JP6074228B2 - 温熱具 - Google Patents

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Description

本発明は、温熱具に関する。
従来、被酸化性金属の酸化反応で発生する熱を利用した温熱具が知られている(特許文献1、2)。
特許文献1には、セグメントに区分けされた被酸化性抄造体と、基材シートとが一体化されている被酸化性シートが記載されている。特許文献1によれば、こうした構成を有することにより、基材シートに電解液を含ませることで、電解液を全体に均一に含ませることができるため、シート全体を均一に酸化反応させることができるとされている。
また、特許文献2には、基材と被覆材との間に発熱組成物を積層してなる発熱体において、基材と被覆材との少なくとも一方が、不織布で形成されることで、粘体状発熱組成物が不織布の繊維に固定され、発熱組成物の粉末の漏れや偏りが防止されるなどの効果を奏することが記載されている。
また、1つの温熱具により、異なる温度で加熱できる技術も知られている(特許文献3、4)。
特許文献3には、1つの貼着型カイロにより、2つの異なる有効加熱温度で皮膚面を加熱することができ、具体的には、金属板片による加熱面とその周囲の貼着シートによる加熱面により構成される貼着型カイロが記載されている。
また、特許文献4には、低温発熱部と、低温発熱部の発する最高温度よりも高温の最高温度を発する高温発熱部を具備する加温具が記載されている。特許文献4によれば、こうした構成を有することにより、優れた加温効果(温熱刺激による痛みの緩和効果等)を得ることができるにも拘わらず、使用者に高温による不快感を感じさせ難く、所望の部位を長時間快適に加温することができるとされている。
特開2008−220788号公報 特開2007−319359号公報 特開2003−135508号公報 特開2000−296145号公報
しかしながら、特許文献3の技術は、一つの温熱具において、部位による温度差を設ける発明ではあるが、単に金属板片を設けるものであるため、好ましい使用感の点からは課題があり、更に発熱の立ち上がり速度や発熱の持続に関しても依然検討の余地がある。
特許文献4の技術も、一つの加温具において、発熱セル毎に平面積、通気量又は発熱体の種類ないし組成を異ならせて、部位による温度差を設ける発明ではあるが、小セル化により、発熱体間にシール部分が存在するため、人体に適用した場合に、小セル間の段差が気になる場合がある。
被酸化性金属の酸化反応によって発熱する温熱具では、発熱の立ち上がり性と、発熱の持続性とは、トレードオフの関係にあるため、従来、同一の袋体内にある発熱組成物では、発熱の早い立ち上がり性と発熱持続時間の確保を両立することは困難であり、未だ両者を満足できる技術は開発の余地がある。
本発明者は、通気性を有する袋体の連続した空間内に、電解質の含有量が異なる複数の発熱部を設けることにより、同一の袋体内において、発熱の早い立ち上がり性と発熱持続時間の確保とを両立し、かつ、使用感に優れた温熱具を提供できることを見出した。
すなわち、本発明は、
被酸化性金属、電解質及び水を含有し、前記被酸化性金属の酸化反応によって発熱する発熱組成物を備えた発熱体と、
少なくとも一部が通気性を有し、前記発熱体を収容する袋体と、
を有する温熱具であって、
前記発熱体は、
第一の発熱部と、
前記袋体の連続した空間内に、前記第一の発熱部とともに収容されている第二の発熱部と、
を含み、
前記第一の発熱部中の電解質の質量含有率と、前記第二の発熱部中の電解質の質量含有率とが異なる、温熱具を提供するものである。
本発明によれば、発熱の立ち上がりが早く、かつ、発熱を持続できる温熱具を提供することができる。また、発熱中、袋体の連続した1つの空間内に、柔軟性の異なる部位が部分的に生じるため、使用感に優れた温熱具を提供することができる。
実施の形態に係る温熱具を模式的に示した平面図である。 実施の形態に係る温熱具を模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る温熱具の変形例を模式的に示した平面図である。 実施例の温熱具を模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る温熱具の製造方法の一例を説明する図である。 実施例の温熱具の中央セルと側部セルの温度履歴を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、本発明の温熱具の一例を示す平面図である。また、図2は、図1のA−A断面図である。図1の温熱具1は、被酸化性金属、電解質及び水を含有し、被酸化性金属の酸化によって発熱する発熱組成物を備えた発熱体10と、少なくとも一部が通気性を有し、発熱体10を収容する袋体20と、を有する。発熱体10は、第一の発熱部101と、第二の発熱部102とを含んでおり、第二の発熱部102は、袋体20の連続した空間内に、第一の発熱部101とともに収容されている。第一の発熱部101中の電解質の質量含有率は、第二の発熱部102中の電解質の質量含有率と異なっている。
本実施の形態の温熱具1では、第一の発熱部101中の電解質の質量含有率を、第二の発熱部102中の電解質の質量含有率よりも高くしたものである。これにより、第一の発熱部101は、第二の発熱部102よりも、発熱持続時間が長くなり、また、第二の発熱部102は、第一の発熱部101よりも発熱が早く立ち上がるとともに、発熱中に、比較的柔軟性を発揮する部位となる。その結果、袋体20の連続した空間内に収容された発熱体10としては、発熱の立ち上がりを早くでき、かつ、発熱持続時間の確保が可能となる。さらに発熱部102が柔軟性を発揮することにより、貼付した際の違和感を低減することも出来る。
具体的には、温熱具1は、被酸化性金属の酸化反応によって発熱して温熱効果を付与するものであり、JIS規格S4100に準じた測定において、発熱温度30℃以上60℃以下の性能を有することができる。温熱具1は、水蒸気の発生を伴う蒸気発熱具の形態であってもよいし、水蒸気の発生を実質的に伴わずに発熱する、いわゆる使い捨てカイロの形態であってもよい。水蒸気の発生を伴う蒸気発熱具であると、本発明の温熱具による、発熱の立ち上がりを早くでき、かつ、発熱を持続することができる特性に伴って、より立ち上がりが早く、かつ、持続性も良い水蒸気発生特性を有する温熱具が提供され好ましい。
発熱体10は、被酸化性金属、電解質及び水を含有する発熱組成物を備えるが、この発熱組成物は、さらに、反応助剤を含むことが好ましい。
被酸化性金属としては例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム及びカルシウムから選択される1種又は2種以上の粉末や繊維が挙げられる。これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コストの点から鉄、なかでも鉄粉が好ましく用いられる。第一の発熱部101中の被酸化性金属の含有量は、第二の発熱部102中の被酸化性金属の含有量と実質的に同一であることが好ましく、被酸化性金属の含有量は、発熱体1cmあたり0.01g以上が好ましく、より好ましくは0.02g以上であり、また、0.3g以下が好ましく、より好ましくは0.15g以下である。そして、発熱体1cmあたり0.01〜0.3g、更には0.02〜0.15gが好ましい。
電解質としては、水に電解して被酸化金属の酸化を促進するものが良く、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属の各金属の塩化物、各金属の硫酸塩、各金属の炭酸塩、および各金属の水酸化物からなる群から選択される1種以上が挙げられる。中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から塩化物が好ましく、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び塩化鉄(第1、第2)から選択される1種又は2種以上の塩化物が好ましく、より好ましくは塩化ナトリウムおよび塩化カリウムのうちの少なくともいずれか一方であり、更に好ましくは塩化ナトリウムが用いられる。
ここで、本実施の形態においては、第一の発熱部101中の電解質の質量含有率は第二の発熱部102中の電解質の質量含有率よりも高ければよく、換言すれば、第二の発熱部102中の電解質の質量含有率は、第一の発熱部101の電解質の質量含有率よりも低ければよい。具体的には、第一の発熱部101中の電解質の含有量が、第二の発熱部102中の電解質の含有量に対して、7質量倍以上であることが好ましく、10質量倍以上がより好ましく、更に好ましくは20質量倍以上であり、また、200質量倍以下が好ましく、100質量倍以下がより好ましく、更に好ましくは50質量倍以下である。そして、7〜200質量倍であることが好ましく、10〜100質量倍であることがより好ましく、更に好ましくは20〜50質量倍である。こうすることで、袋体20の連続した空間内に収容された発熱部としては、発熱の立ち上がりを早くでき、かつ、発熱を持続することもできる点で好ましい。
より具体的には、第一の発熱部101中の電解質の含有量が、第一の発熱部101中の被酸化性金属100質量部に対して3質量部以上であることが好ましく、4質量部以上であることがより好ましく、更に好ましくは5質量部以上であり、また、17質量部以下であることが好ましく、16質量部以下であることがより好ましく、更に好ましくは14質量部以下である。そして、3〜17質量部であることが好ましく、4〜16質量部であることがより好ましく、更に好ましくは5〜14質量部である。こうすることで、温熱具1における発熱持続時間を確保し、長時間化が可能となる。
一方、第二の発熱部102中の電解質の含有量は、第二の発熱部102中の被酸化性金属100質量部に対して0.02質量部以上であることが好ましく、0.03質量部以上であることがより好ましく、更に好ましくは0.04質量部以上であり、1.6質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましく、更に好ましくは1.4質量部以下である。そして、0.02〜1.6質量部であることが好ましく、0.03〜1.5質量部であることがより好ましく、更に好ましくは0.04〜1.4質量部である。こうすることで、温熱具1における発熱の立ち上がり性を向上することが出来る。
水の含有量は、発熱体10が備える発熱組成物中、被酸化性金属の酸化を良好に進行させる点等から被酸化性金属100質量部に対して、35質量部以上80質量部以下が好ましい。第一の発熱部101の水の含有量は、第二の発熱部102の水の含有量と同じであってもよいし、異なっていてもよいが、第一の発熱部101の水の含有量と、第二の発熱部102の水の含有量との差は、できるだけ小さいことがより好ましい。
通気性を有する袋体の連続した空間内に、電解質の含有量が異なる複数の発熱部を設けることにより、発熱の早い立ち上がりと持続時間の確保とを両立した発熱体であって、かつ、使用感に優れた温熱具が可能となるが、さらに、保存時の発熱安定性を確保する方法として、第一の発熱部101及び第二の発熱部102のいずれかに水溶性非電解質を含有させると良い。具体的には、電解質の質量含有率が相対的に少ない発熱部に対して、水溶性非電解質を含ませることで、第一、第二の発熱部101,102中の水溶液の浸透圧、蒸気圧を調整し、発熱部間の水の移行量を制御することができる。温熱具1の場合、第一の発熱部101中の電解質の質量含有率が、第二の発熱部102中の電解質の質量含有率よりも高いため、第二の発熱部102に水溶性非電解質を含ませることが好ましい。これにより、温熱具1の保管中に、第二の発熱部102から第一の発熱部101に水が移行して、含水量が変化することによる発熱特性低下を抑制することができる。
水溶性非電解質としては、水溶性であり、かつ、水中で非イオン性の物質が好ましく、例えば、ポリオール類、糖類、糖アルコール類およびこれらの混合物から選択される1種以上を用いることができる。ポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール及びソルビトールから選択される1種又は2種以上を用いることができる。糖類としては、グルコース、マルトース、スクロース、及びフルクトースから選択される1種又は2種以上を用いることができる。糖アルコール類としては、ラクチトール、マルチトール、キシリトール及びエリスリトールから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
第二の発熱部102中の水溶性非電解質の含有量は、第二の発熱部102中の電解質の含有量に対して、3質量倍以上であることが好ましく、10質量倍以上であることがより好ましく、更に好ましくは15質量倍以上であり、そして、200質量倍以下であることが好ましく、100質量倍以下であることがより好ましく、更に好ましくは80質量倍以下である。また、3〜200質量倍であることが好ましく、10〜100質量倍であることがより好ましく、更に好ましくは15〜80質量倍である。こうすることで、保管中における、第一の発熱部101、及び、第二の発熱部102の含水量の変化を抑制することができる。
第一の発熱部101も水溶性非電解質を含んでいてよいが、第一の発熱部101中の水溶性非電解質の含有量は、第一の発熱部102中の電解質の含有量に対して、2質量倍以下であることが好ましく、0.5質量倍以下であることがより好ましく、第一の発熱部101が水溶性非電解質を含まないことが更に好ましい。こうすることで、保管中における、第一の発熱部101、及び、第二の発熱部102の含水量の変化をよりいっそう抑制することができる。
反応助剤としては、活性炭を用いることが好ましく、活性炭としては、例えば、椰子殻炭、木炭、暦青炭、泥炭及び亜炭の1種又は2種以上を用いることができる。反応助剤の含有率は、第一の発熱部101と第二の発熱部102とで、被酸化性金属100質量部に対する量は実質的に同一であることが好ましく、被酸化性金属100質量部に対して0.3質量部以上20質量部以下が好ましい。
発熱体10は、粉体状であってもよいし、シート状であってもよいが、第一の発熱部101及び第二の発熱部102に含まれる電解質量の制御性及び使用感に優れる点から、シート状であることが好ましい。シート状の発熱体10としては、発熱組成物を湿式抄造してなるもの、発熱組成物を紙等の基材で挟持してなるもの、発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるもの等が挙げられる。特に、発熱体10は、発熱組成物を湿式抄造してなるもの、発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるものであると、容易に製造できる点や、第一の発熱部101及び第二の発熱部102に含まれる電解質量の制御性及び使用感に優れる点から有利となる。
発熱体10が発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるものである場合、更に、発熱組成物中に増粘剤を含有させると、温熱具1の保管中に、第二の発熱部102から第一の発熱部101に水が移行して、含水量が変化することによる発熱特性低下を抑制することができる。この場合、発熱組成物中に含まれる増粘剤としては主として、水分を吸収して稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質を用いることができ、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;ベントナイトなどの鉱物系増粘剤等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。中でも、温熱具1の保管中に、第二の発熱部102から第一の発熱部101に水が移行して、含水量が変化することによる発熱特性低下を抑制することができる点で多糖類系増粘剤が好ましく、キサンタンガムがより好ましい。増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。また、5質量部以下が好ましく、4質量部以下であることが好ましい。そして、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜4質量部であることがより好ましい。発熱体10が、増粘剤を含有する場合、第一の発熱部101中のこれらの含有率及び組成は、第二の発熱部102中のものと実質的に同一であることが好ましい。
第一の発熱部101の厚みと、第二の発熱部102の厚みとは、実質的に同一であることが好ましく、具体的には、第一、第二の発熱部101、102の厚みが何れも0.3mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましい。そして、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。また、0.3〜5mmの範囲にあることが好ましく、1〜3mmの範囲にあることがより好ましい。こうすることで、発熱効果を高めつつ、温熱具1を使用しやすいサイズにすることができる。
第二の発熱部102は、袋体20の連続した空間内に、第一の発熱部101から離間して配置されていることが好ましい。こうすることで、保管中において、蒸気圧による水の移行を抑制し、第一の発熱部101、及び、第二の発熱部102の含水量の変化を抑制することができる。具体的には、第一の発熱部101と第二の発熱部102との間の幅が、第一の発熱部101の厚み及び/又は第二の発熱部102の厚みよりも広いことが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは3mm以下、より好ましくは2.5mm以下で離間させることができる。また、好ましくは0.1〜3mmの幅で、より好ましくは0.5〜2.5mmの幅で離間させることができる。こうすることで、温熱具1を使用しやすいサイズとしながら、保管中における、第一の発熱部101、及び、第二の発熱部102の含水量の変化を抑制することができる。
第一の発熱部101、第二の発熱部102の形状としては、図1で示す長方形に限定されず、平面視において、三角形、矩形等の多角形、円形、楕円形等、種々の形状とすることができるが、容易に製造できるという観点から、長方形、正方形といった矩形が好ましい。また、第一の発熱部101及び第二の発熱部102の形状は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、平面視における第一の発熱部101及び第二の発熱部102の面積は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
図3は、図1で示す温熱具1の変形例を示す平面図である。図1では、ストライプ状で、同一の形状を有する第一の発熱部101及び第二の発熱部102が、並列して配置されている例を示すが、図3(a)で示すように、第一の発熱部101の幅を第二の発熱部102の幅よりも大きくすることができる。また、図1では、一の第一の発熱部101を備える例を示したが、図3(b)で示すように、第一の発熱部101を、複数備えていてもよい。
図3(c)では、平面視において矩形の第一の発熱部101を矩形の第二の発熱部102が取り囲むように複数配置させる例を示す。図3(d)では、複数の第一の発熱部101を複数かつサイズの異なる第二の発熱部102(102a、102b)が取り囲むように配置させた例を示す。
なお、第一の発熱部101が第二の発熱部102を取り囲むように配置してもよい。
図1〜3では、第一の発熱部101を発熱体10の中央に配置し、第二の発熱部102を発熱体10の側部に設ける例を示している。第二の発熱部102は、電解質の含有量が少ないため、発熱の持続時間が短く、その結果、発熱体中に発熱反応に用いられなかった水が残存することにより、発熱組成物の固化の度合いが低く、柔軟性を発現することができる。したがって、第二の発熱部102を発熱体10の側部に設けることで、発熱体端部の柔軟性を改善し、温熱具10の使用感を著しく向上させることができる。
但し、患部へ効果的な加温に重きを置くために、第二の発熱部102を発熱体10の中央に配置し、第一の発熱部101を発熱体10の側部に設けてもかまわない。
袋体20は、少なくとも一部が通気性であり、発熱部10を収容するものである。袋体20は、2枚のシート201、202の周縁部203を貼り合せて構成することができるが、このようなシートとしては、通気性を有する部分として、通気性シート、不織布と通気性シートとをラミネートした積層シート、編み物地と通気性シートとをラミネートした積層シート等を用いることが好ましい。
通気性シートとしては、樹脂製の多孔質シートや通気穴を有する樹脂製のシートを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン酢酸ビニル共重合体の1種又は2種以上を使用することができる。その厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。樹脂製の多孔質シートとしては、具体的には、熱可塑性樹脂及び該樹脂と相溶性のない有機又は無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に成形し、一軸又は二軸延伸して得られたものであり、微細な多孔質構造になっているものや、通気穴を有する樹脂製のシートとしては非通気性シートや難通気性シートに針等で微細穴を設けたものや、あるいは前述の通気性シートに更に針等で微細穴を設けたものが好ましい。
なお、袋体20は、同種又は異種のシートを用い、周縁部203を熱融着、超音波接合、接着剤による接着等によってシールすることで構成してもよい。この場合、袋体20シート(シート201又は202)は、その一部又は全部が通気性を有していると好ましく、その通気度(JIS P8117)は、100秒/100ml以上が好ましく、1,000秒/100ml以上がより好ましく、2,000秒/100ml以上が更に好ましい。そして、100,000秒/100ml以下が好ましく、70,000秒/100ml以下がより好ましく、50,000秒/100ml以下が更に好ましい。また、100〜100,000秒/100mlが好ましく、1,000〜70,000秒/100mlがより好ましく、2,000〜50,000秒/100mlが更に好ましい。
一方、通気性を有しない非通気性シートとしては、実質的に酸素を透過しないものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニリデン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフォン及びポリアミドの1種又は2種以上を使用することができる。その厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。
図1〜3には、簡略化のため、袋体20にのみ収容された構成を示すが、図4のように、袋体20を、更に、使用感を高めるため風合いの良好なシート材料である不織布製の第二袋体30に収容した構成としても良い。第二袋体30は、好ましくは坪量5g/m2以上、より好ましくは10g/m2以上、そして、好ましくは200g/m2以下、より好ましくは120g/m2以下の2枚のシートの周縁部を貼り合せて構成させることができるが、軽量化等の観点から、坪量20〜120g/m2のシートであることが好ましい。このようなシートとしては、不織布、編み物地等が挙げられる。
不織布としては、1種又は2種以上の繊維を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブローン法、カード法、熱融着法、水流交絡法、溶剤接着法により製造されたものを用いることができる。特に、風合いや、弾力性の観点から、伸縮性を有する不織布を用いることが好ましい。伸縮性を有する不織布としては、構成繊維として弾性繊維(例えば、ポリウレタン、ポリエステル)や立体捲縮性繊維を含む不織布が好ましく、例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布等が好ましい。
具体的な不織布の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリル等を含む合成繊維;セルロース、シルク、コットン、ウール等を含む天然繊維;あるいはそれらを複合した繊維の1種又は2種以上が挙げられる。
つづいて、本発明の温熱具1の製造方法について説明する。ここでは、発熱体10として、発熱シートのうち特に繊維シートと呼ばれる、繊維を含有したものと、塗布シートと呼ばれる発熱組成物を紙等に塗布してなるものの製造例について説明する。
繊維シートの形態の発熱体10は、被酸化性金属、反応助剤及び繊維状物を含有する成形シートに、電解質水溶液を含有させて作製することができる。具体的には、濃度の異なる電解質水溶液を調製し、相対的に高濃度の電解質水溶液を成形シートに注入してサイズ及び形状を整えたものを、第一の発熱部101とし、相対的に低濃度の電解質水溶液を成形シートに注入してサイズ及び形状を整えたものを、第二の発熱部102とすることができる。
また、塗布シートの形態の発熱体10は、被酸化性金属、反応助剤、電解質及び水、必要に応じて増粘剤を含む発熱粉体水分散物を紙等に塗布して作製することができる。具体的には、電解質の濃度が異なる発熱粉体水分散物を調製し、相対的に高濃度の電解質を含む発熱粉体水分散物を塗布して第一の発熱部101を形成し、相対的に低濃度の電解質を含む発熱粉体水分散物を塗布して第二の発熱部102を形成することができる。
また、塗布シートの形態の発熱体10は、被酸化性金属、反応助剤及び水、必要に応じて増粘剤を含む発熱粉体水分散物を紙等に塗布した後に、電解質を散布して作製することができる。具体的には、電解質の含有量が場所により異なるように散布することで、相対的に高濃度の電解質を含む第一の発熱部101と、相対的に低濃度の電解質を含む第二の発熱部102とを形成することができる。
塗布シートからなる発熱体10を有する温熱具1の製造方法の一例について、以下具体的に説明する。図5は、この製造方法を説明する図である。まず、塗工槽301内で、攪拌器303を用いつつ、被酸化性金属、電解質、並びに、反応助剤、必要に応じて増粘剤を水に均一に分散させて、発熱粉体水分散物302を調製する。
ついで、ポンプ304により発熱粉体水分散物302をダイヘッド305まで送液し、ダイヘッド305を用いて、加圧して押し出しながら発熱粉体水分散物302をシート状基材306に塗工する。
シート状基材306は、繊維材料を含む繊維シートから構成されていても良い。シート状基材は、一層の繊維シートから構成されていてもよいし、二層以上の繊維シートが積層されていてもよい。シート状基材は、高吸収性ポリマーの粒子を含むことが好ましい。
繊維材料としては、親水性繊維及び疎水性繊維のいずれをも用いることができるが、親水性繊維を用いることが好ましく、中でもセルロース繊維を用いることがより好ましい。セルロース繊維としては、化学繊維(合成繊維)、天然繊維又はこれらを混合して用いることができる。
親水性の化学繊維としては、例えば、レーヨン、アセテート又はこれらを混合して用いることができる。一方、天然繊維としては、各種の植物繊維、木材パルプ、非木材パルプ、木綿、麻、麦藁、ヘンプ、ジュート、カポック、やし及びいぐさの1種又は2種以上を用いることができる。これらのセルロース繊維のうち、木材パルプを用いることが好ましい。
高吸収性ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持でき且つゲル化し得るヒドロゲル材料を用いることが好ましい。高吸収性ポリマーの形状は、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状等であることが好ましい。高吸収性ポリマーの粒径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上であり、そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。また、1〜1000μmが好ましく、10〜500μmであることがより好ましい。なお、高吸収性ポリマー粒子の粒径は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
高吸収性ポリマーとしては、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体の1種又は2種以上を用いることができる。
シート状基材306に発熱粉体水分散物302を塗工する際、発熱粉体水分散物302の塗工坪量は、好ましくは150g/m以上、より好ましくは300g/m以上、そして、好ましくは4,600g/m以下、より好ましくは2,200g/m以下である。また、150〜4,600g/mが好ましく、300〜2,200g/mとすることがより好ましい。
なお、図5では、ダイコーティングによる塗工を例示したが、塗工方法は、これに限定されず、例えば、ロール塗布、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーディング、カーテンコーター等などを用いることもできる。
以上の操作により、連続長尺物が得られるので、これを任意の大きさに裁断することで、作製した第一の発熱部101及び第二の発熱部102を、所定の間隔をおいて配置して発熱体10とし、これを袋体20の連続した空間に収容して、更に好ましくは、使用感を高めるため風合いの良好なシート材料である不織布製の第二袋体30中へさらに収容し、温熱具1を得る。本発明では、第一の発熱部101及び第二の発熱部102を個別に包装せず、一括して袋体20に収容するため、製造工程を簡略化できる利点もある。
得られた温熱具1は、次工程において、アルミピロー等の酸素バリア性を有する包装袋(図示せず)内に密封収容させることが好ましい。
このようにして製造された温熱具1は、使用時にアルミピロー等の酸素バリア性を有する包装袋から取り出して、人体に直接適用されるか、又は衣類に適用されて、人体の加温や水蒸気付与に好適に用いられる。人体における適用部位としては、例えば、肩、首、目、腰、肘、膝、大腿、下腿、腹、下腹部、手及び足裏から選択される1又は2以上の部位が挙げられる。また、人体のほかに、各種の物品に適用されてその加温や保温等にも好適に用いられる。
温熱具1は、第二の発熱部102の電解質の含有量が第一の発熱部101の電解質の含有量よりも低いため、温熱具1の発熱開始1時間後において、袋体の連続した1つの空間内に、柔軟性を発揮する部位が部分的に生じる。すなわち、第二の発熱部102の曲げ強度は、第一の発熱部101の曲げ強度よりも小さくなる。こうすることで、使用感にいっそう優れた温熱具1とすることができる。なお、曲げ強度は、3点曲げ試験により、測定することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、実施の形態では、電解質の質量含有率が異なる2種の発熱部から発熱体を構成する例を挙げたが、発熱体は、電解質の質量含有率が異なる3種以上の発熱部から構成されていてもよい。
また、実施の形態では、矩形の温熱具を例に挙げて説明したが、温熱具は、縦長であってもよいし、横長であってもよいし、一部に曲線形状を有するものであってもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の態様も含まれる。
<1>被酸化性金属、電解質及び水を含有し、前記被酸化性金属の酸化によって発熱する発熱組成物を備えた発熱体と、少なくとも一部が通気性を有し、前記発熱体を収容する袋体と、を有する温熱具であって、前記発熱体は、第一の発熱部と、前記袋体の連続した空間内に、前記第一の発熱部とともに収容されている第二の発熱部と、
を含み、前記第一の発熱部中の電解質の質量含有率と、前記第二の発熱部中の電解質の質量含有率とが異なる、温熱具。
<2>前記第二の発熱部は、前記袋体の連続した空間内に、前記第一の発熱部から離間して配置されており、好ましくは前記第一の発熱部と前記第二の発熱部との間の距離が、0.1〜3mm、好ましくは0.5〜2.5mmである前記<1>に記載の温熱具。
<3>前記第一の発熱部及び前記第二の発熱部のいずれかのうち電解質の質量含有率が低い方の発熱部が、更に水溶性非電解質を含有し、前記水溶性非電解質は好ましくはポリオール類、糖類、又はこれらの混合物であり、前記ポリオール類は好ましくは、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール及びソルビトールから選択される1種又は2種以上であり、前記糖類は好ましくは、グルコース、マルトース、マルチトース、スクロース、フルクトース、キシリトール及びエリスリトールから選択される1種又は2種以上である前記<1>又は<2>に記載の温熱具。
<4>前記第一の発熱部中の電解質の質量含有率が、前記第二の発熱部中の電解質の質量含有率よりも高く、前記第二の発熱部が、前記水溶性非電解質を含み、前記第二の発熱部中の前記水溶性非電解質の含有量が、前記第二の発熱部の電解質の含有量に対して3〜200質量倍であり、好ましくは10〜100質量倍であり、より好ましくは15〜80質量倍である<1>〜<3>いずれか1に記載の温熱具。
<5>前記第一の発熱部中の電解質の含有量が、前記第二の発熱部中の電解質の含有量に対して7〜200質量倍であり、好ましくは10〜100質量倍であり、より好ましくは20〜50質量倍である<1>〜<4>いずれか1に記載の温熱具。
<6>前記第一の発熱部中の電解質の含有量が、前記第一の発熱部中の被酸化性金属100質量部に対して3〜17質量部であり、4〜16質量部が好ましく、5〜14質量部がより好ましい<1>〜<5>いずれか1に記載の温熱具。
<7>前記第二の発熱部中の電解質の含有量が、前記第二の発熱部中の被酸化性金属100質量部に対して0.02〜1.6質量部であり、0.03〜1.5質量部が好ましく、0.04〜1.4質量部がより好ましい<1>〜<6>いずれか1に記載の温熱具。
<8>前記第一の発熱部が平面視において発熱体の中央に配置され、前記第二の発熱部が平面視において発熱体の側部に配置されている、前記<1>〜<7>いずれか1に記載の温熱具。
<9>前記第一の発熱部が平面視において第二の発熱部を取り囲むように配置されている、前記<1>〜<8>いずれか1に記載の温熱具。
<10>前記袋体の連続した空間内に、複数の前記第一の発熱部、又は、複数の前記第二の発熱部が収容されている、前記<1>〜<9>いずれか1に記載の温熱具。
<11>被酸化性金属の酸化とともに水蒸気を発生するものである、<1>〜<10>いずれか1に記載の温熱具。
<12>前記発熱組成物が増粘剤を含有し、前記増粘剤は多糖類系増粘剤が好ましく、キサンタンガムがより好ましい<1>〜<11>いずれか1に記載の温熱具。
<13>前記電解質が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び塩化鉄(第1、第2)から選択される1種又は2種以上であり、好ましくは塩化ナトリウム又は塩化カリウム、より好ましくは塩化ナトリウムである<1>〜<12>いずれか1に記載の温熱具。
<14><1>〜<13>いずれか1に記載の温熱具を人体に直接適用するか、又は衣類に適用して、人体に熱を適用する温熱具の使用方法。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
実施例1−9、比較例1、2
金属の酸化とともに水蒸気を発生させるタイプの温熱具を以下の(1)ないし(3)の手順で作製した。
(1)発熱体の作製
<原料組成物配合>
・被酸化性金属:鉄粉、同和鉱業株式会社製、商品名「RKH」:83%
・繊維状物:パルプ繊維(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名 NBKP「Mackenzi(CSF200mlに調整)」):9%
・活性炭:平均粒径45μm、(日本エンバイロケミカル株式会社製、商品名「カルボラフィン」):8%
前記原料組成物の固形分(被酸化性金属、繊維状物及び活性炭の合計)100部に対し、カチオン系凝集剤であるポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC(株)製、商品名「WS4020」)0.7部及びアニオン系凝集剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬(株)製、商品名「HE1500F」)0.18部を添加した。更に、水(工業用水)を、固形分濃度が12%となるまで添加しスラリーを得た。
<抄造条件>
前記スラリーを用い、これを抄紙ヘッドの直前で0.3%に水希釈し、傾斜型短網抄紙機によって、ライン速度15m/分にて抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。
<乾燥条件>
湿潤状態の成形シートをフェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま140℃の加熱ロール間に通し、含水率が5%以下になるまで乾燥した。乾燥後の坪量は450g/m2、厚さは0.45mmであった。このようにして得られた成形シートの組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄83%、活性炭9%、パルプ8%であった。
<中央セルの作製>
得られた成形シート1枚100質量部に対して、0.5質量%又は15.0質量%塩化ナトリウム水溶液を42質量部それぞれ注入し、毛管現象を利用して成形シート全体に塩化ナトリウム水溶液を浸透させて、矩形シート状の発熱シートを得て、50mm×25mmのサイズに切断して、中央セルとした。
<側部セルの作製>
実施例1および比較例1,2は、成形シート1枚100質量部に対して、0.5質量%、又は、15.0質量%塩化ナトリウム水溶液を42質量部注入し、毛管現象を利用して成形シート全体に塩化ナトリウム水溶液を浸透させて、矩形シート状の発熱シートを得て、50mm×25mmのサイズに切断して、側部セルを作製した。
実施例2〜9については、0.5質量%塩化ナトリウム水溶液に、さらに表1のとおり非電解質を10質量%又は30質量%の濃度で含有させたものを用いた。なお、非電解質としては、プロピレングリコール(PG、アデカプロピレングリコール、旭電化(株)製)、スクロース(和光純薬工業、和光一級)、ポリエチレングリコール400(表1中、「PEG400」、マクロゴール400、三洋化成工業株式会社製)、及び、グリセリン(化粧品用濃グリセリン、花王(株)製)を用いた。成形シート1枚100質量部に対して、塩化ナトリウム水溶液濃度0.5質量%に、非電解質濃度10質量%又は非電解質濃度30質量%を加えて、42質量部注入し、毛管現象を利用して成形シート全体に浸透させ、矩形シート状の発熱シートを得て、50mm×25mmのサイズに切断して、側部セルを作製した。
<発熱体の作製>
中央セルを1枚と、側部セルを2枚用意し、図4の断面図に示すように、2mmの間隔で、1枚の中央セルの両端に、2枚の側部セルを配置し、ストライプ状の発熱部を有する発熱体を得た。
(2)温熱具の作製
袋体は、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(JIS P8117による通気度2,500秒)とポリエチレン製の非透湿フィルムとから構成した。上述の発熱体を間にして、透湿性フィルムと非透湿フィルムとを重ね、周縁部においてフィルム同士を接合し、矩形の温熱具を得た。
〔評価〕
実施例1〜9、及び、比較例1,2のそれぞれの温熱具は、50℃1日保存した後、以下のとおりに、側部セル及び中央セルについて、それぞれ温度測定を行った。また、側部セルについては、曲げ強度の測定も行った。結果を表1に併せて示す。
〔温度測定〕
20℃60%RH環境内に、ホットプレートを設置し、表面温度を33℃に設定した後、その中央部分に、実施例1〜9、比較例1、2の温熱具をそれぞれ配置した。ホットプレート上に熱電対を配置し、その上に透湿性フィルム側が上向きになるようにサンプルを置き、反対側(非透湿性フィルム側)の温度測定を行った。測定は、10秒間隔で15分間行い、側部セルについては、最高温度と最高温度到達時間、中央セルについては、15分後の温度を表1に示した。実施例1の温熱具の中央セルと側部セルの温度履歴を図6に示した。
〔曲げ強度〕
アルミピロー等の酸素バリア性を有する包装袋からサンプルを取り出し、20℃60%RH環境下で1時間放置し、その後発熱具から側部セルの発熱体を取り出し、3点曲げ試験を実施した。サンプルは、50mm×25mmとし、サンプル支点間距離を20mmとした支持体上に、サンプルを配置した。その後、サンプル中央部を、加圧くさび(1mm×7mm)にて、20mm/分で押圧し、最大荷重を求め、曲げ強度(N/25mm幅)とした。なお、測定は、4サンプルについて行い、4回の平均値とした。また、サンプルを取り出した直後(発熱前)の曲げ強度は、いずれも0.08N/25mm幅であった。
Figure 0006074228
Figure 0006074228
表2中、「被酸化性金属100質量部に対する電解質」は、被酸化性金属100質量部に対する電解質の含有量(質量部)を示している。また、「側部セルの電解質に対する比」は、側部セルの電解質の質量を1としたときの中央部セルの電解質の質量を示す。
実施例1〜9では、発熱の立ち上がりと、発熱の持続とのバランスに優れた温熱具となった。
これに対し、比較例1では、発熱の立ち上がりは、早いものの、15分後の温度が大きく低下してしまった。さらに、比較例2では、15分後の温度は比較的高くなったものの、発熱の立ち上がりが遅くなってしまった。
さらには、実施例1〜9では、側部セルの曲げ強度が低く、柔軟性に優れていることがわかった。なお、発熱後の側部セルの曲げ強度は、発熱後の中央セルの曲げ強度よりも低くなっていた。これにより、温熱具は、柔軟性に優れた部位を有するため、使用感に優れたものとなった。
また、側部セルが水溶性非電解質を含む実施例2〜9では、側部セルと中央セルとの間での水の移行が抑制され好ましい発熱特性が達成された。
1 温熱具
10 発熱体
20 袋体
30 第二袋体
101 第一の発熱部
102 第二の発熱部
102a 第二の発熱部
102b 第二の発熱部
201 シート
202 シート
203 周縁部
301 塗工槽
302 発熱粉体水分散物
303 攪拌器
304 ポンプ
305 ダイヘッド
306 シート状基材

Claims (11)

  1. 被酸化性金属、電解質及び水を含有し、前記被酸化性金属の酸化によって発熱する発熱組成物を備えた発熱体と、
    少なくとも一部が通気性を有し、前記発熱体を収容する袋体と、
    を有する温熱具であって、
    前記発熱体は、
    第一の発熱部と、
    前記袋体の連続した空間内に、前記第一の発熱部とともに収容されている第二の発熱部と、
    を含み、
    前記第一の発熱部中の電解質の質量含有率と、前記第二の発熱部中の電解質の質量含有率とが異なり、前記第一の発熱部及び前記第二の発熱部のいずれかのうち電解質の質量含有率が低い方の発熱部が、更に水溶性非電解質を含有する、温熱具。
  2. 前記第二の発熱部は、前記袋体の連続した空間内に、前記第一の発熱部から離間して配置されている、請求項1に記載の温熱具。
  3. 前記第一の発熱部中の電解質の質量含有率が、前記第二の発熱部中の電解質の質量含有率よりも高く、前記第二の発熱部が、前記水溶性非電解質を含み、
    前記第二の発熱部中の前記水溶性非電解質の含有量が、前記第二の発熱部の電解質の含有量に対して3質量倍以上200質量倍以下である、請求項1または2に記載の温熱具。
  4. 前記第一の発熱部中の電解質の含有量が、前記第二の発熱部中の電解質の含有量に対して7質量倍以上200質量倍以下である、請求項1乃至いずれか一項に記載の温熱具。
  5. 前記第一の発熱部中の電解質の質量含有率が、前記第二の発熱部中の電解質の質量含有率よりも高く、
    前記第一の発熱部中の電解質の含有量が、前記第一の発熱部中の被酸化性金属100質量部に対して3質量部以上17質量部以下である、請求項1乃至いずれか一項に記載の温熱具。
  6. 前記第二の発熱部中の電解質の質量含有率が、前記第一の発熱部中の電解質の質量含有率よりも低く、
    前記第二の発熱部中の電解質の含有量が、前記第二の発熱部中の被酸化性金属100質量部に対して0.02質量部以上1.6質量部以下である、請求項1乃至いずれか一項に記載の温熱具。
  7. 前記第一の発熱部が平面視において前記発熱体の中央に配置され、前記第二の発熱部が平面視において前記発熱体の側部に配置されている、請求項1乃至いずれか一項に記載の温熱具。
  8. 前記第一の発熱部が平面視において第二の発熱部を取り囲むように配置されている、請求項1乃至いずれか一項に記載の温熱具。
  9. 前記袋体の連続した空間内に、複数の前記第一の発熱部、又は、複数の前記第二の発熱部が収容されている、請求項1乃至いずれか一項に記載の温熱具。
  10. 前記被酸化性金属の酸化とともに水蒸気を発生するものである、請求項1乃至いずれか一項に記載の温熱具。
  11. 前記発熱組成物が増粘剤を含有する、請求項1乃至10いずれか一項に記載の温熱具。
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