以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示すように、車両には、駆動輪である後輪RL,RRに駆動力を付与する駆動装置10と、全ての車輪FL,FR,RL,RRに制動力(以下、「液圧制動力」ともいう。)を付与する液圧式制動装置20とが設けられている。また、車両には、後輪RL,RRに制動力(以下、「EP制動力」ともいう。)を付与する電動パーキングブレーキ30とが設けられている。
駆動装置10は、駆動源としてのエンジン11と、エンジン11から後輪RL,RRへの伝達経路に配置される自動変速機(図示略)となどを備えている。エンジン11の吸気通路12には、燃焼室13内への吸気量を調整すべく作動する電動式のスロットル弁14と、このスロットル弁14の吸気下流側に位置する燃料噴射弁15とが設けられている。スロットル弁14は、運転者によるアクセルペダル16の操作量であるアクセル操作量に相当するアクセル開度が大きいほど開度が大きくなるように作動される。そして、燃料噴射弁15からは、スロットル弁14の開度が大きいほど、即ち一回の吸気行程での吸気量が多いほど多くの燃料が噴射される。
液圧式制動装置20は、運転者によるブレーキペダル21の操作量であるブレーキ操作量に応じたブレーキ液圧を発生する液圧発生装置22と、各車輪FL,FR,RL,RRに対する液圧制動力を個別に調整すべく作動するブレーキアクチュエータ23とを備えている。そして、運転者によるブレーキペダル21の操作時及びブレーキアクチュエータ23の作動時には、車輪FL,FR,RL,RR毎に設けられるホイールシリンダ24a,24b,24c,24dのブレーキ液圧が調整される。これにより、車輪FL,FR,RL,RRには、対応するホイールシリンダ24a〜24dのブレーキ液圧に応じた液圧制動力が付与される。
電動パーキングブレーキ30は、アクチュエータの一例としてのモータ31と、このモータ31によって作動される機構部32とを備えている。そして、運転者などの車両の乗員が操作ボタン33を操作すると、モータ31の駆動によって機構部32が作動し、後輪RL,RRにはEP制動力が付与される。また、電動パーキングブレーキ30によって後輪RL,RRにEP制動力が付与されている制動状態で所定の解除条件が成立すると、モータ31は、EP制動力を「0(零)」に向けて低下させるべく駆動する。なお、本実施形態における解除条件は、「制動状態で操作ボタン33が操作されること」及び「制動状態でアクセル操作が開始されること」のうち少なくとも一方が成立することである。
走行支援装置としての制御装置40は、エンジン11の制御を司るエンジン用ECU41、電動パーキングブレーキ30の制御を司るEPB用ECU42、及び支援用ECU43などの複数のECUを備えている。これら各ECUは、CPU、ROM及びRAMなどで構築されるマイクロコンピュータをそれぞれ有している。
こうした制御装置40には、操作ボタン33に加え、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ51、及びブレーキ操作の有無を検知するブレーキスイッチ52が電気的に接続されている。また、制御装置40には、各車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度を検出する車輪速度センサ53、及び車両の前後方向の加速度を検出する加速度センサ54などがさらに電気的に接続されている。なお、加速度センサ54からは、車両が加速する場合には車両の重心が後方に移動するために正の値となるような信号が出力される一方、車両が減速する場合には車両の重心が前方に移動するために負の値となるような信号が出力される。
ところで、駆動装置10の制御において、要求駆動力は、アクセル開度によって決定される。具体的には、アクセル開度とスロットル弁14の開度であるスロットル開度との対応関係を示す規範プロファイルの一例としてのスロットル開度マップに基づいて、そのときのアクセル開度に応じたスロットル開度が決定される。このようにスロットル開度が決定されると、燃料噴射弁15からの燃料噴射量が決定される。すなわち、本実施形態では、スロットル開度が、「要求駆動力」に相当する。
本実施形態のエンジン用ECU41のROMには、アクセル開度に応じてスロットル開度を決定するための複数種類のスロットル開度マップが予め用意されている。そして、エンジン用ECU41は、そのときの状況に応じたスロットル開度マップを選択し、選択したマップに基づいてアクセル開度に応じたスロットル開度を決定する。
また、上記制動状態でアクセル操作が開始されると、解除条件が成立するため、EP制動力を低下させるべく電動パーキングブレーキ30が作動される。本実施形態では、EPB用ECU42のROMには、電動パーキングブレーキ30に対する要求制動力の低下勾配を、路面(平坦路か坂路か)によって決定するための複数種類の制動力低下用マップが予め用意されている。そして、EPB用ECU42は、そのときの路面に応じた制動力低下用マップを選択し、このマップに基づいて要求制動力を低下させる。なお、本実施形態における「平坦路」とは、水平面に近い路面のことであり、坂路とは判定されない路面のことを示している。
次に、スロットル開度マップについて図2を参照して説明する。
図2に示すように、本実施形態では、スロットル開度マップ(規範プロファイル)として、4つのスロットル開度マップMAP11,MAP12,MAP13,MAP14が用意されている。第1のスロットル開度マップMAP11は、いわゆる通常時に用いられるマップであって、車両が制動状態ではない状況下でアクセル操作が開始されたときに選択されるマップである。したがって、本実施形態では、第1のスロットル開度マップMAP11が、非制動時プロファイルに相当する。
これに対し、第2〜第4の各スロットル開度マップMAP12〜MAP14は、車両が制動状態である状況下でアクセル操作が開始されたときに選択されるマップである。すなわち、本実施形態では、第2〜第4の各スロットル開度マップMAP12〜MAP14が、アクセル開度Accpの少ないときにはアクセル開度Accpの増大に対するスロットル開度Slpの上昇勾配を第1のスロットル開度マップMAP11におけるスロットル開度Slpの上昇勾配よりも緩勾配とし、アクセル開度Accpが多くなるに連れてスロットル開度Slpの上昇勾配を次第に急勾配とする制動時プロファイルに相当する。
第2のスロットル開度マップMAP12は、制動状態にある車両が平坦路上に位置する状況下でアクセル操作が開始されたときに選択されるマップである。すなわち、この第2のスロットル開度マップMAP12は、非登坂路用プロファイル、非降坂路用プロファイル及び平坦路用プロファイルに相当する。第2のスロットル開度マップMAP12においては、アクセル開度Accpが小さい領域で、アクセル開度Accpの増加に伴うスロットル開度Slpの上昇勾配が、第1のスロットル開度マップMAP11でのスロットル開度Slpの上昇勾配よりも緩勾配となっている。そして、スロットル開度Slpの上昇勾配は、アクセル開度Accpが大きくなるに連れて次第に急勾配となり、最終的には第1のスロットル開度マップMAP11での上昇勾配と一致する。
第3のスロットル開度マップMAP13は、制動状態にある車両が登坂路上に位置する状況下でアクセル操作が開始されたときに選択されるマップである。すなわち、この第3のスロットル開度マップMAP13は、非降坂路用プロファイルに相当する。第3のスロットル開度マップMAP13においては、アクセル開度Accpが小さい領域で、アクセル開度Accpの増加に伴うスロットル開度Slpの上昇勾配が、第2のスロットル開度マップMAP12での上昇勾配よりも急勾配になっているものの、第1のスロットル開度マップMAP11での上昇勾配よりは緩勾配となっている。そして、スロットル開度Slpの上昇勾配は、アクセル開度Accpが大きくなるに連れて次第に急勾配となり、最終的には第1のスロットル開度マップMAP11での上昇勾配と一致する。
第4のスロットル開度マップMAP14は、制動状態にある車両が降坂路上に位置する状況下でアクセル操作が開始されたときに選択されるマップである。すなわち、この第4のスロットル開度マップMAP14は、「非登坂路用プロファイル」に相当する。第4のスロットル開度マップMAP14においては、アクセル開度Accpが小さい領域で、アクセル開度Accpの増加に伴うスロットル開度Slpの上昇勾配が、第2のスロットル開度マップMAP12の場合と比較して緩勾配となっている。そして、スロットル開度Slpの上昇勾配は、アクセル開度Accpが大きくなるに連れて次第に急勾配となり、最終的には第1のスロットル開度マップMAP11での上昇勾配と一致する。
なお、スロットル開度マップに基づいて決定されるスロットル開度Slpは、スロットル弁14を制御するにあたって同スロットル弁14に要求する指令値である。また、例えば、エンジン11がアイドリング運転中である場合において、決定されたスロットル開度Slpが後述するアイドリング用開度未満であるときには、スロットル弁14の実際のスロットル開度は、アイドリング用開度とされる。ちなみに、「アイドリング用開度」とは、エンジン11をアイドリング運転させるために必要な吸気量をエンジン11の燃焼室13に供給するのに必要な開度のことである。
次に、制動力低下用マップについて図3を参照して説明する。
図3に示すように、本実施形態では、制動力低下用マップとして、2つの制動力低下用マップMAP21,MAP22が用意されている。第1制動力低下用マップMAP21は、制動状態にある車両が平坦路上に位置するときに選択されるマップであり、第2制動力低下用マップMAP22は、制動状態にある車両が坂路上に位置するときに選択されるマップである。
第1制動力低下用マップMAP21では、要求制動力Bpの低下が開始されてからの経過時間Tbが第1の時間Tb1になった時点で要求制動力Bpが「0(零)」となるように、その低下勾配が設定されている。その一方で、第2制動力低下用マップMAP22では、要求制動力Bpの低下が開始されてからの経過時間Tbが第1の時間Tb1よりも長い第2の時間Tb2になった時点で要求制動力Bpが「0(零)」となるように、その低下勾配が設定されている。
次に、使用するスロットル開度マップ及び制動力低下用マップを決定するために支援用ECU43が実行する処理ルーチンを、図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、この処理ルーチンは、予め設定された所定サイクル毎に実行される。
図4に示す処理ルーチンにおいて、支援用ECU43は、電動パーキングブレーキ30によって車両にEP制動力が付与されている制動状態ではないか否かを判定する(ステップS11)。制動状態ではない場合又は制動状態の解消中である場合(ステップS11:YES)、支援用ECU43は、その処理を後述するステップS24に移行する。一方、制動状態である場合(ステップS11:NO)、支援用ECU43は、詳しくは後述するフラグCHGが「0(零)」であるか否かを判定する(ステップS12)。
フラグCHGが「1」である場合(ステップS12:NO)、支援用ECU43は、その処理を後述するステップS24に移行する。一方、フラグCHGが「0(零)」である場合(ステップS12:YES)、支援用ECU43は、制動状態の解除条件が成立したか否かを判定する(ステップS13)。解除条件が成立していない場合(ステップS13:NO)、支援用ECU43は、車両の位置する路面の勾配である路面勾配θを取得する(ステップS14)。
例えば、支援用ECU43は、車輪速度センサ53からの検出信号に基づき演算された車体速度の微分値から加速度センサ54からの検出信号に基づいた加速度(「Gセンサ値」ともいう。)を差し引いた値を路面勾配θとして取得する。そして、支援用ECU43は、路面勾配θが所定の登坂路判定値以上である場合には路面が登坂路であると判定し、路面勾配θが所定の降坂路判定値以下である場合には路面が降坂路であると判定する。また、支援用ECU43は、路面勾配θが降坂路判定値よりも大きく且つ登坂路判定値未満である場合には路面が平坦路であると判定する。
そして、支援用ECU43は、ステップS14で取得した路面勾配θに基づいて候補開度マップを決定する(ステップS15)。具体的には、支援用ECU43は、路面が登坂路である場合には図2に示す第3のスロットル開度マップMAP13を候補開度マップとし、路面が降坂路である場合には第4のスロットル開度マップMAP14を候補開度マップとする。また、支援用ECU43は、路面が平坦路である場合には第2のスロットル開度マップMAP12を候補開度マップとする。
続いて、支援用ECU43は、ステップS14で取得した路面勾配θに基づいて候補制動力マップを決定する(ステップS16)。具体的には、支援用ECU43は、路面が坂路(登坂路及び降坂路)である場合には図3に示す第2制動力低下用マップMAP22を候補制動力マップとし、路面が平坦路である場合には第1制動力低下用マップMAP21を候補制動力マップとする。その後、支援用ECU43は、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、解除条件が成立した場合(ステップS13:YES)、支援用ECU43は、運転者によるアクセル操作が開始されているか否かを判定する(ステップS17)。アクセル操作が開始されていない場合(ステップS17:NO)、操作ボタン33の操作によって解除条件が成立したため、支援用ECU43は、スロットル開度マップを第1のスロットル開度マップMAP11に決定し、その旨をエンジン用ECU41に送信する(ステップS18)。続いて、支援用ECU43は、制動力低下用マップを第1制動力低下用マップMAP21に決定し、その旨をEPB用ECU42に送信する(ステップS19)。そして、支援用ECU43は、フラグCHGに「1」をセットし(ステップS20)、本処理ルーチンを一旦終了する。このフラグCHGは、スロットル開度マップ及び制動力低下用マップが決定された場合に「1」にセットされるフラグである。そして、制動状態にすべく操作ボタン33が操作されると、フラグCHGは「0(零)」にリセットされる。
一方、アクセル操作の開始によって解除条件が成立した場合(ステップS17:YES)、支援用ECU43は、スロットル開度マップをステップS15で決定した候補開度マップに決定し、その旨をエンジン用ECU41に送信する(ステップS21)。続いて、支援用ECU43は、制動力低下用マップをステップS16で決定した候補制動力マップに決定し、その旨をEPB用ECU42に送信する(ステップS22)。そして、支援用ECU43は、フラグCHGに「1」をセットし(ステップS23)、本処理ルーチンを一旦終了する。
ステップS24において、支援用ECU43は、選択されているスロットル開度マップが第1のスロットル開度マップMAP11であるか否かを判定する。第1のスロットル開度マップMAP11が選択されている場合(ステップS24:YES)、支援用ECU43は、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、第1のスロットル開度マップMAP11以外の他のマップが選択されている場合(ステップS24:NO)、支援用ECU43は、スロットル開度マップの変更条件が成立したか否かを判定する(ステップS25)。本実施形態の変更条件は、「アクセル開度Accpが「0(零)」であること」及び「ブレーキスイッチ52がオンであること」の何れか一方が成立することである。
変更条件が成立していない場合(ステップS25:NO)、支援用ECU43は、スロットル開度マップを変更することなく、本処理ルーチンを一旦終了する。一方、変更条件が成立した場合(ステップS25:YES)、支援用ECU43は、スロットル開度マップを第1のスロットル開度マップMAP11にする旨をエンジン用ECU41に送信する(ステップS26)。その後、支援用ECU43は、本処理ルーチンを一旦終了する。
そして、車両が制動状態である状況下で解除条件が成立した場合、EPB用ECU42は、支援用ECU43で決定された制動力低下用マップ(MAP21又はMAP22)を選択し、このマップに基づいた低下勾配で要求制動力Bpが低下するように、モータ31の回転速度を調整する。
また、アクセル操作が行われている場合、エンジン用ECU41は、支援用ECU43で決定されたスロットル開度マップ(MAP11,MAP12,MAP13又はMAP14)を選択する。そして、エンジン用ECU41は、選択したスロットル開度マップに基づいてアクセル開度Accpに応じたスロットル開度Slpを決定し、エンジン11を制御する。
次に、制動状態にある車両が平坦路で停止している状況下でアクセル操作が開始されたときの動作の一例について、図5に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、図5(a)に示す「阻止力」とは、車両の前進走行を妨げる力であって、アクセル開度Accpが「0(零)」よりも大きくなる第1のタイミングt11以降で発生する。そして、図5(a)では、阻止力を破線で示すとともにEP制動力BPeを実線で示している。また、図5(b)に示す「推進力」とは車両を前進走行させるための力である。また、第1のスロットル開度マップMAP11に基づいてスロットル開度Slpを決定することを、「比較例の場合」というものとする。
図5(a),(d)に示すように、第1のタイミングt11でアクセル操作が開始されると、制動状態の解除条件が成立するため、第1のタイミングt11から、電動パーキングブレーキ30によって車両に付与されているEP制動力BPeが低下し始める。このとき、車両の停止している路面は平坦路であるため、EP制動力BPeの低下勾配は、第1制動力低下用マップMAP21に基づいて決定される。そのため、第1のタイミングt11から第1の時間Tb1が経過した第3のタイミングt13で、EP制動力BPeが「0(零)」となる。
また、図5(d),(e)に示すように、第1のタイミングt11以降では、アクセル開度Accpが大きくなるに従い、スロットル開度Slpが大きくなる。このとき、本実施形態では、制動状態ではないときに選択される第1のスロットル開度マップMAP11ではなく、制動状態のときに選択される第2のスロットル開度マップMAP12に基づいてスロットル開度Slpが決定される。
図5(e)では、比較例の場合のスロットル開度Slpの変化態様を二点鎖線で示すとともに、本実施形態におけるスロットル開度Slpの変化態様を実線で示している。同図5(e)からも明らかなように、第2のスロットル開度マップMAP12に基づいてスロットル開度Slpを決定することにより、比較例の場合よりも、アクセル開度Accpが小さい状態ではスロットル開度Slpの上昇勾配が緩くなる。
図5(b)に示すように、アクセル開度Accpが「0(零)」であるときには、エンジン11がアイドリング運転しているため、エンジン11から出力される駆動力Fdはクリープ力Fcとなっている。そして、図5(b),(e)に示すように、スロットル開度Slpがアイドリング用開度ISlpを超えると、エンジン11からの駆動力Fdはクリープ力Fcから次第に大きくなる。
ここで、比較例の場合、第2のタイミングt12でスロットル開度Slpがアイドリング用開度ISlpに達する。そのため、図5(b)にて二点鎖線で示すように、第2のタイミングt12以降から駆動力Fdが、時間の経過に従って比較的急勾配で上昇することとなる。また、図5(c)で示すように、第2のタイミングt12で推進力と阻止力とが釣り合い、第2のタイミングt12以降で車両が発進することとなる。このとき、EP制動力BPeが低下している最中であるとともに、駆動力Fdが比較的急勾配で上昇している。そのため、EP制動力BPeが「0(零)」となる第3のタイミングt13までの間では、阻止力と推進力との差が急激に広がる。その結果、図5(c)にて二点鎖線で示すように、車体加速度DVSが急勾配で大きくなり、発進時における車両の一時的な急加速を招くこととなる。ただし、第3のタイミングt13以降では、EP制動力BPeの変化、即ち阻止力の変化が無くなるため、車体加速度DVSの変更勾配は第3のタイミングt13以前よりも緩やかになる。
これに対し、本実施形態では、第2のスロットル開度マップMAP12に基づいてスロットル開度Slpが決定される。そのため、図5(d),(e)にて実線で示すように、アクセル開度Accpが小さい場合においては、スロットル開度Slpの上昇勾配が緩やかとなる。その結果、第2のタイミングt12に達しても、スロットル開度Slpはアイドリング用開度ISlp未満である。
すると、推進力と阻止力とが釣り合う第2のタイミングt12以降からの車両の発進時には、エンジン11からの駆動力Fdはクリープ力Fcとなる。すなわち、車両発進時における駆動力Fdは、比較例の場合よりも小さい。しかも、第2のタイミングt12から、スロットル開度Slpがアイドリング用開度ISlpに達する第3のタイミングt13までの期間では、駆動力Fdがクリープ力Fcで保持される。つまり、阻止力(即ち、EP制動力BPe)は低下するものの、推進力は一定値で保持される。
その結果、図5(c)に示すように、車両の発進直後においては、比較例の場合と比較して阻止力と推進力との差が緩やかに広がる。そのため、EP制動力BPeが「0(零)」になるまでの間における車体加速度DVSの変化勾配は、比較例の場合と比較して緩やかになる。したがって、平坦路での車両発進時における車両の一時的な急加速が抑制される。
そして、第3のタイミングt13でスロットル開度Slpがアイドリング用開度ISlpに達するため、第3のタイミングt13以降においては、駆動力Fdが次第に大きくなる。
なお、このように第2のスロットル開度マップMAP12に基づいてスロットル開度Slpが決定される車両の走行状態において、アクセル開度Accpが「0(零)」になったり、ブレーキ操作が開始されたりすると、スロットル開度マップが、第1のスロットル開度マップMAP11に変更される。すると、以降においては、第1のスロットル開度マップMAP11に基づいて、アクセル開度Accpに応じたスロットル開度Slpが決定されるようになる。
次に、制動状態にある車両が登坂路で停止している状況下でアクセル操作が開始されたときの動作の一例について、図6に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、第1のスロットル開度マップMAP11に基づいてスロットル開度Slpを決定することを、「比較例の場合」というものとする。
図6(a)にて破線で示す阻止力は、車両の前進走行を妨げる力であり、図6(a)ではEP制動力BPeを実線で示している。そして、阻止力は、アクセル開度Accpが「0(零)」よりも大きくなって且つ推進力が発生している第1のタイミングt21以降で発生する。すなわち、第1のタイミングt21以降では、登坂路上で停止している車両に対し、EP制動力BPeと重力相当力Ggとを足し合わせた力が阻止力として作用する。そして、図6(a),(d)に示すように、第1のタイミングt21でアクセル操作が開始されると、制動状態の解除条件が成立するため、第1のタイミングt21からEP制動力BPeが低下し始める。このとき、車両の停止している路面は坂路であるため、EP制動力BPeの低下勾配は、第2制動力低下用マップMAP22に基づいて決定される。そのため、第1のタイミングt21から第2の時間Tb2が経過した第6のタイミングt26で、EP制動力BPeが「0(零)」となる。ただし、EP制動力BPeが「0(零)」になっても、車両には、重力相当力Ggが阻止力として車両に作用する。
また、図6(d),(e)に示すように、本実施形態では、第1のスロットル開度マップMAP11ではなく、制動状態のときに選択される第3のスロットル開度マップMAP13に基づいてスロットル開度Slpが決定される。図6(e)では、比較例の場合のスロットル開度Slpの変化態様を二点鎖線で示すとともに、本実施形態におけるスロットル開度Slpの変化態様を実線で示している。
図6(e)からも明らかなように、第3のスロットル開度マップMAP13に基づいてスロットル開度Slpを決定することにより、比較例の場合よりも、アクセル開度Accpが小さい状態ではスロットル開度Slpの上昇勾配が緩くなる。ただし、アクセル操作開始直後におけるスロットル開度Slpの上昇勾配は、平坦路用の第2のスロットル開度マップMAP12に基づいてスロットル開度Slpを決定する場合よりも急勾配となる。
比較例の場合、第2のタイミングt22でスロットル開度Slpがアイドリング用開度ISlpに達する。そのため、図6(b)にて二点鎖線で示すように、第2のタイミングt22以降から駆動力Fdが、クリープ力Fcから比較的急勾配で上昇することとなる。そして、第4のタイミングt24で推進力と阻止力とが釣り合い、この第4のタイミングt24以降で車両が発進することとなる。このとき、EP制動力BPeが低下している最中であるとともに、駆動力Fdが比較的急勾配で上昇している。そのため、図6(c)にて二点鎖線で示すように、車体加速度DVSが急勾配で大きくなり、発進時に車両が一時的に急加速する。
これに対し、本実施形態では、第3のスロットル開度マップMAP13に基づいてスロットル開度Slpが決定される。そのため、図6(d),(e)にて実線で示すように、アクセル開度Accpが小さい場合においては、スロットル開度Slpの上昇勾配が緩やかとなる。その結果、スロットル開度Slpは、第2のタイミングt22では未だアイドリング用開度ISlp未満であり、その後の第3のタイミングt23でアイドリング用開度ISlpに達する。すると、この第3のタイミングt23以降から、駆動力Fdがクリープ力Fcから次第に大きくなる。このときの駆動力Fdの上昇勾配は、比較例の場合よりも緩やかである。
そして、第4のタイミングt24よりも後の第5のタイミングt25で、阻止力と推進力とが釣り合い、この第5のタイミングt25以降で車両が発進することとなる。この時点での駆動力Fdの上昇勾配は、比較例の場合の発進時(第4のタイミングt24)での駆動力Fdの上昇勾配よりも緩やかである。そのため、図6(c)に示すように、車両の発進直後からEP制動力BPeが「0(零)」となる第6のタイミングt26までの間においては、比較例の場合と比較して車体加速度DVSの変化勾配が緩やかになる。これにより、登坂路での発進時における車両の一時的な急加速が抑制される。
しかも、図6(a)に示すように、第5のタイミングt25では、車両にEP制動力BPeが未だ付与されている。そのため、EP制動力BPeの低下が開始される第1のタイミングt21から車両が発進し始める第3のタイミングt23までの期間で、車両が坂下側にずり下がる可能性が低くなる。
次に、制動状態にある車両が降坂路で停止している状況下でアクセル操作が開始されたときの動作の一例について、図7に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、第1のスロットル開度マップMAP11に基づいてスロットル開度Slpを決定することを、「比較例の場合」というものとする。
図7(a)にて破線で示す阻止力は、車両の前進走行を妨げる力であり、図7(a)ではEP制動力BPeを実線で示している。そして、阻止力は、アクセル開度Accpが「0(零)」よりも大きくなって且つ推進力が発生している第1のタイミングt31以降で発生する。すなわち、第1のタイミングt31以降では、降坂路上で停止している車両に対し、EP制動力BPeから重力相当力Ggを差し引いた力が阻止力として作用する。そして、図7(a),(d)に示すように、第1のタイミングt31でアクセル操作が開始されると、制動状態の解除条件が成立するため、第1のタイミングt31からEP制動力BPeが低下し始める。このとき、車両の停止している路面は坂路であるため、EP制動力BPeの低下勾配は、第2制動力低下用マップMAP22に基づいて決定される。そのため、第1のタイミングt31から第2の時間Tb2が経過する第6のタイミングt36で、EP制動力BPeが「0(零)」となる。
また、図7(d),(e)に示すように、本実施形態では、第1のスロットル開度マップMAP11ではなく、制動状態のときに選択される第4のスロットル開度マップMAP14に基づいてスロットル開度Slpが決定される。図7(e)では、比較例の場合のスロットル開度Slpの変化態様を二点鎖線で示すとともに、本実施形態におけるスロットル開度Slpの変化態様を実線で示している。
図7(e)からも明らかなように、第4のスロットル開度マップMAP14に基づいてスロットル開度Slpを決定することにより、比較例の場合よりも、アクセル開度Accpが小さい状態ではスロットル開度Slpの上昇勾配が緩くなる。より詳しくは、スロットル開度Slpの上昇勾配は、平坦路や登坂路用の第2及び第3の各スロットル開度マップMAP12,MAP13に基づいてスロットル開度Slpを決定する場合よりも緩やかとなる。
比較例の場合、第2のタイミングt32でスロットル開度Slpがアイドリング用開度ISlpに達する。そのため、図7(b)にて二点鎖線で示すように、第2のタイミングt32以降から駆動力Fdが、クリープ力Fcから比較的急勾配で上昇することとなる。そして、図7(c)で示すように、第3のタイミングt33で推進力と阻止力とが釣り合い、この第3のタイミングt33以降で車両が発進することとなる。このとき、EP制動力BPeが低下している最中であるとともに、駆動力Fdが比較的急勾配で上昇している。そのため、図7(c)にて二点鎖線で示すように、車体加速度DVSが急勾配で大きくなり、発進時に車両が一時的に急加速する。
これに対し、本実施形態では、第4のスロットル開度マップMAP14に基づいてスロットル開度Slpが決定される。そのため、図7(d),(e)にて実線で示すように、アクセル開度Accpが小さい場合においては、スロットル開度Slpの上昇勾配が緩やかとなる。その結果、スロットル開度Slpは、第2のタイミングt32では未だアイドリング用開度ISlp未満である。
そして、図7(b),(c),(e)に示すように、スロットル開度Slpがアイドリング用開度ISlp未満である第4のタイミングt34で推進力と阻止力とが釣り合い、この第4のタイミングt34以降で車両が発進することとなる。この時点では、駆動力Fdはクリープ力Fcで一定である。そのため、図7(c)に示すように、車両の発進直後においては、推進力と阻止力との差が緩やかに広がるようになり、比較例の場合と比較して車体加速度DVSの変化勾配が緩やかになる。これにより、降坂路での発進時における車両の一時的な急加速が抑制される。
このように車両が発進し始めた後の第5のタイミングt35で、スロットル開度Slpがアイドリング用開度ISlpに達する。すると、第5のタイミングt35以降では、エンジン11からの駆動力Fdが、スロットル開度Slpに応じて大きくなる。
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)制動状態で車両が停止しているときにアクセル操作が行われると、EP制動力BPeが低下されるとともに、アクセル開度Accpに応じたスロットル開度Slpが、制動時用のマップ(MAP12,MAP13又はMAP14)に基づいて決定される。すると、このように決定されたスロットル開度Slpに基づいてエンジン11が制御されるため、車両の駆動輪である後輪RR,RLには、決定されたスロットル開度Slpに応じた駆動力が伝達されることとなる。
このとき、制動時用のマップに基づいてスロットル開度Slpが決定されているため、運転者によってアクセル開度Accpが増大されても、後輪RR,RLに伝達される駆動力の上昇勾配は、非制動時用のマップである第1のスロットル開度マップMAP11に基づいてスロットル開度Slpが決定される場合と比較して緩くなる。その結果、車両を推進させる推進力が車両の走行を妨げる阻止力に達した後においては、推進力と阻止力との差が緩やかに広がるようになるため、発進時における車両の一時的な急加速を抑制することができるようになる。
(2)制動状態の車両が登坂路上に位置する状況下でアクセル操作が開始されたときには、登坂路用である第3のスロットル開度マップMAP13に基づいてアクセル開度Accpに応じたスロットル開度Slpが決定される。そのため、平坦路用である第2のスロットル開度マップMAP12に基づいてスロットル開度Slpを決定する場合と比較して、後輪RR,RLに伝達される駆動力の上昇勾配を急勾配にすることができる。その結果、推進力が早期に阻止力よりも大きくなり、車両を速やかに発進させることができるようになる。
ただし、このように登坂路用である第3のスロットル開度マップMAP13に基づいてスロットル開度Slpを決定する場合、非制動時用である第1のスロットル開度マップMAP11に基づいてスロットル開度Slpを決定する場合と比較して、後輪RR,RLに伝達される駆動力の上昇勾配は緩やかになる。そのため、推進力が阻止力に達した後においては、第1のスロットル開度マップMAP11に基づいてスロットル開度Slpを決定する場合と比較して推進力と阻止力との差が緩やかに広がるようになる。したがって、登坂路での発進時における車両の一時的な急加速を抑制することができるようになる。
(3)制動状態の車両が登坂路上に位置する状況下でアクセル操作が開始されたときには、EP制動力BPeが緩やかに低下するようになる。これにより、EP制動力BPeの低下勾配を坂路であるか否かによって変更しない場合と比較して長期に亘ってEP制動力BPeが車両に付与されるようになる。その結果、EP制動力BPeの低下が開始されてから車両が前進し始めるまでの間に、車両がずり下がり傾向を示しにくくなる。すると、車両の発進時に運転者がアクセル開度Accpを急激に増大させるようなアクセル操作を行う可能性が低くなり、後輪RR,RLへの駆動力の急激な増大が抑制される。したがって、登坂路での車両発進時には、車両の坂下側へのずり下がりを抑制しつつ、車両の一時的な急加速を抑制することができるようになる。
(4)制動状態の車両が降坂路上に位置する状況下でアクセル操作が開始されたときには、降坂路用である第4のスロットル開度マップMAP14に基づいてアクセル開度Accpに応じたスロットル開度Slpが決定される。そのため、平坦路用である第2のスロットル開度マップMAP12に基づいてスロットル開度Slpを決定する場合と比較して、後輪RR,RLに伝達される駆動力の上昇勾配を緩勾配にすることができる。したがって、推進力が阻止力に達した後においては推進力と阻止力との差が緩やかに広がるようになるため、降坂路での発進時における車両の一時的な急加速を抑えることができるようになる。
(5)制動状態の車両が降坂路上に位置する状況下でアクセル操作が開始されたときには、EP制動力BPeが緩やかに低下するようになる。これにより、EP制動力BPeの低下勾配を坂路であるか否かによって変更しない場合と比較して長期に亘ってEP制動力BPeが車両に付与される状態となる。その結果、推進力が阻止力よりも大きくなった後でも制動力の低下勾配が緩やかであるため、推進力と阻止力との差が緩やかに広がるようになる。したがって、降坂路での発進時における車両の一時的な急加速を抑えることができるようになる。
(6)本実施形態では、制動時用のマップ(MAP12,MAP13又はMAP14)に基づいてスロットル開度Slpが決定されて車両が走行しているときに、アクセル操作の解除又はブレーキ操作の開始が行われると、選択されるスロットル開度マップが第1のスロットル開度マップMAP11に変更される。すなわち、アクセル開度Accpとスロットル開度Slpとの対応関係が通常の状態に戻り、その後においてはスロットル開度Slpが第1のスロットル開度マップMAP11に基づいて決定されるようになる。そのため、制動時用のマップに基づいてスロットル開度Slpが決定され続ける場合と比較して、運転者は、違和感を感じることなくアクセル操作を行うことができるようになる。
(7)なお、アクセル開度Accpとスロットル開度Slpとの対応関係を変更することなく、発進時における車両の一時的な急加速を抑える方法としては、推進力が阻止力を上回った以降におけるEP制動力BPeの低下勾配を、推進力が阻止力を上回る以前におけるEP制動力BPeの低下勾配よりも緩勾配にする方法が挙げられる。この場合、発進直後においては、阻止力が緩やかに低下するようになるため、車両の一時的な急加速を抑えることができるものの、EP制動力BPeが付与された状態で車両が走行する期間が長くなり、車両のエネルギー消費量が多くなるおそれがある。こうした課題は、平坦路での車両発進時に顕著に表れる。
この点、本実施形態では、アクセル開度Accpとスロットル開度Slpとの対応関係を適宜変更することにより、阻止力と推進力との差を緩やかに広げるようにして発進時における車両の一時的な急加速を抑えるようにしている。そのため、アクセル開度Accpとスロットル開度Slpとの対応関係を変更しない場合と比較して、車両のエネルギー消費量(本実施形態では燃料消費量)を少なくすることができるようになる。
なお、上記実施形態を以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・制動時用のマップ(MAP12,MAP13又はMAP14)に基づいてスロットル開度Slpが決定されて車両が走行しているときには、アクセル操作が解消され、且つブレーキ操作が開始されたことを条件に、スロットル開度マップを、非制動時用である第1のスロットル開度マップMAP11に変更するようにしてもよい。
制動時用のマップに基づいてスロットル開度Slpが決定されて車両が走行しているときには、ブレーキ操作によって車両に液圧制動力が付与されることにより車両が停止してから、スロットル開度マップを、非制動時用である第1のスロットル開度マップMAP11に変更するようにしてもよい。
・要求制動力Bpの低下勾配を、平坦路か坂路かによって決定するのではなく、取得した路面勾配θによって細かく決定するようにしてもよい。この場合、登坂路であっても、路面勾配θが大きい場合ほど、要求制動力Bpの低下勾配が緩やかになる。
・要求制動力Bpの低下勾配は、平坦路であっても坂路であっても同一勾配であってもよい。
・制動時用のマップとしては、第2のスロットル開度マップMAP12のみを用意するようにしてもよい。そして、制動状態にある車両が登坂路上に位置する場合においては、第2のスロットル開度マップMAP12に基づいて決定されるスロットル開度Slpに対して「1」よりも大きい登坂路用のゲイン値を掛け合わせ、この補正後のスロットル開度Slpに基づいてエンジン11を制御するようにしてもよい。
同様に、制動状態にある車両が降坂路上に位置する場合においては、第2のスロットル開度マップMAP12に基づいて決定されるスロットル開度Slpに対して「1」よりも小さい降坂路用のゲイン値を掛け合わせ、この補正後のスロットル開度Slpに基づいてエンジン11を制御するようにしてもよい。このような制御構成を採用しても、上記実施形態と同等の作用・効果を得ることができる。
・スロットル開度Slpを決定するための規範プロファイルとしては、マップではなく、アクセル開度Accpをパラメータとする演算式であってもよい。
・車両が制動状態である状況下でアクセル操作が開始されたときには、路面が平坦路か坂路かに関係なく、同一のマップに基づいてアクセル開度Accpに応じたスロットル開度Slpを決定するようにしてもよい。
・車両に搭載されるエンジン11は、機関駆動式の過給機を備えるものであってもよい。そして、クランク軸から過給機へのトルク伝達効率を変更できる構成である場合には、アクセル操作の開始時に制動状態であるか否かによって、クランク軸から過給機へのトルク伝達効率を変更するようにしてもよい。この場合、アクセル開度Accpとスロットル開度Slpとの対応関係を変更することなく、アクセル開度Accpとエンジン11から出力される駆動力との対応関係を変更することが可能となる。そのため、制動状態でアクセル操作が開始されたことによる発進時における車両の一時的な急加速を抑制することが可能となる。
・一般に、エンジン11と後輪RR,RLとの間に位置する自動変速機のトルクコンバータには、ロックアップクラッチが設けられている。このロックアップクラッチは、アイドリング時には解放される一方で、アクセル操作によってエンジン11からの出力が大きくなると係合状態となる。そのため、こうしたロックアップクラッチの係合タイミングを調整することにより、アクセル開度Accpとスロットル開度Slpとの対応関係を変更することなく、アクセル開度Accpと後輪RR,RLに伝達される駆動力との対応関係を変更することが可能となる。そのため、制動状態でアクセル操作が開始されたことによる発進時における車両の一時的な急加速を抑制することが可能となる。
・車両の駆動源は、エンジン11ではなくモータであってもよい。また、車両は、エンジン11及びモータを駆動源として有するハイブリッド車両であってもよい。