JP2023178061A - 糖液を製造する方法、およびそれによって得られる糖液 - Google Patents

糖液を製造する方法、およびそれによって得られる糖液 Download PDF

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Masakazu Ike
賢治 山岸
Kenji Yamagishi
健 徳安
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Abstract

【課題】 セルロース含有バイオマス資源などを有効に利用すること。【解決手段】 繊維質原料から糖液を製造する方法であって、糖化酵素を生産する生物を培養する工程と、該生物から生産された糖化酵素を用いて該繊維質原料を糖化する工程であって、少なくとも一部または全部が該培養する工程と同一槽において行われる、糖化する工程とを含み、必要に応じて、該培養する工程と該糖化する工程とが連続して行われることを特徴とする、方法。【選択図】 なし

Description

本開示は、糖液を製造する方法、およびそれによって得られる糖液に関する。
従来のセルロース系バイオマス原料からの糖液製造では、原料槽とは別に製造した糖化酵素を原料に添加する方法、つまり糖液製造と変換酵素生産の2ラインで行うのが主流となっている。この方法では、糖液製造工程の他に、変換酵素生産工程のための設備を用意し、原料となる基質の効率的糖化に適した酵素組成にするために、必要に応じて複数の酵素の混合物を利用するなど、均質な原料からの大量の糖液製造に向けた技術となっている。
一方で、セルロース含有バイオマス資源などの非可食資源は、広く薄く分布しているため、このような非均質な資源を用いた活用法が注目を集めている。
本発明者らは、小規模での糖液製造を想定した技術開発を進めた結果、変換酵素生産と糖液製造とを1本化した簡素な糖液製造工程を構築した。本開示の方法では、稲わら等のセルロース含有資源から、微生物を用いて糖を生産するにあたって、変換酵素を生産する微生物の培養による酵素生産と、原料の糖化反応とを、同一槽で反応条件を変えて2段階で行うことにより、効率的な糖液の製造が達成可能となる。
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目1)
繊維質原料から糖液を製造する方法であって、
糖化酵素を生産する生物を培養する工程と、
該生物から生産された糖化酵素を用いて該繊維質原料を糖化する工程であって、少なくとも一部または全部が該培養する工程と同一槽において行われる、糖化する工程と
を含み、必要に応じて、該培養する工程と該糖化する工程とが連続して行われることを特徴とする、方法。
(項目2)
前記糖化する工程は、前記生物の少なくとも一部の活性が抑制される条件で行われる、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記糖化する工程は、嫌気条件下、および/または前記生物の生育に適さない温度で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
前記生物の生育に適さない温度が、約40℃以上である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記糖化する工程は、前記生物が死滅しない条件で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記生物が、糸状菌または放線菌である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記糸状菌がトリコデルマ属およびペニシリウム属を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記放線菌がストレプトマイセス属を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記繊維質原料が外的に追加されない、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記培養する工程は、前記生物が、前記繊維質原料が糖化されるのに十分な量の糖化酵素を生産するような条件で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記培養する工程は、少なくとも約12時間以上行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
培養液中の糖濃度、前記糖化酵素の酵素活性、前記生物量、ガス濃度、前記生物の代謝量、または培養液のpH、またはこれらの任意の組み合わせに基づき、前記培養する工程から前記糖化する工程への切り替えが行われることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
繊維質原料から糖液を製造する方法であって、
該繊維質原料を提供する工程と、
糖化酵素を生産するか、または有する生物を、該繊維質原料に加える工程と、
該生物と該繊維質原料との混合物を、該糖化酵素が該繊維質原料に作用する条件に配置する工程と
を含む、方法。
(項目14)
前記糖化酵素が前記繊維質原料に作用する条件は、前記生物の少なくとも一部の活性が抑制される条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記生物を前記繊維質原料に加えたのち、前記生物が、前記糖化酵素を生産する条件に配置する工程をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記糖化酵素が前記繊維質原料に作用する条件は、嫌気条件、および/または前記生物の生育に適さない温度を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記生物の生育に適さない温度が、約40℃以上である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記糖化酵素が前記繊維質原料に作用する条件は、前記生物が死滅しない条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記生物が、糸状菌または放線菌である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記糸状菌がトリコデルマ属およびペニシリウム属を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記放線菌がストレプトマイセス属を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記繊維質原料が外的に追加されない、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記生物が前記糖化酵素を生産する条件は、前記生物が、前記繊維質原料が糖化されるのに十分な量の糖化酵素を生産するような条件を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記生物が前記糖化酵素を生産する条件は、少なくとも約12時間以上の培養を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
培養液中の糖濃度、前記糖化酵素の酵素活性、前記生物量、ガス濃度、前記生物の代謝量、または培養液のpH、またはこれらの任意の組み合わせに基づき、前記生物が前記糖化酵素を生産する条件から、前記糖化酵素が該繊維質原料に作用する条件への切り替えが行われることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
上記項目のいずれか一項に記載の方法によって製造された糖液。
(項目27)
繊維質原料からの糖液の製造において、糖化酵素を生産する生物を再利用する方法であって、
上記項目のいずれか一項に記載の糖化する工程による残渣を回収する工程と、
該残渣中の生物を、糖化酵素を生産する生物として再利用する工程と
を含むことを特徴とする、方法。
本開示において、上記の1つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。なお、本開示のさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
なお、上記した以外の本開示の特徴及び顕著な作用・効果は、以下の発明の実施形態の項及び図面を参照することで、当業者にとって明確となる。
本開示の方法は極めて簡素なものであり、工業スケールでの製造のみならず、例えば農場単位などの小規模での糖液製造への活用が期待される。本開示の方法で得られる糖液は、アルコール、有機酸、アミノ酸、核酸などの発酵原料として様々な用途に使用することができることから、農業・食品廃棄物資源等の低利用・未利用資源の有効活用に繋がる。
図1は、本開示の一実施形態に係る方法おいて、糸状菌Trichoderma reeseiを用いた場合のグルコースおよびセロオリゴ糖の回収率を示すグラフである。 図2は、本開示の一実施形態に係る方法おいて、放線菌Streptomyces sp.を用いた場合のキシロースおよびキシロオリゴ糖の回収率を示すグラフである。 図3は、本開示の一実施形態に係る方法おいて、糸状菌Penicillium sp.を用いた場合のグルコースおよびキシロースの回収率を示すグラフである。
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
本明細書において、「約」とは、後に続く数値の±10%を意味する。
本明細書において、「繊維質原料」とは、広義に解釈され、繊維質を主成分として含有する原料をいい、例えば主にセルロースやヘミセルロースを含有する原料や、セルロースなどの繊維が集合したものをいう。例えば、繊維質原料としては、廃木材、間伐材、林地残材、建築廃材、製材廃材、稲わら、麦わら、もみ殻、サトウキビバガス、オイルパーム空果房、コーンストーバ、コーンコブ、スイッチグラス、エリアンサス、ネピアグラス、青刈りトウモロコシ、牧草、葦、タケ、水草、海藻、藻類、微結晶セルロース、ろ紙、古紙、パルプなどが挙げられる。
本明細書において、「糖液」とは、広義に解釈され、単糖、二糖、オリゴ糖などの糖類を含有する液をいう。本明細書において、糖液に含まれる糖類としては、例えば、グリセルアルデヒド等の炭素数3の単糖(トリオース);エリトロース、トレオース、エリトルロース等の炭素数4の単糖(テトロース);、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、デオキシリボース、キシルロース、リブロース等の炭素数5の単糖(ペントース);アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、フコース、フクロース、ラムノース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等の炭素数6の単糖(ヘキソース);、セドヘプツロース等の炭素数7の単糖(ヘプトース);スクロース、ラクトース、マルトース、トレハノース、ツラノース、セロビオース等の二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース等の三糖類;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナオリゴ糖などのオリゴ糖類;デンプン、デキストリン、セルロース、ヘミセルロース、グルカン、ペントサン等の多糖類;等が挙げられる。糖液は、糖類以外の成分を含んでいてもよい。
本明細書において、「糖化酵素」とは、セルロースやでんぷん質を分解して糖を生成する反応を触媒する活性を有する酵素を指し、例えば、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルナラーゼ、α-グルコシターゼ、トランスグルコシターゼ、イソアミラーゼ、リケナーゼ、セロビオハイドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、β-グルコシダーゼ、セロビオースデヒドロゲナーゼ、キシラナーゼ、α-L-アラビノフラノシダーゼ、β-D-キシロシダーゼ、α-グルクロニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、フェルロイルエステラーゼ、β-マンナナーゼ、β-D-マンノシダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、キシログルカナーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、バイオマス膨潤酵素等などが含まれる。
本明細書において、「糖化酵素を生産する生物」とは、糖化酵素を生産する任意の生物を言い、例えば、トリコデルマ属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾパス属、イルペクス属、ファネロキーテ属、フミコーラ属等の糸状菌や担子菌(真菌類)、ストレプトマイセス属、サーモビフィダ属、セルロモナス属、バチルス属、クロストリジウム属等の放線菌やグラム陽性桿菌(細菌類)が挙げられる。本来糖化酵素を有していない生物、または生産しない生物であっても、遺伝子改変によって、糖化酵素を含むように、または生産するようになされていれば、糖化酵素を生産する生物に該当する。
本明細書において、「糖化酵素を有する生物」とは、糖化酵素を有する任意の生物を言い、例えば、トリコデルマ属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾパス属、イルペクス属、ファネロキーテ属、フミコーラ属等の糸状菌や担子菌(真菌類)、ストレプトマイセス属、サーモビフィダ属、セルロモナス属、バチルス属、クロストリジウム属等の放線菌やグラム陽性桿菌(細菌類)が挙げられる。本来糖化酵素を有していない生物であっても、人工的に、糖化酵素を含むような操作(導入等)がなされていれば、仮に糖化酵素を生産するものでなくても、糖化酵素を有する生物に該当する。
本明細書において、「少なくとも一部または全部が...同一槽において行われる」とは、ある工程、反応、処理の少なくとも一部分または全体が、他の工程、反応、処理の少なくとも一部分または全体と同一の系、容器、または槽において行われることをいう。
本明細書において、「連続して行われる」とは、別個の処理が時間的および/または空間的に途切れずに行われることをいい、別個の処理が同時に行われることも含む。例えば「A工程とB工程とが連続して行われる」とは、A工程が終わった後に、すぐにB工程が同一空間に行われる場合のほか、同一空間において、A工程とB工程とが並列的に行われることも含む。
本明細書において、「外的に追加されない」とは、実質的に閉鎖系の外部から、系内部に対して、任意の成分、分子、または物質などが加えられないことをいう。
本明細書において、「生物の活性が抑制される条件」、または「生物の少なくとも一部の活性が抑制される条件」とは、生物が備える任意の活性が、当該生物の生育環境下と比較して、実質的に減少する条件をいい、例えば、嫌気条件下、および/または前記生物の生育に適さない温度が挙げられる。
本明細書において、「糖化酵素が繊維質原料に作用する条件」とは、糖化酵素が、繊維質原料を基質とした糖化反応を触媒できる条件をいい、繊維質原料を基質とした糖化反応が実質的に生じている条件を含む。
本明細書において、「糸状菌」とは、広義に解釈され、糸状の菌糸で生活する微生物で、一般的に「カビ」と呼ばれている生物全体をさす。糸状菌には、トリコデルマ属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾパス属などが含まれる。
本明細書において、「放線菌」とは、広義に解釈され、カビのように分岐した糸状の細胞や菌糸を生じる原核微生物(例えば、細菌)をいう。放線菌には、ストレプトマイセス属、サーモビフィダ属、セルロモナス属などが包含される。
本明細書において、「繊維質原料が糖化されるのに十分な量の糖化酵素を生産するような条件」とは、糖化酵素が繊維質原料を基質として糖化反応を行う場合に、繊維質原料が実質的に糖化され得るだけの量および/または質の糖化酵素が生物から生産される条件をいい、例えば、糖化酵素を生産する生物が生存または増殖できる温度や、糖化酵素を生産できる温度または時間などを含む。「繊維質原料が糖化される」とは、繊維質原料の少なくとも一部が実質的に糖化されることをいう。
本明細書において、「培養する工程から糖化する工程への切り替え」とは、糖化酵素を生産する生物の培養が実質的に中断または中止され、当該生物から生産された糖化酵素を用いた繊維質原料の糖化反応が実質的に開始されることをいう。
本明細書において、糖化酵素を生産する生物の「再利用」とは、ある系において生存または存在していた、糖化酵素を生産する生物を回収し、他の系において利用することをいう。
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。したがって、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができる。
本開示の一局面において、繊維質原料から糖液を製造する方法であって、糖化酵素を生産する生物を培養する工程と、該生物から生産された糖化酵素を用いて該繊維質原料を糖化する工程であって、少なくとも一部または全部が該培養する工程と同一槽において行われる、糖化する工程とを含み、必要に応じて、該培養する工程と該糖化する工程とが連続して行われることを特徴とする、方法が提供される。
本開示の他の局面において、繊維質原料から糖液を製造する方法であって、該繊維質原料を提供する工程と、糖化酵素を生産するか、または有する生物を、該繊維質原料に加える工程と、該生物と該繊維質原料との混合物を、該糖化酵素が該繊維質原料に作用する条件に配置する工程とを含む、方法が提供される。
グルコースなどの糖は、種々の工業原料の発酵生産原料として利用されている。また昨今の地球環境問題や資源の有効活用の観点から、セルロース含有バイオマス資源などの非可食資源からの効率的な糖液製造プロセスの構築が求められている。一方で、このような非可食資源は広く・薄く分布している、高含水率でかさ高く扱いにくい、収集や運搬に多額の費用がかかる、多様性に富むため個々に対応する糖化酵素の生産・供給が困難、といった課題が一因となり、十分に利活用されていない。
本開示の一実施形態において、本開示の方法は、糖化酵素の生産と、その酵素を用いた繊維質原料からの糖液製造工程とを同一槽内で行う簡素な糖液製造プロセスを提供する。一実施形態において、繊維質原料からの糖液製造工程を、微生物代謝が不活化する条件で行うことにより、糖化酵素を生産する微生物による糖消費が回避され、糖液の回収率を向上させることができる。また糖化酵素の生産と糖液製造との条件変更のタイミングなどを最適化することで、原料中の糖質の効率的な糖回収が可能となる。また、条件変更の方法を工夫することで、糖液製造工程における原料その他の添加工程を省くことができ、その場合には微生物汚染等のリスク低減効果や設備の簡素化が期待される。
<1>繊維質原料
本開示の方法に用いる繊維質原料としては、例えば主にセルロースやヘミセルロースを含有する原料を用いることができる。セルロース系原料としては、植物バイオマスが挙げられる。植物バイオマスとしては、木質系バイオマスや草本系バイオマスが挙げられる。木質系バイオマスの具体例としては、廃木材、間伐材、林地残材、建築廃材、製材廃材などを挙げることができる。また、草本系バイオマスの具体例としては、稲わら、麦わら、もみ殻、サトウキビバガス、オイルパーム空果房、コーンストーバ、コーンコブ、スイッチグラス、エリアンサス、ネピアグラス、青刈りトウモロコシ、牧草、葦、タケなどを挙げることができる。また、セルロース系原料としては、微結晶セルロース(アビセル)、ろ紙、古紙、パルプも挙げられる。一実施形態において、繊維質原料としては、1種の原料を用いてもよく、2種またはそれ以上の原料を組み合わせて用いてもよい。
植物バイオマス等の繊維質原料は、そのまま、あるいは適宜、前処理に供してから、糖化処理に供してよい。前処理としては、酸処理、アルカリ処理、水熱処理、亜臨界水処理、微粉砕処理、蒸煮処理、微生物処理などが挙げられる。これらの前処理は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。例えば、植物バイオマスは、約5mm以下に粉砕して、水熱分解処理に供してもよい。
繊維質原料は、一般に、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の成分で構成されるが、繊維質原料の水熱分解処理によって、リグニン成分及びヘミセルロース成分は繊維質原料から熱水中に移行し、セルロース成分は固形分として残る。
水熱分解処理の反応温度(加圧熱水の温度)は、例えば、約175~約240℃、好ましくは約200~約230℃で行うことができる。繊維質原料の構成成分のうち、ヘミセルロース成分は約140℃以上で、セルロースは約230℃以上で、リグニン成分は約140℃以上で溶解する。よって、上記範囲の温度で水熱分解処理を行うことにより、セルロース成分と他の成分とを十分に分離することができる。その後、必要に応じて熱水と固形分とを分離し、糖液製造のための原料として用いることができる。
アルカリ処理を行う場合には、繊維質原料の破砕・粉砕物と、例えば水酸化カルシウムと水を主成分とする混合物とを、室温または加熱状態で反応することにより、希アルカリ処理効果を発現させ、必要に応じてその後二酸化炭素を通気し、また加圧することによって中和することができる(特許第5633839号)。また一実施形態において、家畜糞燃焼灰を水の存在下で繊維質原料と混合し、反応させることによってもアルカリ処理を行うことができる(特開2021-170981)。
<2>糖化酵素
本開示の「糖化酵素」とは、セルロースやでんぷん質を分解して糖を生成する反応を触媒する活性を有する酵素をいう。糖化酵素としては、例えば、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルナラーゼ、α-グルコシターゼ、トランスグルコシターゼ、イソアミラーゼ、リケナーゼ、セロビオハイドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、β-グルコシダーゼ、セロビオースデヒドロゲナーゼ、キシラナーゼ、α-L-アラビノフラノシダーゼ、β-D-キシロシダーゼ、α-グルクロニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、フェルロイルエステラーゼ、β-マンナナーゼ、β-D-マンノシダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、キシログルカナーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、バイオマス膨潤酵素等が挙げられる。糖化酵素としては、1種の酵素を用いてもよく、2種またはそれ以上の酵素を組み合わせて用いてもよい。糖化酵素としては、糖化対象の繊維質原料に含有される多糖の種類(セルロースやヘミセルロースなど)に応じて、適当なものを選択して利用することができる。
一実施形態において、糖化酵素は、糖化酵素を生産する生物や当該生物由来の細胞を培養することによって得ることができる。例えば糖化酵素は、微生物を培養し、または動物や植物由来の細胞を培養することによって得ることができる。
一実施形態において、糖化酵素を生産する微生物は、本来的に糖化酵素を産生するものであってもよく、糖化酵素を産生するように改変されたものであってもよい。糖化酵素を生産する微生物としては、トリコデルマ属(Trichoderma reeseiなど)、ペニシリウム属(Penicillium sp. IT-9株(Pb_IT_9)(特許微生物寄託センター(NPMD)、2022年5月20日受領、NITE AP-03649)など)、アクレモニウム属(Acremonium cellulolyticusなど)等の糸状菌、ストレプトマイセス属(Streptomyces sp. K5株(K5 strain(Spores))(特許微生物寄託センター(NPMD)、2022年5月20日受領、NITE AP-03650)、Streptomyces mexicanus P22A1、Streptomyces thermoviolaceus H33など)、サーモビフィダ属(Thermobifida cellulosilytica S3B10など)等の放線菌、Clostridium thermocellum等の細菌が挙げられる。Trichoderma reeseiとしては、例えば、Trichoderma reesei QM9414(ATCC26921)、Trichoderma reesei RutC-30 (ATCC56765)、Trichoderma reesei PC-3-7 (ATCC66589)、Trichoderma reesei M2-1等が挙げられる。繊維質原料を用いる場合には、セルラーゼ生産能力に優れるトリコデルマ属を用いることが好ましく、グルコース抑制解除変異株であればさらに好ましい。グルコース抑制解除変異株としては、Trichoderma reesei M2-1株や、Trichoderma reesei RutC-30株を挙げることができ、グルコース抑制の部分的な解除株としてはTrichoderma reesei PC-3-7株を挙げることができる。その他の糸状菌としては、例えばPenicillium citrinum ATCC9849、Penicillium funiculosum ATCC11797、Penicillium oxalicum GZ-2、Aspergillus oryzae ATCC14895、Aspergillus nidulans ATCC62041、Acremonium cellulolyticus C1、Rhizopus oryzae ATCC20344等が、放線菌としては、例えばStreptomyces lividans 1326、Streptomyces albus ATCC3005、Thermobifida fusca ATCC27730、Cellulomonus fimi ATCC484等が、また細菌としては、例えばClostridium thermocellum ATCC27405、Bacillus licheniformis ATCC14580等が挙げられる。
理論に縛られるものではないが、グルコース抑制解除変異株を用いることで、グルコースの存在下でも糖化酵素を生産することができる。これにより、グルコース抑制解除変異株を用いた前培養液は菌体に加えて少量の糖化酵素を含むこととなり、この前培養液を本培養の菌液として植菌することで、当該糖化酵素が、いわばブースターのような役割を果たし、繊維質原料からの糖の遊離を早め、結果として、生物(例えば微生物)の増殖が早められ、糖化酵素を生産するための培養時間を短縮することができる。
また、糖化酵素を生産する微生物は、例えば、糖化酵素をコードする遺伝子を宿主微生物に発現可能に導入することにより取得できる。宿主微生物としては、Escherichia属細菌等の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する細菌やCorynebacterium属細菌等のコリネ型細菌が挙げられる。好ましい宿主微生物としては、Escherichia coliやCorynebacterium glutamicumが挙げられる。遺伝子の導入は、例えば、同遺伝子を搭載したベクターを微生物に導入することや、遺伝子を微生物の染色体上に導入することにより達成できる。各種糖化酵素のアミノ酸配列やそれらをコードする遺伝子の塩基配列は、例えば、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等の公用データベースから取得できる。一実施形態において、糖化酵素は、糖化酵素をコードする遺伝子を無細胞タンパク質合成系で発現させることによっても製造できる。
一実施形態において、生物や微生物による糖化酵素の生産は、生物や微生物を、糖化酵素を生産する条件に配置することによって行うことができる。糖化酵素を生産する生物や微生物の培養条件は、微生物などの生物が生育でき、繊維質原料が糖化されるのに十分な量の糖化酵素が生産される限り、特に制限されない。一実施形態において、糖化酵素を生産する微生物は、例えば、糸状菌や放線菌等の微生物を培養する通常の条件で培養することができる。具体的な培養条件については、例えば、Trichoderma reesei等の、糖化酵素を生産する各種微生物の従来周知の培養条件を参照することができる。一実施形態において、微生物などの生物の培養は、繊維質原料が糖化されるのに十分な量の糖化酵素が生産される限り、少なくとも約6時間以上、約9時間以上、約12時間以上、約18時間以上、または約24時間以上にわたって行われることができる。
一実施形態において、本開示の方法において糖化酵素を生産する生物(例えば微生物)を培養するための培地は、微生物などの生物が生育でき、繊維質原料が糖化されるのに十分な量の糖化酵素が生産される限り、特に制限されない。一実施形態において、本開示の方法において用いる培地は、あらかじめ糖化酵素を含むこともできる。この場合、培地にあらかじめ含まれる糖化酵素は、当該培地において培養される生物(例えば微生物)が生産する糖化酵素と同じであっても、異なっていてもよい。理論に縛られるものではないが、生物(例えば微生物)を培養する際に培地に糖化酵素を含ませることで、当該糖化酵素が、いわばブースターのような役割を果たし、繊維質原料からの糖の遊離を早め、結果として、生物(例えば微生物)の増殖が早められ、糖化酵素を生産するための培養時間を短縮することができる。
生産された糖化酵素は、例えば、培地等に含まれたまま、後続の繊維質原料の糖化工程において用いることができる。一実施形態において、本開示の方法では糖化酵素を生産する生物の培養と、その生物から生産された糖化酵素を用いた繊維質原料の糖化工程の少なくとも一部または全部を同一槽において行い、培養する工程と糖化する工程とを連続して行うことができるため、糖化酵素を濃縮、希釈、乾燥、分画、精製、製剤化等の処理に供することなく糖化反応に用いることができる。
一実施形態において、糖化酵素を生産する生物の培養から、繊維質原料の糖化反応への切り替えは、生物や微生物の種類、糖化酵素の種類、繊維質原料の種類や量、反応温度等の諸条件に応じて、適宜設定できる。一実施形態において、糖化反応への切り替えは、培養液中の糖濃度、糖化酵素の酵素活性、生物量、ガス濃度、生物の代謝量、または培養液のpH、またはこれらの任意の組み合わせに基づき行うことができ、このような切り替え条件は予備実験に基づき、適宜設定することもできる。
<3>糖液製造
一実施形態において、上記のような繊維質原料および糖化酵素を用いて、糖液の製造を行うことができる。本開示の方法によって実現される糖液の製造は、糖化酵素を生産する微生物などの生物を培養することによって得た糖化酵素を用いて、少なくとも一部または全部が当該培養と同一の槽において、培養と糖化が連続して行うことができる。一実施形態において、糖化反応は、静置で行ってもよく、撹拌や振盪しながら行ってもよい。一実施形態において、酵素を用いた糖化の工程は、糖化酵素を生産する微生物などの生物が、糖液の原料となる繊維質原料を資化してしまなわいように、糖化酵素を生産する微生物などの生物の少なくとも一部の活性が抑制される条件で行うことが好ましい。このような条件としては、例えば、糖化酵素を生産する微生物の生育に適さない温度条件や、嫌気条件などを挙げることができる。糖化酵素を生産する微生物の生育に適さない温度としては、例えば、約38℃以上、約39℃以上、約40℃以上、約42℃以上、約45℃以上、約47℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上などを挙げることができる。
糖化酵素を生産する生物の少なくとも一部の活性が抑制される条件や、生育に適さない温度は、生物や微生物の種類、糖化酵素の種類、繊維質原料の種類、所望の糖化率等の諸条件に応じて、適宜設定できる。すなわち、反応条件は、例えば、糖化酵素の反応条件などを参照して、または予備実験に基づき、適宜設定できる。
本開示の方法では糖化酵素を生産する生物の培養工程と、その生物から生産された糖化酵素を用いた繊維質原料の糖化工程の少なくとも一部または全部を同一槽において行うため、当該生物を他の系においても再利用できるように、本開示の一実施形態において、糖化酵素を生産する生物から得られた酵素を用いた糖化の工程は、生物が死滅しない条件で行うのが好ましい。
したがって、本開示の一局面において、このような場合には、繊維質原料からの糖液の製造において、糖化酵素を生産する生物を再利用する方法であって、糖化酵素を生産する生物から得られた酵素を用いた糖化する工程による残渣を回収する工程と、該残渣中の生物を、糖化酵素を生産する生物として再利用する工程とを含むことを特徴とする、方法が提供される。糖化する工程が終わったあとに糖液を回収する際には、糖化酵素が培地中または残渣に付着した状態で共存している。したがって、本開示の一実施形態において、糖化酵素を生産する生物だけでなく、糖液中や残渣中に含まれている糖化酵素を回収し、再利用することもできる。
本開示の一実施形態において、本開示の方法では糖化酵素を生産する生物の培養と、その生物から生産された糖化酵素を用いた繊維質原料の糖化工程の少なくとも一部または全部を同一槽において行い、培養する工程と糖化する工程とを連続して行うことができるため、糖液の原料となる繊維質原料は外的に追加しないことが好ましい。このようにすることで、培養と糖化を、実質的に閉鎖環境において実現することができ、他の微生物のコンタミネーションなどの汚染を防ぐことができる。
本開示の方法によって製造される糖液に含まれる糖類は、特に限定はされず、いわゆる糖類一般であってもよい。本開示の方法によって製造される糖液に含まれる糖類としては、例えば、グリセルアルデヒド等の炭素数3の単糖(トリオース);エリトロース、トレオース、エリトルロース等の炭素数4の単糖(テトロース);、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、デオキシリボース、キシルロース、リブロース等の炭素数5の単糖(ペントース);アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、フコース、フクロース、ラムノース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等の炭素数6の単糖(ヘキソース);、セドヘプツロース等の炭素数7の単糖(ヘプトース);スクロース、ラクトース、マルトース、トレハノース、ツラノース、セロビオース等の二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース等の三糖類;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナオリゴ糖などのオリゴ糖類;デンプン、デキストリン、セルロース、ヘミセルロース、グルカン、ペントサン等の多糖類;等が挙げられる。本開示の一実施形態において、本開示の糖液は、上記の糖類1種類を単独で含有していてもよいし、2種類以上を含有していてもよい。
本開示の一局面において、本開示の方法によって製造された糖液が提供される。一実施形態において、本開示の方法によって製造される糖液は、上述した糖類を含有する液であれば特に制限はないが、繊維質原料由来の固形分などについては、濾過や吸着等を用いて除去することが好ましい。また、本開示の方法によって製造される糖液は、使用する目的に応じて水で希釈して糖濃度を下げて用いたり、糖類の追添加や濃縮により糖濃度を高めて用いることができる。
(実施例1:糸状菌Trichoderma reeseiを用いた糖液製造)
<原料の調製>
1L容メディウム瓶に、乾燥稲わら粉末(品種:コシヒカリ)100g、水酸化カルシウム15g及び純水900mLを入れてよく混合した後、オートクレーブ装置を用いて120℃で1時間加熱処理を行った(稲わらのアルカリ処理)。冷却後、懸濁液のpHが3程度になるまで撹拌しながらHClを添加、4℃で一晩静置した後、遠心分離により固形分を回収した(中和工程)。固形分に純水を加え懸濁した後、30分程度撹拌し、遠心分離により固形分を回収した。本操作を、懸濁液pHが7程度になるまで繰り返し行った(洗浄工程)。回収した固形分に、終濃度10%(w/w)になるように純水を添加・懸濁し、前処理稲わら原料スラリーを得た。
100mL容三角フラスコに、上記原料スラリー15g(乾燥重量1.5g相当)、栄養素液3g、0.5M酒石酸緩衝液(pH 4.0) 3g、及び純水9gを入れ、オートクレーブにより滅菌処理(121℃、20分)を行い、「糖化用原料スラリー」を得た。栄養素液の組成は、14g/L(NHSO、20g/L KHPO、3g/L CaCl・2HO、3g/L MgSO・7HO、10g/L Polypepton(Wako)、5g/L Yeast Extract(Difco)、10g/L Tween 80、0.6mg/L HBO、2.6mg/L (NHMo24・4HO、10mg/L FeCl・6HO、4mg/L CuSO・5HO、0.8mg/L MnCl・4HO、20mg/L ZnClである。
<前培養>
500mL容三角フラスコに、前培養用培地(20g/L Glucose、1.4g/L (NHSO、2.0g/L KHPO、0.3g/L CaCl・2HO、0.3g/L MgSO・7HO、1.0g/L Polypepton(Wako)、0.5g/L Yeast Extract(Difco)、1.0g/L Tween 80、0.06mg/L HBO、0.26mg/L (NHMo24・4HO、1.0mg/L FeCl・6HO、0.4mg/L CuSO・5HO、0.08mg/L MnCl・4HO、2.0mg/L ZnCl)100mLを入れ、オートクレーブにより滅菌処理(121℃、20分)を行った。冷却後、前記培地に対し、糸状菌Trichoderma reesei M2-1株の分生子(1×10)を接種し、ロータリーシェーカー(TITEC G/BR-200)にて28℃、180rpmで72時間培養した。この培養液を前培養液とした。
<糖液製造工程>
上述の糖化用原料スラリーに対し、1.5gの前培養液を接種し、ロータリーシェーカー(TITEC BR-23UM)にて、28℃、150rpmで回転振盪した(酵素生産フェーズ)。28℃での培養時間、即ち酵素生産フェーズの期間は、0時間、9時間、24時間、48時間、及び120時間に設定した(図1のグラフ中のそれぞれB1、B2、B3、B4、及びB5)。各設定時間経過後、50℃に設定したロータリーシェーカー(TITEC BR-23UM)にフラスコを移し、150rpmで回転振盪した(糖化フェーズ)。全体の培養期間(酵素生産フェーズ+糖化フェーズ)が120時間に達するまで回転振盪を行った。1日毎に0.2gのスラリーをサンプリングし、上清に含まれるグルコース及びセロオリゴ糖をM. Ike, et al., Journal of Applied Glycoscience 60, 177-185 (2013)の手法に従い測定した。各条件3フラスコずつ実施し、平均値を算出し、図1に示した。
(実施例2:放線菌Streptomyces sp.を用いた糖液製造)
乾燥稲わら(品種:コシヒカリ)乾燥重量2kgに対し200gの消石灰を添加し、水道水を加え全体の含水率を60%(w/w)に調製後、植繊機処理を行った。解繊試料をオートクレーブバックに入れ、95℃1時間、オートクレーブ装置を用いて加熱処理を行った。冷却後、湿重量に対し20倍量のHCl(1N)を加えて1時間振盪し、カルシウムを溶解した。重炭酸ナトリウム(粉末)を加えて中和後、手動圧搾機を用いて脱水した。次に、HClの代わりに同量の水道水を加えて1時間振盪し、洗浄操作を行った。脱水後、同様の操作を3回繰り返しHCl洗浄前処理稲わら(HW-PRS)とした。
300mL容三角フラスコ(4本)に各々HW-PRS 2.5g(乾燥重量(DM)相当)を含む緩衝液(NaNO24mM、KCl 79mM、NaHPO 11mM、MgSO-7HO 0.6mM、FeSO-5HO 0.16mM、MES(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid) 20mM、pH=6.0)(全50g)を入れ、120℃、15分オートクレーブ処理を行った。一方、LB(Luria-Broth)培地50mlにStreptomyces sp. K5株(K5 strain(Spores))(特許微生物寄託センター(NPMD)、2022年5月20日受領、NITE AP-03650)菌株胞子スラリー0.01mLを添加し、200rpm、50℃で24時間振盪して種菌を調製した。種菌0.5mLを上記HW-PRS 2.5gを含む緩衝液に植菌し、上清1mLをサンプリング後(図2中のd0)、通気性のシリコセン(信越ポリマー、型番C-30)を蓋として好気条件下、200rpm、50℃で24時間振盪培養を行った。上清1mLをサンプリング後(図2中のd1)、フラスコ2本の蓋をシリコセンから嫌気培養用シリコン栓に交換した。嫌気培養用シリコン栓には2本の通気管が挿入してあり、一方から窒素ガスを2分間通気し、他方の逆止弁から排気することによりフラスコ内部を窒素ガスでパージした。通気後、ピンチコックで管を閉鎖し、外気の流入を阻止することで嫌気状態を維持しつつ、同条件で振盪培養を継続した。残り2本のフラスコについてはそのままシリコセンを蓋として培養し、対照区とした。24時間後に上清1mLをサンプリングし(図2中のd2)、嫌気条件下のフラスコは上記の方法で窒素ガスパージを行い、更に24時間培養を継続後上清1mLをサンプリングした(図2中のd3)。培養上清に含まれる全キシラン(遊離TX)濃度、及びHW-PRS 2.5gに含まれる全キシラン(基質TX)はM. Ike, et al., Journal of Applied Glycoscience 60, 177-185 (2013)の手法に従い測定し、キシラン遊離率を以下の式により評価した:培養上清に含まれる全キシラン(遊離TX)濃度(mg/ml)×47.5(mL)/HW-PRS 2.5gに含まれる全キシラン重量(mg))。嫌気条件区(フラスコ2本)、及び好気条件区(フラスコ2本)の平均値を算出し、結果を図2に示した。
(実施例3:糸状菌Penicillium sp.を用いた糖液製造)
<原料の調製>
1L容メディウム瓶に、乾燥稲わら粉末(品種:コシヒカリ)100g、水酸化カルシウム15g及び純水900mLを入れてよく混合した後、オートクレーブ装置を用いて120℃で1時間加熱処理を行った(稲わらのアルカリ処理)。冷却後、懸濁液のpHが3程度になるまで撹拌しながらHClを添加、4℃で一晩静置した後、遠心分離により固形分を回収した(中和工程)。固形分に純水を加え懸濁した後、30分程度撹拌し、遠心分離により固形分を回収した。本操作を、懸濁液pHが7程度になるまで繰り返し行った(洗浄工程)。回収した固形分に、終濃度10%(w/w)になるように純水を添加・懸濁し、前処理稲わら原料スラリーを得た。
100mL容三角フラスコに、上記原料スラリー15g(乾燥重量1.5g相当)、栄養素液3g、0.5M酒石酸緩衝液(pH 4.0) 3g、及び純水9gを入れ、オートクレーブにより滅菌処理(121℃、20分)を行い、「糖化用原料スラリー」を得た。栄養素液の組成は、14g/L(NHSO、20g/L KHPO、3g/L CaCl・2HO、3g/L MgSO・7HO、10g/L Polypepton(Wako)、5g/L Yeast Extract(Difco)、10g/L Tween 80、0.6mg/L HBO、2.6mg/L (NHMo24・4HO、10mg/L FeCl・6HO、4mg/L CuSO・5HO、0.8mg/L MnCl・4HO、20mg/L ZnClである。
<前培養>
500mL容三角フラスコに、前培養用培地(20g/L Glucose、1.4g/L(NHSO、2.0g/L KHPO、0.3g/L CaCl・2HO、0.3g/L MgSO・7HO、1.0g/L Polypepton (Wako)、0.5g/L Yeast Extract(Difco)、1.0g/L Tween 80、0.06mg/L HBO、0.26mg/L (NHMo24・4HO、1.0mg/L FeCl・6HO、0.4mg/L CuSO・5HO、0.08mg/L MnCl・4HO、2.0mg/L ZnCl)100mLを入れ、オートクレーブにより滅菌処理(121℃、20分)を行った。冷却後、前記培地に対し、糸状菌Penicillium sp. IT―9株(Pb_IT_9)(特許微生物寄託センター(NPMD)、2022年5月20日受領、NITE AP-03649)の分生子(1×10)を接種し、ロータリーシェーカー(TITEC G/BR-200)にて28℃、180rpmで72時間培養した。この培養液を前培養液とした。
<糖液製造工程>
上述の糖化用原料スラリーに対し、1.5gの前培養液を接種し、ロータリーシェーカー(TITEC BR-23UM)にて、28℃、150rpmで回転振盪した(酵素生産フェーズ)。28℃での培養時間、即ち酵素生産フェーズの期間は、0時間、9時間、24時間、48時間及び120時間に設定した(図3のグラフ中のそれぞれP1、P2、P3、P4及びP5)。各設定時間経過後、50℃に設定したロータリーシェーカー(TITEC BR-23UM)にフラスコを移し、150rpmで回転振盪した(糖化フェーズ)。全体の培養期間(酵素生産フェーズ+糖化フェーズ)が120時間に達するまで回転振盪を行った。工程終了後、上清中に含まれるグルコース及びキシロース量をM. Ike, et al., Journal of Applied Glycoscience 60, 177-185 (2013)の手法に従って測定し、結果を図3に示した。
(実施例4:培養工程と糖化工程の切り替え例1)
実施例1の<糖液製造工程>と同様に、糖化用原料スラリーに対し、1.5gの前培養液を接種し、ロータリーシェーカー(TITEC BR-23UM)にて、28℃、150rpmで回転振盪を行い、糖化酵素の生産を行う。28℃での培養時間中のpHをモニタリングし、pH低下(例えば0.1程度の低下)が認められた時点で50℃に切り替え、得られた糖化酵素を用いた糖化工程に移行することにより、糖液を得ることができる。
28℃での培養期間中に菌株の生育が活発になってくると、糖を消費しpHが低下する。温度の切り替えの目安となるpHの低下の程度は、その他の培養の初期条件や用いる微生物などによって適宜設定することができ、あるいは予備実験によって糖収量が最大化する設定値を求めることもできる。
(実施例5:培養工程と糖化工程の切り替え例2)
実施例1の<糖液製造工程>において、ロータリーシェーカーに代えて、5L容ファーメンターで通気撹拌を行いつつ、28℃で培養し、糖化酵素の生産を行う。28℃での培養時間中の排出酸素濃度をモニタリングし、培養開始時の酸素濃度と比較して、一定割合低下した時点で50℃に切り替え、得られた糖化酵素を用いた糖化工程に移行することにより、糖液を得ることができる。
28℃での培養期間中に菌株の生育が活発になってくると、酸素を消費し、菌株の増加につれ、排出酸素濃度が低下する。その後、一定になり、菌体活動の低下に伴い、酸素濃度は増加する。したがって、あらかじめ酸素濃度の低下の程度と糖収量の関係を評価しておくことで、温度の切り替えのタイミングの指標とすることができる。
(実施例6:糖化酵素を生産する生物を再利用する方法)
実施例1の<糖液製造工程>において、全体の培養期間(酵素生産フェーズ+糖化フェーズ)が終了したあとの懸濁液の一部を回収する。この懸濁液中には糖化酵素を生産する生物や糖化酵素が含まれているため、前培養液の代わりに、この懸濁液を、新たに用意した糖化用原料スラリーに添加し、糖化工程を実施することで、糖液を得ることができる。
また、上記回収した懸濁液は、固形分残渣でも代替することができる。また上清(製造した糖液を含む)には糖化酵素も含まれるため、これを前培養液とともに添加することでも、糖液を得ることができる。
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本開示によれば、豊富な資源であるセルロース含有バイオマス資源などの非可食資源を食品分野や他の材料分野で利活用することができる。特にセルロース含有バイオマス資源を用いて小規模での糖液製造が可能となることから、農場単位などの小規模での糖液製造への活用が期待される。また本開示によれば、得られた糖液は、アルコール、有機酸、アミノ酸、核酸などの発酵原料として様々な用途に使用することができることから、非可食素材分野においても有用である。
一実施形態において、糖化酵素を生産する微生物は、本来的に糖化酵素を産生するものであってもよく、糖化酵素を産生するように改変されたものであってもよい。糖化酵素を生産する微生物としては、トリコデルマ属(Trichoderma reeseiなど)、ペニシリウム属(Penicillium sp. IT-9株(Pb_IT_9)(受託番号:NITE -03649)など)、アクレモニウム属(Acremonium cellulolyticusなど)等の糸状菌、ストレプトマイセス属(Streptomyces sp. K5株(K5 strain(Spores))(受託番号:NITE -03650)、Streptomyces mexicanus P22A1、Streptomyces thermoviolaceus H33など)、サーモビフィダ属(Thermobifida cellulosilytica S3B10など)等の放線菌、Clostridium thermocellum等の細菌が挙げられる。Trichoderma reeseiとしては、例えば、Trichoderma reesei QM9414(ATCC26921)、Trichoderma reesei RutC-30(ATCC56765)、Trichoderma reesei PC-3-7 (ATCC66589)、Trichoderma reesei M2-1等が挙げられる。繊維質原料を用いる場合には、セルラーゼ生産能力に優れるトリコデルマ属を用いることが好ましく、グルコース抑制解除変異株であればさらに好ましい。グルコース抑制解除変異株としては、Trichoderma reesei M2-1株や、Trichoderma reesei RutC-30株を挙げることができ、グルコース抑制の部分的な解除株としてはTrichoderma reesei PC-3-7株を挙げることができる。その他の糸状菌としては、例えばPenicillium citrinum ATCC9849、Penicillium funiculosum ATCC11797、Penicillium oxalicum GZ-2、Aspergillus oryzae ATCC14895、Aspergillus nidulans ATCC62041、Acremonium cellulolyticus C1、Rhizopus oryzae ATCC20344等が、放線菌としては、例えばStreptomyces lividans 1326、Streptomyces albus ATCC3005、Thermobifida fusca ATCC27730、Cellulomonus fimi ATCC484等が、また細菌としては、例えばClostridium thermocellum ATCC27405、Bacillus licheniformis ATCC14580等が挙げられる。
300mL容三角フラスコ(4本)に各々HW-PRS 2.5g(乾燥重量(DM)相当)を含む緩衝液(NaNO24mM、KCl 79mM、NaHPO 11mM、MgSO-7HO 0.6mM、FeSO-5HO 0.16mM、MES(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid) 20mM、pH=6.0)(全50g)を入れ、120℃、15分オートクレーブ処理を行った。一方、LB(Luria-Broth)培地50mlにStreptomyces sp. K5株(K5 strain(Spores))(受託番号:NITE -03650)菌株胞子スラリー0.01mLを添加し、200rpm、50℃で24時間振盪して種菌を調製した。種菌0.5mLを上記HW-PRS 2.5gを含む緩衝液に植菌し、上清1mLをサンプリング後(図2中のd0)、通気性のシリコセン(信越ポリマー、型番C-30)を蓋として好気条件下、200rpm、50℃で24時間振盪培養を行った。上清1mLをサンプリング後(図2中のd1)、フラスコ2本の蓋をシリコセンから嫌気培養用シリコン栓に交換した。嫌気培養用シリコン栓には2本の通気管が挿入してあり、一方から窒素ガスを2分間通気し、他方の逆止弁から排気することによりフラスコ内部を窒素ガスでパージした。通気後、ピンチコックで管を閉鎖し、外気の流入を阻止することで嫌気状態を維持しつつ、同条件で振盪培養を継続した。残り2本のフラスコについてはそのままシリコセンを蓋として培養し、対照区とした。24時間後に上清1mLをサンプリングし(図2中のd2)、嫌気条件下のフラスコは上記の方法で窒素ガスパージを行い、更に24時間培養を継続後上清1mLをサンプリングした(図2中のd3)。培養上清に含まれる全キシラン(遊離TX)濃度、及びHW-PRS 2.5gに含まれる全キシラン(基質TX)はM. Ike, et al., Journal of Applied Glycoscience 60, 177-185 (2013)の手法に従い測定し、キシラン遊離率を以下の式により評価した:培養上清に含まれる全キシラン(遊離TX)濃度(mg/ml)×47.5(mL)/HW-PRS 2.5gに含まれる全キシラン重量(mg))。嫌気条件区(フラスコ2本)、及び好気条件区(フラスコ2本)の平均値を算出し、結果を図2に示した。
<前培養>
500mL容三角フラスコに、前培養用培地(20g/L Glucose、1.4g/L(NHSO、2.0g/L KHPO、0.3g/L CaCl・2HO、0.3g/L MgSO・7HO、1.0g/L Polypepton (Wako)、0.5g/L Yeast Extract(Difco)、1.0g/L Tween 80、0.06mg/L HBO、0.26mg/L (NHMo24・4HO、1.0mg/L FeCl・6HO、0.4mg/L CuSO・5HO、0.08mg/L MnCl・4HO、2.0mg/L ZnCl)100mLを入れ、オートクレーブにより滅菌処理(121℃、20分)を行った。冷却後、前記培地に対し、糸状菌Penicillium sp. IT―9株(Pb_IT_9)(受託番号:NITE -03649)の分生子(1×10)を接種し、ロータリーシェーカー(TITEC G/BR-200)にて28℃、180rpmで72時間培養した。この培養液を前培養液とした。

Claims (27)

  1. 繊維質原料から糖液を製造する方法であって、
    糖化酵素を生産する生物を培養する工程と、
    該生物から生産された糖化酵素を用いて該繊維質原料を糖化する工程であって、少なくとも一部または全部が該培養する工程と同一槽において行われる、糖化する工程と
    を含み、必要に応じて、該培養する工程と該糖化する工程とが連続して行われることを特徴とする、方法。
  2. 前記糖化する工程は、前記生物の少なくとも一部の活性が抑制される条件で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記糖化する工程は、嫌気条件下、および/または前記生物の生育に適さない温度で行われる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記生物の生育に適さない温度が、約40℃以上である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記糖化する工程は、前記生物が死滅しない条件で行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記生物が、糸状菌または放線菌である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記糸状菌がトリコデルマ属およびペニシリウム属を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記放線菌がストレプトマイセス属を含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記繊維質原料が外的に追加されない、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記培養する工程は、前記生物が、前記繊維質原料が糖化されるのに十分な量の糖化酵素を生産するような条件で行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記培養する工程は、少なくとも約12時間以上行われる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 培養液中の糖濃度、前記糖化酵素の酵素活性、前記生物量、ガス濃度、前記生物の代謝量、または培養液のpH、またはこれらの任意の組み合わせに基づき、前記培養する工程から前記糖化する工程への切り替えが行われることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 繊維質原料から糖液を製造する方法であって、
    該繊維質原料を提供する工程と、
    糖化酵素を生産するか、または有する生物を、該繊維質原料に加える工程と、
    該生物と該繊維質原料との混合物を、該糖化酵素が該繊維質原料に作用する条件に配置する工程と
    を含む、方法。
  14. 前記糖化酵素が前記繊維質原料に作用する条件は、前記生物の少なくとも一部の活性が抑制される条件を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記生物を前記繊維質原料に加えたのち、前記生物が、前記糖化酵素を生産する条件に配置する工程をさらに含む、請求項13または14に記載の方法。
  16. 前記糖化酵素が前記繊維質原料に作用する条件は、嫌気条件、および/または前記生物の生育に適さない温度を含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記生物の生育に適さない温度が、約40℃以上である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記糖化酵素が前記繊維質原料に作用する条件は、前記生物が死滅しない条件を含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記生物が、糸状菌または放線菌である、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記糸状菌がトリコデルマ属およびペニシリウム属を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記放線菌がストレプトマイセス属を含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記繊維質原料が外的に追加されない、請求項13~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記生物が前記糖化酵素を生産する条件は、前記生物が、前記繊維質原料が糖化されるのに十分な量の糖化酵素を生産するような条件を含む、請求項15に記載の方法。
  24. 前記生物が前記糖化酵素を生産する条件は、少なくとも約12時間以上の培養を含む、請求項15に記載の方法。
  25. 培養液中の糖濃度、前記糖化酵素の酵素活性、前記生物量、ガス濃度、前記生物の代謝量、または培養液のpH、またはこれらの任意の組み合わせに基づき、前記生物が前記糖化酵素を生産する条件から、前記糖化酵素が該繊維質原料に作用する条件への切り替えが行われることを特徴とする、請求項15~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 請求項1~25のいずれか一項に記載の方法によって製造された糖液。
  27. 繊維質原料からの糖液の製造において、糖化酵素を生産する生物を再利用する方法であって、
    請求項1~12のいずれか一項に記載の糖化する工程による残渣を回収する工程と、
    該残渣中の生物を、糖化酵素を生産する生物として再利用する工程と
    を含むことを特徴とする、方法。
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