以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態である複合機1の外観斜視図である。なお、以下の説明においては、複合機1が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、開口13が設けられている側を手前側として前後方向8を定義し、複合機1を手前側から見て左右方向9を定義する。
複合機1は、上下方向よりも、左右方向及び前後方向のほうが長い概ね直方体である。複合機1は、下部にプリンタ部11を、上部にスキャナ部12を、前面に開口13を備えている。また、複合機1の上面には、操作パネル93が配置されている。開口13には、後述する給紙カセット15が挿入される。以下、プリンタ部11の詳細について説明する。なお、スキャナ部12の詳細についてはその説明を省略する。
<プリンタ部11の構成>
図2に示すように、プリンタ部11は、記録部20と、給紙カセット15と、給紙部17と、第1搬送部21と、切換部22と、排紙トレイ23と、第2搬送部24とを有する。また、複合機1には、これらの動作を制御する制御部100(図13参照)が含まれている。給紙部17は、給紙カセット15に収容された記録紙を給紙する。第1搬送部21は、給紙カセット15から給紙部17を経由して切換部22に記録紙を搬送する。切換部22は、記録紙の裏面に画像を記録するために記録紙の搬送方向を切り換える。第2搬送部24は、切換部22により搬送方向が切り換えられた記録紙を、再び第1搬送部21に搬送する。以下、各構成について説明する。
<記録部20>
記録部20は、プリンタ部11における上部に配置され、記録紙に画像を記録する。記録部20は、記録ヘッド39と、記録ヘッド39を支持するキャリッジ38と、記録ヘッド39に対向して記録紙を支持するプラテン42とを有する。
記録ヘッド39は、インク滴を吐出可能であり、インクはインクカートリッジ(不図示)から供給される。
キャリッジ38は、図2の左右方向9(図2の紙面垂直方向)に往復動可能である。キャリッジ38の往復動に伴い、記録ヘッド39はインク滴を吐出する。これにより、記録ヘッド39に対応する記録紙に画像が記録される。
プラテン42は、記録ヘッド39の下方に配置され、前後方向8及び左右方向9に亘って延設される部材である。プラテン42は、記録途中の記録紙をプラテン42の上面で概ね水平に支持する。
<給紙カセット15>
給紙カセット15は、プリンタ部11の底部に配置され、上面が開放された箱状の部材である。給紙カセット15は、前後方向に沿って立設される一対の側壁78を有する。給紙カセット15には、各種サイズの記録紙が積載可能である。また、給紙カセット15は、プリンタ部11の前面に形成された開口13(図1参照)から前後方向に挿抜可能である。給紙カセット15が複合機1に装着された状態で、一対の側壁78の上端側の上面は、後述する第2回動ガイド70の突出部702に当接する。給紙カセット15は、本発明の載置部の一例である。
<給紙部17>
給紙部17は、給紙カセットの上方に配置されている。給紙部17は、給紙カセット15に積載された記録紙を、後述する第1搬送部21に向けて搬送するものである。給紙部17は、給紙ローラ25と、給紙アーム26と、駆動伝達機構27とを備えている。
給紙ローラ25は、回転可能に設けられるとともに、給紙カセット15に積載された記録紙に接離可能に設けられている。給紙ローラ25は、第1モータ40(図13参照)から、駆動伝達機構27を介して、回転力が伝達されると回転駆動する。第1モータ40は、正転及び逆転の両方向に回転可能である。給紙ローラ25は、本発明の給送ローラの一例である。
給紙アーム26は、一方の端側が基軸28により支持される棒状の部材である。給紙アーム26は、基軸28から後方斜め下に向けて延出され、延出端側で給紙ローラ25を支持している。給紙アーム26は、基軸28を中心に回動可能である。給紙アーム26の左右方向9の位置は、給紙カセット15の左右方向9における中央付近である。図3に示すように給紙アーム26の上面には、後述する第2回動ガイド70の第2当て部709(図10参照)と当接可能な、第1当て部261が形成されている。第1当て部261は、概ね平坦な面である。給紙アーム26は、本発明の第2アームの一例である。
図3に示すように、基軸28は、左右方向9に延設されており、複合機1のフレーム(不図示)に回転可能に支持されている。基軸28の右側の端部には、基軸28と一体に回転する駆動ギア151が設けられている。駆動ギア151は、第1モータ40に連結されており、第1モータ40から駆動伝達される。第1モータ40から駆動伝達されると、駆動ギア151及び基軸28は回転する。基軸28の回転中心が、本発明の回動軸心に相当する。
図2に示すように、給紙アーム26は後述する再搬送部55の一部を構成するコイルバネ75(図3参照)による弾性力により、図2の矢印29の方向へ回動付勢されている。これにより、給紙ローラ25は、給紙カセット15に積載されている記録紙の上面に圧接される。給紙カセット15が挿抜される際には、給紙アーム26は、給紙ローラ25が上方に移動するように、基軸28を中心に回動する。これにより、給紙ローラ25は、上方へ移動して給紙カセット15の挿抜領域から退避する。
図4に示すように、駆動伝達機構27は、ギア群271〜278を有する。なお、ギア274(図5参照)は、ギア273の図4の奥側に位置しており、図4には図示されていない。図3に示すように、駆動伝達機構27のギア群271〜278は、給紙アーム26に支持される。図4に示すように駆動伝達機構27は、概ね直線状に並ぶ8つのギアで構成されている。8つのギアは、基軸28の左側の端部に、基軸28と一体に回転可能に設けられた始端ギア271と、給紙ローラ25と同軸を回転中心として給紙ローラ25と一体に回転する終端ギア272と、始端ギア271及び終端ギア272の間に設けられる第1〜第6の中間ギア273〜278とで構成されている。第2〜第6の中間ギア274〜278は、給紙アーム26に回転可能に支持されている。第1の中間ギア273は後述する回動部材279に回転可能に支持されている。複数のギア271〜278は順次噛合されている。なお、本実施形態においては、中間ギアの数は6つであるが、中間ギアの数は6つに限らない。
始端ギア271及び第1の中間ギア273は、クラッチとして機能する。以下に、始端ギア271及び中間ギア273がクラッチとして機能する構成の一例について図5及び図6に基づいて説明する。第1の中間ギア273を支持する回動部材279は、基軸28を回動中心軸として、基軸28が回転する向きに回動可能に設けられている。回動部材279の回動範囲は、回動部材279の回動経路に規制部材(不図示)を設けることによって規制されている。
第1モータ40が逆転し、図5に示すように、基軸28及び始端ギア271が図5の反時計向き(図3の矢印280の向き)に回転すると、回動部材279が図5の反時計向きに回動する。これにより、回動部材279に支持されている第1の中間ギア273と、第2の中間ギア274との噛合が解除される。第1の中間ギア273と、第2の中間ギア274との噛合が解除されると、給紙ローラ25は回転しない。一方、第1モータ40が正転し、図6に示すように、基軸28及び始端ギア271が図6の時計向き(図3の矢印281の向き)に回転すると、回動部材279が図6の時計向きに回動する。これにより、回動部材279に支持されている第1の中間ギア273と、第2の中間ギア274とが噛合される。第1の中間ギア273と、第2の中間ギア274とが噛合されると、給紙ローラ25は正転する。このとき、給紙ローラ25の回転方向は、給紙カセット15に積載された記録紙を、後述する湾曲ガイド18に向けて搬送する向きである。
<第1搬送部21>
図2に示すように、第1搬送部21は、給紙カセット15の上端付近から、記録部20を経由して、後述する切換部22の後方までに亘って配置される。第1搬送部21は、記録紙が記録部20を経由した後に切換部22に至るように記録紙を搬送する。第1搬送部21は、記録紙を案内する湾曲ガイド18、19及び排出ガイド82、83を有する。また、第1搬送部21は、記録紙を搬送する送りローラ60及びピンチローラ61と、排出ローラ62及びピンチローラ63とを有する。第1搬送部21によって搬送される記録紙は、第1搬送経路65上を搬送される。
湾曲ガイド18、19は、給紙カセット15の後端から、記録部20の後方までに亘って延設されている。湾曲ガイド18、19は、プリンタ部11の内部側を中心とする概ね円弧状の部材である。湾曲ガイド18は、湾曲ガイド19よりもプリンタ部11の外部側に配置されている。湾曲ガイド18と湾曲ガイド19とは、概ね一定の間隔を隔てて並設され、記録紙は湾曲ガイド18及び湾曲ガイド19の間を搬送される。湾曲ガイド18、19は複合機1のフレームに着脱可能に支持されている。湾曲ガイド18及び湾曲ガイド19により案内される記録紙は、第1湾曲状経路部分65A上を搬送される。給紙ローラ25によって搬送された記録紙は、湾曲ガイド18、19に案内されることにより第1湾曲状経路部分65A上を搬送されて、下方から上方にUターンするように搬送される。
排出ガイド82、83は、記録部20の前方から、さらに前方に向けて概ね水平に延設されている。排出ガイド82は、排出ガイド83よりも上方側に配置されている。排出ガイド82と排出ガイドとは、概ね一定の間隔を隔てて並設され、記録紙は排出ガイド82及び排出ガイド83の間を搬送される。排出ガイド82及び排出ガイド83により案内される記録紙は、排出搬送経路65B上を搬送される。記録部20により画像が記録された記録紙は、排出ガイド82、83に案内されることにより排出搬送経路65B上を搬送される。
送りローラ60及びピンチローラ61は、湾曲ガイド18、19の前方、かつ、記録部20の後方に配置される。送りローラ60は、第2モータ41(図13参照)に連結されており、第2モータ41の駆動により回転する。送りローラ60は、第2モータ41が正逆方向のいずれに駆動しても、正転する。ピンチローラ61は、送りローラ60に圧接され、送りローラ60に従動して回転する。送りローラ60及びピンチローラ61は、送りローラ60の正転により、湾曲ガイド18、19によって案内された記録紙を挟持して、記録部20に向けて搬送する。送りローラ60及びピンチローラ61の後方側には、記録紙センサ90が配置されている。記録紙センサ90は、第1搬送経路65上を搬送される記録紙を検知する。
排出ローラ62及びピンチローラ63は、記録部20の前方、かつ、排出ガイド82、83の後方に配置される。排出ローラ62は、第2モータ41(図13参照)に連結されており、第2モータ41の駆動により回転する。排出ローラ62は、第2モータ41が正逆方向のいずれに駆動しても、正転する。ピンチローラ63は、排出ローラ62に圧接され、排出ローラ62に従動して回転する。排出ローラ62及びピンチローラ63は、排出ローラ62の正転により、記録部20により画像が記録された記録紙を挟持して、排出ガイド82、83に向けて搬送する。
<切換部22>
切換部22は、排出ガイド83の前方に配置される。切換部22は、第1搬送部21から搬送された記録紙を、排紙トレイ23に案内する方向と、後述する第2搬送部24に案内する方向とのいずれかに記録紙の搬送方向を切り換える。切換部22は、正逆方向に回転して記録紙の搬送方向を切り換えるスイッチバックローラ45及びピンチローラ46と、記録紙の案内方向を切り換える切換フラッパ49とを有する。
スイッチバックローラ45及びピンチローラ46は、排出ガイド83の前方に配置される。スイッチバックローラ45は、第2モータ41(図13参照)に連結されており、第2モータ41の駆動により回転する。スイッチバックローラ45は、第2モータ41が正方向に駆動すると正転し、第2モータ41が逆方向に駆動すると逆転する。なお、スイッチバックローラ45は、回動軸54を回転中心として回転する。ピンチローラ46は、スイッチバックローラ45に圧接され、スイッチバックローラ45に従動して回転する。
切換フラッパ49は、排出ガイド83の前方、スイッチバックローラ56の後方に配置され、記録紙の案内方向を切り換える。切換フラッパ49は、一方の端部が左右方向9(図2の紙面垂直方向)に延びる支軸87に支持されており、支軸87を中心として回動可能である。支軸87は、プリンタ部11のフレーム(不図示)に支持される。切換フラッパ49は、支軸87から前方に延出されている。切換フラッパ49は、第1補助ローラ47及び第2補助ローラ48を有する。第1補助ローラ47は、切換フラッパ49の支軸87側に配置され、第2補助ローラ48は、切換フラッパ49の延出端部側に配置される。
切換フラッパ49は、図2において破線で示す「排出位置」と、図2において実線で示す「反転位置」とに回動する。切換フラッパ49の排出位置においては、第1補助ローラ47及び第2補助ローラ48が概ね同じ高さに位置する。このとき、切換フラッパ49は、排出ガイド83上を搬送された記録紙がスイッチバックローラ45及びピンチローラ46に向かうように案内する。一方、切換フラッパ49の反転位置においては、第2補助ローラ48が第1補助ローラ47の前方斜め下方に位置する。このとき、切換フラッパ49は、スイッチバックローラ45の逆転により搬送される記録紙が第2搬送部24に向かうように案内する。
排出ガイド82、83により案内された記録紙は、排出位置にある切換フラッパ49によって、スイッチバックローラ45及びピンチローラ46に向けて案内される。排出位置にある切換フラッパ49によって案内された記録紙は、正転するスイッチバックローラ45により、スイッチバックローラ45及びピンチローラ46に挟持されて、排紙トレイ23に向けて搬送される。ここで、記録紙の片面に画像を記録する片面記録の場合、スイッチバックローラ45は、記録紙が排紙トレイ23に排出されるまで、正転する。一方、記録紙の両面に画像を記録する両面記録の場合、スイッチバックローラ45の回転方向は、スイッチバックローラ45及びピンチローラ46が記録紙の後端を挟持した状態で、正転から逆転に切り換わる。このとき、切換フラッパ49も排出位置から反転位置に回動する。スイッチバックローラ45の逆転により搬送される記録紙は、反転位置にある切換フラッパ49により、第2搬送部24に向けて搬送される。
<排紙トレイ23>
排紙トレイ23は、給紙カセット15の前方側の上方に配置される。スイッチバックローラ45の正転により、スイッチバックローラ45及びピンチローラ46の挟持位置よりも記録紙の後端が前方に搬送されたとき、記録紙が排紙トレイ23に排出される。排紙トレイ23は、排出された記録紙を排出トレイ23の上面で支持する。排紙トレイ23は、給紙カセット15と一体で構成されており、給紙カセット15とともにプリンタ部11に挿抜可能である。
排紙トレイ23は、後述する第1回動ガイド51を支持するガイド支持部50を有する。ガイド支持部50は、排紙トレイ23の後端側に設けられ、上方に向かって突出する凸部である。排紙トレイ23が複合機1に装着された状態で、ガイド支持部50の上面は、第1回動ガイド51の下面に当接する。
<第2搬送部24>
第2搬送部24は、スイッチバックローラ45の後方から、プラテン42及び給紙部17の間を通り、湾曲ガイド18の前方までに亘って配置される。第2搬送部24は、切換部22から搬送された記録紙を、湾曲ガイド18に向かって搬送する。第2搬送部24は、記録紙を案内する第1回動ガイド51及び傾斜ガイド52、53と、第2回動ガイド70とを有する。また、第2搬送部24は、記録紙を搬送する再搬送部55を有する。なお、再搬送部55は、記録紙を搬送する搬送ローラ68及びニップローラ69を含み、記録紙を搬送する。第2搬送部24によって搬送される記録紙は、第2搬送経路67上を搬送される。
第1回動ガイド51は、前後方向8及び左右方向9に延出される概ね矩形状の平板である。第1回動ガイド51は、スイッチバックローラ45の回動軸54に支持されており、回動軸54を中心として回動可能に設けられる。第1回動ガイド51は、回動することにより、図2及び図7に示す「第1ガイド位置」と図8に示す「第1開放位置」とをとる。第1回動ガイド51は、本発明の第2ガイド部材の一例である。
図2及び図7に示すように、第1回動ガイド51が第1ガイド位置に位置するとき、第1回動ガイド51は、スイッチバックローラ45の回動軸54から、後方斜め下に向かって、排出ガイド83の前端側の下方まで延出する。第1回動ガイド51の後端部の左右方向9における中央部には、左右方向9に沿って凹凸部が形成されている。第1ガイド位置に位置する第1回動ガイド51は、切換部22から搬送された記録紙を第1回動ガイド51の上面で支持する。第1ガイド位置に位置する第1回動ガイド51によって、記録紙は第2搬送経路67上を後方に向けて案内される。
図8に示すように、第1回動ガイド51が第1開放位置に位置するとき、第1回動ガイド51は、スイッチバックローラ45の回動軸54から、下方に向かって延出する。第1回動ガイド51が第1開放位置に位置すると、第1回動ガイド51と排出ガイド82及び傾斜ガイド53との間の空間が大きく開放される。つまり、第1開放位置に位置する第1回動ガイド51は、第2搬送経路67を開放する。
図2に示すように、排紙トレイ23が複合機1に装着された状態で、第1ガイド位置に位置する第1回動ガイド51の下面は、排紙トレイ23のガイド支持部50の上面と当接する。第1回動ガイド51は、ガイド支持部50に当接することにより、回動が規制されて第1ガイド位置に位置する。つまり、排紙トレイ23が複合機1に装着された状態では、第1回動ガイド51は第1ガイド位置に位置する。一方、排紙トレイ23が複合機1から抜き取られると、第1回動ガイド51の下面はガイド支持部50の上面に当接しなくなる。第1回動ガイド51とガイド支持部50とが当接しなくなると、第1回動ガイド51は、自重により、第1開放位置に位置するように回動する。つまり、排紙トレイ23が複合機1から抜き取られた状態では、第1回動ガイド51は第1開放位置に位置する。
傾斜ガイド52、53は、第1ガイド位置に位置する第1回動ガイド51の下端部から、後方斜め下に向かって、排出ローラ62の下方まで延出する部材である。傾斜ガイド53の前端部には、左右方向9に沿って凹凸部が形成されている。傾斜ガイド53の凹凸部は、第1ガイド位置をとる第1回動ガイド51の後端部の凹凸部と左右方向9において互い違いになるように形成されている。具体的には、第1回動ガイド51及び傾斜ガイド53の一方の凹凸部の凸部分が他方の凹凸部の凹部分の内部に位置するように両凹凸部が形成されている。傾斜ガイド53及び第1回動ガイド70の両凹凸部により、両ガイドの間の隙間により記録紙に搬送抵抗を与えることはなく、第1回動ガイド70が回動しても傾斜ガイド53と接触しない。傾斜ガイド52と傾斜ガイド53とは、概ね一定の間隔を隔てて並設され、記録紙は傾斜ガイド52及び傾斜ガイド53の間を搬送される。傾斜ガイド52及び傾斜ガイド53によって記録紙は、第2搬送経路67上を後方に向けて案内される。傾斜ガイド52は、排出ガイド83と一体に構成されている。傾斜ガイド52には、記録紙センサ91が配置されている。記録紙センサ91は、第2搬送経路67上を搬送される記録紙を検知する。
図9及び図10に示すように、第2回動ガイド70は、前後方向8及び左右方向9に延出される概ね矩形状の平板である。図2に示すように、第2回動ガイド70は、基軸28から後方に向けて延出されている。図9及び図10に示すように、第2回動ガイド70は、ガイド面701と、突出部702と、リブ703と、貫通穴704と、切欠き705と、当接部707と、軸受け706と、第2当て部709とを有する。第2回動ガイド70は、本発明の第1ガイド部材の一例である。
ガイド面701は、第2回動ガイド70の上面であり、傾斜ガイド52、53から案内された記録紙が第2搬送経路76上を搬送されるように記録紙を支持する。
突出部702は、第2回動ガイド70の後端側、かつ、第2回動ガイド70の左右方向9の両端部にそれぞれ配置される。一対の突出部702はそれぞれ、第2回動ガイド70の左右方向9の端部から、左右方向9に沿って外側に向かって突出する凸部である。また、一対の突出部702は、第2回動ガイド70の下面から下方に向かって突出している。一対の突出部702の左右方向の位置は、上下方向7において、給紙カセット15の一対の側壁78と重なる位置である。一対の突出部702は、給紙カセット15が複合機1に装着された状態で、給紙カセット15の一対の側壁78の上面と当接する。
リブ703は、第2回動ガイド70の下面に複数配置される。複数のリブ703は、第2回動ガイド70の下面から下方に向かって突設する。複数のリブ703は、左右方向9に沿って突設されるものと、前後方向8に沿って突設されるものがある。複数のリブ703によって、第2回動ガイド70は補強される。なお、左右方向9に沿って突設されるリブ703の下面と、突出部702の下面とは、概ね同じ高さである。
貫通穴704は、第2回動ガイド70の後端側に配置される穴であり、左右方向9に沿って2つの貫通穴704が並設される。2つの貫通穴704はそれぞれ、前後方向8及び左右方向9に長い概ね矩形状の穴である。貫通穴704は、第2回動ガイド70が後述する第2開放位置に位置するときに、第2回動ガイド70と給紙ローラ25とが互いに接触しないように設けられる。
切欠き705は、第2回動ガイド70の前端部に配置される切欠きであり、左右方向に沿って2つの切欠き705が並設される。2つの切欠き705は、前後方向8及び左右方向9に長い概ね矩形状の切欠きである。切欠き705は、第2回動ガイド70と後述する搬送ローラ68が互いに干渉しないように設けられる。これにより、第2回動ガイド70と搬送ローラ68とが接触しないので、搬送ローラ68が損傷するのを防ぐことができる。切欠き705は、本発明の逃げ部の一例である。
当接部707は、切欠き705の後端部に配置されている。当接部707は、後述する搬送アーム74の被当接部741と当接する。図7に示すように、当接部707は、前端部に向けて下方に傾斜する傾斜面を有している。つまり、当接部707は、前端部に向けて搬送アーム74の被当接部741に近づくように傾斜している。これにより、第2回動ガイド70が第2ガイド位置から第2開放位置に回動する際に、当接部707と搬送アームの被当接部741とが確実に当接される。
図9及び図10に示すように、軸受け706は、第2回動ガイド70の前端部、かつ、第2回動ガイドの下面に設けられる。軸受け706は、中空の円筒状に形成されており、左右方向9に沿って3つの軸受け706が並設される。3つの軸受け706には、それぞれ基軸28(図3参照)が挿入される。第2回動ガイド70は、軸受け706を介して基軸28により支持される。
第2当て部709は、第2回動ガイドの下面における、前端部かつ左右方向の中央部に形成されている。第2当て部709は概ね平坦な面に形成されている。第2当て部709は、給紙アーム26の第1当て部261と当接可能である。
図2に示すように、第2回動ガイド70は、基軸28を中心として回動可能に設けられる。第2回動ガイド70は、回動することにより、図2及び図7に示す「第2ガイド位置」と、図8に示す「第2開放位置」とをとる。第2回動ガイド70の第2ガイド位置は、本発明のガイド位置の一例である。また、第2回動ガイド70の第2開放位置は、本発明の開放位置の一例である。
図2及び図7に示すように、第2回動ガイド70が第2ガイド位置に位置するとき、第2回動ガイド70は、傾斜ガイド53の後方から、後方斜め下に向かって、湾曲ガイド18の前方まで延出する。第2ガイド位置に位置する第2回動ガイド70は、傾斜ガイド52、53から案内された記録紙を、第2回動ガイド70のガイド面701で支持する。第2ガイド位置に位置する第2回動ガイド70によって、記録紙は第2搬送経路67上を後方に向けて案内される。ここで、第2ガイド位置に位置する第2回動ガイド70の上方には、プリンタ部11のフレームなどに取り付けられている支持部材43が配置されている。支持部材43は、プラテン42を支持する部材である。第2ガイド位置に位置する第2回動ガイド70のガイド面701と、支持部材43の下面とは、概ね一定の間隔を隔てており、記録紙は、第2ガイド位置に位置する第2回動ガイド70と支持部材43との間を搬送される。第2回動ガイド70の後端側は、上方に向けて傾斜されるように屈曲している。第2ガイド位置に位置する第2回動ガイド70と支持部材43との間を案内される記録紙は、第2回動ガイド70の後端側から、湾曲ガイド18に向けて湾曲された第2湾曲状経路部分67Aを搬送される。
図8に示すように、第2回動ガイド70が第2開放位置に位置するとき、第2回動ガイド70は、傾斜ガイド53の後方から、後方斜め下に向かって延出する。第2開放位置に位置する第2回動ガイド70の後端部は、第2ガイド位置に位置する第2回動ガイド70の後端部よりも下方に位置する。第2回動ガイド70が第2開放位置に位置すると、第2回動ガイド70と支持部材43との間の空間が大きく開放される。つまり、第2開放位置に位置する第2回動ガイド70は、第2搬送経路67を開放する。また、第2回動ガイド70が第2開放位置に位置するとき、給紙ローラ25の上方の一部は、貫通穴704内に位置しており、給紙ローラ25は第2回動ガイド70と接触しない。給紙ローラ25が第2回動ガイド70と接触しないため、給紙ローラ25が損傷したり、給紙ローラ25に異物が付着するのを防げる。第2回動ガイド70が第2開放位置に位置するとき、第2回動ガイド70の第2当て部709と、給紙アーム26の第1当て部261とが互いに当接する。第2回動ガイド70は、給紙アーム26の第1当て部261と当接することにより、回動が規制されて第2開放位置に位置する。つまり、給紙アーム26の第1当て部261は、第2回動ガイド70が第2ガイド位置から第2解放位置へ移動する向きへの、第2回動ガイド70の回動を規制するストッパとして機能する。
図2に示すように、給紙カセット15が複合機1に装着された状態で、第2ガイド位置に位置する第2回動ガイド70の一対の突出部702は、給紙カセット15の一対の側壁78の上面と当接する。第2回動ガイド70は、突出部702が給紙カセット15の一対の側壁78に当接することにより、回動が規制されて第2ガイド位置に位置する。つまり、給紙カセット15が複合機1に装着された状態では、第2回動ガイド70は第2ガイド位置に位置する。一方、給紙カセット15が複合機1から抜き取られると、第2回動ガイド70の突出部702と給紙カセット15の一対の側壁78とが当接しなくなる。突出部702と一対の側壁78とが当接しなくなると、第2回動ガイド70は、自重により第2開放位置に位置するように回動する。つまり、給紙カセット15が複合機1から抜き取られた状態では、第2回動ガイド70は第2開放位置に位置する。給紙カセット15が複合機1に挿入されると、給送カセット15の一対の側壁78の上面に、第2回動ガイド70の突出部702が当接することで、第2回動ガイド70が第2ガイド位置に回動する。なお、第2回動ガイド70は、第2ガイド位置から第2解放位置へ、第2回動ガイド70の自重により回動するとしたが、第2回動ガイド70の自重に限らない。第2回動ガイド70の延出端側を下方に向けて付勢するバネが第2回動ガイド70に取り付けられていても良い。ここで、第2回動ガイド70の延出端側を下方に向けて付勢するバネの付勢力は、コイルバネ75の付勢力よりも大きくなるように設定する。もしくは、第2回動ガイド70の延出端側を下方に向けて付勢するバネの付勢力と第2回動ガイド70の自重とを足した力が、コイルバネ75の付勢力よりも大きくなるように設定する。また、第2回動ガイド70の延出端側を下方に向けて付勢するバネとは、第2回動ガイド70の回動中心である基軸28に取り付けられたコイルバネでも良いし、第2回動ガイド70の上面に取り付けられた圧縮バネでも良いし、また、第2回動ガイド70の下面に取り付けられた引張りバネであっても良い。
図2及び図3に示すように、再搬送部55は、搬送ローラ68と、搬送アーム74と、駆動伝達機構76と、コイルバネ75と、ニップローラ69とを有する。
搬送ローラ68は、給紙部27の上方に、回転可能に配置される。図3に示すように、搬送ローラ68は、左右方向9に2つ並設されている。搬送ローラ68の左右方向8の位置は、第2回動ガイド70の切欠き705の左右方向の位置と同じである。搬送ローラ68は、第2回動ガイド70と接触しないように、第2回動ガイド70の切欠き705に対応する位置に配置される。搬送ローラ68は、給紙ローラ25の駆動源である第1モータ40(図13参照)から、駆動伝達機構76を介して、回転力が伝達されると回転駆動する。搬送ローラ68と給紙ローラ25とは、同一の駆動源により回転される。
図2に示すように、搬送アーム74は基軸28から後方に向けて延出され、後端側で搬送ローラ68を支持している。搬送アーム74は、基軸28を中心に回動可能である。搬送アーム74は、回動により、図2及び図7に示す「圧接位置」と図8に示す「離隔位置」とを有する。圧接位置及び離隔位置については、後述する。図3に示すように、搬送アーム74は、左右方向9に2つ並設されている。2つの搬送アーム74は、給紙アーム26の両外側に配置されている。2つの搬送アーム74は、給紙アーム26に関して左右対称に配置される。ここで、搬送アーム74における基軸28から搬送アーム74の延出端までの長さは、第2回動ガイド70における基軸28から第2回動ガイド70の延出端までの長さより短い。図11に示すように、搬送アーム74は、上面が開放された概ね箱状の部材である。搬送アーム74は、被当接部741と、軸受け742とを有する。搬送アーム74は、本発明の第1アームの一例である。
被当接部741は、搬送アーム74の下方、かつ、後端部に配置される。つまり、被当接部741は、搬送アーム74の延出端に配置されている。被当接部741は、搬送アーム74の後端から、さらに後方に向かって突出する凸部である。被当接部741は、第2回動ガイド70の当接部707と上下方向7において重なるように突出している。被当接部741は、第2回動ガイド70が第2開放位置に位置するときに、第2回動ガイド70の当接部707と当接する。図7に示すように、被当接部741は、搬送アーム74が圧接位置に位置するときに、搬送アーム74の後端部から後方斜め方向に向けて延出される。言い換えれば、被当接部741は、延出端側が第2回動ガイド70の当接部707に近づく向きに延出されている。これにより、第2回動ガイド70が第2ガイド位置から第2開放位置に回動するときに、第2回動ガイド70の当接部707に、被当接部741が、確実に当接する。
軸受け742は、搬送アーム74の前端側に配置される。軸受け742は、左右方向8に沿って延びる中空の円筒状に形成される。図3に示すように、軸受け742には基軸28が挿入される。搬送アーム74は、軸受け742を介して基軸28により支持される。
駆動伝達機構76はギア群761、762を有する。駆動伝達機構76のギア群761、762は、搬送アーム74に支持される。駆動伝達機構76は、2つのギアで構成されている。2つのギアは、基軸28と一体に回転可能に設けられた基端側ギア761と、基端側ギア761と噛合されており、搬送ローラ68と一体に回転する先端側ギア762とで構成されている。2つのギア761、762は、それぞれ搬送アーム74に回転可能に支持されている。なお、本実施形態においては、駆動伝達機構76を構成するギアの数は2つであるが、ギアの数は2つに限らない。
第1モータ40が逆転し、基軸28が図3の矢印280の向きに回転すると、ギア761、762が回転し、搬送ローラ68が正転する。このとき、搬送ローラ68の回転方向は、第2搬送経路上を搬送される記録紙を、湾曲ガイド18に向けて搬送する向きである。一方、第1モータ40が正転し、基軸28が図3の矢印281の向きに回転すると、ギア761,762が回転し、搬送ローラ68が逆転する。
図4に示すように、コイルバネ75は、基軸28に取り付けられるダブルトーションバネである。コイルバネ75は、一対のコイル部751、第1腕部752、及び第2腕部753を有する。一対のコイル部751は、基軸28に取り付けられている。つまり、一対のコイル部751は、基軸28を案内棒としている。第1腕部752は、左右方向において一対のコイル部751の間で略U字状に折り曲げられており、一対のコイル部751にそれぞれ接続する。第1腕部752は、概ね後方に延出されている。第2腕部753は、一対のコイル部751のそれぞれから延出されている。コイルバネ75は、本発明の付勢部材の一例である。
第1腕部752は、給紙アーム26に当接する。第2腕部753はそれぞれ搬送アーム74に取り付けられている。ここで、第1腕部752が給紙アーム26に当接せず、かつ、第2腕部753が搬送アーム74に取り付けられていない状態では、第1腕部752と第2腕部753とは所定の角度をなしている。第1腕部752が給紙アーム26に当接し、かつ、第2腕部753が搬送アーム74に取り付けられた状態では、第1腕部752と第2腕部753とのなす角が当該所定の角度よりも小さな角度となる。第1腕部752と第2腕部753とのなす角が当該所定の角度よりも小さいため、第1腕部752及び第2腕部753には、当該所定の角度に戻ろうとする力が働く。つまり、第1腕部752及び第2腕部753には、互いに離れる向きへの力が働く。なお、第1腕部752及び第2腕部753が互いに離れようとする力は、第2回動ガイド70の重さよりも小さくなるように設定される。
第1腕部752及び第2腕部753に互いに離れる向きへの力が働くため、給紙アーム26及び搬送アーム74にも、互いに離れる向きへの力が働く。このため、1つのコイルバネ75により搬送アーム74及び給紙アーム26の双方に付勢力を働かせることができる。つまり、給紙アーム26は、基軸28を中心として、給紙ローラ25が下方に移動する向きに回動付勢される。搬送アーム74は、基軸28を中心として、搬送ローラ68が上方に移動する向きに回動付勢される。
図2に示すように、ニップローラ69は、記録部20よりも下方に配置、かつ、搬送ローラ68よりも上方に配置されている。ニップローラ69は、搬送ローラ68に接触可能であり、搬送ローラ68に従動して回転する。ニップローラ69は、支持部材43に回転可能に支持されている。図3に示すように、ニップローラ69は、左右方向9に2つ並設されている。ニップローラ69は、本発明のニップ部材の一例である。なお、ニップローラ69は、ゴムローラ、拍車ローラ、樹脂コロ、又は板バネなどであっても良い。
ここで、図7及び図8を用いて、搬送アーム74の圧接位置及び、離隔位置について説明する。
図7に示すように、第2回動ガイド70が第2ガイド位置に位置するとき、搬送アーム74は圧接位置に位置する。第2回動ガイド70が第2ガイド位置に位置するとき、第2回動ガイド70の下面と搬送アーム74の被当接部741とは互いに接触していない。搬送アーム74は、コイルバネ75の付勢力により、基軸28を中心として、搬送ローラ68が上方に移動する向きに付勢される。搬送ローラ68の上方の一部は、第2回動ガイド70の切欠き705内に位置し、第2回動ガイド70の上面に露出している。搬送ローラ68は、コイルバネ75の付勢力により、ニップローラ69に圧接されている。このとき、第1モータ40が逆転すると、第2搬送経路67上を案内される記録紙は、搬送ローラ68及びニップローラ69に挟持されて、湾曲ガイド18に向けて後方に搬送される。
搬送アーム74の圧接位置について、図12を用いて説明する。搬送アーム74は、圧接位置に位置するとき、搬送アーム74は基軸28から後方斜め上に向けて延出する。具体的には、第1直線L1と第2直線L2とがなす角θの角度が5度以上かつ45度以下である。第1直線L1は、搬送ローラ68及びニップローラ69が当接する点P1における記録紙の搬送方向に延びる。つまり、第1直線L1は、点P1における搬送ローラ68及びニップローラ69に対する接線である。第2直線L2は、搬送ローラ68の回転中心P2及び搬送アーム74の回動中心P3を結んだ線である。
仮に、第1直線L1と第2直線L2とがなす角θの角度が5度よりも小さい場合、搬送される記録紙により搬送ローラ68が搬送抵抗を受けたときに、搬送ローラ68に生じている回転力は、搬送アーム74を回動させる力として僅かに作用するのみで、記録紙への搬送力として大きく作用する。なお、搬送ローラ68に働く搬送抵抗は、記録紙の搬送方向とは逆向きに働く力である。このとき、記録紙への搬送力が搬送抵抗よりも小さく打ち勝てない場合、搬送ローラ68が記録紙上を空転してしまい記録用紙が搬送できない恐れがある。一方、第1直線L1と第2直線L2とがなす角θの角度が45度よりも大きい場合、搬送される記録紙により搬送ローラ68が搬送抵抗を受けたときに、搬送ローラ68に生じている回転力は、記録紙への搬送力として僅かに作用するのみで、搬送アーム74を回動させる力として大きく作用してしまい、記録紙が搬送できない恐れがある。これに対して、第1直線L1と第2直線L2とがなす角θの角度が5度以上45度以下である場合、搬送される記録紙により搬送ローラ68が搬送抵抗を受けたときに、搬送ローラ68による記録紙への押圧力が増加するように搬送アーム74が回動した後、記録紙が強い搬送力により搬送される。したがって、第1直線L1と第2直線L2とがなす角θの角度が5度以上45度以下とすることにより、搬送ローラ68及び搬送アーム74は、搬送される記録紙により搬送抵抗を受けた場合に、搬送ローラ68による記録紙の搬送力が大きくなる特性を有する。これにより、搬送ローラ68を剛性の高い支持部材や、複雑な支持機構を用いる必要がなく、複合機1の小型化が図れる。
図8に示すように、第2回動ガイド70が第2開放位置に位置するとき、搬送アーム74は離隔位置に位置する。第2回動ガイド70が第2ガイド位置に位置するときには、第2回動ガイド70の当接部707と搬送アーム74の被当接部741とは接触していない。給紙カセット15が複合機1から抜き取られる際に、第2回動ガイド70は第2開放位置に向けて回動する。第2回動ガイド70が第2ガイド位置から第2開放位置に移動する途中で、第2回動ガイド70の当接部707と搬送アーム74の被当接部741とが当接する。ここで、搬送アーム74がコイルバネ75により上方に向けて付勢される力は、第2回動ガイド70の自重よりも小さく設定されている。そのため、第2回動ガイド70の当接部707が、コイルバネ75の付勢力に抗って搬送アーム74の被当接部741を下方に向けて押圧する。被当接部741が第2回動ガイド70の当接部707に押圧されることで、搬送アーム74は、基軸28を中心として搬送ローラ68が下向きに移動するように回動する。そして、第2回動ガイド70が第2開放位置に位置すると、搬送アーム74は離隔位置に位置する。このとき、搬送ローラ68が下方に移動する向きへの、搬送アーム74の回動は、コイルバネ75の付勢力によってのみ規制されている。つまり、搬送ローラ68が下方に移動する向きへ、搬送アーム74の回動を規制するストッパは設けられていない。ここで、第2回動ガイド70は、第2回動ガイド70の第2当て部709が給紙アーム26の第1当て部261に当接することにより、回動が規制されている。このように構成することで、第2回動ガイド70の第2ガイド位置及び第2開放位置の回動量を大きくすることができる。言い換えれば、搬送アーム74が圧接位置から離隔位置へ移動する向きへの、搬送アーム74の回動がストッパにより規制されていると、第2回動ガイド70の回動が搬送アーム74により規制されることになり、第2回動ガイド70の回動量が小さくなってしまう。なお、搬送アーム74の被当接部741は、搬送アーム74の後端すなわち延出端部に配置されているため、第2回動ガイド70が搬送アーム74を回動させようとする力を、効果的に受けることができる。
また、搬送アーム74における基軸28から搬送アーム74の延出端までの長さは、第2回動ガイド70における基軸28から第2回動ガイド70の延出端までの長さより短いため、第2回動ガイド70の自重により、容易に搬送アーム74は回動する。そのため、第2回動ガイド70は、コイルバネ75の付勢力に抗って、搬送ローラ68が下方に移動するように、搬送アーム74を回動させる。このとき、搬送ローラ68とニップローラ69とは互いに離隔している。
<制御部100>
次に、図13に示す複合機1の電気的構成について説明する。制御部100は、複合機1の各動作を制御する。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Member)などの複数のハードウェアから構成されている。ROMには、複合機1を制御する各種のプログラムを含むソフトウェアが格納されている。そして、制御部100は、各種のプログラムを実行することによって、各動作部の動作制御を含む処理を行う。
<記録動作>
複合機1の両面記録動作について、以下に説明する。なお、記録紙の片面記録動作は、後述の両面記録動作において、片面に画像が記録された後はそのまま排紙トレイ23に排紙されるだけであるため、詳細については省略する。
PC(パーソナルコンピュータ)などから用紙の両面に画像を記録する記録データが制御部100に送信されると、制御部100は、第1モータ40を正転させる。第1モータ40の正転により、給紙ローラ25が正転し、給紙カセット15に積載された記録紙が後方に向けて搬送される。給紙カセット15から搬送された記録紙は、湾曲ガイド18、19により第1湾曲状経路部分65Aを搬送されて、下方から上方に向かってUターンされる。
第1湾曲状経路部分65Aを搬送された記録紙は、記録紙センサ90により検知される。記録紙センサ90により記録紙が検知されると、制御部100は、第2モータ41を正転させる。第2モータの正転により、送りローラ60、排出ローラ62、及びスイッチバックローラ45が正転する。記録紙は、送りローラ60及びピンチローラ61により、記録ヘッド39に向けて搬送される。
制御部100は、記録紙センサ90によって記録紙が検知されてから記録紙が記録ヘッド39と対向する領域を通過する際に、キャリッジ38を往復動させる。また、制御部100は、キャリッジ38を往復動させつつ、記録ヘッド39からインク滴を吐出させる。これにより、記録紙の表面に画像が記録される。記録ヘッド39により画像が記録された記録紙は、排出ローラ62及びピンチローラ63により、第1搬送経路65上を搬送される。このとき、切換フラッパ49は、排出位置に位置しており、記録紙は、スイッチバックローラ45及びピンチローラ46に向けて案内される。スイッチバックローラ46及びピンチローラ46に到達した記録紙は、スイッチバックローラ46及びピンチローラ46によりさらに前方に向けて搬送される。
制御部100は、スイッチバックローラ45及びピンチローラ46が記録紙の後端を挟持した状態で、第2モータ41を逆転させる。第2モータ41の逆転によりスイッチバックローラ45が逆転する。このとき、切換フラッパ49は、反転位置に位置しており、記録紙は第2搬送部24に向けて案内される。第2搬送部24に案内された記録紙は、記録紙センサ91により検知される。なお、片面記録動作の場合は、制御部100はスイッチバックローラ45を逆転させずに、そのまま記録紙を排紙トレイ23に排紙する。
記録紙センサ91により記録紙が検知されると、制御部100は、第1モータ40を逆転させる。第1モータ40の逆転により、搬送ローラ68が正転する。記録紙は、搬送ローラ68及びニップローラ69により第2搬送経路67上を後方に向けて搬送される。搬送ローラ68及びニップローラ68により搬送される記録紙は、第2回動ガイド70により湾曲ガイド18に向けて第2湾曲状経路部分67Aを搬送される。
制御部100は、用紙の表面に画像を記録させたときと同様に、第2モータ41、キャリッジ38、及び記録ヘッド39を制御して用紙の裏面に画像を記録させる。制御部100は、両面に画像が記録された記録紙が排紙トレイ23に排紙されるように、第2モータ41を制御する。こうして、両面記録動作が終了する。ここで、第2搬送部24に搬送された記録紙が記録紙センサ91により検知された後、記録紙が記録紙センサ91から記録紙センサ90まで搬送されるのに十分な時間である所定時間を超えても、記録紙センサ90により検知されない場合には、制御部100は、記録紙の搬送異常であるジャムが発生したと判断する。制御部100は、ジャムが発生した場合に、その旨を複合機1の操作パネル93(図2参照)に表示する。
<実施形態の効果>
上述の実施形態において、搬送アーム74、給紙アーム26、及び第2回動ガイド70は、基軸28を中心として回動する。そのため、複合機1に配置される回動軸心を少なくすることができる。
上述の実施形態において、第2搬送経路67上で記録紙のジャムが生じた場合、ユーザは給紙カセット15及び排紙トレイ23を抜き取る。また、湾曲ガイド18、19を取り外す。給紙カセット15及び排紙トレイ23が抜き取られると、第1回動ガイド51は第1開放位置に回動する。また、第2回動ガイド70は第2開放位置に回動する。このとき、搬送アーム74は離隔位置に位置するため、搬送ローラ68及びニップローラ69は互いに接触していない。
湾曲ガイド18、19が取り外され、第2回動ガイド70が第2開放位置に位置することにより、第2搬送経路67の後方側の一部は、複合機1の後方において露出する。ユーザは、複合機1の後方から、ジャムした記録紙を取り除くことができる。一方、第1回動ガイド51が第1開放位置に位置することにより、第2搬送経路67の前方側の一部は、複合機1の開口13から露出する。ユーザは、複合機1の開口13からジャムした記録紙を取り除くことができる。ユーザがジャムした記録紙を取り除く際、離隔位置に位置する搬送アーム74によって、搬送ローラ68及びニップローラ69は互いに接触しないので、簡単にジャムした記録紙を取り除くことができる。
仮に、第2回動ガイド70が第2開放位置をとっても、搬送アーム74が圧接位置のままであり、搬送ローラ68及びニップローラ69が互いに圧接されているとする。このとき、ユーザが複合機1の開口13からジャムした記録紙を前方に引き抜こうとすると、搬送ローラ68は搬送抵抗と同じ方向(後方から前方に向かう方向)の力を受ける。搬送ローラ68が搬送抵抗と同じ方向の力を受けると、搬送ローラ68は、図12の矢印681の向きに回転しようとする。なお、このときの搬送ローラ68の回転方向は、記録紙を搬送するときの回転方向とは逆方向である。搬送ローラ68に働く回転力は、図12において時計回り方向に搬送アーム74を回動させる力として作用し、搬送ローラ68による記録紙への押圧力が増加する。搬送ローラ68による記録紙への押圧力が増加すると、記録紙を前方に引き抜くために必要な力が増加する。つまり、複合機1の開口13からジャムした記録紙を前方に引き抜こうとする際、搬送アーム74が圧接位置のままだと、記録紙を取り除くために必要な力が大きくなり、ユーザの負担が増大する。本実施形態においては、第2回動ガイド70が第2開放位置に位置するとき、搬送アーム74が離隔位置に位置するので、搬送ローラ68とニップローラ69のニップが解除される。よって、ジャムした記録紙を小さい力で取り除くことができ、ユーザの負担が軽減する。
<変形例>
搬送アーム74の左右方向9の位置は、給紙アーム26の両外側であったが、搬送アーム74と給紙アーム26との位置関係はこれに限らない。例えば、図14に示すように、給紙アーム26の左右方向9の位置が、搬送アーム74の両外側であっても良い。なお、このときの給紙アーム26の左右方向9の位置は、図14に破線で示すように、第2回動ガイド70の左右方向9の両端部であっても良い。
また、搬送アーム74及び給紙アーム26の数は3つ以上であっても良い。例えば、図15に示すように、第2回動ガイド70の左右方向9の中央部及び両端部に給紙アーム26が設けられており、中央部と両端部の給紙アーム26の間に搬送アーム74が設けられていても良い。つまり、少なくとも2つの給紙アーム26が左右方向9に並べて設けられていても良い。少なくとも2つの給紙アーム26が左右方向9に並べて設けられていても良い。