JP2011054254A - 磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非磁性基板1に、磁性層2と、炭素により構成される炭素マスク層3と、Si、SiO2、Taのいずれかを主として構成される膜厚0.5nm〜2nmの薄膜10と、レジスト層4とを順次積層して、前記レジスト層4に前記磁気記録パターンを転写する工程と、前記レジスト層4をマスクにして前記炭素マスク層3を酸素を用いたイオンエッチングによりパターニングする工程と、前記レジスト層4と前記薄膜10及び前記炭素マスク層3を除去する工程を有することを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法を採用する。
【選択図】図1
Description
置の適用範囲は著しく増大し、その重要性は増してきている。また、それに伴い、これらの装置に用いられる磁気記録媒体については、記録密度の著しい向上が図られつつある。特にMR(magnet resistive)ヘッドおよびPRML技術の導入以来、面記録密度の向上は激しさを増してきており、近年ではGMR(giant magnet resistive)ヘッド、TMR(tunneling magnet resistive)ヘッドなどが導入されたこともあり、1年に約1.5倍ものペースで面記録密度が増加している。これらの磁気記録媒体については、今後も更に高記録密度を達成させることが要求されており、そのために磁性層の高保磁力化と高信号対雑音比(SNR)、及び、高分解能を達成することが要求されている。
一方、トラックサーボ技術を高めることと併せて、隣接トラックからの影響をできるだけ排除するために、記録と再生の実行幅を変える方法も広く一般的に用いられている。つまり、記録については幅広く実行し、再生については記録時よりも狭く実行するという方法である。
そこで、これら熱揺らぎの問題解決やSNRの確保、あるいは十分な出力の確保を達成する方法の一つとして、記録媒体表面にトラックに沿った凹凸を形成して記録トラック同士を物理的に分離することで、トラック密度を上げようとする試みがなされている。このような技術を以下にディスクリートトラック法、それによって製造された磁気記録媒体をディスクリートトラック媒体と呼ぶ。
この磁気記録媒体は、表面に複数の凸凹のある基板の表面に、軟磁性層を介した強磁性層が形成され、その表面に保護膜が形成されている。また、磁気記録媒体の凸部領域には、周囲と物理的に分断された磁気記録領域が形成されている。
また、この磁気記録媒体は、軟磁性層での磁壁発生を抑制できるため、熱揺らぎの影響が出にくく、隣接する信号間の干渉も発生しない。そのため、ノイズの少ない高密度磁気記録媒体であるとされている。
さらに、磁性層をイオンミリング加工するためのマスクに炭素を用いるという方法も開示されている(特許文献5)。
磁性層のパターン形状の精度を低下させる主な原因としては、磁性層の磁気的分離パターン形状を形成する際の、マスク層として用いられる炭素マスク層の形状不良が挙げられている。
〔1〕 非磁性基板に、磁性層と、炭素により構成される炭素マスク層と、Si、SiO2、Taのいずれかを主として構成される膜厚0.5nm〜2nmの薄膜と、レジスト層とを順次積層して、前記レジスト層に前記磁気記録パターンを転写する工程と、前記レジスト層をマスクにして前記炭素マスク層を酸素を用いたイオンエッチングによりパターニングする工程と、前記レジスト層と前記薄膜及び前記炭素マスク層を除去する工程を有することを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。
〔2〕 前記炭素マスク層を、酸素を用いたイオンエッチングによりパターニングする工程と、前記レジスト層を除去する工程との間に、露出した前記磁性層の表層部に凹部を形成する工程を有することを特徴とする、〔1〕に記載の磁気記録媒体の製造方法。
〔3〕 前記磁性層の上に形成する炭素マスク層の膜厚が、5nm〜40nmの範囲内であることを特徴とする〔1〕に記載の磁気記録媒体の製造方法。
〔4〕 前記レジスト層に前記磁気記録パターンを転写する工程において、スタンプを用いた転写を行うことを特徴とする〔1〕に記載の磁気記録媒体の製造方法。
〔5〕 前記レジスト層に前記磁気記録パターンを転写する工程において、前記レジスト層の凹部の厚さを0〜20nmとすることを特徴とする〔1〕に記載の磁気記録媒体の製造方法。
〔6〕 前記磁性層の磁性部幅を200nm以下、非磁性部幅を100nm以下とすることを特徴とする〔1〕に記載の磁気記録媒体の製造方法。
〔7〕 〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法で製造した磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する駆動部と、記録部と再生部とからなる磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対運動させる手段と、前記磁気ヘッドへの信号入力と、当該磁気ヘッドからの出力信号再生を行うための記録再生信号処理手段とを具備してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
本発明で挙げる磁気記録パターンとは、磁気記録パターンが1ビットごとに一定の規則性で配置されるパターンドメディアや、磁気記録パターンがトラック状に配置されたメディア、及び、サーボ信号パターン等を含んでいるが、本実施形態においては、その製造における簡便性の面から、ディスクリート型磁気記録媒体に適用することが好ましい。
まず、図1(a1)に示すように、非磁性基板1上を覆うように磁性層2を形成する。通常、磁性層2を形成する方法としてはスパッタ法を用いるが、ここでは適宜の方法で構わない。
本実施形態で使用する非磁性基板1としては、Alを主成分としたAl合金基板、例えばAl−Mg合金等や、通常のソーダガラス、アルミノシリケート系ガラス、結晶化ガラス類、シリコン、チタン、セラミックス、各種樹脂からなる基板など、非磁性であれば任意の基板を用いることができる。中でも、Al合金基板や結晶化ガラス等のガラス製基板、またはシリコン基板を用いることが特に好ましい。また、これら基板の平均表面粗さ(Ra)は、1nm以下、さらには0.5nm以下であることが好ましく、0.1nm以下であることが特に好ましい。
また、磁性層2は、記録再生の際に一定以上の出力を出すためには、ある程度以上の膜厚が必要であり、一方で、記録再生特性を表す諸パラメータは、出力の上昇とともに劣化することが通例である。そのため、磁性層2aは、これらの要素を考慮した上で最適な膜厚で形成する必要がある。
次に、図1(b1)に示すように、磁性層2の上を覆うように、炭素からなる炭素マスク層3を形成する。炭素マスク層3はスパッタリング法、またはCVD法により成膜することができるが、より緻密性の高い炭素マスク層3を成膜するためにはCVD法を用いることが特に好ましい。
炭素マスク層3の膜厚が5nmより薄い場合は、炭素マスク層3の角部が丸まった形状となり、磁性層2に対する加工精度が低下してしまう。また、後述する工程g1において、レジスト層4と薄膜10及び炭素マスク層3を透過したイオンが磁性層2に侵入して、磁性層2の磁気特性を悪化させてしまう。
一方、炭素マスク層3が40nmよりも厚くなると、後述する炭素マスク層3のエッチング工程において、エッチングに要する時間が長くなってしまい、生産性が低下する。また、炭素マスク層3をエッチングする際の残渣が磁性層2表面に残留しやすくなってしまう。
次に、図1(c1)に示すように、炭素マスク層3の上を覆うように、薄膜10を形成する。薄膜10はSi、SiO2、Taのいずれかを主として構成され、膜厚は0.5〜2nmとする。主として構成とは、薄膜中のSi、SiO2、Taの合計の含有量が50at%以上であることを指す。本願発明者の検討によると、炭素マスク層の上にこれらの薄膜を形成すると、炭素マスク層の酸素プラズマによる加工性における、加工部非加工部の選択比が高まり、これにより炭素マスク層の微細加工性を高めることができる。ここで、薄膜10の膜厚が2nm超の場合は、酸素プラズマエッチング(後述する工程f1)の際に薄膜が側面から崩れる場合があり炭素マスク層の微細加工性が低下する。また、薄膜10の膜厚が0.5nmより薄い場合は炭素マスク層表面に薄膜を設ける効果が無くなる。
この薄膜10を炭素マスク層3上に形成することにより、後述する工程f1における、炭素マスク層3のパターニングの際の微細加工性を高めることができる。
次に、図1(d1)に示すように、薄膜10の上を覆うように、レジスト層4を形成する。レジスト層4は、例えば、熱線に対しては熱硬化樹脂、紫外線に対しては紫外線硬化樹脂のような、放射線照射により硬化性を有する材料により構成される。
ここで言う放射線とは、熱線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線等の広い概念の電磁波である。
次いで、図1(e1)に示すように、レジスト層4に対してスタンプ5を押圧し、磁気記録パターンを転写する。なお、図1(e1)中における矢印Aはスタンプ5の動きを示す。
このとき、スタンプ5の材料としては、紫外線に対して透過性の高いガラスもしくは樹脂を用いることが好ましい。
将来的に、レジスト層4のパターンの幅Wは記録領域8の幅W(磁性部幅)となり、レジスト層の凹部4aの幅Lは境界領域6の幅L(非磁性部幅)となり、WとLの合計の幅Pは隣接する記録領域8同士の間隔Pとなる。
次いで、図1(f1)に示すように、レジスト層の凹部4aと、レジスト層の凹部4a直下の薄膜10及び炭素マスク層3を除去する。これにより、レジスト層の凹部4a直下の磁性層2が露出する。
これらの除去には、反応性イオンエッチング、イオンミリングなどのドライエッチングを用いることが好ましいが、特に、ICPなどを用いた反応性イオンエッチングを、酸素ガスにより行うことが好ましい。この工程により、磁気記録パターンの境界領域6に対応する領域の磁性層2が露出する。このとき、薄膜10が炭素マスク層3の上に形成されていることにより、炭素マスク層3の角部が丸まった形状となることが防止され、垂直に切り立った形状でパターニングされる。
次いで、図1(g1)に示すように、磁性層2の露出した領域の表層部を除去し、第二層2a表面との段差がdとなる凹部7を形成する。磁性層2の表層部の除去は、例えば、反応性イオンエッチング装置(ICP、RIEなど)により、磁性層2へのイオンミリングを行うとよい。これにより磁性層2の露出領域の、その後の磁気特性改質工程を良好に進行させることが可能となり、また、本工程でのイオンミリングの際の該領域下部へのイオン注入により磁気特性の改質を行うことができる。このとき、磁性層2へのイオンミリングは、アルゴン、窒素等の不活性ガスを用いて行うことが好ましい。このような方法を採用することにより、工程f1において、反応性イオンエッチングの際に残された磁性層2のエッジ部を、イオンミリングにより垂直に形成することが可能となる。これは、磁性層2の上の炭素マスク層3が垂直に切り立った形状であるため、その下の磁性層2も同じ形状となるよう、形成されるためである。
第二層2aの磁気特性の改質とは、第二層2aをパターン化するために、第二層2aの磁化を消失、もしくは、保磁力や残留磁化等の磁気特性を部分的に低減させることを意味する。磁気特性を改質することにより、凹部7の両側に位置する第二層2a同士の磁気的分離は更に明瞭になる。
このときの磁気特性の改質処理は、ICPなどの反応性イオンエッチング装置を用いてCF4などのフッ素系ガス及び酸素ガスを、この順に第二層2aに暴露することにより行う。または該箇所にAr、Ne、N等の原子を注入し該箇所の磁気特性を改質することにより行う。
次いで、図1(h1)に示すように、レジスト層4と薄膜10及び炭素マスク層3を除去する。
これらの具体的な除去方法としては、例えば、ドライエッチング、反応性イオンエッチング、イオンミリング等の手法を用いることが好ましい。
次いで、図1(i1)に示すように、磁性層2表面にArなどの不活性ガスを照射して、磁性層2の表層部を1〜2nmの範囲内でエッチング除去することが好ましい。これにより、磁性層2の一部に、改質により磁気特性が低下した部位が生じていた場合であっても、その磁気特性の低下した部位を除去することができる。
次いで、非磁性領域6a上に非磁性材料を埋め込み、非磁性領域6bを形成する。凹部7内に非磁性領域6bが形成されることにより、磁性層2の表面は平坦化する。
次いで、図1(j1)に示すように、磁性層2を覆うように保護膜9を形成する。通常、保護膜9はスパッタ法もしくはCVD法により形成される。
保護膜9としては、炭素(C)、水素化炭素(HxC)、窒素化炭素(CN)、アルモファスカーボン、炭化珪素(SiC)等の炭素質層やSiO2、Zr2O3、TiNなど、通常用いられる保護膜材料を用いることができる。また、保護膜9は、2以上の膜が積層された構成でもよい。
このとき、保護膜9の膜厚は10nm未満とする。保護膜9の膜厚が10nmを越えると磁気ヘッド27と磁性層2との距離が大きくなり、十分な強さの出入力信号が得られなくなる恐れがあるためである。
図2(i2)に示すように、第1の実施形態の工程iと同様に磁性層2表面にArなどの不活性ガスを照射し、磁性層2の表層部を1〜2nmの範囲内でエッチング除去する。このことにより、磁性層2の表層部に、改質により磁気特性の低下した部位が生じていたとしても、その磁気特性が低下した部位を除去することができる。
このとき、記録領域8と境界領域6との段差となるdの値は、10nm以下であることが好ましい。dが10nmを超えると、磁気記録媒体30の表面平滑性が悪化し、磁気記録再生装置40を製造した際の磁気ヘッド27の浮上特性が悪くなるため好ましくない。
次いで、図2(j2)に示すように、磁性層2を覆うように保護膜9を形成する。通常、この保護膜9はスパッタ法もしくはCVD法により形成する。
保護膜9としては、炭素(C)、水素化炭素(HxC)、窒素化炭素(CN)、アルモファスカーボン、炭化珪素(SiC)等の炭素質層やSiO2、Zr2O3、TiNなど、通常用いられる保護膜材料を用いることができる。また、保護膜9は、2以上の膜が積層された構成としてもよい。
また、保護膜9の膜厚は10nm未満とすることが好ましい。保護膜9の膜厚が10nmを越えると磁気ヘッド27と磁性層2との距離が大きくなり、十分な強さの出入力信号が得られなくなる恐れがあるためである。
また、第1の実施形態と異なり、非磁性材料を用いて磁性層2の表面を平坦化させる工程を行わないため、少ない工程で本発明の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、非磁性領域6aを第二層2aの底部まで形成しなくとも、磁気的に分離した磁気記録パターンとすることができる。
また、磁気ヘッド27の浮上量を0.005μm〜0.020μmと、従来よりも低い高さで浮上させることができるため、出力が向上し、高い装置SNRを得ることができる。これにより、大容量で信頼性の高い磁気記録再生装置40を提供することが可能となる。
また、最尤復号法による信号処理回路を組み合わせると、さらに記録密度を向上することができる。例えば、トラック密度100kトラック/インチ以上、線記録密度1000kビット/インチ以上、1平方インチ当たり100Gビット以上の高記録密度で記録・再生した場合でも、十分なSNRを得ることができる。
(実施例1〜4)
さらに、レジスト層4上に、磁気記録パターンを有するガラス製のスタンプ5を、1MPa(約8.8kgf/cm2)の圧力で押圧することにより、磁気記録パターンを転写した。続いて、スタンプ5を押圧したままレジスト層4を硬化した後、スタンプ5をレジスト層4から分離した。
このようにして転写した磁気記録パターンに対応するレジスト層4の磁気記録パターンは、レジスト層4の凸部の幅Wが120nmの円周状、レジスト層の凹部4aの幅Lが60nmの円周状であり、レジスト層4の層厚は80nm、レジスト層の凹部4aの厚さeは約5nmであった。また、レジスト層4の凸部の側面の、非磁性基板1面に対する角度は、ほぼ90度であった。
(比較例1,2)
(実施例5〜8)
(比較例3,4)
(実施例9〜12)
(比較例5,6)
Claims (7)
- 非磁性基板に、磁性層と、炭素により構成される炭素マスク層と、Si、SiO2、Taのいずれかを主として構成される膜厚0.5nm〜2nmの薄膜と、レジスト層とを順次積層して、前記レジスト層に磁気記録パターンを転写する工程と、
前記レジスト層をマスクにして、前記炭素マスク層を、酸素を用いたイオンエッチングによりパターニングする工程と、
前記レジスト層と前記薄膜及び前記炭素マスク層を除去する工程を有することを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。 - 前記炭素マスク層を酸素を用いたイオンイエッチングによりパターニングする工程と、前記レジスト層を除去する工程との間に、露出した前記磁性層の表層部に凹部を形成する工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性層の上に形成する前記炭素マスク層の膜厚が、5nm〜40nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記レジスト層に前記磁気記録パターンを転写する工程において、スタンプを用いた転写を行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記レジスト層に前記磁気記録パターンを転写する工程において、前記レジスト層の凹部の厚さを0〜20nmとすることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性層の磁性部幅を200nm以下、非磁性部幅を100nm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項1から6の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法で製造した磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する駆動部と、
記録部と再生部とからなる磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対運動させる手段と、
前記磁気ヘッドへの信号入力と、
当該磁気ヘッドからの出力信号再生を行うための記録再生信号処理手段と、を具備してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
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