JP6076214B2 - 磁気記録媒体、磁気記録再生装置、磁気記録方法及び磁気再生方法 - Google Patents

磁気記録媒体、磁気記録再生装置、磁気記録方法及び磁気再生方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録媒体、磁気記録再生装置、磁気記録方法及び磁気再生方法に関する。
近年、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記録再生装置の適用範囲は著しく増大され、その重要性が増すと共に、この磁気記録再生装置に用いられる磁気記録媒体について、その記録密度の著しい向上が図られつつある。特に、MRヘッドやPRML技術の導入以来、面記録密度の上昇は更に激しさを増し、近年ではGMRヘッドやTMRヘッドなども導入されて、1年に約40%増ものペースで増加を続けている。
したがって、磁気記録媒体については、磁性層の高保磁力化や、高信号対雑音比(高SNR)、及び高分解能を実現することによって、今後更に高記録密度化を達成することが要求されている。
一方、近年では、線記録密度の向上を図ると同時に、トラック密度の増加によって面記録密度を向上させる努力も続けられている。 最新の磁気記録再生装置においては、トラック密度が400kTPIにも達している。
しかしながら、トラック密度を上げていくと、隣接するトラック間の磁気記録情報が互いに干渉し合い、その境界領域の磁化遷移領域がノイズ源となりSNRを損なうという問題が生じ易くなっている。このことは、そのままビット・エラー・レート(BER)の悪化につながるため、記録密度の向上を図る上で障害となっている。
面記録密度を上昇させるためには、磁気記録媒体の面上にある各記録ビットのサイズをより微細なものとし、各記録ビットに可能な限り大きな飽和磁化と磁性膜厚を確保する必要がある。その一方で、記録ビットを微細化していくと、1ビット当たりの磁化最小体積が小さくなり、熱揺らぎによる磁化反転で記録データが消失するという問題が生じてしまう。
例えば記録密度が2Tbpsi以上になると、1ビットの占める面積は322nm にまで狭くなり、熱的に安定させようとすると、磁気記録再生装置で必要とされる信号雑音比(SNR)を維持するための粒子数を確保できなくなる。その一方で、SNRを維持するために磁性粒子を微細化すると、体積の減少からくる熱的な不安定さによって、記録した磁気データを維持できなくなる。
また、トラック密度を上げていくと、トラック間距離が近づくために、磁気記録再生装置において極めて高精度のトラックサーボ技術が要求されることになる。一般的に、磁気記録再生装置では、記録時にトラックサーボを幅広く実行する一方、再生時に隣接トラックからの影響をできるだけ排除するために、トラックサーボを記録時よりも狭く実行する方法が用いられている。
しかしながら、この方法を用いた場合、トラック間の影響を最小限に抑えることができる反面、再生出力を十分得ることが困難となる。その結果、十分なSNRを確保することが難しいという問題がある。
このような熱揺らぎの問題やSNRの確保、十分な出力の確保を達成する方法の一つとして、磁気記録媒体の表面にトラックに沿った凹凸を形成し、記録トラック同士を物理的に分離することによって、トラック密度を上げようとする試みがなされている(例えば、特許文献1を参照。)。
この技術は、一般にディスクリートトラック法と呼ばれている。また、このような磁気的に分離されたトラックパターンを有する磁気記録媒体のことをディスクリートトラック媒体と呼んでいる。
さらに、記録密度の向上を狙って、トラックの長手方向(円周方向)についても磁性粒子毎に分離し、1つの磁性粒子を1ビットとして記録する方法が提案がなされている。このトラック間とビット間の両方を磁気的に分離したパターンを有する磁気記録媒体のことをビットパターン媒体と呼ばれている(例えば、特許文献2を参照。)。
このビットパターン媒体では、トラック間及び長手方向におけるビット間の磁気的相互作用を抑制するできるため、記録データの安定性を高めることができる。また、1ビットが単一の磁性粒子からなるため、境界の乱れからくる遷移ノイズを抑制し、SNRを向上させることができる。その結果、より緻密な磁気記録が可能となる。
また、磁気記録媒体に近接場光等を照射して表面を局所的に加熱し、媒体の保磁力を低下させて書き込みを行う熱アシスト記録が次世代の記録方式として注目されている(例えば、特許文献2,3を参照。)。なお、特許文献2には、上下2層の磁性層を含むセルを多値化する技術が開示されている。
特開2004−164692号公報 特開2005−166240号公報 特開2006−059474号公報
磁気記録媒体の単位面積当たりの記録密度を高める方法としては、磁性層を多層構造とし、各磁性層に対して独立した情報を記録する方法が考えられる。
しかしながら、多層構造の磁性層に対して情報の書き込みを行う場合は、磁気ヘッドを用いて外部磁界を印加しながら、下層の磁性層に情報の書き込みを行ったとしても、上層の磁性層にも外部磁界が印加されるために、この上層の磁気層に記録された情報を書き換えてしまう可能性がある。
特許文献2には、互いの層と磁気的に独立した保磁力の異なる磁性層を積層し、熱アシスト方式によりデータを記録する際に、熱アシストあり・なしの使い分けと、それぞれの層に見合った磁界をヘッドから印加することで、多層記録を行う方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、高保磁力の層にデータを記録する際の加熱により、低磁性層の保磁力も低下してしまうため、低保磁力の層のデータも同時に書き換えてしまう。
このため、特許文献2に記載の方法では、高保磁力の磁性層に熱アシスト方式でデータを記録した後に、熱アシストなしで低保磁力の磁性層にデータを再度記録するといった2回以上の書き込み動作が必要になる。したがって、この方法では、書き込み速度を速くできないといった問題が生じてしまう。
また、特許文献3には、熱アシスト記録方式において、キュリー温度の異なる磁性層を積層し、データを記録する際に、それぞれの層に見合った加熱を行うことで目的の磁性層の保磁力を低下させて記録する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、加熱により磁性層の保磁力を制御するため、一見、各磁性層に対して独立して記録再生できるように思えるが、キュリー温度の高い磁性層に記録する際は、同時にキュリー温度の低い層の保磁力はより低下するため、キュリー温度の低い磁性層のデータも書き換えてしまう。結果として、特許文献2と同様にキュリー温度の高い磁性層のみに1回の記録過程でデータを記録することが難しい。
そこで、特許文献3には、加熱機構と磁気記録素子をペアとして、ヘッドに複数のペアを組み込み、ヘッドの進行方向からキュリー温度の高い磁性層用と、低い磁性層用とすることで、1回の書き込み動作でキュリー温度の高い磁性層に記録する方法を開示されている。しかしながら、この方法では、ヘッドの構造が複雑となり、生産性の低下やコストの増加などの問題が生じてしまう。
さらに、これらの文献の方法では、装置内において磁気記録媒体の固定誤差、モーターの周差やブレ、ヘッドの組み付けや位置誤差などにより、書き込みごとに各磁性層間のデータの書き込み位置に誤差が生じ、別々に記録されたデータビットの磁気記録媒体面での位置が完全に一致しない。このため、同じデータ列を記録していても再生信号の波形が異なることで、信号の品質が劣化するという問題が生じてしまう。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、記録磁性層を構成する下層の磁性層と上層の磁性層に対して、他の磁性層に記録された情報に影響を及ぼさずに、且つ、情報の位置ずれを生じさせることなく、それぞれ独立に情報を記録する一方、上下の磁性層に記録された情報を精度良く再生することを可能とした磁気記録媒体、磁気記録再生装置、磁気記録方法及び磁気再生方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 非磁性基板の上に少なくとも、軟磁性下地層と、非磁性中間層と、記録磁性層とを順次積層した構造を有し、
前記記録磁性層は、前記非磁性基板側から順に、第1の磁性層と、非磁性層と、第2の磁性層とを含み、前記非磁性層を間に挟んで前記第1の磁性層と前記第2の磁性層とが磁気的に分離された構造を有すると共に、磁気的に互いに分離された複数のパターンで構成され
なお且つ、前記第2の磁性層の保磁力(Hc)が前記第1の磁性層のそれよりも高く、前記第2の磁性層を加熱したときに一時的に前記第2の磁性層の保磁力(Hc)が前記第1の磁性層のそれよりも低くなることを特徴とする磁気記録媒体。
(2) 前記第2の磁性層の単位面積当たりの残留磁化と厚との積(Mrt)が前記第1の磁性層のそれよりも低いことを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体。
(3) 前記第1の磁性層は、3000≦Hc[Oe]≦6000、0.1≦Mrt[memu/cm]≦0.2を満足し、
前記第2の磁性層は、12000≦Hc[Oe]、0.03≦Mrt[memu/cm]≦0.06を満足する範囲にあることを特徴とする前項(2)に記載の磁気記録媒体。
(4) 前記記録磁性層は、非磁性材料を間に挟んで磁気的に分離されたパターンを有することを特徴とする前項(1)〜(3)の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
(5) 前記記録磁性層が有するパターンは、前記第1の磁性層、前記中間層及び前記第2の磁性層を積層方向に貫いた状態で設けられていることを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
(6) 前記第1の磁性層は、Coを主成分とし、Cr、Pt、Si、Cr、O、Bのうち何れかを含む磁性材料からなり、
前記第2の磁性層は、Fe及びPt、Co及びPt、Co及びPdのうち何れかを含む磁性材料からなることを特徴とする前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
(7) 前項(1)〜(6)の何れか一項に記載の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、
前記磁気記録媒体を加熱する加熱手段と、前記磁気記録媒体に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対移動させるヘッド動部と、
前記磁気ヘッドへの信号入力と前記磁気ヘッドから出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理系とを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
(8) 前項(1)〜(6)の何れか一項に記載の磁気記録媒体に対して情報の書き込みを行う磁気記録方法であって、
記録用の磁気ヘッドを用いて、前記第1の磁性層の保磁力よりも高く且つ前記第2の磁性層の保磁力よりも低い磁界を印加しながら、前記第1の磁性層に対する情報の書き込みを行う一方、
加熱手段が設けられた記録用の磁気ヘッドを用いて、前記第2の磁性層を加熱して一時的に前記第2の磁性層の保磁力Hcを前記第1の磁性層のよりも低下させた状態で、前記第1の磁性層の保磁力よりも低く且つ前記第2の磁性層の保磁力よりも高い磁界を印加しながら、前記第2の磁性層に対する情報の書き込みを行うことを特徴とする磁気記録方法。
(9) 前記加熱手段は、前記第2の磁性層に対してマイクロ波又はレーザー光を照射することを特徴とする前項(8)記載に記載の磁気記録方法。
(10) 前項(8)又は(9)に記載の磁気記録方法により情報が記録された磁気記録媒体に対して情報の読み出しを行う磁気再生方法であって、
再生用の磁気ヘッドを用いて、前記第1の磁性層及び前記第2の磁性層からの磁界を検出し、検出された磁界の総和の違いに基づいて、前記第1の磁性層に記録された情報と、前記第2の磁性層に記録された情報とを、それぞれ別々に読み出すことを特徴とする磁気再生方法。
以上のように、本発明によれば、記録磁性層の第1の磁性層と第2の磁性層のうち一方の磁性層が、の磁性層に記録された情報に影響を及ぼさずに、且つ、情報の位置ずれを生じさせることなく、それぞれ独立に情報を記録する一方、第1の磁性層及び第2の磁性層に記録された情報を精度良く再生することができる。したがって、本発明によれば、磁気記録媒体の単位面積当たりの記録密度を更に高めることが可能である。
本発明の磁気記録方法を説明するための断面模式図である。 本発明の磁気再生方法を説明するための断面模式図である。 ビットを説明するための平面模式図である。 本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示す断面図である。 磁気記録再生装置の構成を示す斜視図である。 磁気記録再生装置が備える磁気ヘッドの構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を適用した磁気記録媒体、磁気記録再生装置、磁気記録方法及び磁気再生方法について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(磁気記録媒体)
本発明を適用した磁気記録媒体は、少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、非磁性中間層と、記録磁性層とを順次積層した構造を有し、記録磁性層は、非磁性基板側から順に、少なくとも第1の磁性層と、非磁性層と、第2の磁性層とを含み、非磁性層を介して第1の磁性層と第2の磁性層とが磁気的に分離された構造を有すると共に、磁気的に分離されたパターンを備え、なお且つ、第2の磁性層の保磁力(Hc)が第1の磁性層のそれよりも高く、第2の磁性層を加熱したときに一時的に第2の磁性層の保磁力(Hc)が第1の磁性層のそれよりも低くなることを特徴とする。
また、第2の磁性層の単位面積当たりの残留磁化と層厚(膜厚との積(Mrt)は、第1の磁性層のそれよりも低いことを特徴としている。
具体的に、第1の磁性層は、3000≦Hc[Oe]≦6000、0.1≦Mrt[memu/cm]≦0.2を満足することが好ましく、第2の磁性層は、12000≦Hc[Oe]、0.03≦Mrt[memu/cm]≦0.06を満足することが好ましい。(なお、1Oeは79A/mである。)
(磁気記録方法)
本発明を適用した磁気記録方法では、図1(a)に示すように、上記磁気記録媒体に対して情報の書き込みを行う際に、記録用の磁気ヘッドWを用いて、第1の磁性層M1の保磁力よりも高く且つ第2の磁性層M2の保磁力よりも低い磁界を印加しながら、第1の磁性層M1に対する情報の書き込みを行う。
一方、図1(b)に示すように、マイクロ波又はレーザー光を照射する加熱手段Hが設けられた記録用の磁気ヘッドWを用いて、第2の磁性層M2を加熱して一時的に第2の磁性層M2の保磁力を第1の磁性層M1の保磁力よりも低下させた状態で、第1の磁性層M1の保磁力よりも低く且つ第2の磁性層M2の保磁力よりも高い磁界を印加しながら、第2の磁性層M2に対する情報の書き込みを行う。
(磁気再生方法)
本発明を適用した磁気再生方法では、上記磁気記録方法により情報が記録された磁気記録媒体に対して情報の読み出しを行う際に、再生用の磁気ヘッドRを用いて、第1の磁性層M1及び第2の磁性層M2で生じた磁界を検出し、検出された磁界の総和の違いに基づいて、第1の磁性層M1に記録された情報と、第2の磁性層M2に記録された情報とを、それぞれ別々に読み出す。
具体的に、本発明を適用した磁気記録媒体から情報を読み出す際は、再生用の磁気ヘッドRを用いて、第1の磁性層及び第2の磁性層で生じた磁界を検出したときの磁界の総和と、第1の磁性層及び第2の磁性層の磁化方向との違いによって、4値を得ることができる。
例えば、図2(a)〜図2(d)に示すように、第1の磁性層M1の磁界強度を1.5、第2の磁性層M2の磁界強度を0.5とし、磁化方向の違いによってプラス方向(+)とマイナス方向(−)を区別することによって、図2(a)に示す−2.0(=−1.5+(−0.5))の場合と、図2(b)に示す−1.0(=−1.5+(+0.5))の場合と、図2(c)に示す+1.0(=+1.5+(−0.5))の場合と、図2(d)に示す+2.0(=+1.5+(+0.5))の場合との4値を得ることが可能である。
そして、この4値の違いに基づいて、第1の磁性層M1に記録された情報と、第2の磁性層M2に記録された情報とを、それぞれ別々に読み出す(分離・抽出する)ことが可能である。
ここで、多層の磁性層を用いた多値記録の場合、データ記録に必要な層以外の層についても、既に記録されている情報を考慮する必要がある。このため、書き込み時に各磁性層の磁化方向を連動又は関連付ける必要がある。(例えば、全磁性層のDC消去の後に新データの書き込みを行うなど。)これに対して、本発明では、第1の磁性層M1と第2の磁性層M2とが互いに独立しており、別の磁性層のデータ列を考慮する必要がない。
また、記録磁性層は、記録磁性層34に連続的な磁性層を用いることもできるが、その場合は、第1の磁性層M1に書き込んだデータと第2の磁性層M2に書き込んだデータとの間で、位置のズレを生じる可能性があり、これによるデータの読み出し時の誤読が起きやすくなる恐れがある。
これを回避する方法として、本発明の磁性層としては、予め磁気的に分離したパターンを有することが好ましい。すなわち、本発明では、例えば図3(a)に示すようなビットパターンド媒体を用いることが好ましい。このビットパターンド媒体は、磁気ヘッドWの走査方向(磁気記録媒体の周方向)Sに沿って、ドットdを配列したものであり、1つのドットdが1ビットの情報に相当する。
また、本発明では、上述したビットパターンド媒体の他にも、例えば図3(b)に示すようなディスオーダーパターンド媒体を用いてもよい。このディスオーダーパターンド媒体は、磁気ヘッドWの走査方向(磁気記録媒体の周方向)とは無関係にドットdを配置したものであり、1ビットの情報が複数のドットdにより構成される。
これらビットパターン型の磁気記録媒体では、書き込まれたデータが非磁性材料により独立したドットd上にしか保持されないため、データを書き込む際に多少の位置ズレが起きたとしても、実際に磁気記録媒体上のデータ位置は、ドットdの位置により規制される。このため、データを読み込む際に、第1の磁性層M1に書き込まれたデータと第2の磁性層M2に書き込まれたデータとの位置が一致する。これにより、安定した書き込み/読み出し動作を行うことが可能である。なお、書き込み時の位置ズレは、ドットdの径φの15%以内であることが好ましく、更に好ましくは10%以内である。
また、ビットパターン型の磁気記録媒体は、その記録密度を高めるために、記録磁性層のうち、磁気記録パターンのドットdの径φを5nm以上15nm以下とすることが好ましい。また、ドットd間の中心間距離(ドットピッチP)は、記録密度を高めるためにはできるだけ狭くすることが好ましい。一方、ドットピッチPが狭すぎると、磁気的な分離が不十分となり、ドットd間の磁気的な相互作用が大きくなり、記録した磁性データの維持が難しくなる。
また、書き込み時の位置ズレにより、目的のドットdに隣接したドットdにもデータを誤記してしまう現象が生じやすくなる。したがって、このような現象の発生を防ぐため、ドットピッチPについては、ドットdの半径の120%〜200%の範囲となるように設定することが好ましい。
以上のように、本発明によれば、非磁性基板側から順に、第1の磁性層M1と、非磁性層Nと、第2の磁性層M2とを含み、非磁性層Nを介して第1の磁性層M1と第2の磁性層M2とが磁気的に分離された構造を有する記録磁性層の第1の磁性層M1と第2の磁性層M2とに対して、それぞれ別々に情報の記録又は再生を行うことができる。
したがって、本発明によれば、磁性層の層数が増えたことにより、従来の2倍の情報を記憶することが可能となり、磁気記録媒体の単位面積当たりの記録密度を更に高めることが可能となる。また、本発明によれば、第1の磁性層M1と第2の磁性層M2のうち一方の磁性層が、他の磁性層に記録された情報に影響を及ぼさずに、且つ、情報の位置ずれを生じさせることなく、それぞれ独立に情報を記録することができる。そのため、本発明によれば、磁気記録媒体への高速な書き込みと読み出しとを精度良く行うことが可能となる。
(磁気記録媒体の一実施形態)
以下、本発明を適用した磁気記録媒体の一実施形態について、例えば図4に示す磁気的に分離された磁気記録パターン34aを有する磁気記録媒体30を例に挙げて詳細に説明する。
なお、以下の説明において例示される磁気記録媒体30はほんの一例であり、本発明を適用して製造される磁気記録媒体は、そのような構成に必ずしも限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
この磁気記録媒体30は、図4に示すように、非磁性基板31の両面に、軟磁性下地層32と、非磁性中間層33と、磁気記録パターン34aを有する記録磁性層34と、保護層35とが順次積層された構造を有し、更に最表面に潤滑膜36が形成された構造を有している。また、記録磁性層34は、非磁性基板31側から順に、少なくとも第1の磁性層37と、非磁性層38と、第2の磁性層39とを含み、非磁性層38を介して第1の磁性層37と第2の磁性層39とが磁気的に分離された構造を有している。なお、図4においては、非磁性基板31の片面のみを図示するものとする。
非磁性基板31としては、例えば、Al−Mg合金などのAlを主成分としたAl合金基板、ソーダガラスやアルミノシリケート系ガラス、結晶化ガラスなどのガラス基板、シリコン基板、チタン基板、セラミックス基板、樹脂基板等の各種基板を挙げることができるが、その中でも、Al合金基板や、ガラス基板、シリコン基板を用いることが好ましい。また、非磁性基板31の平均表面粗さ(Ra)は、1nm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5nm以下であり、さらに好ましくは0.1nm以下である。
軟磁性下地層32は、磁気ヘッドから発生する磁束の基板面に対する垂直方向成分を大きくするために、また情報が記録される記録磁性層34の磁化方向をより強固に非磁性基板31と垂直な方向に固定する効果を有する。この効果は、特に記録再生用の磁気ヘッドとして単磁極構造を基本としたヘッドを用いる場合により顕著にあらわれる。
軟磁性下地層32としては、例えば、FeやNi、Coなどを含むアモルファス若しくは微結晶構造の軟磁性材料を用いることができる。具体的な軟磁性材料としては、例えば、CoFe系合金(CoFeTaZr、CoFeZrNbなど)、FeCo系合金(FeCo、FeCoB、FeCoVなど)、FeNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど)、FeAl系合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlOなど)、FeTa系合金(FeTa、FeTaC、FeTaNなど)、FeMg系合金(FeMgOなど)、FeZr系合金(FeZrNb、FeZrNなど)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金などを挙げることができる。
その他にも、軟磁性下地層32としては、Coを主成分とし、Zr、Nb、Ta、Cr、Moのうち少なくとも1種を含有し、アモルファス若しくは微結晶構造有するCo合金を用いることができる。具体的な材料としては、例えば、CoZr、CoZrNb、CoZrTa、CoZrCr、CoZrMoなどを好適なものとして挙げることができる。
軟磁性下地層32は、2層以上の軟磁性膜から構成されており、積層した軟磁性膜の間にはRu膜を設けることが好ましい。Ru膜の膜厚を0.4〜1.0nm、又は1.6nm〜2.6nmの範囲で調整することで、Ru膜を挟んだ上下の軟磁性膜間にアンチフェロカップリング(AFC)が生じ、いわゆるスパイクノイズを抑制することができる。
軟磁性膜の数は、偶数であることが好ましい。これによりAFCにより互いに逆方向に向いた磁化が相殺し合い、結果として軟磁性下地層32全体の残留磁化が0となり、信号再生時の磁気的な影響(ノイズ)を抑えることができる。一方、軟磁性膜の総数が奇数であっても、非磁性基板31側から奇数番の膜と偶数番の軟磁性膜のそれぞれの合計の磁化が等しくなるようにすることで、同様の効果を得ることが可能である。
非磁性中間層33は、直上の層の配向性や結晶サイズを制御する配向制御層として機能する。非磁性中間層33としては、記録磁性層34の種類に応じて適した材料を用いることが好ましい。例えば、Co系材料(CoCrPt、CoPt、CoPdなど)を記録磁性層34として用いた場合は、Ru単体あるいはRuを主成分とし、Cr、Co、Fe、Ni、Cのうち少なくとも1種を含有し、hcp結晶構造を有したRu系合金材料を用いることが好ましく、hcp結晶構造のC軸が非磁性基板31に対して垂直に向くように形成することが好ましい。
具体的には、軟磁性下地層32の上に、Niを主成分とする合金(Ni、NiW、NiCr、NiTaなど)の膜を形成し、その上にRu系合金膜を形成する。Ni系合金膜は、Pt系合金、Ta系合金、C系合金に置き換えることもできる。また、Ru系合金としては、SiO、Cr、TiOなどの酸化物を加えたグラニュラー構造の材料を用いることもできる。
第1の磁性層37は、磁気的に独立したドットdからなる構造であり、このドットdは、Coを主成分とし、Cr、Pt、Si、Cr、O、Bのうち何れかを含む磁性材料からなる。具体的には、例えば、CoPt系、CoCrPt系、CoCrPtB系、CoCrPtTa系の磁性層や、CoとPtやPdの積層材料を使うことができる。さらに、これらにSi酸化物や、Ti酸化物、Ta酸化物、Zr酸化物、Al酸化物、Cr酸化物、Mg酸化物、W酸化物、Ru酸化物、Co酸化物等の酸化物材料を1種類以上加えたグラニュラー構造の磁性層も用いることができる。
また、このドットdは、単一の磁区を持った構成とすることが好ましい。このような材料として、上記磁性材料の他、CoPt系やCoPd系のような材料があげられる。この場合、単一の合金膜でもよいし、CoとPtもしくはPdの積層膜でもよい。
また、ノイズの軽減や磁気特性を安定化させる目的で、磁性粒子間に析出し易い添加物(Si、O、N等の添加元素や、Si酸化物、Ti酸化物、Ta酸化物、Zr酸化物、Al酸化物、Cr酸化物、Mg酸化物、W酸化物、Ru酸化物、Co酸化物等の酸化物材料)を多く含ませると、磁性粒子の上下にも添加物の析出が生じてしまい、磁性粒子の結晶性や配向性を損なうため好ましくない。したがって、そのような添加物については、データの読み込み時のノイズを抑えるのに最低限必要な量とするのが望ましい。具体的には、添加物の合計を10モル%以下とすることが好ましい。また、第1の磁性層37にグラニュラー構造の磁性層を用いる場合、磁性粒子間に形成される粒界の厚さは、1nm以下であることが好ましい。
第1の磁性層37の厚みは、3nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上15nm以下とし、より好ましくは5nm以上10nm以下とし、使用する磁性材料の種類に合わせて、十分なヘッド出力が得られるように形成すればよい。また、第1の磁性層37は、再生の際に一定以上の出力を得るのにある程度以上の層厚(膜厚が必要であり、一方で記録再生特性を表す諸パラメーターは出力の上昇とともに劣化するのが通例であるため、最適な膜厚に設定する必要がある。
第2の磁性層39は、磁気的に独立したドットdからなる構造であり、このドットdは、結晶磁気異方性の高い高Ku磁性材料で構成されていることが好ましい。このような材料としては、FePt系やCoPt系、SmCo系、NdFeB系、TbFeCO系等が挙げられる。これらは単一の合金層としてスパッタ法などで形成してもよいし、FeとPt、Coなどの薄膜を積層した多層膜であってもよい。また、キュリー温度低下を狙って、Cu、Ag、Niの中から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を添加することができる。その他、ノイズ低減のため、Si酸化物や、Ti酸化物、Ta酸化物、Zr酸化物、Al酸化物、Cr酸化物、Mg酸化物、W酸化物、Ru酸化物、Co酸化物等の酸化物材料の他、カーボン等を添加することで、第2の磁性層39をグラニュラー構造とすることができる。また、このドットdは、単一の磁区を持った構成とすることが好ましい。
また、ノイズの軽減や磁気特性を安定化させる目的で、磁性粒子間に析出し易い添加物(Si、O、N等の添加元素や、Si酸化物、Ti酸化物、Ta酸化物、Zr酸化物、Al酸化物、Cr酸化物、Mg酸化物、W酸化物、Ru酸化物、Co酸化物等の酸化物材料)を多く含ませると、磁性粒子の上下にも添加物の析出が生じてしまい、磁性粒子の結晶性や配向性損なわれるため好ましくない。したがって、そのような添加物については、データの読み込み時のノイズを抑えるのに最低限必要な量とするのが望ましい。具体的には、添加物の合計を10原子%以下とすることが好ましい。また、第1の磁性層37にグラニュラー構造の磁性層を用いる場合、磁性粒子間に形成される粒界の厚さは、1nm以下であることが好ましい。
第2の磁性層39の厚みは、3nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上15nm以下とし、より好ましくは5nm以上10nm以下とし、使用する磁性材料の種類に合わせて、十分なヘッド出力が得られるように形成すればよい。また、第2の磁性層39は、再生の際に一定以上の出力を得るためにある程度以上の膜厚を有することが必要であり、一方で記録再生特性を表す諸パラメーターは出力の上昇とともに劣化するのが通例であるため、最適な膜厚に設定する必要がある。
第2の磁性層39としては、FePt系では、50Fe−50Ptや45Fe−45Pt−10Cuや45Fe−45Pt−10C、95(50Fe−50Pt)−5(TiO)などが、またoPt系合金としては、80Co−20Pt、75Co−25Pt、75Co−20Pt−5Cなどを好適に用いることができる。
第2の磁性層39を成膜した後、熱処理(アニール)により結晶性を高める処理を行うことも有効であり、例えば、真空雰囲気下で300℃以上で、15分〜4時間の条件でアニールを行うことが好ましい。また、アニール温度は、材料毎に適切な温度を設定すればよく、例えばCoPt合金では400℃以上、FePt系合金では500℃以上とすることが好ましい。若しくは、予め上記温度以上に加熱した基板上に成膜する方法を用いれば、成膜後のアニールと同じく結晶の規則性を高めた第2の磁性層39を得ることができる。
非磁性層38は、第1の磁性層37と第2の磁性層39との磁気結合を遮断する役割と、第2の磁性層39に熱アシスト方式で情報を記録する際に、一時的に保持力を下げるために使うレーザー光照射で生じる熱が第1の磁性層37に及ばないようにする断熱の役割とを有している。非磁性層38としては、第2の磁性層39を冷却するヒートシンク層、第2の磁性層39の配向を制御する配向制御層、粒径を制御する粒径制御層などを設けることができる。一方、第2の磁性層39にマイクロ波アシスト記録を用いて情報を記録する場合には、非磁性層38による断熱効果は必ずしも必要ではない。
熱アシスト記録方式では、記録時に加熱された磁性層の冷却速度が遅いと、磁化遷移幅が広がりSNRが劣化するため、第2の磁性層39は速やかに冷却される必要がある。このため、第1の磁性層37と第2の磁性層39との間の非磁性層38中には、熱伝導率の高い材料からなるヒートシンク層を設けることが望ましい。このヒートシンク層としては、例えば、W、Cu、Ag、Al、Au、若しくはこれらの元素を主成分とする合金などを用いることができる。
また、本発明を適用した磁気記録媒体には、第1の磁性層37と第2の磁性層39との間に、上記ヒートシンク層以外にも、配向制御や粒径制御などを目的とした複数の下地層を設けてもよい。
第2の磁性層39として、L1構造を有するFePt合金を用いる場合、垂直方向の高いHcを実現するため、このFePt合金は(001)配向をとっていることが望ましい。このため、上記W、Cu、Ag又はAlを主成分として含むヒートシンク層の結晶相は、FCC(100)配向をとっていることが好ましい。(100)配向したヒートシンク層にL1−FePtを形成することにより、エピタキシャル成長によってL1−FePtは、(001)配向をとることになる。
また、ヒートシンク層に(100)配向をとらせるため、ヒートシンク層の前に、例えばMgO層等の配向制御層を設けることができる。例えば、非磁性基板31としてガラス基板上に形成したMgOは、(100)配向をとるため、その上に形成されたヒートシンク層に(100)配向をとらせることができる。
また、第1の磁性層37を形成した後、300℃程度に加熱し、配向制御層として、Crや、CrTi、CrW、CrMo、CrRu等のBCC構造のCr合金を形成し、その上にヒートシンク層を形成してもよい。この場合、BCC構造のCr又はその合金が(100)配向をとるため、その上に形成されたヒートシンク層に(100)配向をとらせることができる。
但し、Cuは、AgやAlに比べて格子定数が小さいため、Cu(100)面とMgO(100)面、又はCr(100)面との格子ミスフィットが大きい。したがって、この格子ミスフィットを低減するために、Cuに原子半径の大きなAl、Au、Mo、W、Ti、Zr等の元素を添加してもよい。また、格子ミスフィットを低減するために、Cuヒートシンク層とMgO層等の配向制御層との間に、格子定数がCuよりも大きく、且つ、MgOより小さいPt等をミスフィット緩和層として導入してもよい。
記録磁性層34が有する磁気記録パターン34aは、隣接するドットと磁気的に分離されてなり、第1の磁性層37、非磁性層38及び第2の磁性層39を積層方向に貫いた状態でドット状に設けられている。また、上記のようなパターンドットを磁気的に分離し、且つ、平滑な媒体表面を維持するには、ドット間に非磁性材料40を充填することが好ましい。
なお、本発明における磁気記録パターンとは、磁気記録データが1ビットごとに一定の規則性をもって配置されたパターン及び1ビットが多数の磁気ドットで構成されたパターンであり、その中にサーボ信号として機能するデータを含んでもよい。例えば、ビットパターン型とは、このような磁気記録データを、磁気的に分離された個々のエリアに1ビットずつ記録するものである。また、ディスクリートトラック型とは、円周状に形成され、半径方向に隣接するエリアとは磁気的に分離された弧状エリアに幾つかのビット列を連続で記録するものである。また、パターンド媒体とは、上記ビットパタ−ン型やディスクリートトラック型など、磁気的に分離したエリアで形成された磁性層を有する磁気記録媒体である。
また、本発明における磁気記録パターンは、上述した記録磁性層34の一部が非磁性材料40により完全に分離された状態に限らず、例えば、第2の磁性層39のみを磁気的に分離したものであってもよい。この場合、記録磁性層34が表面側から見て分離されていれば、記録磁性層34の底部において分離されていなくとも、本発明の目的を達成することが可能であり、本発明の磁気的に分離された磁気記録パターンの概念に含まれる。
また、本発明では、マスク層を用いて記録磁性層34を当該マスク層に対応した形状にパターニングすることによって、磁気記録パターン34aを形成してもよい。
この場合、記録磁性層34のマスク層で覆われていない部分を表面からドライエッチングで除去する方法や、イオン注入を行い当該箇所の磁性を消磁する方法などを用いることができる。
例えば、ドライエッチングの場合、パターン加工したマスク層の上から、ArやCOなどのイオンビームにより記録磁性層34のマスク層に覆われていない部分をエッチング除去する。
また、本発明では、記録磁性層34をエッチング加工した後に、記録磁性層34の表面に形成された凹凸の間に非磁性材料40を埋め込み、その後、記録磁性層34に形成された凸表面の高さより上にある余分な非磁性材料40をマスク層と共に除去することも可能である。
この場合、非磁性材料40としては、C又は樹脂膜、若しくはNi、Fe、Co、Crの中から選ばれる少なくとも1種の金属又は複数種を含む合金からなる非磁性材料を用いることが好ましい。また、合金には、例えば、CrNi、CoCr、CrFe、CNi、CCo、CFe、CCrなどを好適に用いることができる。また、この場合の非磁性材料40は、マスク層の厚さよりも厚く形成する必要はなく、表面に凹凸を残した状態でもかまわない。
余分な非磁性材料40の除去は、ArやCO、N、Oといったイオンビームによるエッチバックや、CMP(化学的機械研磨)法により行うことができる。
また、イオン注入の場合、パターン加工したマスク層の上から、PやN 、N、C、He、Ne、Ar、Kr、Xe、As、F、Si、Bなどのイオンを注入する。これにより、第1の磁性層37及び第2の磁性層39のイオン注入された箇所の結晶構造が乱れる、或いはこれらの磁性層37,39に含まれるCo、Fe、Niなどと反応して非磁性組織となることで、マスク層に覆われていない第1の磁性層37及び第2の磁性層39の磁化を消磁させることができ、この消磁化した部分が非磁性材料40と同等の機能を有する。
イオン注入でパターニングした場合には、イオン注入によって記録磁性層34にエッチングが生じないか、或いは、エッチングが生じる場合でも5nm以下の深さになるようにイオン注入の条件を調整することが好ましい。これにより、マスク層を剥離した後の平坦化処理が不要となる。一方で5nmを超えるエッチングを伴うイオン注入の場合には、エッチング法と同じく非磁性材料40による埋め込みが別途必要となる。
保護層35には、磁気記録媒体において通常使用される材料を用いればよく、そのような材料として、例えば、炭素(C)、水素化炭素、窒素化炭素(CN)、アルモファスカーボン、炭化珪素(SiC)等の炭素質材料や、SiO、Zr、TiNなどを挙げることができる。また、保護層35は、2層以上積層したものであってもよい。保護層35の厚みは、10nmを越えると、磁気ヘッドと記録磁性層34との距離が大きくなり、十分な入出力特性が得られなくなるため、10nm未満とすることが好ましい。
潤滑膜36は、例えば、フッ素系潤滑剤や、炭化水素系潤滑剤、これらの混合物等からなる潤滑剤を保護層35上に塗布することにより形成することができる。また、潤滑膜36の膜厚は、通常は1〜4nm程度である。
以上のように、本発明を適用した磁気記録媒体では、第1の磁性層37が3000≦Hc[Oe]≦6000、0.1≦Mrt[memu/cm]≦0.2の特性を有し、第2の磁性層39が12000≦Hc[Oe]、0.03≦Mrt[memu/cm]≦0.09の特性を有している。
これにより、従来の磁気的な方式により第1の磁性層37のみに記録を行い、熱アシスト記録を用い第2の磁性層39のみに記録を行うことにより、それぞれ別々に情報の記録を行うことができる。これにより、多値による記録再生を行うことができる。
また、本発明を適用した磁気記録媒体では、記録磁性層34が磁気的に立したドットからなっており、個々のドットの内部に第1の磁性層37と第2の磁性層39とが形成されていることから、それぞれの磁性層37,39に異なるタイミングで個々にデータを書き込んだとしても、データを読み出す際に、書き込み時の誤差による第1の磁性層37からの信号と、第2の磁性層39からの信号とのズレを抑制できる。
データを再生する際は、従来同様にTMR素子若しくはGMR素子を用いた再生ヘッドを用いて、第1の磁性層37及び第2の磁性層39に記録されたデータの合成信号を読み出す。このとき、第1の磁性層37からの信号強度と、第2の磁性層39からの信号強度とが異なるため、合成信号の信号強度の違いから、第1の磁性層37と第2の磁性層39とにそれぞれ記録されたデータの組み合せを判断し、それぞれのデータを信号処理により容易に分離することできる。
(磁気記録再生装置)
次に、本発明を適用した磁気記録再生装置(HDD)について説明する。
本発明を適用した磁気記録再生装置は、図5に示すように、上記本発明を適用した磁気記録媒体301と、磁気記録媒体301を回転させるための媒体駆動部302と、磁気記録媒体301に対して記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッド303と、磁気ヘッド303を磁気記録媒体301に対して相対移動させるためのヘッド駆動部304と、磁気ヘッド303への信号入力と磁気ヘッド303からの出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理系305とから概略構成される。
また、上記磁気記録再生装置に組み込んだ磁気ヘッド303の構造を図6に模式的に示す。この磁気ヘッド303は、主磁極401と、補助磁極402と、磁界を発生させるためのコイル403と、レーザーダイオード(LD)404と、LDから発生したレーザー光Lを近接場発生素子405まで伝達するための導波路406とを備える記録ヘッド407と、一対のシールド408で挟み込まれたTMR素子等の再生素子409とを備える再生ヘッド410とから概略構成されている。
そして、この磁気記録再生装置では、磁気ヘッド303の近接場発生素子405から発生した近接場光を磁気記録媒体301に照射し、その表面を局所的に加熱して磁性層の保磁力を一時的にヘッド磁界以下まで低下させて書き込みを行う。
また、この磁気記録再生装置では、上記ビットパターン型の磁気記録媒体301を用いることにより、この磁気記録媒体301に磁気記録を行う際、1ドットにつき1ビットのデータを書き込むため、高い面密度でも安定してデータを記録することが可能である。また、ドット径をより小さく、ドットピッチをより狭くすることで、より高密度の記録が可能となる。
すなわち、上記ビットパターン型の磁気記録媒体301を用いることで記録密度の高い磁気記録再生装置を構成することが可能となる。また、上記ビットパターン型の磁気記録媒体301の記録ビットを磁気的に孤立したドットに加工したことによって、従来はノイズ源となり、線記録密度を向上する妨げとなっていたドット間の磁化遷移領域の影響を排除することができ、よりSN比の高い再生信号を取り出すことができる。また、同様に個々のトラックも磁気的に孤立しているため、隣り合うトラック間の磁化遷移領域の影響を排除することができ、密度で記録を行う場合においても十分な再生出力と高いSNRを得ることができるようになる。
さらに、再生ヘッド410をGMRヘッド又はTMRヘッドで構成することにより、高密度で記録を行う場合においても十分な信号強度を得ることができ、高密度の記録が可能な磁気記録再生装置を実現することができる。また、この磁気ヘッド303の浮上量を0.003μm〜0.010μmの範囲内とし、従来より低い高さで浮上させることで、出力が向上して高い装置SNRが得られ、大容量で高信頼性の磁気記録再生装置を提供することができる。
さらに、最尤復号法による信号処理回路を組み合わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック密度400kトラック/インチ以上、線記録密度2000kビット/インチ以上、1平方インチ当たり800Gビット以上の記録密度で記録・再生する場合にも十分なSNRが得られる。
なお、本発明を適用した磁気記録媒体は、熱アシスト記録に限ったものではない。例えば、ヘッドに搭載された高周波発生素子から発生した高周波(例えばマイクロ波)を印加することにより記録する高周波アシスト磁気記録媒体として使用することもできる。この高周波アシスト記録の場合は、高周波印加により磁性層の反転磁界を大幅に低減できるため、熱アシスト記録の場合と同様に、熱安定性に優れた高Ku媒体を用いることが可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
[第1の実施例]
先ず、第1の実施例として、表1に示す実施例1〜8の磁気記録媒体及び比較例1,2の磁気記録媒体について説明する。
Figure 0006076214
(実施例1)
実施例1では、先ず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容した。続いて、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を減圧排気した後、チャンバ内を0.8PaになるようにArガスを導入し、このガラス基板の上に、50Cr−50Ti{Cr含有量50原子%、Ti含有量50原子%}ターゲットを用いて、層厚20nmの密着層を成膜した。ここで使用したガラス基板は、外径が65mm、内径が20mm、平均表面粗さ(Ra)が0.2nmであった。
次に、DCスパッタリング法を用いて、軟磁性層として厚さ30nmの57Fe−30Co−13B{Fe含有量57原子%、Co含有量30原子%、B含有量13原子%}膜、厚さ0.6nmのRu膜、厚さ30nmの57Fe−30Co−13B{Fe含有量57原子%、Co含有量30原子%、B含有量13原子%}膜をこの順で積層した。その後、中間層として厚さ5nmの95Ni−5W{Ni含有量95原子%、W含有量5原子%}膜、厚さ10nmのRu膜、さらにチャンバ内の圧力を8.0Paとして厚さ10nmのRu膜の順で積層した。その後、チャンバ内の圧力を0.8PaになるようにArガスを調整し、第1の磁性層として厚さ10nmの(80Co−20Pt)95−(SiO)5{Co含有量80原子%、Pt含有量20原子%からなる合金95モル%、SiOからなる酸化物5モル%}膜を積層した。この段階で保磁力を測定したところ、保磁力5200Oe、残留磁化0.15memu/cmであった。
次に、DCスパッタリング法を用いて、チャンバ内0.8PaになるようにArガスの量や圧力等を調整し、非磁性層として、厚さ2nmのSiO膜と、ヒートシンク層としての層厚3nmのAu膜を積層した後、RFスパッタリング法により第2の磁性層の配向を制御する配向制御層として厚さ5nmのMgO膜をこの順で積層した。
次に、ランプヒーターを用いて、550℃になるまで基板を加熱した後、速やかにDCスパッタリング法により、第2の磁性層として膜厚5nmの45Fe−45Pt−10C{Fe含有量45原子%、Pt含有量45原子%、C含有量10原子%}膜を積層した。この段階で保磁力を測定したところ、途中に段のあるヒステリシスループが得られた。このループから第1の磁性層のループを差し引いたところ、第2の磁性層の保磁力として17500Oe、残留磁化0.042memu/cmが得られた。
次に、この上にマスク層としてのC膜を20nm、Si膜を5nmの順で、DCスパッタリング法により形成した。この状態でX線測定をしたところ、Ru(001)、CoPt(001)、MgO(200)の各ピークが観測された。さらに、FePt(001)とFePt(200)のピークが観測された。前者はL1由来のピークであり、後者はFCC由来のピークである。後者に対する前者のピーク強度比は1.8であり、第2の磁性層である50Fe−50Pt層がL1構造を取っていることが確認できた。
次に、この上に、レジストをスピンコート法により塗布し、層厚40nmのレジスト層を形成した。なお、レジストには、エポキシ系紫外線硬化樹脂を用いた。そして、所望の磁気記録パターンに対応したポジパターンを有するガラス製のスタンプを用いて、このスタンプを1MPa(約10kgf/cm)の圧力でレジスト層に押し付けた状態で、波長365nmの紫外線を、紫外線の透過率が95%以上であるガラス製のスタンプの上部から10秒間照射し、レジスト層を硬化させた。その後、スタンプをレジスト層から分離し、レジスト層に磁気記録パターンに対応した凹凸パターンを転写した。
なお、レジスト層に転写した凹凸パターンは、1平方インチあたり2テラビット(Tbpsi)の磁気記録パターンに対応しており、データ領域の凸部が直径10nmの円筒(ドット)状、円周方向に隣り合う凸部同士の間隔は17.96nm、円周に沿った等間隔配置によりトラックを形成していた。また、途中トラックを横切るように、256本のサーボ領域を設けてあった。レジスト層の層厚は凸部分で35nm、凹部分で約5nmであった。
次に、レジスト層の凹部の箇所とその下のシリコン膜をドライエッチングにより除去した。ドライエッチングの条件は、CFガスを40sccm、圧力を0.3Pa、高周波プラズマ電力を300W、RFバイアスを10W、エッチング時間を15秒とした。その後、シリコン膜に空いた開口部を通して、カーボン膜をドライエッチングにより除去した。ドライエッチングの条件は、Oガスを40sccm、圧力を0.5Pa、高周波プラズマ電力を200W、RFバイアスを50W、エッチング時間を40秒とした。
次に、記録磁性層でマスク層に覆われていない箇所をイオンビームで加工した。イオンビームの条件は、Arガスを5sccm、圧力を0.05Pa、高周波プラズマ電力を200W、加速電圧を1000V、引出し電圧を−500V、加工時間を80秒とした。
次に、マスク層のエッチング加工を行った。加工条件はガス化したメタノールを40sccm、圧力を0.5Pa、高周波プラズマ電力を600W、直流バイアスを150V、エッチング時間を30秒とした。その結果、凸部の磁性層表面が表出し、炭素膜とシリコン膜およびレジスト膜は、除去されていた。凹凸の高さをAFMにより測定したところ、27nmであった。これにより、第2の磁性層から第1の磁性層までを加工し、さらに中間層のRu層の一部までをエッチングしたこと確認できた。
次に、加工後の表面に非磁性層として50Cr−50Ti{Cr含有量50原子%、Ti含有量50原子%}膜を50nm成膜し、その後、イオンビームを用いた平坦化加工により、凸部の記録磁性層を表出させた。イオンビームは、Arガスを30sccm、圧力を2.0Pa、高周波プラズマ電力を300W、加速電圧を300V、引出し電圧を−300Vとした。SIMSによりCoのピークをモニターすることで終点検出を行い、凸部記録磁性層が表出したところで停止した。時間は120秒を要した。このときの平均表面粗さ(Ra)は、別途原子力顕微鏡(AFM)を用いて測定したところ、0.4nm(1μm角視野)であった。
次に、CVD法にてDLC膜を厚さ4nm形成し、潤滑剤を2nm塗布することによって、実施例1の磁気記録媒体を作製した。
以上の方法で作製された実施例1の磁気記録媒体について電磁変換特性の評価試験を行った。具体的に、電磁変換特性の評価試験は、スピンスタンドを用いて実施した。評価用ヘッドは、主磁極、補助磁極、磁界を発生させるためのコイル、レーザーダイオード、近接場発生素子、レーザーダイオードから近接場光発生素子まで光を導く導波路から構成された記録素子部、及びシールドで挟まれた再生素子から構成される再生素子部からなる。
第1の磁性層の記録は、主磁極から第1の磁性層のダイナミック保磁力よりも高く、第2の磁性層のダイナミック保磁力よりも低い磁界を発生させることで行った。一方、第2の磁性層の記録は、近接場発生素子から発生した近接場光により第2の磁性層を加熱し、第2の磁性層のダイナミック保磁力を第1の磁性層よりも低下させ、第1の磁性層のダイナミック保磁力よりも低い磁界を発生させることで行った。再生は、再生素子部(TuMR薄膜)を用いて行った。
磁気記録媒体には、事前に基板の上下に磁石を有した専用のイレーズ装置を用いて、基板の垂直方向に磁場を印加し、DCイレーズを行った。この磁気記録媒体を毎分7200回転で回転させ、評価用ヘッドを用いて位置決めが正しくできることを確認した。
その後、データ領域の信号を読み出し、オシロスコープを用いてフーリエ変換したところ、半径20mmにおいて839.2MHzにピークが得られた。これは、ドット間隔17.96nmに相当する周波数であり、パターンが正しく2Tbpsiの記録密度に相当することがわかった。
この周波数に合せて、周波数の異なる2種類の記録/再生テストを行い、それぞれの信号を記録したときのビットエラーレートを測定した。最初は、DCイレーズ状態の磁気記録媒体上に、主磁極のみを使い主磁極からの磁界が媒体表面で6500Oeになるように839.2MHzで高周波信号の書き込みを行った。次に、近接場光を併用し主磁極で発生した磁界が媒体表面で2500Oeになるように139.9MHzで低周波信号の書き込みを行った。
読み出した合成波信号をフーリエ変換したところ、839.2MHzと139.9MHzの2つのピークが得られた。これにより、第1の磁性層と第2の磁性層とのそれぞれに独立したデータが記録されていることがわかった。この合成波信号について周波数の分離処理を行い、それぞれのビットエラーレートを算出したところ、839.2MHzで10 −6.9 、139.9MHzで10 −7.0 であった。
次に、同じ磁気記録媒体にDCイレーズを施し、今度は近接場光を併用し主磁極からの磁界が媒体表面で2500Oeになるように839.2MHzの高周波信号書き込みを行った。次に、主磁極のみを使い主磁極からの磁界が媒体表面で6500Oeになるように139.9MHzの低周波信号の書き込みを行った。
読み出した合成波信号をフーリエ変換したところ、839.2MHzと139.9MHzの2つのピークが得られた。これにより、第1の磁性層と第2の磁性層とのそれぞれに独立したデータが記録されていることがわかった。この合成波信号を周波数の分離処理を行い、それぞれのビットエラーレートを算出したところ、839.2MHzで10 −6.9 、139.9MHzで10 −7.1 であった。
以上のように、実施例1の磁気記録媒体では、第1の磁性層と第2の磁性層に別々のデータを記録することで、単位面積当たり倍の密度でデータを記録することが可能である。
(実施例2〜実施例8)
実施例2〜実施例8では、第1の磁性層及び第2の磁性層の材料を表1中に示す材料及び膜厚とし、それに合わせてイオンビームの加工時間を調整した以外は、実施例1と同様に磁気記録媒体を作製した。
そして、これら実施例2〜実施例8の磁気記録媒体について、実施例1と同様に電磁変換特性の評価試験を行った。これら実施例2〜実施例8の磁気記録媒体における評価結果を表1にまとめて示す。
(比較例1)
比較例1では、先ず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を減圧排気した後、チャンバ内を0.8PaになるようにArガスを導入し、このガラス基板の上に、50Cr−50Ti{Cr含有量50原子%、Ti含有量50原子%}ターゲットを用いて、層厚10nmの密着層を成膜した。ここで使用したガラス基板は、外径が65mm、内径が20mm、平均表面粗さ(Ra)が0.2nmであった。
次に、DCスパッタリング法を用いて、軟磁性層として厚さ30nmの57Fe−30Co−13B{Fe含有量57原子%、Co含有量30原子%、B含有量13原子%}膜、厚さ0.4nmのRu膜、厚さ30nmの57Fe−30Co−13B{Fe含有量57原子%、Co含有量30原子%、B含有量13原子%}膜をこの順で積層した。その後、中間層として厚さ5nmの95Ni−5W{Ni含有量95原子%、W含有量5原子%}膜、厚さ10nmのRu膜、さらにチャンバ内の圧力を8.0Paとして厚さ10nmのRu膜の順で積層した。その後、チャンバ内の圧力を0.8PaになるようにArガスを調整し、第1の磁性層として厚さ10nmの(80Co−20Pt)95−(SiO)5{Co含有量80原子%、Pt含有量20原子%からなる合金95モル%、SiOからなる酸化物5モル%}膜を積層した。この段階で保磁力を測定したところ、保磁力5200Oe、残留磁化0.15memu/cmであった。
次に、DCスパッタリング法を用いて、チャンバ内を0.8PaになるようにArガスの量や圧力等を調整し、非磁性層として、厚さ2nmのSiO膜と、ヒートシンク層としての厚さ3nmのAu膜を積層し、次にRFスパッタリング法により第2の磁性層の配向制御層として厚さ5nmのMgO膜をこの順で積層した。
次に、ランプヒーターを用いて、550℃になるまで基板を加熱した後、速やかにDCスパッタリング法により、第2の磁性層として膜厚5nmの(50原子%Fe−50原子%Pt)90モル%−10モル%Cを積層した。この段階で保磁力を測定したところ、途中に段のあるヒステリシスループが得られた。このループから第1の磁性層のループを差し引いたところ、第2の磁性層の保磁力として17500Oe、残留磁化0.042memu/cmが得られた。
次に、CVD法にてDLC膜を厚さ4nm形成し、潤滑剤を2nm塗布することによって、比較例1の磁気記録媒体を作製した。
以上の方法で作製された比較例1の磁気記録媒体について電磁変換特性の評価試験を行った。具体的に、電磁変換特性の評価試験は、スピンスタンドを用いて実施した。評価用ヘッドは、主磁極、補助磁極、磁界を発生させるためのコイル、レーザーダイオード、近接場発生素子、レーザーダイオードから近接場光発生素子まで光を導く導波路から構成された記録素子部、及びシールドで挟まれた再生素子から構成される再生素子部からなる。
第1の磁性層の記録は、主磁極から第1の磁性層のダイナミック保磁力よりも高く、第2の磁性層のダイナミック保磁力よりも低い磁界を発生させることで行った。一方、第2の磁性層の記録は、近接場発生素子から発生した近接場光により第2の磁性層を加熱し、第2の磁性層のダイナミック保磁力を第1の磁性層よりも低下させ、第1の磁性層のダイナミック保磁力よりも低い磁界を発生させることで行った。再生は、再生素子部(TuMR薄膜)を用いて行った。
磁気記録媒体には、事前に基板の上下に磁石を有した専用のイレーズ装置を用いて、基板の垂直方向に磁場を印加し、DCイレーズを行った。この磁気記録媒体を毎分7200回転で回転させ、評価用ヘッドを用いて位置決めが正しくできることを確認した。
その後、データ領域の信号を読み出し、オシロスコープを用いてフーリエ変換したところ、信号は得られなかった。このため、実施例1の磁気記録媒体と同様の手順と周波数で記録/再生テストを行い、それぞれの信号を記録したときのビットエラーレートを測定した。最初は、DCイレーズ状態の磁気記録媒体上に、主磁極のみを使い主磁極からの磁界が媒体表面で6500Oeになるように839.2MHzで高周波信号の書き込みを行った。次に、近接場光を併用し主磁極からの磁界が媒体表面で2500Oeになるように139.9MHzで低周波信号の書き込みを行った。
読み出した合成波信号をフーリエ変換したところ、839.2MHzと139.9MHzの2つのピークが得られたが、それぞれの周波数の周辺に、具体的には、830.0MHz〜850MHzの間と、135.0MHz〜145.0MHzの間で、小さいピークが多数見られた。これにより、第1の磁性層と第の2磁性層とのそれぞれに独立したデータが記録されていることがわかったが、個々のデータビットで書き込み位置にズレが生じていることがわかった。この合成波信号について周波数の分離処理を行い、それぞれのビットエラーレートを算出したところ、839.2MHzで10 −2.4 、139.9MHzで10 −2.9 であった。
次に、同じ磁気記録媒体にDCイレーズを施し、今度は近接場光を併用し主磁極で発生する磁界が媒体表面で2500Oeになるように839.2MHzの高周波信号書き込みを行った。次に、主磁極のみを使い主磁極からの磁界が媒体表面で6500Oeになるように139.9MHzの低周波信号の書き込みを行った。
読み出した合成波信号をフーリエ変換したところ、839.2MHzと139.9MHzの2つのピークが得られたが、それぞれの周波数の周辺に、具体的には830.0MHz〜850MHzの間と、135.0MHz〜145.0MHzとの間で、小さいピークが多数見られた。これにより、第1の磁性層と第2の磁性層とのそれぞれに独立したデータが記録されていることが分かったが、個々のデータビットで書き込み位置にズレが生じていることがわかった。この合成波信号について周波数の分離処理を行い、それぞれのビットエラーレートを算出したところ、839.2MHzで10 −2.9 、139.9MHzで10 −2.5 であった。
(比較例2)
比較例2では、先ず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を減圧排気した後、チャンバ内を0.8PaになるようにArガスを導入し、このガラス基板の上に、50Cr−50Ti{Cr含有量50原子%、Ti含有量50原子%}からなるターゲットを用いて、層厚10nmの密着層を成膜した。ここで使用したガラス基板は、外径が65mm、内径が20mm、平均表面粗さ(Ra)が0.2nmであった。
次に、DCスパッタリング法を用いて、軟磁性層として厚さ30nmの57Fe−30Co−13B{Fe含有量57原子%、Cr含有量30原子%、B含有量13原子%}膜、厚さ0.6nmのRu膜、厚さ30nmの57Fe−30Co−13B{Fe含有量57原子%、Cr含有量30原子%、B含有量13原子%}膜をこの順で積層した。
次に、DCスパッタリング法を用いて、チャンバ内を0.8PaになるようにArガスを調整し、中間層として、厚さ2nmのSiO膜と、ヒートシンク層としての厚さ3nmのAu膜を積層した後、RFスパッタリング法により第2の磁性層の配向制御層として厚さ5nmのMgO膜をこの順で積層した。
次に、ランプヒーターを用いて、550℃になるまで基板を加熱した後、速やかにDCスパッタリング法により、第1の磁性層として膜厚5nmの(50Fe−50Pt)90−C10{Fe含有量50原子%、Pt含有量50原子%からなる合金90モル%、C10モル%}を積層した。この段階で保磁力を測定したところ、保磁力17500Oe、残留磁化0.042memu/cmであった。
その後、基板温度を100℃まで冷却したあと、チャンバ内の圧力を0.8Paに調整し、非磁性層として厚さ5nmの95Ni−5W{Ni含有量95原子%、W含有量5原子%}膜、厚さ10nmのRu膜、さらにチャンバ内の圧力を8.0Paとして厚さ10nmのRu膜の順で積層した。その後、チャンバ内の圧力を0.8PaになるようにArガスの量や圧力等を調整し、第2の磁性層として厚さ10nmの(80Co−20Pt)95−(SiO)5{Co含有量80原子%、Pt含油量の20原子%からなる合金95モル%、SiOからなる酸化物5モル%}膜を積層した。
この段階で保磁力を測定したところ、途中に段のあるヒステリシスループが得られた。このループから第1の磁性層のループを差し引いたところ、第2の磁性層の保磁力として5200Oe、残留磁化0.15memu/cmが得られた。
次に、この上にマスク層としてのC膜を20nm、Si膜を5nmの順で、DCスパッタリング法により形成した。この状態でX線測定をしたところ、Ru(001)、CoPt(001)、MgO(200)の各ピークが観測された。さらに、FePt(001)とFePt(200)のピークが観測された。前者はL1由来のピークであり、後者はFCC由来のピークである。後者に対する前者のピーク強度比は1.8であり、第2の磁性層である50Fe−50Pt層がL1構造を取っていることが確認できた。
次に、この上に、レジストをスピンコート法により塗布し、層厚40nmのレジスト層を形成した。なお、レジストには、エポキシ系紫外線硬化樹脂を用いた。そして、磁気記録パターンに対応したポジパターンを有するガラス製のスタンプを用いて、このスタンプを1MPa(約10kgf/cm)の圧力でレジスト層に押し付けた状態で、波長365nmの紫外線を、紫外線の透過率が95%以上であるガラス製のスタンプの上部から10秒間照射し、レジスト層を硬化させた。その後、スタンプをレジスト層から分離し、レジスト層に磁気記録パターンに対応した凹凸パターンを転写した。
なお、レジスト層に転写した凹凸パターンは、1平方インチあたり2テラビット(Tbpsi)の磁気記録パターンに対応しており、データ領域の凸部が直径10nmの円筒(ドット)状、円周方向に隣り合う凸部同士の間隔は17.96nm、円周に沿った等間隔配置によりトラックを形成していた。また、途中トラックを横切るように、256本のサーボ領域を設けてあった。レジスト層の層厚は凸部分で35nm、凹部分で約5nmであった。
次に、レジスト層の凹部の箇所とその下のシリコン膜をドライエッチングにより除去した。ドライエッチングの条件は、CFガスを40sccm、圧力を0.3Pa、高周波プラズマ電力を300W、RFバイアスを10W、エッチング時間を15秒とした。その後、シリコン膜に空いた開口部を通して、カーボン膜をドライエッチングにより除去した。ドライエッチングの条件は、Oガスを40sccm、圧力を0.5Pa、高周波プラズマ電力を200W、RFバイアスを50W、エッチング時間を40秒とした。
次に、記録磁性層でマスク層に覆われていない箇所をイオンビームで加工した。イオンビームの条件は、Arガスを5sccm、圧力を0.05Pa、高周波プラズマ電力を200W、加速電圧を1000V、引出し電圧を−500V、加工時間を80秒とした。
次に、マスク層のエッチング加工を行った。加工条件はガス化したメタノールを40sccm、圧力を0.5Pa、高周波プラズマ電力を600W、直流バイアスを150V、エッチング時間を30秒とした。その結果、凸部の磁性層表面が表出し、炭素膜とシリコン膜およびレジスト膜は、除去されていた。凹凸の高さをAFMにより測定したところ、27nmであった。これにより、第2の磁性層から第1の磁性層までを加工し、さらに中間層のRu層の一部までをエッチングしたこと確認できた。
次に、加工後の表面に非磁性層として50Cr−50Ti{Cr含有量50原子%、Ti含有量50原子%}膜を50nm成膜し、その後、イオンビームを用いた平坦化加工により、凸部の記録磁性層を表出させた。イオンビームは、Arガスを30sccm、圧力を2.0Pa、高周波プラズマ電力を300W、加速電圧を300V、引出し電圧を−300Vとした。SIMSによりCoのピークをモニターすることで終点検出を行い、凸部記録磁性層が表出したところで停止した。時間は120秒を要した。このときの平均表面粗さ(Ra)は、別途原子力顕微鏡(AFM)を用いて測定したところ、0.4nm(1μm角視野)であった。
次に、CVD法にてDLC膜を厚さ4nm形成し、潤滑剤を2nm塗布することによって、比較例2の磁気記録媒体を作製した。
以上の方法で作製された比較例2の磁気記録媒体について電磁変換特性の評価試験を行った。具体的に、電磁変換特性の評価試験は、スピンスタンドを用いて実施した。評価用ヘッドは、主磁極、補助磁極、磁界を発生させるためのコイル、レーザーダイオード、近接場発生素子、レーザーダイオードから近接場光発生素子まで光を導く導波路から構成された記録素子部、及びシールドで挟まれた再生素子から構成される再生素子部からなる。
第1の磁性層の記録は、近接場光発生素子から発生した近接場光により表面を加熱し、第1の磁性層の保磁力を低下させ、第2の磁性層のダイナミック保磁力よりも低い磁界を発生させることで行った。一方、第2の磁性層の記録は、主磁極から第2の磁性層のダイナミック保磁力よりも高く、第1の磁性層のダイナミック保磁力よりも低い磁界を発生させることで行った再生は、再生素子部(TuMR薄膜)を用いて行った。
磁気記録媒体には、事前に基板の上下に磁石を有した専用のイレーズ装置を用いて、基板の垂直方向に磁場を印加し、DCイレーズを行った。この磁気記録媒体を毎分7200回転で回転させ、評価用ヘッドを用いて位置決めが正しくできることを確認した。
その後、データ領域の信号を読み出し、オシロスコープを用いてフーリエ変換したところ、信号は得られなかった。このため、実施例1の磁気記録媒体と同様の手順と周波数で記録/再生テストを行い、それぞれの信号を記録したときのビットエラーレートを測定した。最初は、DCイレーズ状態の磁気記録媒体上に、主磁極のみを使い主磁極で発生した磁界が媒体表面で6500Oeになるように839.2MHzで高周波信号の書き込みを行った。次に、近接場光を併用し主磁極からの磁界が媒体表面で2500Oeになるように139.9MHzで低周波信号の書き込みを行った。
読み出した合成波信号をフーリエ変換したところ、839.2MHzのピークのみ得られ、139.9MHzのピークは得られなかった。また、信号の強度から、第1の磁性層の他、第2の磁性層にも839.2MHzの信号が記録されていることが分った。この合成波信号について周波数の分離処理を行い、ビットエラーレートを算出したところ、839.2MHzで10 −4.8 であった。
次に、同じ磁気記録媒体にDCイレーズを施し、今度は近接場光を併用し主磁極で発生した磁界が媒体表面で2500Oeになるように839.2MHzの高周波信号の書き込みを行った。次に、主磁極のみを使い主磁極からの磁界が媒体表面で6500Oeになるように139.9MHzの低周波信号の書き込みを行った。
読み出した合成波信号をフーリエ変換したところ、839.2MHzと139.9MHzの2つのピークが得られた。これにより、第1の磁性層と第2の磁性層とのそれぞれに独立したデータが記録されていることが分かった。ノイズこの合成波信号について周波数の分離処理を行い、それぞれのビットエラーレートを算出したところ、839.2MHzで10 −4.1 、139.9MHzで10 −5.6 であった。
表1に示すように、実施例1と比較例1との比較から、比較例1の磁気記録媒体は、実施例1の磁気記録媒体のように記録磁性層をドット形状に加工していないため、第1の磁性層と第2の磁性層とのそれぞれに書き込まれたデータに位置ずれが生じ、その結果、データの間隔が乱れてしまい、エラーレートが悪化していることがわかる。
また、実施例2,3と実施例13,15との比較から、第1の磁性層の保磁力は3000〜6000Oeの範囲にあることが好ましいことがわかる。すなわち、3000Oe未満の場合は、第2の磁性層に対するデータの書き込み時に、第1の磁性層に対するデータの書き換えが生じてしまい、エラーレートが悪化する。一方、第1の磁性層の保磁力が6000Oeを超える場合は、第2の磁性層の保磁力が低い組み合わせにおいて、第1の磁性層に対する書き込み時に、第2の磁性層に対するデータの書き換えが生じてしまい、エラーレートが悪化する。
また、実施例5,6と実施例9,10との比較から、第1の磁性層の残留磁化は、0.1〜0.2meumu/cmの範囲であることが好ましいことがわかる。すなわち、第1の磁性層の残留磁化が0.1memu/cm未満の場合は、再生出力が小さくなり過ぎて、ノイズ信号との区別がつき難くなるため、エラーレートが悪化する。一方、第1の磁性層の残留磁化が0.2memu/cmを超える場合は、第1の磁性層の再生出力が大きくなり過ぎて、第2の磁性層の信号が判別し難くなるため、エラーレートが悪化する。
また、実施例4と実施例14との比較から、第2の磁性層の保磁力は、12000Oe以上必要であることがわかる。すなわち、第2の磁性層の保磁力が12000Oe未満であると、第1の磁性層に対するデータの書き込み時に、第2の磁性層に対するデータの書き換えが生じてしまい、エラーレートが悪化する。
また、実施例7,8と実施例11,12との比較から、第2の磁性層の残留磁化は、0.03〜0.06memu/cmの範囲が好ましいことがわかる。すなわち、第2の磁性層の残留磁化が0.03memu/cm未満であると、磁性ドットの体積が小さくなり過ぎて、熱的な揺らぎによりデータの消失が生じ、また再生信号が小さくノイズと区別がつき難くなる。一方、0.06memu/cmよりも大きい場合は、近接場光による保磁力低減効果が十分でなく、データを書き込み難くなるため、エラーレートが悪化する。
また、実施例12のように、第1の磁性層と第2の磁性層との残留磁化の大きさが近接するため、それぞれに記録した信号の組み合わせによっては、合成波信号の出力が極端に小さくなり、第1の磁性層からの再生信号と第2の磁性層からの再生信号とを分離した際に、信号(データ)の欠落が生じてしまうことで、エラーレートを悪化させる。例えば、第の1磁性層に+1の信号を、第2の磁性層に−1に対応をする信号を記録した場合、再生信号は残留磁化0.03memu/cmに相当する信号出力しか得られない。
実施例1と比較例2との比較から、第1の磁性層の保磁力が第2の磁性層よりも高い場合には、第1の磁性層にデータを記録する際、第2の磁性層のデータを書き換えてしまい、多層記録に適さないことがわかる。
[第2の実施例]
次に、第2の実施例として、表2に示す実施例1,1627の磁気記録媒体及び比較例の磁気記録媒体について説明する。
Figure 0006076214
(実施例16〜実施例27)
実施例16〜実施例27では、第1の磁性層及び第2の磁性層の材料を表2中に示す材料及び膜厚とし、それに合せてイオンビームエッチングの加工時間を調整した以外は、実施例1と同様に磁気記録媒体を作製した。
そして、これら実施例16〜実施例27の磁気記録媒体について、実施例1と同様に電磁変換特性の評価試験を行った。これら実施例16〜実施例27の磁気記録媒体における評価結果を表2にまとめて示す。また、信号の記録再生評価の結果は、各磁性層でエラーレートが10 −4.0 の場合を独立して記録再生できると判断して“○”を記載し、10 −4.0 を超える場合を独立しての記録再生に耐えないと判断して“×”を記載した。
(比較例3〜比較例6)
比較例3〜比較例6では、第1の磁性層及び第2の磁性層の材料を表2中に示す材料及び膜厚とし、それに合せてイオンビームエッチングの加工時間を調整した以外は、実施例1と同様に磁気記録媒体を作製した。
そして、これら比較例3〜比較例6の磁気記録媒体について、実施例1と同様に電磁変換特性の評価試験を行った。これら比較例3〜比較例6の磁気記録媒体における評価結果を表2にまとめて示す。また、信号の記録再生評価の結果は、各磁性層でエラーレートが10 −4.0 の場合を独立して記録再生できると判断して“○”を記載し、10の −4.0 を超える場合を独立しての記録再生に耐えないと判断して“×”を記載した。
表2に示すように、第1の磁性層には、Coを主成分とし、Cr、Pt、Si、Cr、O、Bのうち何れか1つ又は複数を含む磁性材料が適していることがわかる。また、第2の磁性層には、Fe及びPt、Co及びPt、Co及びPdのうち何れかを含む磁性材料が適していることがわかる。
また、実施例1、16〜27から、第1の磁性層及び第2の磁性層と共に、磁性粒子間に析出し易い添加物(Si、O、N等の添加元素や、Si酸化物、Ti酸化物、Ta酸化物、Zr酸化物、Al酸化物、Cr酸化物、Mg酸化物、W酸化物、Ru酸化物、Co酸化物等の酸化物材料)を含む材料を使うことができることがわかる。
M1…第1の磁性層 M2…第2の磁性層 N…非磁性層 W…記録用の磁気ヘッド R…再生用の磁気ヘッド d…ドット(磁気的に分離されたパターン)
30…磁気記録媒体 31…非磁性基板 32…軟磁性下地層 33…非磁性中間層 34…記録磁性層 34a…磁気記録パターン 35…保護層 36…潤滑膜 37…第1の磁性層 38…非磁性層 39…第2の磁性層 40…非磁性材料
301…磁気記録媒体 302…媒体駆動部 303…磁気ヘッド 304…ヘッド駆動部 305…記録再生信号処理系
401…主磁極 402…補助磁極 403…コイル 404…レーザーダイオード(LD) 405…近接場光発生素子 406…導波路 407…記録ヘッド 408…シールド 409…再生素子 410…再生ヘッド L…レーザー光

Claims (10)

  1. 非磁性基板の上に少なくとも、軟磁性下地層と、非磁性中間層と、記録磁性層とを順次積層した構造を有し、
    前記記録磁性層は、前記非磁性基板側から順に、第1の磁性層と、非磁性層と、第2の磁性層とを含み、前記非磁性層を間に挟んで前記第1の磁性層と前記第2の磁性層とが磁気的に分離された構造を有すると共に、磁気的に互いに分離された複数のパターンで構成され
    なお且つ、前記第2の磁性層の保磁力(Hc)が前記第1の磁性層のそれよりも高く、前記第2の磁性層を加熱したときに一時的に前記第2の磁性層の保磁力(Hc)が前記第1の磁性層のそれよりも低くなることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記第2の磁性層の単位面積当たりの残留磁化と厚との積(Mrt)が前記第1の磁性層のそれよりも低いことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記第1の磁性層は、3000≦Hc[Oe]≦6000、0.1≦Mrt[memu/cm]≦0.2を満足し、
    前記第2の磁性層は、12000≦Hc[Oe]、0.03≦Mrt[memu/cm]≦0.06を満足する範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記記録磁性層は、非磁性材料を間に挟んで磁気的に分離されたパターンを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記記録磁性層が有するパターンは、前記第1の磁性層、前記中間層及び前記第2の磁性層を積層方向に貫いた状態で設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記第1の磁性層は、Coを主成分とし、Cr、Pt、Si、Cr、O、Bのうち何れかを含む磁性材料からなり、
    前記第2の磁性層は、Fe及びPt、Co及びPt、Co及びPdのうち何れかを含む磁性材料からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、
    前記磁気記録媒体を加熱する加熱手段と、前記磁気記録媒体に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッドと、
    前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対移動させるヘッド動部と、
    前記磁気ヘッドへの信号入力と前記磁気ヘッドから出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理系とを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
  8. 請求項1〜6の何れか一項に記載の磁気記録媒体に対して情報の書き込みを行う磁気記録方法であって、
    記録用の磁気ヘッドを用いて、前記第1の磁性層の保磁力よりも高く且つ前記第2の磁性層の保磁力よりも低い磁界を印加しながら、前記第1の磁性層に対する情報の書き込みを行う一方、
    加熱手段が設けられた記録用の磁気ヘッドを用いて、前記第2の磁性層を加熱して一時的に前記第2の磁性層の保磁力Hcを前記第1の磁性層のよりも低下させた状態で、前記第1の磁性層の保磁力よりも低く且つ前記第2の磁性層の保磁力よりも高い磁界を印加しながら、前記第2の磁性層に対する情報の書き込みを行うことを特徴とする磁気記録方法。
  9. 前記加熱手段は、前記第2の磁性層に対してマイクロ波又はレーザー光を照射することを特徴とする請求項8記載に記載の磁気記録方法。
  10. 請求項8又は9に記載の磁気記録方法により情報が記録された磁気記録媒体に対して情報の読み出しを行う磁気再生方法であって、
    再生用の磁気ヘッドを用いて、前記第1の磁性層及び前記第2の磁性層からの磁界を検出し、検出された磁界の総和の違いに基づいて、前記第1の磁性層に記録された情報と、前記第2の磁性層に記録された情報とを、それぞれ別々に読み出すことを特徴とする磁気再生方法。
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