JP2001262009A - 親水性皮膜の形成方法、及び、塗装物品 - Google Patents

親水性皮膜の形成方法、及び、塗装物品

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JP2001262009A
JP2001262009A JP2000078044A JP2000078044A JP2001262009A JP 2001262009 A JP2001262009 A JP 2001262009A JP 2000078044 A JP2000078044 A JP 2000078044A JP 2000078044 A JP2000078044 A JP 2000078044A JP 2001262009 A JP2001262009 A JP 2001262009A
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Tsutomu Minami
努 南
Seiji Tadanaga
清治 忠永
Atsunori Matsuda
厚範 松田
Masataka Ooka
正隆 大岡
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性に優れる親水性皮膜を簡便に形成せし
める方法を提供すること、及び、かかる皮膜の形成方法
により得られる親水性皮膜をトップコート層として設け
てなる塗装物品を提供すること。 【解決手段】 アルミニウム化合物を含む溶液を基材に
塗布して、皮膜を形成し、熱水または加熱水蒸気で処理
して作成された、花弁状アルミナ皮膜が形成された基材
の花弁状アルミナ皮膜上に、金属キレート化合物を含有
するコーティング剤からなる乾燥皮膜を形成せしめ、次
いで、当該皮膜に活性エネルギー線を照射してキレート
結合を光分解せしめる親水性皮膜の形成方法、及び、こ
の方法により形成される親水性皮膜をトップコート層と
して設けてなる塗装物品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る親水性皮膜の形成方法と、当該形成方法により得られ
る親水性皮膜をトップコート層として設けてなる塗装物
品とに関する。
【0002】さらに詳しくは、アルミニウム化合物を含
む塗布液を基材に塗布して、皮膜を形成し、熱水または
加熱水蒸気で処理して作成された、花弁状アルミナ皮膜
が形成された基材の花弁状アルミナ皮膜上に、金属キレ
ート化合物を含有するコーティング剤からなる乾燥皮膜
を形成せしめたのちに、当該皮膜に光を照射することに
よる、親水性皮膜の形成方法、ならびに当該形成方法に
より調製される親水性皮膜をトップコート層として設け
てなる塗装物品に関するものである。
【0003】そして、こうして調製される親水性皮膜
は、各種の金属類、ガラス、セメントを使用して得られ
る素材等の各種の基材類へ、さらには、これらの各種の
基材に予め有機系あるいは無機系の皮膜が形成された基
材類へ、親水性を付与するのに有効である。そして、か
かる親水性皮膜がトップコート層として設けられた塗装
物品は、建築の外壁材、橋梁やタンク等の屋外構築物、
自動車等の車両、クーラー等の熱交換機用のアルミニウ
ムフィン等のフィン材、鏡、さらには、画像形成用の媒
体等の各種の用途に有効に利用できるものである。
【0004】
【従来の技術】これまでに、親水性皮膜の形成方法とし
ては、(1)カルボキシレート基、スルホネート基もし
くはポリオキシアルキレン基の如き親水性基を含有する
重合体を架橋することにより調製する方法であるとか、
(2)特許第2756474号公報に記載されている如
く、結晶性チタニアの如き光酸化触媒としての機能を有
する金属酸化物微粒子とシリコーン系等のバインダーと
からなるコーティング剤を基材に塗装したのちに、光照
射により親水化せしめる方法、等がある。
【0005】しかしながら、かかる方法のうち、(1)
の方法により得られる親水性皮膜は耐久性に劣るために
短期間の屋外曝露等で親水性が低下するる問題点がある
し、(2)の方法では、予め、高温で焼成して得られる
チタニアの如き光酸化触媒としての機能を有する微粒子
とバインダーとからコーティング剤を調製するという煩
雑な工程を経なけらばならないという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、上述したような従来型技術における種々の問題点
を、悉く、解消するべく、鋭意、研究を開始した。
【0007】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、耐久性に優れる親水性皮膜を簡便に形成せしめる
方法を提供することにあり、また、かかる皮膜の形成方
法により得られる親水性皮膜をトップコート層として設
けてなる塗装物品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述の課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、アル
ミニウム化合物を含む塗布液を基材に塗布して、皮膜を
形成し、熱水または加熱水蒸気で処理して作成された、
花弁状アルミナ皮膜が形成された基材の花弁状アルミナ
皮膜上に、金属キレート化合物を含有するコーティング
剤からなる乾燥皮膜を形成せしめたのちに、当該皮膜に
光を照射することにより簡便に耐久性と親水性に優れる
皮膜が得られることを見い出し、また、このようにして
得られる親水性皮膜をトップコート層として設けてなる
塗装物品は、耐曝露汚染性、防曇性、水流下性等表面の
高親水化に由来する各種の性能と耐久性に優れることを
見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、
【0010】1.花弁状アルミナ皮膜が形成された基材
の花弁状アルミナ皮膜上に、金属キレート化合物を含有
するコーティング剤からなる乾燥皮膜を形成せしめ、次
いで、当該皮膜に活性エネルギー線を照射してキレート
結合を光分解せしめる親水性皮膜の形成方法であって、
該花弁状アルミナ皮膜が、アルミニウム化合物を含む塗
布液を基材に塗布して、皮膜を形成し、熱水または加熱
水蒸気で処理して作成されたものであることを特徴とす
る、親水性塗膜の形成方法、
【0011】2.前記した金属キレート化合物が、チタ
ニウム、ジルコニウムおよびアルミニウムから成る群よ
り選ばれる少なくとも一種の金属のキレート化合物であ
ることを特徴とする上記1に記載の親水性皮膜の形成方
法、
【0012】3.前記した金属キレート化合物が、金属
原子に結合したアルコキシ基をも含有すことを特徴とす
る、上記1または2に記載の親水性皮膜の形成方法、
【0013】4.前記した乾燥皮膜に、金属キレート化
合物のπ−π*遷移に由来する吸光度が最大となる波長
の光を含む光を照射することを特徴とする、上記1〜3
のいずれか1つに記載の親水性皮膜の形成方法、
【0014】5.前記した金属キレート化合物が、キレ
ート化剤としてβ−ジケトン化合物および/またはβ−
ケトエステル化合物を用いてキレート化されたものであ
ることを特徴とする、上記1〜4のいずれか1つに記載
の親水性皮膜の形成方法、
【0015】6.光を照射することにより水との接触角
を20度以下に低下せしめることを特徴とする、上記1
〜5のいずれか1つに記載の親水性皮膜の形成方法、
【0016】7 前記した活性エネルギー線が、紫外線
である、上記1〜6のいずれか1つに記載の親水性皮膜
の形成方法、及び、
【0017】8.上記1〜7のいずれか1つに記載の親
水性皮膜の形成方法により得られる親水性皮膜をトップ
コート層として設けてなる塗装物品、を提供するもので
ある。
【0018】以下に、本発明を詳細に説明する。先ず、
本発明で云う親水性皮膜とは、水との接触角として概ね
50度以下、好ましくは40度以下、特に好ましくは2
0度以下の親水性を有する皮膜を指称するものである。
【0019】かかる親水性皮膜を形成する際に使用され
る基材としては、公知慣用の各種のものを使用すること
が出来る。かかる基材の特に代表的なものとしては、各
種の金属基材、無機質基材、プラスチック基材、紙もし
くは木質系基材等が挙げられる。
【0020】かかる各種の基材のうち、金属基材の代表
的なものとしては、鉄、ニッケル、アルミニウム、クロ
ム、亜鉛、錫、銅、鉛の如き各種の金属類;ステンレス
スチー、真鍮の如き、これらの各種金属の合金類;前掲
したような各種の金属類であって、メッキや化成処理な
どが施された各種の表面処理金属類等が挙げられる。
【0021】また、無機質基材とは、セメント系、珪酸
カルシウム等の珪酸塩系、石膏系、石綿系、セラミック
ス系等で代表される如き無機質の材料を主とするもので
あり、その具体的なものとしては、コンクリート、セメ
ントモルタル、石膏プラスター、ドロマイトプラスタ
ー、軽量気泡コンクリート(ALC)、石綿セメント
板、ガラス繊維強化の珪酸カルシウム板、石膏ボード、
陶器、磁器、アルミナパネル、タイルの如き各種の粘土
の焼成物もしくはガラスなどの各種のものが挙げられ
る。
【0022】プラスチック基材の代表的なものとして
は、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタ
クリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、
ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプ
ロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレートの如き、種々の熱可塑性樹脂のフィルム
や成形品;不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、
架橋型ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂、架橋型の
飽和ポリエステル樹脂の如き、各種の熱硬化性樹脂から
得られる架橋フィルムや架橋した成形品等が挙げられ
る。
【0023】本発明に係る花弁状アルミナ皮膜とは、ア
ルミナ膜の表層部分が熱水または加熱水蒸気の解膠作用
を受けて、花弁状の構造を有するアルミナがランダムに
集合化した微小な孔状の空隙を持った膜を指称するもの
である。かかる、花弁状アルミナ膜を有する基材は、各
種のアルミニウム化合物から調製される塗布液を基材に
塗布してアルミニウム化合物のゲル膜を形成させたの
ち、当該アルミニウム化合物のゲル膜が形成された基材
を熱水または加熱水蒸気で処理すること、好ましくは熱
水に浸漬することにより得ることができる。この方法に
よると高温で焼成する工程を経ることなく花弁状アルミ
ナ皮膜を形成することができるので、耐熱性が不十分な
プラスチック類に適したものである。
【0024】こうした塗布液を調製する際に使用される
アルミニウム化合物の具体的なものとしては、アルミニ
ウムのキレート化合物を調製する際に使用できるものと
して後掲した如き各種のアルミニウムアルコキサイド
類、硝酸アルミニウム化合物、硫酸アルミニウム等が挙
げられる。そしてこれらの中で特に好ましいものは、ア
ルミニウムアルコキサイド類である。
【0025】塗布液の調製に当たり、安定化剤として、
金属のキレート化合物におけるキレート化剤の代表的な
ものとして後掲した如きβ−ケトエステル化合物、β−
ジケトン化合物あるいはアルカノールアミン類を添加す
ることができる。
【0026】また、塗布液の調製に当たり、希釈溶媒を
使用することができる。希釈溶媒の代表的なものとして
は、チタニウムキレート化合物(A)を含有するコーテ
ィング剤を調製する際に使用できるものとして後掲した
如き各種の化合物を挙げることができる。そして、こう
した各種の化合物の中で、塗布液の安定性の点から、ア
ルコール類を使用することが特に好ましい。
【0027】アルミニウムアルコキシドと安定化剤と溶
剤類との混合物をそのままで塗布液として使用すること
ができる。また、当該混合物に水を添加してアルミニウ
ム原子に結合したアルコキシ基を部分的に加水分解した
ものをも塗布液として使用することができる。水を添加
してアルコキシ基を部分的に加水分解することにより塗
布液を調製する場合の水の添加量は比較的自由に設定で
きるが、概ね、アルミニウムアルコキシドの1モルに対
して水の1〜4モル程度を添加すればよい。
【0028】こうして調製される塗布液には、アルコキ
シ基の加水分解を促進したり、脱水縮合を促進するため
の触媒を添加することができる。かかる触媒の代表的な
ものとしては、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、アンモ
ニアなどが挙げられる。そして、こうした触媒を添加す
る場合の添加量としては、アルミニウム化合物の1モル
に対して、0.0001〜1モル程度でよい。
【0029】上述したアルミニウム化合物を含有する塗
布液に、必要に応じて、水溶性有機高分子を添加するこ
ともできる。水溶性有機高分子を含む塗布液を塗布して
得られたアルミニウム化合物のゲル膜で被覆された基材
を、例えば熱水に浸漬すると、ゲル膜に含有される水溶
性有機高分子は容易に溶出して、ゲル膜と熱水との反応
表面積が増大することになる。このために、低温、且
つ、短時間での花弁状のアルミナ皮膜の生成が可能にな
る。また、添加する水溶性有機高分子の種類や分子量を
変化させることにより、形成される花弁状アルミナ皮膜
の形状を制御することが可能になる。
【0030】水溶性高分子の代表的なものとしては、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメチ
ルビニルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール等が挙げられる。そしてこれらの中
で、熱水浸漬した場合のゲル膜からの溶出性に優れる点
から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等のポリエーテルグリコール類が特に好ましい。そ
して、こうしたポリエーテルグリコール類の添加量は、
アルミニウム化合物がすべてアルミナに変換すると仮定
して計算されるアルミナの重量に対して、0.1〜10
重量%程度でよい。
【0031】上述した塗布液のうち、安定化剤を含まな
いものを使用してゲル膜を形成するには、塗布を行う雰
囲気を乾燥空気雰囲気もしくは乾燥窒素等の不活性気体
雰囲気とすることが好ましい。そして、こうした乾燥雰
囲気の相対湿度を30%以下とすることが好ましい。
【0032】上述した塗布液からゲル膜を形成する塗布
方法としては、公知慣用の各種の方法があるが、その代
表的なものとしては、ディッピング法、スピンコート
法、スプレー法、印刷法、フローコート法並びにこれら
を併用する方法等が挙げられる。得られるゲル膜の膜厚
は、例えば、ディッピング法における引き上げ速度やス
ピンコート法における基板回転速度の調整、塗布液の濃
度の調整等により制御することができる。
【0033】上述したような方法により基材上に形成さ
せたアルミニウム化合物のゲル膜は、室温で30分程度
乾燥させればよい。また、必要に応じて、さらに高い温
度、通常100℃以下で乾燥させることもできる。こう
して調製されたアルミニウム化合物のゲル膜を備えた基
材を熱水または加熱水蒸気で処理することにより花弁状
アルミナ皮膜を備えた基材を得ることができる。熱水に
浸漬処理する場合の熱水の温度は50〜100℃程度が
よい。熱水の温度は、基材の耐熱性に応じて適宜決定さ
れるが、温度が低いほど花弁状アルミナ皮膜を完全に形
成するのに長時間を要するようになる。
【0034】こうした花弁状のアルミナ膜を設けると、
活性エネルギー線を照射する前の複層被膜の撥水性をよ
り高めることが出来るので、高撥水性部分と高親水性部
分を併有するパターン化された塗装物品を利用する用途
には、非常に有効である。
【0035】
さらに、本発明において、基材として、上述した如き
各種の基材に、予め公知慣用の塗料を塗装して皮膜を形
成せしめたものを使用することもできる。このような皮
膜を形成せしめる際に使用される塗料の代表的なものと
しては、アクリル樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗
料、アルキド樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、ポリウ
レタン樹脂系塗料、フルオロオレフィン重合体系塗料、
水ガラス系塗料、アルキルシリケート系塗料、ポリシロ
キサン系塗料の如き各種タイプが挙げられる。これらの
塗料は、有機溶剤溶液型、有機溶剤分散型、水分散型、
無溶剤型もしくは粉末型等のいずれの形態であってもよ
い。
【0036】次に、金属キレート化合物を含有するコー
ティング剤とは、各種の金属類に公知慣用の各種のキレ
ート化剤が少なくとも1個結合した、いわゆる、金属キ
レート化合物を主成分として含有すコーティング剤を指
称するものである。
【0037】かかる金属キレート化合物における金属の
代表的なものとしては、Ti、Zr、Al、Ca、S
n、Sr、Ba、Y、V、Nb、Ta、Cr,Mo、
W、Fe、Co、Ni、Cu、Bi、ランタノイド系等
の各種金属類が挙げられる。
【0038】かかる各種の金属のキレート化合物におけ
る、キレート化剤の代表的なものとしては、アセチルア
セトン、ジピロバイルメタン、トリフルオロアセチルア
セトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイル
アセトン、ジベンゾイルメタンの如きβ−ジケトン化合
物類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢
酸アリル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸−iso−
プロピル、アセト酢酸−tert−ブチル、アセト酢酸
−iso−ブチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル、
3−ケト−n−バレリック酸メチル等の如き、β−ケト
エステル化合物類;モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミ
ン類の如き、アルカノールアミン類を挙げることができ
る。そして、これらのうちで、金属キレート化合物のπ
−π*遷移に由来する吸光度が最大となる波長を、より
長波長側に持たせることができる点から、β−ジケトン
類およびβ−ケトエステル類が特に好ましい。
【0039】上述した金属キレート化合物の調製法とし
ては公知慣用の各種の方法を採用することが出来るが、
上述した如き、各種金属類のアルコキシド類と、上述し
た如き各種のキレート化剤を反応させることが、特に簡
便である。
【0040】かかる金属キレート化合物の調製に使用さ
れる各種の金属のアルコキシドとしては、公知慣用の各
種のものが使用されるが、それらの代表的なものとして
は、メトキサイド、エトキサイド、イソプロポキサイ
ド、n−プロポキサイド、n−ブトキサイド、sec−
ブトキサイド、tert−ブトキサイド、2−メトキシ
エトキサイドの如きものが挙げられる。
【0041】そして、上述した如き金属アルコキシドと
キレート化剤とから調製される金属キレート化合物のな
かでも、価格とか汎用性の点から、Ti、ZrおよびA
lを主成分として含有するものが特に好ましい。
【0042】かかる金属キレート化合物のうちで、Ti
のキレート化合物を調製する際に使用されるチタニウム
アルコキシドの代表的なものとしては、チタニウムテト
ラメトキサイド、チタニウムテトラエトキサイド、チタ
ニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラ−
n−プロポキサイド、チタニウムテトラ−n−ブトキサ
イド、チタニウムテトラ−sec−ブトキサイド、チタ
ニウムテトラ−tert−ブトキサイドもしくは前記し
た各種のチタニウムのアルコキサイド類を部分加水分解
して得られるチタニウムアルコキサイドのオリゴマー類
等が挙げられる。
【0043】Alのキレート化合物を調製する際に使用
されるアルミニウムアルコキサイドの代表的なものとし
ては、アルミニウムトリメトキサイド、アルミニウムト
リエトキサイド、アルミニウムトリイソプロポキサイ
ド、アルミニウムトリ−n−ブトキサイド、アルミニウ
ムトリ−sec−ブトキサイド、アルミニウムトリ−t
ert−ブトキサイドもしくは前記した各種のアルミニ
ウムのアルコキサイド類を部分加水分解して得られるア
ルミニウムアルコキサイドのオリゴマー類等が挙げられ
る。
【0044】Zrのキレート化合物を調製する際に使用
されるジルコニムアルコキサイドの代表的なものとして
は、ジルコニウムテトラメトキサイド、ジルコニウムテ
トラエトキサイド、ジルコニウムテトライソプロポキサ
イド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキサイド、ジル
コニウムテトラ−n−ブトキサイド、ジルコニウムテト
ラ−sec−ブトキサイド、ジルコニウムテトラ−te
rt−ブトキサイドもしくは前記した各種のジルコニウ
ムのアルコキシド類を部分加水分解して得られるジルコ
ニウムアルコキサイドのオリゴマー類等が挙げられる。
【0045】上述した各種の金属アルコキシド類とキレ
ート化剤とから得られる金属キレート化合物の具体的な
ものとしては、 アルミニウムビス(エチルアセトアセ
テート)モノイソプロポキサイド、アルミニウムトリス
(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ア
セチルアセトネート)、アルミニウムビス(エチルアセ
トアセテート)モノアセチルアセトネート、アルミニウ
ムモノ(エチルアセトアセテート)ビスアセチルアセト
ネート、アルミニウムモノ(アセチルアセトネート)ジ
−n−ブトキサイド、チタニウムモノ(アセチルアセト
ネート)トリn−ブトキサイド、チタニウムテトラキス
(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラキス(エ
チルアセトアセテート)、チタニウムビス(アセチルア
セトネート)ジイソプロポキサイド、チタニウムビス
(エチルアセトアセテート)ジ−n−ブトキサイド、チ
タニウムモノ(ベンゾイルアセトネート)トリ−n−ブ
トキサイド、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセト
ネート)、ジルコニウムテトラキス(エチルアセトアセ
テート)、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテー
ト)モノ−n−ブトキサイド、ジルコニウムトリス(ア
セチルアセトネート)モノイソプロポキサイド、ジルコ
ニウムトリス(アセチルアセトネート)モノエチルアセ
トアセテート、ジルコニウムビス(アセチルアセトネー
ト)ビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムモ
ノ(アセチルアセトネート)トリ−n−ブトキサイド、
ジルコニウムビス(アセチルアセトネート)ジ−n−ブ
トキサイド、ジルコニウムビス(エチルアセトアセテー
ト)ジ−n−ブトキサイド、ジルコニウムモノ(ベンゾ
イルアセトネート)トリ−n−ブトキサイドの如き各種
の化合物が挙げられる。
【0046】そして、かかる金属キレート化合物のなか
でも、皮膜形成性の点から、一分子中に少なくとも1個
の金属原子に結合したアルコキシ基を含有するものであ
ることが、特に好ましい。即ち、本発明のコーティング
剤中に含有される金属キレート化合物としては、1分子
中に少なくとも1個のキレート化剤と少なくとも1個の
アルコキシ基が結合した化合物であることが特に好まし
いものである。
【0047】上述した如き各種の金属キレート化合物を
含有するコーティング剤を調製するには、例えば、予
め調製した金属キレート化合物を各種の溶剤類に溶解せ
しめる方法とか、上述した各種の金属アルコキサイド
の有機溶剤溶液にキレート化剤を添加せしめる方法を、
適用することができる。
【0048】かかる、キレート化合物を含有するコーテ
ィング剤を調製するに当たり使用される溶剤としては、
公知慣用の各種のものを使用することができる。そし
て、その代表的なものとしては、メチルアルコール、エ
チルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プ
ロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブ
チルアルコール、sec−ブチルアルコール、エチレン
グリコール、エチレングリコール−モノ−n−プロピル
エーテルの如きアルコール類;n−ヘキサン、n−オク
タン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタ
ンの如き、各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素
類;
【0049】トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如
き、各種の芳香族炭化水素類;ギ酸エチル、酢酸エチ
ル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエ
ーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエー
テルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテ
ルアセテートの如き、各種のエステル類;アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノンの如き、各種のケトン類;ジメトキシエタン、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエー
テルの如き、各種のエーテル類;クロロホルム、メチレ
ンクロライド、四塩化炭素。テトラクロロエタンの如
き、各種の塩素化炭化水素類;N−メチルピロリドン、
ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチ
レンカーボネートの如き、非プロトン性極性溶剤等が挙
げられる。
【0050】上述したまたはなる方法により、本発
明で使用されるコーティング剤を調製するに当たり、コ
ーティング剤の安定性の点から、上述した如き各種の溶
剤類のうち、アルコール類を必須成分として使用するこ
とが特に好ましい。また、これらの方法によりコーティ
ング剤を調製するに際して、必要に応じて水を添加し
て、金属に結合したアルコキシ基を部分的に加水分解せ
しめてもよい。水を添加する際の添加量としては、上述
したように、金属に結合したアルコキシ基が1分子当た
り少なくとも1個は残留するような範囲内の量とするの
が好ましい。
【0051】また、本発明で使用されるコーティング剤
には、アルコキシ基の加水分解を促進したり、金属原子
に結合した水酸基同志の脱水縮合反応を促進したりする
ことにより、皮膜の形成を容易に進行させる為の触媒を
添加することができる。
【0052】かかる触媒の代表的なものとしては、塩
酸、硝酸、硫酸、燐酸の如き、各種の無機酸類;p−ト
ルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピル、酢酸の如
き、各種の有機酸類;アンモニウムハイドロキサイド、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの如き、各種の無機
塩基類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレ
ート、オクチル酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
鉄、コバルト、マンガン、亜鉛の如き、各種の金属のナ
フテン酸塩あるいはオクチル酸塩の如き金属カルボン酸
塩類;
【0053】1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ
[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザ
ビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ
−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、イミダ
ゾール、1−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイ
ミダゾール、1,4−ジエチルイミダゾールの如き、各
種のアミン系化合物類;テトラメチルアンモニウム塩、
テトラブチルアンモニウム塩、トリメチル(2−ヒドロ
キシルプロピル)アンモニウム塩の如き各種の4級アン
モニウム塩類であって、しかも、対アニオンとして、そ
れぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートも
しくはハイドロオキサイドなどを有する塩類などが挙げ
られる。
【0054】かかる触媒類を添加する場合の、その使用
量としては、コーテイング剤に含有される金属キレート
化合物の100重量部に対して、0.0001〜10重
量部なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜3重量
部なる範囲内が、特に好ましくは、0.0005〜1重
量部なる範囲内が適切である。
【0055】また、本発明で使用されるコーティング剤
は、着色剤を含まないクリヤーなコーティング剤として
使用することも出来るし、また、公知慣用の種々の有機
系あるいは無機系の顔料や染料を含有するコーティング
剤として、使用することもできる。
【0056】さらに、本発明で使用されるコーティング
剤には、必要に応じて、レベリング剤、レオロジーコン
トロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤または可塑剤な
どの公知慣用の種々の添加剤、あるいは、アクリル樹脂
系、ビニル樹脂系もしくはポリウレタン樹脂系等の各種
の樹脂類をも配合せしめて、使用することができる。
【0057】かくして得られるコーティング剤を上述し
た如き各種の基材に塗布するには、公知慣用の各種の方
法を適用することができる。塗布方法の代表的なものと
しては、ディッピング法、スピンコート法、ノズルフロ
ーコート法、スプレー法、リバースコート法、フレキソ
法、印刷法、フローコート法、バーコート法、エアース
プレー法、エアレススプレー法の如き方法等が挙げられ
る。
【0058】上述のようにして、基材に塗布されたコー
ティング剤を乾燥せしめて皮膜を形成させるには、常温
放置、比較的低い温度での強制乾燥、あるいは、高温で
の焼付や焼成等の各種の条件を適用することができる。
適用される乾燥条件は、基材の耐熱性とか、最終的に得
られる親水性皮膜の耐久性の目標レベル、さらには、本
発明の方法により形成される親水性皮膜をトップコート
層として設けてなる塗装物品の用途に応じて適宜選択さ
れる。
【0059】即ち、各種の熱可塑性樹脂の樹脂の如き耐
熱性が低い基材に塗布したのち乾燥するには、室温にて
1日〜2週間程度放置したり、60〜120℃程度の温
度に10分〜3時間程度強制乾燥すればよい。また、塗
装される基材が橋梁とかビルディング等の屋外構築物で
ある場合には、室温に放置する乾燥条件のみが適用でき
る。また、各種の金属類、ガラス、セラミックスもしく
はセメント系成形品の如き耐熱性に優れる基材である場
合には、130〜300℃で10秒から3時間程度の間
焼き付けたり300〜500℃程度の温度で10秒から
3時間程度の間焼成することにより皮膜を形成せしめる
ことができる。
【0060】かくして得られる皮膜に活性エネルギー線
を照射することにより親水性皮膜を形成することができ
るが、その際に照射される活性エネルギー線の種類およ
び照射時間等の照射条件は、金属原子に結合したキレー
ト環を開裂せしめて、水との接触角が、概ね50度以
下、好ましくは40度以下、最も好ましくは20度以下
となるように設定すればよい。
【0061】かかる、活性活性エネルギー線としては、
公知慣用の各種のものを使用することができ、その代表
的なものとしては、可視光線、紫外線、エキシマレーザ
ー光線、半導体レーザー光線、電子線、X線の如きもの
が挙げられる。
【0062】かかる、活性エネルギー線を照射する線源
としては、それぞれの活性エネルギー線を発生させるこ
とができる公知慣用の装置を使用すればよいし、また、
太陽光をも線源として使用することができる。
【0063】上述した如き各種の活性エネルギー線のな
かでも、特に好ましいものとして紫外線が挙げられる。
【0064】そして、かかる各種の活性エネルギー線の
中でも、特に、少なくとも金属キレート化合物のキレー
ト環に由来する吸光度が最大となる波長の光を含むもの
であることが好ましい。
【0065】活性エネルギー線を照射する時間は、皮膜
に付与しようとする親水性の程度、金属キレート化合物
のキレート環に起因する吸光度が最大となる光の波長、
皮膜の厚さ、もしくは光源の強度等に応じて、最適な時
間を設定すればよいが、概ね数秒から数時間程度でよ
い。但し、光源として太陽光を使用する場合には、1日
から1ヶ月に亘る曝露によって初めて親水化できること
もある。
【0066】かかる親水性の皮膜が形成されるメカニズ
ムは、未だ明確にはなっていないが、上述した如く金属
に結合したキレート環が開裂して金属酸化物皮膜が形成
されることによると推定される。
【0067】こうして形成される親水性皮膜の膜厚とし
ては、親水性皮膜が形成された塗装物品を構成する基材
の種類や当該塗装物品の用途によって異なるが、親水性
皮膜の耐久性やクラックの発生を抑制する点から、概ね
0.5nm〜10μm程度、好ましくは1nm〜5μm
程度とすればよい。
【0068】次に、本発明の親水性皮膜の形成方法によ
り得られる親水性皮膜をトップコート層として設けてな
る塗装物品について説明する。
【0069】かかる塗装物品としては、より具体的なも
のとしては、それぞれ、基材として金属基材が使用され
た自動車、自動二輪車、電車、自転車、船舶または飛行
機あるいは其の他の輸送関連機器類と、それらに使用さ
れる金属基材あるいはプラスチック基材等が使用された
諸々の部品;基材として、金属基材あるいはプラスチッ
ク基材等が使用された、テレビ、ラジオ、冷蔵庫、洗濯
機、クーラー室外機、クーラーの室内機あるいは室外機
等に設置される熱交換用のアルミニウムフィン等のフィ
ン材、室外機用のアルミフィンまたはコンピュータある
いは其の他の家電製品類;フロントグラス、リヤーグラ
ス、サイドグラスもしくはドアミラー等の車両用のガラ
ス製部品類、鏡あるいは建築物の窓ガラスの如きガラス
製品類;
【0070】各種の無機質系の瓦、金属製の屋根材、無
機質系外壁材、金属製の壁材、金属製の窓枠、金属製の
ドアまたは内壁材の如き、種々の建材類;道路、道路標
識、ガードレール、橋梁、タンク、煙突またはビルディ
ングの如き、各種の屋外構築物;さらには、ポリエステ
ル樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルムあるいはフッ素
樹脂フィルム等の各種の有機フィルムに塗装した各種の
被覆フィルムなどが挙げられる。
【0071】そして、これらの各種の塗装物品のうち、
特に好ましいものとして、トップコート層を親水化せし
めて、耐曝露汚染性を向上せしめる点から、種々の外装
用建材類および各種の屋外構築物、さらに、親水化によ
る水の流下性や防曇性を活かせる点から、熱交換用のフ
ィン材や各種のガラス製品類が挙げられる。
【0072】また、好ましい塗装物品の他の例として、
耐汚染性や防曇性の特性を活かせる点から、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエス
テル樹脂等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の成型品ある
いはフィルム等が挙げられる。
【0073】
【実施例】次に、本発明を、参考例および実施例によ
り、一層、具体的に説明をすることにするが、本発明
は、決して、これらの例のみに限定されるものではな
い。なお、以下において、部および%は、特に断りの無
い限り、すべて、重量基準であるものとする。また、親
水性の尺度である水との接触角の測定は、皮膜上に約
1.7μlの水滴を載せ、エルマ(株)製の接触角計を
使用して、大気中で25℃の温度条件下に測定したもの
である。
【0074】参考例1(花弁状アルミナ皮膜形成用コー
ティング剤の調製) 攪拌機、温度計および滴下ロートを備えた反応器に、ア
ルミニウムトリ−sec−ブトキサイドとイソプロパノ
ールを仕込み、室温で攪拌しながらアセト酢酸エチルを
添加した。次いで、0.01規定の硝酸水溶液とイソプ
ロパノールを添加し、室温で1時間攪拌を行って、アル
ミニウム化合物のゲル膜を形成させるための塗布液を調
製した。以下この塗布液をコーティング剤(C−1)と
略称する。ここで使用した、各成分の使用モル比は次の
通りであった。アルミニウムトリ−sec−ブトキサイ
ド:イソプロパノール:アセト酢酸エチル:水=1:2
0:1:1
【0075】参考例2(同上) 参考例1と同様の反応器にアルミニウムトリ−sec−
ブトキサイドとイソプロパノールと数平均分子量が60
0のポリエチレングリコールを仕込み、室温で1時間攪
拌を行って、アルミニウム化合物のゲル膜を形成させる
ための塗布液を調製した。以下この塗布液をコーティン
グ剤(C−2)と略称する。ここで使用した、各成分の
使用モル比は次の通りであった。アルミニウムトリ−s
ec−ブトキサイド:イソプロパノール:ポリエチレン
グリコール=1:30:0.1
【0076】参考例3(金属キレート化合物を含有する
コーティング剤の調製) 参考例1と同様の反応容器にジルコニウムテトラ−n−
ブトキサイドの38.4グラム(0.1モル)とエタノ
ールの92.1グラム(2.0モル)を仕込み、25℃
で30分間のあいだ撹拌を行った。ついで、アセチルア
セトンの16.2グラム(0.1モル)とエタノールの
46.1グラム(0.1モル)からなる混合物を30分
間で滴下した。さらに混合物を同温度で2時間のあいだ
30℃で撹拌を続行してから0.01規定の硝酸水溶液
の1.8グラムを加えて1時間のあいだ撹拌を行って、
キレート化剤としてアセチルアセトンが結合したジルコ
ニウムキレート化合物を含有するコーティング剤を得
た。以下、これをコーティング剤(C−3)と略称す
る。UV吸収スペクトル分析により、このジルコニウム
キレート化合物は300nmにキレート環のπ−π*遷
移に由来する吸光度が最大となるピークを有することを
確認した。
【0077】参考例4(同上) ジルコニウムテトラ−n−ブトキサイドに代えて、チタ
ニウムテトラ−n−ブトキサイドの34.0グラム
(0.1モル)を金属アルコキサイドとして使用する以
外は、参考例3と同様に反応を行って、キレート化剤と
してアセチルアセトンが結合したチタニウムキレート化
合物を含有するコーティング剤を得た。以下、これをコ
ーティング剤(C−4)と略称する。このチタニウムキ
レート化合物は、UV吸収スペクトル分析により、33
0nmにキレート環のπ−π*遷移に由来する吸光度が
最大となるピークを有することを確認した。
【0078】実施例1 中性洗剤、水およびエタノールで順次洗浄して得たポリ
カーボネート板(サイズ:25mm×25mm×1m
m)をコーティング剤(C−1)に浸漬した後、1.0
mm/秒の引き上げ速度でディップコーティングを行っ
た。次いで、室温で30分の乾燥を行って、アルミニウ
ム化合物のゲル膜を形成させた。こうして得られた被覆
ポリカーボネート板を60℃の温水に5分間浸漬して、
膜厚が200nmなる花弁状アルミナ皮膜を有するポリ
カーボネート板を得た。
【0079】このようにして作製した花弁状アルミナ皮
膜を有するポリカーボネート板を基材として使用し、こ
の上に、参考例3で調製したジルコニウムキレート化合
物を含有するコーティング剤(C−3)をディップコー
ト法により塗装し、60℃で5時間の乾燥を行ってジル
コニウムキレート化合物の乾燥皮膜を形成させた。得ら
れた皮膜のIRスペクトル分析によりキレート結合の残
留が確認できた。
【0080】かくして得られた皮膜に、ウシオ電機
(株)製の250W超高圧水銀灯「UIS−2510
2」(照射光の波長:250〜450nm)を使用して
5cmの距離から30分間の紫外線照射を行ってキレー
ト環を分解せしめてキレート環を分解せしめた。紫外線
照射前の皮膜と水との接触角は80度であったが、照射
後のそれは4度であり、皮膜が高度に親水化しているこ
とが確認できた。
【0081】実施例2 中性洗剤、水およびエタノールで順次洗浄して得たポリ
エチレンテレフタレートフィルム(サイズ:25mm×
25mm×0.1mm)を、相対湿度20%の乾燥空気
雰囲気下で、コーティング剤(C−2)に浸漬した後、
1.0mm/秒の引き上げ速度でディップコーティング
を行った。次いで、室温で30分の乾燥を行って、アル
ミニウム化合物のゲル膜を形成させた。こうして得られ
た被覆ポリエチレンテレフタレートフィルムを60℃の
温水に5分間浸漬して、膜厚が約100nmなる花弁状
アルミナ皮膜を有するポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを得た。
【0082】このようにして作製した花弁状アルミナ皮
膜を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを基材
として使用し、この上に、参考例4で調製したチタニウ
ムキレート化合物を含有するコーティング剤(C−4)
をディップコート法により塗装し、60度で8時間の乾
燥を行って膜厚100nmなるチタニウムキレート化合
物の乾燥皮膜を形成させた。得られた乾燥皮膜のIRス
ペクトル分析によりキレート結合の残留が確認できた。
かくして得られた被膜に実施例1と同様の条件で紫外線
を照射してキレート環を分解せしめた。紫外線照射前の
皮膜と水との接触角は82度であったが、照射後のそれ
は4度であり、皮膜が高度に親水化していることが確認
できた。
【0083】
【発明の効果】本発明の親水性被膜の形成方法は、耐久
性に優れる親水性皮膜を簡便に得ることが出来るという
点で極めて実用性が高く、かかる親水性皮膜をトップコ
ート層として設けてなる塗装物品は、防曇性、水の流下
性、耐曝露汚染性等の皮膜の親水性に由来する優れた性
能を有するものであり極めて利用価値が高いものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 26/00 C23C 26/00 J M 30/00 30/00 C (72)発明者 松田 厚範 大阪府河内長野市緑ヶ丘中町12−5 (72)発明者 大岡 正隆 奈良県奈良市登美ヶ丘6−11−4 Fターム(参考) 4J038 DM021 JA33 JA34 JA56 JB03 JB04 JB09 JC38 KA04 MA07 MA10 NA06 PA17 PB02 PB05 PB06 PB07 PC01 PC02 PC06 PC08 PC10 4K022 AA02 AA03 AA04 AA12 AA13 AA14 AA16 AA20 AA21 AA23 AA24 AA49 AA51 BA33 BA36 DA06 4K044 AA02 AA03 AA06 AA11 AA12 AA13 AA16 AB02 AB05 BA12 BB03 BC02 BC09 CA34 CA44 CA53 CA62

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 花弁状アルミナ皮膜が形成された基材の
    花弁状アルミナ皮膜上に、金属キレート化合物を含有す
    るコーティング剤からなる乾燥皮膜を形成せしめ、次い
    で、当該皮膜に活性エネルギー線を照射してキレート結
    合を光分解せしめる親水性皮膜の形成方法であって、該
    花弁状アルミナ皮膜が、アルミニウム化合物を含む塗布
    液を基材に塗布して、皮膜を形成し、熱水または加熱水
    蒸気で処理して作成されたものであることを特徴とす
    る、親水性塗膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記した金属キレート化合物が、チタニ
    ウム、ジルコニウムおよびアルミニウムから成る群より
    選ばれる少なくとも一種の金属のキレート化合物であ
    る、請求項1に記載の親水性皮膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記した金属キレート化合物が、金属原
    子に結合したアルコキシ基をも含有するものである、請
    求項1または2に記載の親水性皮膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 前記した乾燥皮膜に、金属キレート化合
    物のπ−π*遷移に由来する吸光度が最大となる波長の
    光を含む光を照射する、請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の親水性皮膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記した金属キレート化合物が、キレー
    ト化剤としてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケ
    トエステル化合物を用いてキレート化されたものであ
    る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の親水性皮膜の
    形成方法。
  6. 【請求項6】 活性エネルギー線を照射することにより
    水との接触角を20度以下に低下せしめる、請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の親水性皮膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記した活性エネルギー線が、紫外線で
    ある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の親水性皮膜
    の形成方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の親
    水性皮膜の形成方法により得られる親水性皮膜をトップ
    コート層として設けてなる塗装物品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007302785A (ja) * 2006-05-11 2007-11-22 Kawaken Fine Chem Co Ltd 樹脂用硬化剤及び硬化性樹脂組成物
JP2008101208A (ja) * 2006-10-17 2008-05-01 Qimonda Ag コーティング溶液の調製方法および基板をコーティングするための同コーティング溶液の使用方法
JP2013209749A (ja) * 2012-02-28 2013-10-10 Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp 表面被覆アルミニウム含有亜鉛系めっき鋼板

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