JP6008587B2 - 温熱具 - Google Patents

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Description

本発明は、温熱具に関する。
従来、鉄粉等の被酸化性金属、塩化ナトリウム等の電解質及び水を含んで構成されており、被酸化性金属が空気中の酸素と接触して酸化し、その酸化反応により生じる酸化熱によって発熱する発熱組成物が知られている。この発熱組成物を利用した発熱体として、例えば、特許文献1、2記載のシート状発熱体が挙げられる。
特許文献1には、繊維層と発熱層との間に熱融着性を有する繊維からなる熱融着部層を設ける共に、繊維層の厚さに対して20〜75%の深さを有する凹状陥没部を形成させることで、人体への密着性に優れ、安定した発熱性能を有する、ことが記載されている。
特許文献2には、紙綿、紙綿と他の繊維の混合繊維等の繊維を積繊して成る積繊体により発熱組成粉体を包み込み、積繊体を含む全体をシート状にエンボス加工又はプレス加工したシート状発熱体が記載されている。このシート状発熱体によれば、発熱組成粉体を確実に保持できると共に、使用時の発熱組成粉体の片寄りを防止でき、しかも発熱初期は勿論のこと発熱終了段階まで柔らかさを維持でき、更には能率的に製造できるとされている。
特開2001−149401号公報 特開2006−6526号公報
しかしながら、生産コストの削減、環境負荷の低減等の観点から、より少ない金属量で、よりいっそう発熱特性を向上できる技術が求められているところ、上記文献記載の発熱体では、加熱圧縮処理やエンボス加工により凹凸面を形成させるものであるため、圧縮前後で被酸化性金属の量に変化はなく、よって、使用する金属量を減少させることはできない。
本発明者らは、従来のシート状発熱体に対して、圧力で表面の一部を押しつぶして凹凸面を形成させるのではなく、凹部と凸部との密度の比を実質的に同一としつつ凹凸面を形成させて温熱具全体で使用する被酸化性金属の量を低減させた場合、部分的に発熱特性が低下してしまうという新たな課題を発見した。そしてかかる課題に対して、凹部及び凸部を特定の配置とすることで、発熱体全域にわたって高い発熱特性を有する温熱具が得られることを本発明者らは見出した。すなわち、発熱層に、第一発熱部と、第一発熱部よりも厚みの薄い第二発熱部とを隣接又は連続して形成し、さらに、第二発熱部を複数の第一発熱部で挟まれて配置させることで、発熱層の一方の面に凹凸面を形成し、且つ、第一発熱部の被酸化性金属の密度と、第二発熱部の被酸化性金属の密度とを実質的に同一とする構成により、温熱具全体で使用する被酸化性金属の量を低減させつつも温熱具全域にわたって高い発熱特性を実現できることを見出した。
このような温熱具によれば、凹部を構成する第二発熱部が、第一発熱部に比べて相対的に金属量が少なくなる部位となるため、凹部に沿って発熱層を折り曲げやすくなり、温熱具をコンパクトに収容することもできる。また、発熱層の表面に凹凸面を有するため、柔軟性に優れる温熱具とすることも可能である。
すなわち、本発明は、
被酸化性金属、電解質、反応助剤及び水を含有し、金属の酸化によって発熱する発熱組成物からなる発熱層を有する温熱具であって、
前記発熱層は、
第一発熱部と、
前記第一発熱部に隣接又は連続しており、前記第一発熱部よりも厚みの薄い第二発熱部と、
を有し、
前記第二発熱部が複数の前記第一発熱部で挟まれて配置することで、前記発熱層の一方の面に凹部が形成されており、
前記第一発熱部の前記被酸化性金属の密度に対する、前記第二発熱部の前記被酸化性金属の密度の比(第一発熱部の被酸化性金属密度/第二発熱部の被酸化性金属密度)が110%以下90%以上である、温熱具
を提供するものである。
本発明によれば、より少ない金属量で、より高い発熱特性が得られる温熱具を提供することができる。また、本発明によれば、収容性に優れ、かつ、柔軟性を有する温熱具とすることができる。
実施の形態に係る温熱具を模式的に示した平面図である。 実施の形態に係る温熱具を模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る温熱具の変形例を模式的に示した平面図である。(a)乃至(e)は、いずれも、平面視における発熱層のパターン構造を示す。 実施の形態に係る温熱具の変形例を模式的に示した平面図である。(a)乃至(c)は、いずれも、平面視における発熱層のパターン構造を示す。 実施の形態に係る温熱具の製造方法の一例を説明する図である。 実施の形態に係る温熱具の具体例を示す平面図である。 実施の形態に係る温熱具の具体例を示す断面図である。 実施例及び比較例に係る温熱具を示す図である。(a)乃至(c)が実施例を示す断面図であり、(d)、(e)が比較例を示す断面図である。 実施例及び比較例の評価方法を説明する図である。(a)は、評価方法に用いた構成を示す斜視図であり、(b)は、評価方法を説明する平面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、本実施の形態の温熱具を示す平面図である。また、図2は、図1で示す温熱具1のA−A断面図である。温熱具1は、被酸化性金属、電解質、反応助剤及び水を含有し、金属の酸化によって発熱する発熱組成物からなる発熱層10が、少なくとも一部が通気性を有する袋体20に収容されてなるものである。発熱層10は、第一発熱部101(図1、2では、101a、101b)と、第一発熱部101a、101bに隣接又は連続しており第一発熱部101よりも厚みの薄い第二発熱部102とを備える。第二発熱部102が、第一発熱部101a、101bで挟まれて配置されていることで、発熱層10の一方の面S1に凹部103が形成されている。
本発明において、「隣接又は連続」とは、第一発熱部101と第二発熱部102との間には、本発明の効果を奏する範囲で隙間が形成されていてもよいことを意味し、具体的には、本発明において、第一発熱部101と第二発熱部102との間には、第一発熱部101又は第二発熱部102の幅よりも狭い隙間が形成されていればよく、5mm以下の隙間であればより好ましく、図1、2で示すように、隙間なく第一発熱部101と第二発熱部102とが接していることが更に好ましく、第一発熱部102と第二発熱部102とが連続一体成形されていることがより更に好ましい。
温熱具1は、被酸化性金属の酸化反応によって発熱して温熱効果を付与するものであり、JIS規格S4100(1996年版)による測定において、発熱温度40℃以上60℃以下の性能を有することができる。温熱具1は、水蒸気の発生を伴う蒸気発熱具の形態であってもよいし、水蒸気の発生を実質的に伴わずに発熱する、いわゆる使い捨てカイロの形態であってもよい。水蒸気の発生を伴う蒸気発熱具であると、本発明の温熱具による、より高い発熱特性に伴って、より高い水蒸気発生特性を有する温熱具が提供され好ましい。
被酸化性金属としては、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム等の粉末や繊維が挙げられる。前記被酸化性金属の各成分から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましいが、これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コストの点から鉄が好ましく、鉄粉を用いることがより好ましい。被酸化性金属の含有量は、発熱層1cmあたり0.02〜0.5gが好ましい。
電解質としては、水に電解して被酸化金属の酸化を促進するものが良く、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は重金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物若しくは水酸化物等が挙げられる。前記電解質の各成分から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましいが、中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から塩化物がより好ましく、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及び、塩化鉄(第1、第2)を1種又は2種以上を用いることが更に好ましい。電解質の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、5〜12質量部が好ましい。
水の含有量は、被酸化金属の酸化を良好に進行させる点等から被酸化性金属100質量部に対して、55〜65質量部が好ましい。
反応助剤としては、活性炭を用いることが好ましく、活性炭としては、例えば、椰子殻炭、木炭、暦青炭、泥炭及び亜炭から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。反応助剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、6〜12質量部が好ましい。
発熱層10は、粉体状であってもよいし、シート状であってもよいが、第一発熱部101a、101b及び第二発熱部102の密度を実質的に同一にしつつ、厚みを制御よく設計かつ作製できるという観点からシート状であることが好ましい。シート状の発熱層10としては、発熱組成物を湿式抄造してなるもの、発熱組成物を紙等の基材で挟持してなるもの、発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるもの等が挙げられる。特に、発熱層10は、発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるものであると、実質的に同一の密度の凹凸を形成することが非常に容易であり、より少ない金属量で、より高い発熱特性が得られ、収容性に優れ、かつ、柔軟性を有する温熱具が得られる点で、特に好ましい。
発熱層10が発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるものである場合、更に、発熱組成物中に増粘剤を含有させると、実質的に同一の密度の凹凸を形成することが非常に容易となり好ましい。この場合、発熱組成物中に含まれる増粘剤としては主として、水分を吸収して稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質を用いることができ、アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;及び、ベントナイトなどの鉱物系増粘剤から選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いることができる。中でも、実質的に同一の密度の凹凸を形成することが非常に容易となる点で多糖類系増粘剤が好ましく、キサンタンガムがより好ましい。増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.2質量部以上であり、5質量部以下が好ましく、より好ましくは4質量部以下である。そして、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜4質量部がより好ましい。
第一発熱部101中の被酸化性金属の密度と、第二発熱部102中の被酸化性金属の密度とは、実質的に同一である。本発明でいう、被酸化性金属の密度が「実質的に同一」とは、第一発熱部101中の被酸化性金属の密度に対する、第二発熱部102中の被酸化性金属の密度の比(第一発熱部の被酸化性金属密度/第二発熱部の被酸化性金属密度)が、110%以下90%以上であることをいう。第一発熱部の被酸化性金属密度/第二発熱部の被酸化性金属密度は、110%以下であるが、好ましくは105%以下であり、90%以上であるが、95%以下が好ましい。そして、103%以下98%以上であると好ましい。第一発熱部101の被酸化性金属の密度と第二発熱部102の被酸化性金属の密度とが同一であることがさらに好ましい。このように、第一発熱部101の被酸化性金属の密度と第二発熱部102の被酸化性金属の密度とが実質同一で、且つ、第一発熱部と、第一発熱部よりも厚みの薄い第二発熱部とが隣接又は連続して形成されることにより、より少ない金属量でより高い発熱特性が得られる。
なお、第一発熱部と第二発熱部とが隣接又は連続しているとは、前述のとおり、第一発熱部と第二発熱部とが一体化して連続一体的に連続している構成のみならず、第一発熱部101と第二発熱部102との間は、第一発熱部101又は第二発熱部102の幅よりも狭い隙間が形成されていればよく、第一発熱部101と第二発熱部102との間の距離が第二発熱部102の厚み(h)よりも短いと更に好ましい。
第一発熱部101の厚み(h)は、第二発熱部102の厚み(h)よりも厚ければよいが、温熱具1の使用時において、発熱に必要とされる被酸化性金属の量と酸素量とのバランスをいっそう向上させつつ、発熱反応を促進するための熱量を確保して、より少ない金属量でより高い発熱特性が得られるという観点から、第一発熱部101の厚み(h)に対する第二発熱部102の厚み(h)の割合((h2/h1)×100)が好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、好ましくは75%以下、より好ましくは45%以下である。また、10〜75%以下であることが好ましく、20〜45%であることがより好ましい。
凹部103の形成された発熱層10の一方の面S1の反対面S2は、平坦面であってもよいし、凹凸面が形成されていてもよいが、平坦面であることが好ましい。図2では、反対面S2の全面が平坦である例を示す。凹部103の形成された発熱層10の一方の面S1の反対面S2が平坦であることにより、平坦な反対面S2側を身体から遠い面として適用した場合、適用部位に対して優れた温熱効果を付与することができる。
平面視において、発熱層10の一方の面S1全体に占める凹部103の底面積の割合は、発熱特性を十分に発揮させるという観点から、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。そして、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。また、5%以上80%以下であることが好ましく、10%以上70%以下であることがより好ましい。なお、図1、2に示す例では、凹部103の底面積は、第二発熱部102の面S1側の露出面の面積と同じである。
発熱層10の形状としては、図1で示す正方形に限定されず、平面視において、矩形、台形、平行四辺形、三角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等、種々のものが挙げられるが、容易に製造できるという観点から矩形が好ましい。
図1では、発熱層10の少なくとも端部又は角部に第一発熱部101(101a、101b)が配置されている例を示す。具体的には、ストライプ状の第一発熱部101(101a、101b)及び第二発熱部102が、第一発熱部101が端部となるよう第二発熱部102を挟み込んで並列して配置されている例を示す。従来の平坦な発熱体では端部領域の温度が低下してしまうところ、本発明のように第一発熱部101が端部となるよう第二発熱部102を挟み込んで並列して配置されることで、発熱層の端部の温度低下を防止しつつ、より少ない金属量で、より高い発熱特性が得られる温熱具を提供することができる。
ストライプ状の第一発熱部101及び第二発熱部102を並列して配置させる態様の別の例として、図3に示すものが挙げられる。図3は、図1で示す温熱具1の変形例を示す平面図である。図3では、発熱層10のみを示し、他の構成は省略している。図3で示す発熱層もまた、図1、2の例と同様に、一方の面に凹部が形成されており、凹部の形成面の反対面は、平坦面となっている。図3(a)の例では、発熱層として、ストライプ状の第一発熱部101及び第二発熱部102を並列して配置させる構成において、複数の第二発熱部102a、102bを設けて、複数の凹部(図3中、図示せず)を形成させている。図1では、第一発熱部101a、101bの幅と、第二発熱部102の幅とが、同一である例を示したが、図3(b)で示すように、第二発熱部102の幅が第一発熱部101a、101bの幅よりも大きくてもよいし、図3(c)で示すように、第二発熱部102の幅が第一発熱部101a、101bの幅よりも小さくてもよい。また、図1では、第一発熱部101aと、第一発熱部101bとの幅が同一である例を示したが、図3(d)のように、第一発熱部101aと、第一発熱部101bとの幅が、異なっていてもよい。また、図3(a)では、第二発熱部102aの幅と、第二発熱部102bの幅とが同一である例を示すが、図3(e)のように、第二発熱部102a、102bの幅が異なっていてもよい。
図4は、図1で示す温熱具1の変形例を示す平面図である。図4(a)及び(b)は、図1で示す温熱具1の変形例を示す平面図であり、図4(c)は、図2で示す温熱具1の変形例を示す断面図である。図4では、発熱層10のみを示し、他の構成は省略している。図4(a)及び(b)で示す発熱層もまた、図1、2の例と同様に、一方の面に凹部が形成されており、凹部の形成面の反対面は、平坦面となっている。図4(a)では、平面視において矩形の第一発熱部101を複数配置させる例を示す。図4(b)では、発熱層の周縁全体に第1発熱部101を配置させる例を示す。図4(c)では、発熱層10の両面に凹部103が形成された例を示す。図4(c)の発熱層10の平面図10は、図1と同じである。中でも、図4(b)の構成であると、第一発熱部101が全周を取り囲む周縁部となるよう第二発熱部102を挟み込んで配置されているため、発熱層の端部の温度低下を防止しつつ、より少ない金属量で、より高い発熱特性が得られる温熱具を提供することができる点で好ましい。
図3、図4で示すように、種々の形状の第一発熱部及び第二発熱部を種々の態様で配置させることで、温熱具1の発熱特性を向上させつつ、柔軟性が優れるため適用部位に対するフィット性がより一層向上した温熱具1とすることができる。
本発明の温熱具1は、前述のとおり、被酸化性金属、電解質、反応助剤及び水を含有し、金属の酸化によって発熱する発熱組成物からなる発熱層10が、少なくとも一部が通気性を有する袋体20に収容されてなるものである。すなわち、袋体20は、少なくとも一部が通気性であり、発熱部10を収容するものである。袋体20は、2枚のシートの周縁部を貼り合せて構成させることができるが、このようなシートとしては、通気性を有する部分として、通気性シート、不織布と通気性シートとをラミネートした積層シート、編み物地と通気性シートとをラミネートした積層シート等を用いることが好ましい。
通気性シートとしては、樹脂製の多孔質シートや通気穴を有する樹脂製のシートを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を使用することができる。その厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。樹脂製の多孔質シートとしては、具体的には、熱可塑性樹脂及び該樹脂と相溶性のない有機又は無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に成形し、一軸又は二軸延伸して得られたものであり、微細な多孔質構造になっているものや、通気穴を有する樹脂製のシートとしては非通気性シートや難通気性シートに針等で微細穴を設けたものや、あるいは前述の通気性シートに更に針等で微細穴を設けたものが好ましい。
なお、袋体20は、同種又は異種のシートを用い、一のシート(201)で、凹部103の形成された発熱層10の一方の面S1を覆い、他のシート(202)で、反対面S2を覆い、周縁部を熱融着、超音波接合、接着剤による接着等によってシールすることで袋体20を構成してもよい。この場合、凹部103の形成された発熱層10の一方の面S1側、又は、反対面S2側の一方に通気性シートを用いることで凹部103の形成された発熱層10の一方の面S1側、又は、反対面S2側の一方のみを通気性としてもよいし、凹凸の形成された発熱層10の一方の面S1側、及び、反対面S2側の両方を通気性にしてもよい。特に、好ましくは、凹部103の形成された発熱層10の一方の面S1側の通気性が反対面S2側の通気性よりも高いことが好ましい。
具体的には、凹部103の形成された発熱層10の一方の面S1側の袋体シート201は、その一部又は全部が通気性を有していると好ましく、その通気度(JIS規格P8117(2009年版))は、好ましくは100秒/100ml以上、より好ましくは1,000秒/100ml以上、更に好ましくは2,000秒/100ml以上である。そして、好ましくは100,000秒/100ml以下、より好ましくは70,000秒/100ml以下、更に好ましくは50,000秒/100ml以下である。また、好ましくは100秒/100ml〜100,000秒/100ml、より好ましくは1,000秒/100ml〜70,000秒/100ml、更に好ましくは2,000秒/100ml〜50,000秒/100mlである。
一方、反対面S2側の袋体シート202は、通気性を有する通気性シートであってもよいし、通気性を有しない非通気性シートであってもよいが、一方の面S1側の袋体シート201よりも通気性の低い難通気性シートであることが好ましい。難通気性シートとしては、実質的に酸素を透過しないものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニリデン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフォン、ポリアミド等を使用することができる。その厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。
図1、2には、簡略化のため、袋体20にのみ収容された構成を示すが、袋体20を、更に、使用感を高めるため風合いの良好なシート材料である不織布製の第二袋体30に収容した構成としても良い。第二袋体30は、坪量5g/m2以上200g/m2以下の2枚のシートの周縁部を貼り合せて構成させることができるが、軽量化等の観点から、坪量20g/m2以上90g/m2以下のシートであることが好ましい。このようなシートとしては、不織布、編み物地等が挙げられる。
不織布としては、1種又は2種以上の繊維を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブローン法、カード法、熱融着法、水流交絡法、溶剤接着法により製造されたものを用いることができる。特に、風合いや、弾力性の観点から、伸縮性を有する不織布を用いることが好ましい。伸縮性を有する不織布としては、構成繊維として弾性繊維(例えば、ポリウレタン、ポリエステル)や立体捲縮性繊維を含む不織布が好ましく、例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布等が好ましい。
具体的な不織布の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリル等を含む合成繊維;セルロース、シルク、コットン、ウール等を含む天然繊維;あるいはそれらを複合した繊維等が挙げられる。
つづいて、本発明の温熱具1の製造方法について説明する。ここでは、発熱層10として、発熱シートのうち特に繊維シートと呼ばれる、繊維を含有したものと、塗布シートと呼ばれる発熱組成物を紙等に塗布してなるものの製造例について説明する。
繊維シートの形態の発熱層10は、被酸化性金属、反応助剤及び繊維状物を含有する成形シートに、電解質の水溶液を含有させて作製することができる。
また、塗布シートの形態の発熱層10は、被酸化性金属、反応助剤、及び水、必要に応じて電解質や増粘剤を含む発熱粉体水分散物を紙等の基材に塗布して作製することができる。
塗布シートからなる発熱層10を有する発熱具1の製造方法の一例について、以下具体的に説明する。図5は、この製造方法を説明する図である。まず、塗工槽301内で、攪拌器303を用いつつ、被酸化性金属、並びに、反応助剤、必要に応じて電解質や増粘剤を水に均一に分散させて、発熱粉体水分散物302を調製する。
ついで、ポンプ304により発熱粉体水分散物302をダイヘッド305までくみ上げる。くみ上げた発熱粉体水分散物302は、ダイヘッド305を用いて、加圧して押し出しながらシート状基材306に塗工する。
シート状基材306は、繊維材料を含む繊維シートから構成されていても良い。シート状基材は、一層の繊維シートから構成されていてもよいし、二層以上が積層されていてもよい。シート状基材は、高吸収性ポリマーの粒子を含むことが好ましい。
繊維材料としては、親水性繊維及び疎水性繊維のいずれをも用いることができるが、親水性繊維を用いることが好ましく、中でもセルロース繊維を用いることがより好ましい。セルロース繊維としては、化学繊維(合成繊維)又は天然繊維のいずれも用いることができる。
親水性の化学繊維としては、例えばレーヨン又はアセテート及びこれらの混合繊維を用いることができる。一方、天然繊維としては、各種の植物繊維、木材パルプ、非木材パルプ、木綿、麻、麦藁、ヘンプ、ジュート、カポック、やし、いぐさ等を用いることができる。これらのセルロース繊維のうち、木材パルプを用いることが好ましい。
高吸収性ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持でき且つゲル化し得るヒドロゲル材料を用いることが好ましい。高吸収性ポリマーの形状は、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状等であることが好ましい。高吸収性ポリマーの粒径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上である。そして、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。また、1〜500μmが好ましく、10〜1000μmがより好ましい。なお、高吸収性ポリマー粒子の粒径は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
高吸収性ポリマーの具体例としては、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体などが挙げられる。
シート状基材306に発熱粉体水分散物302を塗工する際、発熱粉体水分散物302の塗工坪量は、好ましくは150g/m以上、より好ましくは300g/m以上である。そして、好ましくは4,600g/m以下、より好ましくは2,200g/mである。また、150〜4,600g/mが好ましく、300〜2,200g/mがより好ましい。ダイヘッド305の吐出口から排出する発熱粉体水分散物302の量を制御することで第一発熱層101及び第二発熱層102を作製することができる。
なお、図5では、ダイコーティングによる塗工を例示したが、塗工方法は、これに限定されず、例えば、ロール塗布、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーディング、カーテンコーター等などを用いることもできる。
以上の操作により、連続長尺物が得られるので、これを任意の大きさに裁断することで、発熱層10が形成される。その後、毎葉の発熱層10を袋体20に収容し、更に好ましくは、使用感を高めるため風合いの良好なシート材料である不織布製の第二袋体30(図示せず)に収容し、温熱具1を得る。
得られた温熱具1は、次工程において、酸素バリア性を有する包装袋(図示せず)内に密封収容させることが好ましい。
このようにして製造された温熱具1は、人体に直接適用されるか、又は衣類に適用されて、人体の加温や水蒸気付与に好適に用いられる。人体における適用部位としては、肩、首、目、腰、肘、膝、大腿、下腿、腹、下腹部、手及び足から選択される1又は2以上の部位が挙げられる。また、人体のほかに、各種の物品に適用されてその加温や保温等にも好適に用いられる。
温熱具1の具体的な一例として、図6、7に腰に適用する温熱具6の図を示す。図6は温熱具6の平面図であり、図7は、図6のB−B断面図である。図6では、発熱層60が横長形状をしており、第一発熱部101a、101bと第二発熱部102a、102bとがストライプ状に連続している。発熱層60は、矩形の袋体20に収容された上で、更に、略楕円形の第二袋体30に収容されている。
図6、7に示す例では、発熱層60の中心線L上に第二発熱部102bを配置し、これを2つの第一発熱部101aで挟むことで、発熱層60の中心線L上に凹部103が形成されている。第二発熱部102bは、金属量が第一発熱部101a、101bより少ないため、温熱具6は、中心線Lで折り曲げやすくなる。
このように、本発明では、第二発熱部が第一発熱部で挟まれて配置することにより形成された凹部を備えるため、より少ない金属量で、より高い発熱特性が得られる温熱具を提供することができるのみならず、凹部上で折り曲げてコンパクトに包装袋に収容させることができるというメリットもある。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記実施の形態では、図1乃至4、及び図6、7中、一の部材として示された第一発熱部及び第二発熱部は、図示するように連続一体的な部材であってもよいし、複数の部材を隣接させた構成であってもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の態様を含む。
<1>被酸化性金属、電解質、反応助剤及び水を含有し、金属の酸化によって発熱する発熱組成物からなる発熱層を有する温熱具であって、前記発熱層は、第一発熱部と、前記第一発熱部に隣接又は連続しており、前記第一発熱部よりも厚みの薄い第二発熱部と、を有し、前記第二発熱部が複数の前記第一発熱部で挟まれて配置することにより、前記発熱層の一方の面に凹部が形成されており、前記第一発熱部の前記被酸化性金属の密度に対する、前記第二発熱部の前記被酸化性金属の密度の比(第一発熱部の被酸化性金属密度/第二発熱部の被酸化性金属密度)が110%以下90%以上である、温熱具である。
<2>前記発熱層の前記凹部形成面の反対面が、平坦面である、<1>に記載の温熱具。
<3>前記発熱層は、複数の前記凹部を有する、<1>又は<2>に記載の温熱具。
<4>前記発熱層は、少なくとも端部に前記第一発熱部が配置されている、<1>〜<3>いずれか1に記載の温熱具。
<5>前記発熱層は、少なくとも角部に前記第一発熱部が配置されている、<1>〜<4>いずれか1に記載の温熱具。
<6>前記発熱層が、前記被酸化性金属の酸化とともに水蒸気を発生するものである、<1>〜<5>いずれか1に記載の温熱具。
<7>平面視において、前記発熱層の一方の面全体に占める前記凹部の底面積の割合が5%以上であって、10%以上が好ましく、80%以下であって、70%以下が好ましい<1>〜<6>いずれか1に記載の温熱具。
<8>前記第一発熱部の厚みに対する前記第二発熱部の厚みの割合が10%以上であって、20%以上が好ましく、75%以下であって、45%以下が好ましい<1>〜<7>いずれか1に記載の温熱具。
<9>前記発熱層が、増粘剤、好ましくは多糖類系増粘剤、より好ましくはキサンタンガムを含有する発熱組成物からなる<1>〜<8>いずれか1に記載の温熱具。
<10>前記増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上であり、0.2質量部以上が好ましく、5質量部以下であり、4質量部以下であることが好ましい<1>〜<9>いずれか1に記載の温熱具。
<11>前記第二発熱部の前記被酸化性金属の密度の比が110%以下90%以上である<1>〜<10>いずれか1に記載の温熱具。
<12><1>〜<11>いずれか1に記載の温熱具が凹部103の形成された発熱層10の一方の面S1の反対面が平坦面であり、平坦面側を身体から遠い面として身体、好ましくは肩、首、目、腰、肘、膝、大腿、下腿、腹、下腹部、手及び足裏から選択される1又はに2以上の部位に適用して温熱を付与する温熱具の使用方法。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
製造例1 発熱シートの作製
<原料組成物配合>
・被酸化性金属:鉄粉、同和鉱業株式会社製、商品名「RKH」:83%
・繊維状物:パルプ繊維(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名 NBKP「Mackenzi(CSF200mlに調整)」):9%
・活性炭:平均粒径45μm、(日本エンバイロケミカル株式会社製、商品名「カルボラフィン」):8%
前記原料組成物の固形分(被酸化性金属、繊維状物及び活性炭の合計)100部に対し、水(工業用水)を、固形分濃度が12%となるまで添加しスラリーを得た。
<抄造条件>
前記スラリーを用い、これを抄紙ヘッドの直前で0.3%に水希釈し、傾斜型短網抄紙機によって、ライン速度15m/分にて抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。
<乾燥条件>
湿潤状態の成形シートをフェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま140℃の加熱ロール間に通し、含水率が5%以下になるまで乾燥した。乾燥後の坪量は450g/m2、厚さは0.45mmであった。このようにして得られた成形シートの組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄83%、活性炭9%、パルプ8%であった。
<発熱シートの作製>
得られた成形シートに、該成形シート100部に対し電解液量が43部となるように、下記電解液を注入した。毛管現象を利用して成形シート全体に電解液を浸透させて、矩形の発熱シート(坪量:460g/m)を得た。
<電解液>
電解質:精製塩(NaCl)
水:工業用水
電解液濃度:5%
実施例1
発熱層10のパターンが図8(a)で示す構成を有する以外は、図1、2で示すとおりの温熱具1を作製した。
具体的には、製造例1に示す方法で縦49mm×横9.9mm×高さ0.5mmの長方形の発熱シートを作製した。これを3枚重ねたものを2つ並列することで、縦49mm×横19.8mm×高さ1.5mmの長方形からなる第一発熱部101a、101bをそれぞれ作製した。また、1層の発熱シートからなる縦49mm×横9.9mm×高さ0.5mmの長方形の第二発熱部102を作製し、第一発熱部101aと101bとで、第二発熱部102を挟むことにより、平面視において図3(c)で示すパターンを有する、一辺が49mmの正方形の発熱層10を作製した。なお、得られた発熱層10は、第一発熱部101a、101bの被酸化性金属密度/第二発熱部102の被酸化性金属密度が同一であり、第一発熱部101a、101bと第二発熱部102との間隙の距離は、いずれも0mmであった。
凹部103を有する面(発熱層10の一方の面)S1側を、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(JIS規格P8117(2009年版)による通気度2万秒)で覆い、凹部103を有する面(発熱層10の一方の面)S1の反対面S2を、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(JIS規格P8117(2009年版)による通気度8万秒)で覆い、周縁部においてフィルムどうしを接合することで、発熱層10を袋体20に密閉収容し、被酸化性金属の酸化とともに発熱層10の一方の面S1側の透湿性フィルムから、反対面S2側の透湿性フィルムからより多量に水蒸気を発生するタイプの温熱具1を得た。
実施例2
発熱層10のパターンが図8(b)で示す構成を有する以外は、実施例1と同じ温熱具1を作製した。
具体的には、製造例1に示す方法で縦49mm×横9.9mm×高さ0.5mmの長方形の発熱シートを作製した。これを3枚ずつ重ねて、縦49mm×横9.9mm×高さ1.5mmの長方形の第一発熱部101a、101bをそれぞれ作製した。また、1層の発熱シートからなる縦49mm×横9.9mm×高さ0.5mmの長方形の第二発熱部102a、102bを作製し、第一発熱部101aと101bとで、第二発熱部102a、102bをそれぞれ挟むことにより、平面視において図3(a)で示すパターンを有する、一辺が49mmの正方形の発熱層10を作製した。なお、得られた発熱層10は、第一発熱部101a、101bの被酸化性金属密度/第二発熱部102a、102bの被酸化性金属密度が同一であり、第一発熱部101a、102bと第二発熱部102aとの間隙の距離、及び、第一発熱部101a、102bと第二発熱部102bとの間隙の距離は、いずれも0mmであった。その後は実施例1と同様な方法で、発熱層10を袋体20に収容し、被酸化性金属の酸化とともに水蒸気を発生するタイプの温熱具1を得た。
実施例3
発熱層10のパターンが図8(c)で示す構成を有する以外は、実施例1と同じ温熱具1を作製した。
具体的には、製造例1に示す方法で縦49mm×横9.9mm×高さ0.5mmの長方形の発熱シートを作製した。これを3枚重ねて、縦49mm×横9.9mm×高さ1.5mmの長方形からなる第一発熱部101a、101bをそれぞれ作製した。また、縦49mm×横9.9mm×高さ0.5mmの長方形からなる1層の発熱シートを3つ並列させることで、縦49mm×横29.7mm×高さ0.5mmの長方形からなる第二発熱部102を作製し、第一発熱部101aと101bとで、第二発熱部102を挟むことにより、平面視において図3(b)で示すパターンを有する、一辺が49mmの正方形の発熱層10を作製した。なお、得られた発熱層10は、第一発熱部101a、101bの被酸化性金属密度/第二発熱部102の被酸化性金属密度が同一であり、第一発熱部101a、101bと第二発熱部102との間隙の距離は、いずれも0mmであった。
その後は実施例1と同様な方法で、発熱層10を袋体20に収容し、被酸化性金属の酸化とともに水蒸気を発生するタイプの温熱具1を得た。
実施例4
発熱層10のパターンが図8(b)で示す構成を有するが、第一発熱部の発熱シートの積層枚数を2枚とする以外は、図1、2で示すとおりの温熱具1を作製した。
具体的には、製造例1に示す方法で作製した発熱シートを2枚重ねて、縦49mm×横9.9mm×高さ1.0mmの長方形からなる第一発熱部101a、101bをそれぞれ作製した。また、1層の発熱シートからなる縦49mm×横9.9mm×高さ0.5mm第二発熱部102a、102bを作製し、第一発熱部101aと101bとで、第二発熱部102a、102bをそれぞれ挟むことにより、平面視において図8(b)で示すパターンを作製した。なお、得られた発熱層10は、第一発熱部101a、101bの被酸化性金属密度/第二発熱部102a、102bの被酸化性金属密度が同一であり、第一発熱部101a、101bと第二発熱部102aとの間隙の距離、及び、第一発熱部101a、101bと第二発熱部102bとの間隙の距離は、いずれも0mmであった。
その後は実施例1と同様な方法で、発熱層10を袋体20に収容し、被酸化性金属の酸化とともに水蒸気を発生するタイプの温熱具1を得た。
比較例1
製造例1に示す方法で、一辺が49mmの正方形の発熱シートを作製し、これを3枚積層して、一辺が49mm×高さ1.5mmの正方形の発熱層90(図8(d))を作製した。
炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(JIS規格P8117(2009年版)による通気度8万秒)で、発熱層90の一方の面を覆い、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(JIS規格P8117(2009年版)による通気度2万秒)で、発熱層90の他方の面を覆い、周縁部においてフィルムどうしを密閉接合することで、発熱層90を袋体80に収容し、被酸化性金属の酸化とともに一方の面側の透湿性フィルムよりも他方の面側の透湿性フィルムからより多量に水蒸気を発生するタイプの温熱具を得た。
比較例2
製造例1に示す方法で、縦49mm×横9.9mm×高さ0.5mmの長方形の発熱シートを作製し、3枚ずつ積層して、3層構造の発熱層90a、90b、90cを3つ作製した。3つの発熱層90a、90b、90cを幅9.9mmで離間して並列させることで、図3(a)で示すパターンにおいて、第二発熱部102a、102bを有しないパターンを形成させた(図8(e))。
これを、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(JIS規格P8117(2009年版)による通気度8万秒)で、発熱層90a、90b、90cの一方の面を一括で覆い、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(JIS規格P8117(2009年版)による通気度2万秒)で、発熱層90a、90b、90c他方の面を一括で覆い、周縁部においてフィルムどうしを密閉接合することで、3つの発熱層90a、90b、90cを1つの袋体80に収容し、被酸化性金属の酸化とともに一方の面側の透湿性フィルムよりも他方の面側の透湿性フィルムからより多量に水蒸気を発生するタイプの温熱具を得た。
比較例3
製造例1に示す方法で、一辺が49mmの正方形の発熱シートを作製し、これを2枚積層する以外は比較例1と同じ方法で、一辺が49mm×高さ1.0mmの正方形の発熱層90を作製した。比較例1と同様にして、発熱層90を袋体80に収容し、被酸化性金属の酸化とともに水蒸気を発生するタイプの温熱具を得た。
実施例1〜3、及び、比較例1、2の温熱具の断面図を図8に示す。図8(a)は、実施例1の断面図であり、図8(b)は、実施例2の断面図であり、図8(c)は、実施例3の断面図であり、図8(d)は、比較例1の断面図であり、図8(e)は、比較例2の断面図である。なお、実施例4の断面図は、第一発熱部101の厚みが異なる以外は、図8(b)と同じであり、比較例3の断面図は、発熱層90の厚みが異なる以外は、図8(d)と同じである。実施例1〜4及び比較例1〜3について、平面視において、凹部形成面全体に占める凹部103の底面積(第二発熱部102の露出面)の割合(%)、及び、実施例1〜4について、第一発熱部101の厚み(h)に対する第二発熱部の厚み(h)の割合((h/h)×100)(%)は、表1、2に示した。
発熱特性の評価
図9(a)に示すように、35℃のプレート上に、ポリプロピレン製の不織布F(製品名:エラクサスF0401)で包んだ温熱具Hを、図8の矢印で指す面、すなわち、凹部103の形成された発熱層10の一方の面S1の反対面S2がプレートPに接するように戴置し、綿製の織布W(厚さ5mmのネル(綿100%、テックス番手5.905双糸))で上部を覆い、温度ロガー(グラム社製、LT8A)をプレートPと温熱具Hの間に挿入し、温度を測定した。温度は、図8の矢印で指す面から測定した。図9(b)で示す、一辺が49mmの正方形からなる仮想の枠に発熱層10(比較例1、3では発熱層90、比較例3では発熱層90a、90b、90cを収めたときの、中央領域C、4等分領域Q、及び端部領域E)のそれぞれの位置における最高温度、及び、発熱後60〜180分の平均温度を表1、2に示した。なお、実施例1〜4及び比較例2は、中央領域C、4等分領域Q、及び端部領域Eの延在方向と、第一発熱部101a、101b又は発熱層90a、90b、90cの延在方向とが一致するようにして、温度測定を行った。
Figure 0006008587
Figure 0006008587
実施例1、2の温熱具では、比較例1に比べて、それぞれ、13%、27%被酸化性金属の量が減少しているにもかかわらず、表1で示すように、中央領域C、4等分領域Q、端部領域Eのすべての部分で高い最高温度が得られた。実施例3の温熱具では、比較例1に比べて、40%被酸化性金属の量が減少しているにもかかわらず、表1で示すように、4等分領域Q、端部領域Eのすべての部分で高い最高温度が得られるとともに、中央領域Cで同等の最高温度が得られた。実施例4の温熱具では、比較例3に比べて20%被酸化性金属の量が減少しているにもかかわらず、表2で示すように、中央部Cで高い最高温度が得られるとともに、端部領域Eにおいても、同等の最高温度が得られた。
1 温熱具
6 温熱具
10 発熱層
20 袋体
30 第二袋体
60 発熱層
90 発熱層
80 袋体
90 発熱層
90a 発熱層
90b 発熱層
90c 発熱層
101 第一発熱部
101a 第一発熱部
101b 第一発熱部
102 第一発熱部
102a 第二発熱部
102b 第二発熱部
103 凹部
201 袋体シート
202 袋体シート
301 塗工槽
302 発熱粉体水分散物
303 攪拌器
304 ポンプ
305 ダイヘッド
306 シート状基材
603 凹部
H 温熱具
F 不織布
W 綿
P プレート

Claims (8)

  1. 被酸化性金属、電解質、反応助剤及び水を含有し、金属の酸化によって発熱する発熱組成物からなる発熱層を有する温熱具であって、
    前記発熱層は、
    第一発熱部と、
    前記第一発熱部に隣接又は連続しており、前記第一発熱部よりも厚みの薄い第二発熱部と、
    を有し、
    前記第二発熱部が複数の前記第一発熱部で挟まれて配置することで、前記発熱層の一方の面に複数の凹部が形成されており、
    前記一方の面側の通気性が、反対面側の通気性よりも高く、
    前記第一発熱部の前記被酸化性金属の密度に対する、前記第二発熱部の前記被酸化性金属の密度の比(第一発熱部の被酸化性金属密度/第二発熱部の被酸化性金属密度)が110%以下90%以上であり、
    前記凹部が通気性シートで覆われている、温熱具。
  2. 前記発熱層は、少なくとも端部に前記第一発熱部が配置されている、請求項1に記載の温熱具。
  3. 前記発熱層は、少なくとも角部に前記第一発熱部が配置されている、請求項1又は2に記載の温熱具。
  4. 平面視において、前記発熱層の前記一方の面全体に占める前記凹部の底面積の割合が5%以上80%以下である、請求項1乃至3いずれか1項に記載の温熱具。
  5. 前記第一発熱部の厚みに対する前記第二発熱部の厚みの割合が10%以上75%以下である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の温熱具。
  6. 前記発熱層が、増粘剤を含有する発熱組成物からなる、請求項1乃至5いずれか1項に記載の温熱具。
  7. 前記発熱層の前記凹部形成面の前記反対面が、平坦面である、請求項1乃至6いずれか1項に記載の温熱具。
  8. 前記発熱層が、前記被酸化性金属の酸化とともに水蒸気を発生するものである、請求項1乃至7いずれか1項に記載の温熱具。
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