JP6101536B2 - 歯車変速機 - Google Patents

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Description

本発明は車両などに用いられる歯車変速機に関し、より詳細には変速機内部の潤滑構造に関する。
軸部材と複数組の歯車対とを備え、アクチュエータ操作あるいは手動操作により歯車対を選択して所定の変速比を実現する車両用の歯車変速機がある。この種の変速機では、軸受け部や同期装置、歯車噛合部などの動作を円滑化し、また摩擦熱による温度上昇を低減して摩耗による機能低下を抑制するために、ケーシング内に潤滑油を封入して循環させる潤滑構造が一般的に採用されている。潤滑油を循環、供給する構造として、掻上げ方式及び軸内油路方式が広く用いられている。掻上げ方式は、歯車により掻き上げられた潤滑油の飛散を利用するものであり、受け皿状のオイルレシーバを用いて潤滑油を捕捉する技術が実用化されている。また、軸内油路方式では、軸内油路から遠心力を利用して軸周りの潤滑対象部位に潤滑油を導く技術が実用化されている。
本願出願人は、歯車変速機で特定の潤滑対象部位への供給油量が不足する場合の一対応策を特許文献1に開示している。特許文献1の歯車変速機は、潤滑対象部位の上方に配置され傾斜した下縁を有して飛来する潤滑油をその粘性により捕捉して滴下する板状の油滴下部材をケース内に吊設している。これにより、オイルレシーバや軸内油路を用いた従来技術の潤滑に加え、特定の潤滑対象部位に油滴下部材から直接的に潤滑油を供給して、良好な潤滑を行うことができる。
特開2009−299712号公報
ところで、特許文献1の油滴下部材を用いても、変速機の内部構造や動作状況によっては、必ずしも全ての潤滑対象部位に十分な潤滑を行えるとは限らない。例えば、入力軸及び出力軸が軸線を共通にして前後に配置され、両軸の下方にカウンター軸が配置された車両用変速機において、アイドリング時に回転しない出力軸の付近では、潤滑油の飛散量が減少する。このため、出力軸の上方に油滴下部材を吊設しても十分な量の潤滑油を捕捉できず、出力軸の周りを十分に潤滑できない。このような状態から車両を発進させると、出力軸の周りで潤滑油量が不足して、摩耗や焼き付きの生じる懸念がある。
本発明は上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、潤滑油が不足しがちになる特定潤滑対象部位に対して効率的に潤滑油を供給する潤滑構造を有した歯車変速機を提供することを解決すべき課題とする。
本発明の歯車変速機は、潤滑油を封入したケースと、前記ケースに軸承されて動力を伝達する軸部材と、前記軸部材に設けられて少なくともその一部が前記潤滑油を掻き上げる歯車と、前記ケースの内部空間の上部に配置され、掻き上げられて飛来する前記潤滑油を捕捉し潤滑対象部位に導く受け皿状のオイルレシーバと、を備えた歯車変速機であって、前記オイルレシーバは、その外側面に互いに並行して設けられ前記軸部材の軸長方向に傾斜しつつ延在し、前記潤滑油をその粘性により捕捉し傾斜に沿って導く複数の突条と、複数の前記突条の傾斜した下端の近傍から特定潤滑対象部位に向けて下向きに立設され、前記潤滑油を滴下する滴下部材と、複数の前記突条の傾斜した下端の近傍に設けられ、複数の前記突条が導いた前記潤滑油を堰き止めて前記滴下部材へ案内する堰止め突条と、を有する。
また、本発明の歯車変速機は、潤滑油を封入したケースと、前記ケースに軸承されて動力を伝達する軸部材と、前記軸部材に設けられて少なくともその一部が前記潤滑油を掻き上げる歯車と、前記ケースの内部空間の上部に配置され、掻き上げられて飛来する前記潤滑油を捕捉し潤滑対象部位に導く受け皿状のオイルレシーバと、を備えた歯車変速機であって、前記オイルレシーバは、その外側面に互いに並行して設けられ前記軸部材の軸長方向に傾斜しつつ延在し、前記潤滑油をその粘性により捕捉し傾斜に沿って導く複数の突条と、複数の前記突条の傾斜した下端の近傍から特定潤滑対象部位に向けて下向きに立設され、前記潤滑油を滴下する滴下部材と、を有し、前記特定潤滑対象部位は、アイドリング時に回転せず動力伝達時に回転する前記歯車を同期操作する同期装置であってもよい。
さらに、前記オイルレシーバは間仕切りによって区画された複数のオイル区画部を有し、いずれかのオイル区画部は前記特定潤滑対象部位に向けて前記潤滑油を滴下する中空の滴下パイプをもち、前記滴下パイプは前記滴下部材を兼ねてもよい。
本発明の歯車変速機では、オイルレシーバの外側面に傾斜した複数の突条を設け、飛来する潤滑油を捕捉し傾斜に沿って導き、滴下部材から特定潤滑対象部位に向けて滴下するようにした。これに対して、従来技術のオイルレシーバは、捕捉して内部に貯留した潤滑油のみを利用し、外側面に飛来した潤滑油は利用していなかった。したがって、本発明によれば、従来使用していなかったオイルレシーバの外側面を有効利用し、外側面の突条から滴下部材を経由して特定潤滑対象部位に潤滑油を供給し、良好な潤滑を行うことができる。特に、変速機の内部構造や動作状況によって飛来する潤滑油量が不足しがちな特定潤滑対象部位に対して、突条は軸長方向の前方または後方から潤滑油を移動させるように導き、十分な量の潤滑油を供給できる。
また、堰止め突条を有する態様では、突条に導かれた潤滑油が特定潤滑対象部位の上方を通り過ぎてしまうことを防止できる。これにより、潤滑油は、滴下部材へ案内され、特定潤滑対象部位に向けて確実に滴下される。したがって、突条で捕捉された潤滑油の大部分を特定潤滑対象部位に供給でき、確実に良好な潤滑を行うことができる。
さらに、オイルレシーバが複数のオイル区画部を有し、いずれかのオイル区画部が滴下パイプをもつ態様では、オイルレシーバの内部のオイル区画部及び外側面の突条の両方から特定潤滑対象部位に潤滑油を供給でき、確実に良好な潤滑を行うことができる。また、滴下パイプが滴下部材を兼ねるので、オイルレシーバ形状の複雑化を抑制できる。
また、特定潤滑対象部位がアイドリング時に回転せず動力伝達時に回転する歯車を同期操作する同期装置とされた態様では、アイドリング時に当該の歯車が潤滑油を掻き上げない分だけ潤滑油の飛散量が動力伝達時よりも減少して、潤滑油が不足しがちになる。それでも、傾斜した複数の突条は、離れた位置から滴下部材へ潤滑油を移動させるように導くので、当該の同期装置に十分な量の潤滑油を供給できる。
本発明の実施形態の歯車変速機を説明する側面図である。 本発明の特定潤滑対象部位である4速−5速用同期装置及びその付近の側面図である。 4速−5速用同期装置及びその付近を後側から見た断面図である。 実施形態の歯車変速機のオイルレシーバの詳細構造を示す平面図である。 図2の紙面裏側からみたオイルレシーバの側面図である。 図4の矢印X−X方向から見たオイルレシーバの横断面図である。 従来技術のオイルレシーバの側面図である。 従来技術のオイルレシーバの横断面図である。
本発明を実施するための形態を、図1〜図6を参考にして説明する。
図1は、本発明の実施形態の歯車変速機1を説明する側面図である。実施形態の歯車変速機1は、前進5速後進1速の変速段を有し、フロントエンジンリアドライブ車両(FR車両)に縦置きで搭載される。歯車変速機1は、ケース2、入力軸31、出力軸32、カウンター軸33、前進1速〜4速及び後進の各歯車対41D〜44D、41F〜44F、46D、46F、3個の同期装置51〜53、及びオイルレシーバ6などにより構成されている。図1で、歯車変速機1の紙面左側がエンジンに連なる前側であり、紙面右側が後ろの駆動輪に至る後側である。また、図1で、ケース2、出力軸32、及び歯車の一部は、断面が示されている。
ケース2には適当量の潤滑油が封入されて底部に滞留しており、循環使用されるようになっている。入力軸31及び出力軸32は、軸線A1を共通にして前後に配置され、それぞれ前後方向に延在している。出力軸32は、2個の軸受部323、324によりケース2に回転自在に軸承されている。出力軸32の前側の外周に、出力従動歯車47Fが固設されている。出力軸32の前側の軸心には軸承孔が形成され、軸承孔の内周面に軸受部326が配設されている。出力軸32の後端322は、ドラムブレーキ329を介して図略のプロペラシャフトに連結されている。
入力軸31は、その前側寄りが軸受部313によりケース2に回転自在に軸承され、その後端312が出力軸32の軸承孔の軸受部326に相対回転自在に軸承されている。入力軸31の前端311は、図略のクラッチ機構を介して図略のエンジンのクランクシャフトに連結されている。入力軸の31の外周には、前側から順番に後進駆動歯車46D、1速駆動歯車41D、3速駆動歯車43D、及び2速駆動歯車42Dが固設されている。入力軸31の外周の2速駆動歯車42Dの後側に、符号略のニードルベアリングを用いて4速駆動歯車44Dが遊転可能に配設されている。
カウンター軸33は、入力軸31及び出力軸32の下方に配設されて前後方向に延在している。カウンター軸33の軸線A2は、入力軸31及び出力軸32の軸線A1に平行となっている。カウンター軸33の前端331及び後端332は、それぞれ軸受部333、334によりケース2に回転自在に軸承されている。カウンター軸の33の外周には、前側から順番に後進従動歯車46F、1速従動歯車41F、3速従動歯車43F、及び2速従動歯車42Fがそれぞれ、符号略のニードルベアリングを用いて遊転可能に配設されている。カウンター軸33の外周の2速従動歯車42Fの後側に4速従動歯車44Fが固設され、4速従動歯車44Fの後側に間隔をおいて出力駆動歯車47Dが固設されている。
カウンター軸33の軸心には、軸線A2方向に延在する軸方向油路335が穿設されている。さらに、軸方向油路335の軸長方向の4箇所から径方向外向きに径方向油路336が穿設されている。4個の径方向油路336は、カウンター軸33を貫き、後進従動歯車46F、1速従動歯車41F、3速従動歯車43F、及び2速従動歯車42Fの各ニードルベアリングまで連通している。軸方向油路335及び径方向油路336は、潤滑対象部位であるニードルベアリングに潤滑油を供給する役割を担っている。
入力軸31の後進駆動歯車46D及びカウンター軸33の後進従動歯車46Fは、後進歯車対を構成しており、図には見えない後進用歯車を介して噛合している。入力軸31の1速駆動歯車41D及びカウンター軸33の1速従動歯車41Fは、1速歯車対を構成して噛合している。同様に、2速〜4速駆動歯車42D〜44D及び2速〜4速従動歯車42F〜44Fは、それぞれ2速〜4速歯車対を構成して噛合している。さらに、入力軸31の後端312寄りと出力軸32の出力従動歯車47Fとの間に、5速直結部45が設けられている。5速直結部45は、入力軸31と出力軸32とを継断可能に直結する機能を有している。また、カウンター軸33の出力駆動歯車47D及び出力軸32の出力従動歯車47Fは、出力歯車対を構成して噛合している。
3個の同期装置51〜53は、1速−後進用同期装置51、2速−3速用同期装置52、及び4速−5速用同期装置53である。1速−後進用同期装置51は、カウンター軸33の後進従動歯車46Fと1速従動歯車41Fとの間に配置されている。1速−後進用同期装置51は、後進従動歯車46F及び1速従動歯車41Fの一方を選択して、カウンター軸33に同期結合させる。2速−3速用同期装置52は、カウンター軸33の2速従動歯車42Fと3速従動歯車43Fとの間に配置されている。2速−3速用同期装置52は、2速従動歯車42F及び3速従動歯車43Fの一方を選択して、カウンター軸33に同期結合させる。
一方、4速−5速用同期装置53は、入力軸31の4速駆動歯車44Dと5速直結部45との間に配置されている。4速−5速用同期装置53は、4速駆動歯車44Dを入力軸31に同期結合させる操作、及び、5速直結部45で出力軸32を入力軸31に同期結合させる操作の一方を選択的に行う。各同期装置51〜53は、軸線方向に移動するスリーブ、及び摩擦係合するコーン形状の係合面を有するシンクロナイザリングなどを組み合わせた公知の装置とすることができる。
オイルレシーバ6は、ケース2の内部空間の上部に配設されている。オイルレシーバ6は、前後方向に延在する細長い受け皿状であり、前側で高く後側で低く傾斜して配置されている。後で詳述するように、オイルレシーバ6の内部は、間仕切りによって複数のオイル区画部に区画されている。オイルレシーバ6は、歯車に掻き上げられて飛来する潤滑油を各オイル区画部で捕捉し、潤滑対象部位に導く。
次に、実施形態の歯車変速機1の潤滑構造について説明する。歯車変速機1がエンジンから出力された動力を伝達しているとき、入力軸31、出力軸32、及びカウンター軸33の3軸全てが回転する。このため、カウンター軸33に設けられた全ての歯車41F〜44F、46F、47Dは、少なくとも一部がケース2の底部に滞留している潤滑油に浸漬されて自動的に潤滑され、かつ潤滑油を掻き上げてケース2内に飛散させる。ケース2の底部から離れて配置された入力軸31の歯車41D〜44D、46D及び出力軸32の出力従動歯車47Fは、カウンター軸33の油浸された歯車41F〜44F、46F、47Dに噛合して潤滑油が供給される。底部から離れて配置された歯車41D〜44D、46D、47Fも、潤滑油をケース2内に飛散させる。
また、カウンター軸33の軸方向油路335には、上記したオイルレシーバ6または図略の別のオイルレシーバから潤滑油が供給される。軸方向油路335の内部の潤滑油は、遠心力の作用により径方向油路336から流出して、歯車41F〜43F、46Fの各ニードルベアリングを潤滑する。各ニードルベアリングから流出した潤滑油の一部は、1速−後進用同期装置51及び2速−3速用同期装置52に到達する。1速−後進用同期装置51及び2速−3速用同期装置52は、各ニードルベアリングから流出する潤滑油と、飛来する潤滑油とにより潤滑される。
一方、4速−5速用同期装置53は、オイルレシーバ6から滴下される潤滑油と、飛来する潤滑油とにより潤滑される。また、各軸受部313、323、324、326、333、334は、構造物の隙間などを利用して形成された油路から潤滑油が供給される。
ここで、エンジンが始動されて車両が発進する以前のアイドリング時を考える。アイドリング時に、入力軸31は回転するが、出力軸32及びカウンター軸33は回転しない。また、カウンター軸33の周りの後進従動歯車46F、1速従動歯車41F、3速従動歯車43F、及び2速従動歯車42Fは、入力軸31から駆動されて、動力を伝達せずに遊転する。これにより、ケース2の底部の潤滑油は掻き上げられ、変速機1の内部の潤滑が行われる。
したがって、遊転する歯車41F〜43F、46Fを同期操作する1速−後進用同期装置51及び2速−3速用同期装置52の付近では十分な量の潤滑油が掻き上げられて良好な潤滑が行われる。しかしながら、4速−5速用同期装置53では潤滑油が不足しがちになる。図2は、本発明の特定潤滑対象部位である4速−5速用同期装置53及びその付近の側面図である。また、図3は、4速−5速用同期装置53及びその付近を後側から見た断面図である。図2において、アイドリング時に、ケース2の底部側の2速従動歯車42Fは遊転するが、同じ底部側でも4速従動歯車44F及び出力駆動歯車47Dは回転せず潤滑油を掻き上げない。したがって、4速−5速用同期装置53では、付近の潤滑油の飛散量が動力伝達時よりも減少し、オイルレシーバ6から滴下される潤滑油及び飛来する潤滑油が共に減少する。
このため、アイドリング時に速度差の発生する4速−5速用同期装置53のシンクロナイザリングと4速駆動ギヤ44Dのギヤピースとの係合面44Pに十分な潤滑油を供給できなくなる懸念が生じる。同様に、アイドリング時に速度差の発生するシンクロナイザリングと5速直結部45のギヤピースとの間の係合面45Pに十分な潤滑油を供給できなくなる懸念が生じる。さらに、車両が走行を開始した直後に4速及び5速へのシフトアップ変速操作が行われると、これらの係合面44P、45Pに潤滑油が行き渡る以前に摩擦同期の操作が行われ、摩耗や焼き付きの懸念が増大する。
そこで、本実施形態では、オイルレシーバ6の構造に本発明を適用する。図3で、オイルレシーバ6は、ケース2の内部空間のうちの4速−5速用同期装置53の左斜め上方に配設されている。そして、オイルレシーバ6の図3の右上縁621とケース2の内面との間が大きく開き、左上縁622とケース2の内面との間が狭くなっている。これにより、オイルレシーバ6は、入力軸31の反時計回りの回転により矢印Rに例示されるように飛来する潤滑油を効率的に捕捉できるようになっている。さらに、オイルレシーバ6の上方のケース2の内面に、図3の紙面表裏方向に延在する突条21が設けられている。突条21は、ケース2の内面に付着して流下する潤滑油の一部を捕捉して、オイルレシーバ6に滴下する役割を有している。
次に、オイルレシーバ6の詳細構造について説明する。図4は、実施形態の歯車変速機1のオイルレシーバ6の詳細構造を示す平面図である。また、図5は、図2の紙面裏側からみたオイルレシーバ6の側面図である。さらに、図6は、図4の矢印X−X方向から見た、換言すれば変速機1の後側から見たオイルレシーバ6の横断面図である。以降では、図4及び図6に示されるように、右側及び左側を定める。図6に示されるように、オイルレシーバ6は、傾斜した右側壁611及び左側壁612からなる断面が略V字状の受け皿状の部材である。厳密には、右側壁611の端縁となる右上縁621は、左側壁612の端縁となる左上縁622よりも高く、左右で非対称になっている。右上縁621及び左上縁622は下方に折り曲げられ、機械的強度が強められている。
オイルレシーバ6の内部のうち図4に示される範囲は、2個の間仕切り631、632及び下端仕切り633で、3個のオイル区画部641、642、643に区画されている。第1間仕切り631は、1箇所で屈曲して形成されている。第1間仕切り631は、右側壁611の右上縁621から少し中心方向に入り込み、それから前側に屈曲し、右上縁621に離隔平行して前側に延在している。第1間仕切り631及び右上縁621により、第1オイル区画部641が区画されている。第1オイル区画部641内の第1間仕切り631の屈曲点付近の右側壁611に、第1滴下孔651が穿設されている。
第2間仕切り632は、2箇所で屈曲して形成されている。第2間仕切り632は、右上縁621の第1間仕切り631よりも少しだけ後側の位置から中心方向に入り込み、略V字状断面の底部623の手前で前側に屈曲している。第2間仕切り632の中間部分は、前後方向に第1間仕切り631に平行し、途中で第1間仕切り631から離れて屈曲し左上縁622に達している。第2間仕切り632、第1間仕切り631、及び左上縁622により、第2オイル区画部642が区画されている。第2オイル区画部642内の第2間仕切り632の始めの屈曲点付近の右側壁611に、第2滴下孔652が穿設されている。
下端仕切り633は、直線状に形成されている。下端仕切り633は、右上縁621の第2間仕切り632よりもかなり後側の位置から中心方向に入り込み、底部623を通り過ぎて左上縁622に達している。下端仕切り633、第2間仕切り632、右上縁621、及び左上縁622により、第3オイル区画部643が区画されている。下端仕切り633には、後側に潤滑油を導く供給口653が設けられている。下端仕切り633は、オイルレシーバ6の後側の端になっている。一方、図4で省略されているオイルレシーバ6の前側には、図示されない別のオイル区画部及び供給口が形成されている。
図1に示されるように、オイルレシーバ6は、前側が高く、後側が低くなるように配設される。したがって、各オイル区画部641〜643に飛来して捕捉された潤滑油は、各オイル区画部641〜643の中を前側から後側へ流れる。これにより、第1オイル区画部641内の潤滑油は、第1滴下孔651から下降して流出する。同様に、第2オイル区画部642内の潤滑油は、第2滴下孔652から下降して流出する。また、第3オイル区画部643内の潤滑油は、供給口653から後側へ流出する。
図5に示されるように、オイルレシーバ6は、3条の突条661〜663、堰止め突条67、及び滴下パイプ68を有している。突条661〜663は、右側壁611の外側面に互いに並行して設けられ、軸線A1方向に傾斜しつつ延在している。突条661〜663の傾斜した下端は、図5に示されるように、第1滴下孔651及び第2滴下孔652の付近に位置している。また、突条661〜663は、図6に示されるように、右側壁611から下向きに突設されており、下側の先端ほど薄くなっている。
堰止め突条67は、突条661〜663の傾斜した下端の近傍に設けられている。堰止め突条67は、右側壁611の右上縁621から底部623にかけて形成され、外側面から突出している。滴下パイプ68は、右側壁611の第2滴下孔652の下側に設けられており、4速−5速用同期装置53の真上に位置している。滴下パイプ68は、中空の筒状の部材であり、中空部分が第2滴下孔652から連通している。滴下パイプ68は、下側の突条663の傾斜した下端と堰止め突条67の下端との間に配設されている。
上述したオイルレシーバ6は、例えば、樹脂成型により一体成型加工して簡単に製造することができる。ただし、オイルレシーバ6の材質は樹脂に限定されず、製造方法は樹脂成型に限定されない。
次に、実施形態の歯車変速機1において、4速−5速用同期装置53を潤滑する作用及び効果について、従来技術と比較して説明する。図5に示される実施形態で、アイドリング時に4速従動歯車44F及び出力駆動歯車47Dは回転しないので、各突条661〜663の後側にはあまり潤滑油が飛来しない。しかしながら、アイドリング時にも後進従動歯車46F、1速従動歯車41F、3速従動歯車43F、及び2速従動歯車42Fは遊転するので、各突条661〜663の前側には潤滑油が飛来する。各突条661〜663はそれぞれ、飛来する潤滑油をその粘性により捕捉し、矢印S1〜S3に示されるように傾斜に沿って導く。堰止め突条67は、矢印S4に示されるように、各突条661〜663が導いた潤滑油を堰き止めて、滴下パイプ68の外周面へ案内する。また、堰止め突条67は、矢印S5に示されるように、第1オイル区画部641で捕捉されて第1滴下孔651を下降し流出する潤滑油のうち、滴下されずに右側壁611を伝う分を滴下パイプ68の外周面へ案内する。
滴下パイプ68の内周面は、第2オイル区画部642で捕捉されて第2滴下孔652から下降する潤滑油を導き、その下端で油滴として、4速−5速用同期装置53に向けて滴下する(矢印S6示)。さらに、滴下パイプ68の外周面は、各突条661〜663及び堰止め突条67が導いた潤滑油を導き、その下端で集積して油滴とし、4速−5速用同期装置53に向けて滴下する(矢印S7示)。つまり、滴下パイプ68は、本発明の滴下部材を兼ねている。これにより、4速−5速用同期装置53は良好に潤滑される。
なお、車両走行時には、4速従動歯車44F及び出力駆動歯車47Dが回転するので、各突条661〜663の前側にも潤滑油が飛来するようになる。加えて、従来技術と同様に、オイルレシーバ6の第1オイル区画部641及び第2オイル区画部642で捕捉する潤滑油の油量が増加する。したがって、4速−5速用同期装置53は、さらに良好に潤滑される。
これに対して、従来技術のオイルレシーバ9では、アイドリング時に4速−5速用同期装置53に供給する潤滑油が不足しがちになる。図7は、従来技術のオイルレシーバ9の側面図であり、図8は、従来技術のオイルレシーバ9の横断面図である。従来技術のオイルレシーバ9の内部の構造は、図4に示される実施形態と同じである。しかしながら、従来技術のオイルレシーバ9は、外側面に飛来する潤滑油の有効利用を考慮しておらず、突条661〜663も堰止め突条67も滴下パイプ68も有さない。
図7に示される従来技術で、アイドリング時に右側壁611の外側面の主に前側に飛来する潤滑油は、矢印Z1に例示されるように、外側面を下方に伝って底部623で集積するので、大きな油滴になりやすい。このため、油滴は、第2滴下孔652の付近に到達する以前に落下しやすい(矢印Z2示)。また、堰止め突条67や滴下パイプ68が無いので、潤滑油が第2滴下孔652を後側へ通り過ぎてしまうことも多い(矢印Z3示)。さらに、第1滴下孔651及び第2滴下孔652を下降する潤滑油の一部は、滴下されずに右側壁611を伝って後側へ逃げてしまう(矢印Z4、Z5示)。
これに対して、実施形態の歯車変速機1では、突条661〜663、堰止め突条67、及び滴下パイプ68を用い、オイルレシーバ6の外側面に飛来する潤滑油を4速−5速用同期装置53に供給している。加えて、突条661〜663は、変速機1の前側で潤滑油の飛散量の多い領域から潤滑油を移動させるように導く。ここで、突条661〜663が複数あって飛来する潤滑油を分けて捕捉するので、実施形態と比較して大きな油滴ができにくく、滴下パイプ68に到達して集積する以前に落下しにくい。また、堰止め突条67及び滴下パイプ68は、突条661〜663が導いた潤滑油、及びオイルレシーバ6の内部で捕捉した潤滑油が右側壁611を伝って後側へ逃げることを抑制する。したがって、これらの総合的な効果により、アイドリング時に潤滑油の飛散量が動力伝達時よりも減少する4速−5速用同期装置53であっても、十分な量の潤滑油を供給して、確実に良好な潤滑を行うことができる。
さらに、滴下パイプ68が滴下部材を兼ねるので、オイルレシーバ6の形状の複雑化を抑制できる。これにより、樹脂成型による一体成型加工が可能となり、製造コストの増加を抑制できる。
なお、本実施例において、4速−5速用同期装置53を特定潤滑対象部位としたが、これに限定されず、他の部位を特定潤滑対象部位として本発明を適用してもよい。その他、本発明は様々な応用や変形が可能である。
1:歯車変速機
2:ケース
31:入力軸 32:出力軸 33:カウンター軸
41D〜44D:1速〜4速駆動歯車 41F〜44F:1速〜4速従動歯車
45:5速直結部 46D:後進駆動歯車 46F:後進従動歯車
47D:出力駆動歯車 47F:出力従駆動歯車
53:4速−5速用同期装置(特定潤滑対象部位)
6:オイルセパレータ 611:右側壁 612:左側壁
621:右上縁 622:左上縁 623:底部
631:第1間仕切り 632:第2間仕切り 633:下端仕切り
641、642、643:第1〜第3オイル区画部
651:第1滴下孔 652:第2滴下孔 653:供給口
661〜663:突条 67:堰止め突条 68:滴下パイプ(滴下部材)
9:従来技術のオイルレシーバ

Claims (4)

  1. 潤滑油を封入したケースと、
    前記ケースに軸承されて動力を伝達する軸部材と、
    前記軸部材に設けられて少なくともその一部が前記潤滑油を掻き上げる歯車と、
    前記ケースの内部空間の上部に配置され、掻き上げられて飛来する前記潤滑油を捕捉し潤滑対象部位に導く受け皿状のオイルレシーバと、を備えた歯車変速機であって、
    前記オイルレシーバは、
    その外側面に互いに並行して設けられ前記軸部材の軸長方向に傾斜しつつ延在し、前記潤滑油をその粘性により捕捉し傾斜に沿って導く複数の突条と、
    複数の前記突条の傾斜した下端の近傍から特定潤滑対象部位に向けて下向きに立設され、前記潤滑油を滴下する滴下部材と、
    複数の前記突条の傾斜した下端の近傍に設けられ、複数の前記突条が導いた前記潤滑油を堰き止めて前記滴下部材へ案内する堰止め突条と、
    を有する歯車変速機。
  2. 潤滑油を封入したケースと、
    前記ケースに軸承されて動力を伝達する軸部材と、
    前記軸部材に設けられて少なくともその一部が前記潤滑油を掻き上げる歯車と、
    前記ケースの内部空間の上部に配置され、掻き上げられて飛来する前記潤滑油を捕捉し潤滑対象部位に導く受け皿状のオイルレシーバと、を備えた歯車変速機であって、
    前記オイルレシーバは、
    その外側面に互いに並行して設けられ前記軸部材の軸長方向に傾斜しつつ延在し、前記潤滑油をその粘性により捕捉し傾斜に沿って導く複数の突条と、
    複数の前記突条の傾斜した下端の近傍から特定潤滑対象部位に向けて下向きに立設され、前記潤滑油を滴下する滴下部材と、を有し、
    前記特定潤滑対象部位は、アイドリング時に回転せず動力伝達時に回転する前記歯車を同期操作する同期装置である歯車変速機。
  3. 前記特定潤滑対象部位は、アイドリング時に回転せず動力伝達時に回転する前記歯車を同期操作する同期装置である請求項1に記載の歯車変速機。
  4. 前記オイルレシーバは間仕切りによって区画された複数のオイル区画部を有し、いずれかのオイル区画部は前記特定潤滑対象部位に向けて前記潤滑油を滴下する中空の滴下パイプをもち、前記滴下パイプは前記滴下部材を兼ねる請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯車変速機。
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