JP6086094B2 - 冷凍チーズケーキ用素材 - Google Patents
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Description
チーズ及びその代替物については、多くの出願が存在する。たとえば、低タンパク質でのチーズ様食品については特許文献1が、また、原料チーズ類の含有量を低減したチーズ様食品については、特許文献2が存在する。
クリームチーズ様食品については、特許文献3〜5が存在する。
特許文献3には、クリームチーズ様食品を冷凍状態で食す場合でも、やわらかく食べやすい物性を有している旨記載があった。しかし、当該クリームチーズ様食品を解凍した際に、どのような物性を示すかについては、開示されていなかった。
特許文献4には、チーズケーキ用油脂組成物へペクチンを添加する旨の記載があった。しかし、当該油脂組成物で調製したチーズケーキが凍結耐性を有するかについては、開示されていなかった。
特許文献6はスフレケーキに関する出願であり、スフレチーズケーキについての記述も存在する。しかし、使用するクリームチーズはナチュラルクリームチーズであり、乳化剤等の作用により凍結耐性を付与する旨記載されている。
(1)水溶性エンドウ多糖類を0.05〜5重量%含有する、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品、
(2)ナチュラルクリームチーズの含有量が20〜80重量%である、(1)記載の、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品、
(3)加水量が10〜40重量%である、(1)又は(2)に記載の、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品、
(4)水溶性エンドウ多糖類を0.05〜5重量%含有させる、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品の製造法、
(5)(1)〜(3)いずれか1つに記載の、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品を使用した、凍結耐性を付与されたチーズケーキ、
に関するものである。
また、
(6)ナチュラルクリームチーズの含有量が20〜80重量%である、(4)記載の、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品の製造法、
(7)加水量が10〜40重量%である、(4)又は(6)に記載の、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品の製造法、
(8)(1)〜(3)いずれか1つに記載の、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品を使用した、凍結耐性を付与されたチーズケーキの製造法、
に関するものである。
工業的にはエンドウ種子に含まれる蛋白質画分並びに澱粉画分を除去した繊維画分を原料として水抽出するのが好ましい。水は熱水にして抽出することも出来る。抽出時のpHはpH3未満の酸性条件下では多糖類の加水分解が促進され、pH12よりアルカリ側では多糖類の脱離分解が促進されるため、pH3からpH12が好ましく、pH4からpH10が特に好ましい。原料に5〜20倍量の水を加水したのち、酸或いはアルカリを添加してpH3からpH12の範囲に調整後、60℃以上150℃以下、好ましくは80℃以上130℃以下の温度で水溶性エンドウ多糖類を抽出する。抽出温度が低くなるにつれ6多糖類の抽出効率が低下傾向となる。また抽出温度が高すぎると抽出の過程で多糖類が加水分解してしまい、所望の機能が低下する場合がある。抽出時間は概ね0.5〜3時間であるが、原料の状態や温度等により、任意に調整することが出来る。
抽出した水溶性エンドウ多糖類は、不溶性繊維分を遠心分離機等により分離した後、そのまま乾燥することも出来るが、より機能を発揮させるために蛋白質の除去、糖質・塩・色素成分等の低分子の除去等の精製を行なうことが望ましい。適宜精製処理を施した水溶性エンドウ多糖類は、必要により任意の殺菌処理を施し、水溶液として用いても良いし、さらに凍結乾燥、噴霧乾燥、エタノール沈殿物の熱風乾燥などの方法にて乾燥物を得ることも出来る。
本発明の水溶性エンドウ多糖類の原料であるエンドウ種子の繊維画分に澱粉が残存する場合、そのままの状態でも水溶性エンドウ多糖類を得ることは可能であるが、澱粉を除去することが好ましい。澱粉は、アミラーゼによる分解等の方法により除去することが出来る。アミラーゼは澱粉を加水分解する酵素の総称であり、β-アミラーゼ、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼが例示される。
本発明の水溶性エンドウ多糖類は、構成成分として分子量1万以上の高分子成分を含むが、以下の条件でのゲル濾過で分析される、分子量1万以上と認められる画分をもって、高分子成分と定義する。平均絶対分子量(MM)は10万から100万が好ましく、20から80万がより好ましい。
ゲル濾過は、HPLC(TSK-gel G-5000PWXL: 東ソー φ7.8mm×300mm)を用い、平均絶対分子量(MM)は、カラム通液後にトルエンでキャリブレーションしたマルチアングルレーザーライトスキャッタリング(MALLS)により求める。分析条件は、溶離液:50mM酢酸ナトリウム水溶液(pH5.0)、流速:1.0mL/min、 RI検出器及びMALLS検出器にて行う。
本発明の水溶性エンドウ多糖類は、構成糖として酸性糖であるガラクツロン酸が含まれるものである。また主要な中性糖としてアラビノースとガラクトースが含まれるものである。その他の中性糖としてグルコース、ラムノース、キシロースおよびフコースが含まれていても良い。酸性糖であるガラクツロン酸の糖組成は3〜40重量%であることが好ましい。また中性糖の糖組成は60〜97重量%であることが好ましい。また中性糖としてアラビノースの糖組成が20〜50重量%であるのが好ましく、ガラクトースの糖組成は10〜30重量%であるのが好ましい。 尚、水溶性エンドウ多糖類の全糖含量はフェノール硫酸法を用いた比色定量法にて、ガラクツロン酸含量はBlumenkrantz法を用いた比色定量法にて測定する。中性糖の組成は、硫酸分解した後、電気化学検出器を用いたイオンクロマトグラフィー法(HPLC-PAD法)を用いて測定する。
ナチュラルクリームチーズの量が多すぎると、コストダウンとならない場合があるし、少なすぎると、チーズケーキにおいて、ナチュラルクリームチーズを用いたものと同様の風味、食感を有するものを提供するという、本発明の課題解決につながらない場合がある。
本発明においては、チーズケーキにおける凍結耐性付与を課題としているが、その課題達成の可否については、ベイクドチーズケーキを指標に判断を行う。具体的方法は、実施例のベイクドチーズケーキの調製法に従い調製した場合の評価により判断する。
具体的には、脱脂粉乳や全粉乳などの乳製品、各種植物性油脂や動物性油脂、溶融塩やpH調整剤、澱粉などである。チーズ加工食品については、先行技術文献として列挙したもの以外にも存在するので、本発明に記載した実施例をベースとして、適宜配合を組み立てることができる。
まず、原材料を計量する。次に、水に必要に応じ溶融塩を添加して約80℃まで加熱し、水溶性エンドウ多糖類を溶解する。ここで、クリームチーズを添加し、適宜澱粉類も添加する。更に、必要に応じ、粉乳や油脂、香料も添加する。
その後、70〜80℃に温度を保ったまま各原料が均一になるまで撹拌混合した後、容器に充填し5℃に急冷することでチーズ様食品を得る。
以下に実施例を記載する。
一晩水に浸漬したエンドウ豆の子葉部に4倍重量の水を加え、水酸化ナトリウムを加えてpH8.5に調整した。ホモミキサーを用いて7000rpm、30分間撹拌粉砕した後、溶液をろ布で絞って繊維を分離した。繊維に4倍重量の水を加え、同様の撹拌・分離を更に2回行い、エンドウ豆三回抽出繊維を得た。エンドウ豆三回抽出繊維に対し固形分8.0重量%となるように加水し、pH5.0に調整後に120℃,90分間加熱抽出した。その後遠心分離(11,000×g,30min)して上清を得た。得られた上清の一部を凍結乾燥し水溶性エンドウ豆多糖類を得た。
実施例1、比較例1〜6
表1に示す配合にてクリームチーズ様食品を調製した。調製法は以下「クリームチーズ様食品の調製法」に記載した。その後「クリームチーズ様食品の評価法」に従い評価を行った。
結果を表2に記載した。
・クリームチーズはTatura Milk社製「オーストラリア産クリームチーズ」を使用した。本品は水分53重量%であった。
・澱粉はイングレディオンジャパン社製「コルフロ67」を使用した。
・グアガムは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製「ビストップD−20」を使用した。
・HMペクチンは三晶株式会社「ゲニュペクチンJMJ−J」を使用した。
・キサンタンガムは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製「サンエース」を使用した。
・難消化性デキストリンは松谷化学工業株式会社「ファイバーソル」を使用した。
・水溶性大豆多糖類は不二製油株式会社製「ソヤファイブーS−DN」を使用した。
1 70℃の水にクリームチーズ(タンパク質;9.2%、脂質;32.5%)と脱脂粉乳、ヤシ油、クエン酸三ナトリウムを添加し、ホモミキサーで撹拌して均一な溶解液とした。
2 澱粉と、配合に従い水溶性エンドウ多糖類、グアガム、HMペクチン、キサンタンガム、難消化性デキストリン、水溶性大豆多糖類を添加し、あるいはいずれも添加しないで、さらにpH調整剤を徐々に添加しpHを4.9〜5.1の間に調整し、80℃で15分間撹拌した。
3 ホモゲナイザーで均質化を行った。
4 プラスティックチューブに充填し、5℃の冷蔵庫中で冷却してチーズ様食品を得た。
調製したクリームチーズ様食品をパネラー4名により、以下の基準に従い、適宜各基準の中間点とし採点の上、平均した。評価項目として、外観、離水、風味、口溶けについて評価し、これらを平均して合否判定を行った。全ての項目について8点以上を合格として合否を判定した。
なお、風味等評価時の比較対象としては市販のクリームチーズ(Tatura Milk社製)を使用した。
(硬さ)
10点;クリームチーズの様な滑らかな物性
8点 ;クリームチーズ様の物性ではあるがわずかに硬い
5点 ;クリームチーズとしては硬い
2点 ;クリームチーズとは異なり、滑らかさがなく顕著に硬い
0点 ;採点不能
(離水)
5℃の冷蔵庫中で3日間保持した時の離水を目視で観察した。
10点;離水なし
8点 ;離水というレベルではないがチーズ様食品の表面にわずかに水分のうきが見られる
5点 ;ごくわずかに離水が確認できる
2点 ;離水あり
0点 ;採点不能
(風味)
10点;クリームチーズ様の爽やかな酸味
8点 ;クリームチーズ様の酸味を呈するが風味のたちが悪い
5点 ;クリームチーズ様の風味を呈するがわずかに異味を感じる
2点 ;異味あり
0点 ;採点不能
(口溶け)
10点;原料クリームチーズよりもさらに滑らかな口溶け
8点 ;原料クリームチーズと同等の口溶け
5点 ;原料クリームチーズにくらべやや重くわずかに粘りを感じる
2点 ;原料クリームチーズよりも明らかに粘り口溶けが悪い
0点 ;評価不能
実施例2、比較例7〜10
検討1で得られたクリームチーズ様食品を用い、ベイクドチーズケーキの調製を行った。配合は表3に記載した。調製法は「ベイクドチーズケーキの調製法」に従った。
得られたベイクドチーズケーキは「ベイクドチーズケーキの評価法」に従い評価を行い、結果を表4に記載した。
焼成以外の全ての工程は室温下で行った。
1 ステンレス製容器に検討1で調製したチーズ様食品と練り込み用クリームを計量し、ミキサーで撹拌しながら混合した。
2 グラニュー糖と薄力粉を添加して撹拌混合した。
3 全卵とホイップクリームを軽く混ぜ合わせたものを添加して均一に混合してベイクドチーズケーキ生地を得た。
4 この生地を、スポンジ生地を敷いた型の中に流し込み、オーブンにて170℃で70分間焼成した。
5 焼成後しばらく放冷し、−20℃の冷凍庫で凍結した。
10日間冷凍庫中で保管し、5℃の冷蔵庫中で解凍してベイクドチーズケーキを評価した。
調製したベイクドチーズケーキをパネラー4名により、以下の基準に従い、適宜各基準の中間点とし採点の上、平均した。評価項目として、作業性、外観・内相、風味、口溶けについて評価し、これらを平均して合否判定を行った。全ての項目について8点以上を合格として合否を判定した。(作業性については、パネラー1名の作業状況を他のパネラーが観察し、採点した)。
(作業性)
ミキシング時において、チーズ様食品の撹拌のし易さ、および他の原料との混ざり易さの程度を示す。
10点;良好に分散し、他原料と容易に混ざる
8点 ;良好に分散するが、他原料とやや混ざり難い
5点 ;やや分散し難く、他原料との均一混合に時間を要する
2点 ;分散し難い
0点 ;採点不能
(外観、内相)
10点;釜伸びが良く十分なボリューム
8点 ;釜伸びが良く、適度なボリューム
5点 ;釜落ちはないがボリュームにやや欠ける
2点 ;釜落ちがあり、焼成ムラがある
0点 ;採点不能
(風味)
10点;チーズケーキ様の爽やかな酸味
8点 ;チーズケーキ様の酸味を呈するが酸味のたちがやや悪い
5点 ;チーズケーキ様の風味を呈するがわずかに異味を感じる
2点 ;異味あり
0点 ;採点不能
(口溶け)
10点;粘りや重さ、老化感がほとんどなく、非常に滑らかな口溶け
8点 ;粘りや重さ、老化感がほとんどなく、口溶けは良い
5点 ;やや粘り、ボソボソとした食感を呈する
2点 ;粘りがあり、ボソボソとした食感で口溶けも悪く、飲み込みにくい
0点 ;評価不能
Claims (4)
- 水溶性エンドウ多糖類を0.05〜5重量%含有する、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品。
- ナチュラルクリームチーズの含有量が20〜80重量%である、請求項1記載の、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品。
- 加水量が10〜40重量%である、請求項1又は2に記載の、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品。
- 水溶性エンドウ多糖類を0.05〜5重量%含有させる、チーズケーキへの凍結耐性付与用のクリームチーズ様食品の製造法。
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