JP6086280B2 - バイオマスの処理方法 - Google Patents

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    • C12P19/14Preparation of compounds containing saccharide radicals produced by the action of a carbohydrase (EC 3.2.x), e.g. by alpha-amylase, e.g. by cellulase, hemicellulase

Description

本発明は、バイオマスを前処理する前処理装置と、前処理したバイオマスを糖化酵素によって糖化する糖化装置と、前記糖化装置で用いる糖化酵素を生産する糖化酵素生産装置とを備えるバイオマスの処理システムを使用したバイオマスの処理方法に関するものである。
バガス、麦藁、稲藁、パーム残渣、スイッチグラス、紙等のセルロースおよびヘミセルロースを含むバイオマスは、主として家畜飼料として利用されてきたが、最近のセルロース糖化技術の進歩により、エタノールや有機酸の原料としての用途が開拓されつつある。前記バイオマスからのエタノールまたは有機酸の製造は、主成分であるセルロース、ヘミセルロース等の繊維質に酸処理、水熱処理等の前処理を行い、前処理したバイオマスを滅菌処理し、滅菌処理したバイオマスに糖化酵素を反応させてグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース等の糖類を含む糖化液とし、酵母等の微生物を用いる発酵法によりこの糖をエタノールまたは有機酸に変換するものである。前記の場合のほか、前処理および滅菌後のバイオマスに対し、同一槽内で酵素糖化と発酵を同時に行う手法もよく用いられる(同時糖化発酵)。また、前処理した後に滅菌処理するのではなく、前処理と同時に滅菌処理するようにしても良い。この滅菌処理は、コンタミネーションを起こして、糖もしくは最終生成物の生成量が減少したり、不純物が生成されたりすることを防ぐために行われる。
一方、糖化酵素生産装置内で、高純度のセルロース、単糖類、二糖類など、代謝しやすく酵素生産菌に対する阻害が少ない基質を培地に用いて酵素生産菌を培養し、培養した酵素生産菌を用いて前記糖化酵素を生産する。高純度のセルロース、単糖類、二糖類を用いることにより、酵素生産速度が速く、かつ高濃度の酵素を生産できるため、酵素生産設備ならびに酵素糖化設備が小さくて済むという利点があるが、これらは高価であるため製造コストが嵩むという問題がある。
本発明が解決しようとする主たる課題は、高純度セルロース、単糖類、二糖類を用いずに安価に多くの糖化酵素を生産することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
削除
削除
削除
<請求項1記載の発明>
バイオマスを水熱処理する水熱処理装置と、水熱処理したバイオマスを糖化酵素によって糖化する糖化装置と、前記糖化装置で用いる糖化酵素を生産する糖化酵素生産装置とを備えたシステムを使用し、
第1処理手段によって、水熱処理したバイオマスの一部を粉砕せずに、そのまま前記糖化装置へ送るとともに、
第2処理手段によって、水熱処理したバイオマスの残部を前記糖化酵素生産装置へ連続的または間欠的に供給することにより、水熱処理したバイオマスの残部に含まれる酵素生産菌の成長および増殖を阻害する阻害物質に酵素生産菌を馴致させながら、供給した水熱処理バイオマスを培地に用いて糖化酵素生産菌を培養して糖化酵素の生産を行い、生産した糖化酵素を前記糖化装置へ送る、
ことを特徴とするバイオマスの処理方法。
(作用効果)
前処理したバイオマスの残部を培地に用いることで、糖化酵素を生産することができる。この際、高価な高純度セルロース、単糖類、二糖類を用いないため、安価に生産することができる。
また、糖化と酵素生産の原料を同一の前処理バイオマスとすることにより、その前処理バイオマスの糖化に適した組成の酵素を生産できる。そのため、糖化の原料と異なる原料から酵素を生産し、その酵素を用いて糖化を行った場合と比べて、前処理バイオマスから生産した酵素を用いた方が、糖の収量が多くなり、生産性を向上させることができる。
また、酵素生産開始後、前処理バイオマスは糖化酵素生産菌に消費される。前処理バイオマスを糖化酵素生産装置に連続的または間欠的に供給することにより、一度にバイオマス全量を仕込む場合と比較して、糖化酵素生産装置内の固形物濃度を低く保つことが可能となる。これにより、攪拌不良、酸素移動の障害無く酵素生産をすることが可能となる。
また、前処理バイオマス中に糖化酵素生産菌の生育に悪影響を及ぼす物質が混ざっていた場合であっても、馴致効果によりその影響を低く留め、多くの糖化酵素を生産することができる。
<請求項2記載の発明>
前記水熱処理バイオマス残部の糖化酵素生産装置への供給は、供給した水熱処理バイオマスが糖化酵素生産菌に消費された量を連続的または間欠的に補給するものである請求項1記載のバイオマスの処理方法。
(作用効果)
請求項1と同様の作用効果を奏する。
<請求項3記載の発明>
前記糖化装置は、水熱処理したバイオマスを糖化酵素によって糖化する工程と、糖化物を発酵微生物によって発酵する工程を同時に行う同時糖化発酵装置である請求項1または2記載のバイオマスの処理方法。
(作用効果)
同時糖化発酵装置を用いることで、糖化と発酵を同一の槽内で実施できるため、プロセスが簡素なものとなる。また、生成された中間生成物が速やかに最終生成物に変換されるため、中間生成物たる糖の蓄積による酵素への阻害が生じることなく、最終生成物を得ることができる。
また、糖化発酵と酵素生産の原料を同一の前処理バイオマスとすることにより、その前処理バイオマスの糖化に適した組成の酵素を生産できる。そのため、糖化発酵の原料と異なる原料から酵素を生産し、その酵素を用いて糖化を行った場合と比べて、前処理バイオマスから生産した酵素を用いた方が、糖または発酵生成物の収量が多くなり、生産性を向上させることができる。
<請求項4記載の発明>
前記糖化酵素生産菌がアクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)種に属する菌である請求項1〜3のいずれか1項記載のバイオマスの処理方法。
酵素生産菌がアクレモニウム・セルロリティカス種に属する菌である場合、糖化と酵素生産の原料を同一の前処理バイオマスとした際、ヘミセルロース分解酵素が特に多く分泌され、糖化工程における糖収量を増加させることができる。
本発明によれば、高純度セルロース、単糖類、二糖類を用いずに安価に多くの糖化酵素を生産することができる。
本発明にかかるバイオマスの処理操作フロー図である。 本発明にかかるバイオマスの処理操作フロー図であって、同時糖化発酵を行うケースを示したものである。 従来例にかかるバイオマスの処理操作フロー図である。
〔バイオマス処理工程〕
図1および図2に本発明にかかるバイオマスの処理操作フローの概略を、図3に従来例にかかるバイオマスの処理操作フローの概略を示す。
なお、本発明にかかる装置は、バガス、麦わら、パーム残渣、コーンストーバー、パームヤシ残渣、キャッサバ残渣、木片、木質廃材、ジュート、ケナフ、スイッチグラス、古紙等のセルロース、ヘミセルロースを含むバイオマスについて好適に使用できる。
(洗浄・脱水工程)
セルロース、ヘミセルロースを含むバイオマスは、洗浄工程により、砂、小石等の異物と分離され、脱水工程により洗浄工程で添加された水分の多くが除去される。
(前処理・滅菌工程)
前記バイオマスは、主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンの3成分が固く結合した複合体となっているうえ、セルロース分子自体も固い結晶構造を取っているため、そのままでは糖化酵素セルラーゼがセルロース分子に接近できない。そのため、前処理装置内で、脱水後のバイオマスを、熱処理、水熱処理、酸処理、アルカリ法、微粉砕法、木材腐朽菌などのどれかで前処理して、前記3成分の結合を緩くする。その後、通常はコンタミネーションを防ぐために滅菌処理を行うが、熱処理、水熱処理(蒸煮、爆砕)、酸処理(硫酸、硝酸、リン酸などを用いた希酸法、濃酸法、SO2含浸爆砕法)並びにアルカリ法(苛性ソーダ法、亜硫酸ソーダ法、アンモニア法、水酸化カルシウム法)のいずれかの前処理を行った場合は、その前処理が滅菌効果を有するため、別途滅菌工程を設けなくても良いという利点がある。なお、濃硫酸法の場合はセルラーゼを用いずに前処理と糖化まで可能である。
(糖化工程)
前処理したバイオマスの一部は糖化装置へ送られ、糖化装置内で糖化される。この糖化装置の代表例としては、バイオリアクターを挙げることができる。この糖化装置内で、前処理したバイオマスが主に3種類のセルラーゼ(endoglucanase(EG)、cellobiohydrolase(CBH)、β−glucosidase(BGL))の作用によって分解される。このセルラーゼは、原料の乾燥重量あたり3〜30FPU/g、好ましくは5〜20FPU/g添加する(FPU/gは60分間にろ紙からグルコースを10.8mg生成するセルラーゼ酵素活性の単位)。なお、本発明における糖化装置には、後述する同時糖化発酵装置が含まれる。
(発酵・蒸留工程)
糖化された原料は、さらに酵母や細菌によってエタノールや有機酸などの最終製品に加工される。特に、発酵、蒸留により、バイオ燃料としてのエタノールを取得するのが一般的である。糖をエタノールに変換するためには、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、クルイベロマイセス属、ピキア属、キャンジダ属の酵母、ザイモモナス属、クロストリディウム属の細菌、あるいはそれらの特定遺伝子を組み込んだ遺伝子組換微生物を用いる。このエタノール発酵菌は、例えばサッカロマイセス セレビジエの場合、原料容積あたり1〜100g wet−wt/L、好ましくは5〜50g wet−wt/L接種する。また、糖を乳酸に変換するためには、例えばリゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)のような糸状菌等を用いることができ、糖をコハク酸に変換するためには、例えばコリネ型細菌(Coryneform bacterium)、バチルス属細菌、リゾビウム属細菌等を用いることができる。
(糖化酵素生産工程)
本発明は、糖化酵素を生産する工程に特徴を有し、この工程は糖化酵素生産装置によって行われる。この糖化酵素生産工程は、酵素生産菌を培養する工程と、培養した酵素生産菌を用いて酵素を生産する工程とからなる。以下に、糖化酵素を生産する工程について説明する。
まず目的酵素を生産する有用菌株を作製する。作製する有用菌株としては、例えばセルラーゼを生産するセルラーゼ生産菌、ヘミセルラーゼを生産するヘミセルラーゼ生産菌などの菌株を挙げることができる。より具体的には、アクレモニウム属、トリコデルマ属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、サーモアスカス属の菌類や、クロストリジウム属、バチルス属の真正細菌のいずれか1以上の微生物を用いることができる。
前記糖化酵素生産菌として、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)種に属する菌を用いるのが好ましい。酵素生産菌がアクレモニウム・セルロリティカス種である場合、糖化と酵素生産の原料に同一の前処理バイオマスを用いたときに、ヘミセルロース分解酵素が特に多く分泌されるため、糖化工程における糖収量を増加させることができるからである。アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)種に属する菌としては、具体的に、Acremonium cellulolyticus Y-94株、Acremonium cellulolyticus T-N株、Acremonium cellulolyticus C-1株、Acremonium cellulolyticus CF-2612株などを挙げることができる。これらの菌のうちAcremonium cellulolyticus C-1株、Acremonium cellulolyticus CF-2612株はキシラナーゼ活性が高いため、この2つの菌を用いるのが特に好ましい。
次に作製した有用菌株を培地で培養する。この培地としては固体培地、半流動培地、液体培地(ブイヨン、ブロス)を用いることができるが、液体培地を用いるのが好ましい。また、必要に応じて有機栄養物を含有させても良い。
一般に、この培地には炭素源として、高純度セルロース、単糖類、二糖類を用いることが多い。しかし、この高純度セルロース、単糖類、二糖類は高価であり製造コストが嵩むため、本発明においてはこれらの代わりに前処理されたバイオマスを用いる。より詳しくは、リグノセルロース系バイオマスを前処理すると、セルロースを含む前処理バイオマスが生成されるため、第2処理手段を用いて前処理バイオマスの残部を糖化酵素生産装置へ送り、培地の炭素源として利用する。
一方、前処理バイオマスには、酵素生産菌の成長や増殖を阻害する阻害物質が混ざっている場合がある。この阻害物質とは、例えば蟻酸や酢酸を挙げることができる。そのため、前処理バイオマスを糖化酵素生産装置に一度に大量に加えると酵素生産菌の生育が阻害されたり、死んだりして、所望の酵素量を得ることができないケースが生じる。そこで本発明は、前処理バイオマスを糖化酵素生産装置へ連続的または間欠的に供給することで、馴致効果によりその影響を低く止め、多くの糖化酵素を生産させる。この供給は、例えば前処理バイオマスの予定供給量の総量のうち、まず一定の割合の量を供給し、その後酵素生産菌が増えて耐性が向上した時に、新たな前処理バイオマスを投入する。このような供給を行うことで、酵素生産菌が阻害物質を無害化でき、酵素生産菌の生育の阻害が抑制され、酵素生産量を増やすことができる。
なお、前処理バイオマスに含まれる阻害物質に対して、前処理バイオマスを洗浄して阻害物質を除去する方法、前処理バイオマスに薬剤を加えて除毒処理する方法も考えることができる。しかし、これらの各処理を行うための設備を設ける必要が生じ、設備コストおよび運転コストが高くなるというデメリットがある。よって洗浄や除毒をすることなく、前処理バイオマスをそのまま糖化酵素生産装置に供給するプロセスが好ましい。また、前記洗浄または除毒した前処理バイオマスを無菌状態に保つには過大な設備を必要とし、コンタミネーションのリスクを回避するために、実用上は洗浄または除毒処理した前処理バイオマスを滅菌する滅菌設備を設けることとなる。前処理を熱処理、水熱処理、酸処理、アルカリ処理など滅菌処理を兼ねる方法で行い、洗浄または除毒をする場合、新たに滅菌処理を行う設備が必要となるというデメリットもある。そのため、これらの各処理を行うことで阻害物質に対処するのではなく、前処理バイオマス中の阻害物質による酵素生産菌の生育阻害を防止しながら、前処理バイオマスを直接糖化酵素生産装置へ供給する方法が望ましい。これを実現する方法として、前処理バイオマスを一度に供給するのでなく、連続的または間欠的に供給することによる、微生物の馴致効果を利用した方法が挙げられる。
また、前処理バイオマスを糖化酵素生産装置へ連続的または間欠的に供給することで、一度に供給する場合と比較して、糖化酵素生産装置内の固形物濃度を低く保つことができる。これにより、攪拌不良、酸素移動の障害無く酵素生産をすることができる。
前記酸素移動の障害とは、酵素生産槽に供給した酸素が槽内の液中に溶解する際に障害が生じることをいう。
より詳しくは、酵素生産槽内の酵素生産菌は大量の酸素を必要とするため、酵素生産槽内へ槽底部から空気が供給される。この酵素生産菌は供給された空気中の酸素を直接利用するのではなく、空気中の酸素が一旦液中に溶解され、この溶存酸素を利用する。しかし、酵素生産槽内の液体に固形物が含まれている場合や液体の粘度が高い場合は、空気中の酸素の液体への溶解が抑制される。
前記培養における培養温度および培養時間は、酵素生産菌の種類によって異なるが、通常は、28〜32℃の温度で48時間〜10日間の期間、培養を行う。
また、前記糖化酵素生産装置のうち培養に用いる発酵槽としては、例えば通気撹拌型、気泡塔型、流動層型、充填層型などを挙げることができる。
前記酵素生産菌の培養によって、酵素生産菌が成長・増殖するとともに、酵素生産菌が糖化酵素を生産する。酵素生産菌の培養終了時の培養液は糖化酵素を含有している。この酵素含有液は直接糖化槽に供給しても、また精製した後に糖化槽に供給しても良い。
酵素精製の一般的な方法として、まず濾過や遠心分離などの方法によって酵素生産菌を除去し、上清液を得る。そして、その上清液から、イオン交換クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相カラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、エタノール、メタノール、アセトン等を用いた沈殿分離、精密ろ過、限外ろ過、逆浸透ろ過等の濾過処理などの方法を用いて、目的とする糖化酵素を得る。
なお、前処理バイオマスを炭素源とする培地を用いて糖化酵素を生産し、その糖化酵素を糖化に用いた場合、高純度セルロース等を炭素源とする培地を用いて糖化酵素を生産し、その糖化酵素を糖化に用いた場合よりも、多くの糖を得ることができる。より詳しくは、高純度セルロースを用いて生産した酵素を用いると、グルカンを多く採取できるが、キシランはほとんど採取できない。一方、前処理バイオマスを用いて生産した酵素を用いると、グルカンが同程度採取できると共に、キシランも多く採取することができる。
高純度セルロースにはキシランがほとんど含まれないが、前処理したバイオマスには適度に分解されたキシランが含まれている場合が多い。この適度に分解されたキシランの存在下で酵素生産菌を培養すると、キシラン分解酵素を多く分泌する傾向がある。そのため、前処理バイオマスを炭素源とする培地を用いて生産した糖化酵素にはキシラン分解酵素が多く含まれ、この糖化酵素を用いて糖化を行うと多くの糖を得ることができる。なお、糖化酵素生産菌であるアクレモニウム・セルロリティカス種に属する菌は特にキシラン分解酵素分泌量が多い傾向があり、培地の炭素源として前処理バイオマスを用いて糖化酵素生産菌を生育したとき、キシラン分解酵素量の増加が顕著になる。
(同時糖化発酵工程)
図2は、本発明にかかるバイオマスの処理操作フロー図であって、同時糖化発酵を行うケースを示したものである。換言すると、図1は糖化と発酵を別々の装置で行うケースを示したが、図2は糖化と発酵を一つの装置内で同時に行うケースを示している。
バイオマスを糖化酵素によって糖化(加水分解)する場合、生成した糖化物が蓄積することによって酵素による糖化反応が阻害され、糖化率が低下してしまうという問題が生じる。しかし、この同時糖化発酵においては、糖化酵素による糖化と発酵微生物による糖化物の発酵を同時に進行させることができる。そのため、生成された糖化物が蓄積して糖化反応が阻害される前に、酵母等の発酵微生物が糖化物を発酵してしまうため、酵素活性を維持することができるというメリットがある。従って、図1の処理操作フローよりも、図2の処理操作フローを採用するほうがより好ましい。
図2の同時糖化発酵のケースにおいては、第一処理手段によって、前処理したバイオマスの一部を同時糖化発酵装置へ送り、糖化発酵させる。また、第二処理手段によって、前処理したバイオマスの残部を前記糖化酵素生産装置に供給し、供給した前処理バイオマスを培地に用いて糖化酵素生産菌を培養して糖化酵素の生産を行い、生産した糖化酵素を同時糖化発酵装置へ送り、糖化に供する。その他の点は図1の場合と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
実験の結果、前処理バイオマスを炭素源とする培地を用いて糖化酵素を生産し、その糖化酵素を糖化に用いた場合、高純度セルロースを炭素源とする培地を用いて糖化酵素を生産し、その糖化酵素を糖化に用いた場合よりも、多くの糖を得ることができることが確認できた。以下にその実験内容を詳述する。
(前処理)
前処理を行う前に、まず製糖工場から排出されたバガスを水洗浄して石、砂等の異物を除去した。そして、この水洗浄バガスに対して脱水、乾燥等を行い、含有水分を80%程度にまで低減させ、このバガスに対して前処理を行った。前処理として水熱処理を用いた。具体的には、脱水等を行ったバガスをバッチ式加圧反応容器に充填し、25気圧の飽和水蒸気を直接投入して、反応容器内の温度を220℃まで加熱した。飽和水蒸気供給量を適宜調整しながら10分間同温度を保持し、排出バルブを開放することにより反応物を排出し、これを回収して水熱処理(前処理)バガスとした。
(酵素生産)
3Lジャーファーメンターに総量2,000gとなるように培地を調製した。
培地の炭素源としては、高純度物として結晶性セルロース(Solka Floc #300、International Fiber Corp.製)と、糖化原料と同じ炭素源として水熱処理バガスを用いた。これらの炭素源を各々乾重量で100g(湿重量330g)、アクレモニウム液体培養液を200g、ジャーファーメンターに投入した。また、硫酸アンモニウム10g、リン酸二水素カリウム2g、硫酸マグネシウム・7水和物2.4g、硫酸亜鉛・7水和物20mg、硫酸マンガン・5水和物20mg、硫酸銅(II)・5水和物20mgを含む栄養塩含有液500g、ならびにリン酸に水素カリウムおよび酒石酸カリウム・半水和物を加えたpH緩衝液(pH=4.0)500gを添加して、調整し、滅菌水470gを加えて総量2,000gとした。この培地の調整は滅菌条件下で行った。
そして、ジャーファーメンターを30℃に保持し、無菌空気を1L/min通気し、48時間保持することにより酵素生産を行った。このジャーファーメンターはフラットタービン翼および溶存酸素計を具備しており、攪拌翼回転数を最低200rpmにして運転し、溶存酸素濃度が2mg/Lを下回る場合は回転数を上げて溶存酸素濃度が2mg/L以上となるように保持した。生産した酵素含有液は特許4025842等に記載される方法により、酵素糖化活性(FPU)を測定した。
(酵素糖化)
200mL三角フラスコに培地を総量100gとなるように調製した。
詳細には、初めに水熱処理バガスを固形物濃度10重量%となるように投入し、投入した固形物が15FPU/g−dry固形物となるように糖化酵素含有液を添加した。そして、pH=5.0となるように苛性ソーダ20%液で調整し、無菌水を添加して総量100gとした。
これらを無菌下で調製し、シリコン栓で密封した。そして、35℃恒温槽内に設置された振とう培養器(日伸理化製NX−25D)を用いて回転数100rpmで振とうし、48時間糖化反応を行った。
糖化反応終了後、糖化液中の固形物を遠心沈降およびディスポフィルターで除いた後、超純水で20倍希釈し、アミネックスHPX−87Cカラム(Bio−Rad社製)を装備した高速液体クロマトグラフィー(日立製作所L−7000シリーズ)で糖濃度を定量し、糖収量を算出した。
(糖化結果)
糖化後の糖収量を表1に示す。なお、表中の数値は、Solka−Flocで生産した酵素を用いた場合の糖収量をそれぞれ100とし、それに対して、水熱バガスで生産した酵素を用いた場合の糖収量がどのような値になるかを示している。
水熱バガスで生産した酵素を用いて糖化を行った場合、Solka−Flocで生産した酵素を用いて糖化を行った場合よりも、ヘミセルロース由来の糖(キシロース及びガラクトース)の収量が約1.3倍に増えた。一方、セルロース由来の糖(グルコース)の収量には変化が見られなかった。しかし、ヘミセルロース由来の糖の収量が増えたことから、全糖(ヘミセルロース由来の糖およびセルロース由来の糖)の収量が増加する結果となった。これは、糖化と酵素生産の原料を同一の前処理バイオマスとすることにより、その前処理バイオマスの糖化に適した組成の酵素が生産できているためである。
Figure 0006086280

Claims (4)

  1. バイオマスを水熱処理する水熱処理装置と、水熱処理したバイオマスを糖化酵素によって糖化する糖化装置と、前記糖化装置で用いる糖化酵素を生産する糖化酵素生産装置とを備えたシステムを使用し、
    第1処理手段によって、水熱処理したバイオマスの一部を粉砕せずに、そのまま前記糖化装置へ送るとともに、
    第2処理手段によって、水熱処理したバイオマスの残部を前記糖化酵素生産装置へ連続的または間欠的に供給することにより、水熱処理したバイオマスの残部に含まれる酵素生産菌の成長および増殖を阻害する阻害物質に酵素生産菌を馴致させながら、供給した水熱処理バイオマスを培地に用いて糖化酵素生産菌を培養して糖化酵素の生産を行い、生産した糖化酵素を前記糖化装置へ送る、
    ことを特徴とするバイオマスの処理方法。
  2. 前記水熱処理バイオマス残部の糖化酵素生産装置への供給は、供給した水熱処理バイオマスが糖化酵素生産菌に消費された量を連続的または間欠的に補給するものである請求項1記載のバイオマスの処理方法。
  3. 前記糖化装置は、水熱処理したバイオマスを糖化酵素によって糖化する工程と、糖化物を発酵微生物によって発酵する工程を同時に行う同時糖化発酵装置である請求項1または2記載のバイオマスの処理方法。
  4. 前記糖化酵素生産菌がアクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)種に属する菌である請求項1〜3のいずれか1項記載のバイオマスの処理方法。
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