以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1を参照し、本発明に係る記録装置の一実施形態としてのインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
プリンタ1は、プリンタ本体(記録装置本体)1aと、プリンタ本体1aに装着された再送ユニット(着脱ユニット)1bとを有する。再送ユニット1bは、プリンタ本体1aに対して水平方向(副走査方向)に着脱可能である。プリンタ本体1aは、直方体形状の筐体1cを有する。筐体1cの天板上部には、排紙部4が設けられている。筐体1cの内部空間は、上から順に空間A,Bに区分できる。空間A,Bには、給紙部23から排紙部4に向かう用紙搬送経路と、当該用紙搬送経路の下流側から上流側に向かう用紙再送経路とが形成されている。用紙Pは、図1に示されるように、用紙搬送経路では黒太矢印に沿って搬送され、用紙再送経路では白抜き太矢印に沿って搬送される。空間Aでは、用紙Pへの画像記録、用紙Pの排紙部4への搬送、及び、用紙Pの再送が行われる。空間Bでは、給紙部23から用紙搬送経路への給紙が行われる。
空間Aには、ブラックインクを吐出するヘッド2、搬送装置3、2つの用紙センサ26,27、及び、制御部100等が配置されている。また、空間Aには、図示しないカートリッジが装着されている。このカートリッジには、ブラックインクが貯留されている。カーリッジは、チューブ及びポンプ(ともに図示せず)を介してヘッド2と接続され、インクがヘッド2に供給される。
ヘッド2は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するライン式のヘッドである。ヘッド2の下面は、多数の吐出口が開口した吐出面2aである。記録に際して、吐出面2aからブラックインクが吐出される。ヘッド2は、ヘッドホルダ2bを介して筐体1cに支持されている。ヘッドホルダ2bは、吐出面2aがプラテン3d(後述する)との間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド2を保持している。
搬送装置3は、上流ガイド部3a、下流ガイド部3b、再送ガイド部3c、及び、プラテン3dを有している。プラテン3dは、ヘッド2の吐出面2aと対向する位置に配置されている。プラテン3dは、平坦な上面を有しており、用紙Pを下方から支持するとともに、吐出面2aとの間に記録領域(用紙搬送経路の一部)を構成する。上流ガイド部3a,下流ガイド部3bは、プラテン3dを挟んで配置されている。上流ガイド部3aは、2つのガイド31,32と、2つの搬送ローラ対41,42とを有し、記録領域(プラテン3dとヘッド2との間)と、給紙部23とを繋ぐ。2つの搬送ローラ対41,42は、制御部100の制御によって搬送モータ41M,42M(図6参照)が駆動されることで回転し、用紙Pを記録領域に向けて搬送する。
下流ガイド部3bは、2つのガイド33,34と、3つの搬送ローラ対43〜45とを有し、記録領域と排紙部4とを繋ぐ。3つの搬送ローラ対43〜45は、制御部100の制御によって搬送モータ43M〜45M(図6参照)が駆動されることで回転し、用紙Pを排紙部4に向けて搬送する。用紙搬送経路は、4つのガイド31〜34、プラテン3d及びヘッド2によって規定されている。
再送ガイド部3cは、3つのガイド35〜37と、2つの搬送ローラ対46,47と、位置決め機構50とを有し、記録領域を迂回して上流ガイド部3aと下流ガイド部3bとを繋ぐ。ガイド35は、ガイド33の途中部位に接続され、再送ガイド部3cと下流ガイド部3bとを繋いでいる。ガイド37は、ガイド31の途中部位に接続され、再送ガイド部3cと上流ガイド部3aとを繋いでいる。用紙再送経路は、3つのガイド35〜37及び位置決め機構50によって規定されている。また、2つの搬送ローラ対46,47は、制御部100の制御によって搬送モータ46M,47M(図6参照)が駆動されることで回転し、用紙Pを上流ガイド部3aに向けて搬送する。
なお、搬送ローラ対44は、制御部100の制御により、用紙Pの搬送方向が切り換えられる。つまり、搬送ローラ対44は、用紙Pを記録領域から排紙部4へと搬送する場合は、用紙Pが上方へ搬送されるように回転する。一方、搬送ローラ対44は、用紙Pを用紙搬送経路から用紙再送経路へと搬送する場合、用紙Pの後端がガイド33とガイド35との接続箇所と搬送ローラ対44との間にあるときであって用紙センサ27で検知されたときに、用紙Pの後端が先端として下方へ搬送されるように、その回転方向が切り換えられる。用紙搬送経路から用紙再送経路に搬送されてきた用紙Pは、上流ガイド部3aに再送される。このとき、再送される用紙Pは、直前の記録領域を通過したときとはその表裏が反転した状態で当該記録領域に再び搬送される。こうして、用紙Pの両面に画像を記録することが可能となる。
2つの搬送ローラ対46,47は、この順に配置されており、位置決め機構50は、搬送ローラ対46,47間に配置されている。また、位置決め機構50は、鉛直方向に関して、記録領域(プラテン3d)と給紙部23との間に配置されている。位置決め機構50は、上ガイド51と、下ガイド52と、ローラ対60と、規制部53(後述する)と、切り換え機構55(後述する)とを有する。なお、規制部53には、後述のガイド面53aが形成されており、両ガイド51,52間に搬送されてきた用紙Pの幅方向(主走査方向であって用紙Pの搬送方向Eと直交する直交方向)の一端をガイド面53aに当接させながら搬送することで、用紙Pの幅方向の位置決めを行う。位置決め機構50の詳細については、後述する。また、再送ユニット1bは、フレーム1b1と、位置決め機構50と、後述の変更機構70と、2つのICタグ81,82とを有する。位置決め機構50、及び、変更機構70は、フレーム1b1に支持されている。
空間Bには、給紙部23が配置されている。給紙部23は、給紙トレイ24及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ24が、筐体1cに対して着脱可能となっている。給紙トレイ24は、上方に開口する箱であり、複数の用紙Pを収容可能である。給紙ローラ25は、制御部100の制御によって給紙モータ25M(図6参照)が駆動されることで回転し、給紙トレイ24内で最も上方にある用紙Pを送り出す。
ここで、副走査方向とは、搬送ローラ対42,43によって搬送される用紙搬送方向D、及び、搬送ローラ対47、ローラ対60によって搬送される用紙搬送方向Eと平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
次に、図1〜図3を参照しつつ位置決め機構50について、詳細に説明する。図1に示すように、位置決め機構50の上ガイド51及び下ガイド52は、ともに板状部材であり、鉛直方向に互いに離隔するように、フレーム1b1に支持されている。これらガイド51,52間の空間が用紙再送経路の一部(搬送経路)を構成している。図2に示すように、下ガイド52には、厚み方向に貫通した孔52aが形成されている。孔52aは、矩形平面形状を有し、その平面サイズが、主走査方向に関して後述の駆動ローラ61よりも大きく、副走査方向に関して駆動ローラ61よりも若干小さい。下ガイド52は、その上面52bで搬送されてきた用紙Pの下面を支持する。上面52bは、図2中右斜め上に示すように、主走査方向に互いに離隔して形成された2つの穴52b1,52b2を有する。穴52b1にはICタグ81(第1出力部)が設けられており、穴52b2にはICタグ82(第2出力部)が設けられている。これらICタグ81,82の上面は、上面52bの高さ以下に配置されている。なお、プリンタ本体1aには、制御部100と接続されたアンテナ85(入力部)が2つのICタグ81,82と対向する位置に配置されている(図4参照)。2つのICタグ81,82は、アンテナ85と対向しアンテナ85からの電波をエネルギー源として動作するパッシブ型のICタグであり、互いに異なる識別情報を含む電波(第3信号及び第4信号)をアンテナ85にそれぞれ出力する。
規制部53及び切り換え機構55は、下ガイド52の上面52b上に配置されている。切り換え機構55は、図2に示すように、レバー56と、副走査方向に長尺な矩形平面形状を有する板状部材57とを含む。レバー56は、フレーム1b1に立設されたピン56aに回動可能に支持されている。板状部材57の搬送方向Eの上流側端部には、ピン57aが立設されている。レバー56の一端部は、ピン57aに回動可能の連結されている。なお、下ガイド52の上面52bには、板状部材57を主走査方向に移動させるためのガイド(不図示)が形成されている。
板状部材57の図2及び図3中左側端部には、規制部53が立設されている。規制部53は、副走査方向に沿って延在する平板部材であり、副走査方向を面内方向に含む鉛直なガイド面53aを有する。ガイド面53aは、規制部53のローラ対60側の側面によって構成されている。
この構成において、ユーザが、レバー56を図2に示す状態から図3に示す状態へと切り換えると、規制部53が板状部材57とともに図3中右方に移動する。つまり、規制部53のガイド面53aが、第1ガイド位置(図2に示す位置)から第2ガイド位置(図3に示す位置)へと移動する。一方、レバー56を図3に示す状態から図2に示す状態へと切り換えると、ガイド面53aが第2ガイド位置から第1ガイド位置へと移動する。第1ガイド位置は、例えば、A4サイズの用紙を搬送する際に、ガイド面53aを配置する位置である。第2ガイド位置は、例えば、レターサイズの用紙を搬送する際に、ガイド面53aを配置する位置である。このように切り換え機構55は、ユーザの操作によって、用紙サイズに応じた位置へとガイド面53aを移動させる。なお、用紙Pは、図2及び図3において、ガイド面53aよりも左側で搬送される。
ローラ対60は、図2に示すように、駆動ローラ61と、駆動ローラ61と対向する拍車ローラ62とから構成されている。拍車ローラ62は、駆動ローラ61の回転によって、又は、駆動ローラ61によって搬送される用紙Pの搬送に伴って回転する従動ローラである。駆動ローラ61は、孔52aと対向する位置に配置されている。駆動ローラ61は、その上端が下ガイド52の上面52bから上方に僅かに突出するように配置され、上面52b上に搬送されてきた用紙Pの下面と接触する。駆動ローラ61は、軸部61aが筐体1cに回転可能に支持されている。駆動ローラ61は、軸部61aの軸線Mが主走査方向に平行になるように配置されている。駆動ローラ61は、制御部100の制御によって搬送モータ60M(図6参照)が駆動されることで回転し、用紙Pを上流ガイド部3aに向けて搬送する。
拍車ローラ62は、図2に示すように、円環状の4つの拍車62aと、拍車62aが外周側面に固定された円柱状のローラ本体62bとを有している。ローラ本体62bの両端面には、拍車ローラ62の回動軸となる軸部62cが形成されている。拍車ローラ62は、上ガイド51に回転可能に支持されている。拍車ローラ62は、軸部62cの軸線Lとガイド面53aとの交点よりもガイド面53aの搬送方向下流部分と、軸線Lとがなす角の角度θが、例えば、85〜89°、より好ましくは88°(鋭角)となるように、配置されている。
この構成において、用紙Pが搬送ローラ対46によって位置決め機構50へと搬送され、当該用紙Pの先端がローラ対60に達すると、用紙Pは当該ローラ対60によって挟持され、搬送される。このとき、拍車ローラ62は軸線Lが傾斜しているため、用紙P(図2及び図3中二点鎖線で示す)が、図2中太矢印で示す斜め方向に搬送され、ガイド面53aに寄せられる。これにより、用紙Pの右端全体がガイド面53aに接触しながら、搬送方向Eに搬送される。このように、用紙Pの右端がガイド面53aにならいつつ用紙Pが搬送方向Eに搬送されることにより、用紙Pの主走査方向の位置決めを行うことが可能となる。
次に、図2〜図5を参照しつつ変更機構70について、詳細に説明する。変更機構(変更部)70は、軸部71と、付勢部72と、遮蔽部73とを有する。軸部71は、主走査方向に沿って延在する円柱状部材である。軸部71の図4中左端部には、下ガイド52に向かって延在する当接部71aが形成されている。当接部71aは、図2に示すように、ガイド面53aよりも左側に配置されている。つまり、当接部71aは、再送経路に搬送されてきた用紙Pと当接可能な位置に配置されている。軸部71の図4中右端部には、上方に向かって突出する突起71bが形成されている。また、軸部71は、付勢部72の孔72a及び後述の円筒部75の孔75aに挿入されており、これら付勢部72及び円筒部75によって回転可能に支持されている。
付勢部72は、孔72aの外周に設けられたコイルバネ(不図示)を有している。このコイルバネは、一端が付勢部72の本体に係合し、一端が軸部71の外周面に係合し、軸部71が、図5(a)中矢印N方向に回転するように付勢する。なお、付勢部72は、軸部71を矢印N方向に付勢することが可能な構成であれば、どうような構成であってもよい。通常、当接部71aは、軸部71が付勢部72によって付勢されることで、その下端が下ガイド52の上面52bと当接し、位置決めされている。用紙Pが再送経路に搬送されると、当該用紙Pと当接部71aとが当接する。これにより、軸部71が、矢印N方向とは逆方向(すなわち、付勢部72による付勢方向に抗する方向)に回転する。
遮蔽部73は、円筒部75と、一対のフランジ76と、円柱部77と、蓋部78とを有する。一対のフランジ76は、図2及び図3に示すように、板状部材57の搬送方向Eの下流側端部に固定されている。一対のフランジ76のそれぞれには、主走査方向に貫通する孔76a,76bが形成されている。孔76aは、孔75aと同径であり、軸部71が挿通されている。円柱部77は、主走査方向に沿って延在し、円筒部75の図4中右端面に固定されている。孔76bは、孔76aよりも大きく円柱部77よりも若干大きな直径を有し、円柱部77が挿通されている。これにより、円筒部75は、軸部71及び円柱部77を介して、一対のフランジ76によって回転可能に支持されている。この構成により、ガイド面53aが第1ガイド位置と第2ガイド位置との間において移動すると、一対のフランジ76が同様に移動する。円筒部75の主走査方向の両端面は、当該端面と対向する一対のフランジ76の側面と当接している。このため、一対のフランジ76と同様に円筒部75も、ガイド面53aとともに移動する。
円筒部75には、主走査方向に延在する溝75bが形成されている。溝(係合部)75bは、孔75aに連通し、内部に軸部71の突起71bが配置されている。溝75bの幅は、突起71bの幅よりも若干大きめに形成されている。このため、軸部71が回転すると、突起71bと溝75bとが係合し、円筒部75及び円柱部77も軸部71と同様に回転する。溝75bは、主走査方向に沿って延在している。このため、図2及び図3に示すように、ガイド面53aの移動に伴って円筒部75が主走査方向に移動しても、突起71bはその位置に保たれる。このように軸部71は、円筒部75を主走査方向に移動可能に支持する。このため、遮蔽部73の主走査方向の移動を軸部71でガイドすることが可能となる。遮蔽部73をガイドするための専用のガイド部材を別途設ける必要がなくなる。
蓋部78は、図2から図5に示すように、略直方体形状を有しており、その平面サイズが穴52b1,52b2よりも一回り大きい。蓋部78は、円柱部77の図4中右端部に固定されている。このため、蓋部78も、軸部71と同様に回転し、ガイド面53aとともに主走査方向に移動する。通常、蓋部78は、図5(a)に示すように、軸部71が付勢部72によって付勢されることで、当接部71aと同様に、下ガイド52の上面52bと当接する。図4(a)に示すように、ガイド面53aが第1ガイド位置にあると、蓋部78は第1遮蔽位置に位置付けられる。第1遮蔽位置は、ICタグ82を覆う位置であり、ICタグ82が穴52b2と蓋部78によって密閉され、ICタグ82とアンテナ85との電波の送受信が遮蔽される。一方、ICタグ81は、開放された状態であるため、アンテナ85と電波の送受信が行われる。つまり、ICタグ81から第3信号がアンテナ85に出力される。第3信号は、ICタグ81の識別情報を含む信号である。アンテナ85が第3信号を受信すると、アンテナ85は、第1信号を出力する。第1信号は、ICタグ81が出力した電波をアンテナ85が受信したことを示す信号である。図4(b)に示すように、ガイド面53aが第2ガイド位置にあると、蓋部78は第2遮蔽位置に位置付けられる。第2遮蔽位置は、ICタグ81を覆う位置であり、ICタグ81が穴52b1と蓋部78によって密閉され、ICタグ81とアンテナ85との電波の送受信が遮蔽される。一方、ICタグ82は、開放された状態であるため、アンテナ85と送受信が行われる。つまり、ICタグ82から第4信号がアンテナ85に出力される。第4信号は、ICタグ82の識別情報を含む信号である。アンテナ85が第4信号を受信すると、アンテナ85は、第2信号を出力する。第2信号は、ICタグ82が出力した電波をアンテナ85が受信したことを示す信号である。
蓋部78は、当接部71aと用紙Pとが当接すると、図5(b)に示すように、いずれのICタグ81,82も覆わない非遮蔽位置に配置される。このとき、2つのICタグ81,82から第3及び第4信号がアンテナ85に出力される。この結果、アンテナ85から制御部100に、第1及び第2信号が出力される。このような変更機構70により、各ICタグ81,82からアンテナ85への信号を遮蔽するための構成が簡単に実現できる。なお、再送ユニット1bが、プリンタ本体1aに装着されていない場合は、アンテナ85が第3及び第4信号の両方を受信しないため、アンテナ85から制御部100に第1及び第2信号の両方が出力されない。このようにアンテナ85及び2つのICタグ81,82によって、制御部100に第1及び第2信号を出力可能な信号出力部が構成されている。
次に、図6及び図7を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。
制御部100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)101に加えて、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )104、I/F(Interface)105、I/O(Input/Output Port)106等を有する。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータが一時的に記憶される。ASIC104では、画像データの書き換え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)が行われる。I/F105は、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)とのデータ送受信を行う。I/O106は、各種センサの検知信号の入力/出力を行う。
制御部100は、給紙モータ25M、搬送モータ41M〜47M,60M、用紙センサ26,27、アンテナ85、及び、ヘッド2の制御基板等に接続されている。
制御部100は、アンテナ100からの第1及び第2信号の出力状態に基づいて、再送ユニット1bがプリンタ本体1aに装着されているか否か、プリンタ本体1aに装着された再送ユニット1b内に用紙Pが有るか否か、及び、プリンタ本体1aに装着された再送ユニット1b内に用紙Pがない状態においてガイド面53aが第1ガイド位置及び第2ガイド位置のいずれにあるかを判定する。
具体的には、プリンタ本体1aに再送ユニット1bが装着されていない場合は、図7(a)に示すように、ICタグ81,82とアンテナ85とが送受信されないため、アンテナ85から第1及び第2信号が制御部100に出力されない(第4出力状態)。なお、図7においては、出力されない信号に×印を示し、出力される信号に○印を示している。プリンタ本体1aに装着された再送ユニット1b内に用紙Pがなくガイド面53aが第1ガイド位置にある場合は、図7(b)に示すように、蓋部78が第1遮蔽位置に配置されている。このため、ICタグ82から第4信号がアンテナ85に出力されず、ICタグ81から第3信号がアンテナ85に出力され、アンテナ85から制御部100に第2信号が出力されず第1信号が出力される(第1出力状態)。プリンタ本体1aに装着された再送ユニット1b内に用紙Pがなくガイド面53aが第2ガイド位置にある場合は、図7(c)に示すように、蓋部78が第2遮蔽位置に配置されている。このため、ICタグ81から第3信号がアンテナ85に出力されず、ICタグ82から第4信号がアンテナ85に出力され、アンテナ85から制御部100に第1信号が出力されず第2信号が出力される(第2出力状態)。プリンタ本体1aに装着された再送ユニット1b内に用紙Pがある場合は、図7(d)に示すように、蓋部78が非遮蔽位置に配置され、2つのICタグ81,82を覆わない。このため、2つのICタグ81,82から第3及び第4信号がアンテナ85に出力され、アンテナ85から制御部100に第1及び第2信号が出力される(第3出力状態)。制御部100は、アンテナ100のこれら4つの信号出力状態から、上述のような判定を行う。
続いて、プリンタ1の記録動作に係る制御フローについて、図8及び図9のフローチャートを参照しつつ以下に説明する。プリンタ1で記録動作を実行する際は、ユーザによって、プリンタ1の電源がON状態とされる(ステップG1)。制御部100は、アンテナ85の出力状態が第3出力状態であるか否かを判定する(ステップG2)。つまり、再送ユニット1b内に用紙Pがあるか否かを判定する。このとき、ジャムした用紙Pが再送ユニット1b内に残存し、当該用紙Pと当接部71aとが当接していると、アンテナ85の出力状態が第3出力状態となる。つまり、制御部100が第3出力状態である(YES)と判定し、ステップG3の第1エラー処理に進む。
第1エラー処理においては、制御部100は、再送ユニット1bを取り出してジャムした用紙Pを除去する旨を、ユーザに報知する。次に、図9(a)に示すように、制御部100は、アンテナ85の出力状態が第4出力状態であるか否かを判定する(ステップH1)。このとき、再送ユニット1bがプリンタ本体1aに装着されたままで、ジャムした用紙Pが除去されていない場合は、制御部100がステップH1においてNOと判定し、このまま待機する。一方、ユーザによって再送ユニット1bがプリンタ本体1aから取り外された場合は、制御部100がステップH1においてYESと判定する。このとき、ユーザによって再送ユニット1b内のジャムした用紙Pが除去される。
次に、制御部100は、アンテナ85の出力状態が第4出力状態であるか否かを判定する(ステップH2)。このとき、再送ユニット1bがプリンタ本体1aに装着されていない場合は、制御部100がステップH2においてYESと判定し、このまま待機する。一方、ユーザによって再送ユニット1bがプリンタ本体1aに装着されると、制御部100がステップH2においてNOと判定する。
次に、制御部100は、ステップG2と同様に、アンテナ85の出力状態が第3出力状態であるか否かを判定する(ステップH3)。このとき、ジャムした用紙Pが再送ユニット1b内に残存し、当接部71aと当接していると、アンテナ85の出力状態が第3出力状態となる。つまり、制御部100がYESと判定し、ステップH1に戻る。一方、ユーザによってジャムした用紙Pが除去されていると、制御部100がNOと判定し、当該第1エラー処理のフローが終了する。
制御部100が、ステップG2においてNOと判定した場合、及び、ステップH3においてNOと判定した場合、ステップG4で記録指令を受信するまで待機する。記録指令を受信すると(YES)、制御部100は、記録指令に含まれる情報が片面記録か否かを判定する(ステップG5)。制御部100は、ステップG5においてYESと判定した場合は、片面記録動作を実行する(ステップG6)。つまり、記録指令に基づいて、制御部100が、給紙ローラ25、搬送ローラ対41〜45を駆動する。給紙トレイ24から送り出された用紙Pは、記録領域に搬送される。記録領域に搬送された用紙Pは、ヘッド2のすぐ下方を通過する際に、制御部100によってヘッド2が制御され、ヘッド2からインク滴が吐出される。これにより、用紙Pの表面(片面)に所望の画像が記録される。インクの吐出動作(インクの吐出タイミング)は、用紙センサ26からの検知信号に基づく。なお、用紙センサ26は、ヘッド2よりも搬送方向の上流に配置されて、用紙Pの先端を検知する。そして、画像が記録された用紙Pは、排紙部4に排出される。
この後、ステップG7において、次の記録指令を受信した場合(YES)は、ステップG5に戻り、受信していない場合(NO)は、当該記録動作に係る制御フローが終了する。
制御部100は、ステップG5においてNOと判定した場合は、記録指令に含まれる用紙サイズの情報と、アンテナ85の出力状態(第1出力状態又は第2出力状態)とが一致するか否かを判定する(ステップG8)。つまり、用紙サイズの情報がA4の場合は、アンテナ85からの出力状態が第1出力状態であるかを判定する。用紙サイズの情報がレターサイズの場合は、アンテナ85からの出力状態が第2出力状態であるかを判定する。このとき、用紙サイズの情報と、アンテナ85の出力状態とが一致しない場合、ステップG9の第2エラー処理に進む。
第2エラー処理においては、図9(b)に示すように、制御部100は、アンテナ85の出力状態が第4出力状態であるか否かを判定する(ステップJ1)。再送ユニット1bがプリンタ本体1aに装着されている場合は、制御部100がステップJ1においてNOと判定し、ステップJ2に進む。制御部100は、ステップG8と同様に、用紙サイズの情報とアンテナ85の出力状態とが一致するか否かを判定し、一致するまで待機する。このとき、制御部100は、用紙サイズの情報とアンテナ85の出力状態とが一致しない場合には、レバー56を切り換える旨を、ユーザに報知する。このとき、ユーザによってレバー56が切り換えられると、制御部100がステップJ2においてYESと判定し、当該第2エラー処理のフローが終了する。なお、レバー56は、再送ユニット1bがプリンタ1に装着された状態で、ユーザが操作可能な位置に配置されているが、再送ユニット1bをプリンタ1から取り外した状態で、ユーザが操作可能な位置に配置されていてもよい。
制御部100がステップJ1においてYESと判定した場合は、ステップJ3へと進み、再度、制御部100が、アンテナ85の出力状態が第4出力状態であるか否かを判定する。このとき、再送ユニット1bがプリンタ本体1aに装着されていない場合は、制御部100がステップJ3においてYESと判定し、このまま待機する。一方、ユーザによって再送ユニット1bがプリンタ本体1aに装着されると、制御部100がステップJ3においてNOと判定する。
次に、制御部100は、ステップG2と同様に、アンテナ85の出力状態が第3出力状態であるか否かを判定する(ステップJ4)。ジャムした用紙Pが再送ユニット1b内に残存し、当該用紙Pと当接部71aとが当接していると、アンテナ85の出力状態が第3出力状態となる。つまり、制御部100が第3出力状態である(YES)と判定し、ステップG3と同様の第1エラー処理(ステップJ5)に進む。制御部100が、ステップJ4においてNOと判定した場合、ステップJ2に進み、上述したように第2エラー処理のフローが終了する。
制御部100が、ステップG8でYESと判定した場合、及び、ステップJ2でYESと判定した場合、制御部100は片面記録動作を実行する(ステップG10)。つまり、記録指令に基づいて、制御部100が、給紙ローラ25、搬送ローラ対41〜45を駆動する。給紙トレイ24から送り出された用紙Pは、記録領域に搬送され、上述と同様に、用紙Pの表面(片面)に所望の画像が記録される。この後、用紙Pの後端を用紙センサ27が検知すると、制御部100が搬送ローラ対44を逆回転するとともに、搬送モータ46M,47M,60Mを駆動する。これにより、用紙Pは、その経路が切り替えられ、用紙再送経路(白抜き矢印の示す経路)に沿って搬送され、記録領域に再送される(ステップG11)。
次に、ステップG12において、用紙センサ26が用紙Pを検出しない場合(NO)は、制御部100が、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップG13)。所定時間が経過していない場合(NO)、ステップG12に戻る。なお、所定時間は、用紙Pが用紙センサ27により検知された時点から、用紙センサ26により検知されるべき時点までの経過時間である。所定時間は、用紙Pが用紙センサ27により検知される地点から、用紙センサ26により検知される地点までの間の搬送距離を、搬送速度で割ることで算出される。所定時間が経過した場合(YES)、制御部100が、アンテナ85の出力状態が第3出力状態であるか否かを判定する(ステップG14)。このとき、ジャムした用紙Pが再送ユニット1b内に残存し、当接部71aと当接していると、アンテナ85の出力状態が第3出力状態となる。つまり、制御部100がYESと判定し、ステップG3と同様な第1エラー処理(ステップG15)に進む。このステップG15の第1エラー処理が終了した場合は、再度、片面記録動作を実行する必要があるため、ステップG8に戻る。一方、制御部100が、ステップG14においてNOと判定する場合は、ステップG12に戻る。
ステップG12において、用紙センサ26が用紙Pを検出した場合(YES)は、制御部100が、両面記録動作を実行する(ステップG16)。つまり、制御部100がヘッド2を制御して、裏面に画像を記録する。なお、裏面への画像記録に先立って、用紙Pの先端が用紙センサ26に検出されると、制御部100の制御の下、搬送ローラ対44が正回転に戻される。制御部100は、両面記録された用紙Pを、下流ガイド部3bを介して、排紙部4に排出する。この後、ステップG7に進み、上述と同様の処理が行われ、当該記録動作に係る制御フローが終了する。
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ1によると、制御部100は、アンテナ85からの信号の出力状態に基づいて、プリンタ本体1aに再送ユニット1bが取り付けられているか否か、プリンタ本体1aに取り付けられた再送ユニット1b内に用紙Pが有るか否か、及び、再送ユニット1b内に用紙Pがない状態においてガイド面53aが第1ガイド位置及び第2ガイド位置のどちらにあるかを判定することが可能となる。このため、プリンタ本体1aに再送ユニット1bが取り付けられているか否かを検出するために、第1信号及び第2信号以外の別の信号を制御部100へ新たに出力するセンサなどの信号出力部を設ける必要がなくなり、プリンタ1のコストの増加を抑制すること、及び、プリンタ1の大型化を抑制することが可能となる。
変更機構70の蓋部78は、ガイド面53aが第1ガイド位置にあるときに、第1遮蔽位置をとり、ガイド面53aが第2ガイド位置にあるとき、第2遮蔽位置をとるように構成されている。これにより、制御部100が、ガイド面53aが第1ガイド位置にあるか第2ガイド位置にあるかを判定することが可能となる。また、当接部71aに用紙Pが当接すると、蓋部78が第1及び第2遮蔽位置のいずれかから非遮蔽位置に移動する。このため、制御部100は、再送ユニット1b内の用紙Pの有無を判定することができる。
上述に実施形態においては、ICタグ81,82(出力部)からの各信号が入力される入力部として1つのアンテナ85が採用されていたが、第1変形例として、2つの入力部が採用されてもよい。例えば、ICタグ81に対応するアンテナと、ICタグ82に対応するアンテナとを採用してもよい。この場合は、制御部100は、各アンテナからの信号出力状態に基づいて、上述の実施形態と同様に、判定する。また、ICタグ81,82はパッシブ型であるが、アクティブ型であってもよい。
また、第2変形例として、図10に示すように、信号出力部として、2つの光センサ203,204を採用してもよい。この場合、出力部として発光部201a,201b、入力部として発光部201a,201bからの光をそれぞれ受光する受光部202a,202bを採用してもよい。また、発光部201a,201bからの光を受光部202a,202bへと反射する2つの反射板205,206を新たに採用してもよい。この場合、反射板205はICタグ81に代えて、反射板206はICタグ82に代えて再送ユニット1bに設けられる。2つの光センサ203,204は、アンテナ85に代えて、プリンタ本体1aに設けられる。再送ユニット1bがプリンタ本体1aに取り付けられている場合に、光センサ203と反射板205とが、光センサ204と反射板206とがそれぞれ鉛直方向に対向する。つまり、反射板205は光センサ203に対応し、反射板206は光センサ204に対応する。
光センサ203は、発光部201a(第1出力部)から発光し反射板205に反射した光(第3信号)を受光部202a(第1入力部)で受光することで、第1信号を制御部100に出力する。光センサ204は、発光部201b(第2出力部)から発光し反射板206に反射した光(第4信号)を受光部202b(第2入力部)で受光することで、第2信号を制御部100に出力する。このような2つの光センサ203,24及び2つの反射板205,206を採用しても、蓋部78が、状況に応じて、第1遮蔽位置(反射板205と対向する位置)、第2遮蔽位置(反射板206と対向する位置)、及び、非遮蔽位置(反射板205,206と対向しない位置)に配置されるため、制御部100が、上述と同様に、判定することが可能となる。この結果、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、この変形例において、第1及び第2遮蔽位置に配置される蓋部78は、反射板205,206による反射光を遮ることができればよいため、上面52bと当接していなくてもよい。つまり、反射板205,206と光センサ203,204との間に配置されておればよい。
また、第3変形例として、図11及び図12に示すように、プリンタ本体1aに2つの光センサ203,204及び2つの反射板205,206が設けられていてもよい。なお、この第3変形例における2つの光センサ203,204及び2つの反射板205,206は、上述の第2変形例のときと、主走査方向にその場所が入れ替わっている。
この第3変形例における再送ユニット301bは、図11に示すように、平板状の下ガイド352と、規制部53と、切り換え機構55と、ローラ対60とを有する。下ガイド352(変更部)は、矩形平面形状を有する板状部材であり、搬送されてきた用紙Pの下面を支持する。下ガイド352は、副走査方向に関して、板状部材57と同じ長さを有し、互いの端部同士が接続され、一体的に形成されている。下ガイド352及び板状部材57は、フレーム301b1に対して主走査方向に移動可能に支持されている。切り換え機構55のレバー56は、フレーム301b1に立設されたピン56aに回動可能に支持されている。これにより、レバー56を操作することで、上述の実施形態と同様に、ガイド面53aが第1ガイド位置と第2ガイド位置とのいずれかをとるように移動させることができる。
下ガイド352には、2つの孔352a,352bが形成されている。孔352aは、駆動ローラ61と拍車ローラ62とが互いに対向することが可能なように形成されている。孔352bは、図12(a)に示すように、ガイド面53aが第1ガイド位置にあるときに、反射板205と対向し、図12(b)に示すように、ガイド面53bが第2ガイド位置にあるときに、反射板206と対向可能な位置に形成されている。このため、ガイド面53aが第1ガイド位置にあると、光センサ203は、発光部201a(第1出力部)から発光し反射板205に反射した光(第3信号)を受光部202a(第1入力部)で受光し、第1信号を制御部100に出力する(第1出力状態)。ガイド面53aが第2ガイド位置にあると、光センサ204は、発光部201b(第2出力部)から発光し反射板206に反射した光(第4信号)を受光部202b(第2入力部)で受光し、第2信号を制御部100に出力する(第2出力状態)。
第3変形例においては、例えば、用紙Pがジャムし、図12(c)に示すように、再送ユニット301b内に用紙Pが残存すると、2つの光センサ203,204からは第1及び第2信号が出力されない(第3出力状態)。つまり、制御部100は、2つの光センサ203,204から第1及び第2信号が出力されないときのみに、プリンタ本体1aに取り付けられた再送ユニット301b内に用紙Pがあると判定する。プリンタ本体1aに再送ユニット301bが取り付けられていない場合は、2つの光センサ203,204は、反射板205,206からの反射光を受光することができるため、第1及び第2信号を出力する(第4出力状態)。つまり、制御部100は、2つの光センサ203,204から第1及び第2信号が出力されるときのみに、プリンタ本体1aに再送ユニット301bが取り付けられていないと判定する。
以上のように、第3変形例のプリンタにおいても、制御部100は、2つの光センサ203,204からの信号の出力状態に基づいて、プリンタ本体1aに再送ユニット301cが取り付けられているか否か、プリンタ本体1aに取り付けられた再送ユニット301c内に用紙Pが有るか否か、及び、再送ユニット301c内に用紙Pがない状態においてガイド面53aが第1ガイド位置及び第2ガイド位置のどちらにあるかを判定することが可能となる。このため、上述の実施形態と同様に、プリンタのコストの増加を抑制すること、及び、プリンタの大型化を抑制することが可能となる。なお、上述の第2及び第3変形例においては、反射板205,206の代わりに、光を発光する発光部(出力部)を設けてもよい。この場合、光センサ203,204は、受光部(入力部)だけを有しておればよい。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態及び各変形例においては、再送ユニット1b、301bがプリンタ本体1aに着脱可能に構成されているが、下流ガイド部内に位置決め機構50が設けられ、当該部分に着脱可能なユニットが設けられていてもよい。この場合、片面記録のときでも、図8に示すステップG8,G9の処理を、ステップG5,G6間で行うことが好ましい。
遮蔽部73は、軸部71に対して主走査方向に相対移動可能であれば、円筒部75に代えて、角筒部を有していてもよい。また、円筒部75は、突起71bと係合可能であれば、溝75bに限らず、どのような形状の係合部を有していてもよい。
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。さらに、画像記録する記録装置であれば、例えば、レーザー式やサーマル式など、どのような記録装置にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。