS(−)に懸濁して、リゾチームを加え氷中に10分静置したのち、ソニケーションした。洗浄バッファーを、終濃度が[1% Triton−X、1mM EDTA、1mM PMSF、0.5M NaCl、5mM 2−ME、1μg/mlアプロチニン]となるように加えた。21Gのシリンジを2度とおした後に、7,000rpmで30分間4℃で遠心分離し、上清を得た。ビーズはStreptavidin Agarose(Invitrogen社)を用いた。Streptavidin Agaroseを5bed vol.の洗浄バッファーで3回洗浄した。上清に洗浄したビーズを加えて、4℃で終夜ローテートした。ビーズを5bed vol.の洗浄バッファーで3回洗浄後、1bed vol.の1x PBS(−)に懸濁しカラムにつめた。0.5bed vol.の溶出バッファー(5mMビオチン、1x PBS)で10回に分けて溶出した。溶出したタンパク質を1x PBS(−)で終夜透析後、回収した。その後にCentricin YM−10(MILLIPORE社)を用いて濃縮した。その結果、インビボビオチン化BioEase−Ubが得られた(図6及び7)。
(3)ウエスタンブロッティング(WB)法を用いたシノビオリンのインビトロ自己ユビキチン化の確認
通常のインビトロ自己ユビキチン化反応で、インビボビオチン化BioEase−Ub又はインビトロビオチン化Pk−His−HA−Ub WT又はインビトロビオチン化GST−HA−Ubを用いた。終濃度が50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM MgCl、2mM ATP、0.125μg E1、0.166μg E2、0.85μg Ub、0.5μg MBP−シノビオリンdTM Hisx12となるように、チューブに入れ、37℃で2時間、恒温槽で反応させた。その後SDS−PAGEを行い、ニトロセルロース膜に転写した。5%スキムミルクでブロッキング後に、1/1000希釈したアビジン−アルカリフォスファターゼを加えて30分間振盪した。その後、TBS−Tで洗浄し、Alkaline phosphatase conjugate substrate kit(BIO RAD社)で検出した。インビトロビオチン化Pk−His−HA−Ub WT、インビボビオチン化BioEase−Ub、インビトロビオチン化GST−HA−Ubを用いてインビトロ自己ユビキチン反応を行った。
その結果、インビトロビオチン化Pk−His−HA−Ub WT、インビボビオチン化BioEase−Ub、インビトロビオチン化GST−HA−Ubで、シノビオリンのモノユビキチン化、ポリユビキチン化が確認できた(図8)。特にインビボビオチン化BioEase−Ubでは、バックグラウンドの低下が顕著に見られた。
ELISAによるシノビオリンの自己ユビキチン化反応系の構築及び化合物の阻害活性の評価
本実施例は、ELISAによる簡便な自己ユビキチン化反応のアッセイ系を構築し、自己ユビキチン化反応を阻害する化合物を評価することを目的とする。
(1)ELISAによるシノビオリンの自己ユビキチン化反応系の検討
ATP存在下あるいは非存在下で、MBP−Syno ΔTM−Hisの濃度(図9)あるいはPK−His−HA−Ubの濃度(図10)を変化させてインビトロ自己ユビキチン化反応(30μl)を行った。反応液30μlに30μlの0.5M EDTAを添加し、抗MBP抗体をコートしたELISA用プレートにMBP−Syno ΔTM−Hisを結合させ、洗浄後に、抗HA抗体で検出した。
その結果、ATP存在下の場合に、MBP−Syno ΔTM−Hisの濃度(図9)及びPK−His−HA−Ubの濃度(図10)に依存してシグナルの増強が認められた。
(2)ATP,PK−His−HA−Ub,E1,E2及びMBP−Syno ΔTM−Hisの要求性ATP,PK−His−HA−Ub,E1,E2及びMBP−Syno ΔTM−Hisを組み合わせてインビトロ自己ユビキチン化反応(30μl)を行い、上記と同様の方法で検出した。
その結果、ATP,PK−His−HA−Ub,E1,E2及びMBP−Syno ΔTM−Hisを全て組み合わせた場合にのみシグナルが検出された(図11)。
(3)検出時の一次抗体(ウサギ抗HA抗体)及び二次抗体(抗ウサギIgG/HRP)濃度の検討
ATP存在下あるいは非存在下で、インビトロ自己ユビキチン化反応(30μl)を行い、ウサギ抗HA抗体(1/1000、1/2000、1/4000)及び二次抗体(1/2500、1/5000、1/10000)の希釈倍率を変化させて検出した。
その結果、ATP存在下の場合に、抗HA抗体濃度及び二次抗体濃度に依存してシグナルの増強が認められた(図12)。
本発明のアッセイ方法によれば、シノビオリンのユビキチン化を高感度で、かつ短時間でアッセイすることができ、さらに、用いる試料が少量であるために低コストでアッセイすることができる。
上記アッセイ方法を利用した本発明のスクリーニング方法によれば、シノビオリンのユビキチン化に影響を与える物質のスクリーニングを行なう際、極めて多数の低分子化合物ライブラリーからハイスループットにスクリーニングすることができる。

Claims (8)

  1. シノビオリンとユビキチンとを含む反応系で両者を反応させ、得られる反応産物からシノビオリンに結合したユビキチンの量を測定することを特徴とする、シノビオリンのユビキチン化活性を測定するためのアッセイ方法。
  2. 上記反応が、シノビオリン又はその活性誘導体、ユビキチン、ユビキチン活性化酵素、ユビキチン結合酵素及びユビキチン化に必要な低分子の反応因子を含む系におけるユビキチン化反応である、請求項1記載の方法。
  3. 上記測定が、シノビオリンに結合したユビキチンの量を測定するものである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 上記シノビオリンの活性誘導体が、シノビオリンとタグタンパク質との融合タンパク質である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 上記測定が、上記シノビオリンに結合したビオチン化ユビキチンをアビジンと反応させることにより、シノビオリンに結合したユビキチンの量を定量することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. シノビオリンのユビキチン化に対する調節作用を有する物質をスクリーニングする方法であって、次の工程を含むことを特徴とする方法:
    (i)被験物質の存在下又は非存在下に、ユビキチンとシノビオリン又はその活性誘導体とを接触させる工程;
    (ii)シノビオリン又はその活性誘導体によるユビキチン化活性を測定する工程;並びに
    (iii)シノビオリンのユビキチン化活性を調節する被験物質の作用を、上記(i)及び(ii)により得られた結果と、対照の結果とを比較して検出する工程。
  7. シノビオリンのユビキチン化を測定するために少なくとも次のものを含んでなる、シノビオリンのユビキチン化アッセイを行なうためのキット:
    (i)シノビオリン又はその活性誘導体及びユビキチン;並びに
    (ii)シノビオリンに結合したユビキチンの量を測定する工程で使用される試薬類。
  8. ユビキチン活性化酵素、ユビキチン結合酵素、ユビキチン化に必要な低分子の反応因子及び緩衝液類をさらに含む請求項7記載のキット。
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