以下、適宜図面が参照されつつ本発明の好ましい実施形態が説明される。
[複合機10の概略構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。同図が示すように、複合機10は、プリンタ部11とスキャナ部12とを一体的に備えており、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。プリンタ部11が本発明に係る画像記録装置に相当する。なお、複合機10は、必ずしもスキャナ部12を有している必要はなく、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタとして本発明に係る画像記録装置が実施されてもよい。したがって、スキャナ部12の詳細な構成の説明は省略される。
複合機10の下部にプリンタ部11が設けられている。プリンタ部11の正面側に開口13が形成されている。この開口13を通じて給紙カセット14及び給紙カセット15がプリンタ部11に装着される。給紙カセット14、15は、定形の矩形の記録用紙16(請求項に記載された「シート」に相当:図3参照)を保持することができる。この記録用紙16は、給紙カセット14又は給紙カセット15からプリンタ部11内へ選択的に供給される。プリンタ部11へ供給された記録用紙16は、記録部17(図2参照)によって画像が記録された後に給紙カセット15の上面18に排出される。したがって、給紙カセ
ット15の上面18は、排紙トレイとして機能する。
複合機10の正面上部に操作パネル19が設けられている。操作パネル19は、各種情報を表示するディスプレイ及び情報の入力を受け付ける入力キーを備えている。複合機10は、操作パネル19から入力された指示情報又は外部情報機器からプリンタドライバやスキャナドライバなどを通じて送信される指示情報に基づいて動作する。
[プリンタ部]
図2が示すように、給紙カセット14及び給紙カセット15(請求項に記載された「シートカセット」に相当)は、給紙カセット15を上側として上下二段に配置されている。給紙カセット14、15は、いずれも画像記録が行われる記録用紙16を保持するものである。独立した2つの給紙カセット14、15が設けられることによって、それぞれにサイズや紙種が異なる記録用紙16が保持され得る。
給紙カセット14は箱状に形成されており、複合機10の背面上側(図2における左側)の一部が開口されている。記録用紙16は、給紙カセット14の内部に積層状態で載置される。給紙カセット14は、たとえばA3サイズ以下のA4サイズ、B5サイズ、はがきサイズ等の各種サイズの記録用紙16を収容することができる。給紙カセット15も複合機10の背面上側の一部が開口された箱状のものであり、給紙カセット15の内部に各種サイズの記録用紙16が収容され得る。なお、給紙カセット15の上面18は、複合機10の正面側(図2における右側)に設けられている。
給紙カセット15の傾斜板20の上側に、湾曲した搬送路21が形成されている。プリンタ部11に給紙カセット15が装着されると、傾斜板20が搬送路21の下方に配置され且つ給紙カセット15の上側に給紙ローラ25、アーム26及び軸27が配置される。給紙ローラ25は、アーム26の先端側に回転可能に設けられている。アーム26は、軸27に回動可能に支持されており、軸27は、プリンタ部11の筐体72に支持されている。アーム26は、自重によって或いはバネ等による弾性力を受けて給紙カセット15側へ回動付勢されている。
給紙カセット14の傾斜板22の上側に湾曲した搬送路23が形成されている。プリンタ部11に給紙カセット14が装着されると、傾斜板22が搬送路23の下方に配置され且つ給紙カセット14の上側に給紙ローラ28、アーム29及び軸30が配置される。給紙ローラ28は、アーム29の先端側に回転可能に設けられている。アーム29は、軸30に回動可能に支持されており、軸30は、プリンタ部11の筐体72に支持されている。アーム29は、自重によって或いはバネ等による弾性力を受けて給紙カセット14側へ回動付勢されている。
[第1パス・第2パス]
図3は、図2における要部拡大図である。搬送路23及び搬送路21に連続する搬送路31がプリンタ部11の内部に形成されている。なお、搬送路23、搬送路21及び搬送路31が請求項に記載された「第1パス」に相当する。搬送路31は、搬送路23又は搬送路21に沿って搬送された記録用紙16をさらに図3において右側へ搬送するための経路である。搬送路31は、搬送路23と搬送路21とが合流する位置から複合機10の正面側へ向けて給紙カセット15の上面18の上方まで延びている。搬送路23と搬送路21とが合流する位置から複合機10の正面側に向かう方向が「搬送方向第1向き」である。
搬送路31の下流側(後述されるスイッチバックローラ32の上流側)から分岐して第2パス33が形成されている。第2パス33は、同図が示すように第1パスの上流側(搬送路31の上流側)に連結されている。これにより、複合機10は、記録用紙16を表裏反転して表裏両面に画像を記録することができるようになっている。具体的には、第2パス33は、スイッチバックローラ32(請求項に記載された「搬送ローラ」に相当)の上流位置に分岐口48を形成して、当該分岐口48と、搬送路31の上流側とを接続している。
給紙トレイ14、15から引き出された記録用紙16は、第1端(たとえば先端)を先頭として搬送路23(搬送路21)及び搬送路31に沿って搬送され、記録部17によって第1面(たとえば表面)に画像が記録される。裏面にも画像が記録される場合は、記録用紙16は、第2端(後端)を先頭として搬送路31から第2パス33へスイッチバックされ、再び搬送路31へ戻される。これにより、記録用紙16は表裏反転され、記録部17によって裏面に画像が記録される。
搬送路31の上流側にレジストセンサ34が配置されている。具体的には、後述される搬送ローラ35の搬送方向第1向き上流側にレジストセンサ34が設けられている。レジストセンサ30は、搬送路31を通過する記録用紙16の有無を検出する。レジストセンサ30からのオン/オフの信号変化によって、記録用紙16の先端又は後端がレジストセンサ30が設けられた位置に到達したか否かが判断される。
[プラテン・記録部]
図2及び図3が示すように、搬送路31にプラテン36が設けられている。プラテン36は、搬送路31に沿って搬送される記録用紙16を下から支持するものである。このプラテン36の上側に記録部17が配置されている。プラテン36の上面は、記録用紙16の反射率と異なる反射率となるように着色されている。通常、記録用紙16は白色であるので、プラテン36の上面は、典型的には黒に着色される。
記録部17は、搬送路31の上側に配置されたキャリッジ24と下側に配置されたプラテン36とを有する。キャリッジ24は、インクジェット記録ヘッド80を搭載している。このインクジェット記録ヘッド80は、プラテン36と対向配置されており、搬送方向第1向きと直交する方向(紙面に垂直な方向)にキャリッジ24が往復道されるときにプラテン36に向かって微小なインク滴が選択的に吐出される。吐出されたインク滴はプラテン36に支持された記録用紙16に着弾する。このように、記録用紙16の搬送と、キャリッジ24の往復動とが交互に繰り返されることにより、記録用紙16に所望の画像が記録される。
[送りローラ対]
搬送路31に沿ってプラテン36よりも搬送方向第1向き上流側に送りローラ対37が配置されている。送りローラ対37は、搬送ローラ35及びピンチローラ38を有する。搬送ローラ35は、搬送路31の上側に配置されており、LFモータ85(図7参照)から伝達される駆動力によって回転する。ピンチローラ38は、搬送路31を挟んで搬送ローラ35の下側に回転自在に配置されており、搬送ローラ35へ向けてバネによって付勢されている。搬送ローラ35及びピンチローラ38による記録用紙16の挟持力は、スイッチバックローラ35及び拍車41による挟持力よりも強い。なお、搬送ローラ35及びピンチローラ38による記録用紙16の挟持力は、後述される排紙ローラ39及び拍車40による挟持力よりも強く、排紙ローラ39及び拍車40による挟持力は、スイッチバックローラ35及び拍車41による挟持力よりも強い。
[排出ローラ対]
プラテン36よりも搬送方向第1向き下流側に排出ローラ対42が設けられている。排出ローラ対42は、排紙ローラ39及び拍車40からなる。排紙ローラ39は、上記LFモータ85(図7参照)から伝達される駆動力によって回転する。拍車40は、搬送路31を挟んで排紙ローラ39の上側に回転自在に配置されており、排紙ローラ39へ向けてバネによって付勢されている。排紙ローラ39及び拍車40は、画像記録後の記録用紙16を挟み込むものなので、その挟持力が、搬送ローラ35及びピンチローラ38による記録用紙16の挟持力より弱くなるように設定されている。
[スイッチバックローラ対]
排出ローラ対42よりも搬送方向第1向き下流側にスイッチバックローラ対43が設けられている。スイッチバックローラ対43は、スイッチバックローラ32及び拍車41からなる。スイッチバックローラ32は、上記LFモータ85(図7参照)から伝達される駆動力によって回転する。拍車41は、搬送路31を挟んでスイッチバックローラ32の上側に回転自在に配置されており、スイッチバックローラ32へ向けてバネによって付勢されている。スイッチバックローラ32は、正転及び逆転することができる。スイッチバックローラ32が正転することにより記録用紙16が搬送方向第1向きに搬送されて給紙トレイ15の上面18に排出される。スイッチバックローラ32が逆転することによって記録用紙16は、搬送方向第1向きと反対向きの搬送方向第2向きに搬送される。すなわち、記録用紙16がスイッチバックされる。スイッチバックローラ32及び拍車41の挟持力は、記録用紙16を排出又はスイッチバックするために十分な力であれば良いので、上記送りローラ対37や排出ローラ対42の挟持力よりも小さく設定されている。
[第2ガイド・シート検知機構]
排出ローラ対42とスイッチバックローラ対43との間に第2ガイド44が配置されている。第2ガイド44は、搬送方向に沿って略水平に延びている。第2ガイド44は案内支持面45を備えており、この案内支持面45が搬送路31の一部を区画している。記録用紙16は、案内支持面45に支持されつつ下流側へ案内される。また、第2ガイド44に凹部46が設けられている。この凹部46は、案内支持面45に開口した溝であって、搬送方向に延びている。この溝の機能については後述される。
図4は、第2ガイド44の斜視図である。図5は、図4における要部拡大図である。第2ガイド44にシート検知機構47(請求項に記載された「搬送検知手段」に相当)が備えられている。この搬送検知機構47は、搬送路31又は第2パス33(図3参照)を通過する記録用紙16の有無を検出する。シート検知機構47は、回動中心軸51、検出アーム49(請求項に記載された「第2アーム」に相当)、検出アーム50(請求項に記載された「第1アーム」に相当)、光学センサ56(図7参照:たとえばフォトインタラプタ)及び回動ホイール52(請求項に記載された「付勢手段」に相当)を備えている。記録用紙16が搬送路31に沿って搬送され、また、第2パス33に沿って搬送されると(図3参照)、検出アーム49及び検出アーム50が当該搬送向きに倒伏する。光学センサ56は、これを検知してオン/オフの信号を出力する。これにより、記録用紙16の先端又は後端が、検出アーム49又は検出アーム50が設けられた位置に到達したか否かが判断される。
図4が示すように、回動中心軸51は、樹脂からなる棒状の部材である。この回動中心軸51は、記録用紙16の搬送方向と交差する方向に延びている。この回動中心軸51は、ガイド部材44に支持されている。同図が示すように、ガイド部材44の内壁に一対の支持板53が突設されている。この支持板53は、ガイド部材44と一体的に形成されている。回動中心軸51の両端部は、支持板53に回動自在に支持されている。
回動中心軸51の一端側に検出アーム49が突設されている。検出アーム49は、回動中心軸51の外周面に突設され、径方向に延びている。これにより、検出アーム49は、第2ガイド44を上方に貫通し、案内支持面45の中央に起立状態で露出する。また、検出アーム50も回動中心軸51の外周面に突設されている。検出アーム50は、検出アーム49と略対向するように配置され、回動中心軸51の径方向に延びている。したがって、検出アーム50は、第2ガイド44の下面54を下方に貫通し、当該下面54の中央から下向きに突出する。なお、第2ガイド44の案内支持面45及び下面54にスリット55が設けられている。このスリット55に検出アーム49及び検出アーム50が挿通しており、回動中心軸51が回動することによって検出アーム49及び検出アーム50がスリット55に沿って倒伏することができる。
図4及び図5が示すように、第2ガイド44の下部に切欠部57が設けられている。この切欠部57は第2ガイド44の下面54に設けられ、第2パス33の下流側端縁62から当該第2パス33の上流側へ切り込まれている。切欠部57を区画する壁面は、当該切欠部57を矩形状に形成している。切欠部57の幅方向48の寸法は、回動ホイールの52の幅方向48の寸法よりも大きく設定されており、回動ホイール52は、切欠部57に進退自在となっている。回動ホイール52が切欠部57に進入すると、切欠部57を区画する内奥壁59(請求項に記載された「当接部」に相当)に当接する。すなわち、内奥壁59が回動ホイール52に当接し、回動ホイール52の進入を規制する。
回動ホイール52は、回動中心軸51の他端部に設けられている。すなわち、回動ホイール52は、回動中心軸51の軸方向に対して検出アーム49及び検出アーム50と異なる位置に配置されている。回動ホイール52は、回動中心軸51と一体的に形成されてもよいし、既知の固定手段により回動中心軸51に固定されてもよい。本実施形態では、回動ホイール52は略扇状の板部材からなり、回動中心軸51の径方向に突出している。この回動ホイール52が回動中心軸51の径方向に突出しているから、回動中心軸51は、回動ホイール52の自重によるモーメントを受ける。このモーメントの向きは、図5における矢印61の向きである。
したがって、図3において、回転中心軸51は常時反時計まわりに回動付勢され、検出アーム49は案内支持面45から常時起立状態となるように(すなわち、搬送方向第1向き上流側に回動するように)、また、検出アーム50はガイド部材44の下面54から下方へ常時突出するように(すなわち、第2パス33の搬送向き上流側に回動するように)付勢される。ただし、図5が示すように、回動ホイール52は上記内奥壁59に当接するから、回動中心軸51は反時計回り(矢印61の向き)に回動されつつも、内奥壁59によって回動が規制される。つまり、検出アーム49は、図3が示す姿勢から搬送路31の搬送方向第1向き上流側へ倒伏することが規制され、検出アーム50は、図3が示す姿勢から第2パス33の搬送向き上流側へ倒伏することが規制されている。
図3が示すように、搬送路31に沿って記録用紙16が搬送方向第1向きへ搬送されたときは、第2ガイド44の案内支持面45を通過すると、記録用紙16が検出アーム49を押圧し、回動中心軸51が同図において時計回りのモーメント(図5において矢印60の向き)を受けて回転する。これにより、回動ホイール52は、図5において切欠部57から退出し、検出アーム49は搬送方向第1向き下流側へ倒伏する。検出アーム49が倒伏するから、記録用紙16は円滑に搬送路31に沿って送られる。また、記録用紙16がスイッチバックされ、第2パス33に沿って搬送されたときは、検出アーム50を押圧し、回動中心軸51が図3において時計回りのモーメント(図5において矢印60の向き)を受けて回転する。これにより、回動ホイール52は、図5において切欠部57から退出し、検出アーム50は第2パス33の搬送向き下流側へ倒伏する。検出アーム50が倒伏するから、記録用紙16は円滑に第2パス33に沿って送られ、再び搬送路21に進入する。
また、上記光学センサ56が、第2ガイド44の内側に配置されており、フォトインタラプタが第2ガイド44に固定される。フォトインタラプタは、回動中心軸51の回動に連動して回動する回動ホイール52によって横切られる位置に配置されている。回転ホイール52がフォトインタラプタを横切ることにより、光学センサ56がON又はOFFされるように構成されている。
[フラップ]
図2及び図3が示すように、第1パス22に沿って排出ローラ対42とスイッチバックローラ対43との間にフラップ63が設けられている。このフラップ63は、軸64に回動可能に支持されている。この軸64は、上記分岐口48よりも排出ローラ対42側(搬送方向第1向き上流側)に配置されている。フラップ63は、フレーム65と、このフレーム65に設けられた第1補助ローラ66及び第2補助ローラ67とを備えている。フレーム65の基端部が軸64に支持されており、フレーム65は、搬送路31に沿って搬送方向第1向きに延びている。第1補助ローラ66は、フレーム65の略中央部に回動自在に配置され、軸64よりも搬送方向第1向き下流側に配置されている。また、第2補助ローラ67は、フレーム65の先端部に回動自在に配置されている。
図6が示すように、この第1補助ローラ66は、フレーム65が支軸66の回りに回動したときに第2ガイド44に設けられた凹部46に嵌り込むことができる。すなわち、フラップ63は、図3において軸64を中心に時計回りに回動し、第1補助ローラ66が凹部46に進入することができる。このときのフラップ63の姿勢が進入姿勢と定義される。また、図3が示すように、フラップ63は、軸64を中心に反時計回りに回動し、第1補助ローラ66が凹部46から退出することができる。このときのフラップ63の姿勢が退出姿勢と定義される。
常時において、フラップ63は自重により進入姿勢となる。記録用紙16が搬送方向第1向き下流側に搬送路31に沿って案内支持面45上を搬送されるとき、記録用紙16、第1補助ローラ66を押し上げる。これにより、フラップ63は退出姿勢へと変化し、記録用紙16がさらに搬送方向第1向き下流側に送られる。記録用紙16の搬送が進むと、当該記録用紙16はスイッチバックローラ対43に挟持され、さらに搬送方向第1向きへ送られる。記録用紙16が第1補助ローラ66を通過すると、第1補助ローラ66は凹部46に嵌り込むのでフラップ63は進入姿勢へと変化する。
フラップ63が進入姿勢になると、第2補助ローラ67が記録用紙16の第2端側を下方へ押圧し、記録用紙16の第2端は、第2パス33の方向に矯正される。もし、両面記録がなされない場合は、スイッチバックローラ32は正転を続けて記録用紙16が排出される。記録用紙16の裏面にも画像記録が成される場合は、記録用紙16の第2端が第1補助ローラ66及び第2補助ローラ67の間である停止位置90に到達したときにスイッチバックローラ32の逆転が開始され、記録用紙16は、第2端を先頭として確実に第2パス33へ送られる。停止位置90は、第2補助ローラ67よりも搬送方向第1向き上流側であって、第2補助ローラ67近傍の位置である。
[第1ガイド]
第2パス33の搬送方向第2向き上流側には、駆動軸70を中心に回動可能な第1ガイド68が設けられている。第2パス33は、図3が示すように、上記分岐口48から斜め下方に延びている。第1ガイド68は、第1姿勢と第2姿勢とに姿勢変化する。第1ガイド68が第1姿勢にあるとき、第1ガイド68は、駆動軸70から第2パス33に沿って斜め下方に延びている。第1ガイド68の基端に軸受け部69が設けられており、この軸受け部69がスイッチバックローラ対43と係合している。具体的には、軸受け部69は、スイッチバックローラ32の駆動軸70(請求項に記載された「支軸」に相当)に係合しており、当該駆動軸70に回動自在に支持されている。第1ガイド68は、平板状に形成されている。第1ガイド68の先端73における幅方向の中央部分には、幅方向に沿って凹凸が形成されている。この第1ガイド68は、図3において紙面に垂直な方向に延びており、第2パス33に沿って搬送される記録用紙16を確実に支持する。また、第1ガイド68は、同図が示すように、スイッチバックローラ32が配置された位置から第2パス33の下流側へ延びており、第1ガイド68の上面71は、第2パス33を区画する壁面の一部(鉛直方向下側の壁面の一部)を形成している。このように第1ガイド68が第2パス33を区画し、記録用紙16を第2パス33に沿って案内する姿勢が、「第1姿勢」と定義される。
第1ガイド68が第2姿勢にあるとき、駆動軸70から鉛直下向きに延びている。第1ガイド68は、自重により垂下することができる。したがって、第1ガイド68は、図3において駆動軸70を中心に反時計回りに回転することにより、第2パス33を解放することができる(図6参照)。このように第1ガイド68が第2パス33を解放した姿勢が、「第2姿勢」と定義される。
本実施形態では、第1ガイド68が第1姿勢にあるときに、第1ガイド68の先端73が第2パス33の検出アーム50よりも上流側の位置まで延びている。このため、第1ガイド68が第2姿勢となったときは、第2パス33の鉛直下側の壁面のうち、検出アーム50の上流側が開放される。具体的には、図6が示すように、第1ガイド68の先端73と第2パス33の壁面74との間に所定の隙間が形成される。この所定の隙間は、鉛直方向下側に形成された第2パス33とは異なる空間であって、記録用紙16が第2パス33を離脱し、検出アーム50との接触を回避して通過可能な隙間である。壁面74は、筐体72に固定された部材により形成される。壁面74における幅方向の中央部分の、先端73に形成された凹凸と対応する位置には、先端73に形成された凹凸と互い違いになるように幅方向に沿って凹凸が形成されている。なお、壁面74の凹凸部分を含む先端側は、搬送方向第2向き上流側に向かって、第2パスから離れる側に傾斜している。これにより、搬送方向第2向きに沿って搬送されるシートが、安定して搬送できる。
なお、第1ガイド68は、図6に示す第2姿勢からさらに反時計回りに回転することにより、第2パス33を大きく開放可能である。また、第1ガイド68は、垂下した状態から時計回りに回動することによって第2パス33を閉じて当該第2パス33を区画する壁面の一部を構成する。本実施形態では、第1ガイド68の回動は、給紙カセット15の挿抜により行われる。すなわち、給紙カセット15がプリンタ部11に挿入されることにより、給紙カセット15の上端81が第1ガイド68の下面82を押圧し、第2パス33が時計回りに回動する。なお、給紙カセット15の上端81及び第1ガイド68の下面82は、幅方向一端側にそれぞれ設けられている。この状態から給紙カセット15が引き抜かれると、第1ガイド68が自重により回動し、第2パス33が解放される。このとき、第1ガイド68の先端73には、壁面74の凹凸と互い違いに凹凸が形成されており、壁面74によっては支持されていないため、給紙カセット15が引き抜かれると、第1ガイド68は第2姿勢に姿勢変化する。
本実施形態では、第1ガイド68は自重により支軸53を中心に回動するが、第1ガイド68は、駆動軸70を中心に反時計回りに回動するように付勢されていてもよい。この付勢手段の具体的構造はさまざまであるが、典型的には、ねじりコイルバネが回動軸70と第1ガイド68との間に介在される。また、本実施形態では、スイッチバックローラ32の駆動軸70が第1ガイド68を支持する支軸を兼ねているが、駆動軸70とは別に第1ガイド68を支持する支軸が設けられていてもよい。
図6は、第1ガイド68が開放された状態の複合機10の要部断面図である。同図が示すように、給紙カセット15は、筐体72の内側であって第2パス33の下側に挿入される。また、給紙カセット15は、筐体72に設けられた給紙カセット15の底面を支持するための複数の当接部75(請求項に記載された「当接部」に相当)に載置される。当接部75は、装着された状態の給紙カセット15の底面に当接することにより、給紙カセット15を支持する。複数の当接部75を結び、水平面に沿う面が仮想平面76(請求項に記載された「仮想平面」に相当)として定義される。当接部75は、給紙カセット15の底面の一部と当接するように構成されているが、給紙カセット15の底面全体と当接するように構成されていても良い。複数の当接部75が設けられるとしたが、1つの当接部75だけが設けられていても良い。
図3が示すように、第1ガイド68が第2姿勢にあるときに、スイッチバックローラ32の逆転が開始されてから、スイッチバックローラ対43により搬送される記録用紙16が上記当接部75を含む仮想平面76に到達するまでの距離が距離D2として定義される。具体的には、第1ガイド68が第2姿勢にあるときに、第2端が停止位置90に位置する記録用紙16が、スイッチバックローラ32の逆転によって搬送され、仮想平面76に到達するまでの距離である。第1ガイド68が第2姿勢にあるとき、第2パス33の鉛直下側の壁面の一部が開放されているため、記録用紙16は自重によって、仮想平面76に向けて搬送される。また、図6が示すように、第1ガイド68が第1姿勢にあるときに、スイッチバックローラ32の逆転が開始されてから、スイッチバックローラ対43により搬送される記録用紙16が第2パス33に沿って検出アーム50に到達するまでの距離が距離D1として定義される。具体的には、第1ガイド68が第1姿勢にあるときに、第2端が停止位置90に位置する記録用紙16が、スイッチバックローラ32の逆転によって搬送され、第2パス33に沿って検出アーム50に到達するまでの距離である。そして、本実施形態では、距離D1と距離D2との間にD1<D2の関係が成立するように、検出アーム50の位置、すなわち、回動中心軸51の位置が決定されている。
本実施形態に係る複合機10では、第1ガイド68が第1姿勢にあるときに、検出アーム50よりも第2パスの上流側に、第1ガイド68の先端73が位置するように構成されているが、これに限らない。例えば、第1ガイド68が第1姿勢にあるときに、検出アーム50よりも第2パスの下流側に、第1ガイド68の先端73が位置するように構成しても良い。その場合には、第1ガイド68が第2姿勢にあるときに、検出アーム50の先端と第1ガイド68の上面71との間に、第2パス33とは異なる鉛直方向下側に記録用紙16が通過可能な隙間が形成されるように、検出アーム50の位置、即ち回動中心軸51の位置が決定される。つまり、第1ガイド68が第2姿勢にあるときに、検出アーム50の先端と第1ガイド68の上面71との間に、記録用紙16が通過可能な隙間が形成される位置が、第2パス33における検出アーム50の位置の最上流側として、検出アーム50の位置が決められる。言い換えれば、第1ガイド68が第2姿勢にあるときに、検出アーム50の先端と第1ガイド68の上面71との間に、記録用紙16が通過可能な隙間が形成される位置よりも、第2パスの下流側になるように、第1アーム50の位置が決められる。
[第3ガイド]
第2パス33の搬送方向第2向き下流側には、給紙ローラ25の軸27を中心に回動可能な第3ガイド100が設けられている。第3ガイド100は、検出アーム50よりも第2パス33の搬送方向第2向き下流側に配置されている。第3ガイド100は、平板状に形成されている。第3ガイド100は、軸27を中心に回動可能であり、給紙カセット15が装着された状態では、図2が示すように、第2パス33を区画する壁面の一部を構成している。給紙カセット15が離脱された状態では、図6が示すように、軸27を中心に反時計回りに回転することにより、第2パス33を開放することができる。
[制御部]
図7は、複合機10の制御部90の構成を示すブロック図である。制御部90は、複合機10の全体動作を制御するものであるが、スキャナ部12及び記録部24の制御についての詳細な説明は省略される。制御部90は、演算処理を行うCPU91と、制御プログラムなどが格納されたROM92と、データの記憶領域又は作業領域として使用されるRAM93と、設定情報などが記憶されるEEPROM94とが主な構成要素となるマイクロコンピュータとして構成されている。各構成要素は、バス95を介してデータ転送可能に接続されている。
駆動回路96がバス95に接続されている。駆動回路96は、上記LFモータ85及びASFモータ86を駆動させるものである。LFモータ85は、搬送ローラ35、排紙ローラ39、スイッチバックローラ32などに接続されており、これらを駆動する。ASFモータ86は、給紙ローラ25、28を駆動させるものである。駆動回路96は、LFモータ85及びASFモータ86を駆動するためのドライバを備えており、LFモータ85及びASFモータ86は、これら各ドライバによって独立に制御される。LFモータ85の駆動力は、周知の駆動伝達機構を介して搬送ローラ35、排紙ローラ39及びスイッチバックローラ32に伝達される。ASFモータ86の回転力も前述の駆動伝達機構を介して給紙ローラ25、28に伝達される。
本実施形態に係る複合機10では、LFモータ85は、搬送ローラ35及び排紙ローラ39の駆動源となっている。したがって、記録用紙16は、プラテン36へ向けて搬送され、また、プラテン36上に位置する記録用紙16や記録済みの記録用紙16が搬送方向第1向きへ搬送される。さらに、LFモータ85は、スイッチバックローラ32を正転及び逆転させるための駆動源にもなっており、記録用紙16の裏面にも画像が記録される場合は、スイッチバックローラ対43によって反転され、第2パス33へ送られる。具体的には、スイッチバックローラ32の正転により、記録済みの記録用紙16が搬送方向第1向きへ搬送される。そして、当該記録用紙16の第2端が停止位置90に到達したときに、スイッチバックローラ32の逆転が開始される。
また、ロータリーエンコーダ97、上記光学センサ56及びレジストセンサ34がバス95に接続されている。ロータリーエンコーダ97は、LFモータ85により駆動されるスイッチバックローラ32の回転量を検知するもので、プリンタ部11の筐体72に取り付けられる。制御部90は、光学センサ56の出力信号のレベル及びロータリーエンコーダ97が検知するエンコーダ量に基づいて、搬送路31及び第2パス33における記録用紙16の有無及び記録用紙16の先端又は後端の位置並びに記録用紙16の搬送量を把握する。なお、上記EEPROM94に、上記距離D1、D2に対応するエンコーダ量が記録されている。したがって、CPU91は、スイッチバックされて第2パス3へ送られた記録用紙16の搬送量が上記距離D1、D2を超えたかどうかを判断することができる。
[給紙カセットの挿抜と記録用紙の搬送]
この複合機10では、図2及び図3が示すように、記録用紙16を保持した給紙カセット15が装着されると、記録用紙16が搬送路31へ送給され得る状態となる。また、このとき、第1ガイド68が第1姿勢に変位し、第2パス33が区画形成される。LFモータ85が駆動され、スイッチバックローラ32、搬送モータ35及び排紙ローラ39が正転すると、記録用紙16が第1端を先頭として搬送路31に沿って搬送方向第1向きに搬送される。搬送路31に沿って搬送される記録用紙16は、記録部17によって第1面に画像が記録される。記録用紙16の第2面にも画像が記録される場合は、スイッチバックローラ32が逆転し、記録用紙16は、第2端を先頭として第2パス33へ送られる。第2パス33に記録用紙16が進入すると、当該記録用紙16が検出アーム50に接触し、この検出アーム50は、記録用紙16に押されて倒伏し第2パス33から没する。これにより、記録用紙16の存在がシート検知機構47によって検知され、記録用紙16が正常に第2パス33に沿って搬送されていることが判断される。第2パス33に送られた記録用紙16は、第2端を先頭として再び搬送路21及び搬送路31に戻され、記録部17によって第2面に画像が記録される。
給紙カセット15が取り外されると、図6が示すように、第1ガイド68が第2姿勢に変化する。すなわち、第1ガイド68が鉛直方向下向きに回動し、第2パス33を区画する鉛直方向下側の壁面が鉛直方向下向きに回動して当該第2パス33が開放される。このように第1ガイド68が姿勢変化することで、ユーザーは、第2パス33においてジャムが発生した場合に、いわゆるジャム処理を簡単に行うことができる。
記録用紙16の搬送中に給紙カセット15が取り外されることが想定される。その場合、第2パス33へ送られた記録用紙16は、開放された第2パス33から落下することになるのでジャムが発生する。より詳細には、記録用紙16は、第1ガイド68の先端73と第2パス33の壁面74との間の隙間を通って、第2パス33とは異なる鉛直方向下側に落下する。この状態で、スイッチバックローラ32によって記録用紙16が送り続けられると、ジャム状態が悪化して記録用紙16が破損するおそれがある。ところが、本実施形態では、記録用紙16が第2パス33の外側へ移動したときは、検出アーム50と接触しないため、スイッチバックローラ32が逆転を繰り返しているにもかかわらずシート検知機構47が記録用紙16の存在を検出しない状態となる。
具体的には、スイッチバックローラ32によって記録用紙16が搬送方向第2向きに距離D2だけ送られたときに光学センサ56がON/OFFの切替信号を出力しないときは、記録用紙16が第2パス33から離脱していることが判断され得る。なぜなら、検出アーム50が、上記距離D1、D2についてD1<D2の関係が成立する位置に配置されているため、第1ガイド68が第2姿勢にあれば、記録用紙16が第2パス33の外側に移動して上記仮想平面76に到達していると予想されるからである。なお、記録用紙16の搬送量は、前述のようにロータリーエンコーダ97のエンコーダ量(すなわち、スイッチバックローラ32の回転数に相当)によって把握される。
このような場合に、制御部90は、スイッチバックローラ32の回転数に基づいてLFモータ85の駆動を停止させることができる。記録用紙16が上記距離D2だけ送られたときに搬送が停止されれば、記録用紙16のジャム状態が悪化して記録用紙16が損傷を受けることが防止される。本実施形態では、予め上記距離D1、D2が記憶され、これらの距離に対応するエンコーダ量に基づいてLFモータ85の駆動が停止されるので、スイッチバックローラ32の回転制御がきわめて簡単である。
なお、スイッチバックローラ32の回転制御は、LFモータ85の駆動時間によって行うこともできる。すなわち、制御部90は、スイッチバックローラ32が逆転した後に一定時間が経過しても検出アーム50が記録用紙16の存在を検出しないときには、LFモータ85を停止させる。これにより、記録用紙16ジャム状態が悪化することが防止される。この場合の一定時間は、スイッチバックされた記録用紙16の搬送距離が上記距離D1を超えて上記距離D2に到達したと予想されるまでの時間である。この時間は、予め設定され、EEPROM94に記憶される。
また、本実施形態では、第1ガイド68を支持する駆動軸70が前述の位置に配置されているので、第1ガイド68が第2姿勢に変化したときは、記録用紙16は必ず第2パス33から離脱する。したがって、給紙カセット15が取り外されたときに第2パス33内でジャムが発生することが防止され、ジャムの悪化が確実に防止される。
加えて、前述のように、記録用紙16が搬送されているときに給紙カセット15が取り外された場合、第2パス33へ送られた記録用紙16は、第2パス33の外側へ移動するはずである。ところが、たとえば記録用紙16の剛性(いわゆる腰の強さ)によって第2パス33が開放されているにもかかわらず記録用紙16が検出アーム50に到達ないし接触してしまう可能性がある。その場合、検出アーム50が容易に第2パス33から没すると、第2パス33が開放されているにもかかわらず正常な搬送として誤検知されてしまう。そうすると、記録用紙16はシート検知機構47によって正常に検知された後に第2パス33の外側に移動してしまうおそれがあり、記録用紙16のジャム状態が悪化してしまう。しかし、本実施形態では、検出アーム50は、第2パス33に対して突出するように付勢されているから、そのような誤検知が抑制される。さらに、給紙カセット15が取り外された状態において、第2パス33の搬送方向第2向きの下流側は、第3ガイド100により開放されている。そのため、仮に、記録用紙16が検出アーム50に到達したとしても、記録用紙16は、第2パス33が第3ガイド100によって開放されているため、ジャムしてしまう。しかし、本実施形態では、検出アーム50は、第2パス33に対して突出するように付勢されているから、給紙カセット15が取り外された場合には、早期にジャムを検知することが可能となる。
さらに、本実施形態では、上記第2ガイド44及び検出アーム49が設けられているので、第1面に画像が記録された記録用紙16は、第2ガイド44の案内支持面45に支持されながら搬送方向第1向きに送られる。この記録用紙16が検出アーム49に接触することにより、当該記録用紙16が搬送路31に沿って搬送されていることが検知される。したがって、記録用紙16のスイッチバックのタイミングが正確に制御され得る。
また、検出アーム49、50が回動中心軸51に設けられているので、回動中心軸51が回動することによって検出アーム49、50が同時に作動する。したがって、記録用紙16が搬送路31を搬送されたとき及び第2パス33に沿って搬送されたときにシート検知機構47が検出信号を出力する。つまり、単一の光学センサ56によって搬送路31及び第2パス33の双方を記録用紙16が搬送されたことが検知されるので、シート検知機構47の構造が簡素化される。