JPWO2018159573A1 - 糖化酵素の製造方法およびオリゴ糖の製造方法 - Google Patents
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Abstract
要約簡便に、かつ、培養液中の溶存酸素飽和度の低下を抑制しつつキシロオリゴ糖の製造に適した糖化酵素を製造できる、糖化酵素の製造方法、及びこの糖化酵素を用いたオリゴ糖の製造方法が開示されている。糖化酵素の製造方法は、大豆ハルを乾燥重量として0.8w/v%以上含む培地でトリコデルマ属糸状菌を培養することを含む。オリゴ糖の製造方法は、製造方法で得られたセルラーゼによりキシランおよびセルロースを含むバイオマスを加水分解することを含む。
Description
本発明は、大豆ハルを用いたトリコデルマ属糸状菌による糖化酵素の製造方法およびそれを用いたオリゴ糖の製造方法に関する。
現在、セルロース系バイオマスを原料とした各種汎用化学品やバイオ燃料などを生産するため、セルロース系バイオマスを分解し、オリゴ糖などの有用な糖を効率的に遊離させる方法が探索されている。この分解法の1つに、セルロース系バイオマスを糖化酵素であるセルラーゼを用いて加水分解する酵素分解法があり、注目されている。
オリゴ糖は、低甘味、低カロリーなどの特性に加え、腸内細菌の増殖を促進し腸の調子などを良好に保つ機能を有するため、オリゴ糖入りの特定保健用食品などが数多く市販されている。特にキシロオリゴ糖やセロオリゴ糖は、酸や消化酵素による分解を受けにくいため、他オリゴ糖と比較して微量でもその効果を発揮する。また、キシロオリゴ糖は、ヒトの食品用途のみならず家畜の飼料への添加剤としても利用されている。
キシロオリゴ糖は、植物の構成成分の1つであるキシランを糖化酵素で加水分解することで得られる。しかしながら、糖化酵素としてセルラーゼを利用すると、セルラーゼにはキシロオリゴ糖を分解するβ−キシロシダーゼも含まれているため、キシロオリゴ糖を効率的に生産することが難しく、このような課題を解決する方法が検討されている。例えば、特許文献1では、キシロオリゴ糖の製造方法として、セルロース含有バイオマスをトリコデルマ属糸状菌由来のセルラーゼにより加水分解し、該加水分解物から回収したβ−キシロシダーゼ活性が低下した回収セルラーゼを使用している。
また、セルラ−ゼの生産方法としては、セルラーゼ生産能の高いトリコデルマ属糸状菌を利用してセルラーゼを生産させる方法がある。特許文献2ではトリコデルマ属糸状菌に遺伝子変異処理を行い、高いセルラーゼ生産能を有するトリコデルマ属糸状菌の変異株を取得している。しかしながら、特許文献2の変異株から得られるセルラーゼ中のβ−キシロシダーゼ活性や、キシロオリゴ糖の生産については記載がない。その他、特許文献2では、セルラーゼを生産させる培地に炭素源として、セルロース等のほかに大豆おからなども利用できると記載されている。
トリコデルマ属糸状菌は生育に酸素を必須とする好気性糸状菌に属しており、さらに液体培地で培養すると、培地の粘度が高まるという特徴を有している。粘度が高まると、酸素や栄養素の分布が不均一になるため、トリコデルマ属糸状菌を培養する際には、培養液を撹拌したり、酸素供給量を増加させたりして培養中の溶存酸素飽和度を一定以上に維持する必要がある。
また、培養槽が大型化すると、酸素移動容量係数が低くなるため、培養中の溶存酸素飽和度を一定以上に保つためには、さらに撹拌数や酸素供給量を増やす必要がある。しかしながら、撹拌数を増やすと、菌体に大きなせん断ダメージを与えてしまうという課題があり、酸素供給量を増やすためにはより大きなエネルギーが必要になる課題がある。
培養液の粘度を低下させる方法として、特許文献3では、培地に菌糸伸長阻害物質を添加して菌糸形態をペレット状にする方法が開示されており、特許文献4には粘度の原因物質となるタンパク質の分泌を抑制した糸状菌の変異株が開示されている。
一方、糸状菌を使用してタンパク質の生産量を増加させるためには、タンパク質の生産を誘導する誘導剤を添加する方法が知られており、例えば、特許文献5には、タンパク質としてセルラーゼの生産性を向上させるために、培地にセルロースや場合に応じてキシランなどを誘導剤として添加する方法が開示されている。
上述の通り、キシロオリゴ糖の製造に適した糖化酵素を得るためには、セルラーゼによりセルロース含有バイオマスを加水分解した後、該加水分解物からセルラーゼを回収するという方法があるが、ステップ数が多いことが課題であった。また、糖化酵素の生産性の高いトリコデルマ属糸状菌は好気性生物であることから、培養槽での培養の際、培養液中の溶存酸素飽和度が低下するという課題もあった。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、大豆ハルを乾燥重量として0.8w/v%以上を含む培地でトリコデルマ属糸状菌を培養することにより、β−キシロシダーゼ比活性が極めて低下した糖化酵素が得られること、また溶存酸素飽和度の低下が抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)大豆ハルを乾燥重量として0.8w/v%以上含む培地でトリコデルマ属糸状菌を培養することを含む糖化酵素の製造方法。
(2)前記糖化酵素がセルラーゼである(1)に記載の糖化酵素の製造方法。
(3)前記セルラーゼのβ−キシロシダーゼ比活性が、4−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシドを分解する酵素活性として当該セルラーゼタンパク質1mg当たり0.1U/mgタンパク質以下である、(2)に記載の糖化酵素の製造方法。
(4)前記培養が深部培養である(1)〜(3)のいずれかに記載の糖化酵素の製造方法。
(5)(2)〜(4)のいずれかに記載の製造方法で得られたセルラーゼによりキシランおよびセルロースを含むバイオマスを加水分解することを含む、オリゴ糖の製造方法。
(6)前記オリゴ糖がキシロオリゴ糖および/またはセロオリゴ糖である(5)に記載のオリゴ糖の製造方法。
(1)大豆ハルを乾燥重量として0.8w/v%以上含む培地でトリコデルマ属糸状菌を培養することを含む糖化酵素の製造方法。
(2)前記糖化酵素がセルラーゼである(1)に記載の糖化酵素の製造方法。
(3)前記セルラーゼのβ−キシロシダーゼ比活性が、4−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシドを分解する酵素活性として当該セルラーゼタンパク質1mg当たり0.1U/mgタンパク質以下である、(2)に記載の糖化酵素の製造方法。
(4)前記培養が深部培養である(1)〜(3)のいずれかに記載の糖化酵素の製造方法。
(5)(2)〜(4)のいずれかに記載の製造方法で得られたセルラーゼによりキシランおよびセルロースを含むバイオマスを加水分解することを含む、オリゴ糖の製造方法。
(6)前記オリゴ糖がキシロオリゴ糖および/またはセロオリゴ糖である(5)に記載のオリゴ糖の製造方法。
本発明は、大豆ハルを0.8w/v%以上添加した培地でトリコデルマ属糸状菌を培養すると、培養によって得られる糖化酵素を用いることにより、バイオマスから効率よくオリゴ糖を製造することが可能となる。また、本発明の方法を用いることにより、トリコデルマ属糸状菌を培養した際に、培養液中の溶存酸素飽和度を高く維持することも可能となる。
本発明で用いるトリコデルマ属(Trichoderma)糸状菌は、ヒポクレア属(Hypocrea)とも呼ばれるが、本明細書中ではトリコデルマ属と記載する。本発明で用いるトリコデルマ属糸状菌はトリコデルマ属のいずれの種でもよいが、糖化酵素の生産性が高いトリコデルマ属糸状菌が好ましい。具体的には、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)、トリコデルマ・ロンジブラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)が好ましく、より好ましくはトリコデルマ・リーセイである。
本発明で用いる大豆ハルは、大豆の莢に包まれた大豆種子のそれぞれを覆う薄い膜状の種皮であり、大豆種子の一部である。大豆ハルは、大豆種子100g(乾燥重量)当たりに、約10g(乾燥重量)含まれている。大豆ハルは大豆から直接的に製造されてもよく、大豆食品製造の過程で廃棄されるおからや脱脂大豆から間接的に製造されてもよい。大豆ハル(soybean hull)は、ソイビーン・ミルフィードやソイ・ハルなどとも呼ばれるが、本明細書中では大豆ハルと記載する。
本発明では、大豆ハルを乾燥重量として0.8w/v%以上含む培地を調製することができれば、大豆ハルの他、大豆ハルが含まれている大豆由来物、または大豆と大豆由来物の混合物を用いて培地を調製することができる。大豆由来物の具体例としては、おから、脱脂大豆、大豆種子などが挙げられる。なお、乾燥重量とは新鮮重量から水分を除いた値であり、具体的には、大豆ハルまたは大豆由来物を90℃の乾燥器内で12時間放置し、常温に戻した際の重量を乾燥重量とする。
大豆や大豆由来物中に含まれる大豆ハルの乾燥重量は、大豆や大豆由来物中に含まれている不溶性食物繊維として定量することができる。本発明では、プロスキー法に従って定量した値を大豆ハルの乾燥重量として用いる。プロスキー法による具体的な大豆ハルの乾燥重量の定量方法は以下のとおりである。
大豆または大豆由来物を耐熱性α−アミラーゼによってpH6.0、95℃条件下にて30分間処理した後、プロテアーゼによってpH7.5、60℃条件下にて30分処理をする。次にこの酵素処理した大豆をアミログルコシダーゼによってpH4.5、60℃条件下にて30分間処理を行う。続いて、使用した量の4倍量分の体積に当たる95%エタノールを添加し、1時間静置させ、沈殿を生成させた後、吸引ろ過により沈殿物を回収する。回収した沈殿物をエタノールおよびアセトンで洗浄し、洗浄した沈殿物を90℃で12時間乾燥させてから常温に戻した後に乾燥重量を測定する。乾燥させた沈殿物中には、分解されずに残った大豆由来のタンパク質や酵素由来タンパク質、有機物などが含まれるため、別途タンパク質と灰分を定量し、沈殿物の乾燥重量から差し引くことで不溶性食物繊維量を算出する。タンパク質は、乾燥させた沈殿物を、ケルダール法を用いて定量し、灰分は乾燥した沈殿物を600℃で灰化させた後の残渣の重量を、大豆ハルの乾燥重量として定量する。
本発明では、大豆ハルは糖化酵素誘導剤として用いられるため、培地には大豆ハルの他にトリコデルマ属糸状菌を培養するうえで必要な栄養分が含まれる。本発明においてトリコデルマ属糸状菌を培養するための大豆ハル以外の培地組成は、トリコデルマ属糸状菌が糖化酵素を製造できるような培地組成となっていれば特に制限はない。通常、培地は、水を媒体として含み、窒素源及びトリコデルマ属糸状菌の生存又は生育に有用な微量元素を含む。窒素源としては、例えば、コーンスティープリカー、ポリペプトン、肉汁、大豆かすから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。微量元素としては、イオウ、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、マンガン、ホウ素、モリブデン等を挙げることができ、これらの微量元素の塩(イオウの場合硫酸塩等、ホウ素の場合はホウ酸等)を培地に含めることができる。具体例としては、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、塩化鉄、硫酸銅、塩化マンガン、ホウ酸、七モリブデン酸六アンモニウム等を挙げることができ、これらの水和物も用いることができる。なお、大豆ハルは炭素源としても機能するので、別途、炭素源を添加する必要はないが、大豆ハル以外の炭素源が含まれてもよい。この場合、炭素源としては、例えば、糖類を挙げることができる。糖類としては、例えば、グルコース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、セロビオース、ラクトース、スクロースから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。糖類の濃度は、好ましくは200g/L以下であり、より好ましくは100g/L以下であり、特に好ましくは50g/L以下である。また、所望により、培地には、微生物の培養に添加することが周知である消泡剤や界面活性剤を添加してもよい。
大豆ハルを培地に添加する際には大豆ハルに何らかの前処理をしてもよい。具体的な前処理方法としては、乾燥、蒸煮、加熱、粉砕などが挙げられる。
培養するトリコデルマ属糸状菌の菌量が少ない場合には、大豆ハルを含まない通常の条件でトリコデルマ属糸状菌を培養して増殖させ、次に、増殖したトリコデルマ属糸状菌を、大豆ハル含有培地中で培養する、本培養を行ってもよい。
本発明の方法で得られる糖化酵素には、セルラーゼ、アミラーゼ、インベルターゼ、キチナーゼなどが含まれる。本発明では特にセルラーゼを効率的に生産させることができる。
セルラーゼには、様々な加水分解酵素が含まれており、キシラン、セルロース、ヘミセルロースに対する分解活性を持つ酵素などが含まれている。具体例としては、セルロース鎖の加水分解によりセロビオースを生産するセロビオハイドラーゼ(EC 3.2.1.91)、セルロース鎖の中央部分から加水分解するエンドグルカナーゼ(EC 3.2.1.4)、セロオリゴ糖あるいはセロビオースを加水分解するβ−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)、ヘミセルロースあるいは特にキシランに作用することを特徴とするキシラナーゼ(EC 3.2.1.8)、キシロオリゴ糖を加水分解するβ−キシロシダーゼ(EC 3.2.1.37)などが挙げられる。
本発明の方法を用いると、β−キシロシダーゼの比活性が低下したセルラーゼを得ることができる。β−キシロシダーゼは、キシロース2分子がβ1,4−結合したキシロビオースをキシロースに加水分解する酵素である。つまり、本願発明の方法で得られるβ−キシロシダーゼ活性が低下した糖化酵素を用いてキシランを含むバイオマスを加水分解すると、キシロビオースの加水分解が抑制され、キシロオリゴ糖を効率的に製造することができる。キシロオリゴ糖は、キシロースがβ−1,4結合により2糖以上結合した鎖長のものであり、具体的には、キシロビオース、キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペンタオース等である。
β−キシロシダーゼの比活性をさらに低下させキシロオリゴ糖の蓄積量を増大させるためには、トリコデルマ属糸状菌の培養に用いる培地中に大豆ハルが4.0(w/v)%以上含まれていることが好ましく、8.0(w/v)%以上含まれることがさらに好ましい。培地中の大豆ハルの含有量の上限は、特に限定されないが、通常、大豆ハルの含有量は30(w/v)%以下であり、好ましくは20(w/v)%以下であり、特に好ましくは10(w/v)%以下である。
β−キシロシダーゼの比活性は、基質としてp−ニトロフェニルβ−D−キシロピラノシド(4−ニトロフェニル β−D−キシロピラノシド)を用い、酵素分解によって生じた4−ニトロフェノールを405nmの吸光度の増加にて測定する。具体的には、基質溶液(1mM 4−ニトロフェニル β−D−キシロピラノシド、0.1M酢酸ナトリウム(pH5.0))90μLに蒸留水にて20倍希釈した培養上清液10μLを加えて30℃にて正確に30分間反応させる。続いて、反応停止液(2M Na2CO3)10μLを加えてよく混合し、反応を停止させ、405nmの吸光度測定を行う。1単位(U)のβ−キシロシダーゼ活性は、30℃、30分間の反応条件下で、1分間に1μmolの4−ニトロフェノールを遊離させる酵素活性を表す。
β−キシロシダーゼ比活性は、p−ニトロフェニルβ−D−キシロピラノシドに対する活性として、セルラーゼタンパク質1mg当たり0.1U/mgタンパク質以下であることが好ましく、より好ましくは0.02U/mgタンパク質以下であり、さらに好ましくは0.01U/mgタンパク質以下である。
また、本発明の方法で得られるセルラーゼに含まれる加水分解酵素のうち、β−グルコシダーゼの比活性は低いほうが好ましい。β−グルコシダーゼ(BGL)は、グルコースがβ−1,4結合したセロビオースをグルコースに加水分解する酵素であり、β−グルコシダーゼの比活性の低いセルラーゼを用いてバイオマスを加水分解すると、セロオリゴ糖の加水分解反応が進まないため、セロオリゴ糖を効率的に生産することができる。セロオリゴ糖とは、グルコースがβ1,4グルコシド結合により2糖以上結合した鎖長のものを示し、植物の構成成分であるセルロースからなる。酸や酵素などの影響を受けにくい特徴を持つことから、腸にまで届き、便通の改善などを目的に健康食品への添加物などとして使用されている。β−グルコシダーゼ比活性の低い本発明のセルラーゼを用いることで、キシロオリゴ糖とセロオリゴ糖からなるオリゴ糖を得ることができる。
β−グルコシダーゼの比活性は、基質としてp−ニトロフェニルβ−D−グルコピラノシド(4−ニトロフェニル β−D−グルコピラノシド)を用い、酵素分解によって生じた4−ニトロフェノールを405nmの吸光度の増加にて測定する。具体的には、基質溶液〔1mM 4−ニトロフェニル β−D−グルコピラノシド、0.1M酢酸ナトリウム(pH5.0)〕90μLに蒸留水にて20倍希釈した培養上清液10μLを加えて30℃にて正確に10分間反応させる。続いて、反応停止液(2M Na2CO3)10μLを加えてよく混合し、反応を停止させ、405nmの吸光度測定を行う。1単位(U)のBGL活性は、30℃、10分間の反応条件下で、1分間に1.0μmolの4−ニトロフェノールを遊離させる酵素活性を表す。
本発明の好ましいβ−グルコシダーゼの比活性は、p−ニトロフェニルβ−D−グルコピラノシドを分解する酵素活性として、セルラーゼタンパク質1mg当たり1.2U/mgタンパク質以下であることが好ましい。
本発明の方法で得られるセルラーゼには、上記以外の酵素成分として、セロビオハイドラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼが含まれていることが好ましい。
セルラーゼのタンパク質濃度は以下の通り測定を行う。本発明の方法でトリコデルマ糸状菌を培養することにより得られた培養液を15,000×gで10分間遠心分離し、上清をセルラーゼ溶液とする。Quick Start Bradford プロテインアッセイ(Bio−Rad社製)250μLに希釈したセルラーゼ溶液を5μL添加し、室温で15分間静置後の595nmで用いる吸光度を測定する。牛血清アルブミン溶液を標準液とし、検量線に基づいて糖化酵素溶液に含まれるタンパク質濃度を算出する。
本発明でトリコデルマ属糸状菌を培養する培養方法は特に限定されず、例えば遠沈管、フラスコ、ジャーファーメンター、タンクなどを用いた液体培養や、プレートなどを用いた固体培養などで培養することができる。トリコデルマ属糸状菌は、好気的条件で培養することが好ましく、これらの培養方法の中でも、特にジャーファーメンターや、タンク内に通気や撹拌を行いながら培養する深部培養が好ましい。培養は、糖化酵素が生産される条件下で、回収可能な量の糖化酵素が蓄積されるまで行う。培養条件は、特に限定されないが、培養温度は通常、25℃〜35℃程度、好ましくは25℃〜31℃程度である。pHは通常3.0〜7.0程度、好ましくは4.0〜6.0程度である。培養時間は、通常、24時間〜96時間程度、好ましくは36時間〜72時間程度である。通気量は、通常、0.1vvm〜2.0vvm程度、好ましくは0.3vvm〜1.5vvm程度、特に好ましくは0.5vvm〜1.0vvm程度である。
本発明の方法では、大豆ハルがトリコデルマ属糸状菌の培養に用いる培地中に乾燥重量として0.8w/v%以上含まれていることにより、培養中の粘度が上がらないことから溶存酸素飽和度の低下を抑制し、溶存酸素飽和度を高く維持することができる。大きなスケールでの培養を想定した際、培地中の溶存酸素飽和度を高く維持できることは、通気に必要なブロワや撹拌モーターの容量、撹拌エネルギーの削減につながるため効果的である。
培養液中の溶存酸素飽和度は、培養液中の酸素利用速度を測定することによって算出することができる。本発明における酸素利用速度(mM/L/hr)は培養開始後24時間後の単位時間当たりの培養液1L当たりの酸素消費速度のことを指す。具体的な算出方法は、培養条件を一定に保って培養を行い、培養開始後24時間時点で酸素の供給を止め、溶存酸素(mg/L)の値(DO値)を10秒間ごとにプロットし、その曲線の中で対数的に減少している3点以上のプロットについて、その傾き(A)(単位;DO/sec)を求める。酸素利用速度の算出式は以下である。
酸素利用速度(mM/L/hr)=(−A)×(1/32)×60×60・・・(式1)。
DO値の測定には市販のDO計を使用することができる。使用するDO計には特に制限はなく、DO値を正確に測定できるものであれば良い。例として、密閉型DO電極(エイブル株式会社)や溶存酸素センサ(メトラー・トレド株式会社)などが挙げられる。DO計は予め0点校正とスパン校正を行っておく。0点校正は亜硫酸ソーダ2%溶液を使用して行う。スパン校正は実際に培養する条件において菌体が存在しない状態で通気、攪拌を行い、溶存酸素が飽和になるまで待ち、その後計器の指示値が安定していることを確認し、その温度での飽和溶存酸素に合わせて校正を行う。また、培養槽を加圧してDO測定を行う際は、圧補正を行う必要がある。さらに、培養槽が大きい場合は静水圧補正を行う必要がある。補正を行う際の計算式は以下である。
D=DO(1+α+β)・・・(式2)
D:補正した飽和溶存酸素
DO:1気圧、純水中での飽和溶存酸素
α:ゲージ圧(kg/cm2)
β:静水圧(DO計取り付け位置の液深(m)/10)。
D:補正した飽和溶存酸素
DO:1気圧、純水中での飽和溶存酸素
α:ゲージ圧(kg/cm2)
β:静水圧(DO計取り付け位置の液深(m)/10)。
溶存酸素飽和度は、菌を含まない培地を用いてpHや温度を培養条件に設定し、空気を通気した際の溶存酸素の飽和状態を100%とした場合の、飽和溶存酸素に対する培養期間中の溶存酸素の割合を溶存酸素飽和度として算出する。溶存酸素(mg/L)は、水中に溶解している酸素の濃度を表す。飽和溶存酸素とは、実際に培養を行なう培養条件において、菌体が存在しない状態で通気、攪拌を行い、溶存酸素が一定になった状態での溶存酸素のことを指す。また、溶存酸素飽和度を算出する際は、培養期間中に通気条件など培養条件を変化させることはしないこととする。酸素要求性が低下すると、溶存酸素飽和度は増加する。溶存酸素飽和度の算出方法は以下である。
溶存酸素飽和度(%)=(培養中の溶存酸素)/(培養開始前の飽和溶存酸素)×100・・・(式3)
培養液の粘度の測定には、市販のデジタル回転粘度計を使用することができる。使用する粘度計には特に制限はなく、培養液の粘度を正確に測定できるものであれば良い。例として、デジタル回転粘度計 DV2T(BROOKFIELD社)、スピンドル LV−1(BROOKFIELD社)などが挙げられる。デジタル回転粘度計は、予め0点校正を行っておく。培養液の粘度は、培養途中の培養液を指定の容器に入れ、培養液にスピンドルを浸して回転させ、この時のスピンドルに働く粘性抵抗であるトルクを測定することにより、培養液の粘度を測定することができる。粘度の単位は、センチポアズ(cP)とする。1ポアズは、流体内に1cmにつき1cm/秒の速度勾配があるとき、その速度勾配の方向に垂直な面において速度の方向1cm2につき1ダインの力の大きさの応力が生ずる粘度と定義される。
トリコデルマ属糸状菌を培養して得られる糖化酵素は、キシランを含むバイオマスの加水分解反応に使用される。トリコデルマ属糸状菌の培養液から糖化酵素を調製する方法は特に限定はされないが、トリコデルマ属糸状菌の菌体を除去する、もしくは生育していないように処理することが好ましい。これは糖化酵素でキシランを含むバイオマスを加水分解反応する際に生じるグルコースが菌体により消費されるのを防ぐためである。菌体の除去方法としては、遠心分離、膜分離などが例として挙げられる。菌体が生育しないようにする処理方法としては、熱処理、薬剤処理、酸・アルカリ処理、UV処理などが挙げられる。このように菌体を除去又は生育していないように処理した培養液は、そのままバイオマスの加水分解に供することができる。糖化酵素を精製又は部分精製することが望まれる場合には、例えば、フィルタープレス法、遠心分離法、フィルターろ過法等により精製又は部分精製することができる。
本発明のキシランおよびセルロースを含むバイオマスは、特に限定はされず、種子植物、シダ植物、コケ植物、藻類、水草などの植物の他、廃建材なども用いることができる。種子植物は、裸子植物と被子植物に分類されるが、どちらも好ましく用いることができる。被子植物はさらに単子葉植物と双子葉植物に分類されるが、単子葉植物の具体例としては、バガス、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、コーンストーバー、コーンコブ、稲わら、麦わらなどが挙げられ、双子葉植物の具体例としては、ビートパルプ、ユーカリ、ナラ、シラカバなどが好ましく用いられる。本発明において特に好ましいのはバガスである。
また、キシランおよびセルロースを含むバイオマスは、前処理されたものを用いてもよい。前処理方法は特に限定されないが、例えば、酸処理、硫酸処理、希硫酸処理、アルカリ処理、水熱処理、亜臨界処理、微粉砕処理、蒸煮処理、など公知の手法を用いることができる。このような前処理をされたキシランを含むバイオマスとして、パルプを用いてもよい。
また、本発明で得られた糖化酵素によりキシランおよびセルロースを含むバイオマスを加水分解する際の反応条件は特に限定されないが、反応pHは3から7が好ましく、より好ましくは4から6であり、より好ましくは5付近である。反応温度についても特に限定はされないが、40℃から70℃が好ましい。
本発明で得られた糖化酵素によりキシランおよびセルロースを含むバイオマスを加水分解すると、オリゴ糖を効率生産することができる。本発明で生産されるオリゴ糖は、キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルオリゴ糖などが挙げられ、好ましくは、キシロオリゴ糖および/またはセロオリゴ糖である。
生産されたオリゴ糖の回収は、常法、例えば、メンブレンを用いたろ過法等により行うことができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<参考例1>タンパク質濃度測定方法
市販のタンパク質濃度測定試薬(Quick Start Bradfordプロテインアッセイ、Bio−Rad製)を使用した。室温に戻したタンパク質濃度測定試薬250μLに希釈した糸状菌由来セルラーゼ溶液を5μL添加し、室温で5分間静置後の595nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。標準品としてBSAを使用し、検量線に照らし合わせてタンパク質濃度を算出した。
市販のタンパク質濃度測定試薬(Quick Start Bradfordプロテインアッセイ、Bio−Rad製)を使用した。室温に戻したタンパク質濃度測定試薬250μLに希釈した糸状菌由来セルラーゼ溶液を5μL添加し、室温で5分間静置後の595nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。標準品としてBSAを使用し、検量線に照らし合わせてタンパク質濃度を算出した。
<参考例2>β−キシロシダーゼ活性測定方法
1mMp−ニトロフェニル−β−キシロピラノシド(シグマアルドリッチジャパン社製)を含有する50mM酢酸バッファー90μLに酵素希釈液10μLを添加し50℃で30分間反応させた。その後、2M炭酸ナトリウム10μLを加えてよく混合して反応を停止し、405nmの吸光度の増加を測定した。1分間あたり1μmolのp−ニトロフェノールを遊離する活性を1Uと定義した。
1mMp−ニトロフェニル−β−キシロピラノシド(シグマアルドリッチジャパン社製)を含有する50mM酢酸バッファー90μLに酵素希釈液10μLを添加し50℃で30分間反応させた。その後、2M炭酸ナトリウム10μLを加えてよく混合して反応を停止し、405nmの吸光度の増加を測定した。1分間あたり1μmolのp−ニトロフェノールを遊離する活性を1Uと定義した。
<参考例3>β−グルコシダーゼ活性測定方法
1mMp−ニトロフェニル−β−グルコピラノシド(シグマアルドリッチジャパン社製)を含有する50mM酢酸バッファー90μLに酵素希釈液10μLを添加して50℃で10分間反応させた。その後2M炭酸ナトリウム10μLを加えてよく混合して反応を停止し、405nmの吸光度の増加を測定した。1分間あたり1μmolのp−ニトロフェノールを遊離する活性を1Uと定義した。
1mMp−ニトロフェニル−β−グルコピラノシド(シグマアルドリッチジャパン社製)を含有する50mM酢酸バッファー90μLに酵素希釈液10μLを添加して50℃で10分間反応させた。その後2M炭酸ナトリウム10μLを加えてよく混合して反応を停止し、405nmの吸光度の増加を測定した。1分間あたり1μmolのp−ニトロフェノールを遊離する活性を1Uと定義した。
<参考例4>溶存酸素飽和度の算出
培養開始24時間後に酸素供給を停止し、培養液の溶存酸素量の値(DO値)の経時変化を10秒ごとに測定し、プロットした。プロットした曲線の中で対数的に減少している3点以上のプロットの傾きを求め、その傾きから酸素利用速度を求め、式3を用いて、溶存酸素飽和度(%)を算出した。DO計は密閉型溶存酸素電極SDOC−12F−L120(エイブル株式会社製)を使用した。
培養開始24時間後に酸素供給を停止し、培養液の溶存酸素量の値(DO値)の経時変化を10秒ごとに測定し、プロットした。プロットした曲線の中で対数的に減少している3点以上のプロットの傾きを求め、その傾きから酸素利用速度を求め、式3を用いて、溶存酸素飽和度(%)を算出した。DO計は密閉型溶存酸素電極SDOC−12F−L120(エイブル株式会社製)を使用した。
<参考例5>プロスキー法による大豆ハルの定量
乾燥おから(マテリス株式会社製)を耐熱性α−アミラーゼ水溶液によってpH6.0、95℃条件下にて30分間処理した後、プロテアーゼ水溶液によってpH7.5、60℃条件下にて30分処理した。次にこの酵素処理した大豆をアミログルコシダーゼ水溶液によってpH4.5、60℃条件下にて30分間処理を行った。続いて、使用した量の4倍量分の体積に当たる95%エタノールを添加し、1時間静置させ、沈殿を生成させた後、吸引ろ過により沈殿物を回収した。得られた沈殿物をエタノールおよびアセトンで洗浄し、洗浄した沈殿物を90℃で12時間乾燥して乾燥重量を測定した。さらに、乾燥させた沈殿物中に含まれるタンパク質と灰分を定量し、沈殿物の乾燥重量から差し引いた値を、大豆ハルの乾燥重量として以下の実験に用いた。タンパク質の定量はケルダール法を用い、灰分は、乾燥させた沈殿物を600℃で灰化させた後の残渣の重量を計測した。計測された値から、大豆ハルは乾燥おから100g当たり10g含まれていた。
乾燥おから(マテリス株式会社製)を耐熱性α−アミラーゼ水溶液によってpH6.0、95℃条件下にて30分間処理した後、プロテアーゼ水溶液によってpH7.5、60℃条件下にて30分処理した。次にこの酵素処理した大豆をアミログルコシダーゼ水溶液によってpH4.5、60℃条件下にて30分間処理を行った。続いて、使用した量の4倍量分の体積に当たる95%エタノールを添加し、1時間静置させ、沈殿を生成させた後、吸引ろ過により沈殿物を回収した。得られた沈殿物をエタノールおよびアセトンで洗浄し、洗浄した沈殿物を90℃で12時間乾燥して乾燥重量を測定した。さらに、乾燥させた沈殿物中に含まれるタンパク質と灰分を定量し、沈殿物の乾燥重量から差し引いた値を、大豆ハルの乾燥重量として以下の実験に用いた。タンパク質の定量はケルダール法を用い、灰分は、乾燥させた沈殿物を600℃で灰化させた後の残渣の重量を計測した。計測された値から、大豆ハルは乾燥おから100g当たり10g含まれていた。
<参考例6>培養液の粘度の測定
サンプリングした培養開始24時間後の培養液の粘度を測定するため、デジタル回転粘度計 DV2Tとスピンドル LV−1(BROOKFIELD社製)を使用し、回転数を10rpmに設定した際の粘度(cP)を求めた。
サンプリングした培養開始24時間後の培養液の粘度を測定するため、デジタル回転粘度計 DV2Tとスピンドル LV−1(BROOKFIELD社製)を使用し、回転数を10rpmに設定した際の粘度(cP)を求めた。
実施例1
(1) 前培養
トリコデルマ・リーセイ PC−3−7株(ATCC#66589)の胞子を1.0×107/mLになるように生理食塩水で希釈し、その希釈胞子溶液1mLとコーンスティープリカー:5.0(w/v)%、グルコース:2.0(w/v)%、酒石酸アンモニウム:0.37(w/v)%、硫酸アンモニウム:0.14(w/v)%、塩化カルシウム二水和物:0.03(w/v)%、硫酸マグネシウム七水和物:0.03(w/v)%、塩化亜鉛:0.02(w/v)%、塩化鉄(III)六水和物:0.01(w/v)%、硫酸銅(II)五水和物:0.004(w/v)%、塩化マンガン四水和物:0.0008(w/v)%、ホウ酸:0.0006(w/v)%、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物:0.026(w/v)%、PE―M(消泡剤):0.01(w/v)%、Tween80:0.01(w/v)%となるよう精製水で溶解させた前培養液100mLを500mLバッフル付フラスコに入れ、振盪培養機にて28℃、120rpmの条件にて72時間培養を行った。
(1) 前培養
トリコデルマ・リーセイ PC−3−7株(ATCC#66589)の胞子を1.0×107/mLになるように生理食塩水で希釈し、その希釈胞子溶液1mLとコーンスティープリカー:5.0(w/v)%、グルコース:2.0(w/v)%、酒石酸アンモニウム:0.37(w/v)%、硫酸アンモニウム:0.14(w/v)%、塩化カルシウム二水和物:0.03(w/v)%、硫酸マグネシウム七水和物:0.03(w/v)%、塩化亜鉛:0.02(w/v)%、塩化鉄(III)六水和物:0.01(w/v)%、硫酸銅(II)五水和物:0.004(w/v)%、塩化マンガン四水和物:0.0008(w/v)%、ホウ酸:0.0006(w/v)%、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物:0.026(w/v)%、PE―M(消泡剤):0.01(w/v)%、Tween80:0.01(w/v)%となるよう精製水で溶解させた前培養液100mLを500mLバッフル付フラスコに入れ、振盪培養機にて28℃、120rpmの条件にて72時間培養を行った。
(2) 本培養
大豆ハル(株式会社清水製粉工場製)または参考例5の乾燥おから(マテリス株式会社製、大豆ハルを10w/w%含有する。)を下記の本培養培地に添加し、マイクロジャーファーメンター(Bio−Jr.8、バイオット社製)を用い、それぞれ深部培養検討を行った。乾燥おからはそのまま、大豆ハルは、「家庭用臼式 お茶粉末器 まるごと緑茶 EU6820P」(パナソニック株式会社製)を用いて粉砕し、培地に添加した。
大豆ハル(株式会社清水製粉工場製)または参考例5の乾燥おから(マテリス株式会社製、大豆ハルを10w/w%含有する。)を下記の本培養培地に添加し、マイクロジャーファーメンター(Bio−Jr.8、バイオット社製)を用い、それぞれ深部培養検討を行った。乾燥おからはそのまま、大豆ハルは、「家庭用臼式 お茶粉末器 まるごと緑茶 EU6820P」(パナソニック株式会社製)を用いて粉砕し、培地に添加した。
トリコデルマ・リーセイ PC−3−7株の前培養液10mLを、大豆ハルまたは乾燥おからが添加された本培養培地100mLに接種した。前培養溶液接種後の本培養培地における乾燥重量としての大豆ハルの終濃度は大豆ハル:8.0(w/v)%、乾燥おから:8.0(w/v)%(大豆ハル終濃度として0.8w/v%)とした。本培養培地の成分は以下の通りである。
コーンスティープリカー:5.0(w/v)%、硫酸アンモニウム:0.14(w/v)%、塩化カルシウム二水和物:0.03(w/v)%、硫酸マグネシウム七水和物:0.03(w/v)%、塩化亜鉛:0.02(w/v)%、塩化鉄(III)六水和物:0.01(w/v)%、硫酸銅(II)五水和物:0.004(w/v)%、塩化マンガン四水和物:0.0008(w/v)%、ホウ酸:0.0006(w/v)%、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物:0.026(w/v)%、PE−M(消泡剤):0.01(w/v)%、Tween80:0.01(w/v)%。
培養条件は、本培養培地に前培養液を接種後、28℃、900rpm、通気量100mL/minの培養条件にて、pH5に制御しながら深部培養を96時間行った。
(3) 培養液の採取
培養開始96時間後に1mLずつ培養液を採取した。培養液を15,000×g、4℃の条件下で10分間遠心分離を行い、上清を得た。その上清を0.22μmのフィルターでろ過し、そのろ液をセルラーゼ溶液として、以下の実験に用いた。
培養開始96時間後に1mLずつ培養液を採取した。培養液を15,000×g、4℃の条件下で10分間遠心分離を行い、上清を得た。その上清を0.22μmのフィルターでろ過し、そのろ液をセルラーゼ溶液として、以下の実験に用いた。
(4) タンパク質濃度の測定
参考例1で記載した手法を用い、培養開始96時間目の培養液におけるセルラーゼのタンパク質濃度を測定した。その結果、終濃度0.8(w/v)%の大豆ハルを含む培地を用いて培養し得られた培養液に含まれるタンパク質濃度は5.60g/L、終濃度8.0(w/v)%の大豆ハルを含む培地を用いて培養し得られた培養液に含まれるタンパク質濃度は、4.27g/Lであった。結果は表1に示す。
参考例1で記載した手法を用い、培養開始96時間目の培養液におけるセルラーゼのタンパク質濃度を測定した。その結果、終濃度0.8(w/v)%の大豆ハルを含む培地を用いて培養し得られた培養液に含まれるタンパク質濃度は5.60g/L、終濃度8.0(w/v)%の大豆ハルを含む培地を用いて培養し得られた培養液に含まれるタンパク質濃度は、4.27g/Lであった。結果は表1に示す。
(5) β−キシロシダーゼ活性の測定
参考例2で記載した手法を用い、培養開始96時間目のセルラーゼ溶液に含有するβ−キシロシダーゼ(BXL)の比活性を測定した。その結果、大豆ハルを終濃度0.8(w/v)%含む培地を用いて培養し得られたセルラーゼ溶液中のBXL比活性は、0.02U/mgタンパク質であるのに対し、大豆ハルを終濃度8.0(w/v)%含む培地を用いて培養し得られたセルラーゼ溶液中のBXL活性、比活性は、全く検出されなかった。大豆ハルの培養液における含有量が高いほど、BXLの比活性が低下した。結果は表1に示す。
参考例2で記載した手法を用い、培養開始96時間目のセルラーゼ溶液に含有するβ−キシロシダーゼ(BXL)の比活性を測定した。その結果、大豆ハルを終濃度0.8(w/v)%含む培地を用いて培養し得られたセルラーゼ溶液中のBXL比活性は、0.02U/mgタンパク質であるのに対し、大豆ハルを終濃度8.0(w/v)%含む培地を用いて培養し得られたセルラーゼ溶液中のBXL活性、比活性は、全く検出されなかった。大豆ハルの培養液における含有量が高いほど、BXLの比活性が低下した。結果は表1に示す。
(6) β−グルコシダーゼ活性の測定
参考例3で記載した手法を用い、培養開始96時間目のセルラーゼ溶液に含有するβ−グルコシダーゼ(BGL)の比活性を測定した。その結果、大豆ハルを終濃度0.8(w/v)%および8(w/v)%含む培地を用いて培養し得られたセルラーゼ溶液中のBGL比活性は、それぞれ約0.3U/mgタンパク質であった。結果は表1に示す。
参考例3で記載した手法を用い、培養開始96時間目のセルラーゼ溶液に含有するβ−グルコシダーゼ(BGL)の比活性を測定した。その結果、大豆ハルを終濃度0.8(w/v)%および8(w/v)%含む培地を用いて培養し得られたセルラーゼ溶液中のBGL比活性は、それぞれ約0.3U/mgタンパク質であった。結果は表1に示す。
(7) 培養液中の溶存酸素飽和度の測定
参考例4で記載した手法を用い、培養液中の経時的な溶存酸素飽和度を測定した。その結果、大豆ハルを終濃度0.8(w/v)%および8.0(w/v)%含む培地を用いて培養した際、溶存酸素飽和度は60%以上であった。結果は表1に示す。
参考例4で記載した手法を用い、培養液中の経時的な溶存酸素飽和度を測定した。その結果、大豆ハルを終濃度0.8(w/v)%および8.0(w/v)%含む培地を用いて培養した際、溶存酸素飽和度は60%以上であった。結果は表1に示す。
(8) 培養液の粘度の測定
参考例5で記載した手法を用い、培養液中の経時的な粘度を測定した。その結果、大豆ハルを終濃度8.0(w/v)%を含む培地を用いて培養した際、粘度は21.3cPであった。結果は表1に示す。
参考例5で記載した手法を用い、培養液中の経時的な粘度を測定した。その結果、大豆ハルを終濃度8.0(w/v)%を含む培地を用いて培養した際、粘度は21.3cPであった。結果は表1に示す。
(9) キシロオリゴ糖およびセロオリゴ糖の製造
キシランを含むバイオマスとして、パルプ〔Arbocel(登録商標)(J.Rettenmaier&Sohne)〕とバガスを用い、それぞれのセルラーゼ溶液を用いて加水分解反応を行った。2mLチューブにぞれぞれのバイオマスを0.1gとり、それぞれのセルラーゼ溶液をタンパク質として1mg分となるように0.1M 酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)にて希釈し、1mLにメスアップしバイオマスに加えた。そして、ローテーターにて50℃、24時間回転混和した。糖化反応後のサンプルを15,000×g、4℃の条件下で10分間遠心分離を行い、上清を分取し、上清のボリュームの10分の1量の1N 水酸化ナトリウム水溶液を添加し、糖化反応を停止した。
キシランを含むバイオマスとして、パルプ〔Arbocel(登録商標)(J.Rettenmaier&Sohne)〕とバガスを用い、それぞれのセルラーゼ溶液を用いて加水分解反応を行った。2mLチューブにぞれぞれのバイオマスを0.1gとり、それぞれのセルラーゼ溶液をタンパク質として1mg分となるように0.1M 酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)にて希釈し、1mLにメスアップしバイオマスに加えた。そして、ローテーターにて50℃、24時間回転混和した。糖化反応後のサンプルを15,000×g、4℃の条件下で10分間遠心分離を行い、上清を分取し、上清のボリュームの10分の1量の1N 水酸化ナトリウム水溶液を添加し、糖化反応を停止した。
糖化液に含まれるキシロビオース、キシロトリオース、セロビオース、セロトリオース濃度は、下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。
カラム:AQUITY UPLC BEH Amide(Water社製)
移動相A:80% アセトニトリル+0.1% TFA
移動相B:30% アセトニトリル+0.1% TFA
流速:0.12mL/min。
移動相A:80% アセトニトリル+0.1% TFA
移動相B:30% アセトニトリル+0.1% TFA
流速:0.12mL/min。
10分間で移動相Bの割合が0から40%に達するように徐々に上昇させ、10.01分で再び移動相Aのみとし、20分まで分析を行った。
検出方法:ELSD(蒸発光散乱検出器)
温度:55℃。
温度:55℃。
パルプの加水分解反応の結果を表2と表3に、バガスの加水分解反応の結果を表4と表5に示す。キシロビオース製造に関し、大豆ハル0.8(w/v)%含む培地を用いて生産したセルラーゼ溶液よりも大豆ハル8.0(w/v)%含む培地を用いて生産したセルラーゼ溶液の方が、パルプの加水分解時の蓄積量は約2倍多い4.0g/Lであるのに対し、バガスの加水分解時の蓄積量は約2.5倍多い1.75g/Lであった。また、キシロトリオースは、パルプ加水分解時には蓄積されなかったが、バガス加水分解時には、大豆ハル0.8および8.0(w/v)%含む培地を用いて生産したセルラーゼ溶液共に、0.2g/L以上の蓄積量を確認することができた。セロビオース製造に関しては、大豆ハル0.8および8.0(w/v)%含む培地を用いて生産したセルラーゼ溶液共に、パルプ加水分解時にて約9.0g/L、バガス加水分解時にて1.0g/L以上の蓄積量を確認できた。セロトリオースは、パルプ加水分解時にて共に約1.5g/L、バガス加水分解時では蓄積量を確認することはできなかった。
比較例1
(1) 前培養
実施例1と同様の方法で行った。
(1) 前培養
実施例1と同様の方法で行った。
(2) 本培養
実施例1と同様の本培養培地成分に、パルプ〔Arbocel(登録商標)(J.Rettenmaier&Sohne)〕、粉砕バガス、アルカリ処理粉砕バガス、粉砕コーンハル、参考例5の乾燥おから(マテリス株式会社製)を添加した培地をそれぞれ調製した以外は、実施例1と同様の方法で培養試験を行った。粉砕バガスは、バガスの固形物を平均粒径100μmになるよう粉砕したものを粉砕バガスとした。アルカリ処理粉砕バガスは、バガスの固形物1gあたり100mgの水酸化ナトリウムを添加した固形分濃度30(w/v)%のスラリーを180℃、10分間処理後、固液分離を行い、固形物を充分に洗浄したものをアルカリ処理バガスとした。そして、アルカリ処理バガスを平均粒径100μmになるよう粉砕したものをアルカリ処理粉砕バガスとした。粉砕コーンハルは、コーンハル(秦皇島流涌農産品加工有限公司)を平均粒径100μmになるよう粉砕したものを粉砕コーンハルとした。なお、コーンハルはトウモロコシ種子の外皮を示す。
実施例1と同様の本培養培地成分に、パルプ〔Arbocel(登録商標)(J.Rettenmaier&Sohne)〕、粉砕バガス、アルカリ処理粉砕バガス、粉砕コーンハル、参考例5の乾燥おから(マテリス株式会社製)を添加した培地をそれぞれ調製した以外は、実施例1と同様の方法で培養試験を行った。粉砕バガスは、バガスの固形物を平均粒径100μmになるよう粉砕したものを粉砕バガスとした。アルカリ処理粉砕バガスは、バガスの固形物1gあたり100mgの水酸化ナトリウムを添加した固形分濃度30(w/v)%のスラリーを180℃、10分間処理後、固液分離を行い、固形物を充分に洗浄したものをアルカリ処理バガスとした。そして、アルカリ処理バガスを平均粒径100μmになるよう粉砕したものをアルカリ処理粉砕バガスとした。粉砕コーンハルは、コーンハル(秦皇島流涌農産品加工有限公司)を平均粒径100μmになるよう粉砕したものを粉砕コーンハルとした。なお、コーンハルはトウモロコシ種子の外皮を示す。
前記添加物の本培養培地中での終濃度は、パルプ:8.0(w/v)%、粉砕バガス:8.0(w/v)%、アルカリ処理粉砕バガス:8.0(w/v)%、粉砕コーンハル:8.0(w/v)%、乾燥おから:0.5(w/v)%(大豆ハル終濃度として0.05w/v%)とした。
(3) タンパク質濃度の測定
実施例1と同様の方法でそれぞれの培養液から得られたセルラーゼ溶液のタンパク質濃度を測定した。その結果、培養し得られた培養液に含まれるタンパク質濃度は、大豆ハルを添加せずにパルプを添加した場合した場合は約9.6g/L、粉砕バガスを添加した場合は約2.0g/L、アルカリ処理粉砕バガスを添加した場合は約4.9g/L、粉砕コーンハルを添加した場合は約6.3g/Lであった。大豆ハルとして0.05(w/v)%添加した場合は0.77g/Lであり、セルラーゼの生産量が非常に少なく、トリコデルマ・リーセイ PC−3−7株の菌体増殖もほとんど確認できなかった。結果は表6に示す。
実施例1と同様の方法でそれぞれの培養液から得られたセルラーゼ溶液のタンパク質濃度を測定した。その結果、培養し得られた培養液に含まれるタンパク質濃度は、大豆ハルを添加せずにパルプを添加した場合した場合は約9.6g/L、粉砕バガスを添加した場合は約2.0g/L、アルカリ処理粉砕バガスを添加した場合は約4.9g/L、粉砕コーンハルを添加した場合は約6.3g/Lであった。大豆ハルとして0.05(w/v)%添加した場合は0.77g/Lであり、セルラーゼの生産量が非常に少なく、トリコデルマ・リーセイ PC−3−7株の菌体増殖もほとんど確認できなかった。結果は表6に示す。
(4) β−キシロシダーゼ活性の測定
実施例1と同様の方法でそれぞれの培養液から得られたセルラーゼ溶液に含まれるβ−キシロシダーゼ(BXL)の比活性を測定した。その結果、培養し得られたセルラーゼ溶液中の全タンパク質重量に対するBXLの比活性は、パルプを添加した場合は0.24U/mgタンパク質、粉砕バガスを添加した場合は0U/mgタンパク質、アルカリ処理粉砕バガスを添加した場合は0.11U/mgタンパク質、粉砕コーンハルを添加した場合は0.20U/mgタンパク質、大豆ハルとして0.05(w/v)%添加した場合は0.20U/mgタンパク質であった。結果を表4に示す。
実施例1と同様の方法でそれぞれの培養液から得られたセルラーゼ溶液に含まれるβ−キシロシダーゼ(BXL)の比活性を測定した。その結果、培養し得られたセルラーゼ溶液中の全タンパク質重量に対するBXLの比活性は、パルプを添加した場合は0.24U/mgタンパク質、粉砕バガスを添加した場合は0U/mgタンパク質、アルカリ処理粉砕バガスを添加した場合は0.11U/mgタンパク質、粉砕コーンハルを添加した場合は0.20U/mgタンパク質、大豆ハルとして0.05(w/v)%添加した場合は0.20U/mgタンパク質であった。結果を表4に示す。
(5) β−グルコシダーゼ活性の測定
実施例1と同様の方法で、それぞれの培養液から得られたセルラーゼ溶液に含まれるβ−グルコシダーゼ(BGL)の比活性を測定した。その結果、培養して得られたセルラーゼ溶液中の全タンパク質重量に対するBGLの比活性は、パルプを添加した場合は0.23U/mgタンパク質、粉砕バガスを添加した場合は0.39U/mgタンパク質、アルカリ処理粉砕バガスを添加した場合は0.19U/mgタンパク質、粉砕コーンハルを添加した場合は0.26U/mgタンパク質、大豆ハルとして0.05(w/v)%添加した場合は0.30U/mgタンパク質であった。結果を表6に示す。
実施例1と同様の方法で、それぞれの培養液から得られたセルラーゼ溶液に含まれるβ−グルコシダーゼ(BGL)の比活性を測定した。その結果、培養して得られたセルラーゼ溶液中の全タンパク質重量に対するBGLの比活性は、パルプを添加した場合は0.23U/mgタンパク質、粉砕バガスを添加した場合は0.39U/mgタンパク質、アルカリ処理粉砕バガスを添加した場合は0.19U/mgタンパク質、粉砕コーンハルを添加した場合は0.26U/mgタンパク質、大豆ハルとして0.05(w/v)%添加した場合は0.30U/mgタンパク質であった。結果を表6に示す。
(6) 培養液中の溶存酸素飽和度の測定
実施例1と同様の方法で、それぞれの培養液中の経時的な溶存酸素飽和度を測定した。その結果、パルプ、粉末バガス、アルカリ処理粉砕バガス、粉砕コーンハルを終濃度8.0(w/v)%含む培地を用いて培養した際、溶存酸素飽和度は50%以下にまで低下した。大豆ハル0.05(w/v)%含む培地を用いて培養した際の溶存酸素飽和度は90%であったが、上記のとおり、酸素を消費する菌体の増殖がほとんど確認できなかったことにより、溶存酸素の低下が抑制されたと判断した。結果は表6に示す。
実施例1と同様の方法で、それぞれの培養液中の経時的な溶存酸素飽和度を測定した。その結果、パルプ、粉末バガス、アルカリ処理粉砕バガス、粉砕コーンハルを終濃度8.0(w/v)%含む培地を用いて培養した際、溶存酸素飽和度は50%以下にまで低下した。大豆ハル0.05(w/v)%含む培地を用いて培養した際の溶存酸素飽和度は90%であったが、上記のとおり、酸素を消費する菌体の増殖がほとんど確認できなかったことにより、溶存酸素の低下が抑制されたと判断した。結果は表6に示す。
(7) 培養液の粘度の測定
実施例1と同様の方法で、パルプ、粉砕コーンハルを添加した場合の培養液中の経時的な粘度を測定した。その結果、パルプを添加した場合は66.4cP、粉砕コーンハルを添加した場合は31.3cPであった。結果を表7に示す。
実施例1と同様の方法で、パルプ、粉砕コーンハルを添加した場合の培養液中の経時的な粘度を測定した。その結果、パルプを添加した場合は66.4cP、粉砕コーンハルを添加した場合は31.3cPであった。結果を表7に示す。
(8) キシロオリゴ糖の製造
それぞれのセルラーゼ溶液を用いて、実施例1と同様の方法でパルプとバガスの加水分解反応を行った。パルプ、アルカリ処理粉砕バガス、粉砕コーンハルを添加した培養によって得たセルラーゼ溶液を用いてパルプを糖化した結果、いずれのセルラーゼ溶液を用いても、キシロオリゴ糖は全く蓄積していなかった。またバガスを加水分解した結果、パルプ、アルカリ処理粉砕バガスを添加した培養によって得られたセルラーゼ溶液を用いた場合、キシロオリゴ糖の蓄積量は約0.2g/Lであった。また、コーンハルを添加した培養で得られたセルラーゼ溶液を用いた場合、キシロオリゴ糖の蓄積量は約0.1g/Lであった。粉砕バガス、大豆ハルを0.05(w/v)%添加した培養では、糖化反応に必要な充分量のセルラーゼを得ることができなかった。バガスの加水分解反応の結果を表8に示す
それぞれのセルラーゼ溶液を用いて、実施例1と同様の方法でパルプとバガスの加水分解反応を行った。パルプ、アルカリ処理粉砕バガス、粉砕コーンハルを添加した培養によって得たセルラーゼ溶液を用いてパルプを糖化した結果、いずれのセルラーゼ溶液を用いても、キシロオリゴ糖は全く蓄積していなかった。またバガスを加水分解した結果、パルプ、アルカリ処理粉砕バガスを添加した培養によって得られたセルラーゼ溶液を用いた場合、キシロオリゴ糖の蓄積量は約0.2g/Lであった。また、コーンハルを添加した培養で得られたセルラーゼ溶液を用いた場合、キシロオリゴ糖の蓄積量は約0.1g/Lであった。粉砕バガス、大豆ハルを0.05(w/v)%添加した培養では、糖化反応に必要な充分量のセルラーゼを得ることができなかった。バガスの加水分解反応の結果を表8に示す
実施例1と比較例1の結果から、大豆ハルを乾燥重量として0.8w/v%以上含む培地でトリコデルマ属糸状菌を培養することによって、β−キシロシダーゼの活性が低下した糖化酵素が充分に生産されること、さらに、培養液中の溶存酸素濃度の低下も抑制されることがわかった。また、実施例で得られたセルラーゼを用いることによってキシロオリゴ糖を効率的に生産することが可能となり、さらにセロオリゴ糖も同時に生産できることがわかった。
本願発明を用いると、キシランおよびセルロースを含有するバイオマスから簡便かつ効率的にオリゴ糖の生産することに適した糖化酵素を得ることができる。
Claims (6)
- 大豆ハルを乾燥重量として0.8w/v%以上含む培地でトリコデルマ属糸状菌を培養することを含む糖化酵素の製造方法。
- 前記糖化酵素がセルラーゼである請求項1に記載の糖化酵素の製造方法。
- 前記セルラーゼのβ−キシロシダーゼ比活性が、4−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシドを分解する酵素活性として当該セルラーゼタンパク質1mg当たり0.1U/mgタンパク質以下である、請求項2に記載の糖化酵素の製造方法。
- 前記培養が深部培養である請求項1〜3のいずれかに記載の糖化酵素の製造方法。
- 請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法で得られたセルラーゼによりキシランおよびセルロースを含むバイオマスを加水分解することを含む、オリゴ糖の製造方法。
- 前記オリゴ糖がキシロオリゴ糖および/またはセロオリゴ糖である請求項5に記載のオリゴ糖の製造方法。
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