以下、印刷装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、印刷装置11は、用紙等の媒体Pに印刷する印刷機能を有するプリンター部12と、プリンター部12の上側に配置されたスキャナー部13とを備え、全体として鉛直方向Zに長い略直方体状をなす複合機からなる。プリンター部12の上面部にはスキャナー部13の隣(図1では手前側)の位置に、操作パネル14が設けられている。操作パネル14は、例えばタッチパネル機能を有する表示部15を備える。本例では、タッチパネルが操作部16の一例を構成する。なお、操作部16は、操作スイッチでもよい。
図1に示すように、スキャナー部13は、上面が不図示の原稿台となったスキャナー本体部17と、スキャナー本体部17の上面(原稿台ガラス面)に対して開閉可能に設けられた原稿台カバー18とを備える。原稿台カバー18の上部には、自動原稿給送部19(オートドキュメントフィーダー(ADF))が搭載されている。
スキャナー部13は、原稿台カバー18を開けて不図示の原稿台ガラス上にセットした原稿を読み取る不図示の読取部を有する。自動原稿給送部19は載置台19Aにセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ順番に給送し、読取部によりスキャニングされ後の原稿はスタック部19B上に順次排出される。このように構成された印刷装置11は、前述の原稿台と操作パネル14とを上面部に有する略直方体状の本体20と原稿台カバー18とを備える。
図1に示すように、プリンター部12の下部には、複数枚の媒体Pを積載状態に載置して収容可能なカセット21が、本体20に対して正面側から挿抜可能な状態で上下方向に複数段挿着されている。また、本体20の一側部には、給送トレイ22が下端を中心に開閉可能に設けられている。給送トレイ22を図1に二点鎖線で示す開いた状態とし、その上に印刷するべき媒体Pをセットすることが可能となっている。また、本体20の一側部には、給送トレイ22を含むメンテナンス用のカバー23と、カバー23よりも下側に配置されたメンテナンス用のカバー24とが、それぞれ一側端を中心に横開きで開閉可能に設けられている。なお、本実施形態では、カセット21と給送トレイ22とが、媒体載置部の一例をそれぞれ構成する。給送トレイ22は、1枚の媒体Pのみをセットできる手差しトレイでもよいし、複数の媒体を積載状態にセットでき自動で1枚ずつ給送可能なホッパー機能付きの構成でもよい。
また、プリンター部12においてカセット21よりも上側の部分が、カセット21又は給送トレイ22から給送された媒体Pに印刷する印刷機構部25(図2参照)となっている。プリンター部12とスキャナー本体部17との間には印刷後の媒体が排出されるスタッカー部26が設けられている。
次に図2を参照してプリンター部12の詳細な構成を説明する。なお、図2では、カセット21は最上段のもののみを示し、他の段のものは省略している。また、印刷ヘッド34に印刷されるときの媒体Pが搬送される方向を搬送方向Yとし、搬送方向Yと交差(特にば直交)する方向を幅方向Xとする。
図2に示すように、本実施形態の印刷装置11の本体20内には、前述の印刷機構部25が設けられている。印刷機構部25は、媒体Pを搬送路31に沿って搬送する搬送部の一例としての搬送ユニット32と、搬送途中の媒体Pに印刷する印刷ヘッド34を有する印刷ユニット33とが設けられている。
印刷ヘッド34は、インクを吐出するインクジェット方式を採用する。印刷ヘッド34は、図1の紙面と直交する幅方向Xに最大幅の媒体Pの幅よりも少し長く延びる長尺状のラインヘッドからなり、幅方向Xへの移動が不能に所定位置に固定された固定式である。本実施形態では、固定式のラインヘッドからなる印刷ヘッド34により、搬送中の媒体Pに対してその幅方向Xに亘る範囲にインク滴を一斉に吐出してライン状に印刷を進めるライン印刷方式を採用している。この印刷ヘッド34から吐出されたインクが媒体Pに付着することにより、媒体Pに画像又は文書等が印刷される。なお、印刷ユニット33が幅方向Xに移動可能な印刷用のキャリッジを備え、その印刷用のキャリッジに設けられた印刷ヘッド34が、印刷用のキャリッジと共に幅方向X(主走査方向)に移動する移動式で、媒体Pの搬送動作と印刷ヘッド34による印刷動作とが交互に行われるあるシリアル印刷方式を採用することもできる。
また、図2に示すように、搬送ユニット32は、媒体Pを給送する給送機構部35と、媒体Pを印刷ユニット33が印刷を行うときの搬送路36に沿って搬送する搬送機構部37と、印刷済みの媒体Pを排出路62に沿って搬送してスタッカー部26へ排出する排出機構部38とを備えている。
給送機構部35は、給送トレイ22を給送元とする第1給送部41と、カセット21を給送元とする第2給送部42と、両面印刷時に片面の印刷を終えた媒体Pを再び搬送路36へ給送する第3給送部43とを有している。第1給送部41は、給送トレイ22上にセットされて先端部が挿入口20Aから挿入された状態にある媒体Pを、第1給送ローラー対44の回転によって、第1給送路45に沿って搬送機構部37へ給送する。なお、給送トレイ22を備えたカバー23(図1、図3を参照)は、本体20における印刷ヘッド34よりも搬送方向Yの上流側の位置に開閉可能に設けられている。
また、第2給送部42は、カセット21から媒体Pを第2給送路48に沿って給送する。第2給送部42は、カセット21内の最上位の媒体Pを送り出すピックアップローラー49と、送り出された媒体Pを1枚に分離する分離ローラー対50と、分離された1枚の媒体Pを給送する第2給送ローラー対51及び従動ローラー52とを備える。
図2に示すように、搬送機構部37は、第1〜第3給送部41〜43の合流箇所よりも少し搬送方向Yの下流側の位置に配置された搬送ローラー対46と、印刷ヘッド34と対向する位置に配置されたベルト搬送機構58とを備える。媒体Pは停止中の搬送ローラー対46に先端が突き当てられることにより給送過程でスキュー取りされ、スキュー取り後の媒体Pが搬送ローラー対46の回転によって搬送路36へ搬送される。
ベルト搬送機構58は、一対のローラー59,60と、一対のローラー59,60に巻き掛けられた搬送ベルト61とを有する。また、ベルト搬送機構58のローラー59の上方位置には搬送ベルト61と接触して従動する搬送従動ローラー47が配置されている。ベルト搬送機構58は、帯電された搬送ベルト61の表面に媒体Pを静電気の力により吸着させる静電吸着方式を採用する。印刷ヘッド34は、ベルト搬送機構58により印刷ヘッド34と一定のギャップを保持した状態で一定速度で搬送される媒体Pに向かってインクを吐出することで、媒体Pに画像や文書等が印刷される。
第3給送部43は、両面印刷時に、一方の面(片面)が印刷済みの媒体Pを、表裏反転させて再び搬送機構部37に導く再給送を行う。搬送機構部37から排出された一方の面が印刷済みの媒体Pは、分岐機構53によって分岐搬送路54に導かれ、搬送ローラー対55の正転の後の逆転によって、図2において印刷ユニット33よりも上方に位置する反転給送路56に導かれる。そして、複数の反転搬送ローラー対57の回転によって、媒体Pは反転給送路56に沿って給送されて第1給送路45及び第2給送路48に反転した状態で合流し、その後、搬送機構部37に再び導かれ、印刷ヘッド34がその反転した媒体Pの未印刷の他方の面に印刷することで、両面印刷が行われる。
排出機構部38は、排出路62に沿って配置された複数の排出ローラー対63の回転によって、印刷を終えた媒体Pを媒体排出口20Bから図2に二点鎖線で示すようにスタッカー部26上へ排出する。排出された印刷済みの媒体Pは、スタッカー部26上に積載される。なお、カセット21及び給送トレイ22からの媒体Pを印刷ヘッド34が印刷可能な位置を通る経路で搬送するのが、搬送経路30である。
図2に示すように、印刷ヘッド34よりも搬送方向Yの上流側に位置する搬送ローラー対46よりも少し上流側には、媒体検出装置80が配置されている。媒体検出装置80は、第1給送路45と第2給送路48との合流部及び搬送経路30と反転給送路56との合流部の近傍位置の下側に位置する。媒体検出装置80は、第1給送部41及び第2給送部42により給送された媒体Pの搬送方向Yと交差(特に直交)する幅方向Xの側端を検出する。媒体検出装置80が検出した媒体Pの側端の情報から、媒体Pへの幅方向Xの側端位置、媒体幅(媒体サイズ)及び幅方向Xの印刷範囲のうち少なくとも一つを含む幅に関する媒体情報が取得される。
次に図3〜図7を参照して、給送機構部35における媒体検出装置80の周辺を含む部分の構成について説明する。なお、図5及び図6はカバー23を閉じた状態、図7はカバー23を開けた状態を示す。
図3及び図4に示すように、印刷装置11の装置本体20に対して開閉可能なカバー23を開くと、各給送部41〜43の一部が露出する。各給送部41〜43は、本体20内の不図示のフレームに組み付けられた本体側給送機構部65と、カバー23の内面側に組み付けられたカバー側給送機構部66とにより構成される。本体20側には媒体検出装置80が組み付けられている。媒体検出装置80は、給送又は搬送中の媒体Pをその上面で支持しつつ、その上面の窓部88を通して媒体Pを幅方向Xに読み取って媒体Pの側端を検出する。このため、媒体検出装置80の媒体Pを支持する上面部分をなす媒体案内部81A及び媒体支持部81Bも、本体側給送機構部65の一部を構成している。
図5及び図7に示すように、本体側給送機構部65には、第2給送部42を構成する分離ローラー対50、駆動ローラー51A、ガイド部材67、第3給送部43を構成する駆動ローラー57A、ガイド部材68,69及び搬送ローラー対46等が含まれる。また、媒体検出装置80は、その筐体81の上面部における搬送方向Yの上流側部分に第2給送路48からの媒体Pを案内する斜状の媒体案内部81Aを有している。さらに媒体検出装置80は、筐体81における媒体案内部81Aに対して搬送方向Yの下流側となる上面部分に、第1給送路45及び第2給送路48からの媒体Pを支持する媒体支持部81Bを有している。このため、これらの媒体案内部81A及び媒体支持部81Bは、本体側給送機構部65の一部を構成している。
また、図5及び図7に示すように、カバー側給送機構部66には、第1給送部41を構成する給送ローラー対44、ガイド部材70,71、第2給送部42を構成する従動ローラー51B,52、ガイド部材72及び第3給送部43を構成する従動ローラー57Bが含まれる。カバー23と一体に組み付けられているガイド部材71は、第1給送路45を構成する媒体案内面71Aと、反転給送路56を構成する媒体案内面71Bとを有する。カバー側給送機構部66には、複数の媒体載置部の一例を構成する給送トレイ22及びカセット21のうち少なくとも1つから媒体Pを給送する給送機構が含まれる。本例では、複数の媒体載置部の一例は、給送トレイ22及びカセット21の両方であり、カバー23には、給送部の少なくとも一部の一例として、第1給送部41の全部及び第2給送部42の一部が組み付けられている。
図5及び図6に示すように、給送ローラー対44は、駆動ローラー44Aと従動ローラー44Bとを備える。両ローラー44A,44Bの給送方向の下流側には、ガイド部材70と、ガイド部材71の媒体案内面71Aとが対向して配置されることで、第1給送路45の一部が形成されている。また、互いに対向するガイド部材67,72、及び媒体検出装置80の媒体案内部81Aにより、第2給送路48の一部が形成されている。
図5に示すように、第2給送部42を構成する分離ローラー対50は、駆動ローラー50Aと従動ローラー50Bとからなる。
また、図5及び図6に示すように、第3給送部43を構成する反転搬送ローラー対57は、駆動ローラー57Aと従動ローラー57Bとからなる。片面が印刷済みの媒体Pを反転させて給送する反転給送路56の下流側の部分は、対向して配置された本体20側のガイド部材68とカバー23側のガイド部材71とにより形成されている。また、媒体検出装置80のうちガイド部材68と対向する面も反転給送路56の一部を形成している。また、媒体検出装置80の搬送方向Yの下流側の位置に配置された搬送ローラー対46は、駆動ローラー46Aと従動ローラー46Bとからなる。
図5に示す駆動ローラー44Aは、第1給送モーター121(図16参照)の動力により駆動される。また、駆動ローラー50A,51Aは、第2給送モーター122(図16参照)の動力により駆動される。また、駆動ローラー46A及び駆動ローラー57Aは、第1搬送モーター123(図16参照)の動力により駆動される。なお、図2に示すベルト搬送機構58は、ベルト用モーター124(図16参照)の動力により駆動される。また、図2に示す排出機構部38は、第2搬送モーター125(図16参照)の動力により駆動される。
図6に示すように、第1給送路45と第2給送路48とは第1合流部75で合流している。この第1合流部75よりも給送方向(搬送方向Y)の下流側では、搬送通路の一例としての第2給送路48と両面印刷通路の一例としての反転給送路56とが、合流部及び通路合流部の一例としての第2合流部76で合流している。つまり、第1合流部75及び第2合流部76の間は、給送トレイ22から給送された媒体Pと、カセット21から給送された媒体Pとの共通の給送路である第1共通給送路77となっている。そして、第2合流部76よりも給送方向(搬送方向Y)の下流側は、媒体Pの一方の面を印刷するために給送される印刷前の媒体Pと、両面印刷を行うために一方の面が印刷された後に他方の面に印刷するために再給送される印刷後の媒体Pとの共通の給送路である第2共通給送路78となっている。このように印刷ヘッド34(図2参照)よりも搬送方向Yの上流側には、片面印刷経路の一例を構成する第1給送路45、第2給送路48及び第1共通給送路77と、反転給送路56との合流部である第2合流部76が存在している。
図6に示すように、第2合流部76を形成する複数の媒体案内面は、ガイド部材71の2つの媒体案内面71A,71Bの下流側の部分、反転給送路56を形成している媒体案内面68Aの下流側部分及び媒体検出装置80の媒体支持部81Bの少し下流寄り部分の表面である。これらの面によって媒体Pが合流する部分(合流領域)が形成される。カバー23(図5及び図7を参照)に組み付けられているガイド部材71は、第2合流部76を形成している一部の媒体案内面71A,71Bを有している。特にガイド部材71の2つの媒体案内面71A,71Bが交差する箇所によって第2合流部76が形成されている。
図5及び図6に示すように、媒体検出装置80は、第1合流部75及び第2合流部76の下側に配置されている。媒体検出装置80の筐体81の上面部は、第2給送路48、第1共通給送路77及び第2共通給送路78の一部を構成している。また、搬送ローラー対46に対して搬送方向Yの上流側には、媒体Pの搬送方向Yの端部を検出可能なセンサー79が設けられている。このセンサー79は、媒体Pの搬送方向Yの先端を検知して、搬送ローラー対46による媒体Pのスキュー取り動作のタイミングを決めるために用いられる。
図6に示すように、媒体検出装置80は、前述の筐体81と、筐体81内に幅方向X(図6では紙面直交方向)に移動可能に収容されたキャリッジ82と、キャリッジ82における搬送経路30と対向する側に設けられたセンサー83と、キャリッジ82を移動させる動力源の一例としての電動モーター103(図12、図16を参照)とを備えている。筐体81内には、キャリッジ82を幅方向Xに沿って移動可能に案内する一対のレール部84,85が設けられている。キャリッジ82は、複数のプーリー86(図6では1つのみ示す)に巻き掛けられた無端状のベルト87の一部に固定されている。媒体検出装置80は、電動モーター103の動力によるベルト87の回転によってキャリッジ82を幅方向Xに往復移動させるベルト駆動方式を採用する。このように印刷ヘッド34とは別体に媒体検出装置80を設けているので、キャリッジ82及びセンサー83は印刷ヘッド34(図2参照)と独立して幅方向Xに移動可能である。
図6に示すように、媒体検出装置80の筐体81には、キャリッジ82が移動するときにセンサー83の検出方向側に対向する部分に光透過部材からなる窓部88が設けられている。窓部88を構成する光透過部材は、例えば透明なガラス又は透明プラスチック等の透明部材からなる。本例のセンサー83は光学式センサーであり、第1共通給送路77を給送される媒体Pを、窓部88を介して光学的に読み取ることで媒体Pの幅方向Xの側端を検出する。キャリッジ82は、印刷ヘッド34よりも搬送方向Yの上流側の位置で幅方向Xに移動可能である。そのため、センサー83は、印刷ヘッド34よりも搬送方向Yの上流側の位置で媒体Pの側端を検出可能である。よって、媒体検出装置80が予め検出した媒体Pの側端位置を、それよりも下流側の位置で印刷を行う印刷ヘッド34の制御に使用できる。
図6に示すように、センサー83がその検出方向(光出射方向)に窓部88を介して対向する領域、つまり読取位置に対応する対向領域には、ガイド部材71の媒体案内面71Aの一部が搬送方向Yに窓部88と平行かつ幅方向Xにセンサー83の移動経路と平行な状態で水平に延びている。つまり、媒体案内面71Aのその一部は、センサー83の移動経路上のどの位置にあってもセンサー83と等距離を維持可能な水平面となっている。そして、媒体案内面71Aの水平部分のうち少なくともセンサー83の移動経路と対向する領域は、センサー83からの光を反射する光反射面71Cとなっている。本例のガイド部材71は金属製で、光反射面71Cは、ガイド部材71の媒体案内面71Aのうち対応する部分を、例えば研磨又はめっき等により鏡面に加工されている。
光反射面71Cは媒体Pよりも光反射率が十分高く形成されており、光反射型のセンサー83は、光反射面71Cからの反射光を受光してその受光量に応じた検出電圧値が閾値を超える場合にLレベルを出力し、媒体Pからの反射光を受光してその受光量に応じた検出電圧値が閾値以下である場合にHレベルを出力する(図18、図19を参照)。つまり、センサー83は、媒体Pを検知していないときにLレベルを出力し、媒体Pを検知した場合にHレベルを出力する。なお、センサー83が媒体Pの有無に応じた検出信号を出力可能であればよく、例えば光反射面71Cに塗装又は粗面加工を施すことにより、光反射面71Cを媒体Pよりも十分低反射率の面としてもよい。
図6に示すように、媒体検出装置80の筐体81の上面部における斜状の媒体案内部81Aによって第2給送路48の一部が形成されている。また、筐体81の上面部のうち窓部88と窓部88に対して搬送方向Yの下流側に位置する媒体案内部81Cとにより、給送トレイ22及びカセット21から給送される媒体Pが共通に支持される媒体支持部81Bが構成されている。媒体検出装置80は、筐体81の上部から搬送方向Yの下流側へ延出する延出部81Dを有する。この延出部81Dは従動ローラー46Bを支持する支持部材の一部からなるガイド部材69と対向する位置に配置され、第2共通給送路78の一部を形成している。
図6に示すように、キャリッジ82は、搬送ユニット32により搬送される媒体Pの搬送経路30に対して印刷ヘッド34側とは反対側の位置で幅方向Xに移動可能に設けられている。センサー83は、搬送経路30を挟んで印刷ヘッド34側とは反対側の位置から媒体Pに向かって光を照射することで、媒体Pの側端を検出可能である。
図6に示すように、媒体検出装置80は、センサー83の読取位置(図6では破線位置)が、第1共通給送路77と反転給送路56とが合流する第2合流部76よりも搬送方向Yの上流側となる位置に配置されている。例えば一方の面が印刷された媒体Pを読み取り可能な位置に媒体検出装置80を配置しようとすると、第2合流部76を媒体検出装置80の読取位置よりも搬送方向の上流側へずらして配置する必要があり、それに伴い、反転給送路56を有する第3給送部43及び第1給送部41を、搬送方向Yの上流側へずらして配置する必要が生じる。この場合、印刷装置11の給送機構部35を搬送方向Yの上流側へ後退させた位置に配置する必要があり、その後退させた分だけ、印刷装置11の搬送方向Yのサイズ寸法が相対的に長くなり、印刷装置11が搬送方向Yに大型化する。
これに対して、一方の面が印刷された媒体Pの側端を読み取ることはせず、媒体検出装置80に対して第2経路合流部J2を読取位置よりも下流側となる位置に配置することで、第1給送部41及び第3給送部43を、搬送方向Yの上流側へずらして配置する必要がなくなる。このようにして印刷装置11の搬送方向Yのサイズ寸法を相対的に短くしている。
また、図6に示すように、給送ローラー対44の回転により給送される媒体Pの経路である第1給送経路91と、第2給送路48に沿って給送される媒体Pの経路である第2給送経路92とは、第1合流部75よりも少し下流側に位置する第1経路合流部J1で合流する。さらに第2給送経路92には、反転給送路56に沿って給送される媒体Pの経路である両面印刷経路の一例としての第3給送経路93が、第2合流部76よりも少し下流側に位置する合流部の一例としての第2経路合流部J2で合流する。媒体検出装置80の読取位置は、第2経路合流部J2よりも搬送方向Yの上流側に位置する。また、媒体検出装置80の読取位置は、第1経路合流部J1よりも搬送方向Yの下流側に位置する。この読取位置の位置範囲は、カセット21及び給送トレイ22から給送された各媒体Pが共通に搬送される共通搬送経路のうち、第2経路合流部J2よりも上流側の部分となっている。このため、どの給送元(媒体載置部)からの媒体Pであるかに関係なく、その媒体Pをセンサー83とほぼ一定の距離を保った状態で読み取って側端検出が可能であるうえ、反転給送路56を通って給送されてきた媒体Pの一方の面に施された印刷のインクが窓部88に付着することが回避され易い。よって、読取位置でのセンサー83と媒体Pとの距離のばらつき及び窓部88のインク汚れ等に起因する、媒体Pの側端の検出精度の低下や誤検出が低減される。
なお、本実施形態では、媒体検出装置80の読取位置は、第2経路合流部J2よりも搬送方向Yの上流側であればよい。また、読取位置は、第2合流部76よりも搬送方向Yの上流側であることが好ましい。さらに、媒体検出装置80の読取位置は、第1合流部75よりも搬送方向Yの下流側であればよい。また、読取位置は、第1経路合流部J1よりも搬送方向Yの下流側であることが好ましい。
また、読取位置が、第2合流部76よりも上流側となる位置にあれば、第2合流部76を形成する2つの媒体案内面71A,71Bをもつガイド部材71が、センサー83の移動経路と対向して位置する。そして、本例では、ガイド部材71におけるセンサー83と対向する領域に、センサー83からの光を反射させる光反射面71Cを形成し、媒体案内用の部材と光反射面用の部材との共通化が図られている。
図7に示すように、カバー23を開けると、ガイド部材71及びガイド部材72等を含むカバー側給送機構部66がカバー23と共に退避方向(搬送方向Yの上流側)へ移動し、媒体検出装置80が露出する。すなわち、媒体検出装置80は、その読取位置が第2経路合流部J2よりも搬送方向Yの上流側に位置する配置なので、第2合流部76を形成するガイド部材71が後方へ退避すると、図7及び図8に示すように露出するようになっている。特に読取位置が第2合流部76よりも搬送方向Yの上流側に位置する配置なので、第2合流部76を形成するガイド部材71が後方へ退避すると、図7及び図8に示すように窓部88も露出するようになっている。例えば窓部88の表面の汚れを除去する清掃は、媒体検出装置80を本体20に組み付けたまま行うことが可能である。
次に、図8〜図15を参照して媒体検出装置80の詳細な構成を説明する。
図8に示すように、媒体検出装置80は、幅方向Xに最大幅の媒体Pの幅よりも少し長く延びた長尺形状を有している。窓部88は幅方向X(筐体長手方向)に沿って2つ設けられている。本実施形態の印刷装置11では、媒体Pはサイズに依らずその幅中心が給送路の幅中心位置を通るセンター給送が行われる。2つの窓部88と媒体案内部81Cとによって媒体支持部81Bが形成されている。また、媒体検出装置80は筐体81の下部にコネクター81Eを有している。このコネクター81Eには制御部120からの配線に接続された不図示のコネクターが接続され、センサー83の検出信号はコネクター81E及び不図示の配線を介して制御部120に入力される。
図9に示すように、媒体検出装置80の上面は、媒体案内部81A、2つの窓部88、2つの窓部88の間に介在する支持部81F、媒体案内部81C及び延出部81Dを備える。カセット21から給送された媒体Pは、媒体案内部81Aにより案内される。また、カセット21から給送された媒体P、及び給送トレイ22から給送された媒体Pは、窓部88、支持部81F及び媒体案内部81Cの上面からなる支持面に案内される。延出部81Dは、櫛歯状に複数延出しており、それぞれが幅方向Xに複数設けられた搬送ローラー対46間の間隙に挿入されている。搬送ローラー対46へ挿入される際の媒体Pは、複数の延出部81Dの上面によって支持される。
図10に示すように、媒体検出装置80の筐体81は、基台100とカバー110とより構成される。基台100の上面には、一対のレール部84,85が長手方向に沿って互いに平行に延びるように設けられている。キャリッジ82は、一対のレール部84,85に沿って筐体81の長手方向に移動可能に組み付けられている。また、基台100の上面には、基台100の長手方向の両端部に相当する各位置に、一対のプーリー86が長手方向に所定の間隔を離した状態で組み付けられている。一対のプーリー86には無端状のベルト87が巻き掛けられており、ベルト87の一部にキャリッジ82が固定されている。キャリッジ82に設けられたセンサー83は、筐体81の長手方向(幅方向X)に異なる位置に配置された一対のセンサー83A,83Bよりなる。また、キャリッジ82と基台100の上面における長手方向中央部との間は、フレキシブルフラットケーブル89を介して接続されている。また、基台100の上面における長手方向端部には、キャリッジ82が、その幅方向Xに沿った移動経路の端部に位置するホーム位置(ホームポジション)にあることを検知する位置センサー90が設けられている。なお、以下の説明では、センサー83Aを第1センサー83A、センサー83Bを第2センサー83Bと称する場合もある。
図10に示すように、基台100にはその周縁部に周方向に適度な間隔を開けて複数のネジ孔101が形成されている。カバー110の周縁部には、ネジ孔101と対応する位置に形成された不図示の複数のネジ挿通孔に挿通されたネジ111が、基台100側の対応するネジ孔101に螺着されることで、基台100とカバー110と一体に組み付けられ、筐体81が形成される。
図11に示すように、キャリッジ82は、同図に実線で示すホーム位置HPと、ホーム位置HPに対して幅方向Xの反対側の端部となる、同図に二点鎖線で示す反ホーム位置APとの間を移動可能となっている。フレキシブルフラットケーブル89の一端部は基台100の周縁部における長手方向中央部に固定されており、フレキシブルフラットケーブル89の固定箇所から延びる部分が一方のレール部85に沿って配線されると共に途中で円弧状に曲げられた後に他方のレール部84に沿って配線されて他端部がキャリッジ82に接続されている。そして、キャリッジ82の移動に伴ってフレキシブルフラットケーブル89はその円弧状になる部分が幅方向Xに移動することで、移動中のキャリッジ82と電気的な接続を維持する。
図11に示すように、キャリッジ82のホーム位置HPと反ホーム位置APとが、キャリッジ82が幅方向Xに移動するときの両側のエンド位置になっている。位置センサー90は、キャリッジ82がホーム位置HPにあるときにオンし、キャリッジ82がホーム位置HPから離れた位置にあるときにオフする。
図12に示すように、基台100の裏面には、電動モーター103が組み付けられている。電動モーター103の駆動軸は一方のプーリー86(図11における左側のプーリー86)に連結されている。本例の電動モーター103は、ステッピングモーターからなる。電動モーター103から延びる配線の先端にはコネクター104が接続されている。このコネクター104には制御部120から延びる配線に接続された不図示のコネクターが接続され、制御部120から電力及び制御信号が配線を通じて電動モーター103に入力される。制御部120からの制御信号(ステップ制御信号)に基づいて電動モーター103が正逆転駆動されることで、キャリッジ82はベルト87の正逆回転により幅方向Xに往復移動する。
また、図12に示すように、基台100の裏面には、フレキシブルフラットケーブル89の配線が基台100の表面側(内面側)から裏面側へ延びて露出し、所定の経路で保持された状態で裏面上に配線されてコネクター81Eに接続されている。また、コネクター81Eには、位置センサー90から延びる配線105が基台100の表面側(内面側)から裏面側へ延びて露出し、その配線105が基台100の裏面上を所定の経路に保持された状態で配線されてコネクター81Eに接続されている。
図13に示すように、2つのセンサー83A,83Bは、発光部106と受光部107とを備えている。発光部106から射出された光が反射した反射光を受光部107が受光することで、センサー83A,83Bは受光量に応じた電圧レベルの検出信号を出力する。第1センサー83Aから延びる配線89Aは途中で一部折り曲げて畳み込んだ状態で、第2センサー83Bから延びる配線89Bと一つに接続されて1つのフレキシブルフラットケーブル89となっている。このフレキシブルフラットケーブル89はキャリッジ82に形成された配線孔に挿通されてキャリッジ82の裏面側へ延びた後、レール部84の内側面に沿って配線されている。
また、図13に示すように、位置センサー90は発光部90Aと受光部90Bとを備えている。キャリッジ82は、ホーム位置HP側の側部から幅方向Xの外側へ突出する被検出部82Aを備える。キャリッジ82がホーム位置HPにあるときには、発光部90Aと受光部90Bとの間の凹所90Cに挿入された被検出部82Aが、発光部90Aから受光部90Bへの投光を遮断することで、位置センサー90は検知状態となる。一方、キャリッジ82がホーム位置HPから反ホーム位置AP側へ移動した状態では、被検出部82Aが凹所90Cから退避し、発光部90Aから受光部90Bへの投光を受光部90Bが受光することで、位置センサー90は非検知状態となる。
図14に示すように、レール部84は、基台100に対して垂直に鉛直方向Zへ延びた垂立部84Aと、垂立部84Aの上端部から屈曲し水平に延びる支持部84Bとを有する。キャリッジ82には、押圧部材112が圧縮ばね113の付勢力に押されてレール部84の垂立部84Aに押し付けられてなる位置決め機構114が設けられている。この押圧部材112がレール部84の垂立部84Aに対して所定の付勢力で水平方向に押し付けられることで、キャリッジ82は搬送方向Yに位置決めされている。このため、キャリッジ82の搬送方向Yのがたつきが抑制される。
図15に示すように、キャリッジ82には、押圧部材116が圧縮ばね117の付勢力に押されてレール部84の支持部84Bに押し付けられてなる位置決め機構118を有している。この押圧部材116がレール部84の支持部84Bに所定の付勢力で押し付けられることで、キャリッジ82は鉛直方向Zに位置決めされている。このため、キャリッジ82の鉛直方向のがたつきが抑制される。また、キャリッジ82の搬送方向Yの上流側の側部に突設された把持部82Bにベルト87が把持された状態で、キャリッジ82はベルト87に固定されている。また、キャリッジ82から搬送方向Yの下流側へ延出する板状のガイド部82Cがレール部85の上面に案内されている。キャリッジ82は、2種類の位置決め機構114,118を介して搬送方向Yと鉛直方向Zに姿勢を保持した状態で、ベルト87の駆動によりレール部84,85に沿って幅方向Xに移動可能となっている。
図2及び図6に示す搬送ローラー対46はレジストローラーであって、その下流側への媒体Pの搬送開始タイミングを決定する。停止中の搬送ローラー対46に、給送されてきた媒体Pの先端部を突き当てることで、媒体Pのスキュー(斜行)を除去又は低減させるスキュー取り動作を行わせる。このときスキュー取り動作で媒体Pが搬送ローラー対46に突き当てられているとき、媒体Pは停止しつつ面内で斜行角度分の回動をすることでスキューが取り除かれる。このスキュー取り動作の後、給送部41,42による媒体Pの後端部側を送り出す給送速度と、搬送ローラー対46の回転により媒体Pの先端部側を送り出す搬送速度を合わせることで、媒体Pは一定の搬送速度でベルト搬送機構58の搬送ベルト61上へ搬入される。
図6に示すように、センサー83の読取位置は、搬送ローラー対46が媒体Pをニップ(挟持)するニップ箇所よりも搬送方向Yの上流側の位置に設定されている。媒体検出装置80は、スキュー取り後の媒体Pの幅方向Xの側端を検出する。媒体検出装置80は、スキュー取り後の停止中の媒体P又はスキュー取り後の搬送が開始された低速の媒体Pに対して側端を検出できる。このため、例えば搬送ローラー対46よりも搬送方向Yの下流側の位置で媒体検出装置が媒体Pの側端を検出する構成とした場合、スキュー取り後の媒体Pの側端を検出できるものの、ある程度の搬送速度に達した比較的高速な媒体Pが検出対象となる。このため、例えば媒体Pの両側の側端を検出する場合、一方の側端と他方の側端とを媒体Pの搬送方向Yに大きく異なる位置で検出することになる。この場合、媒体Pのスキューが僅かに残っていると、媒体Pの幅及び側端の検出精度が若干低下する。これに対して、センサー83の読取位置を、スキュー取り動作に使用される搬送ローラー対46のニップ箇所よりも搬送方向Yの上流側に設定した本実施形態によれば、センサー83の読取位置を搬送ローラー対46のニップ箇所よりも搬送方向Yの下流側に設定する場合に比べ、媒体Pの側端位置及び幅をより精度高く取得できる。なお、媒体Pの側端検出処理は、スキュー取り後のタイミング以外に媒体Pの搬送中においても行って、1枚の媒体Pの搬送方向Yに異なる複数箇所で側端検出を行ってもよい。
次に図16を参照して印刷装置11の電気的構成を説明する。図16に示すように、印刷装置11は、印刷装置11を統括的に制御する制御部120と、媒体検出装置80、前述の操作パネル14、媒体Pを搬送する搬送ユニット32及び搬送中の媒体Pに印刷する印刷ヘッド34を備える。搬送ユニット32は、給送トレイ22にセットされた媒体Pを給送する第1給送部41の動力源となる第1給送モーター121、及びカセット21に収容された媒体Pを給送する第2給送部42の動力源である第2給送モーター122とを備える。また、搬送ユニット32は、給送された媒体Pを搬送する搬送ローラー対46及び排出機構部38等の動力源となる第1搬送モーター123、ベルト搬送機構58の動力源となるベルト用モーター124、一方の面が印刷された媒体Pを搬送する搬送ローラー対55及び反転搬送ローラー対57の動力源となる第2搬送モーター125を有している。制御部120には、搬送系のモーター数と同数個のモーター駆動回路126〜130を介して複数のモーター121〜125が電気的に接続されている。制御部120は、モーター駆動回路126〜130を介して各モーター121〜125を制御することで、媒体Pの給送、搬送、両面印刷時の反転及び排出を行う。なお、搬送ローラー対55を正転と逆転に切り換え可能な電磁クラッチを設け、搬送ローラー対55及び反転搬送ローラー対57の動力源を搬送ローラー対46と共通の第1搬送モーター123とし、第2搬送モーター125を廃止した構成でもよい。
また、制御部120には、印刷ヘッド34が電気的に接続されている。制御部120は、例えばホスト装置(図示略)から受信した印刷ジョブデータPD中の印刷画像データに基づき印刷ヘッド34を制御することで、搬送中の媒体Pのうち搬送ベルト61上の部分に印刷ヘッド34のノズルからインク滴を吐出して、媒体Pに印刷画像データに基づく画像等を印刷させる。また、制御部120には、操作パネル14を構成する操作部16及び表示部15が電気的に接続されている。制御部120は、操作部16から入力した操作信号に基づき、表示部15に表示されたメニューの中から選択された項目に応じた各種の設定情報や、印刷、スキャン及びコピー等を指示する指示情報を受け付ける。また、制御部120は、前述のメニュー及び故障発生時や異常発生時にその旨をユーザーに通知するメッセージなどを表示部15に表示させる。
また、制御部120は、媒体Pのスキュー取り動作を次のように行う。制御部120は、第1搬送モーター123の駆動を停止させた状態で、給送モーター121又は122を駆動させることで、給送した媒体Pの先端部を停止中の搬送ローラー対46に突き当てることで、媒体Pのスキュー(斜行)を除去又は低減させるスキュー取り動作を行わせる。そして、制御部120は、給送モーター121又は122がスキュー取り動作に必要な設定回転量だけ回転し終わると、給送モーター121又は122の駆動を一旦停止させる。このスキュー取り動作の後、給送モーター121又は122と第1搬送モーター123とを回転速度の同期をとりつつ駆動させることで、媒体Pを一定の搬送速度で搬送ベルト61上へ搬送する。なお、制御部120は、搬送ベルト61へ媒体Pが搬送されてくる前にベルト用モーター124の駆動を開始し、一定の搬送速度で駆動されている搬送ベルト61上に媒体Pは一定の搬送速度で搬入される。
また、図16に示す制御部120には、媒体検出装置80のキャリッジ82の動力源となる電動モーター103、位置センサー90、キャリッジ82上の第1センサー83A及び第2センサー83Bが電気的に接続されている。制御部120は、モーター駆動回路131を介して電動モーター103を駆動制御することで、キャリッジ82を媒体Pの幅方向Xに往動及び復動させる移動制御を行うとともに、キャリッジ82を目標とする停止位置に停止させる位置制御を行う。
また、図16に示す制御部120は、位置センサー90から入力する検出信号SH(図18、図19を参照)に基づいてキャリッジ82がホーム位置HPにあるか否かを把握する。制御部120は、位置センサー90から入力した検出信号SHが、キャリッジ82がホーム位置HPにある旨の信号レベル(例えばHレベル)にあれば、キャリッジ82がホーム位置HPにあると把握し、キャリッジ82がホーム位置HPにない旨の信号レベル(例えばLレベル)にあれば、キャリッジ82がホーム位置HPにないと把握する。
さらに図16に示す制御部120は、キャリッジ82の移動中に第1センサー83Aから検出信号SAを入力すると共に、第2センサー83Bから検出信号SB(いずれも図18、図19を参照)を入力する。制御部120は、第1センサー83A及び第2センサー83Bから入力する各検出信号SA,SBに基づいて、検出対象の媒体Pの幅方向Xにおける両側の側端を検出する。制御部120は、例えば媒体Pの幅方向Xにおける側端の検出結果から、側端位置PE1,PE2(図17参照)、印刷ヘッド34が印刷するときの幅方向Xの印刷範囲、媒体Pの幅(例えば紙幅)、その幅から規定される媒体サイズ(例えば用紙サイズ)等の幅に関する媒体情報を取得する。
図16に示す制御部120は、例えば不図示のコンピューター及びメモリーを備え、そのメモリーに記憶されたプログラムをコンピューターが実行することにより機能する、媒体検出処理に必要な複数の機能部を備える。制御部120は、複数の機能部として、媒体Pの幅情報を取得する幅情報取得部141、電動モーター103を駆動制御するキャリッジ制御部142、センサー83A,83Bの故障を検出可能な故障検出部143、及びセンサー83A,83Bの検出信号SA,SBに基づいて媒体Pの側端位置PE1,PE2を検出可能な検出処理部144を備える。幅情報取得部141は、制御部120が受信した印刷ジョブデータPDに含まれる印刷設定情報から媒体Pの幅情報を取得する。幅情報は例えば媒体サイズの情報である。例えばメモリーには媒体紙サイズと幅情報との対応関係を示す参照データが記憶され、幅情報取得部141は得られた媒体サイズを基に参照データを参照して幅情報を取得する。
図16に示すキャリッジ制御部142は、モーター駆動回路131を介して電動モーター103を制御することで、キャリッジ82を幅方向Xに移動させる制御及びキャリッジ82を目標位置に停止させる位置制御を行う。故障検出部143は、媒体Pが搬送されていないときに、第1センサー83A及び第2センサー83Bからの各検出信号SA,SBが故障時の値をとるか否かを判定し、故障時の値をとるセンサーがあれば、そのセンサーを故障と検出する。本例では、センサー83A,83Bのうち、媒体Pがないにも関わらず、媒体Pがあるときの検出値であるHレベルをとるセンサーがあると、そのセンサーを故障と検出する。また、センサー83A,83Bが、光反射面71Cからの反射光を受光して、媒体Pがないときの検出値であるLレベルをとれば、センサー83A,83Bは正常であるとする。
検出処理部144は、第1センサー83A及び第2センサー83Bの検出信号SA,SBに基づいて媒体Pの幅方向Xの側端を検出する。検出処理部144は、ホーム位置HPを原点とするキャリッジ82の幅方向Xの位置を計数するカウンター145と、第1及び第2センサー83A,83Bのうち一方が故障のときに他方が検出した媒体Pの一方の側端位置と幅情報とに基づいて媒体Pの他方の側端位置を演算する演算部146とを備える。
図17は、2つのセンサーにより媒体の側端を検出する方法を説明する模式図であり、媒体の裏面側から見た図となっている。図17に示すように、第1センサー83Aと第2センサー83Bは、キャリッジ82の上部に幅方向Xに中心間距離L1を離した状態で装着されている。キャリッジ82がホーム位置HPに位置するとき(図17の実線位置)、幅寸法の小さい小サイズの媒体SPの場合、両センサー83A,83Bが共に媒体SPの幅方向外側に位置して媒体SPを検知していない。一方、幅寸法の大きい大サイズの媒体LPの場合、キャリッジ82がホーム位置HPに位置するとき、ホーム位置HP側の一方のセンサー(図17の例では第2センサー83B)は媒体LPの幅方向X外側に位置して媒体LPを検知していない。これに対して、反ホーム位置AP側の他方のセンサー(図17の例では第1センサー83A)は、媒体LPと対向する位置にあって媒体LPを検知している。
本例では、最大幅の媒体Pが検出対象である場合、キャリッジ82が移動可能範囲における左側のエンド位置E1(例えばホーム位置HP)にあるとき、2つのセンサー83A,83Bのうち右側のセンサー83Aは最大幅の媒体Pを検知し、左側のセンサー83Bは最大幅の媒体Pを検知しない。一方、キャリッジ82が移動可能範囲における右側のエンド位置E2にあるとき、2つのセンサー83A,83Bのうち左側のセンサー83Bは最大幅の媒体Pを検知し、右側のセンサー83Aは最大幅の媒体Pを検知しない。このようにキャリッジ82の移動可能範囲が最大幅の媒体Pの幅の割に相対的に狭くなっている。このため、媒体検出装置80の幅方向Xのサイズ寸法が、最大幅の媒体Pの幅の割に相対的に短く抑えられており、媒体検出装置80をその長手方向が幅方向Xに一致する向きで装置本体20に設けても、印刷装置11の幅方向Xのサイズ寸法が相対的に短く抑えられている。
図16に示す制御部120は、2つのセンサー83A,83Bのうち、媒体Pの両側の側端位置PE1,PE2を検出する側端検出処理で使用するセンサーの数を、媒体Pのサイズ(幅寸法)に応じて切り替える。つまり、制御部120は、幅情報に基づく媒体幅が設定幅以下である小サイズの媒体SPのときは、一方のセンサー(例えば第1センサー83A)のみを用いて、媒体SPの側端位置PE1,PE2を検出する。また、制御部120は、媒体幅が設定幅を超える大サイズの媒体LPのときは、第1及び第2センサー83A,83Bの両方を用いて、媒体LPの側端位置PE1,PE2を検出する。ここで、設定幅は、図17に示すように、キャリッジ82が実線で示すホーム位置HPにある状態において、2つのセンサー83A,83Bが共に媒体P(例えば媒体SP)を検知できない媒体幅のうち最大の媒体幅以上、かつ第1センサー83Aが媒体P(例えば媒体LP)を検知できる媒体幅のうち最小の媒体幅未満の値に設定されている。なお、図17においてキャリッジ82が移動可能な幅方向Xを左右方向とした場合、第1センサー83Aが右側のセンサーの一例に相当し、第2センサー83Bが左側のセンサーの一例に相当する。また、媒体Pの第1側端PE1が左側端の一例に相当し、第2側端PE2が右側端の一例に相当する。
図18及び図19は、媒体Pの幅方向Xの両側の側端を検出するときに各センサー83A,83B,90から出力される検出信号を示す。図18は媒体幅が設定幅以下である小サイズの媒体SPの側端を検出するときの各検出信号の信号波形であり、図19は媒体幅が設定幅を超える大サイズの媒体LPの側端を検出するときの各検出信号の信号波形である。両図において横方向が時間t、縦方向が各検出信号SA,SB,SHの電圧レベルを示す。なお、キャリッジ82は一定速度V1で移動するため、両図における横方向の時間tは、電動モーター103のステップ数、すなわちキャリッジ82の移動距離に対応している。
図18に示すように、キャリッジ82がホーム位置HPに位置して(図17の実線位置)検出信号SHがHレベルにあるとき、検出対象が小サイズの媒体SPである場合、両センサー83A,83Bが共に媒体SPを検知しておらず、検出信号SA,SBは共にLレベルにある。キャリッジ82がホーム位置HPから移動を開始すると、まず右側の第1センサー83Aが左側の第1側端PE1を検知し、検出信号SAがLレベルからHレベルに立ち上がる。さらにキャリッジ82が2つのセンサー83A,83Bの中心間距離L1に相当する時間t1(=L1/V1)だけ移動すると、左側の第2センサー83Bが右側の第2側端PE2を検知し、検出信号SBがLレベルからHレベルに立ち上がる。次に第1センサー83Aが第1側端PE1の検出時点から媒体幅に相当する時間t2だけ移動すると、第1センサー83Aが第2側端PE2を検知し、検出信号SAがHレベルからLレベルに立ち下がる。なお、時間t2の期間に出力された電動モーター103のステップ数は、その期間におけるキャリッジ82の移動距離に相当し、これは媒体SPの幅に相当する。
また、図19に示すように、キャリッジ82がホーム位置HPに位置して(図17の実線位置)検出信号SHがHレベルにあるとき、検出対象が大サイズの媒体LPである場合、右側の第1センサー83Aは媒体LPを検知してHレベルにあり、左側の第2センサー83Bは媒体LPを検知しておらずLレベルにある。キャリッジ82がホーム位置から移動を開始すると、まず左側の第2センサー83Bが左側の第1側端PE1を検知し、検出信号SBがLレベルからHレベルに立ち上がる。さらにキャリッジ82が媒体幅に相当する時間t3だけ移動すると、右側の第1センサー83Aが右側の第2側端PE2を検知し、検出信号SAがHレベルからLレベルに立ち下がる。なお、時間t3の期間に出力された電動モーター103のステップ数は、その期間におけるキャリッジ82の移動距離に相当し、これは媒体LPの幅に相当する。
次に、図18〜図21を参照して、印刷装置11の作用について説明する。制御部120は、印刷装置11の電源が投入されると、制御部120は、図20に示される媒体側端検出処理を実行する。また、制御部120は、図20に示す媒体側端検出処理において、センサー83A,83Bのうち一方の故障を検出した場合は、図21に示される故障時の媒体側端検出処理を実行する。
まずステップS11では、センサー故障検出処理を行う。このセンサー故障検出処理は、搬送ユニット32が媒体Pを搬送していないときに行う。ここで、媒体Pを搬送していないときとは、印刷装置11の電源オン時、印刷ジョブの受信を待っている印刷待機状態にあるとき、休止モード(スリープモード)からの復帰時等が挙げられる。本例では、光反射面71Cは、センサー83A,83Bの移動経路と対向する領域に設けられているので、センサー83A,83Bは、移動経路上のどの位置にあっても、光反射面71Cと対向する。例えばキャリッジ82がホーム位置HPにある状態で、センサー83A,83Bは光を出射し、その出射した光が光反射面71Cで反射した反射光を受光する。制御部120は、センサー83A,83Bからの光が光反射面71Cで反射した反射光を受光した受光量が閾値を超えず、その検出信号が媒体ありのときのHレベルである場合は、故障と判定する。この故障検出処理を2つのセンサー83A,83Bのそれぞれについて行う。なお、センサー83A,83Bの移動経路のうち一部と対向する領域にしか光反射面71Cが存在せず、2つのセンサー83A,83Bが光反射面71Cと対向する位置にない場合、制御部120は、電動モーター103を駆動制御し、2つのセンサー83A,83が光反射面71Cと対向する位置に配置する。そして、制御部120は、2つのセンサー83A,83Bを光反射面71Cと対向する位置に配置した状態で発光させることにより、各検出信号に基づいて故障検出処理を行う。
ステップS12では、センサーが故障であるか否かを判定する。この故障判定では、2つのセンサー83A,83Bのうち1つでも故障であれば故障と判定する。1つでも故障であればステップS13に進み、故障でなければステップS14に進む。
ステップS13では、故障報知を行う。すなわち、制御部120は、例えば表示部15に故障の旨のメッセージを表示することで、ユーザーに故障の旨を報知する。なお、故障報知は発光ダイオード等の発光部の発光又は点滅等による報知、ブザー又は音声による報知、これら複数種の報知方法を組み合わせて報知するものでもよい。
ステップS14では、幅情報を含む印刷ジョブを受け付けたか否かを判断する。本例の印刷装置11では、印刷ジョブには印刷設定情報が含まれ、その印刷設定情報の中の1つに媒体の幅情報(例えば用紙サイズ)が含まれている。つまり、このステップS14の処理は印刷ジョブを受け付けたか否かを判断するに同義である。なお、印刷ジョブ以外の方法で印刷の指示を受け付ける場合、例えば印刷装置11に不図示のメモリーカードを接続して操作部16を操作してメモリーカードから選択した画像を印刷する場合、制御部120は操作部16で選択された媒体Pの幅情報(例えば用紙サイズ)を取得する。
ステップS15では、センサーが全て正常であるか否かを判定する。詳しくは、制御部120の故障検出部143が、第1及び第2センサー83A,83Bの故障を検出する故障検出処理を行い、その故障検出処理結果に基づきセンサー83A,83Bが全て正常であるか否かを判定する。故障検出処理としては、媒体Pが給送される前の媒体の無い状態の下で、光反射面71Cで反射した反射光を受光しているはずのセンサー83A,83Bからの検出信号SA,SBの値が、媒体が無いときの値(例えばLレベル)でなく、媒体を検知しているときの値(例えばHレベル)であれば、そのセンサーを故障と判定する。全てのセンサー83A,83Bが正常であれば、ステップS16に進み、センサー83A,83Bのうち1つでも故障がある場合はステップS19に進む。
ステップS16では、媒体の幅は設定幅以下であるか否かを判定する。そして、制御部120は、幅情報から取得した媒体Pの幅が設定幅以下であれば、つまり媒体Pが小サイズの媒体SPであれば、ステップS17に進む。一方、幅情報から取得した媒体Pの幅が設定幅を超えれば、つまり媒体Pが大サイズの媒体LPであれば、ステップS18に進む。
ステップS17では、1つのセンサーを用いて媒体の両側端を検出する第1側端検出処理を行う。制御部120のキャリッジ制御部142は、モーター駆動回路131を介して電動モーター103を駆動制御し、キャリッジ82を幅方向Xに移動させる。電動モーター103がステッピングモーターである本例では、キャリッジ制御部142は、ステップ数を指示することで電動モーター103を制御する。カウンター145は、キャリッジ82がホーム位置HPにあって位置センサー90が被検出部82Aを検知したときにリセットされ、制御に使用するステップ数をキャリッジ82の進行方向に応じて加算又は減算する計数処理を行う。これによりカウンター145には、キャリッジ82の幅方向Xにおける位置に応じた計数値が格納される。キャリッジ制御部142は、幅情報に基づき媒体Pの幅が設定幅以下の例えばA4判などの小サイズの媒体SPである場合、キャリッジ82をホーム位置HPから図17に2点鎖線で示す位置A1まで移動させる。このキャリッジ82の移動過程で、検出処理部144は、一方の第1センサー83Aのみを用いて小サイズの媒体SPの両側の側端位置PE1,PE2を検出する。
このとき、図18に示すように、制御部120は、位置センサー90の検出信号SHと、第1センサー83Aの検出信号SAと、第2センサー83Bの検出信号SBとを入力する。制御部120の検出処理部144は、第1センサー83Aの検出信号SAを監視し、検出信号SAがLレベルからHレベルに立ち上がると、そのときのカウンター145の計数値を取得し、その計数値とキャリッジ幅中心位置から第1センサー83Aまでの幅方向Xの既知の第1距離(例えばL1/2)とを用いて第1側端位置PE1を算出する。その算出した第1側端位置PE1はメモリーに記憶される。そして、そのキャリッジ82の移動中に第1センサー83Aの検出信号SAがHレベルからLレベルに立ち下がると、そのときのカウンター145の計数値を取得し、その計数値と前述の既知の第1距離とを用いて第2側端位置PE2を算出し、その算出した第2側端位置PE2をメモリーに記憶する。こうしてキャリッジ82がホーム位置HPにあるときに2つのセンサー83A,83Bが共に媒体SPを検知していなければ、キャリッジ82の媒体検出時の移動過程の進行方向前側に位置する第1センサー83Aのみを用いることで、相対的にキャリッジ82の短い移動距離で、媒体Pの両側の側端位置PE1,PE2を検出できる。
図20におけるステップS18では、2つのセンサーを用いて媒体の両側端を検出する第2側端検出処理を行う。制御部120のキャリッジ制御部142は、ステップ数を指示してモーター駆動回路131を介して電動モーター103を駆動制御し、キャリッジ82を幅方向Xに移動させる。このとき、カウンター145には、キャリッジ82がホーム位置HPにあるときを原点とするキャリッジ82の幅方向Xにおける位置が計数される。キャリッジ制御部142は、幅情報に基づき媒体Pの幅が設定幅を超える例えばA3判などの大サイズの媒体SPである場合、キャリッジ82をホーム位置HPから幅方向Xに例えば図17に2点鎖線で示す位置A2まで移動させる。このキャリッジ82の移動過程で、検出処理部144は、第1及び第2センサー83A,83Bの両方を用いて、大サイズの媒体LPの幅方向Xの両側の側端位置PE1,PE2を検出する。
詳しくは、図19に示すように、キャリッジ82がホーム位置HPにあって検出信号SHがHレベルにあるとき、第1センサー83Aは媒体LPを検知した状態にあってその検出信号SAはHレベルにある。一方、媒体LPを検知していない第2センサー83Bの検出信号SBはLレベルにある。キャリッジ82がホーム位置HPから移動を開始すると、検出処理部144は、まず第2センサー83Bの検出信号SBを監視する。検出処理部144は、第2センサー83Bの検出信号SBがLレベルからHレベルに立ち上がると、そのときのカウンター145の計数値を取得し、その計数値とキャリッジ幅中心位置から第2センサー83Bまでの幅方向Xの既知の第2距離(例えばL1/2)とを用いて第1側端位置PE1を算出する。その算出した第1側端位置PE1はメモリーに記憶される。そして、その後のキャリッジ82の移動中に第1センサー83Aの検出信号SAがHレベルからLレベルに立ち下がると、そのときのカウンター145の計数値を取得し、その計数値と前述の既知の第1距離とを用いて第2側端位置PE2を算出し、その算出した第2側端位置PE2をメモリーに記憶する。こうしてキャリッジ82がホーム位置HPにあるときに2つのセンサー83A,83Bのうち一方が媒体LPを検知していなければ、キャリッジ82の媒体検出時の移動過程の進行方向後側に位置する第2センサー83Bで第1側端位置PE1を検出し、進行方向前側に位置する第1センサー83Aで第2側端位置PE2を検出する。このため、相対的にキャリッジ82の短い移動距離で、媒体Pの両側の側端位置PE1,PE2を検出できる。
図20におけるステップS19では、故障時の媒体側端検出処理を行う。この故障時の媒体側端検出処理は、制御部120のコンピューターが、図21に示す故障時の媒体側端検出処理ルーチンを実行することにより行われる。
以下、図21を参照して、制御部120が行う故障時の媒体側端検出処理について説明する。
まずステップS21では、一方のセンサーのみの故障であるか否かを判定する。すなわち、制御部120は、図20のステップS11におけるセンサー故障検出処理の検出結果を用いて、一方のセンサーのみの故障であるか否かを判定する。一方のセンサーのみの故障であればステップS22に進む。また、一方のセンサーのみの故障でなければ、つまり2つのセンサーが共に故障であれば、ステップS26に進む。
ステップS22では、媒体の幅は設定幅以下であるか否かを判断する。この判断処理は、図20におけるステップS16の判断処理と同じであり、幅情報に基づいて行う。媒体Pの幅が設定幅以下であればステップS23に進む。一方、媒体Pの幅が設定幅以下でなければ、つまり媒体Pの幅が設定幅を超えていれば、ステップS24に進む。
ステップS23では、正常な他方のセンサーを用いて媒体の両側端を検出する第3側端検出処理を行う。例えば第1センサー83Aが正常で第2センサー83Bが故障である場合、正常な第1センサー83Aを用いて媒体Pの両側端位置PE1,PE2を検出する、図19におけるステップS17と同様の第1側端検出処理を、第3側端検出処理として行う。一方、第1センサー83Aが故障で第2センサー83Bが正常である場合、正常な第2センサー83Bを用いて媒体Pの両側端位置PE1,PE2を検出する第3側端検出処理を行う。後者の場合、第2センサー83Bからの検出信号SBのLレベルからHレベルへの立ち上がり時のカウンター145の計数値を取得し、その計数値と前述の既知の第2距離とを用いて第1側端位置PE1を算出し、その算出した第1側端位置PE1をメモリーに記憶する。また、検出信号SBのHレベルからLレベルへの立ち下がり時のカウンター145の計数値を取得し、その計数値と前述の既知の第2距離とを用いて第2側端位置PE2を算出し、その算出した第2側端位置PE2をメモリーに記憶する。
ステップS24では、推定を伴う第4側端検出処理を行ってよいか否かを判断する。本例では、制御部120は、推定を伴う第4側端検出処理を行ってよいか否かの問合せメッセージを表示部15に表示し、その問合せの応答としてユーザーが操作部16を操作した操作信号に基づいて第4側端検出処理の実行の可否を判断する。あるいは、ユーザーが印刷装置11の操作部16を操作して予め登録しておいた登録情報をメモリーから読み出し、その登録情報に基づいて第4側端検出処理の実行の可否を判断する。制御部120は、第4側端検出処理の実行が許可されればステップS25に進み、第4側端検出処理の実行が許可されなければステップS27に進む。
ステップS25では、正常な他方のセンサーを用いて一方の側端を検出し、一方の側端の検出結果と幅情報とを用いて他方の側端を推定する第4側端検出処理を行う。図17に示すように、本例の印刷装置11では、キャリッジ82をホーム位置HP側のエンド位置E1から反ホーム位置AP側のエンド位置E2まで移動できる移動可能範囲が相対的に短くなっている。このため、媒体検出装置80の幅方向Xのサイズ寸法、ひいては印刷装置11の幅方向Xのサイズ寸法を短くし、印刷装置11のコンパクト化に寄与する。しかし、キャリッジ82の移動可能範囲が相対的に短いことから、大サイズの媒体LPが検出対象である場合、正常な他方のセンサーだけでは、媒体LPの両側の側端を検出できない。このため、正常なセンサーで一方の側端位置を検出し、他方のセンサーの故障により検出できない他方の側端位置は、正常なセンサーで検出した側端位置と幅情報とを用いた演算で推定する。詳しくは、制御部120は、第1及び第2センサー83A,83Bのうち故障でない他方のセンサーにより一方の側端を検出する。例えば第1センサー83Aが正常で第2センサー83Bが故障の場合、第1センサー83Aにより一方の側端位置PE2を検出する。また、第1センサー83Aが故障で第2センサー83Bが正常の場合、第2センサー83Bにより一方の側端位置PE1を検出する。検出処理部144の演算部146は、この検出した一方の側端位置と媒体Pの幅情報とを用いて他方の側端位置を算出する。他方のセンサーで検出した一方の側端位置をx1、媒体幅をW1とすると、媒体Pの他方の側端位置x2は、第1センサー83Aが正常である場合にx2=x1−W1、第2センサー83Bが正常である場合にx1+W1により算出される。こうして第4側端検出処理によって、媒体Pの両側の側端位置PE1,PE2が取得される。
制御部120は、媒体側端検出処理によって取得した媒体Pの両側の側端位置PE1,PE2に基づいて、印刷ヘッド34の幅方向Xにおける印刷範囲を制御する。この結果、媒体Pの幅方向Xにおいて適切な位置範囲に印刷が施される。なお、制御部120は、側端位置PE1,PE2から媒体Pの幅を取得し、その幅が幅情報から取得した媒体幅と許容範囲を超えて異なる場合は、媒体サイズのエラーの旨のメッセージを表示部15に表示させる。
ステップS26では、側端検出なしで印刷を実施してよいか否かを判断する。本例では、例えば制御部120は、問合せメッセージを表示部15に表示させ、ユーザーに媒体Pの側端の検出なしで印刷を実施してよいか否かを問い合わせる。制御部120は、操作部16からの操作信号に基づき、側端検出なしで印刷を実施する旨の応答を受け付けると(S26で肯定判定)、ステップS27に進み、一方、側端検出なしで印刷を実施しない旨の応答を受け付けると(S26で否定判定)、当該ルーチンを終了する。後者の場合、印刷自体が中止される。
ステップS27では、側端検出処理を中止する。制御部120は、側端検出処理の実行の可否を管理するフラグを備え、フラグに中止の旨の値を書き込む。この場合、制御部120は、側端検出処理を行うことなく、印刷ジョブデータPDに基づく印刷を実施する。このとき、制御部120は、幅情報から取得した媒体幅に基づいて印刷ヘッド34の印刷範囲を制御する。
なお、図20において、ステップS24及びステップS25の処理を廃止し、推定を伴う第4側端検出処理を行わない構成としてもよい。また、ステップS24で否定判定のときは、ステップS26の判断処理へ進んでもよい。さらに、ステップS26の処理を廃止し、全てのセンサー83A,83Bが故障である場合は、印刷を中止してもよい。
以上詳述した第1実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)印刷ヘッド34よりも媒体Pの搬送方向Yの上流側に、媒体Pの搬送方向Yと交差する幅方向Xの側端を検出する媒体検出装置80を配置した。媒体検出装置80は、印刷ヘッド34よりも搬送方向Yの上流側の位置で印刷ヘッド34と独立して幅方向Xに移動可能なキャリッジ82と、キャリッジ82における幅方向Xの異なる位置に設けられた2つのセンサー83A,83Bと、キャリッジ82を移動させる動力源の一例としての電動モーター103とを備える。制御部120は、電動モーター103を制御してキャリッジ82を移動させることでセンサー83A,83Bに媒体Pの幅方向Xの側端を検出させる。キャリッジ82には2つのセンサー83A,83Bが幅方向Xの異なる位置に配置されているので、2つのセンサー83A,83Bを使い分けることにより、媒体Pの幅方向Xの側端を検出する際のキャリッジ82の移動量を少なく済ませられる。よって、印刷ヘッド34が移動するか否かの印刷方式(例えばライン印刷方式やシリアル印刷方式)に依存することなく、媒体Pの幅方向Xの両側の側端を検出でき、しかも媒体検出装置80を設けた割に、印刷装置11の幅方向サイズ寸法を比較的短く抑えることができる。
(2)キャリッジ82が、搬送ユニット32により搬送される媒体Pの搬送経路30に対して印刷ヘッド34側とは反対側の位置で幅方向Xに移動可能に設けられることで、光学式センサーからなる2つのセンサー83A,83Bは、搬送経路30を挟んで印刷ヘッド34側とは反対側の位置から媒体Pに向かって光を照射する。よって、2つのセンサー83A,83Bが、媒体Pに対して印刷ヘッド34と同じ側に配置される構成とした場合に比べ、印刷ヘッド34からのインクミストが付着しにくい。そのため、インク汚れに起因するセンサー83A,83Bの検出精度の低下を回避し易い。
(3)媒体検出装置80の筐体81は、搬送経路30を搬送される媒体Pを支持する媒体支持部81Bを有し、その媒体支持部81Bに2つのセンサー83A,83Bからの光を透過可能な窓部88を設けている。よって、センサー83A,83Bは窓部88によって保護されるので、媒体Pから出た紙粉等の塵埃や印刷ヘッド34からのインクミスト等により直接は汚れないので、センサー83A,83Bの検出精度を比較的高く維持できる。また、窓部88が媒体支持部81Bの一部を兼ね、窓部88の上面を摺動する媒体Pとセンサー83A,83Bとの距離を比較的短くでき、この点からもセンサー83A,83Bの検出精度を高く維持できる。
(4)媒体支持部81Bには、2つの窓部88が幅方向Xに沿って配置されている。よって、センサー83A,83Bの移動エリアに亘る1つの長い窓部を設けた構成に比べ、媒体支持部81Bの強度を比較的高く確保できるうえ、窓部88の部品コストを相対的に安価に抑えることができる。
(5)複数の窓部88は、2つのセンサー83A,83Bによって最小幅から最大幅までの媒体Pの幅方向Xの両側の側端をそれぞれ異なる窓部88を通して検出できる位置に配置されている。例えば最小幅から最大幅までの媒体Pの両側の側端を連続的に検出できる。例えば定形の媒体P以外の不定形の媒体Pが搬送されても、その不定形の媒体Pの側端を検出できる。
(6)媒体検出装置80の動力源の一例である電動モーター103をステッピングモーターとしたので、直流モーター(DCモーター)を使用した場合に必要になる、キャリッジ82の位置を取得するためのエンコーダー等が不要になる。よって、直流モーターを使用した場合に比べ、媒体検出装置80の部品点数を少なく抑えることができる。例えば媒体検出装置80の装置サイズの小型化を実現し易い。
(7)最大幅の媒体Pである場合、キャリッジ82が移動可能範囲における左側のエンド位置E1にあるとき、2つのセンサー83A,83Bのうち右側のセンサー83Aは最大幅の媒体Pを検知し、左側のセンサー83Bは最大幅の媒体Pを検知しない。一方、キャリッジ82が移動可能範囲における右側のエンド位置E2にあるとき、2つのセンサー83A,83Bのうち左側のセンサー83Bは最大幅の媒体Pを検知し、右側のセンサー83Aは最大幅の媒体Pを検知しない。すなわち、最大幅の媒体Pであるとき、キャリッジ82が左側のエンド位置E1にあるとき左側のセンサー83Bのみが媒体Pから幅方向の外側へ外れ、キャリッジ82が右側のエンド位置にあるとき右側のセンサー83Aのみが媒体Pから幅方向Xの外側へ外れる。このため、キャリッジ82の移動可能範囲が最大幅の媒体Pの幅の割に相対的に狭いので、媒体検出装置80を設けた印刷装置11の幅方向Xのサイズ寸法を比較的短く抑えられる。また、最大幅の媒体Pである場合、媒体Pの左側の側端PE1を左側のセンサー83Bで検出し、媒体Pの右側の側端PE2を右側のセンサー83Aで検出することにより、最大幅の媒体Pの両側の側端PE1.PE2を検出できる。
(8)媒体Pの左側端(第1側端PE1)を左側の第2センサー83Bに検出させ、媒体Pの右側端(第2側端PE2)を右側の第1センサー83Aに検出させる。よって、媒体Pの幅方向Xの両側の側端を検出する際にキャリッジ82に必要な移動距離を相対的に短く済ませられる。そのため、媒体検出装置80の幅方向Xのサイズ寸法を短くできる。例えば媒体検出装置80を設けたことに起因し、印刷装置11の幅方向サイズが大きくなることを回避できるうえ、媒体Pの幅方向Xに関する媒体情報の取得所要時間を相対的に短く抑えることができる。
(9)幅情報取得部141が取得した幅情報に基づく媒体Pの幅が設定幅よりも長い場合、制御部120は電動モーター103を制御し、媒体Pの左側端(第1側端PE1)を左側の第2センサー83Bに検出させ、媒体Pの右側端(第2側端PE2)を右側の第1センサー83Aに検出させる。よって、媒体Pの両側の側端PE1,PE2を検出する際に必要なキャリッジ82に移動距離を相対的に短く済ませることができる。これにより媒体検出装置80の幅方向サイズ寸法を相対的に短くできるうえ、媒体情報の取得所要時間を相対的に短く抑えることができる。
(10)光反射型センサーからなるセンサー83A,83Bが検出時の光を透過させる窓部88に対して搬送経路30を挟んで対向する位置には、媒体案内部材の一例としてのガイド部材71が配置され、ガイド部材71におけるセンサー83A,83Bの移動経路と対向する部分が光反射面となっている。よって、光反射面専用の部材を別途設ける必要がないので、印刷ヘッド34よりも搬送方向Yの上流側における搬送ユニット32の媒体案内構造を比較的コンパクトに構成できる。
(11)ガイド部材71は金属製なので、ガイド部材71のセンサー83A,83Bの移動経路と対向する部分を例えば研磨すれば、光反射面71Cを比較的簡単に形成できる。
(12)制御部120は、搬送ユニット32が媒体Pを搬送していないときに、センサー83A,83Bの検出信号SA,SBを監視し、光反射面71Cからの反射光を受光すれば当該センサーを正常とし、光反射面71Cからの反射光を受光しなければ当該センサーを故障とする。よって、故障したセンサーの検出信号に基づく側端位置の誤検出など、間違った媒体情報が取得される不都合を極力回避できる。
(13)制御部120は、2つのセンサー83A,83Bのうち一方が故障である場合、他方のセンサーで媒体Pの両側端PE1,PE2を検出する。よって、一方のセンサーが故障しても、媒体Pの両側端PE1,PE2を検出して必要な媒体情報を取得できる。特に媒体Pが大サイズであるときに、一方のセンサーのみでは両側端PE1,PE2を検出できない比較的短いキャリッジ82の移動可能範囲が設定されている場合でも、設定幅以下の幅を有する小サイズの媒体SPについては、故障していない他方のセンサーによって媒体SPの両側端PE1,PE2を検出し、必要な媒体情報を取得できる。
(14)制御部120は、2つのセンサー83A,83Bのうち一方が故障である場合、媒体Pの幅が設定幅よりも大きければ、他方のセンサーで媒体Pの両側端PE1,PE2のうち一方の側端を検出し、その一方の側端の検出結果と幅情報とに基づいて演算部146が他方の側端位置を演算により推定する。よって、一方のセンサーが故障した際に、他方のセンサーで両側端を検出できないほど大きな幅の媒体LPについても、媒体LPの両側端位置PE1,PE2を含む媒体情報を取得できる。
(15)印刷装置11は、媒体載置部の一例としてのカセット21及び給送トレイ22からの媒体Pを印刷ヘッド34が印刷可能な位置を通る経路で搬送する搬送経路30と、搬送経路30を通って印刷ヘッド34により一方の面が印刷された媒体Pを反転させつつ搬送経路30の途中の位置へ戻す第3給送経路93(両面印刷経路の一例)とを備える。そして、媒体Pを幅方向Xに読み取って媒体Pの両側端PE1,PE2を検出可能な媒体検出装置80を、印刷ヘッド34よりも媒体Pの搬送方向Yの上流側の位置に、その読取位置が搬送経路30と第3給送経路93とが合流する第2経路合流部J2(合流部の一例)よりも搬送方向Yの上流側に位置するように配置した。よって、媒体検出装置80を設けた割に、印刷装置11の搬送方向Yのサイズ寸法を比較的短くすることができる。例えば反転給送路56を通って再給送される一方の面が印刷された媒体Pも媒体検出装置に読み取らせる構成を採用しようとすると、合流部を媒体検出装置の読取位置よりも搬送方向Yの上流側へずらして配置する必要がある。これに伴い、搬送経路30及び反転給送路56のうち合流部76よりも搬送方向の上流側に位置する部分を、搬送方向Yの上流側へずらす必要が生じる。この場合、印刷装置11の搬送方向Yにおけるサイズ寸法が相対的に長くなる。これに対して、一方の面が印刷された媒体Pを読み取らず、合流部76を読取位置よりも搬送方向Yの下流側に配置する構成としたので、搬送経路30及び反転給送路56のうち合流部76よりも搬送方向Yの上流側(後側)に位置する部分を、なるべく下流側寄りに配置できる。この結果、印刷ヘッド34が移動式か固定式かの印刷方式に依存することなく、媒体Pの幅方向Xの両側端PE1,PE2を検出できるうえ、印刷装置11の搬送方向Yのサイズ寸法を比較的短く抑えることができる。
(16)媒体検出装置80は、センサー83A,83Bが最大幅の媒体Pの幅方向Xの両側端を検出可能な移動範囲をキャリッジ82が電動モーター103を動力源として移動できる幅方向Xに長い形状を有する。つまり、印刷装置11に、最大幅の媒体Pの幅よりも少し長い媒体検出装置80を、その長手方向が幅方向Xに一致する向きに設けても、媒体検出装置80の配設スペースを第2経路合流部J2が読取位置よりも搬送方向Yの下流側に位置するように設計することで、印刷装置11の搬送方向Yのサイズ寸法を比較的短く抑えることができる。
(17)印刷装置11がカセット21と給送トレイ22との両方から給送される媒体Pの側端PE1,PE2を媒体検出装置80によって検出できるうえ、印刷装置11の搬送方向Yの小型化を図りつつ媒体検出装置80を設けることができる。
(18)媒体検出装置80の読取位置は、搬送方向Yにおいてカセット21と給送トレイ22とから媒体Pを給送する2つの給送路45,48が合流する第1合流部75よりも下流側、かつ第2経路合流部J2よりも上流側に位置する。よって、カセット21と給送トレイ22とのいずれから給送された媒体Pも、媒体検出装置80の読取位置で読み取って、その両側端PE1,PE2を検出できる。このため、カセット21と給送トレイ22とのいずれから給送された媒体Pにも、幅方向Xに適切な位置に印刷できる。
(19)特に読取位置が、搬送方向Yにおいて第1経路合流部J1よりも下流側、かつ第2経路合流部J2よりも上流側に位置する。この構成であれば、センサー83A,83Bと媒体Pとの距離をほぼ一定に保持できるので、より高い側端検出精度を確保できる。さらに読取位置が、搬送方向Yにおいて第1経路合流部J1よりも下流側、かつ第2合流部76よりも上流側に位置する。この構成であれば、反転給送路56を通って再給送される一方の面が印刷された媒体Pに対して、センサー83A,83Bの検知域が、ガイド部材71によって保護されるので、インク汚れに起因する側端検出精度の低下を抑制できる。例えば再給送された媒体Pの一方の面に施された印刷のインクが窓部88に付着しにくいので、センサー83A,83Bが窓部88を通して媒体Pを読み取る構成でも、媒体Pの側端検出精度を高く維持できる。
(20)印刷装置11には、給送トレイ22に載置された媒体Pを給送可能な給送機構の一例としての第1給送部41と、第2合流部76を形成している一部の媒体案内面71A,71Bを有するガイド部材71とが組み付けたカバー23が、装置本体20に対して開閉可能な状態に設けられている。このため、カバー23を開けると、第1給送部41とガイド部材71とが、カバー23と共に装置本体20から外れ、媒体検出装置80の一部が露出する。この結果、媒体検出装置80のメンテナンス等がし易くなるうえ、メンテナンスや交換のために取り外す必要がある場合に、媒体検出装置80を比較的容易に取り外すことができる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・幅情報に基づく幅が設定幅以下の小サイズの媒体である場合も、第1側端と第2側端とを異なるセンサーによって検出させてもよい。また、幅情報に基づく幅が設定幅よりも長い大サイズの媒体である場合でも、キャリッジの移動距離を少し長くして、第1側端と第2側端とを同一のセンサーによって検出してもよい。
・2つのセンサーのうち一方が故障した場合、媒体幅が設定幅よりも長い媒体である場合、故障していない他方のセンサーで第1側端と第2側端とのうち一方の側端を検出し他方の側端を演算により推定する推定処理を行ってよいか否かを、表示部にメッセージを表示してユーザーに問い合わせてもよい。なお、この問い合わせはメッセージの表示に替えて又は加えて音声で問い合わせてもよい。
・媒体検出装置80を搬送経路30の下側に配置したが、搬送経路30の上側に配置してもよい。この構成でも、2つのセンサー83により下方に向かって媒体Pを読み取ることで媒体Pの側端を検出できるうえ、媒体検出装置80をその読取位置が第2経路合流部J2よりも搬送方向Yの上流側となる位置に配置することで、印刷装置11を搬送方向Yのサイズ寸法を相対的に短くしてその小型化を実現できる。
・センサー83が媒体の側端を検出して取得する媒体情報は、媒体Pの幅方向の一方の側端位置PE1又はPE2、両方の側端位置PE1,PE2、媒体幅(媒体幅から規定される媒体サイズを含む)及び幅方向Xの印刷範囲のうち少なくとも1つであればよい。例えば媒体情報は、一方の側端位置、両方の側端位置、媒体幅、印刷範囲のうちいずれか1つのみでもよい。また、側端検出結果から取得する媒体情報の内容が、印刷モードに応じて異なる構成でもよいし、側端検出処理を実施しない印刷モードが存在してもよい。なお、一方の側端のみを検出する場合、ある印刷モードでは媒体の一方の側端を検出し、他の印刷モードでは媒体の他方の側端を検出する構成であれば、キャリッジ82が最大幅の媒体の両側端を検出可能な移動範囲を移動できる必要はある。
・センサー83A,83Bに、媒体Pの側端に加え、搬送方向Yの先端と後端とのうち少なくとも一方を検知させてもよい。例えば、媒体Pが読取位置に給送されてくる前に、キャリッジ82をホーム位置HPから移動させてセンサー83を媒体Pの搬送方向Yの先端を検出可能な位置に待機させ、媒体Pが給送されてきたときにその先端を検知させる。そして、先端を検知した後、キャリッジを幅方向Xの一方側(例えば右側)へ移動させて一方側の側端を検知し、次にキャリッジを幅方向Xの他方側(例えば左側)へ移動させて他方側の側端を検知する。例えば制御部120が、媒体Pの先端を検知した先端検知情報を基に媒体のスキュー取り動作等の所定動作の開始タイミングを制御してもよい。この場合、例えばセンサー79を廃止できる。また、制御部120が、先端検知情報に基づいて媒体Pの搬送方向Yの位置(搬送位置)を把握し、印刷ヘッド34による印刷開始タイミングを制御してもよい。
・センサー83を光学式センサーとした場合、光反射式に限定されず、光透過式でもよい。例えば媒体検出装置80と搬送経路を挟んで対向する位置にセンサー83と共に移動可能な光源又はセンサーの移動範囲に亘る範囲で点灯可能なライン状の光源を配置し、光源からの光を受光した受光状態と媒体に遮られて受光できない非受光状態との切り替わりをもって媒体の側端を検出してもよい。
・センサー83を光学式センサーに替え、接触式のセンサーとしてもよい。接触式センサーであっても媒体の側端を検出することができる。
・媒体検出装置80の動力源をステッピングモーターに替え、DCモーター(直流モーター)としてもよい。DCモーターとした場合、キャリッジ82の移動距離に比例する数のパルス信号を出力可能な例えばリニアエンコーダー又はロータリーエンコーダーを設け、エンコーダーが出力するパルス信号のパルスエッジを計数してキャリッジ82の位置を示す値を計数可能なカウンターを設ければよい。そして、制御部は、カウンターの計数値に基づいてセンサー83A,83Bが検出した側端位置を取得すればよい。
・窓部88は幅方向Xに沿って複数配置する構成に替え、1つの窓部をセンサーの移動経路と対応する領域に配置する構成としてもよい。また、窓部88を幅方向Xに沿って配置する数は2つに限定されず、3つ又は4つなど3つ以上の複数でもよい。この場合、複数の窓部を、幅の異なる複数種の媒体Pの両側の側端を検出可能な位置に配置すればよい。例えば搬送される媒体Pの幅中心(中心線)に対して幅方向Xに対称な位置に複数の窓部を配置すればよい。
・反転給送路56(又は第3給送経路93)は、搬送経路30に対して印刷ヘッド34側(上側)を経由して合流部に合流する反転経路に替え、搬送経路30に対して印刷ヘッド34側と反対側(下側)を経由して合流部に合流する反転経路としてもよい。
・2つのセンサーのうち一方のセンサーのみで最大幅の媒体Pの両側端PE1,PE2を検出できる長さだけキャリッジ82の移動可能距離を延ばし、媒体Pの幅に応じて使用するセンサーの数を切り換えなくてもよい構成としてもよい。この場合、幅情報に基づく幅と設定幅とを比較する処理を廃止できるうえ、一方のセンサーのみで媒体の両側端を検出でき、故障時には他方のセンサーのみで媒体の両側端を検出できる。
・媒体検出装置80のキャリッジ82に設けられたセンサー83は1つでもよい。この場合、最大幅の媒体の両側端を検出可能な長さだけキャリッジ82の移動可能距離を延ばした構成とすればよい。
・媒体検出装置80をその読取位置が第2経路合流部J2よりも搬送方向Yの上流側かつ第2合流部76よりも搬送方向Yの下流側となる位置に配置してもよい。この構成でも、媒体検出装置80は、一方の面に印刷された媒体Pが再給送される第3給送経路93に対して読取位置では離れているので、一方の面に施された印刷のインクが窓部88に付着しにくい。よって、この種のインク汚れに起因する側端検出精度の低下を抑制しやすい。
・媒体検出装置80をその読取位置が第1経路合流部J1よりも搬送方向Yの上流側かつ第1合流部75よりも搬送方向Yの下流側となる位置に配置してもよい。この構成でも、媒体検出装置80は、2つの給送路45,48のうちどちらを通って給送された媒体Pも、共通の1つの媒体検出装置80により読み取ってその側端を検出することができる。この場合、第1合流部75で合流した箇所では媒体の異なる給送経路91,92は比較的近くを通るので、検知可能距離が比較的長いセンサー83を選択すれば、必要な側端検出精度は確保できる。
・媒体検出装置80をその読取位置が第1合流部75よりも搬送方向Yの上流側となる位置に配置してもよい。この場合、複数の給送経路91,92ごとに媒体検出装置80を配置すれば、異なる給送経路91,92を通る各媒体Pの側端を検出することはできる。また、複数の給送経路91,92のうち1つの給送経路を給送される媒体のみ媒体検出装置80により側端の検出を行ってもよい。
・媒体Pの搬送経路上の複数箇所で媒体Pの側端を検出可能に複数の媒体検出装置80を設けてもよい。
・第1給送部41の一部のみをカバー23に設けたり、第2給送部42の一部のみをカバー23に設けたり、第1給送部41の一部と第2給送部の一部とをカバー23に設けたりしてもよい。また、カバーは媒体載置部の一例としての給送トレイ22を備えない構成でもよい。
・媒体載置部は、カセット21と給送トレイ22との一方のみであってもよい。また、カセット21は複数に限らず1つでもよい。さらに給送トレイは1つに限らず複数設けられていてもよい。
・印刷装置は、ライン印刷方式の印刷装置(ラインプリンター)やシリアル印刷方式の印刷装置(シリアルプリンター)に限定されず、キャリッジが主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル印刷方式の印刷装置(ラテラル式プリンター)でもよい。この種のシリアルプリンター又はラテラル式プリンターに適用しても、媒体検出装置を設けた構成とした場合に印刷装置の幅方向X及び搬送方向Yのサイズ寸法を比較的短くすることができる。
・制御部内に構築される各機能部は、プログラムを実行するコンピューターによりソフトウェアで実現されることに限定されず、例えばFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific IC)等の電子回路によりハードウェアで実現されたり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されたりしてもよい。
・媒体は、用紙に限定されず、樹脂製のフィルムやシート、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、金属箔、金属フィルム、セラミックシートなどであってもよい。
・印刷装置は、複合機に限らず、スキャナー部を備えずプリンター部を有するプリンターでもよい。
・印刷装置はインクジェット式プリンターに限定されず、ドットインパクト式プリンターや熱転写式プリンター、電子写真式プリンターでもよい。
・印刷装置は、用紙等の媒体に印刷を行う印刷装置に限らず、部品の基材等からなる媒体に樹脂液滴を吐出して三次元立体物を成形する3Dプリンターでもよい。この種の印刷装置でも、装置本体のサイズ寸法を比較的短くできるうえ、基材等の媒体上に精度の高い三次元立体物を成形できる。