JP6565684B2 - 糖液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオマスから発酵原料などで使用可能な糖液を製造する方法に関する。
糖を原料とした化学品の発酵生産プロセスは、種々の工業原料生産に利用されている。この発酵原料となる糖として、現在、さとうきび、澱粉、テンサイなどの食用原料に由来するものが工業的に使用されている。しかし今後の世界人口の増加による食用原料価格の高騰、あるいは食用と競合するという倫理的な側面から、再生可能な非食用資源、すなわちセルロース含有バイオマスから効率的に糖液を製造するプロセス、あるいは得られた糖液を発酵原料として、効率的に工業原料に変換するプロセスの構築が今後の課題となっている。
セルロース含有バイオマスから糖液を製造する方法として、濃硫酸を使用してセルロースおよびヘミセルロースを酸で加水分解することより、糖液を製造する方法の他、セルロース含有バイオマスを希硫酸で加水分解した後、さらにセルラーゼなどの酵素を用いて糖化処理することより、糖液を製造する方法が知られている(非特許文献1)。また、セルロース含有バイオマスを240〜280℃の加圧熱水で加水分解した後、さらに糖化酵素を用いて糖化処理することにより、糖液を製造する方法(特許文献1)が開示されている。これらの中でも、近年、特にエネルギー使用量および環境負荷が少なく、かつ糖収量が多い糖化酵素を使用したバイオマスの加水分解方法が広く検討されている。しかしながら、糖化酵素を使用して糖液を製造する方法は、酵素費が高いため、糖液を製造するための費用が高くなる。
糖化酵素を用いて糖液を製造する方法での前述の技術課題を解決する方法として、加水分解に使用した糖化酵素を回収して再利用する方法が提案されている。例えば、スピンフィルターで連続して固液分離を行い、得られた糖液を限外ろ過膜に通じてろ過し、酵素を回収する方法(特許文献2)、酵素糖化の段階において界面活性剤を投入することで酵素吸着を抑制し、酵素の回収効率を向上させる方法(特許文献3)などが開示されている。また、回収した酵素を、次回以降の糖化反応の前に使用してバイオマスを加水分解することにより、糖化反応時の酵素回収率が向上し、酵素使用量を低減できる方法(特許文献4)などが開示されている。特許文献4では、実施例において回収酵素は糖化反応に用いる酵素と同一糸状菌由来の酵素であり、実施例ではトリコデルマが用いられている。
特許3041380号公報 特開2006−87319号公報 特開昭63−87994号公報 国際公開第2011/115040号
上述の通り、セルロース含有バイオマスの加水分解に用いた酵素を回収する方法が開発されているが、糖化酵素の使用量を削減するという観点においては、その効果は依然不十分であり、セルロース含有バイオマスから糖液を製造する当たり、糖化酵素をより有効に利用しつつ糖液を製造する方法が求められている。
そこで、本発明は、糖化酵素の使用量の削減効果をさらに向上させることができる糖液の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の[1]〜[8]の構成を包含する。
[1] セルロース含有バイオマスからの糖液の製造方法であって、
工程(1):セルロース含有バイオマスを、アクレモニウム属またはアスペルギルス属微生物由来のエンドキシラナーゼを用いて加水分解し、エンドキシラナーゼ加水分解物を得る工程、
工程(2):前記エンドキシラナーゼ加水分解物を、エンドキシラナーゼ加水分解固形物とエンドキシラナーゼ加水分解液体とに固液分離する工程、
工程(3):前記エンドキシラナーゼ加水分解固形物を糸状菌由来セルラーゼを用いて加水分解し、セルラーゼ加水分解物を得る工程、および
工程(4):前記セルラーゼ加水分解物を限外ろ過膜に通じてろ過し、透過液側から糖液を回収し、非透過液側から酵素成分を回収する工程、
を含む、糖液の製造方法。
[2] 前記セルロース含有バイオマスが、アルカリ処理、水熱処理、および希硫酸処理よりなる群から選択される1以上の方法で前処理されたものである、(1)に記載の糖液の製造方法。
[3] 前記エンドキシラナーゼの酵素活性が、80U/mg−タンパク以上である、(1)または(2)に記載の糖液の製造方法。
[4] 前記エンドキシラナーゼ加水分解物の固液分離が、以下の関係式を満たす、(1)から(3)のいずれか一つに記載の糖液の製造方法。
エンドキシラナーゼ加水分解固形物の重量<エンドキシラナーゼ加水分解液体の重量
[5] 前記エンドキシラナーゼ加水分解液体を限外ろ過膜に通じてろ過し、透過液側からキシロオリゴ糖液を回収し、非透過液側からエンドキシラナーゼを回収する工程をさらに含む、(1)から(4)のいずれか一つに記載の糖液の製造方法。
[6] 前記糸状菌由来セルラーゼが、トリコデルマ属微生物由来である、(1)から(5)のいずれか一つに記載の糖液の製造方法。
[7] 工程(4)が、前記セルラーゼ加水分解物を固液分離して得られるセルラーゼ加水分解液体を限外ろ過膜に通じてろ過し、透過液側から糖液を回収し、非透過液側から酵素成分を回収する工程である、請求項1から6のいずれか一つに記載の糖液の製造方法。
[8] 前記酵素成分を、工程(3)の糸状菌由来セルラーゼとして使用する、(1)から(7)のいずれか一つに記載の糖液の製造方法。
本発明では、セルロース含有バイオマスを糖化反応させる前に、予めセルロース含有バイオマスをエンドキシラナーゼで加水分解して得られたエンドキシラナーゼ加水分解物を固液分離して、エンドキシラナーゼ加水分解固形物を得ている。このエンドキシラナーゼ加水分解固形物を糸状菌由来セルラーゼで加水分解して得られた非透過液を回収して再利用することにより、糖液の製造過程において、糖化酵素の使用量の削減効果をさらに向上させることができる。これにより、糖液の製造コストを低く抑えることができる。
本発明による糖液の製造方法を示す図である。 本発明による糖液の製造方法の他の一例を示す図である。
本発明による糖液の製造方法を図1に示す。本発明について各工程ごとに詳細に説明する。なお、本発明は、以下に限定されるものではない。
[工程(1)]
工程(1)は、セルロース含有バイオマスをアクレモニウム属またはアスペルギルス属微生物由来のエンドキシラナーゼを用いて加水分解し、エンドキシラナーゼ加水分解物を得る工程である。
工程(1)で用いられるセルロース含有バイオマスとは、少なくともセルロースを含む生物資源のことを指す。セルロース含有バイオマスの具体例としては、バガス、コーンコブ、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、コーンストーバー、稲わら、麦わらなどの草本系バイオマス、あるいは樹木、廃建材などの木質系バイオマス、木質系バイオマスから得られるパルプ、さらに藻類、海草など水生環境由来のバイオマス、コーン外皮、小麦外皮、大豆外皮、籾殻などの穀物外皮バイオマスなどが挙げられるが、穀物皮類バイオマスや稲わらに関して最も効果的であり、好ましく利用される。
セルロース含有バイオマスの加水分解とは、セルロース、あるいはヘミセルロースを低分子量化せしめ、単糖あるいはオリゴ糖を生成することを目的とするものである。本工程でのエンドキシラナーゼによるセルロース含有バイオマスの加水分解では、ヘミセルロース成分であるキシランが加水分解される。本発明において、「エンドキシラナーゼ」とは、β−1,4結合したキシロース主鎖に作用することでヘミセルロースを加水分解する酵素であり、EC番号3.3.1.8に分類される酵素である。
セルロース含有バイオマスをエンドキシラナーゼにより加水分解するに先立ち、加水分解効率を向上させるために、セルロース含有バイオマスを前処理することが好ましい。これにより、糸状菌由来セルラーゼによるセルロース含有バイオマスの加水分解効率を向上させることができる。また、工程(1)の準備にあっては、予め前処理が行われたバイオマス前処理物を購入して用いてもよく、本発明にはかかる態様も包含される。
セルロース含有バイオマスの前処理方法としては、特に制限はなく、具体的には、酸処理、硫酸処理、希硫酸処理、アルカリ処理、苛性ソーダ処理、アンモニア処理、水熱処理、亜臨界水処理、微粉砕処理、蒸煮処理などが挙げられるが、本発明においては、後述の工程(4)で種々の酵素を効率よく回収するという観点から、水熱処理、希硫酸処理、アルカリ処理が好ましい。なお、水熱処理とは、バイオマスの固形物濃度が0.1〜50重量%となるよう水を添加後、100〜400℃の温度で、1秒〜60分処理する。こうした温度条件において処理することにより、セルロースまたはヘミセルロースの加水分解が起こる。特に、温度は、100℃〜250℃の範囲であることが好ましく、処理時間は、5〜30分であることが好ましい。処理回数は、特に限定されず、該処理を1回以上行えばよい。特に、該処理を2回以上行う場合、1回目と2回目以降の処理を異なる条件で実施してもよい。希硫酸処理とは、水熱処理において硫酸を添加する処理である。硫酸の添加量は、セルロース含有バイオマス1g重量あたり硫酸を0.1〜150mg添加することが好ましい。アルカリ処理とは、常温あるいは水熱処理において、セルロース含有バイオマス1g重量あたりアルカリを0.1〜150mg添加する処理である。使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどを使用することができる。また、前処理後に固液分離により、酸およびアルカリを除去してもよい。
本工程では、アクレモニウム属(Acremonium)またはアスペルギルス属(Aspergillus)微生物由来エンドキシラナーゼを加水分解に使用する。エンドキシラナーゼとしては、エンドキシラナーゼを生産させるように一定期間培養した培養液からカラムなどにより精製した酵素でもよいし、エンドキシラナーゼのアミノ酸配列をコードするDNAを調製し、これを発現ベクターに連結し、発現ベクターを宿主に導入し、異種あるいは同種タンパク質として生産し、単離および精製することで得ることができる。アミノ酸配列をコードするコドン使用頻度は、アクレモニウムまたはアスペルギルスと同じものでもあってもよいし、宿主のコドン使用頻度に合わせて変更してもよい。
アクレモニウム属としては、特に限定されないが、Acremonium alternatum、Acremonium curvulum、Acremonium persicinum、Acremonium recifei、Acremonium strictum、Acremonium cellulolyticusなどがある。
アスペルギルス属としては、特に限定されないが、Aspergillus aculeatus、Aspergillus clavatus、Aspergillus niger、Aspergillus oryzaeが挙げられる。
アクレモニウム属のエンドキシラナーゼとしては、エンドキシラナーゼが含有されていれば特に制限されないが、Meiji Seika ファルマ株式会社から販売されている“アクレモニウム セルラーゼ”から、エンドキシラナーゼを精製した精製酵素が挙げられる。また、アスペルギルス属のエンドキシラナーゼとしては、エンドキシラナーゼが含有されていれば特に制限されないが、エイチビィアイ株式会社から販売されている“セルロシンHC100”などが挙げられる。
エンドキシラナーゼの活性としては、バーチウッドキシラン(Birchwood xylan)を基質として、1分間に1μmolのキシロースを生じさせる酵素量を1Uとする。活性測定において、ジニトロサリチル酸法(DNS法)を使用し、540nmの吸光度を測定することで、反応後の反応液に含まれる還元糖量を測定し、予め既知のキシロースを用いて測定しておいた検量線より還元糖量を求めることができる。活性測定の条件は、バーチウッドキシラン1%、50℃、pH5、10分間の反応より求める。
エンドキシラナーゼによる加水分解の反応条件としては、エンドキシラナーゼの好ましい反応条件に準じて行えば限定されないが、エンドキシラナーゼの活性としては、活性が低いとエンドキシラナーゼ添加量が多くなり、経済性が悪くなるため、キシラナーゼ活性の高いものを用いるのが好ましい。具体的には、酵素1mg重量あたり80U以上のエンドキシラナーゼが好ましく、さらに好ましくは、酵素1mg重量あたり80〜10,0000Uのエンドキシラナーゼである。
エンドキシラナーゼの添加量としては、特に制限はないが、好ましくはバイオマス1g重量あたりエンドキシラナーゼを0.05mg以上添加することであり、さらに好ましくは0.1mg以上添加することである。エンドキシラナーゼを添加して加水分解する反応時間としては特に制限はないが、1〜48時間が好ましく、さらに好ましくは4〜24時間である。アクレモニウム属またはアスペルギルス属微生物由来のエンドキシラナーゼを使用する際の、一般的な反応温度は15〜100℃の範囲が好ましく、40〜60℃がより好ましく、50℃が更に好ましい。加水分解のpHは、pH3〜9の範囲が好ましく、pH4〜5.5がより好ましく、pH5がさらに好ましい。なお、pH調整には、酸あるいはアルカリを所望のpHとなるように添加し調整することができ、また、適宜緩衝液を使用してもよい。その他、セルロース含有バイオマスと糖化酵素の接触を促進させるため、また、加水分解物の糖濃度を均一にするため、加水分解物は攪拌混合することが好ましく、セルロースの固形分濃度が好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%の範囲となるように加水する。
[工程(2)]
工程(2)は、エンドキシラナーゼ加水分解物を、エンドキシラナーゼ加水分解固形物とエンドキシラナーゼ加水分解液体とに固液分離する工程である。
固液分離の方法は、特に限定されないが、スクリューデカンタなどの遠心分離、フィルタープレスなどの膜分離、ベルトプレス、ベルトフィルター、自然沈降による分離、またはメッシュスクリーン、不織布、およびろ紙などのろ過法などにより固液分離を行うことができる。
固液分離で分離される液体、固体の量は特に制限はないが、後述する工程(4)における非透過液側から酵素成分の回収量を向上させる効果が得られ、また、エンドキシラナーゼの回収および後述するキシロオリゴ糖回収を行う上では、エンドキシラナーゼ加水分解物の固液分離の操作条件は、以下の関係式を満たすように条件を設定するのが好ましい。
エンドキシラナーゼ加水分解固形物の重量<エンドキシラナーゼ加水分解液体の重量
エンドキシラナーゼ加水分解液体中には、エンドキシラナーゼの作用によりセルロース含有バイオマス中のキシランが加水分解した結果、キシロオリゴ糖が生成されている。一方、セルロースは、キシラナーゼによる加水分解を受けないため、ほとんどが未分解のままエンドキシラナーゼ加水分解固形物中に存在する。
エンドキシラナーゼ加水分解液体は、限外ろ過膜に通してろ過してもよい。エンドキシラナーゼ加水分解液体を限外ろ過膜に通し、限外ろ過膜の非透過液側にエンドキシラナーゼを回収し、限外ろ過膜の透過液側にキシロオリゴ糖を回収することができる。その際、エンドキシラナーゼ加水分解固形物を水や塩水で洗浄することで酵素を回収した洗浄液を得て、その洗浄液をエンドキシラナーゼ加水分解液体に混合してもよい。また、限外ろ過膜の非透過側に回収したエンドキシラナーゼは、工程(1)のセルロース含有バイオマスの加水分解に再利用することができる。キシロオリゴ糖は、整腸作用を有することから、特定保健用食品として認可されており価値の高いオリゴ糖である。
本工程で使用される限外ろ過膜およびそのろ過方法は、後述の工程(4)のろ過工程の限外ろ過膜およびそのろ過方法と同様である。
[工程(3)]
工程(3)は、エンドキシラナーゼ加水分解固形物を糸状菌由来セルラーゼを用いて加水分解し、セルラーゼ加水分解物を得る工程である。
糸状菌由来セルラーゼによるエンドキシラナーゼ加水分解固形物の加水分解とは、エンドキシラナーゼ加水分解固形物中のセルロースを低分子量化せしめ、単糖あるいはオリゴ糖を生成することを目的とするものである。エンドキシラナーゼ加水分解固形物の加水分解では、マンナン、アラビナン、およびエンドキシラナーゼ加水分解で分解しきれなかったキシランなどのヘミセルロース成分も同時に加水分解される。本工程では、エンドキシラナーゼ加水分解固形物を加水分解するために糖化酵素として糸状菌由来セルラーゼを使用する。
糸状菌由来セルラーゼは、セロビオハイドラーゼ、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、βグルコシダーゼ、エンドキシラナーゼ、キシロシダーゼなどの酵素成分を複数含み、セルロースを加水分解して糖化する活性を有する酵素組成物である。糸状菌由来セルラーゼは、こうした複数の酵素成分を含んでいるため、セルロース分解において複数の酵素成分の協奏効果あるいは補完効果により効率的にセルロースの加水分解を行うことができる。
糸状菌由来セルラーゼとしては、トリコデルマ属(Trichoderma)、アスペルギルス属(Aspergillus)、セルロモナス属(Cellulomonas)、クロストリジウム属(Clostridium)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、フミコラ属(Humicola)、アクレモニウム属(Acremonium)、イルペックス属(Irpex)、ムコール属(Mucor)、タラロマイセス属(Talaromyces)、ファネロカエーテ(Phanerochaete)属、白色腐朽菌、褐色腐朽菌などの微生物に由来するセルラーゼを例示することができる。また、これらの微生物に変異剤あるいは紫外線照射などで変異処理を施すことによりセルラーゼ生産性が向上した変異株由来のセルラーゼであってもよい。こうした糸状菌由来セルラーゼの中でも、セルロースの加水分解において比活性の高い酵素成分を培養液中に大量に生産するトリコデルマ属由来のセルラーゼを使用することが好ましい。
トリコデルマ属由来セルラーゼとは、トリコデルマ属微生物由来のセルラーゼを主成分とする酵素組成物である。トリコデルマ属微生物は、特に限定されないが、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)が好ましく、具体的には、トリコデルマ・リーセイQM9414(Trichoderma reesei QM9414)、トリコデルマ・リーセイQM9123(Trichoderma reeseiQM9123)、トリコデルマ・リーセイRutC−30(Trichoderma reeseiRut C−30)、トリコデルマ・リーセイPC3−7(Trichoderma reesei PC3−7)、トリコデルマ・リーセイCL−847(Trichoderma reeseiCL−847)、トリコデルマ・リーセイMCG77(Trichoderma reesei MCG77)、トリコデルマ・リーセイMCG80(Trichoderma reeseiMCG80)、トリコデルマ・ビリデQM9123(Trichoderma viride9123)を例示することができる。
セロビオハイドラーゼとは、セルロースの末端部分から加水分解を開始し、セロビオースを放出することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.91として、セロビオハイドラーゼに帰属される酵素群が記載されている。
エンドグルカナーゼとは、セルロース分子鎖の中央部分から加水分解することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.4、EC3.2.1.6、EC3.2.1.39、EC3.2.1.73としてエンドグルカナーゼに帰属される酵素群が記載されている。
エキソグルカナーゼとは、セルロース分子鎖の末端から加水分解することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.74、EC3.2.1.58としてエキソグルカナーゼに帰属される酵素群が記載されている。
βグルコシダーゼとは、セロオリゴ糖あるいはセロビオースを加水分解することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.21としてβグルコシダーゼに帰属される酵素群が記載されている。
キシロシダーゼとは、キシロオリゴ糖に作用することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.37としてキシロシダーゼに帰属される酵素群が記載されている。
こうした糸状菌由来セルラーゼに含まれる酵素は、ゲル濾過、イオン交換、二次元電気泳動などの公知手法により分離し、分離した成分のアミノ酸配列(N末端分析、C末端分析、質量分析)を行い、データベースとの比較により同定することができる。
また、糸状菌由来セルラーゼの酵素活性は、アビセル分解活性、キシラン分解活性、カルボキシメチルセルロース(CMC)分解活性、セロビオース分解活性、マンナン分解活性などといった多糖の加水分解活性によって評価することができる。アビセル分解活性を示す主たる酵素は、セルロース末端部分から加水分解する特徴を有するセロビオハイドラーゼあるいはエキソグルカナーゼである。キシラン分解活性を示す主たる酵素はキシラナーゼ、β−キシロシダーゼである。CMC分解活性に関与する主たる酵素は、セロビオハイドラーゼ、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼである。セロビオース分解活性を示す主たる酵素は、β−グルコシダーゼである。ここで、“主たる”という意味は、最も分解に関与することが知られていることからの表現であり、これ以外の酵素成分もその分解に関与していることを意味している。
糸状菌は、培養液中にセルラーゼを産生するため、その培養液を粗酵素剤としてそのまま使用してもよいし、公知の方法で酵素群を精製し、製剤化したものを糸状菌由来セルラーゼ混合物として使用してもよい。糸状菌由来セルラーゼを精製し、製剤化したものとして使用する場合、プロテアーゼ阻害剤、分散剤、溶解促進剤、安定化剤など、酵素以外の物質を添加したものをセルラーゼ製剤として使用してもよい。
本発明においては、糸状菌由来セルラーゼとしては、粗酵素物が好ましく使用される。粗酵素物は、糸状菌がセルラーゼを産生するよう調製した培地中で、任意の期間、該微生物を培養した培養上清に由来する。使用する培地成分は特に限定されないが、セルラーゼの産生を促進するために、セルロースを添加した培地が一般的に使用できる。そして、粗酵素物として、培養液をそのまま、あるいは菌体を除去したのみの培養上清が好ましく使用される。
粗酵素物中の各酵素成分の重量比は、特に限定されるものではないが、例えば、トリコデルマ・リーセイ由来の培養液には、50〜95重量%のセロビオハイドラーゼが含まれており、残りの成分にエンドグルカナーゼ、βグルコシダーゼなどが含まれている。また、トリコデルマ属の微生物は、強力なセルラーゼ成分を培養液中に生産する一方で、βグルコシダーゼに関しては、細胞内あるいは細胞表層に保持しているため、培養液中のβグルコシダーゼ活性は低い。そのため、粗酵素物に、さらに異種または同種のβグルコシダーゼを添加してもよい。異種のβグルコシダーゼとしては、アスペルギルス属由来のβグルコシダーゼが好ましく使用できる。アスペルギルス属由来のβグルコシダーゼとして、ノボザイム社より市販されている“Novozyme188”などを例示することができる。粗酵素物に異種または同種のβグルコシダーゼを添加する方法としては、トリコデルマ属の微生物に遺伝子を導入し、その培養液中に産生されるよう遺伝子組換えされたトリコデルマ属の微生物を培養し、その培養液を単離する方法でもよい。
糸状菌由来セルラーゼによる加水分解の反応条件としては、糸状菌由来セルラーゼの好ましい反応条件に準じて行えば限定されないが、本発明においては、糸状菌由来セルラーゼを使用する際の、一般的な反応温度は、15〜100℃の範囲が好ましく、40〜60℃がより好ましく、50℃前後が更に好ましい。
加水分解反応時のエンドキシラナーゼ加水分解固形物のpHは、糸状菌由来セルラーゼの至適pHにおいて糸状菌由来セルラーゼによる加水分解の効果が最も高くなるため、本発明においては、セルラーゼ処理時のpHは、3〜9の範囲が好ましく、4〜5.5がより好ましく、5前後がさらに好ましい。
なお、加水分解の過程でpHの変化が起きるため、pH調整には、酸あるいはアルカリを使用して所望のpHとなるように調整することが好ましい。また、pH調整は、適宜、加水分解物に緩衝液を使用してもよい。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられ、好ましくは、本発明において得られる糖液の発酵時の阻害が起こりにくいという観点から、硫酸、硝酸、リン酸が用いられ、より好ましくは、経済性の観点から、硫酸が用いられる。アルカリとしては、好ましくは、経済性の観点から、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムとそれらを含む水溶液が用いられ、より好ましくは、後述の行程(4)において膜分離する際に膜ファウリングが生じることを抑制する観点から、1価イオンである、アンモニア、水酸化ナトリウムが用いられ、さらに好ましくは、発酵時の阻害が起こり難いという観点から、アンモニアが用いられる。
その他、エンドキシラナーゼ加水分解固形物と糖化酵素の接触を促進させると共に、加水分解物の糖濃度を均一にするため、エンドキシラナーゼ加水分解固形物と糖化酵素とを攪拌しながら混合することが好ましい。
セルロースの固形分濃度は、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%の範囲となるように加水をする。
[工程(4)]
工程(4)は、セルラーゼ加水分解物を限外ろ過膜に通じてろ過し、透過液側から糖液を回収し、非透過液側から酵素成分を回収する工程である。非透過液として回収した酵素成分は、工程(3)に再利用することも可能であり、工程(3)での酵素成分の使用量を低減することが可能となる。
本発明で使用する限外ろ過膜は、単糖であるグルコース(分子量180)やキシロース(分子量150)を透過でき、糸状菌由来セルラーゼを阻止できる分画分子量を有するものを用いることができる。本発明においては、限外ろ過膜の分画分子量は、500〜50,000の範囲であればよく、酵素反応に阻害的作用を示す夾雑物質を酵素と分離するという観点から、より好ましくは5,000〜50,000の範囲であり、さらに好ましくは10,000〜30,000の範囲である。
ここで、限外ろ過膜は、孔径が小さすぎて膜表面の細孔径を電子顕微鏡などで計測することが困難であり、平均細孔径の代わりに分画分子量という値を孔径の大きさの指標とする。なお、分画分子量とは、溶質の分子量を横軸に、阻止率を縦軸にとってデータをプロットした際、阻止率が90%となる分子量をいう。
限外ろ過膜の素材としては、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、再生セルロース、セルロース、セルロースエステル、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリ4フッ化エチレンなどを使用することができる。本発明においては、使用する限外ろ過膜の材質としては、再生セルロース、セルロース、セルロースエステルはセルラーゼによる分解を受けるため、PES、PVDFなどの合成高分子を素材とした限外ろ過膜を使用することが好ましい。
限外ろ過膜のろ過方式としては、デッドエンドろ過方式、クロスフローろ過方式などがあるが、膜ファウリング、フラックスの抑制などを図る観点から、クロスフローろ過方式であることが好ましい。
限外ろ過膜の形態としては、平膜型、スパイラル型、チューブラー型、中空糸型など適宜の形態のものが使用できる。具体的には、DESAL社のG−5タイプ、G−10タイプ、G−20タイプ、G−50タイプ、PWタイプ、HWSUFタイプ、KOCH社のHFM−180,HFM−183、HFM−251、HFM−300、HFK−131、HFK−328、MPT−U20、MPS−U20P、MPS−U20S、Synder社のSPE1、SPE3、SPE5、SPE10、SPE30、SPV5、SPV50、SOW30、旭化成株式会社製のマイクローザ(登録商標)UFシリーズの分画分子量3,000から10,000に相当するもの、日東電工株式会社製のNTR7410、NTR7450などが挙げられる。
ろ過方法としては、圧ろ過、真空ろ過、遠心ろ過などが好ましく使用できる。また、ろ過操作として、定圧ろ過、定流量ろ過、非定圧非定流量ろ過などが挙げられる。ろ過操作は、上記限外ろ過膜を2回以上使用する多段ろ過でもよい。
工程(4)で回収された非透過液は、酵素成分として糸状菌由来セルラーゼを含んでいるため、回収された糸状菌由来セルラーゼを含む非透過液を、工程(3)で使用される糸状菌由来セルラーゼに混合することで、工程(3)の糸状菌由来セルラーゼとして使用することができる。これにより、工程(3)で新たに使用する糸状菌由来セルラーゼの量を低減することができるため、糸状菌由来セルラーゼの費用の低減を図ることができる。
このように、本発明の糖液の製造方法によれば、セルロース含有バイオマスを糖化反応させる前に、予め、セルロース含有バイオマスをエンドキシラナーゼで加水分解し、得られたエンドキシラナーゼ加水分解物を固液分離して、エンドキシラナーゼ加水分解固形物を生成している。このエンドキシラナーゼ加水分解固形物を糸状菌由来セルラーゼで加水分解して得られた非透過液を回収して再利用することにより、糖液の製造過程において、糖化酵素である糸状菌由来セルラーゼの使用量の削減効果をさらに向上させることができる。また、エンドキシラナーゼ加水分解物を固液分離して得られたエンドキシラナーゼ加水分解液体をろ過することにより、キシロオリゴ糖を回収することができると共にエンドキシラナーゼを回収することができる。得られたエンドキシラナーゼはセルロース含有バイオマスの加水分解に再利用することができるため、セルロース含有バイオマス、特にヘミセルロース成分の加水分解に使用されるエンドキシラナーゼの使用量を削減しつつ、糖液を製造することができる。よって、本発明の糖液の製造方法は、糖化酵素を回収して再利用しながら糖液を製造することができるため、糖液の製造コストを低く抑えることができる。
(他の形態)
本発明においては、工程(4)においてセルラーゼ加水分解物をろ過して得られた非透過液を、工程(3)の糸状菌由来セルラーゼと混合する場合について説明したが、これに限定されるものではない。本発明による糖液の製造方法の他の一例を図2に示す。図2に示すように、例えば、工程(3)で得られたセルラーゼ加水分解物を固液分離し、糖を含む溶液(セルラーゼ加水分解液体)と、固形分である糖化残渣とに分離する。得られたセルラーゼ加水分解液体を、工程(4)において、限外ろ過膜でろ過して、糸状菌由来セルラーゼを含む非透過液と、透過液である糖液とに分離する。これにより、糸状菌由来セルラーゼを含む非透過液が回収されると共に、透過液として糖液が回収される。回収された非透過液は、工程(3)で使用される糸状菌由来セルラーゼに混合して再利用することができる。よって、予めセルラーゼ加水分解物を固液分離して、セルラーゼ加水分解物中の固形分を除去しておくことにより、工程(4)において、セルラーゼ加水分解物に含まれる糸状菌由来セルラーゼの回収を効率良く行うことができる。これにより、糸状菌由来セルラーゼの回収率をさらに向上させつつ糖液を製造することが可能となる。
固液分離の方法は、工程(2)と同様、スクリューデカンタなどの遠心分離、フィルタープレスなどの膜分離、ベルトプレス、ベルトフィルター、自然沈降による分離、またはメッシュスクリーン、不織布、およびろ紙などのろ過法により固液分離を行うことができる。中でも、スクリューデカンタ、フィルタープレス、ベルトプレスなどのろ過法を用いることが好ましい。これらのろ過方法によれば、不溶性の固体が少なく、濁質の少ない溶液成分が得られる。濁質が少ないと、工程(4)において限外ろ過膜のファウリングを抑制するため好ましい。
また、固液分離して得られたセルラーゼ加水分解液体をさらに精密ろ過膜によりろ過することが好ましい。セルラーゼ加水分解液体を精密ろ過膜でろ過することにより、固液分離では分離しきれなかった固形分を取り除くことができるため、工程(4)において、セルラーゼ加水分解物に含まれる糸状菌由来セルラーゼの回収をさらに効率良く行うことができる。
精密ろ過膜とは、平均細孔径が0.01μm〜5mmである膜のことである。材質としては、上述の固液分離では分離しきれなかった固形分を取り除くものであれば、特に限定されるものではないが、セルロース、セルロースエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどの有機材料、あるいはステンレスなどの金属、あるいはセラミックなどの無機材料が挙げられる。
以上のように、本発明で得られた糖液は、食品原料、医薬品原料、化学品などの発酵原料などのさまざまな用途に使用することができる。本発明により得られた糖液は、発酵原料として使用し、化学品を生産する能力を有する微生物を生育させることで、各種化学品を製造することができる。なお、微生物を生育させるとは、糖液に含まれる糖成分またはアミノ源を微生物の栄養素として利用し、微生物の増殖、生育維持を行うことをいう。化学品の具体例としては、アルコール、有機酸、アミノ酸、核酸など発酵工業において大量生産されている物質を挙げることができる。こうした化学品は、糖液中の糖成分を炭素源として、その代謝の過程において生体内外に化学品として蓄積生産する。微生物によって生産可能な化学品として、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロールなどのアルコール、酢酸、乳酸、ピルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、イタコン酸、クエン酸などの有機酸、イノシン、グアノシンなどのヌクレオシド、イノシン酸、グアニル酸などのヌクレオチド、カダベリンなどのアミン化合物を挙げることができる。さらに、本発明の糖液の製造方法により得られる糖液は、酵素、抗生物質、組換えタンパク質などの生産に適用することも可能である。こうした化学品の製造に使用する微生物としては、目的の化学品を効率的に生産可能な微生物であればよく、大腸菌、酵母、糸状菌、担子菌などの微生物を使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(参考例1)糸状菌由来セルラーゼ(培養液)の調製
糸状菌由来セルラーゼ(培養液)は、次の方法で調製した。
[前培養]
コーンスティップリカー5%(w/vol)、グルコース2%(w/vol)、酒石酸アンモニウム0.37%(w/vol)、硫酸アンモニウム0.14(w/vol)、リン酸二水素カリウム0.2%(w/vol)、塩化カルシウム二水和物0.03%(w/vol)、硫酸マグネシウム七水和物0.03%(w/vol)、塩化亜鉛0.02%(w/vol)、塩化鉄(III)六水和物0.01%(w/vol)、硫酸銅(II)五水和物0.004%(w/vol)、塩化マンガン四水和物0.0008%(w/vol)、ホウ酸0.0006%(w/vol)、および七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.0026%(w/vol)となるように蒸留水に添加し、上記各成分を含む蒸留水100mLを500mLバッフル付き三角フラスコに張り込み、121℃の温度で15分間オートクレーブ滅菌した。放冷後、これとは別に、それぞれ121℃の温度で15分間オートクレーブ滅菌したPE−MとTween80とを、上記の500mLバッフル付き三角フラスコにそれぞれ0.01%(w/vol)添加した。この前培養培地に、トリコデルマ・リーセイATCC66589を1×10個/mLになるように植菌し、振とう装置(TAITEC社製 BIO−SHAKER BR−40LF)を用いて、28℃の温度で72時間、180rpmで振とう培養し、前培養とした。
[本培養]
コーンスティップリカー5%(w/vol)、グルコース2%(w/vol)、セルロース(アビセル)10%(w/vol)、酒石酸アンモニウム0.37%(w/vol)、硫酸アンモニウム0.14%(w/vol)、リン酸二水素カリウム0.2%(w/vol)、塩化カルシウム二水和物0.03%(w/vol)、硫酸マグネシウム七水和物0.03%(w/vol)、塩化亜鉛0.02%(w/vol)、塩化鉄(III)六水和物0.01%(w/vol)、硫酸銅(II)五水和物0.004%(w/vol)、塩化マンガン四水和物0.0008%(w/vol)、ホウ酸0.0006%(w/vol)、および七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.0026%(w/vol)となるように蒸留水に添加し、上記各成分を含む蒸留水2.5Lを5L容撹拌ジャー(ABLE社製、DPC−2A)容器に張り込み、121℃の温度で15分間オートクレーブ滅菌した。放冷後、これとは別に、それぞれ121℃の温度で15分間オートクレーブ滅菌したPE−MとTween80とを、それぞれ0.1%添加し、予め前記の方法で液体培地で前培養したトリコデルマ・リーセイATCC66589を250mL接種した。その後、28℃の温度で87時間、300rpm、通気量1vvmの条件で振とう培養を行い、遠心分離した。その後、上清を膜ろ過(ミリポア社製のステリカップ−GV、材質:PVDF)した。この前述条件で調整した培養液を糸状菌由来セルラーゼとして、以下の実施例に使用した。
(参考例2)糸状菌由来セルラーゼの活性の測定方法
糸状菌由来セルラーゼの酵素活性は、セルロースの分解に関与する酵素群の活性として、セロビオハイドロラーゼ、エンドグルカナーゼの活性として(1)4−ニトロフェニル−β−D−ラクトピラノシド(pNP−Lac)、βグルコシダーゼの活性として(2)4−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド(pNP−Glc)、ヘミセルロースの主成分であるキシランの分解に関与するエンドキシラナーゼ、キシロシダーゼの活性として(3)4−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシド(pNP−Xyl)の分解活性を、それぞれ以下に示す方法で測定評価した。なお、上記(1)〜(3)の基質をまとめてpNP−糖という。
各基質をそれぞれ1mMの濃度で含む100mM酢酸緩衝液(pH5.0)0.9mLに酵素液を0.1mL加え、30℃で反応させた。反応時間は、基質がpNP−Lacの場合には60分間、pNP−Glcの場合には10分間、pNP−Xylの場合には30分間とし、反応後、0.1mLの2M炭酸ナトリウム水溶液を添加して反応を停止させ、405nmにおける吸光度を測定した(ODtest)。ブランクとして、基質溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液、酵素液の順に添加したものについても同様に405nmにおける吸光度を測定した(ODblank)。上記反応系で1分間に1μmolの4−ニトロフェノールを生成する酵素量を1Uと定義し、活性値(U/mL)を下記式に従って算出した。なお、上記反応系における4−ニトロフェノールのミリモル分子吸光係数は、17.2L/mmol/cmである。
pNP−Lac分解活性(U/mL)={(ODtest−ODblank)×1.1(mL)×酵素希釈倍率}/{17.2×60(分間)×0.1(mL)}
pNP−Glc分解活性(U/mL)={(ODtest−ODblank)×1.1(mL)×酵素希釈倍率}/{17.2×10(分間)×0.1(mL)}
pNP−Xyl分解活性(U/mL)={(ODtest−ODblank)×1.1(mL)×酵素希釈倍率}/{17.2×60(分間)×0.1(mL)}。
(参考例3)セルロース含有バイオマスの調製
バガス乾燥重量100gに対し、9.3gの苛性ソーダを混合し、121℃、30分間反応させ、アルカリ処理バガスを調製した。
(参考例4)アクレモニウム由来精製エンドキシラナーゼの調製
Meiji Seikaファルマ株式会社から販売されている“アクレモニウム セルラーゼ”を以下の方法で精製して得られた酵素を、アクレモニウム由来精製エンドキシラナーゼとした。
[画分1、2の調製]
1) 強塩基性陰イオン交換クロマトグラフィー:QAE−トヨパール550C(東ソー(株))に、粗酵素を吸着させ、酢酸緩衝液(0.02M、pH5.5)で溶出されるキシラナーゼ活性画分を分取した。
2) 弱塩基性イオン交換クロマトグラフィー:DEAE−トヨパール650S(東ソー(株))に、上記1)の分取画分を0.02M酢酸緩衝液(pH6.0)にて吸着させ、酢酸緩衝液(0.02M、pH5.5)で溶出されるキシラナーゼ活性画分を分取した。
3) 強酸性イオン交換クロマトグラフィー:Mono S(ファルマシア社)に、上記2)の分取画分を酢酸緩衝液(0.1M、pH3.5)で吸着させ、酢酸緩衝液(0.1M、pH3.5)中にNaClを0〜0.05Mを含むリニアグラジエント溶出を行い、キシラナーゼ活性を示した画分を分取した。キシラナーゼ活性だけを示す2画分(画分1、画分2)を回収した。
[画分3、4、5の調製]
4) ゲルろ過クロマトグラフィー:Superdex 75(ファルマシア社)に、上記3)の画分1を、NaClを0.1M含む酢酸緩衝液(0.05M、pH3.5)を用いて通過させ、キシラナーゼ活性画分(画分3)を分取した。
5) ゲルろ過クロマトグラフィー:Superdex 75(ファルマシア社)に、上記3)の分取画分2を、NaClを0.1M含む酢酸緩衝液(0.05M、pH3.5)を用いて通過させ、キシラナーゼ活性画分を2画分(画分4、画分5)を分取した。
以上の方法により、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で、画分3、画分4、および画分5を、単一の蛋白質染色バンドを示すまで高度に精製した。画分3、画分4、および画分5を混合したものを、精製エンドキシラナーゼとした。バーチウッドキシラン(Birchwood xylan)を基質として、50℃、pH5、10分間の反応後、ジニトロサリチル酸法(DNS法)を使用し、540nmの吸光度を測定することで、反応後の反応液に含まれる還元糖量を測定したところ、エンドキシラナーゼの活性は100U/mgであった。
(参考例5)糖濃度の測定
糖液に含まれるグルコースおよびキシロースの各濃度は、下記に示す高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatography:HPLC条件)で、標品との比較により定量した。
(HPLC条件)
カラム:Shodex SH1011(昭和電工株式会社製)
移動相:硫酸5mM(流速0.6mL/分)
反応液:なし
検出方法:RI(示差屈折率)
温度:65℃。
(実施例1)アクレモニウム属微生物由来エンドキシラナーゼの使用
[工程(1)]
参考例3で調整したアルカリ処理バガス1gに対し、水を19g添加し、固形分濃度5%となるように調整した。調製したセルロース含有バイオマスに参考例4で調製したアクレモニウム属微生物由来エンドキシラナーゼを添加して加水分解を行った。アクレモニウム属微生物由来エンドキシラナーゼの添加量は、0.1mg/gの前処理物を添加し、塩酸でpHが5となるように調整し、エンドキシラナーゼ加水分解を行った。エンドキシラナーゼ加水分解は、50℃で、24時間反応を行った。
[工程(2)]
エンドキシラナーゼ反応後、12メッシュのステンレス製ザルで固液分離し、エンドキシラナーゼ加水分解液体を10g、エンドキシラナーゼ加水分解固体を10g回収した。
[工程(3)]
固液分離固体側10g(固形分濃度10%)に参考例1で調製した糸状菌由来セルラーゼを添加して加水分解を行った。糸状菌由来セルラーゼの添加量は、8mg/gの前処理物を添加し、塩酸でpHが5となるように調整し、加水分解を開始した。加水分解は、50℃で、24時間反応を行った。
[工程(4)]
セルラーゼ糖化後、遠心分離(4500G、10分)にて固液分離し、セルラーゼ加水分解固体とセルラーゼ加水分解液体とに分離した。更に、セルラーゼ加水分解液体を膜ろ過(ミリポア社製 ステリカップ−GP、材質:PES)し、得られた上清は、分画分子量10,000の限外ろ過膜(Sartorius stedim biotech社製 VIVASPIN 20、材質:PES)を用い、限外ろ過膜の非透過液側が1mLになるまで4500Gで遠心した。蒸留水10mLを膜画分に添加し、再度、非透過側画分が1mLになるまで4500Gにて遠心したものを回収酵素とし、参考例2の方法で酵素活性を測定し、添加酵素の活性を100としたときの相対値を求めた。
[実施例2]アスペルギルス属微生物由来のエンドキシラナーゼの使用
[工程(1)]
参考例3で調整したアルカリ処理バガス1gに対し、水19gを添加し、固形分濃度5%となるように調整した。調製したセルロース含有バイオマスにアスペルギルス属微生物由来エンドキシラナーゼ(Megazyme社製、活性80U/mg)を添加して加水分解を行った。アスペルギルス属微生物由来エンドキシラナーゼの添加量は、0.13mg/gの前処理物を添加し、塩酸でpHが5となるように調整し、エンドキシラナーゼ加水分解を行った。エンドキシラナーゼ加水分解は、50℃で、24時間反応を行った。
[工程(2)]
エンドキシラナーゼ反応後、12メッシュのステンレス製ザルで固液分離し、エンドキシラナーゼ加水分解液体を10g、エンドキシラナーゼ加水分解固体を10g回収した。
[工程(3)]
固液分離固体10gに参考例1で調製した糸状菌由来セルラーゼを添加して加水分解を行った。セルラーゼによる加水分解は、比較例1と同様に行った。
[工程(4)]
実施例1と同様に行った。
(実施例3)実施例1における工程(2)のエンドキシラナーゼの回収、キシロオリゴ糖の回収
実施例1と同様に工程(1)、工程(2)、工程(3)、および工程(4)を実施した。この時、工程(2)で得られるエンドキシラナーゼ加水分解液体を膜ろ過(ミリポア社製 ステリカップ−GP、材質:PES)し、得られた上清は、分画分子量10,000の限外ろ過膜(Sartorius stedim biotech社製 VIVASPIN 20、材質:PES)を用い、限外ろ過膜の非透過液側が1mLになるまで4500Gで遠心した。蒸留水10mLを膜画分に添加し、再度、非透過側画分が1mLになるまで4500Gで遠心したものをエンドキシラナーゼ回収酵素とし、バーチウッドキシラン(Birchwood xylan)を基質として、50℃、pH5、10分間の反応後、ジニトロサリチル酸法(DNS法)を使用し、540nmの吸光度を測定することで、添加したエンドキシラナーゼの活性を100としたときの回収エンドキシラナーゼの相対値をエンドキシラナーゼ回収率とした。エンドキシラナーゼ回収率は、73%であった。また、エンドキシラナーゼ加水分解液体の透過液中のキシロオリゴ糖濃度を参考例5に従って測定したところ、アルカリ処理バガスg重量当たり、80mgのキシロオリゴ糖を回収した。
(比較例1)実施例1における工程(1)、工程(2)の省略
参考例3で調整したセルロース含有バイオマス1gに対し、水を9g添加し、固形分濃度が10%となるように調製した。調製したセルロース含有バイオマスに参考例1で調製した糸状菌由来セルラーゼを添加して加水分解を行った。加水分解の条件は、実施例1と同様に行った。得られた加水分解物から実施例1の工程(4)に準じて酵素を回収し、参考例2の方法で酵素活性を測定した。
(比較例2)実施例1における工程(1)の省略
参考例3で調整したセルロース含有バイオマス1gに対し、水19gを添加し、固形分濃度5%となるように調整した。これを12メッシュのステンレス製ザルで固液分離し、液体側を10g、固体側を10g回収した。固液分離固体10gに参考例1で調製した糸状菌由来セルラーゼを添加して、実施例1の工程(3)に準じて加水分解を行った。得られた加水分解物から実施例1の工程(4)に準じて酵素を回収し、参考例2の方法で酵素活性を測定した。
(比較例3)実施例1における工程(2)の省略
参考例3で調整したセルロース含有バイオマス1gに対し、水9gを添加し、固形分濃度が10%となるように調整した。調製したセルロース含有バイオマスに参考例4で調製したアクレモニウム属微生物由来エンドキシラナーゼを添加して加水分解を行った。アクレモニウム属微生物由来エンドキシラナーゼの添加量は、0.1mg/g前処理物で添加し、塩酸でpHが5となるように調整し、エンドキシラナーゼ加水分解を行った。エンドキシラナーゼ加水分解は、50℃で、24時間反応を行った。エンドキシラナーゼ反応後、固液分離を実施せずに、参考例1で調製した糸状菌由来セルラーゼを添加して、実施例1の工程(3)に準じて加水分解を行った。得られた加水分解物から実施例1の工程(4)に準じて酵素を回収し、参考例2の方法で酵素活性を測定した。
(比較例4)トリコデルマ属微生物由来のエンドキシラナーゼの使用
参考例3で調整したセルロース含有バイオマス1gに対し、水19gを添加し、固形分濃度が5%となるように調整した。調製したセルロース含有バイオマスに、トリコデルマ・ビリデ由来エンドキシラナーゼ(Megazyme社製、活性250U/mg)を0.04mg/g前処理物で添加し、塩酸でpHが5となるように調整し、エンドキシラナーゼ加水分解を行った。エンドキシラナーゼ加水分解は、50℃で、24時間反応を行った。エンドキシラナーゼ反応後、12メッシュのステンレス製ザルで固液分離し、エンドキシラナーゼ加水分解液体を10g、エンドキシラナーゼ加水分解固体を10g回収した。固液分離固体10gに参考例1で調製した糸状菌由来セルラーゼを添加して、実施例1の工程(3)に準じて加水分解を行った。得られた加水分解物から実施例1の工程(4)に準じて酵素を回収し、参考例2の方法で酵素活性を測定した。
表1に、比較例1〜4、実施例1および2における酵素回収率の結果をまとめた。表1から分かるように、比較例1〜4に比べて、実施例1および2では、回収酵素のpNP−Lac、pNP−Glc、pNP−Xyl分解活性が高く、酵素回収率が向上していた。
また、比較例3では、工程(1)でアクレモニウム属微生物由来キシラナーゼを用いているが、工程(2)を実施しないと回収セルラーゼの活性は向上せず、本発明の効果を得る上で、工程(2)の固液分離が必要であることが明らかになった。
また、比較例4は、工程(1)にトリコデルマ属微生物由来キシラナーゼを用いた例である。特許文献4では、糸状菌由来セルラーゼ加水分解の前に回収酵素だけによる加水分解を行い、回収セルラーゼにはエンドキシラナーゼおよびキシロビオースをキシロースへと変換するキシロシダーゼが蓄積し、回収酵素のセルラーゼ活性およびセルラーゼ加水分解における糖化率が向上することが示されている。特許文献4と同等の効果が期待されたが、実施例1および2と比べてセルラーゼ回収率は劣り、比較例1と比べてもセルラーゼ回収率の向上は僅かであった。
Figure 0006565684

Claims (8)

  1. セルロース含有バイオマスからの糖液の製造方法であって、
    工程(1):セルロース含有バイオマスを、アクレモニウム属またはアスペルギルス属微生物由来のエンドキシラナーゼを用いて加水分解し、エンドキシラナーゼ加水分解物を得る工程、
    工程(2):前記エンドキシラナーゼ加水分解物を、エンドキシラナーゼ加水分解固形物とエンドキシラナーゼ加水分解液体とに固液分離する工程、
    工程(3):前記エンドキシラナーゼ加水分解固形物を糸状菌由来セルラーゼを用いて加水分解し、セルラーゼ加水分解物を得る工程、および
    工程(4):前記セルラーゼ加水分解物を限外ろ過膜に通じてろ過し、透過液側から糖液を回収し、非透過液側から酵素成分を回収する工程、
    を含む、糖液の製造方法。
  2. 前記セルロース含有バイオマスが、アルカリ処理、水熱処理、および希硫酸処理よりなる群から選択される1以上の方法で前処理されたものである、請求項1に記載の糖液の製造方法。
  3. 前記エンドキシラナーゼの酵素活性が、80U/mg−タンパク以上である、請求項1または2に記載の糖液の製造方法。
  4. 前記エンドキシラナーゼ加水分解物の固液分離が、以下の関係式を満たす、請求項1から3のいずれか一項に記載の糖液の製造方法。
    エンドキシラナーゼ加水分解固形物の重量<エンドキシラナーゼ加水分解液体の重量
  5. 前記エンドキシラナーゼ加水分解液体を限外ろ過膜に通じてろ過し、透過液側からキシロオリゴ糖液を回収し、非透過液側からエンドキシラナーゼを回収する工程をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の糖液の製造方法。
  6. 前記糸状菌由来セルラーゼが、トリコデルマ属微生物由来である、請求項1から5のいずれか一項に記載の糖液の製造方法。
  7. 工程(4)が、前記セルラーゼ加水分解物を固液分離して得られるセルラーゼ加水分解液体を限外ろ過膜に通じてろ過し、透過液側から糖液を回収し、非透過液側から酵素成分を回収する工程である、請求項1から6のいずれか一項に記載の糖液の製造方法。
  8. 前記酵素成分を、工程(3)の糸状菌由来セルラーゼとして使用する、請求項1から7のいずれか一項に記載の糖液の製造方法。
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