以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1を参照し、本発明に係る記録装置の一実施形態としてのインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。プリンタ1の下端には、増設給紙ユニット(第2積載部)101が装着されている。この増設給紙ユニット101は、プリンタ1に対して、鉛直方向に着脱可能である。筐体1aの天板上部には、排紙部(排出部)4が設けられている。筐体1aの内部空間には、給紙部(第1積載部)23から排紙部4に向かう用紙搬送経路と、当該用紙搬送経路の下流側から上流側に向かう用紙再送経路と、用紙搬送経路の上流部分に接続された接続経路とが形成されている。用紙Pは、図1に示されるように、用紙搬送経路では黒太矢印に沿って搬送され、用紙再送経路では白抜き太矢印に沿って搬送される。また、用紙Pは、接続経路では増設給紙ユニット101から用紙搬送経路へと搬送される。
筐体1a内には、ブラックインクを吐出するヘッド(記録部)2、搬送機構3、給紙部23、及び、本体制御装置100等が配置されている。また、筐体1a内には、図示しないカートリッジが装着されている。このカートリッジには、ブラックインクが貯留されている。カーリッジは、チューブ及びポンプ(ともに図示せず)を介してヘッド2と接続され、インクがヘッド2に供給される。
ヘッド2は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するライン式のヘッドである。ヘッド2の下面は、多数の吐出口が開口した吐出面2aである。記録に際して、吐出面2aから下方に向けてブラックインクが吐出される。ヘッド2は、ヘッドホルダ2bを介して筐体1aに支持されている。ヘッドホルダ2bは、吐出面2aがプラテン5(後述する)との間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド2を保持している。
搬送機構3は、11個のガイド部材11〜21と、7つの搬送ローラ対41〜47と、プラテン5と、位置決め機構50と、分離機構30と、給紙ローラ22とを含む。給紙ローラ22は、給紙トレイ24(後述する)内で最も上方にある用紙Pと接触する位置に配置されている。給紙ローラ22は、本体制御装置100の制御により駆動されることで、給紙トレイ24の用紙Pを送り出す。プラテン5は、ヘッド2の吐出面2aと対向する位置に配置されている。プラテン5は、平坦な上面を有しており、用紙Pを下方から支持するとともに、吐出面2aとの間に記録領域(用紙搬送経路の一部であって第4経路の一部)を構成する。
用紙搬送経路は、第1経路〜第5経路によって構成される。第1経路は、2つのガイド部材11、12によって規定された経路であって、給紙部23から第2経路に向かって湾曲した経路部分を有している。第1経路は、給紙部23から搬送された用紙Pを、図1中左方に向かうように案内した後に、図1中下方に向かうように案内し、さらにその後、図1中右方に向かうように案内する経路である。換言すると、第1経路は、給紙部23から搬送された用紙PがUターンするように案内する経路であって、給紙トレイ24に積載された状態の用紙Pの上面Pa及び下面Pbを反転させるための経路である。第2経路は、ガイド部材13によって規定された経路であって副走査方向に沿って直線状に延在している。第2経路は、給紙部23の下方にある。第2経路における用紙Pの搬送方向は、図1中右向きである。第3経路は、2つのガイド部材14,15によって規定された経路であって、第2経路から第4経路に向かって湾曲した経路部分を有している。第3経路は、第2経路から搬送された用紙Pを、図1中右方に向かうように案内した後に、図1中上方に向かうように案内し、さらにその後、図1中左方に向かうように案内する経路である。換言すると、第3経路は、第2経路から搬送された用紙PがUターンするように案内する経路であって、第2経路で搬送される状態の用紙Pの上面(下面Pb)及び下面(上面Pa)を反転させるための経路である。第4経路は、2つのガイド部材16,17及びヘッド2とプラテン5とによって規定された経路であって、副走査方向に沿って直線状に延在している。第4経路は、給紙部23を第2経路とで挟む位置にある。第4経路における用紙Pの搬送方向は、図1中左向きであり、第2経路における用紙Pの搬送方向と逆向きである。第5経路は、2つのガイド部材18,19によって規定された経路であって、第4経路から排紙部4に向かって湾曲した経路部分を有している。
用紙再送経路は、第6経路によって構成されている。第6経路は、第5経路と第2経路とを接続し、第5経路から搬送された用紙Pが、図1中下方に向かうように案内した後、図1中右方に向かうように案内する経路である。第6経路は、記録領域(プラテン5とヘッド2との間)を迂回する経路であって、ガイド部材20、ガイド部材11の一部及びガイド部材12によって規定されている。ガイド部材20はガイド部材11の途中部位に接続されている。このように第6経路と第1経路とは、その一部が共通の経路となっている。
搬送ローラ対41は、第1経路の途中にあってガイド部材11とガイド部材12との間に配置されている。搬送ローラ対42は、第2経路と第3経路との接続箇所であって、ガイド部材13とガイド部材14との間に配置されている。搬送ローラ対43は、第3経路の途中にあってガイド部材14とガイド部材15との間に配置されている。搬送ローラ対44は、第3経路と第4経路の接続箇所にあってガイド部材15とガイド部材16との間に配置されている。搬送ローラ対45は、第4経路と第5経路の接続箇所にあってガイド部材17とガイド部材18との間に配置されている。搬送ローラ対46は、第5経路の途中にあってガイド部材18とガイド部材19との間に配置されている。搬送ローラ対47は、ガイド部材19と排紙部4との間に配置されている。これら7つの搬送ローラ対41〜47が、本体制御装置100の制御により駆動されることで、用紙Pが第1経路〜第5経路へと順に搬送され、排紙部4に排出される。
なお、搬送ローラ対(再送ローラ対)46は、本体制御装置100の制御により、用紙Pの搬送方向が切り換えられる。つまり、搬送ローラ対46は、用紙Pを記録領域から排紙部4へと搬送する場合は、用紙Pが上方へ搬送されるように回転する。一方、搬送ローラ対46は、用紙Pを用紙搬送経路から用紙再送経路へと搬送する場合は、用紙Pの後端がガイド部材18とガイド部材20との接続箇所と搬送ローラ対46との間にあるときであって用紙センサ27で検知されたときに、用紙Pの後端が先端として下方へ搬送されるように、その回転方向が切り換えられる。用紙搬送経路から用紙再送経路に搬送されてきた用紙Pは、第2経路に再送される。このとき、再送される用紙Pは、直前の記録領域を通過したときとはその表裏が反転した状態で当該記録領域に再び搬送される。こうして、用紙Pの両面に画像を記録することが可能となる。
分離機構30は、送りローラ31と、摩擦部材(分離部材)32とを有する。摩擦部材32は、送りローラ31と対向する位置であって送りローラ31の下方に配置されている。送りローラ31は、給紙ローラ22によって給紙トレイ24から送り出された用紙Pの上面Paと接触する。摩擦部材32は、送りローラ31によって搬送される用紙Pの下面Pbと摺擦する。送りローラ31は、本体制御装置100の制御により、一方向(図1中時計回り)に回転する。また、送りローラ31は、図示しない付勢機構によって下方(摩擦部材32に向かって)に付勢されている。このため、送りローラ31は、送りローラ31と摩擦部材32との間に送り出された用紙Pであって、送りローラ31と接触する用紙Pを第1経路に搬送することが可能となる。摩擦部材32は、コルクやゴムなどの摩擦係数の高い部材により構成されているのが好ましい。
この構成において、本体制御装置100の制御により、給紙ローラ22及び送りローラ31が回転し、給紙ローラ22から1枚の用紙Pが搬送されてきた場合、当該用紙Pの上面Paは送りローラ31と当接し、用紙Pは送りローラ31の回転力によって第1経路へと搬送される。このとき、当該用紙Pの下面Pbは、摩擦部材32に摺擦されながら移動する。これにより、当該用紙Pが、摩擦部材32によって搬送方向(送りローラ31によって用紙Pが搬送される方向)とは逆方向の搬送抵抗を受ける。摩擦部材32が、当該用紙Pの下面Pbと当接して搬送抵抗を付与するため、当該用紙Pの下面Pbに傷や紙粉が生じやすい。一方、給紙ローラ22及び送りローラ31が回転し、給紙ローラ22から複数の用紙Pが重送されてきても、給紙ローラ22と接触した用紙Pが主に送りローラ31によって第1経路へと搬送される。このとき、用紙Pの下側であって重送された別の用紙Pの下面Pbが摩擦部材32と当接する。これにより、当該別の用紙Pが、摩擦部材32によって搬送方向(送りローラ31によって用紙Pが搬送される方向)とは逆方向の搬送抵抗を受ける。このため、当該別の用紙Pは摩擦部材32と当接することによって搬送方向に搬送されず、重送された複数の用紙Pのうち1枚の用紙Pだけが第1経路へと搬送される。なお、この場合であっても、当該別の用紙Pの下面Pbは、摩擦部材32と当接して搬送抵抗が付与されるため、傷や紙粉が生じやすい。また、本実施形態においては、用紙Pの後端が送りローラ31と摩擦部材32との間に挟持されているときに、用紙Pの先端がヘッド2よりも搬送方向の上流側に位置するように構成されている。これによって、摩擦部材32が用紙Pに対して付与する搬送抵抗によって搬送精度が低下する場合があったとしても、画質の低下を抑制することできる。変形例として、用紙Pの後端が送りローラ31と摩擦部材32との間に挟持されているときに、用紙Pの先端がヘッド2よりも搬送方向下流側に位置するように構成されていてよい。
位置決め機構50は、図1及び図2に示すように、ガイド部材13の下ガイド13bに形成された垂直部51と、斜送ローラ対52とを有している。なお、ガイド部材13は、上ガイド13a及び下ガイド13bを有し、鉛直方向に関して互いに離隔して配置されている。上ガイド13aと下ガイド13bとの間に第2経路が規定されている。また、第2経路は、垂直部51のガイド面51a(後述する)によっても規定されている。位置決め機構50は、第2経路に搬送されてきた用紙Pの幅方向(主走査方向であって用紙Pの搬送方向E(図2参照)と直交する直交方向)の一端をガイド面(後述する)51aに当接させながら搬送することで、用紙Pの幅方向の位置決めを行う。ここでいう用紙Pの幅方向の一端は、用紙Pの幅方向の両端のうちの、ガイド面51aに近い側の一端である。
垂直部51は、下ガイド13bの主走査方向の一端(図2中左端)から鉛直方向(図2中紙面垂直方向)に立設して形成されている。この垂直部51は、副走査方向に沿って延在している。垂直部51には、副走査方向を面内方向に含む鉛直面であるガイド面51aが形成されている。ガイド面51aは、垂直部51の主走査方向の両側面のうちの、他端側にある垂直部51の側面である。ガイド面51aの副走査方向の長さは、用紙Pの副走査方向の長さとほぼ同じである。また、下ガイド13bには、図2に示すように、孔13b1が形成されている。孔13b1は、矩形平面形状を有し、その平面サイズが、主走査方向に関して後述の駆動ローラ55よりも大きく、副走査方向に関して駆動ローラ55よりも若干小さい。また、上ガイド13aにも、後述の拍車ローラ56の下方部分が第2経路に露出可能な孔(不図示)が形成されている。
斜送ローラ対52は、駆動ローラ55と、駆動ローラ55と対向する拍車ローラ56とから構成されている。拍車ローラ56は、駆動ローラ55の回転によって、又は、駆動ローラ55によって搬送される用紙Pに搬送に伴って回転する従動ローラである。駆動ローラ55は、図2に示すように、孔13b1と対向する位置に配置されている。駆動ローラ55は、その上端が下ガイド13bの搬送面13b2から上方に僅かに突出するように配置され、搬送面13b2上に搬送されてきた用紙Pの下面(上面Pa)と接触する。駆動ローラ55は、軸部55aが筐体1aに回転可能に支持されている。駆動ローラ55は、軸部55aの軸線Mが主走査方向に平行になるように配置されている。位置決め機構50は、不図示の駆動モータを有している。この駆動モータは、本体制御装置100の制御により駆動され、軸部55aを介して駆動ローラ55を回転させる。
拍車ローラ56は、円環状の4つの拍車56aと、拍車56aが外周側面に固定された円柱状のローラ本体56bとを有している。ローラ本体56bの両端面には、拍車ローラ56の回動軸となる軸部56cが形成されている。拍車ローラ56は、上ガイド13aに回転可能に支持されている。拍車ローラ56は、軸部56cの軸線Lとガイド面51aとの交点よりもガイド面51aの搬送方向下流部分と、軸線Lとがなす角の角度θが、例えば、85〜89°、より好ましくは88°(鋭角)となるように、配置されている。
この構成において、用紙Pが搬送ローラ対41によって位置決め機構50(第2経路)へと搬送され、当該用紙Pの先端が斜送ローラ対52に達すると、用紙Pは当該斜送ローラ対53によって挟持され、搬送される。このとき、駆動ローラ55は、用紙Pを搬送方向Eに搬送しようとするが、拍車ローラ56は軸線Lが傾斜しているため、用紙P(図2中二点鎖線で示す)が、搬送方向Eに対して斜め方向(図2中太矢印で示す方向であってガイド面51aに近づく方向)に搬送される。これにより、用紙Pの左端全体がガイド面51aに接触しながら、搬送方向Eに搬送される。このとき、用紙Pの左端がガイド面51aにならいつつ用紙Pが搬送方向Eに搬送されることにより、用紙Pの主走査方向の位置決めを行うことが可能となる。
搬送機構3は、筐体1aの下面に形成された孔(受入口)1bを有している。孔1bは、増設給紙ユニット101から搬送された用紙Pを受け入れるための開口である。接続経路は、孔1bと第2経路とを接続する経路であって、ガイド部材21及びガイド部材12の一部によって規定されている。また、接続経路は、増設給紙ユニット101から搬送されてきた用紙Pを、後述の給紙トレイ102に積載された状態の用紙Pの上面Pa及び下面Pbを反転させるための経路である。ガイド部材21は、ガイド部材12の途中部位に接続されている。このように接続経路と第1経路とは、その一部が共通の経路となっている。より詳細には、接続経路と第6経路も、その一部が共通の経路となっている。
ガイド部材21は、孔1bから上方に延在する鉛直部21aと、副走査方向に沿って延在する直線部21bと、これら鉛直部21aと直線部21bとを接続する湾曲部21cとを有する。直線部21bは、接続経路が第2経路と同一直線状に位置する部分を有するように、構成されている。本実施形態におけるプリンタ1は、用紙Pの両面に画像を記録することが可能である。片面に画像が形成された用紙Pは、用紙再送経路を通過して第2経路に搬送される。このとき、用紙再送経路でジャムなどが生じると、用紙再送経路のガイド部材12を構成する一対のガイドのうちの、画像が記録された用紙Pの片面に対向する側のガイドにインクなどが付着することがある。また、第2経路の斜送ローラ対52よりも上流部分でジャムなどが生じると、画像が記録された用紙Pの片面が上ガイド13aと対向しているため、上ガイド13aにインクなどが付着することがある。このように、用紙再送経路のガイド部材12を構成する一対のガイドのうちの一方、又は、上ガイド13aの斜送ローラ対52によりも上流部分に汚れが付着していても、接続経路には第2経路と同一直線状の直線経路があるため、用紙再送経路又は第2経路(上ガイド13a)に付着したインクなどが用紙Pに付着しにくくなる。具体的には、増設給紙ユニット101から搬送されてきた用紙は、湾曲部21cを通過する。湾曲部21cを通過する際に、用紙Pには、用紙Pが元の状態(給紙トレイ102に積載されているときの平面の状態)に戻ろうとして、湾曲部21cの外側に向かう反力が生じる。つまり、湾曲部21cを搬送される用紙Pの先端は、湾曲部21cの外側のガイドに当接しつつ搬送される。そして、湾曲部21cから搬送されてきた用紙Pが当該直線経路を通ってから第2経路に合流する。ここで、用紙Pの先端は、直線経路を通過することによって、当該反力が抑制されて、用紙Pの先端の自重によって下方側に寄る。このため、第2経路を通過するときには、用紙Pの先端が上ガイド13aよりも下ガイド13bに近づき、用紙Pが上ガイド13aに接触しにくくなる。このため、用紙Pに第2経路の汚れが付着しにくくなる。仮に、湾曲部21cの直後において用紙再送経路と合流すると、用紙Pの反力によって、用紙Pの先端が用紙再送経路のガイド部材12を構成する一対のガイドのうちの一方、又は、上ガイド13aの斜送ローラ対52よりも上流部分に当接するように搬送される。つまり、直線部21bが存在しない場合には、用紙Pに汚れが付着しやすくなってしまう。また、直線部21bが規定する直線部分は、副走査方向に関して、ガイド面51aの長さよりも短い。より詳細には、当該直線部分は数センチ程度の長さを有しておればよく、湾曲部21cを通過してきた用紙Pの先端が、ガイド部材21の外側部分(上側部分)と離隔する程度の長さを有しておればよい。なお、ガイド面51aは、用紙Pの位置決め機能を果たすため、その副走査方向の長さが長いほど位置決め性能が良い。よって、ガイド面51aの副走査方向の長さは、用紙Pの副走査方向の長さの三分の一以上が好ましい。つまり、直線部21bが規定する直線部分は、副走査方向に関して、ガイド面51aの長さよりも短くて良いため、プリンタ1の設置面積の大型化を抑制することができる。
給紙部23は、図3に示すように、筐体1aに対して副走査方向に着脱可能な給紙トレイ24を有している。給紙トレイ24は、上方に開口する凹部24aを有する箱であり、凹部24a内に複数の用紙Pを収容可能である。給紙トレイ24の左端部には、図3に示すように、ガイド部材11,12の一部及び搬送ローラ対41の一方の搬送ローラが設けられている。具体的には、給紙トレイ24の左端部には、ガイド部材11、12を構成する一対のガイドのうちの、給紙トレイ24に近い側のガイド、及び搬送ローラ対41を構成する2つのローラのうちの、給紙トレイ24に近い側のローラが設けられている。給紙トレイ24の下端部には、上ガイド13a、拍車ローラ56及び搬送ローラ対42を構成する2つのローラのうちの給紙トレイ24に近い側のローラが設けられている。給紙トレイ24の右端部には、ガイド部材14の一部を構成する一対のガイドが設けられている。また、給紙トレイ24の上面の左端部には、摩擦部材32が設けられている。なお、給紙トレイ24は、筐体1aに対して主走査方向に着脱可能であってもよい。その場合には、給紙トレイ24の右端部には、ガイド部材14の一部を構成する一対のガイドのうちの、給紙トレイ24に近い側のガイドが設けられていてもよい。
このように、第1経路及び第2経路を規定するガイド部材11,12の一部及び上ガイド13aと、第3経路を規定するガイド部材14の一部が給紙トレイ24に一体的に設けられていることで、図3に示すように、筐体1aから給紙トレイ24を取り外した際に、第1経路、第2経路及び第3経路が外部に露出される。このため、第1経路、第2経路及び第3経路でジャムが生じた用紙Pを容易に除去することが可能となる。
増設給紙ユニット101は、図1に示すように、筐体101aを有する。筐体101aには、給紙トレイ102、ガイド部103及び増設制御装置104などが配置されている。給紙トレイ102は、筐体101aに対して着脱可能である。給紙トレイ102には、複数の用紙Pが収納可能である。増設制御装置104は、本体制御装置100からの指令に基づいて、ガイド部103の給紙ローラ105、分離機構106及び搬送ローラ対107の動作を制御する。なお、筐体1aの下面には本体制御装置100に接続された接点(不図示)が、筐体101aの上面には増設制御装置104に接続された接点(不図示)が設けられている。プリンタ1に増設給紙ユニット101が装着されることで、これら接点同士が電気的に接続され、本体制御装置100及び増設制御装置104が接続される。
筐体101aの上面には、排出孔101bが形成されている。排出孔101bは、孔1bと対向する位置に配置されており、当該孔1bに用紙Pを排出するための開口である。また、筐体101aの下面には、孔1bと同様な孔101cが形成されている。
ガイド部103は、2つのガイド部材103a,103bと、給紙ローラ105と、分離機構106と、搬送ローラ対107とを有する。給紙ローラ105は、給紙トレイ102内の最も上方の用紙Pを送り出す。分離機構106は、上述の分離機構30と同様な構成であり、送りローラ106aと、摩擦部材106bとを有する。送りローラ106aは、給紙ローラ105によって給紙トレイ102から送り出された用紙Pの上面Paと接触する。摩擦部材106bは、送りローラ106aによって搬送される用紙Pの下面Pbと摺擦する。このような分離機構106により、給紙ローラ105によって重送された複数の用紙Pのうち1枚の用紙Pだけをガイド部材103bへと搬送することが可能となる。
搬送ローラ対107は、用紙Pを排出孔101bに向けて搬送可能なように、排出孔101b近傍に配置されている。ガイド部材103aは、孔101cから搬送ローラ対107まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。ガイド部材103bは、給紙トレイ102からガイド部材103aの途中部位まで延び、これらの間の搬送経路を構成する。この構成により、ガイド部103は、給紙トレイ102からの用紙P及び他の増設給紙ユニットからの用紙Pを、プリンタ1に向けて搬送する。換言すると、ガイド部103は用紙Pを下方から上方へ向けて搬送する。
次に、本体制御装置100及び増設制御装置104について説明する。本体制御装置100は、プリンタ1各部の動作を制御してプリンタ1全体の動作を司る。本体制御装置100は、外部装置(プリンタ1と接続されたPC等)から供給された記録指令に基づいて、記録動作を制御する。具体的には、本体制御装置100は、用紙Pの搬送動作、用紙Pの搬送に同期したインク吐出動作等を制御する。増設制御装置104は、本体制御装置100からの指令に基づいて、用紙Pの搬送動作を制御する。
本体制御装置100は、例えば、用紙Pの片面(すなわち、上面Pa)に記録を行う記録指令を外部装置から受信した場合、当該記録指令に基づいて、給紙ローラ22、送りローラ31、搬送ローラ対41〜47及び斜送ローラ対52を駆動する。給紙ローラ22及び分離機構30によって給紙トレイ24から送り出された用紙Pは、第1経路から第2経路へと搬送される。このとき、用紙Pは、第1経路を通過することで用紙Pの上面Pa及び下面Pbが反転した状態で第2経路に搬送される。この状態で、位置決め機構50によって、用紙Pの主走査方向の位置決めが行われる。このとき、本体制御装置100は、搬送ローラ対41によって搬送される用紙Pの搬送速度(V1)が、斜送ローラ対52によって搬送される用紙Pの搬送速度(V2)よりも若干速く(V1>V2)なるように、搬送ローラ対41を駆動する。これにより、斜送ローラ対52で用紙Pを斜送させる際に、用紙Pに対して搬送ローラ対41によるバックテンションが生じなくなる。このため、斜送ローラ対52による搬送不良を防ぐことが可能になると共に、用紙Pを効果的に斜送させることが可能となる。この結果、主走査方向に関する位置決めが行われた用紙Pを、記録領域に搬送することが可能となる。そして、用紙Pは、第2経路から第3経路を介して第4経路の記録領域(プラテン5とヘッド2との間)に送られる。このとき、用紙Pは、第3経路を通過することで用紙Pの上面(下面Pb)及び下面(上面Pa)が反転した状態で第4経路に搬送される。つまり、第4経路に搬送される用紙Pの上面及び下面は、給紙トレイ24に積載された状態の用紙Pの上面Pa及び下面Pbと一致する。すなわち、給紙トレイ24に積載された状態の用紙Pは、第4経路に搬送されるまでの間に、第1経路と第3経路とによって2回、用紙Pの上下が反転されている。用紙Pは、ヘッド2のすぐ下方を通過する際に、本体制御装置100によってヘッド2が制御され、ヘッド2からインク滴が吐出される。これにより、用紙Pの表面(上面Pa)に所望の画像が記録される。インクの吐出動作(インクの吐出タイミング)は、用紙センサ26からの検知信号に基づく。なお、用紙センサ26は、ヘッド2よりも搬送方向の上流に配置されて、用紙Pの先端を検知する。そして、画像が記録された用紙Pは、第5経路から排紙部4に排出される。
また、本体制御装置100は、例えば、用紙Pの両面に記録を行う記録指令を外部装置から受信した場合、当該記録指令に基づいて、給紙ローラ22、送りローラ31、搬送ローラ対41〜47及び斜送ローラ対52を駆動する。まず、片面記録時と同様に、用紙Pは、表面に画像が形成され、排紙部4に向けて搬送される。図1に示すように、搬送途中のガイド部材18には、搬送ローラ対46の上流側近傍に、用紙センサ27が配置されている。用紙センサ27が用紙Pの後端を検出すると、本体制御装置100の制御の下、搬送ローラ対46が逆回転され、用紙Pの搬送の方向が反転される。このとき、搬送ローラ対41が駆動されていない場合は、当該搬送ローラ対41を駆動する。これにより、用紙Pは、その経路が切り替えられ、用紙再送経路(白抜き矢印の示す経路)に沿って搬送される。用紙再送経路に搬送された用紙Pは、片面記録時と同様に、第2経路において、用紙Pの主走査方向の位置決めが行われる。このときの位置決め時も、用紙Pに対して搬送ローラ対41によるバックテンションが生じないため、用紙Pを効果的に斜送させることが可能となる。また、用紙再送経路から第2経路に再送された用紙Pは、その記録面が反転している。つまり、給紙トレイ24から第2経路に搬送されてきたときの用紙Pの記録面(上面Pa:記録予定の面)は下方を向いているが、用紙再送経路から第2経路に再送されてきたときの用紙Pの記録面(上面Pa:記録済みの面)は上方を向いている。そして、用紙Pは、第2経路、第3経路を通過することで、用紙Pの上下が反転されて記録領域へと再供給され、裏面(下面Pb)に画像が記録される。なお、裏面への画像記録に先立って、用紙Pの先端が用紙センサ26に検出されると、搬送ローラ対46が正回転に戻される。両面記録された用紙Pは、第5経路を介して、排紙部4に排出されることになる。
なお、給紙部23に代えて増設給紙ユニット101から用紙Pを供給して、用紙Pの片面、又は両面に画像記録を行う場合は、増設制御装置104が、本体制御装置100からの指令に基づいて、給紙ローラ105、送りローラ106a及び搬送ローラ対107を駆動する。このとき、本体制御装置100は、給紙ローラ22、送りローラ31及び搬送ローラ対41以外の搬送ローラ対42〜47及び斜送ローラ対52を駆動する。これ以外は上述と同様な制御が行われる。この場合も、給紙ローラ105及び分離機構106によって給紙トレイ102から送り出された用紙Pは、ガイド部材103a,103bが規定する搬送経路及び接続経路を通って第2経路へと搬送される。このとき、用紙Pは、接続経路を通過することで用紙Pの上面Pa及び下面Pbが反転した状態で第2経路に搬送される。これ以降は、上述と同様に用紙Pが搬送される。
以上に述べたように、本実施形態によるプリンタ1によると、ヘッド2は第4経路に沿って配置されており、吐出面2aから下方に向けてインクを吐出することによって用紙Pに画像を記録する。ここで、第4経路に搬送される用紙Pは、給紙トレイ24から分離機構30によって搬送されて、第1経路及び第3経路によって用紙Pの上下が2回反転された後、第4経路に搬送される。これによって、給紙部23から第1〜第3経路を経由して第4経路に搬送された用紙Pは、給紙トレイ24に積載された状態の用紙Pの上面Pa及び下面Pbが、第4経路に搬送された状態の用紙Pの上面Pa及び下面Pbと一致する。ここで、給紙トレイ24に積載された状態の用紙Pの下面Pbは、搬送されることで摩擦部材32によって摺擦され、当該摺擦によって生じた紙粉が付着している、又は、キズが生じている場合がある。仮に、このように摩擦部材32によって摺擦された面に対して、画像が記録されると、画質が低下するおそれがある。しかしながら、本実施形態においては、特に片面記録の場合には、第1経路及び第3経路によって記録媒体の上下が2回反転されることで、給紙トレイ24に積載された状態の用紙Pの上面Pa(すなわち、摩擦部材32と摺擦しない面)に画像が記録されるため、画質の低下を抑制することができる。
また、ヘッド2の吐出面2aが水平であって下方を向いて配置されており、ヘッド2からはインクが下方に吐出される。このようにヘッド2が配置されていることで、吐出面2aに紙粉などの異物が付着しにくくなる。このため、吐出面2aに形成された吐出口が異物によって覆われないため、インク吐出性能を維持することが可能となる。また、ヘッド2の吐出面2aが上方を向いたり、水平方向に対して交差する方向に傾いていないため、インク吐出速度の低下や着弾精度の低下が生じにくくなる。
仮に、プリンタが、給紙トレイと、記録ヘッドと、給紙トレイから搬送された用紙を分離搬送する分離機構と、分離搬送された用紙が通過する経路であって給紙トレイから記録ヘッドまでを繋ぐ直線状の経路とを含み、給紙トレイに積載された状態の用紙の上面と同じ上面に、記録ヘッドで画像を形成する場合は、プリンタの搬送方向の平面サイズが大きくなるため、設置面積が大きくなる。しかしながら、本実施形態のプリンタ1においては、第1経路及び第3経路を湾曲させることで、第2経路、第4経路及び給紙部23が鉛直方向に重なっている。このため、プリンタ1の設置面積の大型化を抑制することが可能となる。
第4経路、給紙部23及び第2経路が、上から順に配置されている。このため、第2経路と第4経路との間には給紙部23が配置され、これら経路を接続する第3経路の曲率半径を大きくすることが可能となる。したがって、プリンタ1の高さが大きくなるのを抑制しつつ、搬送経路での用紙Pのジャムを抑制することが可能となる。
また、用紙再送経路である第6経路が第5経路と第2経路とを接続している。このため、用紙Pの両面に画像を記録することが可能となる。さらに、用紙Pの裏面に画像を記録する前にも、用紙Pの主走査方向に関する位置決めを行うことが可能となる。なお、本実施形態におけるプリンタ1は、用紙Pの両面に画像を記録することが可能な構成であるが、両面記録は片面記録に対して実行される頻度が少ない。このような実行頻度の高い片面記録において、本実施形態におけるプリンタ1は画質低下を効果的に抑制することができる。
また、増設給紙ユニット101(給紙トレイ102から接続経路に搬送される途中に分離機構106が設けられている)の給紙トレイ102から搬送されてきた用紙Pも、第1経路と同様に接続経路において上下を反転させて第2経路に搬送する。このため、給紙トレイ102に積載された状態の用紙Pの上面Paと一致する上面に画像が記録されるため、画質の低下を抑制することができる。
第2経路を規定するためのガイド面51aと斜送ローラ対52とを含む位置決め機構50を設けることで、第2経路を通過する用紙Pの主走査方向の位置決めを行うことが可能となる。また、位置決め機構50を設けても、給紙部23、第2経路(ガイド部材13)、第4経路(ガイド部材16,17、プラテン5及びヘッド2)が、鉛直方向に重なって配置されている。このため、プリンタ1の設置面積の大型化を抑制することが可能となる。
また、用紙Pの搬送方向に関して、分離機構30と斜送ローラ対52との間に、搬送ローラ対41が設けられている。これにより、分離機構30による比較的強い搬送負荷の影響を低減することができるため、斜送ローラ対52による搬送不良を防ぐことが可能となる。
変形例として、図4に示すように、ガイド部材(接続経路規定部)21の直線部221bが第2経路に近づくにつれて、下方に向かうように延びていてもよい。つまり、接続経路の湾曲部21cが規定する部分の搬送方向下流端が、第2経路よりも上方に配置されており、この下流端から右斜め下方向にある第2経路に向かって、直線部221bが直線状に延在している。これにおいても、用紙再送経路、又は、第2経路(上ガイド13a)に付着したインクなどが用紙Pに付着しにくくなる。つまり、増設給紙ユニット101から搬送されてきた用紙Pが当該直線部221bで規定する経路を通ってから第2経路に合流する。このとき、用紙Pの先端は、当該経路を通過することによって、強制的に下方側に寄せられる。このため、第2経路を通過するときには、用紙Pの先端が上ガイド13aよりも下ガイド13bに近づいており、用紙Pが上ガイド13aに接触しにくくなる。このため、用紙Pに第2経路の汚れが付着しにくくなる。
別の変形例として、図5に示すように、分離機構30に代えて、送りローラ31、摩擦部材32及び送りローラ31を移動させる移動機構33を有する分離機構230を有していてもよい。移動機構33は、ソレノイド33aと、送りローラ31を支持する支持部33bとを有している。支持部33bは、ソレノイド33aの可動鉄心に接続されている。移動機構33は、本体制御装置100の制御により、ソレノイド33aが駆動され、挟持位置と開放位置との間において送りローラ31を移動させる。挟持位置は、図5(a)に示すように、送りローラ31と摩擦部材32とが互いに接触する位置であって、用紙Pが挟持される位置である。送りローラ31が挟持位置に配置されていることで、送りローラ31と摩擦部材32との間に送り出された用紙Pであって、送りローラ31と接触する用紙Pを第1経路に搬送することが可能となる。開放位置は、図5(b)に示すように、送りローラ31と摩擦部材32とが互いに離隔する位置であって、用紙Pを挟持しない位置である。
この構成において、本体制御装置100の制御により、送りローラ31が挟持位置に配置された状態で、給紙ローラ22及び送りローラ31が回転し、給紙ローラ22から複数の用紙Pが重送されてきても、上述の実施形態と同様に、給紙ローラ22と接触した用紙P(重送された複数の用紙Pのうち1枚の用紙P)が送りローラ31によって第1経路へと搬送される。また、本体制御装置100は、片面又は両面に画像を記録する際の用紙Pの搬送において、当該用紙Pの先端が斜送ローラ対52に達したときに、送りローラ31を開放位置に移動させる。つまり、用紙Pの後端部分の挟持を開放する。これにより、斜送ローラ対52で用紙Pを斜送させる際に、用紙Pに対して分離機構230によるバックテンションが生じなくなる。このため、斜送ローラ対52による搬送不良を防ぐことが可能になると共に、用紙Pを効果的に斜送させることが可能となる。なお、このような分離機構230が設けられている場合は、分離機構230のバックテンションを抑制するための中間ローラ対としての搬送ローラ対41が設けられていなくてもよい。また、本変形例においては、移動機構33が送りローラ31を移動させているが、送りローラ31に代えて摩擦部材32を移動させてもよい。
続いて、本発明に係る記録装置の別の実施形態のプリンタ301について、図6を参照しつつ以下に説明する。本実施形態におけるプリンタ301は、上述の実施形態における給紙部23と第2経路を規定するガイド部材13などの位置関係が入れ替わって構成されたプリンタである。これ以外は、上述のプリンタ1と同様であるため、同符号で示し、説明を省略する。
プリンタ301は、直方体形状の筐体301aを有する。プリンタ301の下端には、増設給紙ユニット101が装着されている。筐体301aの内部空間には、給紙部323から排紙部4に向かう用紙搬送経路と、当該用紙搬送経路の下流側から上流側に向かう用紙再送経路と、用紙搬送経路の上流部分に接続された接続経路とが形成されている。用紙Pは、図6に示されるように、用紙搬送経路では黒太矢印に沿って搬送され、用紙再送経路では白抜き太矢印に沿って搬送される。また、用紙Pは、接続経路では増設給紙ユニット101から用紙搬送経路へと搬送される。
筐体301a内には、ヘッド(記録部)2、搬送機構303、給紙部323、及び、本体制御装置400等が配置されている。搬送機構303は、12個のガイド部材311〜322と、8つの搬送ローラ対41〜48と、プラテン5と、位置決め機構50と、分離機構30と、給紙ローラ22とを含む。給紙部323は、筐体301aに対して副走査方向に着脱可能な給紙トレイ324を有している。給紙トレイ324は、上方に開口する凹部324aを有する箱であり、凹部324a内に複数の用紙Pを収容可能である。給紙ローラ22は、給紙トレイ324内で最も上方にある用紙Pを送り出す。なお、ガイド部材313,315〜319は、上述のガイド部材13,15〜19と同様である。
用紙搬送経路は、第1経路〜第5経路によって構成される。第1経路は、2つのガイド部材311、312によって規定された経路であって、給紙部323から第2経路に向かって湾曲している。また、第1経路は、給紙トレイ324から搬送されてきた用紙Pを、給紙トレイ324に積載された状態の用紙Pの上面Pa及び下面Pbを反転させるための経路である。第2経路は、給紙部323の上方にあるものの上述の実施形態と同様である。第3経路は、2つのガイド部材314,315によって規定された経路であって、第2経路から第4経路に向かって湾曲している。また、第3経路は、第2経路から搬送されてきた用紙Pを、第2経路で搬送される状態の用紙Pの上面(下面Pb)及び下面(上面Pa)を反転させるための経路である。第4経路及び第5経路は、上述の実施形態と同様である。なお、第4経路は、第2経路を給紙部323とで挟む位置にある。
用紙再送経路は、第6経路によって構成されている。第6経路は、第5経路と第2経路とを接続し、記録領域(プラテン5とヘッド2との間)を迂回する経路であって、ガイド部材320,321、ガイド部材312の一部によって規定されている。ガイド部材321はガイド部材312の途中部位に接続されている。このように第6経路と第1経路とは、その一部が共通の経路となっている。
搬送ローラ対41は、第1経路の途中にあってガイド部材311とガイド部材312との間に配置されている。搬送ローラ対42〜47は、上述の実施形態と同じ位置関係に配置されている。これら7つの搬送ローラ対41〜47が、本体制御装置400の制御により駆動されることで、用紙Pが第1経路〜第5経路へと順に搬送され、排紙部4に排出される。
搬送ローラ対48は、第6経路の途中にあってガイド部材320とガイド部材321との間に配置されている。上述の実施形態と同様に搬送ローラ対(再送ローラ対)46は、本体制御装置400の制御により、用紙Pの搬送方向が切り換えられる。搬送ローラ対46によって後端が先端として下方へ搬送されてきた用紙Pを、搬送ローラ対48によって第2経路に再送される。このとき、再送される用紙Pは、直前の記録領域を通過したときとはその表裏が反転した状態で第2経路に搬送される。この結果、用紙Pの両面に画像を記録することが可能となる。
搬送機構303は、筐体301aの下面に形成された孔301bを有している。孔301bは、増設給紙ユニット101から搬送された用紙Pを受け入れるための開口である。接続経路は、孔301bと第2経路とを接続する経路であって、ガイド部材322、ガイド部材311の一部及びガイド部材312によって規定されている。ガイド部材322は、ガイド部材311の途中部位に接続されている。このように接続経路と第1経路とは、その一部が共通の経路となっている。より詳細には、接続経路と第6経路も、その一部が共通の経路となっている。
ガイド部材(第1経路規定部)312は、湾曲部312aと、副走査方向に沿って延在する直線部312bとを有する。直線部312bは、上述の直線部21bと同様に、第1経路が第2経路と同一直線状に位置する直線部分を有するように、構成されている。なお、この直線部分は、用紙Pの搬送方向に関して、第2経路と第6経路との接続部よりも上流に配置されている。これにより、本実施形態においても、上述の実施形態と同様に、第1経路には第2経路と同一直線状の直線経路があるため、用紙再送経路、又は、第2経路(上ガイド13a)に付着したインクなどが用紙Pに付着しにくくなる。つまり、給紙トレイ324及び増設給紙ユニット101から搬送されてきた用紙Pが当該直線経路を通ってから第2経路に合流する。このとき、用紙Pの先端は、直線経路を通過することによって、下方側に寄る。このため、用紙Pが上ガイド13aに接触しにくくなって、用紙Pに第2経路の汚れが付着しにくくなる。
次に、本体制御装置400及び増設制御装置104について説明する。本体制御装置400は、プリンタ301各部の動作を制御してプリンタ301全体の動作を司る。本体制御装置400は、外部装置(プリンタ301と接続されたPC等)から供給された記録指令に基づいて、記録動作を制御する。具体的には、本体制御装置400は、用紙Pの搬送動作、用紙Pの搬送に同期したインク吐出動作等を制御する。増設制御装置104は、本体制御装置400からの指令に基づいて、用紙Pの搬送動作を制御する。
本体制御装置400は、例えば、用紙Pの片面(すなわち、上面Pa)に記録を行う記録指令を外部装置から受信した場合、当該記録指令に基づいて、給紙ローラ22、送りローラ31、搬送ローラ対41〜47及び斜送ローラ対52を駆動する。給紙ローラ22及び分離機構30によって給紙トレイ324から送り出された用紙Pは、第1経路から第2経路へと搬送される。このとき、用紙Pは、第1経路を通過することで用紙Pの上面Pa及び下面Pbが反転した状態で第2経路に搬送される。この状態で、位置決め機構50によって、用紙Pの主走査方向の位置決めが行われる。このとき、制御装置400は、搬送ローラ対41によって搬送される用紙Pの搬送速度(V1)が、斜送ローラ対52によって搬送される用紙Pの搬送速度(V2)よりも若干速く(V1>V2)なるように、搬送ローラ対41を駆動する。これにより、上述の実施形態と同様に、斜送ローラ対52による搬送不良を防ぐことが可能になると共に、用紙Pを効果的に斜送させることが可能となる。この結果、主走査方向に関する位置決めが行われた用紙Pを、記録領域に搬送することが可能となる。そして、用紙Pは、第2経路から第3経路を介して第4経路の記録領域(プラテン5とヘッド2との間)に送られる。このとき、用紙Pは、第3経路を通過することで用紙Pの上面(下面Pb)及び下面(上面Pa)が反転した状態で第4経路に搬送される。つまり、第4経路に搬送される用紙Pの上面及び下面は、給紙トレイ324に積載された状態の用紙Pの上面Pa及び下面Pbと一致する。用紙Pは、ヘッド2のすぐ下方を通過する際に、本体制御装置400によってヘッド2が制御され、ヘッド2からインク滴が吐出される。これにより、用紙Pの表面(上面Pa)に所望の画像が記録される。インクの吐出動作(インクの吐出タイミング)は、用紙センサ26からの検知信号に基づく。なお、用紙センサ26は、ヘッド2よりも搬送方向の上流に配置されて、用紙Pの先端を検知する。そして、画像が記録された用紙Pは、第5経路から排紙部4に排出される。
また、本体制御装置400は、例えば、用紙Pの両面に記録を行う記録指令を外部装置から受信した場合、当該記録指令に基づいて、給紙ローラ22、送りローラ31、搬送ローラ対41〜47及び斜送ローラ対52を駆動する。まず、片面記録時と同様に、用紙Pは、表面に画像が形成され、排紙部4に向けて搬送される。図1に示すように、搬送途中のガイド部材318には、搬送ローラ対46の上流側近傍に、用紙センサ27が配置されている。用紙センサ27が用紙Pの後端を検出すると、本体制御装置400の制御の下、搬送ローラ対46が逆回転され、用紙Pの搬送の方向が反転される。このとき、搬送ローラ対48を駆動する。これにより、用紙Pは、その経路が切り替えられ、用紙再送経路(白抜き矢印の示す経路)に沿って搬送される。用紙再送経路に搬送された用紙Pは、片面記録時と同様に、第2経路において、用紙Pの主走査方向の位置決めが行われる。このとき、本体制御装置400は、搬送ローラ対48によって搬送される用紙Pの搬送速度(V1)が、斜送ローラ対52によって搬送される用紙Pの搬送速度(V2)よりも若干速く(V1>V2)なるように、搬送ローラ対48を駆動する。これにより、このときの位置決め時も、用紙Pに対して搬送ローラ対48によるバックテンションが生じないため、用紙Pを効果的に斜送させることが可能となる。また、用紙再送経路から第2経路に再送された用紙Pは、記録面(上面Pa)が反転している。つまり、給紙トレイ324から第2経路に搬送されてきたときの用紙Pの記録面(上面Pa:記録予定の面)は下方を向いているが、用紙再送経路から第2経路に再送されてきたときの用紙Pの記録面(上面Pa:記録済みの面)は上方を向いている。そして、用紙Pは、第2経路、第3経路を通過することで、用紙Pの上下が反転されて、記録領域へと再供給され、裏面(下面Pb)に画像が記録される。なお、裏面への画像記録に先立って、用紙Pの先端が用紙センサ26に検出されると、搬送ローラ対46が正回転に戻される。両面記録された用紙Pは、第5経路を介して、排紙部4に排出されることになる。
なお、給紙部323に代えて増設給紙ユニット101から用紙Pを供給して、用紙Pの片面、又は両面に画像記録を行う場合は、増設制御装置104が、本体制御装置400からの指令に基づいて、給紙ローラ105、送りローラ106a及び搬送ローラ対107を駆動する。このとき、本体制御装置400は、給紙ローラ22、送りローラ31を駆動しない。これ以外は、上述と同様な制御が行われる。この場合も、給紙ローラ105及び分離機構106によって給紙トレイ102から送り出された用紙Pは、ガイド部材103a,103bが規定する搬送経路及び第1経路と部分的に共通な接続経路を通って第2経路へと搬送される。このとき、用紙Pは、接続経路を通過することで用紙Pの上面Pa及び下面Pbが反転した状態で第2経路に搬送される。これ以降は、上述と同様に用紙Pが搬送される。
以上に述べたように、本実施形態によるプリンタ301においても、ヘッド2は第4経路に沿って配置されており、吐出面2aから下方に向けてインクを吐出することによって用紙Pに画像を記録する。ここで、第4経路に搬送される用紙Pは、給紙トレイ324から分離機構30によって搬送されて、第1経路及び第3経路によって用紙Pの上下が2回反転された後、第4経路に搬送される。これによって、給紙部323から第1〜第3経路を経由して第4経路に搬送された用紙Pは、給紙トレイ324に積載された状態の用紙Pの上Pa面及び下面Pbが、第4経路に搬送された状態の用紙Pの上面及び下面と一致する。このため、給紙トレイ324に積載された状態の用紙Pの上面Pa(すなわち、摩擦部材32と摺擦しない面)に画像が記録されるため、画質の低下を抑制することができる。
第4経路、第2経路及び給紙部323が、上から順に配置されている。これによると、給紙トレイ324と給紙トレイ102とを共通化できる。
また、用紙再送経路である第6経路が第5経路と第2経路とを接続している。このため、用紙Pの両面に画像を記録することが可能となる。さらに、用紙Pの裏面に画像を記録する前にも、用紙Pの主走査方向に関する位置決めを行うことが可能となる。なお、本実施形態におけるプリンタ301においても、用紙Pの両面に画像を記録することが可能な構成であるが、両面記録は片面記録に対して実行される頻度が少ない。このような実行頻度の高い片面記録において、本実施形態におけるプリンタ301は画質低下を効果的に抑制することができる。
変形例として、図7に示すように、ガイド部材(第1経路規定部)312の直線部412bが第2経路に近づくにつれて、下方に向かうように延びていてもよい。つまり、第1経路の湾曲部312aが規定する部分の搬送方向下流端が、第2経路よりも上方に配置されており、この下流端から右斜め下方向にある第2経路に向かって、直線部412bが直線状に延在している。これにおいても、用紙再送経路、又は、第2経路(上ガイド13a)に付着したインクなどが用紙Pに付着しにくくなる。つまり、給紙トレイ324及び増設給紙ユニット101から搬送されてきた用紙Pが当該直線部412bで規定する経路を通ってから第2経路に合流する。このとき、用紙Pの先端は、当該経路を通過することで、強制的に下方側に寄せられる。このため、第2経路を通過するときには、用紙Pの先端が上ガイド13aよりも下ガイド13bに近づいており、用紙Pが上ガイド13aに接触しにくくなる。このため、用紙Pに第2経路の汚れが付着しにくくなる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、各実施形態のプリンタ1,301においては、用紙再送経路が設けられているが、特に設けられていなくてもよい。また、各実施形態のプリンタ1,301においては、増設給紙ユニット101からの用紙Pを受け入れる孔1b,301bやこれに繋がった接続経路などが設けられていなくてもよい。なお、この場合には、接続経路を設けない分、プリンタ1,301の設置面積を小さくしてもよい。また、直線部21b,221b,312b,412bが設けられていなくてもよい。また、位置決め機構50が設けられていなくてもよい。また、搬送方向に関して分離機構と斜送ローラ対との間には、中間ローラとしての搬送ローラ対41が設けられていなくてもよい。また、搬送ローラ対41によって搬送される用紙Pの搬送速度(V1)が、斜送ローラ対52によって搬送される用紙Pの搬送速度(V2)よりも遅くても同じであってもよい。また、給紙トレイ24には、ガイド部材11,12の一部及び上ガイド13aが一体的に設けられていなくてもよい。また、給紙トレイ24は、主走査方向に着脱可能に筐体1aに設けられていてもよい。
また、上述の送りローラ31は、給紙ローラ22を兼ねてもよい。つまり、送りローラ31を給紙ローラ22が配置されている場所に配置すればよい。これにより、給紙ローラ22を省略することができ、装置構成が簡単になる。このとき、給紙トレイ24,324から送りローラ31によって送り出された用紙Pの下面が摩擦部材32と摺擦するため、送りローラ31から複数の用紙Pが重送されてきても、上述と同様に、用紙Pの重送を抑制することができる。また、送りローラ31が給紙ローラ22を兼ねる場合には、送りローラ31が給紙トレイ24、324に積載された用紙Pの上面Paと、摩擦部材32との両方に対向するように配置されていてもよい。つまり、送りローラ31の搬送方向上流側の部分が、給紙トレイ24、324に積載された用紙Pの上面Paに当接し、送りローラ31の搬送方向下流側の部分が、摩擦部材32に当接するように構成されていても良い。
上述の各実施形態及び各変形例においては、拍車ローラ56が採用されているが、突起のない、ゴムローラや樹脂ローラであってもよい。また、外周側面に複数の突起があるビーズローラを採用してもよい。また、上述のガイド面51aは、副走査方向を面内方向に含む鉛直面であるが、搬送方向Eに直交する直交方向に関して、鉛直面に対して傾斜していてもよい。また、ガイド面51aは、搬送経路における湾曲した部分に配置されていてもよい。
また、上述の各実施形態及び各変形例においては、本発明の分離部材の一例として、摩擦部材32が採用されているが、分離部材は、摩擦部材32に限られない。分離機構は、摩擦部材に代えてリタードローラが設けられていてもよい。リタードローラには、アクティブ式と、パッシブ式とがある。以下に、リタードローラのアクティブ式について、説明する。リタードローラには、トルクリミッタが取り付けられている。リタードローラは、送りローラ31との間に1の用紙Pを挟持した場合は、送りローラ31に従動して回転することにより、正方向に回転する。一方、リタードローラは、送りローラ31との間に複数の用紙Pを挟持した場合は、逆方向(給紙トレイ24、324に向けて用紙Pが搬送される方向)に回転する。以下に、リタードローラのパッシブ式について、説明する。リタードローラには、トルクリミッタが取り付けられている。リタードローラは、送りローラ31との間に1の用紙Pを挟持した場合は、送りローラ31に従動して回転することにより、正方向に回転する。一方、リタードローラは、送りローラ31との間に複数の用紙Pを挟持した場合は、回転せずに停止する。このように、アクティブ式のリタードローラ及びパッシブ式のリタードローラは、1の用紙Pを挟持した場合は、送りローラ31に従動して回転する。しかしながら、1の用紙Pを挟持した場合であっても、用紙の下面Pbの摩擦係数が比較的小さい場合など、リタードローラが従動して回転せずに、用紙Pの下面Pbに対してスリップすることがある。つまり、用紙の下面Pbがリタードローラによって摺擦されることがある。用紙の下面Pbがリタードローラによって摺擦されると、用紙Pの下面Pbに紙粉が生じる、又は、キズが生じる場合がある。このように、アクティブ式のリタードローラもしくはパッシブ式のリタードローラは、用紙Pに当接して搬送抵抗を付与する摩擦部材の役割を有している。
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。さらに、画像記録する記録装置であれば、例えば、レーザ式又はサーマル式など、どのような記録装置にも適用可能である。つまり、本発明の記録部は、インクを吐出するヘッドに限らず、レーザ式の記録部でもよく、サーマル式の記録部でもよい。レーザ式の記録部、又は、サーマル式の記録部においても、画質の低下を抑制する効果が得られる。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。