JP6072569B2 - 表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、屋外で使用する建材製品に好適に使用することができる表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板に関する。
アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板は、アルミニウムが4〜75質量%、残りの大半が亜鉛、さらにSi、Mg、Ce−Laなど第三成分が微量含有される合金によってめっきされた鋼板である。現在製品化されているものにおいては、アルミニウムを4〜10質量%、残りの大半を亜鉛及びCe−Laを配合した合金めっきを施した、いわゆる低アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板と、アルミニウムを55質量%、亜鉛を43.4質量%、Siを1.6質量%配合した、いわゆる高アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板との2種類がある。そして、上記2種類のめっき鋼板の耐食性を、一般に使用されている溶融亜鉛めっき鋼板のものと比べた場合、めっき層が同じ厚みであれば、低アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板で1.5〜2倍、高アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板は3〜6倍の優れた耐食性を有している。しかも、高アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の場合には、耐熱性や熱反射性においても優れている。
この高アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板は、アルミニウムの不動態皮膜保護作用と亜鉛の犠牲防食作用が最もバランス良く機能する組成となっており、かつ、めっき層はアルミニウムリッチな部分を亜鉛リッチな部分が網目状に取り囲んでいる構造になっている。そのため、高アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板では、溶融亜鉛めっき鋼鈑とは異なり、腐食が始まると緻密で安定した腐食生成物ができて網目状の空間を埋めることになり、結果として腐食の進行が抑制されるので、耐食性に優れているといわれている。しかも、耐熱性や熱反射性に優れていることもあって、屋根材や壁材などの建材製品、ガードレール、防音壁、防雪柵、排水溝などの土木製品材料、自動車、家電製品、産業機器などの材料、さらには塗装鋼板の基板など急速に普及しつつある。
しかし、前記めっき鋼板は耐食性に優れているといっても、それは地鉄の腐食による赤錆の発生までの時間が長いということであって、何らかの被覆処理をめっき表面に施さなければ短時間で白錆や黒錆が発生し、めっき鋼板の銀白色の美しい外観が損なわれる。
そのため、例えば、白錆や黒錆の発生を防ぐ目的でクロメート処理を施したり、あるいは、クロムを含む樹脂皮膜を形成させるなどしたりして、めっき鋼板の耐食性を向上させることが行われている。そして、近年では地球環境保全の必要性が高まる中、クロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板や、めっき処理用水性樹脂組成物等の表面処理剤も提案されている。具体的には、めっき鋼板を、カップリング剤とジルコニウム化合物を配合したウレタン樹脂皮膜で被覆させる方法(例えば、特許文献1等を参照)、共重合体樹脂エマルジョンからなる水分散性樹脂組成物(表面処理剤)で皮膜を形成させる方法(例えば、特許文献2等を参照)などが挙げられる。
特開2003−201578号公報 特開2006−342221号公報
しかし、上記特許文献1の方法では、紫外線によるウレタン樹脂皮膜の分解が懸念される。屋外で長期間使用されるような建材分野への適用は鋼板に対し、ウレタン樹脂の分解が原因となる皮膜の着色や大気中に浮遊する無機カーボン成分が皮膜に付着しカーボン汚れが生じるなど、意匠性の問題から好ましいものではない。また、上記特許文献2のような共重合体樹脂を使用する方法では、厳しい成形加工時にメタル面の露出が発生し、外観を損なうおそれがあった。一方、成形加工性を考慮して潤滑剤を配合することもできるが、この場合、防錆性、耐水性、耐アルカリ性など他の性能が低下すると共に、アウトガス性の低下、すなわち、有害ガス等の発生が増加してしまう傾向にあり、成形加工性との両立が困難であった。また、共重合体樹脂を使用する場合、皮膜形成後に樹脂成分に由来する物質が揮発することもあり、アウトガス性を低下させる原因となっていた。以上のような点から、成形加工性や耐食性等の性能が低下することなく、かつ、環境面を考慮して、アウトガス性にも優れる(有害ガスが発生しにくい)表面被覆めっき鋼板が望まれているのである。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、成形加工等によって外観が低下しにくく、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性、耐滑り性、耐候性、耐溶剤性に優れると共に、良好なアウトガス性を有する表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板を提供することを目的とするものである。
本発明に係る表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板は、分子中にポリエステルポリオールに由来する構造単位を有するポリエステルポリウレタン樹脂(a)と、分子中に脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合単位、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する重合単位及び他の(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合単位を含む重合体からなる水分散性アクリル樹脂(b)と、ジルコニウム化合物(c)と、ヒンダードアミン類(d)と、可塑剤(e)と、水とを含み、かつ、pHが7.5〜10の範囲内で、(e)の配合量が(a)及び(b)の固形分質量の合計量に対して15〜30質量%の範囲内である水系金属表面処理剤を、アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布した後乾燥することにより形成される複合皮膜を被覆して成り、
前記複合皮膜において、(a)と(b)との質量比(a)/(b)が69/31〜40/60の範囲内であり、(d)と、(a)及び(b)の総量との質量比(d)/{(a)+(b)}が5/100〜1/1000の範囲内であり、
前記めっき鋼板の片面の面積あたりの前記複合皮膜量が1.3〜3.5g/mの範囲内であり、前記複合皮膜の表面積あたりの(c)の含有量がジルコニウム換算として9〜50mg/mの範囲内であることを特徴とする。
また、前記水系金属表面処理剤において、前記ポリエステルポリウレタン樹脂(a)の体積平均粒子径R1と、前記水分散性アクリル樹脂(b)の体積平均粒子径R2との比(R1/R2)が15/100〜40/100の範囲内を満足することが好ましい。
また、前記表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板において、前記複合皮膜がさらにシランカップリング剤成分(f)を含有し、かつ、前記複合皮膜に対する前記シランカップリング剤成分(f)の含有割合が1.0〜4.0質量%の範囲内であることが好ましい。
また、前記表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板において、前記複合皮膜がさらにコバルト化合物(g)を含有し、前記コバルト化合物(g)と、(a)及び(b)の総量との質量比(g)/{(a)+(b)}が、1/500〜1/10000の範囲内であることが好ましい。
また、前記表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板において、前記複合皮膜から発生するアウトガスの全量が1000ng/cm未満であると共に前記アウトガスに含まれるブチルヒドロキシトルエンが5ng/cm未満であることが好ましい。
また、前記表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板において、前記水系金属表面処理剤をめっき鋼板の表面に塗布した後乾燥するときの温度が、到達板温として60〜180℃の範囲内であること好ましい。
また、前記表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板において、塩基性ジルコニウム化合物(A)、コバルト化合物(B)、及び水を含有し、pH7.5〜10の範囲内である水系表面調整剤を、前記めっき鋼板に塗布し乾燥することにより、前記塩基性ジルコニウム化合物(A)と前記コバルト化合物(B)とを含有する下地皮膜を形成して成り、前記めっき鋼板の片面当たりの前記下地皮膜の乾燥皮膜量が0.05〜0.8g/mの範囲内であり、前記めっき鋼板の片面当たりの前記下地皮膜のZr質量換算付着量で5〜400mg/mの範囲内であり、前記めっき鋼板の片面当たりの前記下地皮膜のCo質量換算付着量が1〜20mg/mの範囲内であることが好ましい。
この場合、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性と耐食性が更に向上する。
また、前記表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板において、前記めっき鋼板が、亜鉛とアルミニウムとを含有し或いは亜鉛とアルミニウムとマグネシウムとを含有するめっき層を備え、前記めっき層中のアルミニウム含有量が1質量%以上、75質量%以下の範囲内、前記めっき層中のマグネシウム含有量が0質量%を超えて6.0質量%以下の範囲内であることが好ましい。
この場合、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐食性が更に向上する。
また、前記表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板において、前記めっき層が、Ni及びCrのうち、少なくとも1種類以上を、各々0質量%を超えて1質量%以下の範囲内で含むことが好ましい。
この場合、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐食性が更に向上する。
また、前記表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板において、前記めっき層が、Ca、Sr、Y、La及びCeのうち、少なくとも1種類以上を、各々0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲内で含むことが好ましい。
この場合、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐食性の向上もしくは、表面に生じる欠陥の抑制効果が期待できる。
また、前記表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板において、前記めっき層が、Siを、前記めっき層中のAlに対して、0.1質量%以上、10質量%以下の範囲内で含むことが好ましい。
この場合、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の加工性や加工部耐食性が更に向上する。
本発明の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板は、複合皮膜を形成するにあたって、所定の組成で構成され、かつ、クロムを使用しない水系表面処理剤を用いるものである。そのため、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板は、成形加工等によって外観が低下しにくく、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性、耐滑り性、耐候性に優れると共に、良好なアウトガス性を有する。そのため、環境的、産業的な利用価値は極めて大きいものである。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板は、複合皮膜を被覆して成るものである。この複合皮膜は、水系金属表面処理剤を、アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布した後、乾燥することにより形成させることができる。複合皮膜はアルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板に直接形成させてもよいし、複合皮膜とアルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板との間に、他の層(皮膜)が介在されていてもよい。他の層としては、例えば、後述する下地皮膜が挙げられる。まず、水系金属表面処理剤について説明する。尚、本明細書では、アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板を単に「めっき鋼板」と称することもある。
水系金属表面処理剤は、分子中にポリエステルポリオールに由来する構造単位を有するポリエステルポリウレタン樹脂(a)と、分子中に脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合単位、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する重合単位及び他の(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合単位を含む重合体からなる水分散性アクリル樹脂(b)と、ジルコニウム化合物(c)と、ヒンダードアミン類(d)と、可塑剤(e)と、水とを含んでなるものである。
分子中にポリエステルポリオールに由来する構造単位を有するポリエステルポリウレタン樹脂(a)(以下、単に「ポリエステルポリウレタン樹脂(a)」ということもある)は、イソシアネート基を2個以上有するジイソシアネート又はポリイソシアネート、ジオール又はポリオール、ジアミン又はポリアミン、及び酸成分を原料として、一般的な合成方法により得られるものである。そして、ポリエステルポリウレタン樹脂(a)は、原料の前記ジオール又はポリオール成分としてポリエステルポリオールを使用するものである。なお、ポリエステルポリウレタン樹脂(a)の合成方法に関しては特に限定されるものではなく、公知の手法を用いることができる。
水系化に際しては、ポリエステルポリオールと水添型イソシアネートでウレタンを合成する際にジメチロールアルキル酸を共重合し、自己乳化させて水性化(水分散)させることができる。この場合、水系化の際に乳化剤を使用していないことで、耐水性に優れた複合皮膜を形成することができ、耐食性や耐アルカリ性の向上に繋がる。
前記ポリエステルポリオールとしては、グリコール成分と、酸成分及びヒドロキシカルボン酸のエステル形成誘導体などの酸成分とから脱水縮合反応によって得られるポリエステルの他に、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル、及びこれらの共重合ポリエステルが挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量300〜6000)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1、4−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン及びそれらのアルキレンオキシド付加体などが挙げられる。また、酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1、3−シクロペンタンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1、4−ナフタレンジカルボン酸、2、5−ナフタレンジカルボン酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1、2−ビス(フェノキシ)エタン−p、p´−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸などが挙げられる。
また、イソシアネートとしては、脂肪族、脂環式もしくは芳香族ポリイソシアネートがあり、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、水添キシリレンジイソシアネート、1、4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4、4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2、4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、3、3´−ジメトキシ−4、4´−ビフェニレンジイソシアネート、1、5−ナフタレンジイソシアネート、1、5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、2、4−トリレンジイソシアネート、2、6−トリレンジイソシアネート、4、4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2、4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、水添キシリレンジイソシアネート、1、4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4、4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2、4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネート化合物が挙げられる。そして、上記例示したイソシアネートを用いた場合、耐アルカリ性、耐食性等だけではなく、耐候性に優れた複合皮膜を形成させることができるという点で好ましい。
ポリエステルポリウレタン樹脂(a)は、樹脂合成時の安定性、低温乾燥時の造膜性を高めるために有機溶剤を配合することができる。有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2、2、4−トリメチル−1、3ペンタンジオールモノイソブチレートなどが挙げられる。
水系金属表面処理剤に上記ポリエステルポリウレタン樹脂(a)が含まれることで、水系金属表面処理剤から形成される複合皮膜にはポリエステルポリウレタン樹脂(a)が含まれることになる。このように複合皮膜にポリエステルポリウレタン樹脂(a)が含まれることで、例えば、ポリエーテル系のウレタンを使用した場合と比べると、複合皮膜の耐黒変性や貯蔵安定性が損なわれてしまうのを防止しやすくなる。
水分散性アクリル樹脂(b)は、分子中に脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合単位、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する重合単位及び他の(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合単位を含む重合体からなるものである。水系金属表面処理剤が、このような水分散性アクリル樹脂(b)を含むことにより、金属表面処理剤を用いて形成された表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板に耐滑り性、及び耐候性を付与することができる。
前記分子中に脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルとしては、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、トリシクロデシル、テトラシクロドデシルなどの多環脂環式シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルも挙げられる。特に、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチルが好ましく、この場合、側鎖の置換基が特に嵩高いものであるので、例えば、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性等の皮膜性能が向上するものとなり、また、水系金属表面処理剤の貯蔵安定性も損なわれにくい。尚、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸又はメタクリル酸、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを示す。
また、前記α、β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、等を用いることができる。
また、前記他の(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等を用いることができる。
上記水分散性アクリル樹脂(b)は、分子中に脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステル、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸、及び他の(メタ)アクリル酸エステルをそれぞれ混合させると共に、必要に応じてその他の原料を添加し、これを重合させることで合成することができる。この合成方法は特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩等のアニオン性活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性活性剤、疎水基にラジカル重合可能な官能基を有する反応性乳化剤等から選択される一種又は二種以上の公知の乳化剤の存在下、例えば過酸化物やアゾ化合物を用いた乳化重合によって合成することができる。その他の合成方法としては、懸濁重合、分散重合、マイクロエマルジョン重合、ミニエマルジョン重合等を適宜用いてもよい。上記合成方法の中でも、水分散性が良好であるという点で、乳化重合が好ましい。
上記水分散性アクリル樹脂(b)の製造において、例えば、分子中に脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルを100質量部使用した場合、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸は、10〜75質量部、他の(メタ)アクリル酸エステルの配合比率は50〜975質量部であることが好ましい。分子中に脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステル、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸、他の(メタ)アクリル酸エステルの配合比率が上記範囲である場合、脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルによる皮膜性能向上の効果が得られやすく、また、より良好な貯蔵安定性が得られるものとなる。
上記水分散性アクリル樹脂(b)は、その合成段階においてシランカップリング剤を用いてシラン変性しても構わない。シラン変性するときのシランカップリング剤の種類、変性量については特に限定するものではないが、例示するとすればシランカップリング剤の種類としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
上記水系金属表面処理剤において、ポリエステルポリウレタン樹脂(a)と、水分散性アクリル樹脂(b)との固形分重量比(a)/(b)は、69/31〜40/60の範囲であり、60/40〜45/55の範囲が好ましく、55/45〜50/50の範囲がより好ましい。(a)/(b)が上記範囲になるように水系金属表面処理剤に配合した場合、水系金属表面処理剤から形成された複合皮膜においても(a)/(b)は上記範囲となる。
ここで、前記(a)/(b)が69/31を超えると表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐滑り性、アウトガス性が劣り、また十分な耐候性を付与することができず、40/60を下回ると耐食性、耐アルカリ性、成形加工性、アウトガス性、及び耐溶剤性が低下してしまう。また、(a)/(b)が、69/31〜40/60の範囲であれば経済面からも有利である。
また、上記水系金属表面処理剤において、ポリエステルポリウレタン樹脂(a)の体積平均粒子径(R1)と水分散性アクリル樹脂(b)の体積平均粒子径(R2)との比(R1/R2)が15/100〜40/100の範囲であることが好ましい。この場合、複合皮膜中において、水分散性アクリル樹脂(b)の連続皮膜の中に、小粒径のポリエステルポリウレタン樹脂(a)が入り込んで海島状の皮膜となり、耐食性、耐アルカリ性、成形加工性に優れた連続皮膜を形成するのに加え、微小な凹凸により優れた耐滑り性が得られるものとなる。また、造膜性にも優れるため、後述の可塑剤(e)を効率的に揮発させることができ、アウトガス性、耐溶剤性にも優れた表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板を得ることが可能となる。より好ましい(R1/R2)は20/100〜34/100であり、特に好ましくは27/100〜30/100の範囲である。また、ポリエステルポリウレタン樹脂(a)の体積平均粒子径R1、及び水分散性アクリル樹脂(b)の体積平均粒子径R2はいずれも10nm〜500nmの範囲が好ましい。この場合、複合皮膜中においてポリエステルポリウレタン樹脂(a)及び水分散性アクリル樹脂(b)が均一に分散した状態で複合皮膜中に存在しやすくなる。
尚、前記ポリエステルポリウレタン樹脂(a)の体積平均粒子径R1と水分散性アクリル樹脂(b)の体積平均粒子径R2は、例えば、サブミクロン粒度分布測定装置(商品名「N4Plus」、コールター社製)を用いて測定することができる。具体的には、前記装置にて粒度分布を計測し、この装置に付属のソフトで自動的に単分散モード解析して得られた結果を、体積平均(分散)粒子径として換算することができる。
可塑剤(e)は、2、2、4−トリメチル−1、3ペンタンジオールモノイソブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、及びベンジルアルコールなどが挙げられる。
上記水系金属表面処理剤において、可塑剤(e)の配合量は、(e)の配合量が(a)及び(b)の固形分質量の合計量に対して15〜30質量%である。(e)の配合量が15質量%未満であると可塑剤(e)の添加効果が発現しにくくなり、その結果、良好な造膜性が得られにくくなり、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性、成形加工性及び耐溶剤性が低下するおそれがある。一方、30質量%を超えると、貯蔵安定性、アウトガス性、耐溶剤性が低下する傾向となる。より好ましい(e)の配合量は、(a)及び(b)の固形分質量の合計量に対して20〜25%である。
上記ジルコニウム化合物(c)としては特に限定されるものではないが、例えば、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムナトリウム、炭酸ジルコニウムカリウム、乳酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ジルコン弗化水素酸及びそのアンモニウム塩等が使用できる。これらの中で、炭酸ジルコニウムナトリウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、乳酸ジルコニウムを用いることがより好ましい。
上記ジルコニウム化合物(c)を含有することで金属材料との反応、ウレタン樹脂骨格に存在する極性基と架橋反応、アクリル樹脂骨格に存在する極性基と架橋反応することが可能となり、耐食性が向上する。
ジルコニウム化合物(c)は、複合皮膜がアルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板に形成された場合に複合皮膜の表面積あたりの(c)の含有量が、ジルコニウム換算として9〜50mg/mの範囲、好ましくは12〜25mg/mの範囲となるように、水系金属表面処理剤に配合されるものである。具体的には、水系金属表面処理剤において、ジルコニウム化合物(c)の配合質量(ジルコニウム換算量)と、水分散性のポリエステルポリウレタン樹脂(a)及び水分散性アクリル樹脂(b)の固形分質量の合計量との比Zr/{(a)+(b)}が、0.002〜0.035の範囲、より好ましくは0.003〜0.020の範囲である。
複合皮膜の表面積あたりの(c)の含有量が、ジルコニウム換算として50mg/mを超えると皮膜中のジルコニウム化合物が過剰となり樹脂成分{(a)+(b)}が不足するために成形加工性が低下する。一方、9mg/mを下回るとジルコニウム化合物が不足し、耐アルカリ性が低下する場合がある。
上記ヒンダードアミン類(d)としては特に限定されるものではないが、例えば、2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル、(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシレート、トリデシル−1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1−オクチロキシ−2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ポリ[{6−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)アミノ−1、3、5−トリアジン−2、4−ジイル}{(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシルエチル)−4−ヒドロキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ{[6−モルフォリノ−2、4−ジイル][4−(2、2、6、6−テトラメチルピペリジル)イミノヘキサメチレン][4−(2、2、6、6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}等が使用できる。
前記ヒンダードアミン類(d)は、紫外線等により樹脂が分解する過程で発生するラジカルを捕捉するものであり、長期間に亘って、複合皮膜を安定な状態に保たせることができ、耐候性に優れる。特に、(d)の配合比率は、ポリエステルポリウレタン樹脂(a)及び水分散性アクリル樹脂(b)の固形分合計質量との比(d)/{(a)+(b)}が5/100〜1/1000の範囲であることが好ましく、この範囲であれば、複合皮膜の特性を低下させるおそれがなく、複合皮膜が分解又は着色するおそれもない。特に好ましい(d)/{(a)+(b)}は5/100〜1/100であり、この場合、耐アルカリ性及び耐候性がさらに向上しやすいものとなる。
本発明で使用する水系金属表面処理剤にはシランカップリング成分(f)が含まれていてもよい。このシランカップリング剤(f)は、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−3、4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
上記シランカップリング剤成分(f)は、水系金属表面処理剤で複合皮膜を形成した場合に複合皮膜の質量固形分に対して含まれるシランカップリング剤成分(f)が1.0〜4.0質量%になるように水系金属表面処理剤に配合することが好ましく、1.5〜3.0%であることがより好ましく、2.0〜2.5%であることがより一層好ましい。この場合、水系金属表面処理剤の固形分質量に対して、シランカップリング剤成分(f)は1.0〜4.0質量%含まれるように配合すればよい。
複合皮膜中における上記シランカップリング剤成分(f)の含有量が上記範囲であれば、水系金属表面処理剤を塗布した後乾燥して得られた複合皮膜と、金属表面との密着性を高めることが可能となり、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性がさらに優れた表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板を得ることが可能となる。
水系金属表面処理剤には、コバルト化合物(g)を含有することもできる。上記コバルト化合物(g)としては、硝酸コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、シュウ酸コバルト(II)、シュウ酸コバルト(III)、酸化コバルト(III)、酸化コバルト(IV)等が挙げられる。
上記コバルト化合物(g)を含む水系金属表面処理剤で複合皮膜を形成した場合、コバルト化合物(g)が複合皮膜内に均一に分散し、一部は金属表面との反応によって金属表面を改質し、耐黒変性を高めることが可能となる。皮膜内に分散しているコバルト化合物(g)の一部は、高温多湿な雰囲気下で皮膜内を拡散してめっき表面が変色する現象を抑制し、実用的には長期に渡り性能を維持し続けることができる。
上記コバルト化合物(g)の配合量は、コバルト化合物(g)と、ポリエステルポリウレタン樹脂(a)及び水分散性アクリル樹脂(b)の固形分総量との質量配合比(g)/{(a)+(b)}が、1/500〜1/10000の範囲であることが好ましく、1/1000〜1/5000の範囲がより好ましい。(g)/{(a)+(b)}が、1/1000を超えた場合は、耐黒変性において性能が飽和し、期待した効果以上の性能が得られないため、経済的に不利になる場合がある。一方、1/5000を下回った場合は、めっき鋼板におけるめっき成分としてアルミニウムを多く含有するめっき鋼板を使用したときに、耐黒変性の効果が小さい場合がある。
本発明で使用する水系金属表面処理剤は、上記成分に加えて、さらに水を含むものである。水系金属表面処理剤における水の量は特に制限されるものではないが、例えば、樹脂成分の固形分質量(すなわち、(a)+(b))100質量部に対して100〜2000質量部とすることができる。
水系金属表面処理剤のpHは7.5〜10の範囲である。ここで、pHが7.5未満であると水系金属表面処理剤の貯蔵安定性が低下する傾向にある。また、pHが10を超えると、めっき鋼板表面の不動態層を破壊してしまい、めっきそのものが持つ性能を大幅に低下させてしまうため、耐食性等が低下してしまうおそれがある。pHの調整にはアンモニア、蟻酸、及び酢酸を使用することができる。水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、塩酸、硫酸、及び硝酸を使用した場合、複合皮膜の耐水性が低下する為、これらは使用しない方がよい。
めっき鋼板は、鋼板にめっき層を形成してなるものであるが、このめっき層の構成元素として、亜鉛およびアルミニウムを含有し、或いは更にマグネシウムを含有することが好ましい。めっき層が亜鉛及びアルミニウムを含有すると、アルミニウム層に生じる薄い酸化被膜によって、めっき層表面が保護される鋼板の保護効果が発揮され、これによってめっき層の耐食性が特に向上する。また、亜鉛による犠牲防食作用により、特に、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の切断端面におけるエッジクリープが抑制されて、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板に特に高い耐食性が付与される。更に、めっき層が亜鉛よりも卑な金属であるマグネシウムを更に含有すると、めっき層のアルミニウムの効果と亜鉛の犠牲防食作用がともに強化され、めっき鋼板の耐食性がさらに向上する。
また、Ni、Crなどの金属元素、Ca、Srなどのアルカリ土類元素、Y、LaもしくはCeなどの希土類を添加することで、アルミニウムや亜鉛の上記効果を強化し、耐食性をさらに向上させることができる。このめっき層に、更に、Siを加えることで、めっきの機械的加工性を向上させることができる。Siは、めっき層と鋼板との界面に生成する合金層の成長を抑え、適正なめっき密着性と機械的加工性を向上させる。また、マグネシウムと合金を形成することで耐食性を向上させる効果も期待できる。
めっき層のアルミニウムの含有率は、特に制限されないが、1〜75質量%の範囲内であることが好ましく、5〜65質量%の範囲内であればより好ましく、5〜15質量%もしくは45〜65質量%の範囲内であればよりいっそう好ましい。これは、アルミニウムが5質量%を超えると、アルミニウムが最初に凝固するため、アルミニウム酸化層の保護効果が得られやすいためである。また、5〜15質量%の範囲内では、亜鉛の犠牲防食効果を主体にアルミニウムの保護効果が発揮され、45〜65質量%では、アルミニウムの保護効果を主体に亜鉛の犠牲防食効果が発揮される。このようにめっき層のアルミニウムの含有率が、5〜15質量%の範囲内又は45〜65質量%の範囲内であれば、アルミニウム及び亜鉛の双方の効果が充分に発揮される。
また、マグネシウムの含有割合は、特に制限されないが、0質量%を超えて6.0質量%以下の範囲内であることが好ましく、特に0.1〜5.0質量%の範囲内であることが好ましい。
Siを含有する場合は、めっき層中のAl(アルミニウム)の質量に対して、0.1〜10質量%の範囲内で含有することが好ましく、特に、1〜5質量%の範囲内であれば更に好ましい。
また、Ni、Crを含有する場合は、これらのうちの少なくとも1種類以上を、各々、0質量%を超えて1質量%以下の範囲内で含むことが好ましく、0.01〜0.5質量%の範囲内であれば更に好ましい。
また、Ca、Srなどのアルカリ土類元素は、これらのうちの少なくとも1種類以上を、各々、0質量%を超えて1質量%以下の範囲内で含むことが好ましく、また、0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲内で含むことがより好ましく、0.001〜0.1質量%の範囲内であれば特に好ましい。
Y、LaやCeなどの希土類は、これらのうちの少なくとも1種類以上を、各々、0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲内で含むことがより好ましく、0.001〜0.1質量%の範囲内であればより好ましい。
勿論、めっき層中には、前記以外の不可避的に混入する元素が含まれていてもよい。
次に、水系金属表面処理剤を用いてめっき鋼板(アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板)に複合皮膜を形成させる方法について説明する。複合皮膜は、水系金属表面処理剤を、アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布した後、乾燥することにより形成させることができる。
水系金属表面処理剤の塗布方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができ、例えば、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、シャワーリンガー法、エアーナイフ法などが挙げられる。
そして、塗布後に複合皮膜(被覆層)を形成するには、水分を自然乾燥により揮発させても良いし、電気炉、熱風炉、誘導加熱炉などの加熱装置を用いて強制的に乾燥しても良く、その方法を限定されるものではない。加熱乾燥して複合皮膜を形成する場合、アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の温度(到達板温)を60〜180℃とすることが好ましい。この場合、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性、成形加工性がより向上するものとなる。より好ましい到達板温は、80〜150℃、特に好ましくは100〜120℃である。
上記のようにアルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板に形成された複合皮膜では、片面あたりの複合皮膜量(片面の面積あたりの複合皮膜の付着量)が、1.3〜3.5g/mである。この複合皮膜量が1.3g/m未満であると充分な樹脂皮膜の効果が得られないので、優れた耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性、成形加工性、耐滑り性等の性能を付与できず、また、3.5g/mを超えて被覆されると、耐溶剤性、アウトガス性、貯蔵安定性等が低下し、また、樹脂皮膜の造膜不良の発現を防止するのに長時間の乾燥時間が必要となってしまい、その上、性能が飽和して生産性及び経済的損失をもたらすことになる。
本発明の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板では、表面に被覆された複合皮膜から発生するアウトガス(例えば、溶剤、可塑剤や樹脂成分等に由来する揮発性の有機化合物)の量が抑制されたものである。すなわち、本発明の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板はアウトガス性に優れるものである。このように表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板から発生するアウトガスが抑制されていることで、環境に悪影響を与えにくくなるという利点がある。
具体的には、複合皮膜から発生するアウトガスの全量(面積あたり)は、1000ng/cm未満であることが好ましく、特に、発生アウトガス成分としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)が5ng/cm未満であることが好ましい。この場合、環境面において非常に優れるものとなる。
本発明では、複合皮膜を形成させる前に、コバルト化合物(B)を水で溶解し、且つ、pHを酸性或いはアルカリ性に調整した水系表面調整剤をめっき鋼板の表面と接触させることで、めっき鋼板上にコバルトを含有する下地皮膜層を形成させることもできる。この場合、めっき鋼板にコバルトが析出した下地皮膜層が形成され、さらにその上に複合皮膜が形成されることで、いわゆる2層複合皮膜となるので、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性をさらに向上させることができる。
前記下地皮膜層の形成するにあたって、水系表面調整剤のpHは酸性或、アルカリ性域のいずれであっても構わない。しかし、下地皮膜層に積層させる複合皮膜の形成に用いる水系金属表面処理剤のpHはアルカリ寄り(pH7.5〜10)であることから、酸性域よりもアルカリ性域の方が、工業的なプロセスの観点において好ましい。特に、水系表面調整剤のpHは、複合皮膜用の水系金属表面処理剤と同じ7.5〜10の範囲内にすることがより好ましい。
特に、めっき層がマグネシウムを合金成分として含有する場合、酸性の水系表面調整剤よりもアルカリ性の水系表面調整剤を用いることが好適である。酸性でも下地皮膜の有する上記特性を発現できるが、めっき表面のエッチング、すなわち溶解性が高くなる。対して、アルカリ性であれば、めっき層に存在するマグネシウムは難溶解を示すことで、めっき表面を殆ど損傷させず、そのため、めっき層の特性が活かされ、更に、下地皮膜の有する上記特性を相乗的に発現させることができる。
また、上記の水系表面調整剤は、塩基性ジルコニウム化合物(A)と、コバルト化合物(B)とを水で溶解させ、pH7.5〜10の範囲内に調整されていることが好ましい。水系表面調整剤にコバルト化合物(B)が含まれていることで、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性が向上する。更に、コバルト化合物(B)に加えて塩基性ジルコニウム化合物(A)が含まれていることで、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性のみならず、耐食性もより一層、長期にわたって保つことができる。これは、塩基性ジルコニウム化合物(A)由来の酸化ジルコニウムや水酸化ジルコニウムを主成分として形成される皮膜が、緻密なバリア性を有するからである。更に、水系表面調整剤を、めっき鋼板表面に接触させて反応させることで、下地皮膜中のコバルト化合物がめっき層表面と下地皮膜との界面に、より高濃度で存在(偏析)するようになる一方で、塩基性ジルコニウム化合物(A)は下地皮膜のマトリックス中に存在するようになる。そのため、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板が、黒変するような環境雰囲気下におかれても、コバルト化合物が一気に(短時間に)消費されにくくなり、そのため、持続的にコバルト化合物(B)の効果が発揮されるので、効率的で、長期間にわたって耐黒変性の効果が維持される。
また、水系表面調整剤のpHが7.5〜10の範囲内であることで、水系表面調整剤の貯蔵安定性、並びに処理時の液安定性を維持することができる。
水系表面調整剤に含まれるコバルト化合物(B)の種類としては、水系金属表面処理剤に含まれるコバルト化合物(g)の説明で例示列挙した化合物の1種又は2種以上を適宜使用できる。コバルト化合物(g)の説明で例示列挙した以外の化合物としては、例えば、コバルトアセチルアセトナート(II)なども使用することができる。
塩基性ジルコニウム化合物(A)の詳細について説明する。塩基性ジルコニウム化合物(A)の具体例としては、塩基性ジルコニウム、塩基性ジルコニル、塩基性ジルコニウム塩、塩基性ジルコニル塩、塩基性炭酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニル、塩基性炭酸ジルコニウム塩、塩基性炭酸ジルコニル塩等が例示される。塩の種類としては、アンモニウム塩、ナトリム、カリウム、リチウムのアルカリ金属塩、アミン塩などが挙げられる。特に、塩基性ジルコニウム化合物(A)としては、塩基性炭酸ジルコニウム塩、塩基性ジルコニル塩を用いることが好ましく、例えば、炭酸ジルコニルアンモニウム[(NHZrO(CO]、炭酸ジルコニルカリウム[KZrO(CO]、炭酸ジルコニルナトリウム[NaZr(CO]、炭酸ジルコニウムアンモニウム{(NH[Zr(CO(OH)}、炭酸ジルコニウムカリウム{K[Zr(CO(OH)}、炭酸ジルコニウムナトリム{Na[Zr(CO(OH)}などが挙げられる。これらは、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を併用してもよい。塩基性ジルコニウム化合物(A)は特に、炭酸ジルコニルアンモニウム[(NHZrO(CO]、炭酸ジルコニウムアンモニウム{(NH[Zr(CO(OH)}を含むことが好ましい。
水系表面調整剤のpH調整をするにあたっては、硫酸、塩酸、硝酸など公知の酸成分、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウムなど公知の塩基成分が使用できる。
水系表面調整剤を用いてめっき鋼板に下地皮膜層を形成させる処理方法は、浸漬、スプレー処理などのいずれの方法も適用できる。具体的には、浸漬、スプレー法によってめっき鋼板表面に接触させた後で水洗する反応型処理でも、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、シャワーリンガー法、エアーナイフ法、カーテンフロー法などによって接触させた後で水洗せずに乾燥させる塗布型処理のいずれでも構わないが、皮膜量をより多く稼ぎ、本発明の効果をより高めるためには塗布型処理で行なうのが好ましい。
上記水系表面調整剤で下地皮膜を形成させる場合、めっき鋼板の片面当たりの前記下地皮膜の乾燥皮膜量が0.05〜0.8g/mの範囲内であることが好ましい。上記乾燥皮膜量が0.05g/m以上であれば、下地皮膜層を設けることによる上記効果が損なわれるおそれがない。また、上記乾燥皮膜量が0.8g/m以下であれば、下地皮膜層がポーラスになるのを防止しやすくなり、優れた耐黒変性や耐食性を付与することができる。
また、下地皮膜を形成させる場合、めっき鋼板の片面当たりの下地皮膜のZr質量換算付着量が5〜400mg/mの範囲内であることが好ましく、めっき鋼板の片面当たりの下地皮膜のCo質量換算付着量が1〜20mg/mの範囲内であることが好ましい。Zr質量換算付着量及びCo質量換算付着量が上記の下限量であれば、下地皮膜層による耐黒変性、耐黒変性向上の効果が充分に発揮され得る。また、Zr質量換算付着量及びCo質量換算付着量が上記下限であれば、Co量が多くなりすぎることによる耐食性の低下を防止しやすくなり、耐黒変性及び耐食性の両方を一層高めることができる。
尚、水系表面調整剤は、コバルト化合物(B)が含まれるが、塩基性ジルコニウム化合物(A)が含まれないものであってもよい。このような水系表面調整剤を使用する場合は、めっき鋼板の片面当たりの前記下地皮膜のCo質量換算付着量は、0.5〜15mg/mの範囲内とすることが好ましい。これによって、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性を向上させることはできる。しかし、耐食性も併せて向上させるという観点から、水系表面調整剤は、上記のようにコバルト化合物(B)に加えて、塩基性ジルコニウム化合物(A)を含むほうが好ましい。
以上のように、めっき鋼板に、水系表面調整剤から形成される下地皮膜と、水系金属表面処理剤から形成される複合皮膜との2層からなる皮膜が形成される場合、複合皮膜のみを有するめっき鋼板に比べて、耐黒変性等をより高めることができる。加えて、下地皮膜の上記乾燥皮膜量やZr質量換算付着量及びCo質量換算付着量が、上記の特定の範囲内であれば、下地皮膜の効果を最大限に引き出すことができ、表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性や耐食性がさらに向上する。
上記乾燥皮膜量、Zr質量換算付着量及びCo質量換算付着量が、上記範囲内となるように下地皮膜を析出させるにあたっては、処理温度や処理時間を適宜設定することができる。例えば、反応型処理を行う場合は、表面調整剤の10〜80℃の範囲内であることが好ましく、塗布型処理を行う場合は、10〜150℃の範囲内、特に、30〜100℃の範囲内であることが好ましい。
以上のように本発明の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板は、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性、成形加工性を兼ね備え、耐滑り性、アウトガス性、耐候性に優れるものであり、また、皮膜(下地皮膜、複合皮膜)形成用の水系表面処理剤及び水系表面調整剤はクロムを含有しない。そのため、建材製品、家電製品、自動車部材等、各種分野で使用でき、特に屋外で使用する建材製品に適用可能である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
[めっき鋼板]
(1)供試材
表1に掲げためっき組成を有する20種類のめっき鋼板(No.1〜No.20)を用意した。表1中の数値は、めっき層中における各元素の含有率(質量%)である。ただし、表1において、(Si/Al)は、Alの全質量に対するSiの含有率(質量%)を示している。また、表1において、Znについては「残」と表記しており、めっき層を構成する全元素量のうち、Zn以外の他の元素の含有量を除いた全てを意味する。
(2)脱脂処理
金属材料の前処理として、アルカリ脱脂により清浄な表面状態を得た。具体的にはシリケート系アルカリ脱脂剤のパルクリーンN364S(日本パーカライジング(株)製)を濃度2%、温度60℃に調整し、10秒間スプレー処理した。続いて、水道水で洗浄した後に水切りロールで絞り、50℃で30秒間加熱乾燥した。
[水系金属表面処理剤]
(1)ポリエステルポリウレタン樹脂(a)
表2に示すポリエステルポリウレタン樹脂(a1〜a5)及びポリエーテルポリウレタン樹脂(a6)(比較用)はそれぞれ、以下に示す合成方法により得た。
・ポリエステルポリウレタン樹脂(a1)
反応容器内に1、6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸から得られる数平均分子量2000のポリエステルポリオール100質量部、2、2−ジメチル−1、3−プロパンジオール5質量部、2、2−ジメチロールプロピオン酸20質量部、2、4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部、N−メチル−2−ピロリドン100質量部を加えて反応させ、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量5%であるウレタンプレポリマーを得た。次に、エチレンジアミン16質量部、トリエチルアミン10質量部をイオン交換水500質量部に加えて回転数2000rpmのホモミキサーで攪拌しながら、ウレタンプレポリマーを加えて乳化分散して不揮発分35質量%のポリエステルポリウレタン樹脂(a1)を得た。また、ポリエステルポリウレタン樹脂(a1)において、その体積平均粒子径R1が異なるものをさらに3種類作製し、それぞれ、(a1−1)、(a1−2)、(a1−3)としている。(a1)、(a1−1)、(a1−2)及び(a1−3)の体積平均粒子径R1については、上記ホモミキサーによる分散時間を適宜調整しながら、所望の粒子径に達したところでホモミキサーによる分散を終了させることで調節した。
尚、ポリエステルポリウレタン樹脂の体積平均粒子径R1は、サブミクロン粒度分布測定装置(商品名「N4Plus」、コールター社製)を用いて測定した。
・ポリエステルポリウレタン樹脂(a2)
反応容器内に1、6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸から得られる数平均分子量2000のポリエステルポリオール100質量部、2、2−ジメチル−1、3−プロパンジオール5質量部、2、2−ジメチロールプロピオン酸20質量部、4、4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部、N−メチル−2−ピロリドン100質量部を加えて反応させ、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量5%であるウレタンプレポリマーを得た。次に、エチレンジアミン16質量部、トリエチルアミン10質量部をイオン交換水500質量部に加えて回転数2000rpmのホモミキサーで攪拌しながら、ウレタンプレポリマーを加えて乳化分散して不揮発分35質量%のポリエステルポリウレタン樹脂(a2)を得た。
・ポリエステルポリウレタン樹脂(a3)
反応容器内に1、6−ヘキサンジオールとアジピン酸から得られる数平均分子量2000のポリエステルポリオール100質量部、2、2−ジメチル−1、3−プロパンジオール5質量部、2、2−ジメチロールプロピオン酸20質量部、4、4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部、N−メチル−2−ピロリドン100質量部を加えて反応させ、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量5%であるウレタンプレポリマーを得た。次に、エチレンジアミン16質量部、トリエチルアミン10質量部をイオン交換水500質量部に加えて回転数2000rpmのホモミキサーで攪拌しながら、ウレタンプレポリマーを加えて乳化分散して不揮発分35質量%のポリエステルポリウレタン樹脂(a3)を得た。
・ポリエステルポリウレタン樹脂(a4)
反応容器内に1、6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸から得られる数平均分子量2000のポリエステルポリオール100質量部、2、2−ジメチル−1、3−プロパンジオール5質量部、2、2−ジメチロールプロピオン酸20質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート100質量部、N−メチル−2−ピロリドン100質量部を加えて反応させ、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量5%であるウレタンプレポリマーを得た。次に、エチレンジアミン16質量部、トリエチルアミン10質量部をイオン交換水500質量部に加えて回転数2000rpmのホモミキサーで攪拌しながら、ウレタンプレポリマーを加えて乳化分散して不揮発分35質量%のポリエステルポリウレタン樹脂(a4)を得た
・ポリエステルポリウレタン樹脂(a5)
反応容器内に1、6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸から得られる数平均分子量20000のポリエステルポリオール100質量部、2、2−ジメチル−1、3−プロパンジオール5質量部、2、2−ジメチロールプロピオン酸20質量部、2、4−トリレンジイソシアネート100質量部、N−メチル−2−ピロリドン100質量部を加えて反応させ、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量5%であるウレタンプレポリマーを得た。次に、エチレンジアミン16質量部、トリエチルアミン10質量部をイオン交換水500質量部に加えて回転数2000rpmのホモミキサーで攪拌しながら、ウレタンプレポリマーを加えて乳化分散して不揮発分35質量%のポリエステルポリウレタン樹脂(a5)を得た。
・ポリエーテルウレタン樹脂(a6)
反応容器内にエチレングリコールとプロピレングリコールから得られる数平均分子量2000のポリエーテルポリオール100質量部、2、2−ジメチル−1、3−プロパンジオール5質量部、2、2−ジメチロールプロピオン酸20質量部、2、4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部、N−メチル−2−ピロリドン100質量部を加えて反応させ、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量5%であるウレタンプレポリマーを得た。次に、エチレンジアミン16質量部、トリエチルアミン10質量部をイオン交換水500質量部に加えて回転数2000rpmのホモミキサーで攪拌しながら、ウレタンプレポリマーを加えて乳化分散して不揮発分35質量%のポリエステルポリウレタン樹脂(a6)を得た。
(2)水分散性アクリル樹脂(b)
表3に示す水分散性アクリル樹脂(b)(b1〜b10)はそれぞれ、以下に示す合成方法により得た(表3では「アクリル樹脂」と表記)。尚、水分散性アクリル樹脂の体積平均粒子径R2は、サブミクロン粒度分布測定装置(商品名「N4Plus」、コールター社製)を用いて測定した。
・水分散性アクリル樹脂(b1〜b10)
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、内部空気を窒素ガスにて置換後、脱イオン水120質量部にポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルを1.5質量部添加した混合液に、表2に示す質量比で配合したモノマー105質量部のうち10質量部を添加し、重合触媒として過硫酸アンモニウムを0.3質量部添加して80〜85℃で3時間反応させた。その後、残りの混合モノマー95質量部を3時間かけて滴下し、滴下終了後1時間温度及び攪拌条件を保った。アンモニア水及び脱イオン水にてpH調整、濃度調整を行い、固形分濃度40%の水分散性アクリル樹脂(b1)〜(b10)を得た。
・水分散性アクリル樹脂(b1−1)
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、内部空気を窒素ガスにて置換後、脱イオン水120質量部にポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルを1.5質量部添加した混合液に、表2に示す質量比で配合したモノマー105質量部を添加し、重合触媒として過硫酸アンモニウムを0.3質量部添加して80〜85℃で3時間反応させた。その後、アンモニア水及び脱イオン水にてpH調整、濃度調整を行い、固形分濃度40%の水分散性アクリル樹脂(b1−1)を得た。
・水分散性アクリル樹脂(b1−2)
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、内部空気を窒素ガスにて置換後、脱イオン水120質量部にポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルを1.5質量部添加した混合液に、表2に示す質量比で配合したモノマー105質量部のうち70質量部を添加し、重合触媒として過硫酸アンモニウムを0.3質量部添加して80〜85℃で3時間反応させた。その後、残りの混合モノマー35質量部を3時間かけて滴下し、滴下終了後1時間温度及び攪拌条件を保った。アンモニア水及び脱イオン水にてpH調整、濃度調整を行い、固形分濃度40%の水分散性アクリル樹脂(b1−2)を得た。
・水分散性アクリル樹脂(b1−3)
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、内部空気を窒素ガスにて置換後、脱イオン水120質量部にポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルを1.5質量部添加した混合液に、表2に示す質量比で配合したモノマー105質量部のうち20質量部を添加し、重合触媒として過硫酸アンモニウムを0.3質量部添加して80〜85℃で3時間反応させた。その後、残りの混合モノマー85質量部を3時間かけて滴下し、滴下終了後1時間温度及び攪拌条件を保った。アンモニア水及び脱イオン水にてpH調整、濃度調整を行い、固形分濃度40%の水分散性アクリル樹脂(b1−3)を得た。
(3)ジルコニウム化合物(c)
実施例及び比較例で用いたジルコニウム化合物(c)(c1〜c4)を表4に示す。
(4)ヒンダードアミン類(d)
実施例及び比較例で用いたヒンダードアミン類(d)(d1〜d4)を表5に示す。
(5)可塑剤(e)
実施例及び比較例で用いた可塑剤(e)(e1〜e4)を表6に示す。
(6)シランカップリング剤成分(f)
実施例及び比較例で用いたシランカップリング剤成分(f)(f1〜f3)を表7に示す。
(7)コバルト化合物(g)
実施例及び比較例で用いたコバルト化合物(g)(水系金属表面処理剤用コバルト化合物g1〜g3)を表8に示す。
表2〜表8に示す所定の各成分を所定量配合することで、表11〜14に示すように、下記実施例及び比較例で使用する水系金属表面処理剤を調製した。尚、各水系金属表面処理剤においては、アンモニア水及び脱イオン水を使用してpHを調整し、また、最後に脱イオン水を用いて固形分濃度が30%となるように濃度調整をした。
[水系表面調整剤]
(1)コバルト化合物(B)
実施例及び比較例で用いたコバルト化合物(B)(B1〜B4)を表9に示す。
(2)塩基性ジルコニウム化合物(A)
実施例及び比較例で用いた塩基性ジルコニウム化合物(A)(A1〜A3)の配合を表10に示す。
表9、10に示す所定の各成分を所定量配合することで、表15に示すように、下記実施例及び比較例で使用する水系表面調整剤を調製した。pHの調整は、アンモニア若しくは硝酸アンモニウムを加えることで行った。
(実施例1〜114及び比較例1〜21)
表11〜14(実施例1〜実施例114)、表16(比較例1〜21)に記載の水系金属表面処理剤を用いて、めっき鋼板に複合皮膜を形成させ、処理板(表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板)を作製した。具体的には、所定の皮膜量が得られるように、バーコーターの種類を変えてウエット付着量をコントロールし、その後、280℃の雰囲気で加熱乾燥の時間を調節しながら所定の到達板温になるように乾燥することで、被覆層(複合皮膜)を形成させた。尚、ジルコニウム化合物(c)については、複合皮膜中のZr付着量(複合皮膜の表面積あたりの(c)の含有量のジルコニウム換算値)が表11〜14、16に示す値になるような含有量で水系金属表面処理剤に含まれている。
また、めっき鋼板に下地皮膜を形成させる場合は(実施例106〜114)、上記複合皮膜を形成させる前に、表15に示す配合で調整した水系表面調整剤を、アルカリ脱脂しためっき鋼板上にバーコーターで塗布させた。次いで、このめっき鋼板を200℃の雰囲気で所定の到達板温となるように加熱し、乾燥することで、下地皮膜を形成させた。その後、上記同様の方法で、水系金属表面処理剤を用いて下地皮膜層の上に複合皮膜(上層皮膜)を形成させ、下地皮膜と複合皮膜との2層の皮膜層を有する表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板を得た。
(比較例22)
特公平4−2672号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
(比較例23)
特開平7−251128号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
(比較例24)
特開2003−201578号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
(比較例25)
特開2004−204333号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
(比較例26)
特開2007−239027号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
(比較例27)
特開2006−342221号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
(比較例28)
特開2006−52348号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
(比較例29)
特開2006−89589号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
(比較例30)
特開2006−219512号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
(比較例31)
特開2006−299327号公報の実施例1に記載の表面処理剤を用い、表12に記載の処理条件にて、実施例1と同様の方法で被覆層を形成させた。
表17〜20に、各実施例及び比較例におけるめっき鋼板の種類(表1記載のめっき鋼板のNo.を記載)、めっき鋼板に形成された下地皮膜の量(表19の実施例106〜114のみ)、めっき鋼板に形成された複合皮膜の量(皮膜量)、及び到達板温(PMT)を示す。到達板温は熱電対温度計を用いて計測した。尚、表19において、Co付着量及びZr付着量はそれぞれ、めっき鋼板の片面当たりの下地皮膜のCo質量換算付着量及びめっき鋼板の片面当たりの下地皮膜のZr質量換算付着量を表す。
<評価方法>
表17〜20に示す各実施例及び比較例の処理板について、以下の試験を実施した。各評価方法は次のとおりである。
[耐食性]
塩水噴霧試験法JIS−Z−2371に基づき塩水噴霧500時間後の白錆発生面積及び750時間後の白錆発生面積をそれぞれ目視により求め、下記評価基準にて評価した。尚、500時間の試験で「3」以上の判定であれば実用レベルであり、750時間の試験で「3」〜「5」の判定であれば厳しい実環境での使用や長期の耐食性が求められるレベルに適用できる。
(評価基準:白錆発生面積率)
5;白錆発生面積1%未満。
4;白錆発生面積1%以上3%未満。
3;白錆発生面積3%以上10%未満。
2;白錆発生面積10%以上30%未満。
1;白錆発生面積30%以上。
[耐アルカリ性]
1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に25℃で5時間浸漬し、脱イオン水にて水洗した後にドライヤーで乾燥した。処理板の状態を目視判定により、下記評価基準にて評価した。
(評価基準:黒色や茶色への変色度合い)
4;3%未満。
3;3%以上10%未満。
2;10%以上30%未満。
1;30%以上。
[耐黒変性]
脱イオン水の沸騰水中に2時間浸漬及び4時間浸漬し、簡易的な試験を行なった。処理板の状態を目視判定により、下記評価基準にて評価した。尚、沸騰水2時間の試験で「3」以上の判定であれば実用レベルであり、沸騰水4時間の試験で「3」〜「5」の判定であれば厳しい実環境での使用や長期の耐黒変性が求められるレベルに適用できる。
(評価基準:黒色や茶色への変色度合い)
5;全面変色なし。
4;3%未満。
3;3%以上10%未満。
2;10%以上30%未満。
1;30%以上。
[成形加工性]
先端が5mmRのビードを300kgf(2942N)で表面に押し付けた状態で、処理板を引き抜く試験を実施し、処理板の外観を目視判定し、下記の評価基準にて評価した。尚、成形加工性の試験で「3」以上の判定であれば実用レベルである。
(評価基準:黒色への変色度合い)
4;変化なし。
3;3%未満。
2;3%以上30%未満。
1;30%以上。
[耐滑り性]
傾斜法(ヘイドン社製)にて荷重200gfでの静摩擦係数を測定した。尚、ヘイドン摩擦係数においては3〜4の判定であれば実用レベルである。
(評価基準:静摩擦係数の数値)
4;0.30以上
3;0.25以上0.30未満。
2;0.15以上0.25未満。
1;0.15未満。
[アウトガス性]
Dynamic Headspace−GasChromatography−Mass Spectroscopy(DHC−GC−MS)法により、発生アウトガス量を測定した。試料を、不活性ガス気流中(300mL/min)で、80℃で1時間加熱し、試料から発生したアウトガスを吸着剤で捕集濃縮した後、GC−MSで測定した。イオン化方式は電子衝撃法で70eVとした。尚、アウトガス性の測定結果で「3」以上の判定であれば実用レベルである。
(評価基準:発生トータルアウトガス量(単位:ng/cm、ヘキサデカン換算値))
4;500未満。
3;500以上1000未満。
2;1000以上10000未満。
1;10000以上。
(評価基準:発生BHT量(単位:ng/cm、ヘキサデカン換算値))
4;0以上1未満。
3;1以上5未満。
2;5以上50未満。
1;50以上。
[耐候性]
千葉県船橋市にて12ヶ月間の屋外曝露試験を行い、色差計(Color Meter ZE2000 日本電色工業株式会社製)にて試験前後のL値及びb値差を評価した。尚、耐候性の試験でL値とb値の変化度合いがいずれも「3」以上の判定であれば実用レベルである。尚、評価結果については、L値とb値のいずれか低い点数を優先して評価結果に反映させた。
(評価基準:L値の変化度合い)
4;0以上2未満。
3;2以上4未満。
2;4以上7未満。
1;7以上。
(評価基準:b値の変化度合い)
4;0以上1未満。
3;1以上4未満。
2;4以上7未満。
1;7以上。
[耐溶剤性]
エタノール、及びトルエンを染み込ませたガーゼを使用し荷重500gfで10往復ラビング後、処理板の状態を目視判定により、下記評価基準にて評価した。尚、耐溶剤性の試験で「3」以上の判定であれば実用レベルである。
(評価基準:ラビング跡の変色度合い)
4;跡が見えない。
3;斜めから見て跡が見える。
2;上から見て跡が見える。
1;皮膜が剥離している。
[貯蔵安定性]
実施例及び比較例で作製した水系金属表面処理剤を40℃恒温装置中に5日間静置し、処理剤性状の安定性試験を行った。尚、貯蔵安定性の試験で「3」以上の判定であれば実用レベルである。
(評価基準:処理剤の粘度)
4;粘度変化なし。
3;粘度変化。
2;増粘あり。
1;ゲル化。
以上の評価結果を表21〜25に示す。
表21〜25の評価結果から分かるように、実施例1〜114に示す本発明の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板は、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性、成形加工性、耐滑り性、アウトガス性、耐候性、耐溶剤性及び貯蔵安定性に優れる結果であった。
また、実施例106〜114に示す水系表面調整剤によって下地皮膜層を設けて2層処理とした表面被覆アミニウム含有亜鉛系めっき鋼板は、耐黒変性がさらに向上した。
一方で、ポリエーテル系ウレタンを用いた比較例1では、耐黒変性及び貯蔵安定性が劣っていた。また、分子中に脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルを含まない水分散性アクリル樹脂(b)を用いて複合皮膜を形成させた比較例2では、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性等の皮膜性能が実用レベルにない。ウレタン樹脂を配合させない比較例3、及び(a)/(b)の配合比が規定範囲を下回る比較例4では、耐食性、耐アルカリ性、成形加工性、アウトガス性、及び耐溶剤性が劣っていた。
また、アクリル樹脂を配合させない比較例6、及び(a)/(b)の配合比が規定範囲を上回る比較例5では、耐滑り性、アウトガス性、及び耐候性が劣っていた。
ヒンダードアミン類を配合させない比較例7では、耐候性が劣り、(d)/((a)+(b))の配合比が規定範囲を下回る比較例8も同様の結果となり、規定範囲を上回る比較例9は耐アルカリ性が劣っていた。
可塑剤(e)を配合させない比較例10では、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性、成形加工性、及び耐溶剤性が劣った。また、(e)/((a)+(b))の配合比が規定範囲を下回る比較例11では、耐食性、耐アルカリ性及び耐溶剤性が劣り、(e)/((a)+(b))の配合比が規定範囲を上回る比較例12では、アウトガス性、耐溶剤性、及び貯蔵安定性が劣っていた。
めっき鋼板に形成される水系金属表面処理剤のpHが7.5を下回る比較例13では、貯蔵安定性が劣り、またpHが10を上回る比較例14では、耐食性が劣っていた。
めっき鋼板に形成される片面当たりの乾燥皮膜質量が1.3g/mを下回る比較例15、比較例16、比較例17及び比較例18は、耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性、成形加工性、耐滑り性、及び耐候性のいずれかが劣り、また3.5g/mを上回る比較例19ではアウトガス性及び耐溶剤性が劣った。
ジルコニウム化合物を配合させない比較例20では、耐アルカリ性、耐候性が劣っていた。また、ジルコニウム換算としてZr/((a)+(b))の配合比が規定範囲を上回る比較例21では、成形加工性が劣っていた。
本発明で使用する水系金属表面処理剤とは異なる公知の表面処理剤を用いて被覆層(複合皮膜)を形成させた場合の比較例22〜31では、耐アルカリ性、成形加工性、耐滑り性、アウトガス性、耐候性、及び貯蔵安定性の内、少なくとも2つ以上が劣っていた。
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Claims (11)

  1. 分子中にポリエステルポリオールに由来する構造単位を有するポリエステルポリウレタン樹脂(a)と、分子中に脂環構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合単位、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する重合単位及び他の(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合単位を含む重合体からなる水分散性アクリル樹脂(b)と、ジルコニウム化合物(c)と、ヒンダードアミン類(d)と、可塑剤(e)と、水とを含み、かつ、pHが7.5〜10の範囲内で、(e)の配合量が(a)及び(b)の固形分質量の合計量に対して15〜30質量%の範囲内である水系金属表面処理剤を、アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布した後乾燥することにより形成される複合皮膜を被覆して成り、
    前記複合皮膜において、(a)と(b)との質量比(a)/(b)が69/31〜40/60の範囲内であり、(d)と、(a)及び(b)の総量との質量比(d)/{(a)+(b)}が5/100〜1/1000の範囲内であり、
    前記めっき鋼板の片面の面積あたりの前記複合皮膜量が1.3〜3.5g/mの範囲内であり、前記複合皮膜の表面積あたりの(c)の含有量がジルコニウム換算として9〜50mg/mの範囲内であることを特徴とする表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  2. 前記水系金属表面処理剤において、前記ポリエステルポリウレタン樹脂(a)の体積平均粒子径R1と、前記水分散性アクリル樹脂(b)の体積平均粒子径R2との比(R1/R2)が15/100〜40/100の範囲内を満足することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  3. 前記複合皮膜がさらにシランカップリング剤成分(f)を含有し、かつ、前記複合皮膜に対する前記シランカップリング剤成分(f)の含有割合が1.0〜4.0質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  4. 前記複合皮膜がさらにコバルト化合物(g)を含有し、前記コバルト化合物(g)と、(a)及び(b)の総量との質量比(g)/{(a)+(b)}が、1/500〜1/10000の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  5. 前記複合皮膜から発生するアウトガスの全量が1000ng/cm未満であると共に前記アウトガスに含まれるブチルヒドロキシトルエンが5ng/cm未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  6. 前記水系金属表面処理剤をめっき鋼板の表面に塗布した後乾燥するときの温度が、到達板温として60〜180℃の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  7. 塩基性ジルコニウム化合物(A)、コバルト化合物(B)、及び水を含有し、pH7.5〜10の範囲内である水系表面調整剤を、前記めっき鋼板に塗布し乾燥することにより、前記塩基性ジルコニウム化合物(A)と前記コバルト化合物(B)とを含有する下地皮膜を形成して成り、前記めっき鋼板の片面当たりの前記下地皮膜の乾燥皮膜量が0.05〜0.8g/mの範囲内であり、前記めっき鋼板の片面当たりの前記下地皮膜のZr質量換算付着量が5〜400mg/mの範囲内であり、前記めっき鋼板の片面当たりの前記下地皮膜のCo質量換算付着量が1〜20mg/mの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  8. 前記めっき鋼板が、亜鉛とアルミニウムとを含有し或いは亜鉛とアルミニウムとマグネシウムとを含有するめっき層を備え、前記めっき層中のアルミニウム含有量が1質量%以上、75質量%以下の範囲内、前記めっき層中のマグネシウム含有量が0質量%を超えて6.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  9. 前記めっき層が、Ni及びCrのうち、少なくとも1種類以上を、各々0質量%を超えて1質量%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項8に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  10. 前記めっき層が、Ca、Sr、Y、La及びCeのうち、少なくとも1種類以上を、各々0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
  11. 前記めっき層が、Siを、前記めっき層中のAlに対して、0.1質量%以上、10質量%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板。
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