JP4458869B2 - 発熱シート - Google Patents

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Description

本発明は、空気中の酸素と被酸化性金属との酸化反応に伴う発熱を利用した発熱シートに関する。
空気中の酸素と被酸化性金属との酸化反応に伴う発熱を利用した発熱シートに関し、本出願人は、下記特許文献1に記載の薄型の発熱成形体について先に提案している。この発熱成形体は、厚さが極めて薄いにもかかわらず発熱体として優れた発熱特性を有しているとともに、厚みの均一性、生産性に優れていることを一つの特徴としている。
ところで、このようなシート状の発熱成形体は、その特徴から種々の用途に適用されるが、厚さは抑えたまま発熱特性を備えていることが望まれている。
特開2003−102761号公報
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、薄くても高い発熱特性が得られる発熱シートを提供することを目的とする。
本発明は、被酸化性金属、保水剤及び繊維状物を含み且つ多数の孔又は切り込みを有する発熱性の一のシート状抄紙成形体が積層されている発熱シートであって、前記一のシート状抄紙成形体を前記発熱シートの表裏面に備えている発熱シートを提供することにより、前記目的を達成したものである。
本発明によれば、薄くても高い発熱特性が得られる発熱シートが提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明の発熱シートの一実施形態を示すものである。これらの図において、符号1は発熱シートを示している。
図1に示すように、発熱シート1は、被酸化性金属、保水剤及び繊維状物を含み且つ多数の孔20が形成された発熱性のシート状抄紙成形体(発熱性の一のシート状抄紙成形体、以下、単にシート状成形体ともいう。)2と、被酸化性金属、保水剤及び繊維状物を含み且つ孔20を有しない発熱性のシート状抄紙成形体(発熱性の他のシート状抄紙成形体、以下、単にシート状成形体ともいう。)3を備えている。シート状成形体は、シート状成形体の表裏両面に積層されている。
一つの孔20の面積は、0.01〜10mm2、特に、0.1〜8mm2であることが好ましい。孔の面積が0.01mm2以上であると空気の透過が十分であり、発熱性能を十分に発揮させることができる。また、孔の面積が10mm2以下であると孔の部分で発熱が生じないことによる温度ムラ等も生じ難く好ましい。
また、孔20は、前記シート状成形体2に0.1〜20個/cm2、特に1〜15個/cm2形成されていることが好ましい。孔の数が0.1個/cm2以上であると空気の透過が十分であり発熱性能を十分に発揮させることができる。また、孔の数が20個/cm2以下であると発熱シートの強度の面で好ましい。また、この範囲であると、該シート状成形体を複数枚重ねて孔を形成した場合にシート間の一体化を促進しズレを防止することができるので好ましい。
図1に示すように、発熱シート1は、表面にスチールマッチエンボスロールによるエンボス加工によって多数の凹部11及び凸部12(凹凸部)が形成されている。本実施形態では、凹部11の底部110及び凸部12の頂部120は略正方形で、千鳥格子状に配されている。
前記凹凸部の高低差は、0.3〜5.0mm、特に0.5〜2.0mmが好ましい。凹凸部の高低差が斯かる範囲であると、得られる発熱シートの発熱性と表面への凹凸部の賦形がより良好となる。ここで、凹凸部の高低差は、発熱シート1における凹部11の底部110と凸部12の頂部120との高低差Dにより求められる。
個々の凹部11の底部110又は凸部12の頂部120の面積は、0.01〜100mm2、特に0.1〜25mm2とすることが好ましい。該面積を斯かる範囲とすることによって、発熱特性をより高めることができるほか、発熱シートを複数枚積層する場合などでのずれ防止と一体化を実現することができる。
また、発熱シート1の100cm2当たりに占める前記凹部11の底部110及び凸部12の頂部120の個数は、1〜10000個、特に10〜8000個とすることが好ましい。底部110及び頂部120の個数を斯かる範囲とすることによって、発熱特性をより高めることができるほか、発熱シートを複数枚積層する場合などでのずれ防止と一体化を実現することができる。
発熱シート1は、坪量100g/m2当たりの透気度が0.1〜8秒/(6.4cm2・300ml)、特に0.5〜6秒/(6.4cm2・300ml)であることが好ましい。透気度を斯かる範囲とすることによって、発熱特性がより良好となるほか、後述する電解質溶液を添加する際に、より均一に電解質溶液を含浸することができることとなる。本明細書において、透気度というときは、JIS P8117で測定される透湿度をいう。
発熱シート1の坪量は、10〜1000g/m2、特に50〜600g/m2であることが好ましい。該坪量が10g/m2以上であると被酸化性金属等の中でも比重の大きな材を使用する場合等においても安定したシートを形成することができ好ましい。該坪量が1000g/m2以下であると使用感が良好であり、生産性や操業性等の面でも好ましい。
発熱シート1の発熱到達温度は、30〜100℃、特に35〜90℃であることが好ましい。本明細書において、発熱到達温度というときは、50mm×50mmの試験片を切り出した後、該試験片に透湿度が5000g/(m2・24h)の透湿シートと不透湿シートとを両側に袋状に貼り合わせて包装した後、容積4.2リットル、相対湿度1%以下の環境下で密封系内に5.0リットル/minの乾燥空気を供給可能な試験機を準備し、その内部に前記透湿シート側を上面として静置して発熱させたときの試験片の下側の温度を熱電対で測定した値をいう。発熱シート1の発熱到達温度は、用途によって任意に設計ができる。
発熱シート1は、単位面積当たり10分間に発生する水蒸気発生量が0.1〜100mg/(cm2・10分)、特に1〜50mg/(cm2・10分)であることが好ましい。発熱シート1の水蒸気発生量は、発熱到達時間と同様に商品用途によって急激な発熱が必要な場合や比較的低温で長時間の持続が必要な商品等、前述の配合組成の組み合わせにより任意に設計ができる。本明細書において、水蒸気発生量というときは、以下のように測定される値をいう。
容積4.2リットル、湿度1RH%以下とし、密閉系内に5.0リットル/minの乾燥空気を供給可能な試験機を準備し、その内部に水蒸気が蒸散可能なように試験片を静置して発熱させる。そして、前記密閉系外に排出される空気の湿度を湿度計で想定し、下記式(1)を用いて発熱開始後に発生する水蒸気量を求め、単位時間当たりの水蒸気量とした。そして、10分間の累積値を蒸気発生量として求めた。ここで、eは水蒸気圧(Pa)、esは飽和水蒸気圧(Pa:JIS Z8806より引用)、Tは温度(℃:乾球温度)、sはサンプリング周期(秒)である。
相対湿度U(%RH)=(e/es)×100
絶対湿度D(g/m3)=(0.794×10-2×e)/(1+0.00366T)
=(0.794×10-2×U×es)/〔100×(1+0.00366T)〕
単位空気容積P(リットル)=(2.1×s)/60
単位時間当たりの水蒸気量A(g)=(P×D)/1000・・・(1)
発熱シート1を構成する前記シート状成形体2、3に含まれる前記被酸化性金属には、従来からこの種の発熱成形体に通常用いられている被酸化性金属を特に制限無く用いることができる。該被酸化性金属の形態は、取り扱い性、成形性等の観点から粉体、繊維状の形態を有するものを用いることが好ましい。
粉体の形態を有する被酸化性金属としては、例えば、鉄粉、アルミニウム粉、亜鉛粉、マンガン粉、マグネシウム粉、カルシウム粉等が挙げられ、これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コストの点から鉄粉が好ましく用いられる。該被酸化性金属には、後述の繊維状物への定着性、反応のコントロールが良好なことから粒径(以下、粒径というときには、粉体の形態における最大長さ、又は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される平均粒径をいう。)が0.1〜300μmのものを用いることが好ましく、粒径が0.1〜150μmものを50重量%以上含有するものを用いることがより好ましい。
また、繊維状の形態を有する被酸化性金属としては、スチール繊維、アルミ繊維、マグネシウム繊維等が挙げられる。これらのなかでも取り扱い性、安全性、製造コストの点からスチール繊維、アルミ繊維等が好ましく用いられる。繊維状の形態を有する被酸化性金属は、成形性や得られるシートの機械的強度、表面の平滑性、発熱性能の点から繊維長0.1〜50mm、太さ1〜1000μmのものを用いることが好ましい。
前記シート状成形体2、3中の前記被酸化性金属の配合量は、10〜95重量%であることが好ましく、30〜80重量%であることがより好ましい。該配合量が10重量%以上であると、得られる発熱シート1の発熱温度を、人が指先等で触って熱く感じる程度に十分に上昇させることができ、シート状成形体2を構成する後述の繊維状物、接着成分の量を抑えることができるため、シートの柔軟性を維持することができるので好ましい。該配合量が95重量%以下であると、発熱シート1の通気性も十分なものとなり、その結果シートの内部まで十分に反応が起こり発熱温度を十分に上昇させることができる。また、発熱時間も十分なものとできるほか、保水剤による水分供給も十分なものとすることができ、被酸化性金属の脱落も生じ難い。また、シート状成形体2、3を構成する後述の繊維状物、接着成分(凝集剤等)をある程度の量に維持できるため、曲げ強度や引張強度等の機械的強度を十分なものとすることができる。ここで、シート状成形体2、3中の被酸化性金属の配合量は、JIS P8128に準じる灰分試験で求めたり、例えば、鉄の場合は外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
前記保水剤には、従来から発熱成形体に通常用いられている保水剤を特に制限無く用いることができる。該保水剤は、水分保持剤として働く他に、被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能も有している。該保水剤としては、例えば、活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ、カンクリナイト、フローライト等が挙げられ、これらの中でも保水能、酸素供給能、触媒能を有する点から活性炭が好ましく用いられる。該保水剤には、被酸化性金属との有効な接触状態を形成できる点から粒径が0.1〜500μmの粉体状のものを用いることが好ましく、0.1〜200μmのものを50重量%以上含有するものを用いることがより好ましい。保水剤には、上述のような粉体状以外の形態のものを用いることもでき、例えば、活性炭繊維等の繊維状の形態のものを用いることもできる。
シート状成形体2、3中の前記保水剤の配合量は、0.5〜60重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることがより好ましい。該配合量が0.5重量%以上であると、被酸化性金属が酸化反応により人体温度以上に温度上昇する程度に反応を持続させるために必要な水分を発熱シート1中に十分に蓄積できる。また、通気性が十分に確保されるため、酸素供給が十分得られて発熱効率が高い発熱シートとなる。該配合量が60重量%以下であると、得られる発熱量に対する発熱シート1の熱容量を小さく抑えることができるため、発熱温度上昇が大きくなり、人が温かいと体感できる温度上昇が得られる。また、被酸化性金属の脱落の発生やシート状成形体2、3を構成する後述の繊維状物、接着成分の減少が抑えられるため、曲げ強度や引張強度等の機械的強度も十分に得られる。
前記繊維状物としては、例えば、天然繊維状物としては植物繊維(コットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等)、動物繊維(羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等)、鉱物繊維(石綿等)が挙げられ、合成繊維状物としては、例えば、半合成繊維(アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等)、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。また、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、デンプン、ポリビニルアルコール若しくはポリ酢酸ビニル又はこれらの共重合体若しくは変性体等の単繊維、又はこれらの樹脂成分を鞘部に有する芯鞘構造の複合繊維を用いることができる。そしてこれらの中でも、繊維どうしの接着強度が高く、繊維どうしの融着による三次元の網目構造を作り易すく、パルプ繊維の発火点よりも融点が低い点からポリオレフィン、変性ポリエステルが好ましく用いられる。また、枝分かれを有するポリオレフィン等の合成繊維も被酸化性金属や保水剤との定着性が良好なことから好ましく用いられる。これらの繊維は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの繊維は、その回収再利用品を用いることもできる。そして、これらの中でも、前記被酸化性金属、前記保水剤の定着性、得られる発熱シートの柔軟性、空隙の存在からくる酸素透過性、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットンが好ましく用いられる。
前記繊維状物は、そのCSF(Canadian Standard Freeness)が、600ml以下であることが好ましく、450ml以下であることがより好ましい。600ml以下であると繊維状物と被酸化性金属や保水剤との定着率も十分に良好であり、所定の配合量を十分に保持でき発熱性能を十分に発揮させることができ、また、均一な厚みのシートが得られ、成形状態も良好なものとなる。また、繊維状物と被酸化性金属や保水剤との定着が良好となり被酸化性金属や保水剤の脱落がし難く、該被酸化性金属や保水剤と該繊維状物との絡み合い、水素結合により十分な結合強度を持たせることができる。また曲げ強度や引張強度等の機械的強度も十分なものとすることができ、加工性も良好である。
前記繊維状物のCSFは、低い程好ましいが、通常のパルプ繊維のみの抄紙では、繊維状物以外の成分比率が低い場合、CSFが100ml以上である方が濾水性が十分に良好であり、脱水を十分に行なうことができ均一な厚みのシート状成形体が得られ、乾燥時にブリスター破れが生じたりする等の成形不良も生じ難く好ましい。本発明においては、繊維状物以外の成分比率が高いことから、濾水性も良好で均一な厚みのシート状成形体を得ることができる。また、CSFが低い程、フィブリルが多くなるため、繊維状物と該繊維状物以外の成分との定着性が良好となり、高いシート強度を得ることができる。
繊維状物のCSFの調整は、叩解処理などによって行うことができる。CSFの低い繊維と高い繊維とを混ぜ合わせ、CSFの調整を行っても良い。
前記繊維状物は、そのゼータ電位がマイナス(負)であることが好ましい。ここで、ゼータ電位とは、荷電粒子界面と溶液間のずり面におけるみかけの電位をいい、流動電位法、電気泳動法等により測定される。そのゼータ電位がプラスになると、繊維状物への前記被酸化性金属や保水剤の定着が著しく悪化し、所定の配合量を保持できずに発熱性能が劣るものとなるほか、排水に多量の被酸化性金属や保水剤が混じってロスが多くなり、生産性、環境保全にも悪影響を及ぼす場合がある。
該繊維状物には、平均繊維長が0.1〜50mmのものを用いることが好ましく、0.2〜20mmのものを用いることがより好ましい。平均繊維長が斯かる範囲であると、得られるシート状成形体の曲げ強度や引張強度等の機械的強度が十分に確保できる。また、繊維層が所望の密度に形成されるため、シート状成形体の通気性が十分確保され、得られる発熱シートの酸素供給も良好で発熱性に優れるものとなる。さらに、シート状成形体中に該繊維状物を均一に分散できるため、一様な機械的強度が得られ、均一な肉厚のシート状成形体が得られる。また、繊維間隔が所望の範囲に保たれるため、繊維による被酸化性金属や保水剤等の成分の保持能力が維持され、これらの成分が脱落し難いものとなる。
シート状成形体2、3中の前記繊維状物の配合量は、2〜50重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがより好ましい。該配合量が2重量%以上であると、被酸化性金属や保水剤の脱落を十分に防止できるほか、シート状成形体の強度を十分なものにすることができる。該配合量が50重量%以下であると、発熱成形体の発熱量に対する熱容量を抑えることができ、温度上昇を十分なものとすることができるほか、得られる発熱シート1中の被酸化性金属や保水剤の比率をある程度以上に確保できるため、所望の発熱性能を十分に得ることができるので好ましい。
シート状成形体2、3には、後述するように凝集剤が添加されていることが好ましい。
また、シート状成形体2、3には、必要に応じ、サイズ剤、着色剤、紙力増強剤、歩留向上剤、填料、増粘剤、pHコントロール剤、嵩高剤等の抄紙の際に通常用いられる添加物を特に制限無く添加することができる。該添加物の添加量は、添加する添加物に応じて適宜設定することができる。
前記シート状成形体2、3は、前記繊維状物以外の成分を50重量%以上含んでいることが好ましく、70重量%以上含んでいることがより好ましく、80重量%以上含んでいることがさらに好ましい。繊維状物以外の成分が50重量%以上であると、発熱温度を人の指先等で触って熱く感じる程度以上に十分に上昇させることができる。繊維状物以外の成分は多い程好ましいが、シート状成形体2の加工性を維持するのに必要な強度を得る点から、その上限は、98重量%程度とするのが好ましい。ここで、繊維状物以外の成分は、以下のように測定される。
前記シート状成形体2、3中の繊維状物以外の成分は、原料組成物中の固形分重量、組成並びにシート状成形体2、3の乾燥重量より以下の式から求められる。
原料組成物固形分の重量:Ms
原料組成物固形分中繊維状物の含有率:a(%)
シート状成形体の乾燥重量:Mh
シート状成形体中の繊維状物以外の成分の含有率:b
b=(Mh/Ms)×(100−a)
シート状成形体2、3は、同じ配合組成とすることもできるし、異なる配合組成とすることもできる。
孔20が形成されたシート状成形体2の坪量100g/m2当たりの透気度は、0.1〜8秒/(6.4cm2・300ml)、特に0.5〜5秒/(6.4cm2・300ml)であることが好ましい。該透気度を斯かる範囲とすることによって、発熱特性がより良好となるほか、後述する電解質溶液を添加する際に、より均一に電解質溶液を含浸させることができることとなる。
孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3の裂断長は100〜4000m、特に200〜3000mであることが好ましい。該裂断長が100m以上であると、エンボス加工時にシート状成形体の破断や切断が生じ難く、安定的にシート状成形体を形成できる点で好ましい。また、使用時においても腰があり、使用感に優れるものが得られる。該裂断長が4000m以下であると、シート状成形体2、3を構成する繊維状物、接着成分の量を抑えることができ、得られる発熱シート1は十分に柔軟なものとすることができ、発熱性能も十分なものとなる。ここで、裂断長は、シート状成形体2、3から長さ150mm×幅15mmの試験片を切り出した後、JIS P8113に準じ、該試験片をチャック間隔100mmで引っ張り試験機に装着し、引っ張り速度20mm/minで引っ張り試験を行い、下記計算式により算出される値である。
裂断長〔m〕=(1/9.8)×(引張強さ〔N/m〕)×106/(試験片坪量〔g/m2〕)
孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3の坪量は10〜1000g/m2、特に50〜600g/m2であることが好ましい。該坪量が10g/m2以上であると被酸化性金属等の中でも比重の大きなものを使用する場合等においても安定したシートを形成することができるので好ましい。該坪量が1000g/m2以下であると使用感良好であり、生産性や操業性等にも優れる。
前記シート状成形体2、3の厚みは0.08〜1.2mmであることが好ましく、0.1〜0.6mmであることがより好ましい。該厚みが0.08mm以上であると、機械的強度、被酸化性金属や保水剤等の成分の定着率も十分なものとなり、安定した均一の肉厚、組成分布が得られるので好ましいほか、ピンホールの発生等によるシートの破壊等も発生し難い。また、生産性及び加工性にも優れる。また、得られる発熱シート1の発熱性も良好なものとなる。該厚みが1.2mm以下であると折曲強度の低下もなく、脆性破壊も起こし難く好ましい。また、肘、膝、顔等の身体部位の屈伸する部位に装着した場合、装着性が良好である。また、生産性においても、紙層形成時間や乾燥時間の面で、操業性に優れ、発熱性能の低下や、割れ、折れ等も発生し難く、加工性に優れている。
シート状成形体2、3には電解質が含まれていることが好ましい。
前記電解質には、従来からこの種の発熱成形体に通常用いられている電解質を特に制限なく用いることができる。該電解質としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属若しくは重金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。そしてこれらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化鉄(第1、第2)等の各種塩化物が好ましく用いられる。これらの電解質は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。該電解質は、後述のようにシート状成形体2、3の積層後エンボス加工を施した後に含ませることが好ましい。
該電解質の配合量は、シート状成形体2、3中の水重量比で0.5〜30重量%であることが好ましく、1〜25重量%であることがより好ましい。該配合量が0.5重量%以上であると、得られる発熱シート1の酸化反応を十分に進行させることができ、また、発熱機能に必要な電解質を確保するための、シート状成形体2、3中の水分の比率も抑えることができ、発熱シート1の水分比率が大きくなり、発熱温度上昇が小さくなるのを防止できるため好ましい。該配合量が30重量%以下であると電解質の析出もし難く、発熱シート1の通気性が良好であり、また、発熱機能に必要な電解質を確保するために、発熱シート1中の水分比率をある程度の大きさに保つことができ、、十分な水が被酸化性金属等に供給され、発熱性能に優れ、また、シート状成形体2、3に均一に電解質を配合することができるので好ましい。
シート状成形体2、3は、含水率(重量含水率、以下同じ。)が10〜80%であることが好ましく、20〜60%であることがより好ましい。該含水率が10%以上であると酸化反応を持続するために必要な水分を十分に確保でき、発熱シート1に均一に水分を供給することができる。また、均一な発熱性能を十分に得ることができる点で優れている。該含水率が80%以下であると発熱シート1の発熱量に対する熱容量を抑えることができ、発熱温度上昇を十分なものとできる点で優れ、発熱シート1の通気性も十分なものとなり、発熱性能に優れ、保形性や機械的強度も十分なものとなる。
シート状成形体2、3は、発熱到達温度が30〜100℃であることが好ましく、35〜90℃であることがより好ましい。シート状成形体2、3の発熱到達温度は、発熱シート1の発熱到達温度に応じて任意に設計ができる。
シート状成形体2、3の水蒸気発生量は、0.1〜100mg/(cm2・10分)であることが好ましく、1〜50mg/(cm2・10分)であることがより好ましい。シート状成形体2、3の水蒸気発生量は、発熱シート1の水蒸気発生量に応じて任意に設計ができる。
次に、発熱シート1の製造方法について説明する。
発熱シート1の製造に際しては、先ず、前記被酸化性金属、前記保水剤、前記繊維状物、及び水を含む原料組成物(スラリー)を調製し、該原料組成物から孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3を抄紙により成形することが好ましい。
該原料組成物には、前記凝集剤を添加することが好ましい。
該凝集剤としては、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄等の金属塩からなる無機凝集剤;ポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ポリ(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル系、カルボキシメチルセルロースナトリウム系、キトサン系、デンプン系、ポリアミドエピクロヒドリン系等の高分子凝集剤;ジメチルジアリルアンモニウムクロライド系若しくはエチレンイミン系のアルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物等の有機凝結剤;モンモリロナイト、ベントナイト等の粘土鉱物;コロイダルシリカ等の二酸化珪素若しくはその水和物;タルク等の含水ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。そして、これら凝集剤の中でもシートの表面性、地合い形成、成形性の向上、被酸化性金属や保水剤等の成分の定着率、紙力向上の点からアニオン性のコロイダルシリカやベントナイト等とカチオン性のデンプンやポリアクリルアミド等の併用やアニオン性のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩とカチオン性のポリアミドエピクロルヒドリン系のカチオン性とアニオン性の薬剤の併用が特に好ましい。上述の組み合わせ以外でも、これらの凝集剤は単独で又は二種以上を併用することもできる。
前記凝集剤の添加量は、原料組成物の固形分に対して、0.01〜5重量%であることが好ましく、0.05〜1重量%であることがより好ましい。0.01重量%以上であると、凝集効果に優れ、抄紙時の被酸化性金属や保水剤等の成分の脱落も抑えることができ原料組成物が均一となり、肉厚及び組成の均一なシート状成形体を得ることができる点で優れている。該添加量が5重量%以下であると、乾燥時の乾燥ロールへの貼りつき、破れ、焼け、焦げ等の発生を抑えることができ、生産性に優れ、原料組成物の電位バランスを良好に保ち、抄紙時の白水への被酸化性金属や保水剤等の成分の脱落量も抑えることができる点で優れている。また、シート状成形体の酸化反応の進行を適度に抑制し、発熱特性や強度等の保存安定性に優れる。
前記原料組成物の濃度は、0.05〜10重量%が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましい。該濃度が0.05重量%以上であると大量の水を必要とせず、シート状成形体の成形にも大きな時間を要せずに均一な厚みのシート状成形体を成形することができる点で優れ、該濃度が10重量%以下であると原料組成物の分散状態も良好であり、得られるシート状成形体の表面性にも優れ、均一な厚みのシート状成形体が得られる点で優れている。
次に、前記原料組成物を抄紙して孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3を成形する。
孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3の抄紙方法には、例えば、連続抄紙式である円網抄紙機、長網抄紙機、ヤンキー抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを用いた抄紙方法、バッチ方式の抄紙方法である手漉法等が挙げられる。更に、前記原料組成物と、該原料組成物と異なる組成の組成物とを用いた多層抄き合わせによってシート状成形体を成形することもできる。また、前記原料組成物を抄紙して得られたシート状成形体どうしを多層に貼り合わせたり、該シート状成形体に該原料組成物と異なる組成を有する組成物から得られたシート状物を貼り合わせることによってシート状成形体を成形することもできる。
孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3は、抄紙後における形態を保つ(保形性)点や、機械的強度を維持する点から、含水率(重量含水率、以下同じ。)が70%以下となるまで脱水させることが好ましく、60%以下となるまで脱水させることがより好ましい。抄紙後のシート状成形体の脱水方法は、例えば、吸引による脱水のほか、加圧空気を吹き付けて脱水する方法、加圧ロールや加圧板で加圧して脱水する方法等が挙げられる。
前記被酸化性金属(通常雰囲気下において加熱反応性を有する)を含有するシート状成形体を、積極的に乾燥させて水分を分離することにより、製造工程中における被酸化性金属の酸化抑制、長期の保存安定性に優れたシート状成形体を得ることが可能となる。さらに、乾燥後の前記繊維状物への被酸化性金属の担持力を高めてその脱落を抑える点に加え、熱溶融成分、熱架橋成分の添加による機械的強度の向上が期待できる点から、孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3の抄紙後で前記電解質の電解液を含有させる前にこれらを乾燥させることが好ましい。
孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3は、加熱乾燥によって乾燥することが好ましい。この場合、加熱乾燥温度は、60〜300℃であることが好ましく、80〜250℃であることがより好ましい。加熱乾燥温度を斯かる温度範囲とすることで、乾燥時間を短くできるため、水分の乾燥に伴う被酸化性金属の酸化反応を抑えることができ、得られる発熱シートの発熱性の低下を防ぐことができる。また、発熱シートの表裏層の被酸化性金属の酸化反応を抑えることができるため、うす茶色に変色することを防ぐことができる。さらに、保水剤等の性能劣化を抑えることができるため、発熱シートの発熱効果が維持することができるほか、シート状成形体内部で急激に水分が気化してシート状成形体の構造が破壊されたりすることを防ぐことができる。
乾燥後における孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3の含水率は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。含水率が20%以下であると長期保存安定性に優れ、例えば巻きロール状態で一時保存しておく場合等においても該ロールの厚み方向で水分の移動が起こり難く、発熱性能、機械的強度に変化がなく、優れている。
孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3の乾燥方法は、当該シート状成形体の厚さ、乾燥前のシート状成形体の処理方法、乾燥前の含水率、乾燥後の含水率等に応じて適宜選択することができる。該乾燥方法としては、例えば、加熱構造体(発熱体)との接触、加熱空気や蒸気(過熱蒸気)の吹き付け、真空乾燥、電磁波加熱、通電加熱等の乾燥方法が挙げられる。また、前述の脱水方法と組み合わせて同時に実施することもできる。
孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3の成形(脱水、乾燥)は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、上述のようにシート状成形体に酸化助剤となる電解質を含有していないので、必要に応じて通常の空気雰囲気下で成形を行うこともできる。このため、製造設備を簡略化することができる。得られたシート状成形体は、薄くて破れにくいので、必要に応じ、ロール状に巻き取ることができる。
次に、乾燥した孔20が形成されていないシート状成形体2に孔20を形成する。孔20の形成方法に特に制限はない。孔20の形成方法としては、ニードルパンチ加工等が挙げられる。
孔20が形成されていないシート状成形体2及びシート状成形体3には、必要に応じて、クレープ処理、トリミングを施したり、加工処理により形態を変更する等の加工を施すこともできる。また、単独若しくは複数枚重ねて又は紙、布(織布又は不織布)、フィルム等の他のシートと重ねて複数のシートを積層一体化させたり、エンボス加工を行うことにより凹凸を賦形することもできる。また、前記原料組成物に熱可塑性樹脂成分や熱水解成分を含有させることにより、ヒートシール加工を施して貼り合わせ等を行い易くすることもできる。
次に、シート状成形体2、3を積層させた後、前記電解質を含有させる。この電解質を含有させる工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、通常の空気雰囲気下で該電解質を含有させることもできる。
シート状成形体2、3へ前記電解質を含有させる方法は、抄紙後における該シート状成形体の処理方法、含水率、形態等に応じて適宜設定することができる。該電解質を含有させる方法としては、例えば、前記シート状成形体に、前記電解質の所定濃度の電解液を含浸させる方法、前記電解質の所定粒径のものを固体のまま添加してシート状成形体に含有させる方法等が挙げられる。シート状成形体に電解質を均一に含有させることができる点や含水率の調整が同時に行える点からは、所定濃度の電解液を含浸させる方法が好ましい。
上述のように前記電解質をその電解液で前記シート状成形体に含浸させる場合、その含浸方法は、該シート状成形体の厚み等の形態、含水率に応じて適宜選択することができる。該含浸方法には、該電解液を該シート状成形体にスプレー塗工する方法、所定濃度の電解液をシリンジ等で該シート状成形体の一部分に注入し、前記繊維状物の毛管現象を利用して該シート状成形体全体に浸透させる方法、刷毛等で塗工する方法、該電解液に浸漬する方法、グラビアコート法、リバースコート法、ドクターブレード法等が挙げられ、これらの中でも、電解質を均一に分布でき、簡便で、設備コストも比較的少なくて済む点からスプレー塗工する方法が好ましい。また、複雑な形状、層構成の商品においては生産性が向上する点や、最終仕上げを別工程とできることにより生産のフレキシブル性が良好となる点、設備が簡便となる点からは、所定濃度の電解液をシリンジ等で注入する方法が好ましい。この電解液を注入する方法は、該シート状成形体を所定の収容体に収容した後に行うこともできる。
上述のようにシート状成形体に電解質を含有させた後、必要に応じて含水率を調整し、安定化させて発熱シート1とすることができる。そして必要に応じ、トリミング、二枚以上の積層化等の処理を施し、所定の大きさに加工することができる。得られた発熱シート1は、未使用状態では酸素不透過性の包装材で包装されて提供される。発熱シート1は、通気性を有する袋等の収容体に収容されて使用される。
以上説明したように、本実施形態の発熱シート1は、シート状成形体3の表裏両面に、多数の孔20が形成されたシート状成形体2が積層されているため、薄くても高い発熱特性を得ることができる。また、シート状成形体2に多数の孔20が形成されているため、柔軟性にも優れている。
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
本発明の発熱シートは、前記実施形態の発熱シート1のように、孔20が形成されたシート状成形体2を、孔が形成されていないシート状成形体3とともに積層して使用する場合に有効であるが、シート状成形体2を単独で又は複数枚を積層して用いることもできる。また、孔が形成されたシート状成形体を複数枚積層させる場合には、前記実施形態の発熱シート1のように、孔20の形状及び配置が同じシート状成形体2を積層させてもよいが、孔の形状や配置の異なる複数のシート状成形体を積層させることもできる。
また、前記シート状成形体に形成する孔の形態は、前記実施形態に制限されるものではない。例えば、矩形、多角形、楕円形、長円形その他の形態を採用することもできる。
また、前記実施形態の発熱シート1では、シート状成形体2に孔20を多数形成したが、図3に示す発熱シート1’のように、切り込み4を形成することもできる。この場合、一つ切り込みの長さは、発熱シート1におけると同様の理由から1〜50mm、特に5〜30mmとすることが好ましい。また、切り込みは、発熱シート1におけると同様の理由から5〜100mm/cm2、特に10〜50mm/cm2形成されていることが好ましい。切り込み4は、シート状成形体2の外縁に達していてもよく、達していなくても良い。
また、前記実施形態の発熱シート1では、シート状成形体をスチールマッチングロールに通すことによってシート状成形体の両側からエンボス加工を施したが、図4に示す発熱シート1’のように、凹凸ロールとフラットロールの間を通すことによって一方の面からのみエンボス加工を施すこともできる。この場合、凹凸部の高低差Dは、発熱特性をより高めることができるほか、発熱シートを複数枚積層する場合などでのずれ防止ならびに、一体化を実現できる点から0.3〜5mm、特に0.5〜2mmとすることが好ましい。また、凹凸ロールとフラットロールとの接触によって押圧されて形成される個々の凸部12の頂部120(又は凹部の底部)の面積は、前記発熱シート1における理由と同様に、0.01〜100mm2、特に0.1〜25mm2とすることが好ましい。また、この場合の発熱シートの10cm2当たりに占める凸部12の頂部120(又は凹部の底部)の個数は、前記発熱シート1における理由と同様に、1〜10000個、特に10〜8000個とすることが好ましい。
また、エンボス加工によって前記シート状成形体に賦与する凹部及び頂部の形態は、前記実施形態に制限されるものではない。例えば、矩形、多角形、円形、楕円形、長円形その他の形態を採用することもできる。また、凹部及び頂部はフラットであることが好ましいが、湾曲していてもよい。また凹凸部の縦断面の外形輪郭の形態も特に制限されるものではなく、前記実施形態のような台形以外に、三角形状、矩形状、半円状、半楕円、半長円状、釣り鐘状の形態であってもよい。
本発明の発熱シートの用途に特に制限はない。発熱シートとしての用途以外に、前記通気性を有する収容体内に収容され、例えば、洗浄・除菌、ワックス徐放、芳香、消臭等の諸機能剤と組み合わせ、フローリング、畳み、レンジ周り、換気扇等のハウスケア用途、車等の洗浄、ワックスかけ等のカーケア用途、顔、身体の洗浄、除菌、保湿、メイク落とし等のスキンケア用途にも適用することができる。
以下、本発明の発熱シートを実施例によりさらに具体的に説明する。
下記実施例1〜3及び比較例1のようにシート状成形体を作製した。そして、得られたシート状成形体から下記のように発熱シートを作製した。
〔実施例1〕
<原料組成物の配合>
被酸化性金属:鉄粉(45μメッシュ分級品)、同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」、150g
繊維状物:パルプ繊維(NBKP、スキーナ(株)製、商品名「スキーナ」、平均繊維長さ=2.1mm)、20g、ポリビニルアルコール繊維(クラレ(株)製、商品名「VPB107−1」、2.0g
保水剤:活性炭(45μメッシュ分級品)、武田薬品(株)製、商品名「カルボラフィン」)、30g
凝集剤:カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業薬品(株)製、商品名「セロゲン」WS−C)0.5g、及びポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(日本PMC(株)製、商品名「WS547」)0.5g
水:工業用水、99800g
<抄紙条件>
上記原料組成物を用い、傾斜型短網小型抄紙機(高知県紙産業技術センター所有。)によって、ライン速度7m/分で抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。
<脱水・乾燥条件>
フェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま120℃の加熱ロール間にライン速度7m/分で通し、含水率が5重量%以下になるまで乾燥した。
<孔あけ加工>
得られた抄造シート(シート状成形体)に下記条件でニードルパンチ加工を施し、下記の孔形成した。
孔の大きさ等:0.5mm、3mm間隔
シート10cm2当たり孔の個数:12
<電解液添加条件>
得られた成形シート(厚み0.14mm)を4枚重ね合わせてから、下記電解液をスプレー塗布して含浸させて含水率が36%の発熱シートを作製した。
<電解液>
電解質:精製塩(NaCl)
水:工業用水
電解液濃度:5wt%
〔発熱シートの温度特性〕
得られた発熱シートから50mm×50mmの試験片を切り出した後、該発熱シートにJIS Z208で測定される透湿度が600g/(m2・24h)の透湿シートと、不透湿のシートとを両側に袋状に貼り合わせて包装する。
そして、容積4.2リットル、湿度1RH%以下とし、密封系内に5.0リットル/minの乾燥空気を供給可能な試験機を準備し、その内部に前記透湿シート側を上面として静置して発熱させる。
発熱シートの発熱温度は当該発熱シートの下側の温度を熱電対で測定した。
〔実施例2〕
孔の間隔を10mmピッチとし、シート10cm2当たり孔の個数を1とした以外は、実施例1と同様にして発熱シートを作製した。
〔実施例3〕
実施例1と同様にしてシート状成形体を作製した後、孔をあけずに下記のように切り込みを形成した以外は、実施例1と同様にして発熱シートを作製した。
<切り込みの形成>
シート状成形体に所定長さの刃を用いて押し切ることによって下記の切り込みを形成した。
一つの切り込みの長さ:4.5mm
単位面積当たりの切り込みの長さ:27mm/cm2
〔比較例1〕
シート状成形体に孔を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして発熱シートを作製した。
得られた発熱シートの厚み、坪量、透気度、発熱特性を調べた。これらの結果を表1に示すとともに発熱温度の経時変化を図5に示す。
Figure 0004458869
表1及び図5に示すように、本発明品、特に、坪量100g/m2あたりの透気度を0.1〜8秒/(6.4cm2・300ml)とした実施例1〜3の発熱シートは、比較例1の発熱シートと比較して最大温度及び40℃以上継続時間ともに良好な発熱特性を示した。
本発明の発熱シートの一実施形態を模式的に示す斜視図である。 同実施形態の要部を模式的に示す拡大図であり、(a)は拡大平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。 本発明の発熱シートの他の実施形態の要部を模式的に示す拡大図(図1相当図)である。 本発明の発熱シートの他の実施形態の要部を模式的に示す断面図(図2(b)相当図)である。 実施例及び比較例の発熱シートの発熱特性を示す図である。
符号の説明
1、1’ 発熱シート
2 一のシート状成形体
20 孔
3 他のシート状成形体
4 切り込み
11 凹部
110 底部
12 凸部
120 頂部

Claims (3)

  1. 被酸化性金属、保水剤及び繊維状物を含み且つ多数の孔又は切り込みを有する発熱性の一のシート状抄紙成形体と、被酸化性金属、保水剤及び繊維状物を含み且つ前記孔又は切り込みを有しない発熱性の他のシート状抄紙成形体とが積層されている発熱シートであって、
    前記一のシート状抄紙成形体が、前記他のシート状抄紙成形体の表裏面に積層されている発熱シート。
  2. 前記一のシート状抄紙成形体と前記他のシート状抄紙成形体を積層してエンボス加工を行うことで形成された凹凸部を有している請求項記載の発熱シート。
  3. 発熱シート坪量100g/m2当たりの透気度が0.1〜8秒/(6.4cm2・300ml)である請求項1又は2記載の発熱シート。
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